野村不・長谷工 女性による商品企画「OSEKKAI(おせっかい)」 記者も〝おせっかい〟

共用トイレ(左)と階段
野村不動産と長谷工コーポレーションは6月29日、女性の視点で暮らしを楽しくする商品企画「OSEKKAI(おせっかい)」プロジェクトを共同で開始し、第一弾として「プラウドシティ東雲キャナルマークス」へ導入すると発表した。
両社の女性担当者が中心となり、分譲マンションの共用部・専有部に、女性ならではの気遣いを“おせっかい” と称し、「あったらちょっと嬉しい、ちょっと元気になる」アイデアを採用するもので、今後の物件へ展開していく。
これまで野村不動産は「Luxmore(ラクモア)」、長谷工コーポレーションは「Uʼs-style(ユーズスタイル)」というマンション専有部の商品開発を行っているが、それらに“OSEKKAI” の要素を加え深化させ、共用部にも広げるもの。
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女性による商品企画といえば、三井不動産レジデンシャル「パークホームズ赤羽西」のキッチンを動かせる「Imagie(イマジエ)」に驚愕したし、「パークタワー東雲」で共用部分に喫煙室を設けたのも確か女性担当者だった。
東京建物の女性スタッフ「Bloomoi(ブルーモワ)」が企画した「Brillia日本橋三越前」や「Brillia大山Park Front」は圧倒的支持を得た。
タカラレーベンの〝レディ・ガガ〟こと高荒美香氏は同社のマンションイメージを一新したし、明和地所の女性建築士も同社の商品企画をリードしている。
はっきり言えば、今回の女性担当者による商品企画は期待が大きかった分だけ失望も深く、この程度のアイデアなのかと肩透かしを食らったような感想しか持てない。文字通り〝おせっかい〟の域を越えず、ぬいぐるみの客寄せパンダの類ではないかと。
リリースで紹介されているアイデア例を見た。共用部では、壁一面をデザインウォールにして気分が明るくなる場所にするとか、階段を上るごとに消費するカロリーを表示するとか、壁や蹴上部分にイラストやメッセージをデザインする、トイレはベビーカーのまま入ることができる広さにすることなどが紹介されている。
また、専有部では、玄関には姿見+マグネットボードを設置する、新聞受けにフック機能を付ける、トイレは壁面マグネットボード仕様でお気に入りのインテリアを演出するなどと記されていた。
それぞれ面白いとは思ったが、商品企画の核心に迫るものではない。ユーザーが期待しているのは〝ちょっと〟ではなく、劇的に変えることではないのか。記者の指摘がそれこそ大きなお世話、おせっかいに終わることを望む。

玄関収納
三井不動産レジデンシャル「パークタワー東雲」見どころ多い「レジデンシャルスマート」(2012/10/24)
業界最大級の60万世帯 業界初の検討者・契約者向け組織を発足 三菱地所グループ
三菱地所グループは6月28日、住宅事業グループ各社が運営している4つの住宅系会員組織を統合し、業界最大級の約60万世帯の顧客を対象とした「三菱地所のレジデンスクラブラウンジ」を発足させたと発表した。
当プロジェクトを通じ、事業主体やサービスの提供窓口に関する組織的障壁を取り払い、グループ一体での営業販促活動を実現するとともに、住まいに関するあらゆるニーズをワンストップでカバーするアクティブな会員組織を目指す。このような検討者と契約者の会員組織を統合するのは業界初の試み。
統合する組織は、マンション・戸建ての検討者向け「The Parkhouse Club」(会員約22万世帯)、マンション・戸建て居住者向け「三菱地所のResidence Club」(会員約38万世帯)、注文住宅オーナー向け「三菱地所ホーム倶楽部」(会員約2万世帯)、住まいの総合窓口「レジデンス ラウンジ」(会員約2万世帯)で、これによりサービス対象顧客数は約60万世帯となる。
新しい組織は、住まいに関するワンストップの相談窓口を設置(三菱地所のレジデンスクラブラウンジ、集中コールセンターなど)するほか、会員WEBサイト・アプリを通じて会員のニーズに合わせたサービス情報を提供し、よりきめ細かな対応をするとともに、会員限定イベント、会員優待特典など会員サービスの充実を図る。
2013年に開設した東京・有楽町の総合相談窓口(ラウンジ)での相談件数は、2014年度が約400件だったのが、2017年度は1,200件近くまで3倍近くに増加している。ラウンジは新しい組織「三菱地所のレジデンスクラブラウンジ」に生まれ変わる。
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最近の同社グループの動きからして、今回の「レジデンスクラブ」の立ち上げは十分予測できたことだ。同社の前社長・杉山博孝氏(現会長)は「バリューチェーンの強化」をことあるごとに話していた。「バリューチェーン」とは住宅系であることは言うまでもないことだ。
もともと三菱地所グループの住宅系は三井不動産、住友不動産、野村不動産などに大きく引き離されていた。マンションは藤和不動産を実質吸収するまでは年間数百戸くらいしか供給していなかった。戸建てもバブル崩壊後はほとんど〝撤退〟していた。不動産流通部門もリテール部門は同業他社の後塵を拝している。注文住宅は全館空調の先駆けである「エアロテック」を開発したにもかかわらず、これまた同業他社に比べ圧倒的に販売戸数は少ない。
最近は、マンション事業が三井、住友、野村とともに〝4強〟市場を形成しているが、抜け出すまでには至っていない。
こうした状況を記者ですら歯噛みしているのだから、同社関係者はそれこそ切歯扼腕、イライラを募らせていることは容易に想像できる。
そうした状況を一変させようという意気込みは〝業界最大級〟〝業界初〟という文言にも表れている。新しい竈と鍋は用意できた。そこからどんな煮物をつるのか、楽しみだ。ごった煮にはならないはずだ。
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検討者向けのワンストップサービスでは、やはり三井不動産が圧倒的優位に立っている。すまいとくらし選びにワンストップで対応する「三井のすまいモール」と様々なサービスを提供する「三井のすまいLOOP 」を立ち上げたのは2012年だ。
窓口は「目黒」駅前だったが、その後、同じような施設を「横浜」と「武蔵小杉」に開設した。
いま、同社に「三井のすまいモール」と「三井のすまいLOOP 」の会員数がどれくらいで、「三井のすまいモール」の相談件数はどれくらいかを問い合わせている。果たして返ってくるか。
効果てきめん 三菱地所ホーム 全館空調「エアロテック」記者も宿泊体験(2017/10/30)
三菱地所グループ みなとみらい地区の仲介・リフォーム強化 ショールーム開設(2017/4/13)
住まいサービス ワンストップ提供 三菱地所グループ(2013/4/12)
激化するマンション顧客囲い込み競争 三井不動産レジデンシャル 体感型ミュージアム(2013/3/28)
三井不動産グループ 他社と差を広げる戦略「三井のすまいモール」「三井のすまいLOOP」(2012/4/12)
〝スマートホーム〟マンション 三菱地所レジデンス「表参道」分譲

「ザ・パークハウス アーバンス 表参道」完成予想図
三菱地所レジデンスは7月1日、ザ・パークハウスで初めてKDDIのIoTサービス「with HOME」を導入し、スマートスピーカー「Google Home」を通じて家電操作などができる〝スマートホーム〟マンション「ザ・パークハウス アーバンス 表参道」の分譲を開始する。
入居時に渡されるスマートスピーカー「Google Home」と連携して、音声による照明のオンオフ切り替えやエアコンの電源・温度調整・冷暖房切り替え、テレビのチャンネル変更や音量調整、その他赤外線リモコンに対応した家電のオンオフ切り替えが可能となる。
また、外出先からでも、1 種類のスマートフォンアプリによってエアコンのオンオフをはじめ、複数の家電が操作可能となる。入居者に限り月額料金(税抜490円)が1年無料(同社負担)で初期訪問料も無料。
同社は近く分譲するさいたま市の「ザ・パークハウス 浦和レジデンス」でも同様のサービスを導入する。
物件は、東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅から徒歩9分、渋谷区神宮前3丁目に位置する5階建て全23戸(事業協力者住戸11戸含む)。専有面積は29.92~55.59㎡、価格は5,450万~12,660万円。施工は東亜建設工。竣工予定は2019年3月上旬。
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モデルルームを見学しようと思ったが、戸数も少なく設置しないと聞いた。スマートフォンですら満足に扱えない記者でもスマートスピーカーがどのようなものか知っている。声を掛ければその通りエアコンなどが作動する。
が、しかし、例えば「暑いな、もっと温度を下げてくれよ」と言ったら、「何言ってんのよ、わたしは寒い。もっと上げてよ」という別の人が言ったらロボットは誰に反応するのか。
この程度だったらまだいい。「ごめん、酒癖が悪い上司に飲め飲めと言われたもんだから…これから帰る」「いま何時だと思ってんのよ。帰ってこなくていいから。鍵なんか開けないからね」と言われ、家から締め出される事態にはならないのか。主導権は誰が握るのか。家庭不和の原因にならないか、それが心配だ。猫に小判-そんなものとは無縁の我が家は安泰だが…。
坪単価は700万円くらいするのかと思ったら、600万円だという。現地を見ていないし、設備仕様も分からないので何とも言えないが、安いような気もする。
「指名買い増えた」ブランド力じわり浸透 売上、経常は過去最高 ポラス 2018年3月期

中内氏
ポラスグループは6月28日、2018年3月期の決算説明会・記者懇親会を行った。売上高は1,995億円(前期比103.2%)、営業利益122億円(同92.4%)、経常利益148億円(同107.3%)、純利益42億円(同116.8%)となり、2期連続で増収経常増益を達成し、売上高、経常利益、純利益は過去最高となった。
契約棟数は分譲住宅が2,300棟(同103.7%)、注文住宅が683棟(同84.6%)、マンションが256戸(同100.8%)で、その他賃貸などを含めた合計は3,313棟・戸(同96.8%)。分譲住宅は6年連続で2,000棟を超え、マンション売上高が100億円を突破した。
このほか、プレカット事業は、佐賀工場の稼働で国内5工場体制となり、ロボット導入など生産性向上や非木造住宅の市場も開拓した効果もあり、構造材生産坪数が過去最高を更新した。
説明会に臨んだポラスグループ代表・中内晃次郎氏は、「『西大宮』『浦和美園』など大型かつ特徴的な街づくり提案が市場の支持を得たほか、独自の耐震技術やデザイン提案で大型木造施設建築の受注を拡大し、プレカット佐賀工場の稼働や生産性向上を進めた結果」と、好調な業績の要因について話した。
2019年度は売上高2,050億円、経常利益170億円を目指す。京葉地区での注文住宅の単独展示場を船橋に、柏に新規出展する。浦和美園、西大宮地区では戸建てとマンションの複合開発を拡大する。
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いつも感心するのだが、同社グループは商圏とする都内の練馬、板橋、北、足立、葛飾、江戸川、墨田、江東各区や、さいたま・越谷・松戸エリアの36行政区のマーケットを把握している。自社で詳細な市場を把握し分析しているところは戸建て事業会社では同社だけかもしれない。
2017年度の分譲市場着工戸数は22,025棟で、同社グループは2,439棟で、実に11.1%を占める。本拠地の越谷エリアでは18%くらいに達している。
この市場調査能力の高さが、分譲住宅の価格が市場価格より500万円前後高いにも関わらず確実に伸ばし、シェアを拡大させている要因の一つだろうと思う。
記者が注目したのは、中央住宅社長・品川典久氏やポラス コミュニケーション部マーケテイング部長・伊藤賀一氏が「指名買いの増加が特徴」と、全体として反響はそれほど伸びていないが、来場者に占める成約率の高さを強調したことだ。
配布された決算単短信には「『ルピアコート川口戸塚』(全200戸)が、来場からの契約歩留まり28.9%と販売好調を維持し完売」とある。驚異的な数字だ。
両氏はなぜそうなったかについて具体的に語ったわけではないが、戸建てでいえばリビング天井高を2.7m確保し、外構をしっかり造りこみ、挽き板など木のぬくもりをふんだんに盛り込む商品企画が突出しており、マンションでは「ピアキッチン」その他の設備仕様レベルが総じて高いからだ。
さらに言えば、経営理念がしっかりしており、地域密着、農耕型経営、コミュニティ重視の街づくりなどが本拠地エリアだけでなくその周辺部にじわじわと浸透しているからだといえる。(浦和レッズのスポンサー契約は本業にどれほどの効果があるかは今度聞いてみよう)
そのことを証明するかの発言を品川氏自身が行った。「『宮前平』のマンションだけは売れ行きが悪い」と話したのだ。戸数は33戸で、価格的には相場並みということのようだ。
ひねくれ者の記者はこの発言に刺激された。「川口戸塚」では歩留まりが30%近くに達し、好調裡に完売したのになぜピアキッチンを盛り込んだ人気沿線のマンションが売れないのか-神奈川県で同社がマンションを分譲するのは初めてでブランド力がないと言ってしまえばそれまでだが、果たしてそれだけか。その要因を探れば同社の課題も見えてくるはずだ。近く見学してレポートしたい。
同社には注文もある。報道陣から「郊外マンションは売れないのか」という質問に対して品川氏は「駅に近いのはそうでもないが、遠いのは売れない」と話した。
その通りかもしれない。しかし、それでは同社の戸建ては駅に近いか。徒歩10分圏内の戸数比率は30%もないのではないか。それなのに年間2,000棟を成約している。
〝駅近〟一色の市場をこのまま放置すれば、間違いなく大手にほとんどすべてを握られる。資金力があり、ブランド力がある大手に対抗するには商品企画以外ありえない。同社だったらできると記者は思っている。
そもそも〝駅近〟はデマゴーグとまでは言わないが、一部の腕力のあるデベロッパーの極めて巧妙な世論誘導ではないか。それに乗っかったマスコミも悪いし、便乗しようとする中堅デベロッパーは自分の首を絞めるようなものだといったら失礼か。
マンションは〝駅近〟しか売れず、マンションと同等の市場規模がある戸建ては〝駅遠〟でも売れるのか-これにまともに答えられる人などいないはずだ。
駅から多少遠くても売れるマンションをつくるのがプロではないか。日照が確保されず、交通事故の心配が高く、空気も悪く、嫌悪施設だらけの犯罪の温床にもなりかねない、緑もない、しかも価格が高いそんな子育てに最悪の〝駅近〟マンションに、お金持ちならいざ知らず、生きるのに精いっぱいの庶民までが雪崩れ込もうとしている悲しい現象に歯止めをかけなければならない。国の責任も重い。
品川氏からはいいことも聞いた。自前のマンション販売部隊を立ち上げる計画があるという。今後年間300~400戸を供給するのであれば、直接お客さんから声を聞くことが大事だと思う。これは絶対必要だ。

木崎さん
決算説明会のあとで、同社グループの新入社員で2016年度から浦和レッドダイヤモンズレディース の選手として活躍している木﨑あおいさん(20)が紹介された。埼玉県出身で、ポジションはMF。背番号13。同社広報に勤務する長嶋洸さんの後輩。(羨ましい。どうして同社の野球選手は紹介されないのか。この前、アラフィフの3人トリオが大活躍した)
待つわ〟ピアキッチン4割に設置 レベル高いが一層の差別化を ポラス「浦和美園」(2018/6/2)
〝視野の狭い技術者は危ない〟 若い方々必読 「リスク対策.com」コラム
新建新聞社が発信しているweb「リスク対策.com」最新号に高崎哲郎氏の連載コラム「理工系学部の教養・倫理教育と偉才・内務技師宮本武之輔 視野の狭い技術者は危ない、教養を習得させよ!」との見出しの記事が掲載されています。同社の了解を得たので転載します。わが業界にも参考になる記事です。
詳細の記事はhttp://www.risktaisaku.com/articles/-/6704
「リスク対策.com」のリンクはhttp://www.risktaisaku.com/
視野の狭い技術者は危ない、教養を習得させよ! 高崎 哲郎
教師の資質の問題
数年前のことである。ある国立高等工業専門学校(高専)の夏休み読書の推薦図書一覧を見せてもらって驚いた。そこには古典的名作(ジャンルを問わない)や科学者、工学者の伝記、評論集などがまったく紹介されていない。物理学者・文学者・寺田寅彦随筆集や詩人・宮沢賢治作品集などはもう古いのだろうか。古典文学や歴史書の名著などは理工科系の教育には無意味なのだろうか。この「新発見」を、知り合いの著名な工学者(大学名誉教授)に伝えてみた。
「その背景は困ったことに簡単です」と氏は顔をゆがめて語り「要するに教師の資質の問題です。教師自身が学生時代に幅広い教養を身につける努力をしなかった。内外の歴史・文学などの名作に接しなかった。歴史・文学・芸術(音楽や絵画など)は無縁のものと思って生きてきたのでしょう」。氏はやや苦りきった表情で結論づけた。
ある著名な国立(当時)工学系研究所を訪ねた時のことだ。文献にあたろうと思い、図書室の本棚を見て回って妙な事実を知った。政治・経済・歴史・文学・芸術といった文科系図書や美術全集などの図書がほとんど置いていない。この事実を知人である研究所の幹部研究者に話してみた。
「ここは工学の高等研究機関であり、文科系の図書、中でも政治をはじめ歴史・文学・哲学のような専門外図書を備える必要は感じていない」と語り、最近では職員からの要望に応えて司馬遼太郎氏ら流行作家の全集を購入したと付け加えた。歴史・文学などは趣味的図書であり「仕事の邪魔もの」とでも言うような口吻(こうふん)であった。工学博士の知人は、戦前の内務省土木局を代表する土木技師のひとり青山士(あおやまあきら)を敬愛していると聞いていたので「青山論」を尋ねてみた。「青山技師は、部下の技術官僚たちに『勤務地の歴史・地理を勉強し、時間の許す限り歴史書や文学書を読み心の糧(かて)とするように』と指導していたとのことだが、同じ道を歩む工学系技術者としてどう考えますか」。
「教養の差でしょうかね」。氏はそっけなく答えた。
倫理教育は人間の尊厳を教えよ
エピソードを続けよう。ある大学(受験戦争では高いランキングを誇る)の土木工学コースで技術者倫理の講義をした時のことである。受講生がちょっとした漢字すら読めないので失望した。
「君たちは本や新聞を読まないね。若いうちにレベルの高い難しい本を読まなければダメだ。もし世のリーダーたらんとするならば教養がなければ話にならない。海外との競争にも勝てない」と苦言を呈した。ついでに「夏目漱石と森鴎外の代表作をあげてみてくれないか」と縦一列に座った学生に前から順々に答えさせた。案の定、半分ほどの学生が近代日本文学を代表する二人の偉大な文学者の作品を正しく答えることができなかった。
エンジニアの倫理確立が内外から強く求められて久しい。例えば、大学の土木工学コースでは「土木技術者の倫理」を必修課目に入れるのが当然となってきている。技術者資格の改革・創設や継続教育(Continuing Professional Development :CPD)制度の創設が進められ、専門的能力の開発と合せて技術者倫理の普及と教育が重要なスキームとなっている。
技術者が、自分や自分の属する組織のための暴利にのみ目がくらみ、社会に対する責任・奉仕や納税者への配慮を一方的に放棄したのでは存在基盤を自ら失う(談合がその代表例である)。しかしながら倫理教育がこのレベルで止まってはいけない。人間性の荘厳さを教えることこそが究極の倫理教育ではないのか。国内外の代表的歴史書・文学書(古典)はその尊厳さを伝えてくれないだろうか。最高の芸術は人類普遍の最高の倫理を語っている、と信じたい。
◇ ◆ ◇
記者は末年前、ある理工系大学の一般にも公開されている図書館をのぞいたことがある。もちろん専門書、技術書はたくさん開架されていたが、それに比して一般書、小説などが圧倒的に少ないのに驚いた。
その一方で、学長が推奨している書物は一般の人が読んでも参考になるものだったので、その落差に衝撃も受けた。哲学書がどこまで人間を豊かにするか分からないが、古今東西の古典と呼ばれる小説は若いときに読まないと肥やしにならないと思う。
商品企画、販売手法見直して激変市場を乗り切れ トータルブレイン・久光龍彦氏
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久光氏
6月1日の誕生日で78歳となり、起業して19年を迎えたマンション業界の重鎮、トータルブレイン・久光龍彦氏に最近のマンション市場を取り巻く環境、今後の課題などについて話を聞いた。以下、その概略。
◇ ◆ ◇
①郊外は土地値も下がりマンション売値も下がる
郊外マンションは値下がりする。坪220~230万円⇒坪170~180万円。大手は資金回収に走り、これによる周辺への影響あり。全体として値下げして売れるようになるから、供給は増える
1)中小デベロッパーは売れにくくなる。値下げする・原資がない
2)リノベ中古マンションが売れなくなる
3)戸建ても価格差がなくなり売れなくなる
②建築費がさらに上がる⇒安い建設会社を探すことが、好立地物件を探すのと同じくらい重要
1)職人のコストアップ(社会保険・土日休みによる日給アップ)
2)資材が上がる
3)ゼネコンは益々強気(仕事は当分の間いくらでもある)
4)比較的マンション施工専業ゼネコンは安い
③消費税の影響が今年の秋から強く出てくる
販売は消費税トーク一辺倒になる。
売値の影響度 4500万円/戸として60万円前後 3500万円/戸として45万円前後
④田の字の商品企画は売れない
商品企画の考えが変わる。今までのようにローコスト一辺倒(田の字プラン)から、コストアップしてもワイドスパンを中心に商品の質で勝負。
1)好立地(5~8分以内)
2)宅配ロッカーの採用
⑤今までの値付けソフトは通用しない。工夫が必要
1)上下階格差
2)方位の格差
3)角部屋の付加価値とは
4)ルーフバルコニーの付加価値とは
5)売りにくいところから先に売っていく
⑥今年は販売手法が変る
1)シングル在庫がなかなか売れない
2)従来ユニットごとに付加価値と考えられたことが評価されなくなってきている
3)モデルルームの設営にあたり専門家を入れて(経費をかけて)ディスプレイする
4)プレミア住戸仕様と売り方の工夫
⑦今年も狙うべきターゲットは元気印
1)パワーカップル
共働き夫婦 年収1400万円以上25万世帯
2)アッパーサラリーマン
3)男女シングル
4)アクティブシニア
5)富裕層
⑧土地探しの絶対外せないポイント(沿線力・駅力・駅近・需給バランス)
1)実需にも仮需にも共通する立地
2)料理の切り口がたくさんある立地
3)土地の値下がりが少ないと思われる立地
4)建物比率が高いといずれ償却される、土地代が上がらないキャピタルロスが出る土地 はダメ
⑨プロジェクトと資金の融資が厳しくなる
1)完成までに80%売れていないと次のプロジェクト資金が出ない
2)掛け目がきつくなっている
3)審査に時間がかかる
⑩住宅ローンの審査が厳しくなる
1)銀行は商売としてもうからない
2)アメリカ・欧州の金利アップに影響される
⑪JV事業は慎重に
市場の先行きが不透明になってくると、JV事業は厳しい取り組みとなる。今後しばらくは自らの意思・方針で事業進出できる単独事業が一番
⑫働き方改革への対応課題
特に販売訪問や開発部門にとって難解なテーマとなる
◇ ◆ ◇
久光氏をご存じない業界の方は〝モグリ〟。ご存じない方がいらっしゃったら、記者の過去の記事を読んでいただきたい。
記者は話されたすべてに賛意・同意を示すわけではない。とくに駅近などの好立地物件の取得に注力すべき点については、分からないではないが、そのような土地は競争も激しく、結果、高価格となり、資金力が潤沢な大手が独占することになる。記者は中小も応援したいから、多少立地が劣っても商品企画次第で売れると確信している。
また、設備仕様はかなり落ちてきているのは事実だが、マンション価格もそれほど下がらないと思う。最低で坪180万円ではないか。これ以上下げたら間違いなく劣悪な物件になる。
それでも、久光氏の指摘は鋭い。従来の値付けソフトが通用しなくなり、販売手法も変えないといけないという意見はその通りだと思う。ユーザーのニーズは多様化・個別化しており、それに応える商品企画にしないといけない。いまだに田の字プランを中心に据えているデベロッパーが理解できない。
健康の秘訣は趣味と同じ
9時には布団に〝モグリ〟込む
久光氏の趣味はスキューバダイビング(平たく言えば〝モグリ〟)で、その経歴といえばマンションの仕入れから-商品企画-建設-販売-管理まで経営トップを務めた、それこそ川上から川下まで知悉しているという意味では、業界広しと言えども久光氏以外なく、さらにまた、あの12年前のスマトラ沖地震では普段は自分一人でプーケット沖にモグリに行くのに、その日だけはたまたま奥さんが同船したために津波に飲み込まれることなく、財布も含め全て海の藻屑になったにもかかわらず、安っぽいビーチサンダル履きで生還できたという数奇な経験の持ち主という意味で、久光氏を知らない業界人は〝モグリ〟とこれまで書いた。
その久光氏に長生き、健康の秘訣を聞いたら、やっぱり〝モグリ〟だった。久光氏は次のように語った。
「デベロッパーの事業をやらなかったのは正解だった。今頃はとっくに消えていた。健康の秘訣? 早寝早起きに限る。会食の開始時間は5時か5時半。7時から7時30分には終える。家に帰って寝るのは8時から8時半。
起きるのは4時45分。それから新聞を読んで、会社に出るのは6時40分。これだと1日が2日分になる。30分が1時間に相当する」
つまり、久光氏は8時30分から9時には布団に〝モグリ〟込むということだ。なるほど。
「お蔵入りしたコンバスが亡霊のようによみがえった」 トータルブレイン久光社長(2017/6/7)
「デフレ脱却絶望的。郊外マンション価格は下がらない」トータルブレイン・久光社長(2017/5/30)
〝郊外不振〟吹っ飛ばす 全1,006戸 販売順調 住友不「八千代緑が丘」

「シティテラス八千代緑が丘ブリーズコート」完成予想図
住友不動産は6月22日、先に販売開始した「シティテラス八千代緑が丘ブリーズコート」(569戸)の記者見学会を行った。先行して販売している隣接地の「シティテラス八千代緑が丘ステーションコート」(437戸)と合わせ戸数は1,006戸。先行物件も残りわずかで、〝郊外不振〟を吹っ飛ばす勢いだ。
物件は、東京メトロ東西線直通・東葉高速鉄道八千代緑が丘駅から徒歩3分、八千代市緑が丘西一丁目に位置するⅠ敷地15階建て359戸とⅡ敷地14階建て210戸。専有面積はⅠ敷地が68.06~89.62㎡、Ⅱ敷地が74.91~90.97㎡。第1期(31戸)の価格は2,900万円台~4,000万円台(最多価格帯3,600万円台、3,800万円台、3,900万円台)、坪単価180万円。竣工予定はI敷地が平成31年9月中旬、II敷地は未定。設計・施工は長谷工コーポレーション。
現地は、開発面積約140haの西八千代北部特定土地区画整理事業が進行中で、駅前にはイオンモール八千代緑が丘のほかマンション、都市公園プラザ、ホテルなどが建ち並び、街らしい雰囲気が整いつつある。
建物は、2017年に竣工した隣接地の「シティテラス八千代緑が丘ステーションコート」(437戸)と一体となって建設されるもので、双方を合わせると敷地面積は約26,000㎡。「ブリーズコート」は6棟構成で、空地率は約64%。住棟は南西・南東向きが中心。住戸内の天井高は最大2,580ミリ。
ニュース・リリースの資料によると、双方の契約者の現居住地は八千代市が37.0%、隣接市が26.8%、千葉県その他が17.3%、東京都が14.6%、居住形態は賃貸が73.3%、職業は会社員などが64.4%、勤務地は都内が54.6%、入居人数は2人が47.4%、3人が29.6%、年齢は20歳代が16.3%、30歳代が42.2%、40歳代が20.7%。

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その前の京王相模原線若葉台駅圏の戸建ての取材が終わってから1時間43分かけて駆け付けた。新幹線にすれば東京-名古屋と一緒だ。見学会は半分以上終わっていた。〝ずいぶん遠い。こんなところで1,000戸以上供給するなんて狂気の沙汰〟と口走りそうな記者の機先を制し、わが西武の抑えの不甲斐なさに助けられ一つ勝ちを拾っただけで大満足すべきDeNAファンの同業が記者の傷口に塩を擦り込み、揶揄するように「多摩センターだって新宿から42分。ここは大手町から38分」といけしゃあしゃあと先制攻撃を仕掛けてきた。
わが多摩センターと八千代市をどして同列に扱うのかかと一喝しようとも思ったが、さすがに大人げない言動は慎むべきと自制し、都心の通勤便だけを言われたら返す言葉がないので黙るしかなかった。この際、どっちが勝ちか負けかは追究しないことに決めた。多摩センターの〝駅近〟だったら坪単価は250万円をくだらない。ここは180万円だ。
驚いたのは、売れ行きだ。2015年秋から販売を開始した全437戸の「ステーションコート」は残り19戸だという。2年半で400戸以上という計算になる。この数字は驚異的だ。
記者は2011年秋、三井不動産レジデンシャルが分譲した「パークタワー八千代緑が丘」(291戸)を取材したことがある。坪単価は160万円だった。当初は順調なスタートを切ったが、完売までは4年くらいかかったのではないか。
住友の物件は戸数が多く、価格が高いにも関わらず、販売スピードは速い。喧伝される〝郊外不振〟を吹き飛ばす勢いに〝座布団3枚〟だ。なに? それでも足りない? ええっい、全部持ってけ!

モデルルーム

中庭(ステーションコート)

中庭(ステーションコート)
三井不動産レジデンシャル「パークタワー八千代緑が丘」に注目(2011/10/31)
さすが〝プラウド〟 物件の質も営業マンのレベルも高い 野村不「東池袋」好調

「プラウドタワー東池袋」完成予想図
野村不動産が分譲中の「プラウドタワー東池袋」のモデルルームを見学した。さすが〝プラウド〟。それまでの取材で疲れ果てていたが、疲れを吹き飛ばすほどのいい物件だ。販売担当のマンションギャラリーサブチーフ・芦田和輝氏(27)の完璧と思われる説明に舌を巻くしかなかった。
物件は、東京メトロ有楽町線東池袋駅から徒歩5分・丸ノ内線新大塚駅から徒歩9分、豊島区東池袋五丁目に位置する20階建て全132戸(非分譲22戸含む)。専有面積は60.00~83.48㎡、坪単価は420万円。竣工予定は2019年2月中旬。施工は前田建設工業。
4月末から販売を開始し、これまで約7割を供給するほどの好調ぶりだ。
現地は、都の「木密地域不燃化10年プロジェクト・不燃化特区制度先行実施地区」のコア事業の指定を受け、「東池袋五丁目地区第一種市街地再開発事業」として建設されるもの。
約143haにも及ぶ池袋駅周辺エリアは、2015年5月に移転した豊島区新庁舎をはじめ、造幣局跡地利用計画、Hareza池袋、東池袋四丁目2番街区、西武鉄道本社ビル建て替え、池袋駅西口地区などの再開発が予定されており、しかも、他の新宿、渋谷、品川、東京、虎ノ門などの都心部の再開発は業務・商業が中心であるのに対し、住居系中心で進められることになっているのが特徴。
建物は、区の再開発方針の11項目をクリアしたことから容積率と高さ規制の緩和を受けており、制振構造を採用。内廊下設計、ワイドスパン、階高3.3mのリビング天井高2.6m、角住戸比率85%などを実現。
販売担当の芦田氏は、「池袋初の〝プラウド〟。アクセスがよく、2017年度の山手線内側の4LDKは供給ゼロという希少性の高い物件。敷地南側の文京区エリアは低層の住宅街が広がっており、眺望もいいことからファミリーに高く評価されている。天井高も2.6m確保した。敷地西側の都電荒川線も綺麗に整備される」などと話した。
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坪単価は450万円くらいに高値追及するかと思ったが、420万円というのは街の将来性を考慮すれば割安だと感じた。70㎡台中心の住戸プランもいい。76㎡の東南向きのスパンは10m以上ある。バルコニーも都心型には珍しい奥行き2m確保している。
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言うまでもなく物件のレベルが高いからだが、芦田氏の自信たっぷりの、かといって嘘は一つもない過不足ない説明に恐れ入った。歳を聞いたらまだ27歳だった。だいたいがマンションの販売担当者はパンフレットに記載されていること以上のことは話せない人が多いが、芦田氏は記者の聞きたいことを先読みして、ぺらぺらと話した。
もともと同社の営業マンのレベルの高さは分かっているが、ひょっとしたら芦田氏はその歳にして堂々のエースか4番打者の位置を占めているのではないか。またどこかの販売現場で逢えるかもしれない。楽しみだ。
都電荒川線も整備される(販売事務所 模型)
前提条件は?だが「道」のテーマが最高にいい ポラス第5回「学生・建築コンペ」

「第5回POLUS-ポラス‐学生・建築デザインコンペティション」(ポラテックビルで)
ポラスグループのポラスは6月21日、「第5回POLUS-ポラス‐学生・建築デザインコンペティション」の公開審査会を行い、最優秀賞に山元隆志氏(明治大学大学院理工学研究科)・浜本雄也氏(同)・ 早坂覚啓氏(同)の「道的エネルギーの現像ー揺らぎうる境界風景ー」が選ばれた。
同コンペテは、大学院や大学、高等専門学校、専修学校、高等学校などの学生を対象に、建築の道を志す学生の自由で新鮮な発想(アイデア)を表現・公表する機会を設けるのが主旨。今回のテーマは「道からはじまる、これからの家」。応募総数は485件(登録845件)だった。
審査委員長の青木淳氏(青木淳建築計画事務所)は、「『道』はわたしの最大のテーマ。建物の中に道という公共的な空間をどのように創造するか、いまだによくわからない。だからこそ挑戦する意味がある。内容が濃い作品が多くうれしかった」と講評した。
審査委員の今井公太郎氏(東京大学生産技術研究所教授)今井氏は「コンペに選ばれるのは100回に1回くらい。選ばれなかった人もどんどんトライしてほしい」とエールを送った。
その他、優秀賞は丸山航氏(東京理科大学大学院工学研究科)・勝山滉太氏(同)の「コドモしか入れないフォリーのある街」、入選は大杉亮介氏(千葉大学大学院融合理工学府)の「『雨の日コミュニティ』~人々をつなぐ”雨のみち”~」、小川直人氏(工学院大学大学院工学研究科)・島田陽介氏(同大学建築学部)・木元那奈氏(同)の「握手する生活。」、河鰭公晃氏(東京理科大学大学院理工学研究科)の「窓辺群像」が選ばれた。賞金は最優秀賞50万円(1点)、優秀賞20万円(1点)、入選10万円(3点)。
審査委員は、青木氏と今井氏のほか原田真宏氏(芝浦工業大学教授)、永山祐子氏(永山祐子建築設計)、安藤欣司氏(ポラスグループ)。

最優秀賞

左から浜本氏、山元氏、早坂氏
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青木氏(左)と今井氏
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左から永山氏、原田氏、安藤氏
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記者が駆け付けたときはプレゼン、質疑応答などが終わっており、表彰式と審査委員の講評しか取材できなかったが、「道からはじまる…」というテーマには感動すら覚えた。
「道」といえばすぐ宮脇檀を思い出す。積水ハウスや東急不動産などの団地やマンション多く手掛けており、コモン、クルドサック、ボンエルフなどを多用した建築家だ。「高幡鹿島台ガーデン」「フォレステージ高幡鹿島台」のように住居表示に事業主の「鹿島建設」の名が採用されているものもある。街づくりはいつも「道から造った」とも聞いている。首都圏の代表作「コモア四方津」は必見だ。昨日記事にしたアキュラホーム「若葉台」の戸建てには、宮脇檀建築研究所に勤務していた二瓶正史氏のアイデアと思われるコモンが採用されていた。
さらに、「道」といえば記者が好きな魯迅の言葉「地上にはもともと道はない。歩く人が多くなれば、それが道となるのだ」を思い出す。深くて重い言葉だ。
なので、会場に展示されていた学生さんの5つの受賞模型作品をよく観察したのだが、期待するような「道」はほとんど一つも提案されていなかった。
その理由はすぐ分かった。作品の条件は、南北に6メートル道路があり、36m×36m=1,296㎡の敷地に6軒の木造住宅を建設することしか示されていない。敷地内に道など設けずに、敷地を南北に三等分し、東西に二分すれば、1戸当たり216㎡の〝邸宅〟が完成する。「道」などなくていいということか。
もう一つ、不思議なのは、これまでのコンペでも感じたのだが、作品は法令上の制限などはまったく考慮されていないのではないかということだ。第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%)だったら違法となりそうなものや、三角形の色紙をちりばめたような使い勝手の悪い建築物とはよべないもの、隣接する敷地をまったく無視した作品もあった。小説や絵画と異なり、建築に関するコンペは法令上の制限をクリアするのが大前提ではないのか。常識の埒外なのか。
記者個人的には、受賞作品より二上和也氏・師田侑一郎氏(東京大学大学院)の「2本の道-図地反転を繰り返す家と庭」に一票投じたくなった。隈研吾氏は見る方向で表情を変えるデザインを多用する。ひょっとしたらお二人は隈氏の研究員生か。
それと、宮野健士郎氏(東京工業大学大学院)の「けものみち」に興味がそそられた。「人道」から解き放たれ、「けものみち」がまかり通るようになったらいったい人間の生活や暮らしはどうなるのだろう。法を無視していいのなら、これが最優秀賞でもよかった。
審査会に参加していたある大学院生は「バリエーションが少なかったという指摘もあったが、自分が想定していたものより案はそれぞれよくつめられていた。既成概念にとらわれないところがいい」と、また別の大学3年生は「自分たちとのレベルの差を痛感した」とそれぞれ感想を語った。
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永山氏の作品をネットで調べた。「中之島新線駅企画デザインコンペ優秀賞」受賞とあった。記者が見て感動したあの美しい駅のことか。マンションは手掛けないのか。原田氏の作品は、この前これまた木が美しいCLTのモデルハウスを見学した。

ポラス 学生コンペ 実物件化モデルハウスを公開 ミニ開発の難点を解消(2017/8/12)
売電制度活用 業界初 管理費実質ゼロで年間306万円の収入 アキュラ「若葉台」分譲

「ヒルサイドテラス若葉台」
今日(22日)、3カ所のマンション・分譲戸建ての取材をこなした。どこを起点にするかだが、取材先はわが多摩センターからだと若葉台(12分)-八千代緑ヶ丘(1時間43分)-池袋(1時間30分)-多摩センター(55分)。移動だけで4時間33分。新幹線だと東京-広島か。
どこから書いてもいいのだが、まず若葉台から。この日、アキュラホームは京王相模原線若葉台駅から徒歩17分の分譲戸建て「ヒルサイドテラス若葉台」の報道陣向け現地記者見学会を行った。全51区画の同社としては素地から取得して分譲する初の大型プロジェクトで、宮沢俊哉社長が直々に出席、「理想の住まい、年を経るごとに価値が高まる街づくりを実現した」と熱っぽく語った。
物件は、京王相模原線若葉台駅から徒歩17分、稲城市若葉台4丁目に位置する開発面積約12,000㎡の全51区画。土地面積(建築確認済住戸24戸)は174.33~247.75㎡、建物面積は90.26~120.27㎡、価格は未定だが5,000万円台前半~6,000万円台後半の予定。竣工(予定)は平成30年4月下旬、7月下旬。構造は木造軸組工法2階建。施工はアキュラホーム東京中央・アキュラホーム埼玉中央・イトーピアホーム・細田工務店・小田急ハウジング。6月30日(土)、モデルハウスを一般公開する。販売開始は7月下旬。販売代理は東急リバブル。これまでの資料請求は約330件。
現地は、駅からなだらかな坂を上った多摩ニュータウン若葉台地区のマンション群(若葉台パークヒルズ)と、多摩カントリークラブ・里山保全区域に隣接する比高差約4mの南傾斜地。3年半前に同社がUR都市機構から用地を取得した。
あらゆるモノ・コト・空間をシェアすることでコミュニティを育む街づくりがコンセプト。延べ床面積約108㎡の木造平屋建て集会施設「センターハウス」を建設し、その屋根と分譲する棟に太陽光発電を搭載、国の固定価格買い取り制度を利用して売電収入を街の維持管理費用に充当、余ったお金は管理組合法人の収入とするほか、全戸数の約半数が3~4戸が共同利用する「コモン付き」となるのが特徴。
見学会に臨んだ同社・宮沢俊哉社長は、「素地から取得して道を付け、企画・設計して分譲するのは初めてだが、多くの専門家の方々の知見を得て、これまで考えてきた理想の住まい、年を経るごとに価値が向上する〝経年増価〟の街づくりを実現した」「バブル崩壊でそれまでの価値観が変わった。これからは生活を豊かにする、利用価値を高める、資産価値を向上するような市場を創造することが求められる。その価値を可視化できるかどうかだ」などと熱弁をふるった。

コモンスペース

「センターハウス」

センターハウスの天井(ラミナ張弦梁)

宮沢氏
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同社の分譲戸建ては「むさしのiタウン」や「浦和美園E-フォレスト」が印象深く記憶に残っている。このプロジェクトは1~2年前から聞いていたので、どのようなコンセプト、企画になるのか楽しみにしていた。
発表会には宮沢社長のほか、同社住生活研究所長・伊藤圭子氏、同社まちづくくり推進部長・中道弘敬氏、基本計画段階から参画している市浦ハウジング&プランニング社長・川崎直宏氏が参加し、挨拶・説明を行った。質疑応答を含めたっぷり1時間を費やした。
そして、宮沢氏が「価値を可視化できるかどうか」と締めくくった言葉はまさに正鵠を射たものだと思った。物件特性を分かりやすく消費者に訴え切れるかどうかがプロジェクトの成否のカギを握っている。
コンセプトの一つであるコミュニティ-これは戸建てもマンションも同様、ここ数年大きなテーマになっている。しかし、これが販促に結びついたプロジェクトは多くないはずだ。
むしろ、コミュニティの大切さを訴えれば訴えるほど、コミュニティが希薄になり、人々は孤立を深め、閉塞感が強まり、まるで白内障のような色彩を濃くする社会を浮き彫りにするだけではないかと、記者などはしらけ切ってしまう。それよりも、ストレートに実利を消費者訴えることのほうが効果的ではないかと。
そんなことを考えながら宮沢氏などの話を聞いていたのだが、その実利が中道氏から具体的に語られた。
中道氏は、前述したように固定価格買い取り制度を利用し、売電価格18円、センターハウスの維持管理費・修繕積立金を5,000円/戸と設定し、余剰売電価格は5,000円/戸と試算していると話した。つまり5,000円×51戸(センターハウス除く)×12カ月=306万円が組合の年間収入となる。
戸建て団地でも管理組合が設立される例は珍しくない。月額1万円を超えるケースもある。それが実質無料になるばかりか、年間にして306万円の収入になる。同社によるとこのような事例は全国初という。これはインパクトがある。
「コモン付き」も真新しい提案ではないが、訴求力がある。これは宮脇檀建築研究所に勤務していた二瓶正史氏のアイデアだろうと思う。管理組合の運営には齊藤広子氏が関わるのも後押しとなる。無電柱化、隣接の里山保全地域も価値がある。住棟は長期優良、マルチパーパスルーム、マルチユーティリティ付きが特徴で、これもいい。
これらを徹底して可視化=見せる化できれば、早期に完売できるのではないか。
同駅より1駅都心寄りの稲城駅から徒歩6分の野村不動産「プラウドシーズン稲城南山」第1期60戸(平均5,769万円)が6月16日抽選の結果、即日完売した。競合は相乗効果を生むかもしれない。


現地に隣接する里山保全地域

モデルハウス(観葉植物はフェイクが多かったが、果物類は本物)

グランピンググッズ(ビール、鳥の丸焼きなど飲食料は本物=報道陣に供されたわけではない。見るだけ)
どこにも負けない先進の街づくり「浦和美園E-フォレスト」竣工 街びらき(2017/3/27)
GWに126組来場 アキュラホーム「エコモデルハウス」(2010/5/6)
「むさしのiタウン」平均3.7倍の申し込み倍率に(2007/2/13)

