社内外で評価された三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」
昨年、圧倒的な人気で即日完売した三菱地所レジデンスの「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」が2つの顕彰制度で受賞した。
ひとつは、このほど新設した各年度でもっともブランド認知やブランドイメージ向上に貢献したマンションを選ぶ社内制度「ザ・パークハウス オブ ザ イヤー」で、2013年度は同物件が選ばれた。
同物件は、立地を最大限生かした配棟計画・建物デザインなどが評価され、リーマンショック後の最高坪単価800万円だったにもかかわらず、22戸が最高13倍、平均5.1倍で即日完売し、業界内外で話題となった。
もう一つは、次世代に残る優れた分譲マンションプロジェクトを表彰する週刊住宅新聞社の「2013年度首都圏優秀マンション表彰」の最優秀賞に選ばれたもの。
審査委員となった住宅ジャーナリストの櫻井幸雄氏は「すべての部分で日本のマンションの最高水準…(昨年分譲でなかったら)この値段で買うことはできなかっただろう」と語り、不動産ジャーナリストの目黒孝一氏とマンション評価ナビ主宰の大久保恭子氏も「仕様や設備、管理など久々にすべてで最高級だった」と絶賛した。
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「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」が社内外で評価されるのは当然だ。記者も毎年「ベスト3」マンションを選んでおり、この物件を3物件のうちの一つに選んだ。
ただ、評価は何を重視するかによって異なるので一つ選ぶとすればこの物件を選んだかどうかはわからない。記者は隈研吾氏がデザイン監修した東京建物他「BrilliaTower池袋」、驚異的な売れ行きを見せた野村不動産・三井不動産レジデンシャル・積水ハウス・阪急不動産の4社JV「Tomihisa Cross」と三井不動産レジデンシャル・東京建物・三菱地所レジデンス・東急不動産・住友不動産・野村不動産の大手デベロッパー6社JV「東京ワンダフルプロジェクトSKYZ TOWER&GARDEN」も捨てがたいと思う。
「千鳥ヶ淵」は何よりも皇居が見下ろせる「唯一無二」の立地にほれ込んだ。単価800万円はズバリ的中した。近接する三井不動産レジデンシャルの「パークマンション千鳥ヶ淵」の坪単価778万円を超えられなかったら選外にしていたはずだ。正直に言えば、商品企画、設備・仕様は三井不動産レジデンシャルのほうが勝っていると思う。
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週刊住宅新聞社はこのほか都心・郊外、大規模・中規模・小規模など8部門で21物件を選んでいる。記者は全く知らなかった物件がいくつかあり、選ばれた理由がよく分からなかった物件も少ながらずあった。これも視点の違いだ。
一つ注文を付けるとすれば、評点は郊外より都心が、駅から遠い物件より近い物件がそれぞれ高くなるように設定されているので、郊外物件でしかも駅から遠い物件は不利に働く。
しかし、立地条件にハンディを抱えている物件をいかに商品企画でカバーするかもデベロッパーの腕の見せどころではないか。その意味ではグローバル・エルシードの「イデオ」が評価委員特別賞を受賞したのは嬉しい。この物件は見学しようと記者も思っていたが、見学する前に売れてしまい見る機会を失ってしまった。
明和地所「クリオ聖蹟桜ヶ丘サクラテラス」 人気の立地 敷地南側は1低
「クリオ聖蹟桜ヶ丘サクラテラス」完成予想図
明和地所が8月上旬に分譲する「クリオ聖蹟桜ヶ丘サクラテラス」を見学した。立地、設備仕様レベルが高く、記者の予想した単価だったら間違いなく売れるマンションだ。
物件は、京王線聖蹟桜ヶ丘駅から徒歩7分、多摩市一ノ宮4丁目に位置する10階建て45戸の規模。専有面積は65.02~85.85㎡、価格は未定。入居予定は平成27年6月下旬。設計はAUS総合研究所。施工は大勝。
現地は、川崎街道に面したマンションなどが立ち並ぶ一角に位置し、用途地域は商業地域だが、建物の南側は第一種低層住居専用地域。同駅圏では以前から人気になっていたマンション適地だ。
設備仕様レベルが高いのも特徴のひとつ。45戸の中規模だがディスポーザが標準装備。食洗機も付き、キッチン、洗面室の天板は御影石、床はブラックチェリーの突板仕様、収納扉はソフトクローズ、二重床二重天井。最上階の85㎡台の3住戸はワイドスパンで天井高約3m。
同駅圏では3年ぶりの新規供給。3年前の物件よりはかなり単価は高くなるが、最近の建築費の上昇、立地条件、設備仕様などをどこまでアピールできるか。
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記者がモデルルームを見学しているとき、同社・原田英明社長が見学に訪れバッタリ鉢合わせした。社長は驚いたようだが、絶好の機会だと思い、「社長、キッチンも洗面も御影ですよ。食洗機も標準で、床は突板。収納はソフトクローズ。この駅圏ではレベルが高い。山の上の富裕層の買い増しも期待できるかもしれない」と、同社の営業マンになったつもりで〝説明〟した。
その上で、「問題は価格。○○万円でどうですか」と畳み込んだ。原田社長はにやりとし「知ってんじゃないの。ダメ、書かないで。まだ決めていないんだから。それより、最上階の住戸を買いませんか」と返された。
原田社長との約束だから、ここでは単価は書かない。まず予想通りか、それより若干高い価格に収まりそうだ。
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記者は、同社の設立の経緯を知っており、当初からずっと取材してきてきた。創業者の故・原田利勝氏からは「取材は受けない」と拒否され続けたが、創業時の〝右腕〟だった高杉仁氏からマンションのイロハを教わった。
「国立」マンション問題でつまずいたが、それまでは意欲的な商品企画で業界をずっとリードしてきた。100㎡マンションの走りでもある〝レミントンハウス〟で分譲マンションとしてはわが国初のディスポーザ付きを標準装備した。それまでディスポーザは、外国人向け賃貸や一部の高級マンションなどでは採用されてはいたが、都の基準では認められておらず、全て非公式だった。
同社はその後、リーマンショックの影響もあり長期低迷が続いてきたが、財務改善も進んでいるようだ。商品企画で再び輝きを取り戻してほしいと願っている。
野村不動産「プラウドタワー立川」は坪単価342万円 早期完売必至
「プラウドタワー立川」完成予想図
「誰が想像しただろうか」「想像を超える未来」-シアターの画面にナレーションのこの言葉が出たとき、他の人は分からないが、少なくとも記者は「想像すらできなかった」と認めざるを得なかった。完敗だ。
シアターとはこの日7月10日、野村不動産の立川駅前の再開発タワーマンション「プラウドタワー立川」の記者発表会で映し出された画面であり、露ほども想像できなかったのは坪単価342万円の高さであり、想像力を働かすことができなかった自分の甘さを痛いほど思い知らされた。
それもこれも、わが街多摩センターと比較したことが最大のつまずきだった。確かに駅前に伊勢丹と高島屋のデパートができ、多摩モノレールの駅も南と北に二つもできたあたりから立川は劇的に変わったのはよく理解している。多摩エリアの中核都市でもある。
しかし、その一方で、このマンションの従前敷地は「デパート」には程遠い古い汚い線路際の建物のイメージしかなく、馬券売り場や競輪場などの施設は決して立川のポテンシャルを上げる役割を果たしていないだろうと考えていた。
これが甘かった。再開発によって古いビルは立川のランドマークとしてふさわしいマンションになるのは間違いない。地域のアッパーミドル、富裕層のニーズをものの見事にとらえたマンションだ。改めて立川のポテンシャルの高さと、同社「プラウド」の商品企画の高さを思い知らされた。多摩センターとは比較にならない、おそらく10年たっても20年たっても多摩センターが立川を上回る魅力ある街にはならないだろうと諦観した。
ラウンジ
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「プラウドタワー立川」は、中央線・南武線・青梅線立川駅から徒歩2分、立川市曙町二丁目に位置する32階建て全319戸(非分譲住戸27戸含む)。専有面積は55.01~108.00㎡、1期(230戸)の価格は5,248万~1億6,598万円(最多価格帯7,300万円台)、坪単価は342.5万円。登録受付は7月12日~7月20日。竣工予定は平成28年7月下旬。施工は清水建設。監理は松田平田設計。
敷地は「第一デパート」の跡地で、平成7年から再開発の勉強会が始まり、紆余曲折の結果、平成22年に同社が事業に参画することが決まった。約50人地権者の全員同意で再開発が決議された。住宅は9階以上で、それ以下には公共施設、商業施設が併設され、駅北側と南側を結ぶ自由通路も開設され、建物のすぐ近くには駅の改札も新設される。
建物は駅とペディストリアンデッキで結ばれ、敷地が東西に長いことを利用して55㎡台の住戸も含め間口は最低でも7.9mという高い居住性を確保しているのが特徴。階高は約3.3m、リビングの天井高は約2.6m。SIを採用することによってオーダーメイドのほか、間取りが無償で変更できる「ライフスタイルセレクト」を採用。カフェコーナー、小上がり、ホームシアターなど趣味に合わせた間取りも可能だ。
キッチン、洗面、トイレのカウンタートップは御影石が標準。全体として設備仕様レベルは高い。
「プラウドタワー立川」完成予想図
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正直に書くと、昨年の段階ではこのマンションの坪単価は300万円くらいだと思っていた。建築費は上昇傾向にはあったがそれほど顕在化しておらず、相続税・贈与税の税率変更による富裕層の動きもさほど大きくなかったころだ。
ところが、2020年のオリンピック開催が決定されたあたりから一挙に先高観が広がり、アッパーミドルや富裕層向けマンション需要に火がついた。その流れは強まるばかりだ。
今回の坪単価は最近の高額マンションの動向などを考えると、342万円には記者は驚いたが、来場者は2,500件に達しており、1期230戸の早期完売に担当者が自信を見せていることが何よりもユーザーが支持していることを雄弁に語っている。
スカイライブラリー
「麻布霞町」を超えるか 三井不レジ「パークマンション三田綱町ザ フォレスト」
「パークマンション三田綱町ザ フォレスト」外観完成予想図
三井不動産レジデンシャルが7月下旬に分譲する「パークマンション三田綱町ザ フォレスト」を見学した。「パークマンション」は同社の最高級マンションシリーズで、1968年の第一号「目白パーク・マンション」から46年の歴史がある。これまで供給された物件は今回で60棟目で、記者は20件くらい見学している。見学した中で最高峰は「麻布霞町パークマンション」だと思っているが、今回の物件は総合的に判断して「霞町」を上回るかもしれない。素晴らしい億ションだ。
物件は、東京メトロ南北線・都営大江戸線麻布十番駅から徒歩7分、港区三田2丁目に位置する11階建て全98戸(販売総戸数97戸、事業協力者戸数1戸含む)。専有面積は71.02~176.33㎡。価格は未定。竣工予定は平成平成28年01月下旬。設計・施工・監理は鹿島建設。基本計画・デザイン監修はミサワアソシエイツ一級建築士事務所。
まず立地。敷地はオーストラリア大使館-伊藤忠商事の社宅跡地。敷地北側はオーストラリア大使館、東側は道路を隔てて綱町三井倶楽部、その先にはイタリア大使館、慶大三田キャンパスがある。都心の一等地だ。
この立地条件と、緑が豊富なのが最大の特徴だ。敷地内の巨木はもちろんだが、隣接する道路の街路樹は差し渡し1m以上あると思われるイチョウやスダジイの古木が植わっている。物件名の「ザ フォレスト」がぴったりだ。
基本計画・デザイン監修は三沢亮一氏。先にあげた「麻布霞町パークマンション」を手掛けた建築家だ。基壇部に花崗岩、上層部は4丁掛け山型タイルを配し、伝統的なコーニス、フィンなどを用いて重厚感を演出している。
ランドスケープデザインはダニエル・ガーネス氏。世界的に活躍されている方で、コンセプトは「NECKLACE CONECTION」。既存の石造物や灯籠などの旧蜂須賀邸の遺産を引き継ぎ、8つのガーデンがネックレスのようにつながるよう設計されている。
共用施設の特徴としては、「迎賓館」としての役割を持たせた「プライベートヴィラ如庵」を設置していることだ。テラス、パーティリビング、ベッドルーム、バスコートなどがあり、広さは分からないが100坪はありそうなものだ。
専有部分のインテリアデザインは三沢亮一氏と東利恵氏の2テイスト。家具調度品は自然石や自然木などをふんだんに用い、ほとんどが外国製。「Made in Japan」が確認できたのはTOTOの便器とパナソニックの食洗機くらいだった。
販売を前に問い合わせ・来場が〝殺到〟しているようで、これまでのパークマンションの来場ペースと比べると2倍以上あるそうだ。
模型
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同社の「パークマンション」を見学するのは3年ぶりくらいだが、もっとも興味があるのは「麻布霞町パークマンション」を超えるのかどうかだ。敷地規模は「麻布霞町」に次ぐもので、戸数は「霞町」が92戸だから、今回のほうが多い。
問題の価格。「正式な価格発表まで控えていただきたい」と言われているので書かないが、最低でも1億2,000万円台、最高は7億円台ということから推測していただきたい。単価は「霞町」が坪630万円くらいだったと記憶しているが、こちらはそれよりはるかに高くなるのは間違いない。
億ション住戸も「霞町」は1戸だけ1億円を下回ったが、こちらは全て1億円以上だから、文字通り億ションになる。
「霞町」のモデルルームのイメージは記憶に残っていないので何とも言えないが、機会があったら同社関係者から聞いてみたい。「霞町」のほうがいいという人もいそうだ。もちろん、借景は今回のほうがはるかにいい。。「綱町三井倶楽部」は期間限定でいいから一般に開放してはどうか。マンション購入者は利用できないのか。
建設地
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モデルルームで採用されている建具家具の面材、調度品などについて紹介できないのが残念だ。通常は同社の販売担当者から話が聞けるのだが、前述したように想定をはるかに上回る来場者があるので対応できないとのことで、今回は一人で見学した。
設備仕様は、これまで見学してきた多くの億ションでも見てきたものだが、他社物件と異なるのは全体として「品がある」ことだ。すべて本物志向。一流ホテルのスイート並みとみて間違いない。
主なブランドを紹介すると浴槽は「JAXSON」、水回りは「DURAVUT」、キッチンは「GAGGENAU」など。家具建具の面材はブビンガだと思ったがどうだろう。磁器・食器類はあまり興味がないが、マイセンやらミントンやら世界的に知られているブランドばかりだったのだろう。
すごい人気になっているのは、もちろん実需だろうが、相続税・贈与税の改正をにらんだ「節税対策」として富裕層の関心を呼んでいるのも一因だろう。
エントリーゲート
住友不動産 「南大塚」のマンションに電動式「デザインウォールキッチン」初採用
「セントラルプレイス南大塚」完成予想図
住友不動産は6月30日、豊島区南大塚一丁目に完成したコンパクトマンション「セントラルプレイス南大塚」に、生活感の漂うキッチンを隠しスタイリッシュな飾り棚にできる電動式の「デザインウォールキッチン」を初採用したと発表した。
「デザインウォールキッチン」は、電動式の開閉扉を閉めるとシンクやカウンターまわりが隠れ、生活感を消し去って、“飾り棚”へと早変わりするもの。
同社は「魅せる収納とすることで空間全体をリビング・ダイニングとして使用でき、より一層空間的『ゆとり』が得られ、生活の満足感を高めてくれる」としている。
物件は、JR山手線大塚駅から徒歩6 分、豊島区南大塚1丁目に位置する9階建て全35戸。専有面積は34.82~41.98㎡。竣工は平成26 年5 月。設計・施工は三井住友建設。
「デザインウォールキッチン」の開閉前後
大和ハウス他 旧ひばりが丘団地で初の分譲マンション 単価は167万円
「ひばりが丘フィールズ1番街」完成予想図
三交不動産「プレイスひばりが丘」は坪単価210~220万円
西武池袋線駅圏の2物件、大和ハウス・コスモスイニシア・オリックス不動産「ひばりが丘フィールズ1番街」と三交不動産「プレイスひばりが丘」を見学した。前者は駅から徒歩18分(バス6分徒歩2分)で坪単価167万円の大型物件、後者は駅から徒歩10分で坪単価は210~220万円の中規模物件。価格上昇局面で結果はどう出るか。
前者は、UR都市機構の賃貸団地「ひばりが丘団地」の建て替え・再開発事業の一環で、UR都市機構が民間企業を事業パートナーとするPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ=官民連携)手法によって街づくりが勧められているもの。計画では3棟全419戸が予定されており、今回はその第一弾。
物件は、11階建て全144戸の規模。専有面積は68.57~89.71㎡、価格は2,990万~5,090万円(最多価格帯3,400万円台・3,500万円台)、坪単価は147万円。竣工予定は平成27年3月下旬。施工は長谷工コーポレーション。基本設計・デザイン監修は入江三宅設計事務所。販売代理は大和ハウス工業、野村不動産アーバンネット。7月19日に全戸が抽選分譲される。
後者は、西東京市谷戸町2丁目に位置する6階建て全42戸の規模。専有面積は64.02~80.91㎡、現在分譲中の1期21戸の価格は4290万円~5,180万円。坪単価は210~220万円。竣工予定は平成26年8月末。施工は木内建設。販売代理は住友不動産販売。
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立地、規模などが全然異なるので単純な比較は出来ないが、まず前者から。
ひばりが丘団地は昭和33年に竣工した敷地面積約34.5ha、180棟全2,714戸の賃貸住宅団地。平成14年から建て替えが始まっていた。道路も広く街路樹や団地内の樹木は素晴らしい景観を形成している。これだけでも十分価値がある。
モデルルームの設備仕様レベルを考えると167万円というのはリーズナブルなものだろう。もっと独創的な商品企画を期待していたのだが、それはなかった。期分けせず一挙に144戸を販売するというのには驚いた。販売担当者は十分手ごたえを感じていた。
後者の単価はやや高いという印象を受けたが、今後の単価上昇を考慮すると相場とも受け止めることができる。都下の郊外部でも徒歩圏マンションが坪200万円を突破してくるのは間違いない。
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ひばりが丘駅圏ではリーマン・ショック前までの10年間くらいで3,000戸近い大量のマンションが供給された。しかし、2007年分譲の西武不動産販売他「HIBARITOWER(ひばりタワー)」(322戸)と2009年分譲の定期借地権付きの東京建物「Brillia City ひばりが丘」(356戸)を最後にほとんど新規供給はないはずだ。
「ひばりタワー」は確か単価は280万円もしなかった。あまりにも安く、他の沿線と比べ割り負けしているのに驚いた。東建の定借は坪単価が140万円くらいで人気になったが、こちらはやはり買いやすさが人気を呼んだのに納得したのを覚えている。
「プレイスひばりが丘」完成予想図
フージャース・総合地所「ルネ新白岡駅前」1期50戸が完売
「ルネ新白岡駅前」完成予想図
フージャースコーポレーションと総合地所が両社のJVマンション「ルネ新白岡駅前」第1期1次~3次50戸が完売したと発表した。
「ルネ新白岡駅前」は、JR宇都宮線・湘南新宿ライン新白岡駅から徒歩1分の11階建て全124戸。両社は完売の理由として「駅1分という立地と、駅前でありながら日当たりの良い恵まれた住環境という、利便性・資産性・住環境を兼ね備える高い希少性と、専有部分のゆとりの広さ、充実した収納や水周りの使い勝手の良さといった女性目線のものづくり」が評価されたとしている。
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このマンションの見学会が行なわれたとき、駅1分と坪単価130万円弱という安さ、新規供給マンションとしては14年ぶりという〝空白区〟であることからコンスタンとに売れるだろうとは思った。
あれから3カ月で50戸を成約できたのは、これからの第一次取得層向けのマンションの市場動向を占う意味で興味深い。価格を極力抑え、独自の商品企画をどれだけアピールできるかにかかっている。
大成有楽不動産 「金町」エリアで2物件224戸 単価は割安感あり
「オーベル金町レジデンス」完成予想図
大成有楽不動産の「オーベル金町レジデンス」と「オーベル金町エアーズ」を見学した。双方で224戸だ。同社のマンションについては、この1~2年間、かなり見学しているが、収納、キッチンなどの商品企画がどんどんよくなってきている。業界でもトップクラスだと思う。今回の2物件も設備仕様などはこれまで見学してきたものと変わらないが、坪単価が都内では希少といえる180万円以下というのが最大のポイントだ。ユーザーにどこまでアピールできるか。
前者は、JR常磐線金町駅から徒歩11分、葛飾区新宿6丁目の大規模開発エリアに位置する5階建て全117戸。専有面積は76.80~96.23㎡、価格は未定だが、坪単価は180万円前後に落ち着く模様。竣工予定は平成27年1月下旬。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。分譲開始は7月。
後者は、JR常磐線金町駅から徒歩10分・京成金町線京成金町駅、柴又駅から徒歩9分、葛飾区柴又三丁目に位置する11階建て全107戸。専有面積は65.74~86.30㎡、1期(35戸)の価格は3,290万〜4,980万円(最多価格帯3,500万円台・3,800万円台)、坪単価は177万円。竣工予定は平成27年1月下旬。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。すでに分譲が始まっている。
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まず前者から。現地は、同社のマンションのほか住友不動産の中高層マンションなどの住宅ゾーン、生活利便施設、東京理科大と広大な葛飾にいじゅくみらい公園を中心とする文化・教育・公園ゾーン、都市型工場・研究所ゾーンで構成される約33.3haの大規模複合開発エリアに位置している。
同社のマンションは、東京理科大に道路を隔てて隣接しており、広々とした空間と同大学のカフェや学生食堂など(一部制限等があり)も、図書館や学食なども利用できるのが魅力だ。全体として平置駐車場など敷地をゆったり活用している上、居住面積が広いのも特徴。
後者は、金町駅10分圏であり、京成線の柴又駅も9分と利用可能。線路際ではあるが、それほど電車の運行本数が多くなく、また、準工地域ではあるが街路樹も美しい。嫌悪施設などはない。
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問題の価格だが、記者は前者の坪単価は200万円近くしても不思議でないと思っていた。後者は「柴又」は全国区ではあるが、いま一つマイナーな駅なので坪単価は180万円くらいだろうと思っていた。
この予想と比べると前者はかなり割安感がある。住友不動産がいくらで分譲するかだが、用地取得額からいって間違いなく同社のマンションよりは高くなる。後者はいい線だと思う。
マンション建築費の上昇はまだ序の口だ。断定的には言えないが、これからどんどん上がると予測せざるを得ない。第一次取得層にとっては厳しい時代になりそうだ。立地条件などはより郊外に広げざるを得ないだろう。リーマンショックの前もそうだったが、やがて23区から坪単価180万円以下のエリアは消えるのではないか。
「オーベル金町エアーズ」
アパ 頂上戦略を軌道修正 坪800万円超えで単価トップ目指す
「アパホテル<半蔵門平河町>」の開業テープカットに臨む元谷外志雄代表(左)とアパホテル・元谷芙美子社長
アパが2010年4月~2015年3月までの中期5カ年計画「SUMMIT5・頂上戦略」で掲げた「都心3区(千代田・中央・港)で供給ナンバー一」を軌道修正し、今後は同社のフラッグシップ「ザ・コノエ」の高級路線に特化し、坪800万円超の分譲単価で頂上を目指す。
同社グループ・元谷外志雄代表は、6月24日行われた同社の「SUMMIT5」計画に基づく都内20棟目のホテル「アパホテル<半蔵門平河町>」の開業セレモニーの会場で、「都内の土地が上昇し建築費も高騰しており、マンションの事業環境は厳しくなってきた。地元金沢などの地方はファミリー型を供給していくが、都内では『ザ・コノエ』の高級路線に転換する」と語った。
また、アパホーム・沖田良一社長は、「『代官山』(109戸)は坪600万円を超えるし、用地取得済みの『三田綱町』(45戸)も『西麻布』(16戸)は坪800万円を超える予定」と話した。このほか同社は「一番町」(32戸)「隼町」(24戸)も用地取得済み。
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東急東横線代官山駅前の「代官山」プロジェクトは当初は坪600万円台の半ばと見られていたが、もっと高くなる可能性も出てきた。モデルルームは今秋オープンの予定。さらに「三田綱町」や「西麻布」で坪800万円を超えれば、リーマン・ショック後の首都圏最高値マンション、三菱地所レジデンス「ザ・パークハウスグラン千鳥ケ淵」の坪800万円を超えることになる。
ただ、三井不動産レジデンシャルはミッドタウンに近接するエリアで隈研吾氏の設計によるマンションを予定しており、こちらは坪1,000万円超となる可能性がある。都心部のマンションの高値競争は益々激化する。
三井不レジ他 田町の「GLOBAL FRONT TOWER」が人気 坪単価は330万円
「GLOBAL FRONT TOWER」完成予想図
三井不動産レジデンシャルは6月17日、日本土地建物、伊藤忠商事、伊藤忠都市開発、清水建設と開発を進めている港区芝浦一丁目のタワーマンション「GLOBAL FRONT TOWER」(全883戸)の第一期380戸の登録受付を6月28日から開始すると発表した。来場者は2,000組に達しており、人気は必至だ。最高価格の1億8,200万円の住戸にも5組の購入希望が入っている。
物件は、JR田町駅から徒歩10分、港区芝浦1丁目に位置する34階建て全883戸の規模。専有面積は42.01~120.11㎡、価格は3,700万円台~18,200万円台(最多価格帯5,500万円台・6,400万円台)、坪単価は330万円。設計・施工は清水建設。竣工予定は平成28年1月下旬。事業費率は三井不動産レジデンシャルが45%で、他社は未公表。6月28日から登録申し込みを受け付ける。
現地は、田町駅前の再開発事業「田町駅東口北地区土地区画整理事業」から徒歩4分のヤナセ本社跡地。総合設計制度を利用し敷地面積約10,000㎡の半分以上を公開空地とし、建物は港区最大級の免震タワーマンション。1階部分に認可保育園が入居するほか、再開発エリアに移転する予定の「愛育病院」とも連携する。このほか、各フロアに全戸分のトランクルームを設け、住戸内のリビングダイニングエアコン、キッチンカップボード、天然御影石キッチン天板などが標準装備。天井高は約2600ミリ。
運河に面した外観
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まず単価。記者は鹿島建設他「勝どきザ・タワー」を取材したとき、記事にはしなかったが坪単価は350万円の価値があると判断した。ただ、戸数が1,420戸と多いのと競合物件もあることから320~330万円くらいになると予想した。しかし、1期500戸は307万円に落ちついたと聞いてびっくりした。人気になったことで、2期以降はどう価格設定するか分からないが、まさか値上げはしないはずだ。
「勝どき」との比較で、今回のマンションも高値追及するなら坪350万円もあると予想したが、三井不動産レジデンシャルは抑え気味に値付けするだろうからアッパーで340万円くらいだろうと思っていた。330万円は極めてリーズナブルな値段だろう。確実に売ることを最優先した値付けとみた。
1期は380戸になるが、来場者が2,000組に達していることから人気は必至だ。最高価格の住戸1億8,200万円(120㎡)もすでに5組の購入希望が入っているというから、これはもう完全にバブルだ。ただ、この最高価格住戸の坪単価は500万円だ。リーマンショック前はタワーマンションの最上階は軒並み600~700万円をつけたので、富裕層は「買い得」と思っているのかもしれない。来場者の居住地は港区が40%、年代は30歳代~40歳代が75%、持ち家比率は40%、年収1,000万円以上が50%。
各住戸のプランはワイドスパンが中心で、居住性能は高い。天井高は2600ミリ。小家族の入居を想定した80㎡台のモデルルームもよくできている。
エントランス
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「勝どきザ・タワー」との単純な比較はできないが、今回の見学会では担当者は、「『勝どき』の所在地は中央区勝どきで、最寄り駅は大江戸線のみ。こちらの住所は港区芝浦で、最寄り駅は6駅。利便性が全く異なる」と優位性を強調した。
どちらを選択するかはユーザー次第なのでこれ以上書かない。面白いのは1フロアの住戸の多さだ。図面集をみたら標準階はほぼ1フロア29~30戸あった。小規模マンションが34層にわたって建設されるわけだ。1フロアの過去最多住戸のタワーマンションはどこか分からないが、「勝どきザ・タワー」は53階建てなので単純に総戸数で割ると約27戸だ。今回のマンションか「勝どき」が1フロア最多戸数タワーマンションであるのはほぼ間違いない。
非日常を演出した最高価格住戸のモデルルーム(左がリビング、右が主寝室)
80㎡のモデルルーム