地主の意向を反映 古民家の緑を残す 月内完売したコスモスイニシア「松陰神社前」
「イニシア世田谷松陰神社前」
7月に分譲を開始し初月で完売したコスモスイニシア「イニシア世田谷松陰神社前」を見学した。戸数は28戸と小規模ながら、地主の「緑の環境を残して」という意向を商品企画に反映させた、苦戦物件が多い世田谷区で出色の出来のマンションだ。
物件は、東急世田谷線松陰神社前駅から徒歩4 分、世田谷区世田谷4丁目に位置する6階建て全28戸。専有面積は54.10~76.00㎡、価格は5,098万~7,898万円、坪単価は315万円。施工は大豊建設。竣工は2017年3月。
第1期1次として23戸を7月8日に、第1期2次として5戸を7月22日にそれぞれ抽選し完売となった。契約者の約70%が区内居住者。4 月下旬にモデルルームをオープンしてから100 件を超える来場があった。
「既存樹をできるだけ残してほしい」という地主の意向を受け、商品企画に反映させたのが最大の特徴。敷地内にはサクラ、クヌギ、カシなど7本の既存樹を残した。
用地は、隣接する地主の古民家が建っていた土地で、設計・監理を担当するJWA建築・都市設計は、同社のマンションを設計したことがあり、また地主の自宅の設計も担当した縁から相対で取得するに至った。
住戸プランでは、住戸内の壁やキッチンカウンターを好みのクロスやタイルでコーディネートする「ホームデコレーションサービスプレミアム」のほか、地域ゆかりのアート、香り、草花をエッセンスとして追加する仕組みを採用。
共用エントランスには、松陰神社前にゆかりのあるアーティストがこの土地にあった古民家と樹をモチーフに作成したフランス画風の絵が飾られている。
同社プレスリリースによると「稀に見る緑量ある空間に清々しい『緑の景観』が臨めること」が高く評価された。
緑道とエントランス
エントランスホール
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「初月完売」のプレスリリースが届いたのは8月7日。そこには「こんなに素敵な空間を持つ物件は他にない」とのお客さんの声が紹介されていた。
何事も疑ってかかるのが記者の基本。自分の目で確かめないと記事にできないと判断して同社にすぐ見学を申し込み、実現した。
プレスリリースは嘘ではなかった。敷地面積は約1,000㎡だが、四囲にびっしり樹木・草花が植えられていた。制約が多い敷地を巧みに利用したランドプランが秀逸だ。
借景がまた素晴らしい。隣接する「欅ハウス」は、記者も取材したことがあるチームネット・甲斐徹郎氏が企画したコーポラティブハウスだ。それと隣家の邸宅内に立っている世田谷区が指定した保存樹のケヤキがまた見事だった。
当然といえば当然だが、この借景を居室から眺められるようにしているプランがなかなかいい。
残せるものは残す。デベロッパーの使命であることを改めて学んだ。
〝じじい、じじい(爺、爺)〟と暑苦しい嫌味な声で鳴くアブラゼミには癪に障ったが、プレスリリースを引き写しただけでは絶対書けない記事になった。取材に同行してくれた同社の広報担当・Aさんが、59年振りに13連勝した西武ファン(記者は59年前も西鉄ファン)であることを聞き、またうれしくなった。
取材を終えたとき、緑道を南から北に涼しい風が抜け、一羽のヒヨドリが巨木で羽を休めていた。
昭和女子大生、家を建てる 3日間で3畳大の平屋建て建築 2×4協会が協力
最後の屋根の組み立てを行う昭和女子大の学生
昭和女子大学の学生が8月2日~4日、地震に強く合理的なツーバイフォー工法による実際の建築作業に挑戦した。生活科学部環境デザイン学科中山榮子教授の「枠組壁工法を用いて自分たちの手で建物を建ててみよう」プロジェクトのキャンパス内の実習で、建築を学ぶ2、3年生14人が参加。床の製作(2日)から壁の製作・立ち上げ(3日)、屋根の製作(4日)まで、フレーマーの指導を受けながら3畳大の平屋建てを完成させた。
女子大学でこのような実習を行うのは初めてで、日本ツーバイフォー建築協会(2×4協会)が建材やフレーマーの手配に協力した。
同大学では、建設業界を目指す女子学生にとって、工法や技法を学びながら、建築現場を体験する貴重な機会となると企画した。中山教授は「一人も怪我なく無事終了した。楽しそうに作業してくれたのがうれしい。楽しくなければ前に進めない。みんな建築士を目指してほしい」と語った。
同協会は、ツーバイフォー工法に関心を持ち、工法に関する理解を深めてもらうことを目的にこの種の取り組みを行っている。
完成した建物
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最終日の4日、取材した。作業開始は午前9時30分。朝が弱いのか、連日の作業で疲れ切っているのか、はたまた建築現場ではありえない各人各様の姿であるせいか、元気がないように映った。
大丈夫かと不安になったが、作業に入ると不安は一掃された。彼女たちは生気がみなぎっていた。フレーマーの指示に従って数人が同時に釘を打つ「カン、カン、カン」の音が周囲を圧した。指導したフレーマーは「初めてにしてはみんなよくできた。100点満点で60点」と合格点を出した。
午後4時に作業は終了。完成した建物を背景にした記念撮影では笑顔がはじけた。
作業をやり遂げた学生は「手の皮がむけた」「手に豆ができた」「場所によって釘の長さや間隔がきちっと決められているのを改めて知った」「わが家と違い、柱がないので強度が保たれることがよく分かった」などと話した。
そのそばを、カラン、コロンと爽やかな下駄の音をさせながら渋谷のイベントに参加するカラフルな浴衣姿の学生が手を振りながらたくさん通り過ぎて行った。
作業前の準備体操(左)と組み立て方法を教えるフレーマー
釘打ち作業
キャンパス内の「昭和の泉」
「女性のほうがコミュニケーション能力高い」 「じゅうたく小町」参加者の声(2017/5/31)
“女性だからこそ”安心・安全の居住環境づくりを 女性建築士が全国大会(2015/3/2)
大和ハウス工業 企業向け物流セミナーに300名が参加
「Intelligent Logisticsの実現に向けた大和ハウス工業の取り組み」セミナー(同社東京本店大ホールで)
浦川氏
大和ハウス工業は8月3日、物流業務の効率化および有効活用、今後の物流戦略について課題をお持ちの企業向けに「Intelligent Logisticsの実現に向けた大和ハウス工業の取り組み」と題するセミナーを開催。約300名が参加した。
同社取締役常務執行役員 建築事業担当・浦川竜哉氏がIoTを活用したマルチテナント型物流センターDプロジェクト流山を紹介したほか、フレームワークス代表取締役社長・秋葉淳一氏、GROUND代表取締役社長・宮田啓友氏、Hacobu代表取締役・佐々木太郎氏、アッカ・インターナショナル 代表取締役社長・加藤大和氏がそれぞれ物流センターの高度化、物流ロボット活用、物流ソリューションの未来像などについて語った。
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先日、三井不動産が行ったロジスティクス事業に関する記者発表会に大勢のメディア関係者が詰めかけた。今回は企業向けセミナーではあったが、用意された約300席はほぼ満席。関心の高さに驚いた。
浦川氏が紹介したDプロジェクト流山は、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ全体で約20万坪、総延床面積は約30万坪にのぼる規模。そのうち4階建て延床面積約45,000坪のⅠは来年2月に竣工する。物流タウンの実現を目指す。
三井不動産 ロジスティクス事業拡大28棟、延床240万㎡、投資額4,000億円に(2017/7/20)
積水ハウス マンション購入代金63億円 詐取される 所有権移転登記できず
積水ハウスは8月2日、分譲マンション用地として購入した東京都内の不動産の購入代金を支払ったにもかかわらず、所有権移転登記を受けることができない事態が発生したと発表した。
購入したのは都内の約2,000㎡のマンション用地。購入代金は70億円(支払済:63億円)。売買契約日は平成29年4月24日、決済日は6月1日。所有権移転登記申請が却下されたのは6月9日。
同社によると、契約相手先が所有者から購入後、直ちに当社へ転売する形式で行い、購入代金の決済日をもって所有権を移転する一連の登記申請を行ったところ、所有者側の提出書類に真正でないものが含まれていたことから登記申請が却下され、以降、所有者と連絡が取れない状況に至ったという。
同社は、何らかの犯罪に巻き込まれた可能性が高いと判断し、捜査機関に対して被害の申入れを行った。
捜査上の機密保持のため、これ以上の詳細の開示は差し控えるとしている。
明和地所「クリオ日本橋久松町」 激戦地の東日本橋・馬喰横山エリアで販売好調
「クリオ日本橋久松町」完成予想図
明和地所が分譲中の「クリオ日本橋久松町」を見学した。内廊下方式の1フロア3住戸、全戸角住戸が特徴で、約70㎡代のモデルルームの出来がいい。苦戦物件も多い日本橋エリアで、販売開始から3か月で半数以上が成約済みだ。
物件は、東京メトロ日比谷線人形町駅から徒歩6分、中央区日本橋久松町に位置する13階建て全35戸。専有面積は50.93~70.40㎡、現在分譲中の住戸(3戸)の価格は6,044.3万~7,868.0万円。坪単価は391万円。竣工予定は平成31年1月中旬。施工は新三平建設。
現地は、このところマンションの供給が激増している東日本橋・馬喰横山エリアだが、アドレスは住宅地としても人気が高い「久松町」。
建物は、内廊下方式の1フロア3住戸、全戸角住戸が特徴。4月から分譲を開始しており、これまで半数以上が成約済みで、順調に売れている。
モデルルーム
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日本橋・馬喰横山エリアではここ1~2年、マンション分譲が増加している。坪単価は軒並み400万円を突破。単価・グロス価格が上昇したため苦戦する物件も多い。
これに対して、今回の物件は坪単価391万円。抑制気味に価格を抑えているのと、由緒ある「久松町」アドレスであることが評価されているようだ。都内でもっとも歴史のある久松小学校にも近接している。
70㎡台のモデルルームもデザインに力を入れておりよくできている。セレクトメニューから間取り変更、オーダー対応まで自由に設定できるシステム「conomi」を採用している。
大京グループ 業界初の「使用済小型家電の宅配回収サービス」を開始
大京グループのマンション管理事業を手掛ける大京アステージと穴吹コミュニティは8月1日、マンション居住者向けに業界初の「使用済小型家電の宅配回収サービス」を開始したと発表した。
リサイクル事業を手掛けるリネットジャパングループとオリックスグループのオリックス環境と業務提携して実現したもので、不用なパソコン・小型家電を宅配業者がマンションの各戸玄関まで回収にうかがう。パソコンを含めれば回収費用はゼロになる。
世相の反映か 「4人家族が幸せに暮らす住宅の広さは89㎡」 アットホーム調査
「4人家族が幸せに暮らす住宅の広さは89㎡」-こんなアンケート調査結果を不動産情報サービスのアットホームが7月31日、まとめ発表した。
首都圏で暮らす夫婦二人と子ども二人の4人家族628 名を対象に行ったもので、「4人家族が幸せに暮らす」には、少なくとも89㎡必要との回答があった。もっとも多かったのは「80~100㎡未満」で28.9%、以下、「100~120㎡未満」22.1%、「60~80㎡未満」21.6%だった。「120㎡以上」も全体で13.7%を占めた。間取りは4LDKが40.8%ともっとも多く、3LDKLが次いで33.6%だった。
リビングの広さについては、10畳大~15畳大と答えた人が47.8%。「駅徒歩の限界」平均は18.4分、「通勤時間の限界」平均は57.1分、「年収」平均は882.5万円、「子供との会話時間」平均は68.7分、「夫婦の会話時間」平均は53.8分だった。
「父親がやるべき家事」1位は「ゴミ出し」、「母親がやるべき家事」1位は「料理」、「子供がやるべき家事」1位は「食器を流しに運ぶ」だった。
「必要最小限の設備・仕様」では、トップが「独立したバス・トイレ」の89.3%、以下「エアコン」87.4%、「インターネット回線」79.5%、「追い炊き機能付きバス」70.1%、「2口以上のコンロ」69.3%、「駐車場」68.9%、「モニター付きインタホン」61.3%など。「食洗機」は32.6%、「床暖房」は31.2%、「オートロック」は29.3%だった。
「どんな住まいでも愛さえあれば幸せに暮らせる」と回答したのは33.0%で、現在の住まいが4人家族にとって最低限必要な条件を「満たしている」という人は約8割にのぼった。
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いつも面白いアンケートを行う同社だが、今回は「幸せに暮らせる」というテーマは非常にいいが、そもそも「幸せ」とは何かを問うものでないので、回答は極めて常識的なラインに落ち着いたような気がする。個人的には100㎡が4人家族の理想の住宅の広さだとずっと考えてきた。
「愛があれば」が33%にとどまり、現在の住まいが必要最小限の条件を満たしている人が8割に達したのには驚いた。8割の人は本当に「幸せか」、愛はあるのかないのかも聞いてほしかった。
全体的には、ものすごく保守的で自己肯定的、現状是認型の人が多い世相を反映していると思う。
出勤の行き帰り、いつも「お前、幸せかい」と声を掛けあっていた野良猫の姿が見えなくなって久しい。
東京オリンピック・パラリンピック選手村 「施設・設備の仕様は非公開」なぜ
東京オリンピック・パラリンピックの選手村の施設がどのようなものになるかについて東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に問い合わせていた件で、次のような回答がメールで届いた。
「選手村の宿泊施設は、東京都が施行する市街地再開発事業において民間事業者が整備する住宅棟を一時借用して活用します。
大会時の選手村用の施設・設備の仕様等の詳細については、セキュリティの観点などからお伝えすることはできません」
回答には「セキュリティの観点など」と〝など〟がついているのが曲者だ。施設の基本性能、プラン、設備仕様が事前に漏れたところでセキュリティ上の問題が発生するとは思えないが、その他のことを〝など〟とくくればすべて情報は非開示することができるということか。
ワールドワイドな施設になるのではないかと考えているので、情報が開示されないのは非常に残念だ。
個人的には、出場選手が自由に壁・クロスなどへサインや落書きができるようにして、それを〝レガシー〟としてそのまま分譲時、あるいは賃貸時に残せば申し込みが殺到する住戸が出てくるのではと思っている。オークションにすれば途方もない値段が付くものも出てくるはずだ。
大会終了後の改修費として大会組織委員会は500億円を見込んでいるとの報道もされた。一戸当たり約880万円になる勘定だ。これも法外。
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記者は、選手村の施設(主に住宅部分)についておおよそ次のような質問をしていた。
1)基本性能はどうなるのか
工法、階高、天井高、サッシ高、廊下幅、採光・遮音性、環境配慮、ユニバーサルデザインなど
2)プランはどうなるのか
間取りなど。玄関、トイレ、浴室はどのようなものか、和室はあるのか、ベランダはどのようなものか
3)設備仕様はどうなるのか
選手村用とその後、スケルトンにして分譲、あるいは賃貸用の設備仕様は異なると思いますが、そのまま転用できるものはないのか。選手村としてはトイレ、浴室などはどのようなものを採用されるのか
東京2020オリ・パラ選手村 敷地売却価格は地価公示の10分の1以下の〝怪〟(2016/8/4)
戸建て含めた「住宅団地の再生の在り方検討会(第2期)」 第1回検討会 国交省
国土交通省は8月1日、戸建て住宅団地を含む老朽化した住宅団地の建て替えや再生を幅広く論議する「住宅団地の再生のあり方に関する検討会(第2期)」(座長:浅見泰司・東京大学大学院教授)を設け、第1回検討会を行った。
平成26年度から28年度にわたって行われた「住宅団地の再生のあり方に関する検討会(第1期)」の取りまとめは、土地共有者の組合員算定方法の合理化を盛り込んだ都市再生開発法の改正(平成28年6月)や、建築基準法第86条の一団地認定の職権による取り消しの手続き規定を追加する同法施行規則の改正(同年10月)につながった。
今回は、制度見直しを活用した新たな再生手法を整理しガイドラインを定めるほか、敷地売却の仕組みを活用した団地型マンションの再生のあり方、戸建て団地の再生・活性化などを論議する。平成30年度までに中間報告をまとめる予定。
会の冒頭、同省住宅局長・伊藤明子氏は「第1期取りまとめが円滑に動くように、さらに戸建て住宅団地の再生にもつなげる、幅広く深い論議を行っていただきたい」などと話した。
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確か大月敏雄委員(東京大学大学院教授)だったと思うが、「戸建て団地とは何ぞや」という質問が飛んだ。これに対して同省市街地建築課市街地住宅整備室企画専門官・佐々木雅也氏は「団地の定義から考えていただきたい」と答えた。
記者もこの問題に以前から悩んでいる。昔は平気で「マンション団地」「戸建て団地」と呼んでいた。しかし、最近は「団地」なるフレーズをほとんど使わない。あるハウスメーカーから「牧田さん、戸建て団地はやめてくれないか。なんだか古臭いイメージだから」と言われたこともある。
読者の皆さんは「団地」という単語にどのようなイメージを描かれるか。おそらく十人十色だろう。
広辞苑(第六版)を当たってみた。「団地」とは「住宅・工場などが計画的に集団をなして建っている土地」とある。また「団地サイズ」では、「公団住宅など狭い室内に合わせた、一般よりも狭い畳・家具など」とある。
「団地サイズ」の住宅が供給されたのは昭和30年代以降だから、発刊当初の広辞苑には載っていなかったのではと考え岩波書店に問い合わせた。同書店によると「団地サイズ」が掲載されたのは1991年11月の第四版からだという。つまりバブルがはじけた後だ。確かにこの頃には「団地サイズ」は〝狭い〟という認識が浸透していた。昭和30年代に建設された公団住宅の建て替えが決定されたのは昭和61年だ。
公団住宅が庶民のあこがれの的であった時代の「団地妻」は「新妻」と同義語として理解されていたはずだ。1961年には「大和団地」(現大和ハウス工業)が設立されている。その大和団地は「ネオポリス」というブランドで戸建てやマンションを分譲した。同社は2001年に大和ハウス工業に吸収された。
これらからすると、「団地」が新しいイメージでとらえられていたのはせいぜい30年間くらいだ。民間が「経年優化」「経年美化」の街づくりをしているのと対照的だ。世の「妻」だって30年で〝古い〟と評価されたら起こるだろう。
昭和25年に制定された建築基準法はどうか。同法には「団地」の定義はないが、「一団地」という単語が12カ所ある。また、1919年に公布された「市街地建築物法」にも「一団地」の文言があるように、大正時代には「一団地」という言葉はあった。しかし、これは「一団の土地」と解するのが妥当のようで、「団地」なる言葉はいつ生まれたのか判然としない。興味のある方は調べていただきたい。
さて、最初に戻る。少なくとも「団地」の言葉は一般名詞として存在はするが、どのようなものかをはっきり示す「定義」はないということになる。国会でも論議された「集団」とは何ぞやという問題にも突き当たる。
もうこれ以上深入りしない。同省や検討会の委員の方々が鳩首凝議しても結論は出ないのではないか。
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櫻井敬子委員(学習院大学教授)がまたまた辛辣な問題提起をされた。〝またまた〟と書くのは、以前、櫻井氏は「建築基準法は窮屈」と同省の会合で発言されたのを記事にしているからだ。今回もまた「建築基準法はきつい規制が多すぎる。実態とあっていない」「全員合意のドグマを何とかしないといけない」「区分所有法はロートル化している」「(管理組合について)民主主義が機能していない」などと発言された。
同感だ。いっそ櫻井氏を座長に建築基準法や区分所有法を根本から考え直す会を設けてはどうか。建基法や区分所有法が時代遅れであることはみんなわかっていることではないか。わが国の都市計画は、土地所有権の絶対的排他的権利が強い割に細かな規制が多すぎる。理念と実態が釣り合っていないと思う。
長谷工グループ 王子5丁目の複合開発内の賃貸と有料老人ホーム 来春開業
賃貸・有料老人ホーム複合施設 完成予想図
長谷工グループは7月28日、「住」「商」「育」の複合開発「北区王子5丁目プロジェクト」のエリア内で開発を進めている賃貸マンションと介護付有料老人ホームの複合施設を2018年春に開設すると発表した。
同施設は、JR京浜東北線東十条駅から徒歩6分に位置する敷地面積約5,900㎡。賃貸マンション「ブランシエスタ王子」(120戸)と介護付有料老人ホーム「センチュリーシティ王子」(90室)からなる複合施設。敷地内にはテラスガーデンやコミュニティガーデン、パーティルームなどの多彩な共用部を配し、子ども・大人・高齢者など多世代の居住者が交流できる場を備えている。
「北区王子5丁目プロジェクト」は、日本製紙王子倉庫跡地を中心とする開発面積約43,000㎡。同施設のほか分譲マンション「ザ・ガーデンズ東京王子」(864戸)・商業施設・保育施設からなる複合開発。マンションは圧倒的な人気を呼んでいる。
「ザ・ガーデンズ東京王子」(864戸)は坪260万円台(2016/7/8)