住んでみたい街3位 脅威の売行き野村「武蔵小杉」
「住んでみたい街」3位に浮上した武蔵小杉
野村不動産・相鉄不動産「プラウドタワー武蔵小杉」
記録的な一挙分譲戸数
「プラウドタワー武蔵小杉」完成予想図
野村不動産と相鉄不動産の共同事業マンション「プラウドタワー武蔵小杉」を見学した。全分譲住戸433戸のうち5月に第1期310戸が供給済みで、この8月4日には第2期として85戸が抽選分譲される。分かってはいるが、信じられない売れ行きだ。
物件は、東横線・目黒線・南武線武蔵小杉駅から徒歩4分、川崎市中原区小杉町3丁目に位置する45階建て全450戸(非分譲17戸含む)。第2期85戸の専有面積は60.70~83.41㎡、価格は5,072万~6,773万円 (最多価格帯6,500万円台)、坪単価は280万円。竣工予定は平成27年1月下旬。施工は清水建設。
武蔵小杉のマンションについてはこれまでたくさん書いてきたので詳細は省略する。これまで再開発エリアはもちろん周辺物件も含めるとこの数年間で十数物件を取材している。ごく一部の物件をのぞきことごとく早期完売している。野村不動産にとっては初のタワーマンションだが、この4カ月で全分譲戸数の90%を越える戸数を供給するのだから驚異的だ。神奈川県下ではリーマンショック後では最多一挙供給戸数だろう。
人気の要因の第一は言うまでもなく「武蔵小杉」のポテンシャル。今年に駅ビルが完成してまた一段と人気が高まったようだ。長谷工アーベストが昨日発表した「住んでみたい街(駅)ランキング」の調査結果で、「武蔵小杉」は前年の17位から一挙に3位に浮上したという。トップの「吉祥寺」、2位の「自由が丘」に次ぎ、同じ3位が「横浜」だというから驚きだ。
もう一つは〝プラウド〟ブランドだろう。建物は清水の制震工法を採用したSIで、食洗機、ミストサウナが標準装備。居室の引き戸はソフトクローズ機能付き。74㎡のモデルルームは完全なPP分離型で、①家族の時間②夫婦の時間③各人の独立した時間-を提案したプランもいい。ミストサウナは体験コーナー付きで、共用施設については「いいね」ボタンを来場者が押すことで評価が高まるようになっていた。
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このマンションの早期完売は見えた。いよいよこれからはこのエリアの再開発は最終段階にさしかかる。これから分譲されるのは現段階で4プロジェクト残すのみとなった。
一番早く分譲されるのは、この秋に住友不動産が分譲開始する53階建て免震タワーマンション「シティタワー武蔵小杉」(800戸)だ。その次に供給されそうなのは、駅北側の三井不動産レジデンシャルとJX日鉱日石不動産の54階建てツインタワー「小杉町2丁目」(1,280戸)で、着工準備中だ。その次は今年度中に都市計画決定される予定の「小杉町3丁目東地区」で、三井不動産レジデンシャルと東急不動産が約520戸のタワーマンションを予定している。さらにもう一つは、駅北口すぐのホテル・ザ・エルシィの跡地開発で、三井不動産レジデンシャルとUR都市機構がタワーマンションを建設する予定だ。戸数は未定だが400戸ぐらいになるか。
この再開発エリアでどれぐらいマンションが供給されるか調べないと分からないが、8,000戸ぐらいになるのではないか。周辺マンションを含めるとあるいは1万戸ぐらいになるかもしれない。第一号の「THE KOSUGI TOWER 」(689戸)が分譲されたのは2006年だから、わずか7年しか経過していない。マンション単価も「THE KOSUGI TOWER 」は220万円ぐらいだったから、これまたすごい。これほどの街で立派なホテルがないのはどういうわけか。これが不思議だし、どうして150余年かけて街のポテンシャルを築き上げてきた「横浜」と肩を並べるのか。これまた記者には理解できない。
コスモスイニシア タウンハウス「代々木初台」見学会
コスモスイニシア「ザ・ロアハウス代々木初台」
3.5層のトリプレット含む27タイプ
「ザ・ロアハウス代々木初台」完成予想図
コスモスイニシアは7月31日、同社のタウンハウスシリーズ第3弾「ザ・ロアハウス代々木初台」が完成したのに伴い、報道陣向けに見学会を行なった。
物件は、京王新線初台駅から徒歩7分、渋谷区初台2丁目に位置する地下1階地上3階建て全27戸。専有面積は43.46~72.36㎡、価格は3,688万~7,098万円、坪単価は289万円。竣工は平成25年7月。5月から販売が始まっており、これまで17戸が契約済み。
2006年から取り組んでいる同社×生活者×大学研究室の3者協同プロジェクト「COCOLAB0(ココラボ)」の一環で、重層長屋をテーマに東京藝大 美術学部建築科 元倉研究室、東京電気大 未来科学部建築学科 山本研究室、共立女子大 家政学部建築デザイン学科 堀研究室との共同研究を元にデザインしたのが特徴。
建物は、2棟構成。東西に細長い旗竿状敷地を利用し、南棟には大間口の窓を設け、北側棟との間には〝通り道〟を設置して住民同士のゆるやかなつながりを生み出している。住戸プランでは土間付き、メゾネット、トリプレットなど全27戸がそれぞれ異なるプランになっている。
「ザ・ロアハウス」は、3年前から供給しているもので、人気の住宅街の第一種低層住居専用地域に立地する「邸宅地の割安な価格設定」がコンセプト。デザイン性、永住性、アフターサービスに力を入れているほか、食洗機、ミストサウナなども標準装備。共用施設や駐車場、エレベータを設置せず、モデルルームも設けないことなどで周辺相場より1割から1.5割ぐらい価格を抑えている。
通り道
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基本的には、過去のセボン、現在のオープンハウス・ディベロップメントが供給しているものと同じだ。圧倒的に価格は安い。比較にはならないが、三井不動産レジデンシャルが2年前に分譲して瞬く間に売れた「パークリュクス初台」は315万円ぐらいだったから、今回の物件はやはり安い。
ただ、メゾネットタイプはともかく、3.5層のトリプレットというのは記者のような年配には受けないだろう(同社もそのような層をターゲットにしていないが)。
このマンションでは洗濯物の外干しは規約で不可にするそうだが、室内干しをする場合でも、洗濯機から洗濯物を取り出し、干すところまで階段を上り下りしなければならないタイプもある。記者は洗濯物を抱えて階段を上り下りすることを考えただけでゾッとする。3大学の先生も学生さんもきっと洗濯などしたことないのだろうと思った。今度、同じものを供給するときはつるべをつけて欲しい。
モデルルーム
新日鉄興和他「ザ・レジデンス神宮前」竣工 絶好調
新日鉄興和不動産他「ザ・神宮前レジデンス」竣工
潮目変わり絶好調 林常務も〝絶口調〟
「ザ・神宮前レジデンス タワーサイド」完成予想図
新日鉄興和不動産は7月24日、三井物産、NTT都市開発とともに開発を進めている建て替えマンション「ザ・神宮前レジデンス」が完成したのに伴い報道陣向けの内覧会を行なった。当初は出足が今一つだったのが、政権交代により潮目が変わったのを境に成約が増え、全分譲戸数の148戸のうち億ションが半分以上の高額であるにもかかわらず8割以上の125戸が成約済みという。
物件は、東京メトロ銀座線外苑前駅から徒歩 7 分、渋谷区神宮前 3 丁目に位置する20階建て全220戸(事業協力者住戸72戸含む)の規模。専有面積は50.03~128.86㎡、価格は5,790万~21,000万円(最多価格帯12,000万円台)、坪単価は442万円。2013年4月完成済。設計・施工は竹中工務店。
従前建物は、旧日本住宅公団が1957年に建築した地上4~5階建て全6棟112戸の「原宿住宅マンション」。2007年2月に新日鉄興和不動産(当時、新日鉄都市開発)、三井物産、竹中工務店グループが事業協力者に選定された。
建物は、外苑西通りに面した「タワーサイド」と、南側が高さ制限が20mとなっているエリアに面した「レジデンスサイド」の2棟構成。総合設計制度を活用して高さ制限が1.5倍の60mに緩和されている。建物共用部分には左官職人・久住有生氏、和紙デザイナー・堀木エリ子氏のアート作品が掲げられている。
「ザ・神宮前レジデンス レジデンスサイド」完成予想図
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このマンションについては、昨年初めに見学した。ファミリーが住むのなら新日鉄興和不動産の「テラス渋谷美竹」よりずっとこちらがいいと思った。とくに「レジデンス」棟は渋谷方面にかけての眺望が開けているのがいいと思った。問題はグロスが張ることだけだと見ていた。竣工の時点で完売のメドが立ったのも納得できる。
内覧会では久住氏と堀木氏のアートに魅入った。久住氏の作品は100号もありそうな連作5作品で、粗い目から細かい目へと風化・進化するイメージが塗り込められている。堀木氏の作品は縦4m×横11mの大作。「立湧」という宇宙のいい兆しが湧き上がる吉祥文様が描かれている。作品は外からも眺められるようになっていた。
久住氏の作品
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売れ行きがいいことに気をよくしたのか、内覧会に臨んだ同社常務取締役住宅事業本部長・林英治郎氏の挨拶は〝絶口調〟林節を炸裂させた。
林氏は冒頭「業界のナシモトではないが」と断りながら、物件の販売状況、建て替え事業などについて面白おかしくかつ的確に現状分析して見せた。
中身は極めて刺激的だったが、林氏の語りは毒気を抜かせる巧みさがある。「ナシモト」とは亡くなられたあの人懐っこい顔に似合わず、数々の特ダネをものにした「梨元勝」氏であるのは間違いない。話しを再現する。
林氏は「昨年はどうなるかと思った。ものがいいのは分かっていた。来場者も多かった。ところが『いいわね』といってくれるだけでなかなか成約が伸びなかった」と昨年当初の状況を振り返った。
そして、一転して「180度ガラッと変ったのが昨年の11月14日(野田前総理が党首討論で国会解散を約束した日)。私は野田総理に感謝した。あれから円安、株高に一気に進んだ。富裕層の方は景気が変わるとご自分で判断されて、アクションをすぐ起こされた。海外の投資家も動いた。『こんなに安いのか』と驚かれたほどだ。このマンションもまだ20戸ぐらいが残っているが、早晩売れるのは間違いない」
そればかりではない。「このマンションのような都心の億ションだけが売れているわけではない。当社は千葉方面の第一次取得層向けの2,000万円台、3,000万円台も供給しているが、こちらも売れ行きがいいい。億ションを買われる方はアベノミクスを先読みして買われるが、郊外マンションを買われる方はしっかり足元を眺めて判断されている。単身女性向けのコンパクトも同様。コンパクトタイプはローン控除が受けられないので、消費税があがらない今のうちに手当てしようと賢明な選択をされている」と、ユーモアたっぷりに需要者を持ち上げた。
さらに続く。「合意形成まで時間がかかり商売的には難しいが、当社は建て替えの先駆者としてのノウハウも蓄積しており、これからもこの事業に力を入れていく。本件は最初、複数の大手デベロッパーがやろうとしたがダメだった」と自信満々に語った。
堀木氏の作品
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林常務は3年前の「ミッドランドアベニュー」でも素晴らしいスピーチをされている。「スタッフが立派な資料を作ってくれたが、私は自分の言葉で話したい」と切り出し、自ら2年前に奥さんを亡くし、〝ワーキング・パパ〟として奮闘していることを語りながら物件の特性を紹介したのだ。
長い記者生活の中でこれほど面白い話をされる個性的な人は4~5人ぐらいしか知らない。2年ぶりにお会いしたので、「再婚はどうですか」と聞いてみた。林氏は数秒間を置いて「いい人がいるなら」と応えた。「何なら収入だけさばを読んだプロフィールを用意しようか」とも話した。ひょっとしたら、同じコピーを何枚も用意しているのではないか。
林氏は容姿や年齢には一切こだわらない人だと確信する。年齢は従前建て替えマンションと同じ55年だ。再婚するにはいい節目だ。お似合いの方は林氏を絶句させる器量よしか、林氏以上のおしゃべりの人だろう。
林常務
道からつくり道を中庭化した旭化成レジ「アトラス調布」
旭化成不動産レジデンス「アトラス調布」
道からつくり、道を中庭化したマンション
「アトラス調布」完成予想図
旭化成不動産レジデンスが7月25日、調布市富士見町3丁目の東京都住宅供給公社が昭和46年に分譲した「調布富士見町住宅」の建て替え事業マンション「アトラス調布」のモデルルームを報道陣向けに公開した。同社の建て替えマンションとしては16件目だが、ランドプランは「アトラス江戸川アパートメント」や「アトラス国領」に匹敵する秀逸なものだ。
物件は、京王線・相模原線調布駅から徒歩14分、調布市富士見町3丁目に位置する2棟全331戸(非分譲住戸105戸含む)。専有面積は56.14~94.64㎡、価格は未定だが、2LDKが3,900万円台~、3LDKが4,700万円台~、坪単価は230万円台の予定。竣工予定は平成27年5月下旬。販売代理は住友不動産販売。設計・監理はNEXT ARCHITECT&ASSOCIATES。施工は東急建設。販売開始は 9月。現在、約1,000件の問い合わせがある。
従前の建物は地上5階建5棟176戸で、専有面積は50.83㎡。周辺地域の容積率は200%となっているが、敷地は道路を挟んだ北側に幅10mの細長い駐車場として利用されていた敷地と「一団地の住宅施設」となっていたため、建ぺい率は20%、容積率は80%に抑えられていた。北側の敷地には建物が建てられず、南側への容積移転もできないことが建て替えのネックとなっていた。
今回は、「一団地の住宅施設」の解除を行い、地区整備計画を制定し、さらに容積率を 200%確保するため、マンション建替え円滑法に基づく組合施行では初めてとなる公道の付け替えを行なった。同社は平成20年8月、3社によるコンペで事業協力者として選ばれ、平成23年12月に一括建替え決議が成立した。
全体敷地の中央に付け替えた公道を配し、この道路を核として建物をセットバック、かつ雁行させ、両側に並木や植込、ガーデンカフェ、キッズルーム、オーナーズラウンジといった共用施設を配置したのが最大の特徴。
住戸プランは雁行設計を最大限に生かし、真南向き住戸を中心に3方向に窓を設けたタイプ、メゾネットタイプなどを設けている。50㎡台の住戸も間口は最低でも6.5m確保している。建物の美しさや街並み景観を保つために136台の駐車場、686台の駐輪場、28台のバイク置き場を全て地下化しているのも特徴。各住戸には同社の「+NEST (プラスネスト)空間」を採用している。
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NEXT社の山中猛社長がランドスケープデザインについて熱っぽく語ったときは半信半疑だった。街路に沿ったマンションの景観に配慮し、建物を雁行させたマンションはたくさん見てきた。同じようなものだろうと考えた。
ところが、模型を見たとき鳥肌が立つような感覚を覚えた。山中氏は「道から始めた」「車には遠慮してもらう」と語ったように、道と建物との一体感・調和にこだわった企画意図が見事に具現化されていた。
公道はアスファルトではなくインターロッキングとし、ピンコロ、イメージバンプを多用し車を徐行させ、居住者用の車も行き来しないように工夫を凝らしている。公道を含めた幅約12mを建物の前庭・中庭のようにしたのも見事というほかない。その空間をコミュニティーソーンとし共用施設は全て1階に配している。
山中氏は「表と裏が異なるありきたりの板状型などつくりたくなかった」というように、奥行きや吹け感を演出するためガラス素材を多用し、サッシの形状も所々変える一方で、水平ラインの美しさにもこだわっている。南棟の195戸に対して5基のエレベータを設置していることでもそのこだわりが理解できる。
「道路計画はかなりハードルが高かった。市との協議に1年間かかったし、コストが上がったことについては施主から怒られた」と山中氏は笑ったが、設計にかける気合・気迫が関係者を説き伏せたのだろう。
山中氏の話を聞きながら、宮脇檀が同じように「道からつくった」京王線の高幡不動にある「高幡鹿島台」を思い出した。これほど「道」にこだわったマンションは他にないはずだ。完成が楽しみだ。「アトラス江戸川アパートメント」「アトラス国領」も山中氏が設計を担当した。
模型(手前が北側)
模型
大成有楽不動産「オーベル蘆花公園」竣工 想像以上の出来栄え
大成有楽不動産「オーベル蘆花公園」竣工 想像以上の出来栄え
外観
大成有楽不動産の「オーベル蘆花公園」が竣工したのに伴い関係者向けに内覧会を行なったので見学した。ランドスケープデザインは想像以上の出来栄えで、今年 1月に書いた記事が間違いでなかったことが確認できた。
記事については参照していただきたいが、やはり感動したのは樹齢100年を越えそうな既存樹の巨木がたくさん植わっていたことだ。
同社は既存樹約80本を残したというが、そのうちのソメイヨシノ、イチョウ、シラカシ、ケヤキなど10数本は世田谷区の保存樹に指定されている。
徳富蘆花が眺めたかもしれないソメイヨシノの樹皮を触り、歩いたかもしれない石畳の上を記者も踏みしめた。既存樹を残しながらの工事も大変だったろうとも思った。
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隣接する八幡神社から望む | 1階住戸の目の前にも既存樹のサクラ |
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入居後は管理組合が樹木の管理を行なっていくことになるが、蘆花公園のナンバーワンマンションとして評価されるようにしっかり管理してほしい。マンション敷地内に10数本の保存樹木があるマンションなんてそうないはずだ。
世田谷区のみどり政策課に確認したら、保存樹は所有者(管理組合)の意向を受けて3年に1回の割合で管理・維持の支援を行なうという。樹木の大きさ、植わっている場所によって異なるが、車や機械が使用できないとか、剪定枝を落とせないものなどは1本あたり費用は10万円ぐらいするものもあるそうだ。同課は「まだ全て確認していないが、保存樹以外にも緑化には力を入れてもらった」と話した。
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中庭(既存の灯籠、景石などを中庭に残している) | |
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敷地周りの緑化 | |
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サブエントランス | 古木の幹から生えている竹 |
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くぐり門も修復して残した | 大谷石を敷き詰めた階段 |
地所レジ他「ザ・パークハウス所沢」1期135戸が即完
三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウス所沢」
第1期135戸が即日完売
「ザ・パークハウス 所沢」完成予想図
三菱地所レジデンス、大栄不動産、フジ都市開発、JX日鉱日石不動産の4社共同マンション、「ザ・パークハウス 所沢」(全312戸)の第1期135戸が7月15日に抽選販売され、最高3倍、平均1.12倍で即日完売した。所沢市内で100戸以上が即日完売したのは2004年以降で初めて。
物件は、西武池袋線・新宿線所沢駅から徒歩5分、所沢市栄町に位置する20階建て。第1期の専有面積は58.72~90.11㎡、価格は2,698万~5,998万円(最多価格帯4,000万円台)。設計・監理・施工は木内建設。竣工は2014年8月下旬。
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この即日完売ニュースには驚いた。供給されていることすら知らなかった。案内図で現地を確認したら、確かにこれまで供給されてきたマンション群より駅に近い。この先の元町通り沿いには平成5年ごろから10棟前後の超高層・高層マンションが建設されており、異様な景観を形成している。売れ行きも当初は良かったが、マンションが林立するにつれて乱売戦が展開されていた。
今回のマンションも現地取材してレポートしたい。単価もリーズナブルなような気がする。
坪180万円突破か 伊藤忠都市他「多摩平の森」
多摩平の一等地に建つ
伊藤忠都市開発他「クレヴィア豊田多摩平の森RESIDENCE」
「クレヴィア豊田多摩平の森RESIDENCE」完成予想図
伊藤忠都市開発、三菱地所レジデンス、大栄不動産の3社共同事業マンション「クレヴィア豊田多摩平の森RESIDENCE」を見学した。経済産業省の「スマートマンション導入加速化推進事業費補助金(MEMS導入事業)」の交付を受けた商住複合再開発マンションだ。
物件は、JR中央線豊田駅から徒歩5分、日野市多摩平二丁目(多摩平の森重点まちづくり計画区域内)に位置する13階建て全440戸の規模。専有面積は65.62~93.80㎡、価格は未定。設計・施工は三井住友建設。竣工予定は平成27年1月末。販売代理は伊藤忠ハウジング。
全住戸にびアイピー・パワーシステムズ(IPPS)のMEMSサービスである「電力一括購入サービス プラス」が導入されるほか、「電力使用量の見える化」「電力需要のピークシフト」「電力使用量の低減」などでの導入で、マンション全体の電力使用量を10%削減する。
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現地は、約48ヘクタールにものぼるUR多摩平団地の建て替え事業を中心に計画的に街づくりが進められているエリアのほぼ中央に位置し、隣接地には「イオンモール」が2014年春にオープンする。「多摩平の森」と称されるように既存樹の巨木が敷地内外に残される。これだけでも価値がある。また、「TSUKURIE (ツクリエ)」によって間取りが自由に変更できるのも特徴で、現地のパソコンを使ってイメージが描けるようにしている。
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まだ坪単価などは明らかにされていないが、記者が予想した坪160~170万円を越える可能性が高い。ひょっとすると180万円を突破するかもしれない。昔から多摩平の公団団地を知る者の一人として信じられない価格だ。
果たしていくらになるのかと、「TSUKURIE(ツクリエ)」がユーザーにどう評価されるのかに注目したい。このマンションの成否は今秋分譲の多摩エリアの物件にも大きな影響を与えそうだ。
駅前再開発3棟目 旭化成不レジ「アトラスタワー曳舟」
駅前再開発の3棟目
旭化成不動産レジデンス他「アトラスタワー曳舟」
「アトラスタワー曳舟」完成予想図
旭化成不動産レジデンス(事業比率70%)と首都圏不燃建築公社(同30%)は7月12日、墨田区の「京成曳舟駅前東第三地区第一種 市街地再開発事業」として建設中の駅前複合再開発制震タワーマンション「アトラスタワー曳舟」の報道陣向け見学会を行ない、モデルルームを7月13日から オープンすると発表した。
物件は、京成押上線京成曳舟駅から徒歩3分、東武スカイツリーライン・東武亀戸線曳舟駅から徒歩4分、墨田区京島一丁目に位置する 28階建て233戸(非分譲49戸含む、他に商業施設)。専有面積は30.01~80.11㎡、価格は未定だが、中心価格帯の3LDKで4,000万円台~7,000万円台、坪単価は250万円を越える模様だ。竣工予定は平成27年9月末。設計・監理は佐藤総合計画。施工は戸田建設。
今回のマンションは、地区計画による京成曳舟駅の高架化や幹線道路の再整備などを含めた約11.2haにものぼる総合的なまちづくり事業の一環で、平成19年竣工の「マーク・ゼロワン曳舟タワー&レジデンス)」、平成24年竣工の「マークフロントタワー曳舟」に続き、旭化成が曳舟駅前地区で手掛ける3棟目の再開発タワーマンション。
また、共同事業主の首都圏不燃建築公社とは平成21年竣工の「ステーションプラザタワー」や「マークフロントタワー曳舟」などに続き4物件目の共同事業となる。
再開発事業エリアの中で南端に位置し、南側にスカイツリーが見えるほか、歩いても徒歩13分と近く、イトーヨーカ堂に近接しているのが特徴。平成28年完成予定の京成曳舟駅舎も目の前にできる。
戸数の約4割が南向きとなり、2LDKと3LDKがそれぞれ2スパン用意されている。4LDKは戸数・グロスを抑えるため2階から10階までとなる。階高は約3.25~3.3m。設備仕様では物干しホールが標準装備される。
6月からモデルルームの事前案内会を行なっており、3週間で来場者は約200組。3分の2は地元墨田区の居住者。スカイツリーの眺望を重視する人は半数だという。
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坪単価について触れたい。単価はどの商品とも基本的に同じで、土地代や建築費、一般管理費などを積み上げて設定するが、決定的なカギを握るのが市場だ。市場が価格を決定する。記者がいつも単価予想を行なうのは、その市場が理解できているかユーザーが見えているかを確認するためだ。
今回のマンションは前回分譲した「マークフロントタワー曳舟」とほぼ同じの230万円台か若干高いぐらいだろうと思ったが外れた。250万を越えてくるというのは以外だった。外したのは゜スカイツリー」の眺望の価値を低く評価したためだと思っている。あの形状自体は美しいとは思うが、都市景観としては美しいとは言いがたい。曳舟あたりから眺めるとそうでもないが、近くから眺めるとかなり圧迫感を感じる。スカイツリーは田舎と一緒だ。遠くから眺めるのがいい。
まあしかし、スカイツリーがたまらなく美しいと感じる人には曳舟の250万円は理解されるのだろう。記者が危惧するのはこれから分譲されるマンションの単価上昇だ。この前見学した中央線豊田駅の伊藤忠都市開発他「クレヴィア豊田多摩平の森」(440戸)も完全に単価予想を外した。160万円かアッパーでも170万円ぐらいだろうと思っていたが、どうやら180万円を越えてくるらしい。
この分では今秋分譲のマンションはことごとく記者の単価予想を超えてきそうで、マンション値上がりの秋になるのは間違いない。
経産省スマートマンション推進事業三井不レジ「品川」
経済産省スマートマンション推進事業に採択
三井不レジ・日土地販売「パークホームズ品川ザ レジデンス」
「パークホームズ品川ザ レジデンス」完成予想図
三井不動産レジデンシャルは7月2日、経済産業省「スマートマンション導入加速化推進事業」採択プロジェクトの第一号マンション「パークホームズ品川ザ レジデンス 」(209戸)のモデルルーム記者見学会を行ない、7月6日から第1期120戸を分譲すると発表した。
物件は、 JR 山手線品川駅から徒歩11分、港区港南2丁目に位置する16階建て全209戸の規模。専有面積は57.60~81.62㎡、第1期120戸の価格は 4,290万~8,310万円(最多価格帯5,900万円台)、坪単価280万円。竣工予定は平成26年10月下旬。設計・施工は大林組。事業主は同社 (事業比率70%)と日本土地建物販売(同30%)。
「スマートマンション導入加速化推進事業」は、マンション全体でエネルギー管理、節電およびピークカットを行い、エネルギーの効率的な使用や無理のない節電を実現するスマートマンションの普及促進を目的としており、同物件は「MEMS」(マンションエネルギーマネジメントシステム)と「HEMS」(ホームエネルギーマネジメントシステム)を導入してエネルギー管理サービスを提供するなどの取り組みを行う。
従来の「HEMS」では、消費電力の見える化や電力需給ピーク時の告知が主だが、同物件では自動制御が行えるようにし、電力需給ピークカットに協力した居住者には同社グループの居住者向けメンバーシップサービス「三井のすまい LOOP 」が提携するレストラン、家電量販店などの優待サービスが受けられるようにする。
建物は3方が運河に面しており、各住戸は東向き・南向き・南西向きが中心。南方には「T.Y ハーバー」が望める。デザインコンセプトは建築家の佐藤尚巳氏が担当し、船底の「キール」とマストを意匠デザインに取り込んでいる。大林組の免震構造を採用し、梁型が住戸内にでにくい工法を採用している。
設備仕様では食洗機、御影石のキッチンカウンタートップ、カップボード、吊り戸棚などが標準装備。
外観
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同社は柏の葉、大倉山、等々力などで先進のスマートシティ、スマートマンション、「マンション向けエネルギーマネジメントシステム( EMS )」などに取り組んでおり、今回の取り組みはそれ以上ではない。
しかし、関係者が「見える化を行なっても見ない人がいる」という言葉には盲点を突かれたような気がした。確かにそうだろう。デマンドレスポンス機能は必須要件かもしれない。その意味で、商業施設の優待サービスは「見てもらう」工夫であり、省エネ行動を促進するものとして期待したい。
坪単価についてはリーズナブルなものだと思う。250万円を切ることはないだろうし300万円を越えることはないと読んでいたのでその通りの結果となった。
キャナルラウンジ
猫好き・本好き…たまらない大成有楽不「東中野」
猫好き・本好き…10タイプの「オーダーシステム」
大成有楽不動産「オーベルアーバンツ東中野」
「オーベルアーバンツ東中野」完成予想図
百聞は一見にしかず-この言葉がぴったりのマンションを見学した。大成有楽不動産が7月に分譲する「オーベルアーバンツ東中野」だ。同社が3月にニュースリリースした物件だが、販売事務所の模型などをみて嬉しくなった。マンションの商品企画はこれだと思った。
物件は、JR中央・総武線、都営大江戸線「東中野」駅 徒歩2分、中野区東中野一丁目に位置する12階建て全33戸。専有面積は39.92~68.71㎡、予定価格は3,200万円台~6,700万円台(予定 最多価格帯3,700万円台・5,700万円台、予定坪単価は300万円。竣工予定は平成26年7月下旬。販売代理は大成有楽不動産販売。設計・監理は陣設計。施工は鍜治田工務店。
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この物件については、同社がニュースリリースしたとき必ず見学しようと決めていた。リリースでは分からない部分が多かったからだ。現地は駅から2分の山手通りに面しており、1フロア3戸の建物。単身者・DINKS向けだ。驚いたのは販売事務所に設けられていた模型、コンセプト説明コーナーだった。
まず目に飛び込んできたのが「オーダーシステム」の「WITH CAT」。39㎡のタイプで、散歩歩道と収納を組み合わせた家具、トイレ付の収納があり、キッチンへ猫が入らないようリビングとの間に仕切りドアを設置していた。ネコ好きにはたまらないプランだろう。
次は、「本に囲まれる家」だ。61㎡のプランで、壁一杯の書棚、書店のようなディスプレイできる棚、スライド書棚などが模型で示されていた。これも本好きにはたまらないプランだ。(記者も本好きだ。たまに書棚の本の背表紙を眺めることで自分の人生を振り返り、作者と出会うことができる。だから捨てられない。本を捨てるのは人生を捨てるのと同じ。女性が着られない洋服やら履けない靴やらをため込むのとは全然違うのか同じなのかは分からない)
その次が、「大型パントリーのある家」。これも61㎡のプランで、キッチンの大きさは6.7畳大もあり、13.1畳大のLDと一体利用できるようプランニングされていた。これなら間違いなく調理が楽しくなる。友だちを呼びたくなる。
このほか、「ファッションを楽しむ家」「ロードバイクを楽しむ家」「映画を楽しむ家」「フレキシブルな家」「小上がりのある家」「リビングスペースで学ぶ家」「ゆったりベッドルームの家」など全部で10タイプが用意されていた。
モデルルームは「コレクションを飾る家」で61㎡。11.0畳大の洋室の隣に5.0畳大のコレクションルームが設置されていた。洋室には物干しポールがセットされていた。これはリビングつけたほうがいいとは思うが…。
「WITH CAT」
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これまで同じような提案をしているマンションや戸建てをたくさん見てきた。例えば「風呂好き」「料理好き」「本好き」「バーベキュー好き」プランなどだ。「犬猫マンション」もあった。最近では、三菱地所レジデンスが無印良品とコラボして茅ヶ崎海岸で分譲した「スマートセレクト構想」の第一弾「ザ・パークハウス茅ヶ崎東海岸南」がある。
三菱地所レジデンスの提案もよかったが、今回はそれ以上かもしれない。地所レジは水回り部分が固定であったのに対し、大成有楽のは1タイプにつき2通りの水回り位置が無償でセレクトできるようになっているのが特徴だ。西側にリビングを設けることも寝室を設けることもできるようになっている。キッチンとリビングが上下階で同じ位置に来ることも想定して、上下階の音対策にも万全を期しているという。天井高も2550ミリ確保している。
先に書いた「オーダーシステム」は有償で、例えば「WITH CAT」は214万円、「コレクション」は548万円、「ファッション」は362万円、「ロードバイク」は164万円、「本」が504万円、「パント リー」が320万円、「ゆったり」が156万円などだ。これはローンにも組み込めるようになっており、「CAT」は30年ローンで月額6,635円の負担で済む。
「本に囲まれる家」
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全33戸の小規模マンションであるため、広告宣伝費が限られており、「広く告知できていない」と担当者は言うが、駅前では住友商事の27階建てタワーマンション「クラッシィータワー東中野」(245戸)が分譲されるので集客もできるのではないか。単価的にも住商の物件は300万円をはるかに越えるのは間違いない。価格的な競争力はある。
マンションの商品企画はこうあるべきだ。もう不特定多数に何の哲学も思想もない田の字型プランなどやめたほうがいい。プランはユーザーが決める時代だ。同社はこの「オーダーシステム」を他のマンションでも採用するとはしていないが、継続してやるべきだ。三菱地所レジデンスも第1弾を分譲したきりだ。
「ロードバイクを楽しむ家」