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「ヴェレーナ稲毛」完成予想図

 日本綜合地所のマンション「ヴェレーナ稲毛」を見学した。価格は未定だが、第1期1次予定販売住戸の坪単価は地上権付きであるため120万円台となる模様で、圧倒的な安さがある。

 物件は、JR総武線稲毛駅から徒歩12分、または京成千葉線京成稲毛駅から徒歩3分、千葉市稲毛区稲毛3丁目に位置する7階建て77戸の規模。専有面積は68.97㎡~78.75㎡。第1期1次販売予定住戸の予定価格帯は70㎡超で2,500万円台~2,900万円台になる模様。竣工予定は2015年2月下旬予定。施工は大木建設。月額地代は5,780円~6,600円の予定。

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 最大の特徴は、地上権マンションであるため一般的な所有権マンションと比較して価格が圧倒的に安いことだ。土地の固定資産税・都市計画税の負担がない代わりに地代を支払うが、坪単価はかなり安い。建築費の上昇が続いている今では、それこそ〝土地代がタダ〟のマンションだ。

 一般の方は、これから分譲されるマンションはどんな遠隔地のマンションであれ坪単価は130万円以下ではまず分譲されないことを覚悟すべきだろう。仮に分譲されたら、基本性能・設備仕様などは最低クラスと考えたほうがいい。

 ところが、設備仕様も水準以上だ。食洗機、ミストサウナ、床暖房、活水器などが標準装備で、MEMS(マンションエネルギーマネジメントシステム)の導入により経済産業省の「スマートマンション導入加速化推進事業」に認定される予定だ。キッチンの天板は御影石。ルーフバルコニーにはスロップシンクも付いている。

 現地は第一種住居地域で、周囲は戸建ての街並みが広がり、小学校は徒歩2分。車の通りも少なく、子育て環境に適している。

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 1階住戸には同社オリジナルの「オープンエアリビング」や「プライベートガーデン」、「プライベートパーキング」などがついている。

 記者は、「オープンエアリビング」の全開口サッシを見て、同社関係者らに「皆さんは、この全開口サッシを御社が採用して、マンションの値付けに革命を起こしたのをご存知か。南武線の物件だった」と話したら、何とマンション販売の責任者の三浦氏が「入社したのが1999年で、最初に担当したマンションが全開口サッシを採用した『グランシティ中野島』でした」と答えたのだ。

 それまで、低層マンションはともかく、中高層マンションでは1階住戸がもっとも安く価格設定されていた。言うまでもなく売りづらいからだ。しかし、同社が全開口サッシを採用し、1階の専用庭などと一体利用できるようにして1階住戸の価値を高めた結果、中層階と同じ価格帯に設定しても売れることを実証した。

 この全開口サッシの採用が、その後の「オープンエアリビング」「オープンエアスペース」「オープンエアリビングバルコニー」の開発につながっていった。

 14年前に目にした「オープンエアリビング」が、時を経て今回の物件にも採用されており、同じ営業マンが販売を担当する。何かの縁だろうか。

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オープンエアリビングと専用庭(完成予想図)

カテゴリ: 2013年度

「オーベルグランディオ横浜鶴見」のモデルルームを見学して

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「オーベルグランディオ横浜鶴見」全体外観

 大成有楽不動産、京浜急行電鉄、菱重エステート、長谷工コーポレーション、ナイスの5社が12月7日から分譲を開始する横浜市鶴見区の大規模マンション「オーベルグランディオ横浜鶴見」(全553戸)もモデルルームを見学した。

 千代田化工建設の本社・研究所跡地を再開発するもので、周辺にある企業や大学と協力して工場見学、スポーツ観戦、さらには子どもからシニアまで幅広い世代交流ができるプログラムが計画されているマンションだ。

 今回のマンションに限ったことではないが、高さが7階建てに制限されていることについて触れたい。

 横浜市では現在、地区計画や市街地環境設計制度などで緩和許可を受けたものを除きほぼ全域に用途地域や容積率によって建物の絶対高さが第1種高度地区から第7種高度地区まで7段階わたって規制されている。第1種が10m、第2種が12m、第3種が15m、第4種から第6種が20m(斜線制限もあり)、第7種が31mだ。

 今回のマンションが建つエリアは順工業地域で、高さ制限は20mなので7階建てになっている。

 この数値でも分かるように、10-15-20と5ないし10m刻みで規制がかけられている。31mというのは100尺(1尺は約30.3cm)で、尺貫法を用いていた時代の名残だ。つまり旧来の尺貫法をmに置き換えただけで、10mも20mも根拠はあいまいだ。

 記者は以前からこの建物の絶対高さ規制には反対してきた。建物は機能とともに美しさも大事だと思う。機能面で言えば、居住性能を考えれば階高は3mぐらい必要だし、最近では3.4mぐらい確保したマンションもある。つまり、高さ規制は3~3.3m刻みで行なうべきだし、居住性能の高いものについては、日影規制もあるだろうが、さらに高さ規制を緩和すべきだと思う。

 したがってこの20m規制は住宅のレベルを押し下げるものとして機能する。さらに言えば、戸数を抑制することから地価を押し下げるとともに、その逆に規制内で最大の利益を追求するならば分譲価格を絶えず押し上げる要因としても働く。

 美しさはどうか。建物のスカイラインが一定なのは美しいともいえるし、そうでもないといえる。難しい問題だ。街並みから突出したスカイツリーは本当に美しいのか、山頂に突き出た大仏像は美しいか。近くで見るのと遠くから眺めるのとではまた違ってくる。建物の高さと景観美は重要な要素ではあるが、絶対的な相関関係はないと思う。

 今回のマンションで言えば、高さ規制を守り、容積率をこなすため単調な板状の外壁が建ち並ぶことになる。それよりも、高さ規制を緩和して、公開空地、緑地を十分確保したほうが街並みとしては美しくなると確信する。

 建築物の高さ規制は居住性能と街並み景観の視点からもう一度見直すべきだと思う。

大成有楽不動産他「オーベルグランディオ横浜鶴見」販売開始へ(2013/12/5)

絶対高さ制限の背景にある100尺規制とは(2008/6/10)

 

カテゴリ: 2013年度

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「オーベルグランディオ横浜鶴見」完成予想図

 大成有楽不動産、京浜急行電鉄、菱重エステート、長谷工コーポレーション、ナイスの5社は12月4日、横浜市鶴見区の大規模マンション「オーベルグランディオ横浜鶴見」(全553戸)の供給第1号街区となる「アリーナテラス」(180戸)の販売を12月7日から開始すると発表した。

 鶴見駅から徒歩7分に立地する全3街区の総開発面積約2万㎡超。「人と地域で緑をつなぐ共創の住まい」がコンセプトで、建物の高さを7階建てに抑え、入居者間の良好なコミュニティ形成を図ることを目的に街区ごとに組成される管理組合をつなぐ「共同コミュニティ委員会」を設置する。また、新しいコミュニティ支援プログラム「マチトモ」プロジェクトを立ち上げ、地域の団体・企業と共に新しい子育て支援・交流支援、多世代交流を実現することを目指す。

 1期の販売戸数は102戸、価格は3,820万~6,020万円、専有面積は66.49~82.68㎡。14日(土)まで申し込みが受け付けられる。

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今回分譲街区の外観(完成予想図)

カテゴリ: 2013年度

 先週の大京・近鉄不動産「ライオンズ港北ニュータウンローレルコート」の記者発表会で、同業の記者が次のような質問をした。

 「地下を含め7階建てのマンションにしては工期が非常に長い。何か理由があるのか」と。

 この質問に記者も驚いた。マンションの完成時期はユーザーにとってもっとも重要な要素だが、われわれ記者は全くと言っていいほど気にかけない。一般的なマンションは、階数に基礎工事などの3カ月分を足したのが工期だという認識があるぐらいだ。最初は質問した記者の意図が全然わからなかった。

 すぐ配布された資料で確認した。竣工予定は2015年8月24日とあった。記者発表会当日の時点で工期は20カ月ぐらいあるではないか(正確には着工は今年10月だから22カ月)。

 この質問に同社商品企画部担当副部長・中山雄生氏は、概ね次のように答えた。「通常はこの程度のマンションなら15カ月ぐらいかもっと早く竣工できるが、工期を長くとることで施工会社も余裕をもって職人を手配できる。工期を長くしてコストがアップしたわけではない。事前の検査もそれだけ十分できる」と。

 つまり、22÷15=1.5。通常より1.5倍の工期をかけてもコストアップにならないということは、それだけ職人不足は深刻な状態にあるということだ。このようなケースは今後激増するのではないか。

カテゴリ: 2013年度

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「ライオンズ港北ニュータウンローレルコート」

 大京(事業比率70%)と近鉄不動産(同30%)は11月27日、横浜市都筑区のマンション「ライオンズ港北ニュータウンローレルコート」の記者発表会を行い、12月中旬に分譲開始すると発表した。「スマートマンション導入加速化推進事業」4つ星を獲得した物件で、徹底した環境共生の取り組みがされている物件だ。

 物件は、横浜市営地下鉄グリーンライン北山田駅から徒歩12 分、または同ブルーライン・グリーンラインセンター北駅から徒歩17 分、横浜市都筑区北山田5 丁目に位置する7階建て全221戸の規模。専有面積は67.02~108.54㎡、予定価格は70㎡台で3,900万円台~、坪単価は201万円。1期分譲は72戸を予定。竣工予定は2015 年8 月24 日。基本設計はIAO竹田設計。設計・監理・施工は三井住友建設。販売は大京。

 開発開始から約40年が経過した港北ニュータウン内で、残りは2区画しかない住宅用地の一つという希少性の高い大規模物件で、約8,600㎡の敷地にパッシブデザインとスマートシステムを融合した環境共生住宅であるのが最大の特徴。

 創エネ・畜エネ・省エネを組み合わせてマンションの維持・管理費の削減を実現したほか、自然の力で快適な室内環境を生み出した。経済産業省の「スマートマンション導入加速化推進事業」で4つ星を獲得した。持続可能な生態系を保つため入居3年間はランドスケープ設計会社が樹木剪定やビオトープの管理を提案し、入居者の「体感し、学び、育む」をサポートしていく。

 住戸プランでは、妻側住戸の窓を淡い色つきガラスにしているのが特徴で、外観にアクセントを与えている。

 発表会に臨んだ同社首都圏第二支店長・立石恭司氏は、「住宅用地としてニュータウン内に残り2区画しかないという希少立地にふさわしいグリーン・マトリックス・システム、せせらぎ計画など新しい取り組みを盛り込んだ」と話した。

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 環境共生住宅はこれまでも大京が積極的に取り組んできたテーマだが、今回の物件は最高レベルの取り組みだと思う。まず、せせらぎとビオトープ。深さ約90mの井戸を掘り、井戸水を散水に使用するほか全長約60mのせせらぎ・ビオトープに利用する。井戸水は飲めるほどの水質のいいもので、非常時には防災井戸として近隣にも利用できるようにする。

 せせらぎ・ビオトープの取り組みとしては、もう20年も前に埼玉県住宅供給公社が分譲した「大宮」のマンションがもっともすぐれていると思う。全長は数十メートルあり、カモがたくさん飛来していた。ここは水田や畑もあり、入居者がみんなで収穫もしていた。(企画意図が購入者に全然伝えられなかったため、大量の売れ残りを出すなど事業しては大失敗だったが)

 今回の両社の取り組みは「大宮」には劣るかもしれないが、ビオトープの面積は約100㎡というから相当なものだ。

 このせせらぎ計画の「水」ほか、ソーラーパネルと蓄電池の「光」の利用、敷地全体を緑でつなぐ「緑」の活用、パッシブデザインを取り込む「風」によって、維持管理コスト「ゼロ」を目指す。年間約180万円の維持・管理費を削減する。

 パッシブデザインでは、これまでの換気機能付き玄関ドアのほか、室内扉の換気ルーバーを新たに採用する。換気口も高機能のものにする。

 今回採用するパッシブデザインは、省エネ等級4・エコガラスを採用し、換気機能付き玄関ドア、通気ルーバー付扉、大型給気口、グリーンカーテンを採用していない一般的なマンションと比較して夏場の換気量は約4倍、室温は最大で4.9℃も差が出.るデータも得ている。

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 持続可能な生態系配慮型植栽管理も注目できる。生態系を保存するため、コンペ形式により植栽管理会社を選定。さらにランドスケーププラス社が竣工後3年間、植栽やビオトープの維持・管理をサポートしていく。これらを通じて、居住者のコミュニティ形成をサポートする。

 先の「大宮」のマンションでは、せっかく立派な環境共生マンションにしたにもかかわらず失敗したのは、入居者や管理業者に丸投げしたためだ。3年間管理サポートすれば、入居者が自発的に取り組むようになるのではないか。

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 「CASBEE」についてもひとこと。これまでも何度も書いてきたが、独自のマンション環境性能評価制度を採用している東京都はともかく、神奈川も埼玉も千葉県もどうも制度はつくっていても魂が入っていない。杓子定規に物事を計るから国の「長期優良住宅」認定を得ながら「CASBEE」ではSランクが取得できない事態が続出している。「CASBEE横浜」ではSランクは数えるほどだし「CASBEE神奈川」も1つあるぐらいだ。

 自治体が独自の基準を設けるのはいいことではあるが、レベルの高いマンションも並みの「A」(Aは低いわけではないが、決して高いものばかりでもない。はかりの目が粗すぎるのだ)と一緒ではデベロッパーが泣く。

 大京は「S」ランク取得を目指したそうだが、「バリアーフリーの対策よりも、仕上げ材(タイル、床仕上げ、手すりなど)に『再生材』を用いることというのが大きな壁となった。再生材はお金をかけて設置することは可能だが、耐用年数が短く取り換えスパンが短いため、結果的に長期修繕の費用が増え、お客様の負担になってしまうため今回は断念した」(広報)とのことだ。

 読者の皆さんは、この理由をどう読むか。コストをかけて「S」を取得するか(これもユーザー負担だが)、コストを削減して並みの評価で我慢するか。点数偏重の弊害がここにもある。 

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ビオトープ

カテゴリ: 2013年度

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パーティ ルーム銘板

 このほど竣工したNTT都市開発の高額マンション「ウェリス有栖川」を見学した。2カ月前に見学した同社の「ウェリス代官山猿楽町」(44戸)も素晴らしかったが、「有栖川」も甲乙つけがたい本物の億ションだ。

 物件は、東京メトロ日比谷線広尾駅から徒歩4 分、港区南麻布五丁目の第1 種中高層住居専用地域に位置する5階建て全57戸。専有面積は56.18~247.41㎡、価格は7,180万~59,900万円、坪単価は585万円。建物は2013 年11 月に竣工済み。販売代理は三菱地所レジデンス。設計・施工は清水建設。現在までに52戸が販売済みだ。

 特徴は、①中層でありながら免震構造を採用②敷地外周に赤外線センサーや防犯カメラを配備したセキュリティ③ワンフロアを3つのコアに分節し、3基のエレベーターを設置④共用部に左官職人・挾土秀平氏のアートや希少な天然石のエントランスドア、3層吹き抜けのラウンジに設置された約9メートルの水景壁を配置⑤本物志向のワインセラーを設けたパーティールーム⑤シンプルな住戸デザイン・カラーリング-など。

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完成予想図

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 恐るべしNTT都市開発。前回の「代官山」でも書いたが、まさか同社がこんな素晴らしい億ションを供給できるなんて全然思っていなかった。NTTファシリィーズが設計・監修し、鹿島が施工した「代官山」もいいが、今回の「有栖川」もまたいい。億ションは1戸44億円(1棟ではない。念のため)の「ドムス」をはじめたくさん見てきたが、この「有栖川」は富裕層の〝心〟をくすぐる好物件だ。

 外観はいかにも高額マンションらしい雰囲気をかもし出しているが、この物件の特徴はディティールの細やかさだ。例えばパーティールーム。床は挽板材。ワインセラーは18区画あり、18本入るという。月額賃料は3,000円。一般サラリーマンにとっては3,000円は2~3本の値段だろうが、富裕層にとっては1杯分の価格かもしれない。ヴィンテージものを見せびらかして飲む富裕層が目に見えるようではないか。酒を介してサロンになるはずだ。かつての億ションにはこういう発想はなかった。

 共用部分のイタリアだかインドだか、見たこともないような自然石がまたいい。自然光が降り注ぐラウンジに設けられた挾土氏の作品や水景壁に囲まれたラウンジの照明やソファはアルマーニ。エレベータホールには鮮やかな赤と黒の漆塗りのアート。ダストルーム(ゴミ出し室)のドアの把手はデザイン処理されたもの…etc。

 モデルルームはいたってシンプル。しかし、ドア把手、巾木、塗装や布クロス、4ミリ厚の挽板材フローリング、4.5センチ厚のドア、ドア枠、ドイツのドンブラハ社製の水栓、アンモナイトの化石がちりばめられた天然石などは成金には理解されないかもしれないが、本物志向の富裕層の満足度を高めるのは間違いない。

 最近の話題の億ションでは三菱地所レジデンスの「千鳥が淵」があるが、これは皇居が見下ろせる別格の物件。これを除けば同社の「代官山」「有栖川」、積水ハウスの「白金台」が現段階で今年のベスト3億ションだ。三井不動産レジデンシャルは「パークマンション」を今年は1棟も供給していないはずだ。「代官山」も残り1戸というから驚きだ。

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高さ9mの水景壁(左)とパーティルーム(左奥がワインセラー)

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左からダストステーション、エレベータホールの案内板、リビングドア(アルミの鍛鉄製)

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建物外観

本物の億ションを見た NTT都市開発「ウェリス代官山猿楽町」(2013/9/20)

カテゴリ: 2013年度

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「北品川五丁目第一地区」の街並み

 三井不動産レジデンシャル(事業比率45%、以下、他社は非公表)、日本土地建物販売、大成建設、大和ハウス工業、新日鉄興和不動産は11月26日、品川区の大規模開発「パークシティ大崎ザタワー」(総戸数734戸)の第1期分譲288戸を12月1日に抽選分譲すると発表した。

 物件は、JR大崎駅から徒歩6分、品川区北品川5丁目、全体約3.6haの「北品川五丁目第一地区」再開発事業区域の一角に位置する40階建て全734戸(うち一般分譲566戸)の規模。専有面積は43.89~116.89㎡、1期の価格は4,580万~1億8,500万円(最多価格帯9,000万円台、平均8,042万円)、坪単価368万円。設計・監理は日本設計。施工は西松建設。デザイン監修は光井純&アソシエーツ建築設計事務所。竣工予定は平成27年5月下旬。

 主な特徴は、①平成25年の地価公示で都内の住宅地地価上昇率1位の「北品川5丁目」に立地②30年に及ぶ市街地再開発「GARDEN CITYS構想」の集大成③山手線内初の「パークシティ」④オーガニックシティとして7つのガーデンを配置し、緑化率30%以上を実現⑤おしゃれな街の理想的な子育てを実現するため各界のスペシャリスト(桐島かれん氏、滝沢眞規子氏、青山有紀氏、西畠清順氏、石戸奈々子氏)の提案を採用-など。

 発表会で三井不動産レジデンシャル開発事業本部都市開発第一部長・山田貴夫氏は「全体約60haの再開発事業のなかで、今回は最大規模となる3.6haの住・商・業一体の複合開発でこの街の集大成のプロジェクト。11月から始めたモデルルームには1,700組の来場があり、分譲566戸の半分以上の288戸を供給するが、登録即日完売の勢いにある」と自信を見せた。

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コミュニティガーデン             ウェルカムスクエア

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 坪単価について。業界の一部から400万円を超えるのではないかという声も聞かれたが、それはないとみていた。街の将来性を加味すればあるいは400万円もあるかもしれないが、そんな高値追求はしないという確信があった。

 368万円というのは極めてリーズナブルな価格だと思う。発表会で三井不動産レジデンシャル都市開発一部営業室主査・大栗裕樹氏も「お客さんからは街の将来性、希少性が評価された。単価は決して安くはないが適正な価格と考えている」と話した。

 今回も、街並みはデザインガイドラインに沿って整備されており、今回も長さ約250m幅約16mの道路・歩道空間が整備される。沿道には街路樹のシラカシが2段植栽され、その他の樹木が混植される。

 共用施設はもちろんだが「街づくり」を評価すべきマンションだ。難点と言えば敷地と道路を挟んだ南側に31階建ての業務棟が建設されるので、その日影の影響を受ける住戸があることだ。

 大崎のマンションでいえば、2001年竣工の「オーバルコート大崎」が印象に残っている。どちらかと言えば住宅や工場、倉庫などが混在し、色でいえば〝グ レー〟の街を、光井氏が得意とする温かみのあるアースカラーの外観デザインで一変させた。当時の坪単価は320万円だった。よくぞここまで街のポテンシャルを上げたものだ。

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カスケードホール                キッズガーデン

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 各界スペシャリストの提案を盛り込んだ70㎡のモデルルームはよく分からなかった。リビングの隣の6畳大をスライドドア付きのオープンな子ども部屋にし、ダイニングに大きなボードを設けたものだが、リビングの隣に子ども部屋を設ける発想が理解できない。その一方で、主寝室は6.3畳大しかなかった。

 他の2つのモデルルームはよくできていた。住戸プランはワイドスパンが中心で、3~4畳大のDENの提案、5畳大のキッチン、1620の浴室などがいい。設備仕様は天然石、フィオレストーン、標準仕様のバックカウンター付きなどが特徴。

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70㎡のモデルルーム キッチン ダイニング      70㎡のモデルルーム子ども部屋

カテゴリ: 2013年度

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「ドゥ・トゥールキャナル&スパ」(写真左端は竣工済みの賃貸マンション)

価格は公表されずオリンピック効果をどうみるか

 住友不動産は11月21日、来年1月に分譲する中央区晴海の大規模ツインタワーマンション「ドゥ・トゥールキャナル&スパ」の記者発表・モデルルーム見学会を行った。数年前から計画されていた案件で、東日本大震災で計画見直しを行い、2020年の東京オリンピック開催決定を受けて分譲するもの。「災い転じて福をなす」の典型的な物件だ。

 物件は、都営大江戸線勝どき駅から徒歩9分、中央区晴海三丁目に位置する52階建て2棟の全1,450戸とSOHO216区画の規模。住戸の専有面積は44.67~123.77㎡、SOHOは32.34~57.05㎡。価格は未定だが、第1期は上層階を中心に分譲する予定で、価格は6,000万円台~7,000万円台が予定されている。竣工予定は平成27年9月下旬。設計・施工は三井住友建設。

 最大の特徴は、2020年開催の東京オリンピック選手村に近接していること。この価値をどう見るかだ。建物は免震構造を採用、ガラスを多用したファサードで、運河沿いという立地を生かし水辺を含む空地、スカイデッキを整備。幅15mもの巨大な浴槽を備えた広さ約200㎡の「サウナ付き大型スパ」、広さ約150㎡の「ビューラウンジ&バー」などの共用施設を整備する。

 また、逆梁工法を採用して室内の梁型が出にくくするとともに、足元の床近くまで視界がすっきりする新ダイナミックパノラマウインドウ」を採用する。同社としては初の「長期優良住宅認定」を受けており、「カスタムオーダーマンション」対応ともする。

 会見に臨んだ同社執行役員住宅分譲住宅事業本部副本部長・青木斗益氏は「現行消費税率の適用期限の9月を過ぎてもその反動はない。今後も売れ行きは好調に推移する。今回のマンションは当社のタワーマンションの集大成と位置付けているもので、エリアを代表するランドマークにする」と語った。

 「ドゥ・トゥール」は、コーヒーのブランドではなく、フランス語から取った「ツインタワー」という意味だ。

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 最大の関心事はいったい価格(坪単価)がいくらになるかだが、発表会ではいっさい公表されなかった。記者も質問したが、「ご想像にお任せする」としか返ってこなかった。

 そこで記者の予想。同じ晴海エリアの三菱地所レジデンスのツインタワーも坪単価にして320万円の価値があると読んでいたが、オリンピック開催が決まり、今回のマンションも320万円以下はないと読んだ。東京のど真ん中の中央区アドレスで、江東区の豊洲、川崎市の武蔵小杉に負けるようでは情けないし、新宿区の「富久町」と同等の価値があるとみている。ひょっとすると坪330万円もあるかもしれない。郊外部のマンションは価格上昇してほしくないが、都心部のマンションは大手が競い合って高値追求しても問題ない。

 ただ、価格上昇を押しとどめる要因がないわけではない。同じ勝どき駅圏には鹿島建設などの大規模マンションがほぼ同時期に分譲されるし、同じ晴海エリアで三井不動産レジデンシャルが大規模マンションを計画している。

 オリンピックまであと7年もある。それまで分譲しないのなら坪単価は400万円近くになるのではと考えるが、同社は「約2年で完売したい」意向だから、「ワールドシティ タワーズ」で行ったようなオークションも行わないようだ。

 物件の設備仕様そのものもオリンピック特需を見込んだ富裕層向けのものではなく、同社のこれまでのタワーマンションの延長線上にあるものだ。鹿島のマンションがいくらになるかも値付けを難しくしている。

 SOHOはちょっと読めない。少なくともオリンピックが終わるまでは相場の2倍ぐらいの賃料設定でも申し込みが殺到するのではないか。所有権にしても面白い。

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 同業の記者からはオリンピック選手村について質問が飛んだが、青木氏は「非常の魅力的な開発。当社も手を挙げる」と話した。

 現段階では、選手村は17,000人収容の規模しか公表されていないので何戸建設されるかわからないが、5,000~6,000戸に収まるものとみられる。住戸面積もそれほど大きいものはつくらないだろうし、閉幕後は賃貸利用が過半を占め、分譲も定期借地権付きになるような気がする。交通アクセスが悪いのがネックだ。場所にもよるが歩けば駅まで20分はかかる。

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2階デッキ

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高谷氏(2011年6月撮影) 

 今年の春先から夏までに約3カ月で完売した「プレミアムレジデンス府中西府駅前」45戸の施工を担当している新三平建設の建設事業部支援課課長・高谷郁浩氏に話を聞く機会があった。マンションの竣工検査の厳しさを思い知らされた。

 マンションはJR南武線西府駅から徒歩1分の6階建て全45戸。専有面積は57.77~92.17㎡、価格は3,300万円台~5,800万円台(最多価格帯3,900万円)。竣工予定は平成25年12月上旬。施工は新三平建設(事業比率90%)、三信住建(同10%)。売主は三信住建。

 西府駅は2009年に開業した駅で、当時、扶桑レクセル(現大京)が「レクセルマンション府中西府」78戸を分譲して人気になったのを記憶している。坪単価は220万円ぐらいではなかったか。その後、マンションは供給されていないはずだ。

 今回も人気になったのは駅1分の利便性と、道路を隔てた隣接地にスーパーが開業する予定になっていることだろうと思う。

 高谷氏は、引き渡しを目前に控えかなりナーバスになっていた。「竣工検査には社内検査-施主検査-入居者検査の3回ありまして、今回が最初の社内検査。機能性で問題が発生するのはあり得ないことですが、住戸内検査のとき私は左手に軍手をはめて角という角を隈なく撫でまわします。一筆書きと一緒ですよ。途切れることは絶対にない。徹底してキズや汚れをチェックします。1回あたり30カ所ぐらいは修理すべきところを発見します。職人さんたちとは侃侃諤々、掴み合いになるぐらいの議論になることも度々です。それをやるから施主や一般のお客さまからゼネコンは信頼されるのです」と話した。

 左手を見せてもらったが、普通にはあり得ないタコができていた。なぜ左手かは聞かなかったが、右手は何か作業したり書いたりするので使わないのだろうと思った。工事ミスかそうでないかで議論が白熱化するのは、それぞれプロの立場から自論を主張するはずだろうから当然だろうと考えた。

 こうした裏方の苦労を思うと、マンションの施工時期の平準化は急がなければならないし、ゼネコンの多重下請構造の改善も喫緊の課題だ。

一人三役 再生期しチーム引っ張る RBAタイムズ316号(2011年6月) 高谷氏の〝元気印〟

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現地で挨拶する青木氏

青木茂建築工房 賃貸を分譲の「千駄ヶ谷 緑苑ハウス」に再生

 青木茂建築工房(主宰:青木茂首都大学東京特任教授)が11月12日、青木氏がリファイニング建築の設計・監修を担当する再生マンション「千駄ヶ谷 緑苑ハウス」の解体現場見学会を行った。JR千駄ヶ谷駅から徒歩3分の賃貸マンションを同社として初めて分譲マンションに再生するプロジェクトで、行政、不動産、設計事務所、研究者ら約300人が押し寄せた。

 物件は、JR中央・総武線千駄ヶ谷駅から徒歩3分、渋谷区千駄ヶ谷5丁目に位置する7階建て全17戸 (非分譲住戸1戸、非分譲事務所3戸、一般分譲13戸) の規模。専有面積は38.93~50.25㎡、現在分譲中の住戸(6戸)の価格は3,390万~5,180万円。坪単価は290万円。リファイニング工事は山田建設。完成予定は平成26年2月下旬。売主はハチハウス。媒介は三井不動産レジデンシャル。既存建物は築43年が経過。再生工事を着手後、これまでに半分以上が分譲済み。

 青木氏は、「見学者が100名、200名は想定していたが、300名を突破するとは。僕もよく分からない。こういったプロジェクトは大きな可能性を秘めている。旧耐震でも再生できないほど耐震性に問題があるのは100棟に1棟ぐらい。今回のプロジェクトは賃貸にするか分譲にするか、事業主をどうするかなどに時間を割かれたため企画段階からこれまで3年がかかったが、現在の事業主は決断が速かったため、3か月で基本設計ができた。検査済証があったため、今回の工事では建築確認の必要はない。行政と協議を行い、確認申請が不要の工事内容であることを確認している」と語った。

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耐震補強前の7階(左)とほぼ補強済みの6階スケルトン

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 まず、見学者の数から。見学会の直前、9日にメールが届いた。「このたびは『千駄ヶ谷 緑苑ハウス リファイニング工事』の解体現場見学会に沢山の参加のお申し込みをいただきありがとうございました。現時点におきまして参加者数が約300名に達しましたため、安全上の観点から、大変恐縮ではございますが受付を締め切らせていただきます」と書かれていた。

 この人数に驚いた。何かの間違いではないかと思った。大手デベロッパーが分譲するマンションの見学会でも多くて50人ぐらいしか集まらない。青木先生とハチハウスには失礼だが、たかが17戸の再生マンションに300人もの見学申し込みがあるはずがないと思った。青木先生が〝さくら〟として学生さんを動員したのだろうと思った。

 ところが、当日の現場は見学者でごった返していた。主催者によると見学者は国交省を含めた行政、不動産会社、建築設計事務所、大学の研究者が中心で、学生さんらしき人は数えるほどしかいなかった。ビルやマンションの再生が大きなテーマになっているが、300人という数に関心の高さをうかがわせた。

 リファイニング建築とは同社の登録商標で、従来のリフォームやリノベーションよりさらにレベルの高い安全性を確保し、トレンドを見据えたデザインを施した再生手法のことだ。

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モデルルーム(梁型を織り上げ天井として演出。照明設計は東京スカイツリーの照明デザインを担当したシリウスライティングオフィス) 

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 現地は、敷地北側に新宿御苑が見渡せる立地。すぐ近くにはトーセイが分譲して早期完売した「THEパームス千駄ヶ谷 御苑の杜」(23戸)が建っている。 従前建物は賃貸と事務所の複合用途建築物。

 旧耐震の建物であることから、様々な手法により耐震補強を行い、第三者調査機関に委託し、躯体の耐用年数推定調査を実施。税法上の残存耐用年数は7年であるにもかかわらず改修後の物理的耐用年数は残り50年と評価された。35年の住宅ローンも借りられる予定である。

 モデルルームは内装と設備の一新を図ったもので、天井高は約2400ミリ(スラブ厚120ミリ、階高2800ミリ)。二重床・二重天井。従前は北側住戸には小さな窓しかなかったものを、耐震補強することで幅約6mの開口部を設けて窓にしている。

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 分譲単価について。新築ならいくらぐらいか判断ができるが、躯体をそれほどいじらないリノベーションでもないから評価は難しい。工事費については青木氏から聞いたが、これは売主のこともあるから明かせない。ハチハウス・青木歩実社長(青木氏とはたまたま同姓)は「坪単価は新築の8掛けと考えていただいて結構」と話した。

 見学会に参加していたある大手のリフォーム会社の常務と取締役は、青木社長から単価を聞いて「よく付けましたね」と感嘆の声を上げたので、記者は「それは安いという意味? それとも頑張った値段? と解していいのですか」と聞いたらすかさず「もちろん、頑張った値段」と返ってきた。

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屋上(左)と現地(写真右端はトーセイのマンション、シートがかかっているのが工事中の建物)

首都大学東京 ウランバートルの都市問題 研究発表会(2013/2/13)

新宿御苑の借景が望める トーセイ「THE パームス千駄ヶ谷御苑の杜」(2012/7/3)

カテゴリ: 2013年度
 

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