素晴らしい! 代々木公園内に特区活用の民設民営「こども園」竣工 ブルースタジオ
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「まちのこども園 代々木公園」(撮影:淺川敏氏)
ブルースタジオは9月29日、同社が設計監理を担当し、ナチュラルスマイルジャパンが運営する国家戦略特区制度を活用した「まちのこども園 代々木公園」が竣工したのに伴う竣工内覧会を行った。建築や保育関係の人など見学を待つ約500名が列をなし賑わった。
物件は、都市公園法により開発規制が厳しい公園内に国家戦略特区制度を活用して建設された128名定員の「民設民営」保育所型認定こども園施設で、JR原宿駅徒歩4分、渋谷区代々木神園町に位置する敷地面積873.80㎡、延床面積871.23㎡の木造2階建て(在来工法、1時間準耐火構造)。竣工は2017年8月。施工は大和工務店。設計監理はブルースタジオ。
柱などの構造材は米松だが、建具・家具・仕上げにヒノキ、カラマツ、ヒバなどの国産材を採用。壁には漆喰、1階土間には昔の三和土や大谷石の囲炉裏を設置。木製サッシを多用しているのも特徴。
メディア向け内覧会で、ナチュラルスマイルジャパン代表取締役・松本理寿輝氏は「今回の施設は5カ所目。地域資源を生かし全体を学びの環境にする思いと、街づくりの拠点になるようコミュニケーションを活発化させ、若い世代とつながりネットワークを構築したいという思いから、渋谷区の公募に応募した」と、プロジェクトの経緯などについて語った。
ブルースタジオ専務取締役・大島芳彦氏は、「松本さんとは12~13年のお付き合いだが、具体的な案件を担当するのは初めて。昨年5月、設計監修の依頼があった。スケジュールがタイトなので迷ったが、エース級2人のスタッフを投入して決断した。建築と社会、人間関係の接点をどう設けるか、それをやらないと社会的価値の向上につながらない。代々木は、私の祖父が千駄ヶ谷に住んでいた関係でしょっちゅう遊びに来たことがあり、私を育ててくれた街でもあり、建物は昔の大屋根があり土間がある「明治以前の原宿村の原風景を想起させる農家屋をイメージしモチーフにした。施工も木造建築の老舗。本物に触れていただきたい」と話した。

松本氏(左)と大島氏
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(撮影:淺川敏氏)
◇ ◆ ◇
木造の保育・教育施設では、三井ホームの林野庁補助事業の「学校法人富津学園 明澄幼稚園」を見学し感動したことがあるが、今回の施設もまた負けず劣らず素晴らしい-作家の筒井康隆氏が「創作の極意と掟」(講談社)で「いかなる小説であっても絶対に使ってはならぬ形容がひとつ。それは『筆舌に尽しがたい』という形容だ」と仰っている。記者もそんな陳腐な形容をしたくない。「素晴らしい」としか言いようがない。
1階部分の床から2階吹き抜けの頂点までの高さは約10メートル、仕上げはほとんど本物の無垢材や大谷石、漆喰、サッシも木製だ。
大和工務店専務取締役・初谷仁氏は「300×770×11メートルの棟木、224×500×12メートルの登り梁は究極のコスト&ビーム」と自賛した。
内覧会に参加した保育所の建設を計画している経営者は、「スケールと開放感が素晴らしい。明治以前の農家をイメージし、自然とマッチさせたデザインもいい」と絶賛した。
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(撮影:淺川敏氏)



これはいい 2階主寝室-小上がり-バルコニーの空間演出 ポラス「南大泉Ⅰ」

2階主寝室の「アウターリビング」
9月11日付当欄でポラスグループ中央住宅の「マインドスクェア南大泉Ⅰ」の敷地延長住宅を紹介したが、今回は同じ分譲地内の2階「アウターリビング」付き住宅を紹介する。
西武新宿線武蔵関駅より徒歩14分、練馬区南大泉1丁目に位置する全7棟現場で、「アウターリビング」付き住宅は敷地面積110.11㎡、建物面積103.13㎡、価格6,450万円。
2×4工法より強度が高い2×6工法を採用し、同社の標準仕様である1階天井高2.7m、サッシ2.2m、天然木挽き板フローリング、同社オリジナルのウッドパネルを採用しているのが特徴。
「アウターリビング」はもはや説明するまでもなく一般化している。読んで字のごとく外部空間をリビングに取り込んだプランだ。つまりリビングと一体利用できる空間のことだ。
ところが、中央住宅が「アウターリビング」と呼んでいるのは、2階の南側に配した主寝室(8.9畳大)に約30センチの小上がり部分の広さ2畳大強の空間を設置し、さらにその南側の4畳大のウッドデッキ付きのバルコニーと一体利用できるようにしているものだ。
小上がり部分の天井や壁には同社オリジナルの無垢の「デザインウォール」を採用している。

◇ ◆ ◇
これを見てなかなかやるなと思った。リビングと一体のアウターリビングはたくさん見学してきたが、2階の主寝室-小上がり-バルコニーと一体利用できる大空間を演出しているのは初めてだ。
小上がり部分で昼寝をするのも読書をするのも、また趣味の作業場とするのもよい。バルコニーも広いので日向ぼっこをしたりタバコを吸ったりするのにもいい。
問題は、「アウターリビング」などと手垢のついた文言でしか表現できていないことだ。様々な用途に利用できるこの空間を的確に表す言葉を考えるべきだろう。夫婦仲がよくなる〝和合の間〟では古臭いが、とにかくそのような意味を込めたネーミングを考案してほしい。些細なことだが、小上がり部分の天井に物干しポールをつけているのはいかがなものか。夫、又は妻の下着をぶら下げてどうする。せっかくの雰囲気が台無しになる。
もう一つ。せっかくの大空間なのだから、ミニキッチンを設けてはどうか。隣のトイレから水をくむのはためらわれるはずだ。
ついでにもう一つ。同社の戸建てだけではないが、2階のバルコニーに出るには掃き出し窓をまたがなければならない(大和ハウスのxevoΣフラット)。
これは品確法や瑕疵担保保険の施工基準で床から12センチ立上りまで防水面を施すことが求められているからだが、これはバルコニーの床面をそれだけ下げれば解決するはず。
そうすれば階下の天井高に影響を及ぼし、さらにコスト高につながるのを承知の上でフラットにすることを提案したい。ポラスグループはもともと1階リビング天井高2.7mを標準化しているではないか。2階のバルコニーがみんなフラットになったら、居住性がはるかに高まるはずだ。

バルコニーにウッドデッキを敷きサッシとの段差を解消している
喫煙は基本的人権、文化だと思うが…大京 10月から全事業所で全面禁煙
大京グループは9月27日、健康経営の一環として喫煙を10月1日から終日全面禁止すると発表した。対象はグループの全400拠点の事業所で、対象者は1万人を突破するとみられる。全社員の健康維持・増進と受動喫煙の抑制が目的。
喫煙全面禁止措置について、同社プレス・リリースでは「たばこに含まれる有害物質は、がん・脳卒中・心筋梗塞や呼吸器疾患などにかかるリスクを高めます。 また、受動喫煙による年間死亡者数は推定約1万5,000人(厚労省の報告書)とされ、健康被害は喫煙者同様に深刻な状況にあります。
2020年にオリンピック・パラリンピックを控える日本は、世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)が共同で推進する『たばこのないオリンピック』に向け、受動喫煙防止対策の強化が求められています」とその背景について記している。
同社は2014年から「予防」をテーマとした大京健康プログラム「Daikyo Health Program (DHP)」を導入しており、そのプログラムの一つとして「禁煙対策」に取り組んできた。
◇ ◆ ◇
記者は喫煙者(1日15本くらい。昔は3箱)だ。1時間に1本くらい吸う。事務所で書いた原稿をコピーし、喫煙室に下りて行ってタバコを吸いながら校閲などを行う。喫煙は記事を書くリズムだし、歌唱・水泳でいえば息継ぎだ。何よりも文化、基本的人権の問題だ。
なので、こうした規制(言い過ぎか、措置が適当か)には反対だ。とはいえ、喫煙・受動喫煙の発がんリスクは否定しない。厚労省が「受動喫煙は『迷惑』や『気配り、思いやり』の問題ではなく、『健康被害』『他者危害』の問題である」「(受動喫煙防止は)事業者の努力義務ではなく、義務とすべきである」というのも理解はする。
しかし、発がんリスクは主に疫学的な研究から問題視されており、そもそも閾値など存在しない。百歩譲って、国がそこまでわれわれの健康を心配してくれるのなら、食品添加物、糖類・塩分の摂取に対する規制、メタボ対策などを強化すべきだろうし、劣悪な労働環境の改善に強権を発動すべきだ。
大激戦区 鹿島の免震構造の相鉄不他「グレーシアタワーズ海老名」 坪単価は240万円

「グレーシアタワーズ海老名」
相鉄不動産(事業比率50%)・伊藤忠都市開発(同30%)・鹿島建設(同20%)3社JVマンション「グレーシアタワーズ海老名」を見学した。「ららぽーと海老名」に隣接する鹿島施工の免震25階建てツインタワー477戸。エリア全体で約2,000戸が供給される注目物件の一つだ。
物件は、相鉄本線・小田急小田原線海老名駅から徒歩5分、海老名市扇町に位置する25階建てツインタワー全477戸(イースト棟239戸、ウエスト棟238戸)。専有面積は56.95~107.29㎡、価格は未定だが、坪単価は240万円くらいになる模様。竣工予定はイースト棟が平成31年5月下旬、ウエスト棟が32年1月下旬。販売代理は野村不動産アーバンネット、伊藤忠ハウジング、相鉄不動産販売。設計・施工は鹿島建設。販売開始は10月下旬。
現地は「ららぽーと海老名」に隣接。このエリアでは、このマンションのほか、小田急不動産がメインのタワーマンション3棟約900戸を駅前で予定しており、サンケイビル他「海老名 ザ・レジデンス」(412戸)、三井不動産レジデンシャル「パークホームズ海老名フォレストプレミア」(84戸)などトータルで約2,000戸が分譲される激戦区。
建物は鹿島の免震構造と柱・梁型の突出が少ないダブルチューブ構法が最大の特徴。天井高2600ミリ、サッシ高2170ミリ、シーザーストーンのキッチンカウンター、良水工房、ミストサウナ、食洗機などが標準装備。最上階はプレミアム仕様で、天井高は2750ミリ、オーダーメイド。
8月に行われたプロジェクト発表会には約300組が参加しており、ユーザーの関心は高い。

スカイラウンジ
◇ ◆ ◇
坪単価は想定通りだった。今年6月、「海老名 ザ・レジデンス」の記事を書いたとき、相鉄のマンションは坪230~250万円くらいと予想した。ちょうどその中間に落ち着きそうだ。ということは、10月末にモデルルームがオープンする予定の小田急不動産のマンションは駅に近接している分価格は高くなり、坪単価は250万円くらいになるはずだ。
駅からややあるサンケイビルや三井不動産レジデンシャルの物件は単価も異なるので競合はしないが、ユーザーにとって小田急か相鉄かの選択は悩ましい。双方を見比べて決断することになるはずだ。
小田急のモデルルームがオープンしたら見学して、改めてこの海老名のマンションについて触れたい。

イーストラウンジ
さすが近鉄不 北斎と食を結びつける 影絵展示・牛すき鍋セット ハルカス展望台

影絵メイン装飾設置イメージ(北面)
近鉄不動産は10月5日(木)~11月19日(木)、「あべのハルカス美術館」の「大英博物館国際共同プロジェクト北斎–富士を超えてー」展との連動企画「天空の影絵~北斎の世界~」をあべのハルカス展望台「ハルカス300」で実施する。
影絵作家河野里美氏が北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」をモチーフに制作した巨大影絵を設置するほか、同氏によるハロウィンの要素も組み込んだ「行燈」の設置、北斎の「赤富士」をイメージした「赤富士の淡路牛すき鍋」などの飲食を提供する。
「すき鍋」セットは、飲み放題で料金は大人5,500円(消費税込、展望台入場料金含む)。予約はWeb予約(https://yoyaku.toreta.in/skygarden300/)。予約受付は10月1日から、30日後まで予約可能。利用時間は平日15:00~、土日祝は11:30~22:00分まで(2時間制)。

「赤富士の淡路牛すき鍋」
◇ ◆ ◇
さすが大阪のデベロッパー。北斎と食を結びつけるアイデアがすごい。いい企画だ。影絵は写真から判断して高さは3mくらいありそうだ。大英博物館に所蔵されている実際の「赤富士」も美術館で鑑賞できる。牛すき鍋も飲み放題で税込みで5,500円というから安い。
実は、同社から4日に行う報道関係者向け事前体験取材(日本酒も飲めそう)の案内が届いている。食い意地が張る記者はいっぱいいそうだから殺到するかも。記者はそんな厚かましい取材はできない。
いま東京国立博物館で「運慶展」が行われており、大変な人気だそうだ。運慶を拝み、飲み放題の食事ができるイベントを行ったら、申し込みが殺到しさばけなくなる事態になるはずだ。首都圏のデベロッパーはそんな企画をしないか。

「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」(同社プレスリリースから)

「富嶽三十六景 凱風快晴」(赤富士)
感動の組子-ヘンデル-社長挨拶-内覧フルコース堪能 新日鉄興和「赤坂インターシティAIR」見学

「赤坂インターシティAIR」
新日鉄興和不動産は9月26日、事業協力者及び参加組合員として建設を進めていた複合大規模施設「赤坂インターシティAIR」(赤坂一丁目地区第一種市街地再開発事業、施行者:赤坂一丁目地区市街地再開発組合)が竣工したのに伴いプレス説明会・内覧会を行った。
施設は、東京メトロ銀座線・南北線溜池山王駅直結(14番出口)、港区赤坂一丁目に位置する敷地面積16,088㎡、制振構造の地下3階地上38階建て延べ床面積178,328㎡。用途はオフィスのほか共同住宅、会議施設、店舗、託児施設など。設計・監理は日本設計。施工は大林組。グランドオープンは9月29日(金)。
緑化率50%以上に当たる5,000㎡超の緑地を整備。建物を六本木通り沿いに寄せることで、敷地中央に大規模な緑地空間を生み出し、環状二号線に続く約850mの緑道を整備する「赤坂・虎ノ門緑道構想」に基づき、西側の拠点として約200mの街路樹空間を整備。虎ノ門に続く緑豊かな歩行者ネットワークを形成する。
オフィスはほぼ満室で稼働。入居検討テナントの43%はアメリカを中心とする外資系で、業種ではIT・通信が41%を占め、金融・保険、化学・製薬などが続く。
5階から12階に併設される住宅「赤坂AIRレジデンス」52戸は主に地権者用住居に充てられ、第三者に分譲することは禁止されている。
説明会で同社代表取締役社長は「赤坂・虎ノ門エリアの新たなランドマークとして、世界から選ばれる国際都市東京の顔にする」と語った。2018年春には当ビルに本社を移転することも明かした。

永井社長

水景

ベンチ

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2012年(左)と現在の空撮
◇ ◆ ◇
取材のため施設に着いたのが午後12時30分過ぎ。プレス説明会・内覧会の開始時間1時にまだ少し時間があったので、地下1階の店舗をのぞくことにした。すぐ目に飛び込んできたのは、「鶏の西川 創業1949年」の看板が掛かった店だった。見事な組子が施されていたからだ。てっきりこけおどしのケミカル製品だと思ったが本物だった。創業1949年といえば記者と〝同級生〟だし、「宮川」は四万十川よりきれいなわが故郷三重に流れる川だ。
これだけで感動したのだが、これは序章に過ぎなかった。説明会場の天井高4.8mのコンファレンスホール「the AIR」に入ったとき、大好きなヘンデル「水上の音楽」などをアレンジした「Handel Collection」がBGMに流れていた。この演出に舞い上がった。これが第2楽章か。
そして第3楽章は、同社社長・永井幹人氏の挨拶だ。「事業規模は一挙に倍増した」と永井社長は5年前の新日鉄都市開発と興和不動産の経営統合から語り始め、その後の事業展開や今後の方針などを宮川のようによどみなく語った。
この地が、霞が関-六本木-新橋のトライアングルの結節点であり、再開発計画が目白押しの国際性、多様性に富んだ港区の「大街区」(75ha)の北側玄関口に位置し、また同社ビル事業発祥の地「赤坂一丁目」であることから「思い入れの強い土地」であることを強調。非常時には200時間の電力供給が可能であるBCPをはじめ、国内トップクラスのエネルギー・環境への取り組み、1フロア800坪のオフィス、隣接する虎ノ門病院と連携した人間ドックとクリニックの併設、5,000㎡の緑空間の創出などについて説明し、「厳しい外資系の目にかなうものにした結果、極めて高い評価を得てほぼ満室稼働でスタートすることができた。今後も関係者と連携して赤坂を国際都市東京の顔にしていく」と力を込めた。
ここまでの取材でもう満腹だったのだが、第4楽章は何と2時から4時までの内覧フルコース。4階のプレゼンルームからスタートし、3階の「ロウリーズ・ザ・プライムリブ&フランクバー」、2階・1階の緑地、10か所以上のレストラン・カフェ・ビアパブなどを回った。一つひとつ紹介すると日が暮れるので省略する。
取材を終え事務所に帰ったのが5時。この日は午前10時から三井不動産の「ホテル ザ セレスティン銀座」の取材があり、7時間も動き放しだった。この間、三井のホテルで「GINZA CASITA」の山田志樹社長から直々にアイスコーヒーを頂き、「赤坂インターシティ」では160年の歴史があるローマの「ボンドルフィボンカフェ」で250円のエスプレッソを飲ませてもらい、「THE ARTISAN TABLE・DEAN&DELUCA」ではほんのひと切れのシイタケのコンフィを試食させていただき、「COURTESY」でアイスティのもてなしを受けた以外なにも口にしなかった。万歩計は1万歩を超えていた。(RBA野球の取材のときは食事抜きで2万歩歩くが)一挙に疲れと空腹感が襲ってきた。

PARIYA

「ロウリーズ・ザ・プライムリブ&フランクバー」


「COURTESY」

「鶏の宮川」(写真は三代目社長・星英次氏)
◇ ◆ ◇
最近では皇居に隣接する三菱地所「大手町パークビル」、日比谷公園が目の前の東急不動産「日比谷パークフロント」にも驚いたが、「赤坂インターシティAIR」はいろいろな切り口で〝料理〟(記事化)できる、それこそ十人十色に映るわくわくする複合施設だ。記憶にとどめるためにも強い印象を受けたことを改めて書く。
第一は圧倒的な緑の量と質だ。量的には「新梅田シティ」の約8,000㎡の「里山」にかなわないが、約3,500㎡の「大手町の森」(オーテモリ)、約3,000㎡の「大手町パークビル」と「大手門タワー・JX ビル」のコミュニティ広場より広い。
その質がまたすごい。約200mの街路樹空間を創り出し、水景も配置。樹木は極力自然に近い形で植樹している。これを虎ノ門方面に続く850mの緑のネットワークとして構築するという。
第二は、オフィスもさることながら店舗の内装・デザインが桁外れの本物志向(味はしらない)であることだ。「鶏の西川」の軒先に組子が用いられていることは先に書いたが、同じ地階にある「もつ鍋やまや」もまた内装材はすべて本物のスギ材だったし、内覧で回った10以上のレストランのカウンターなどはほとんどすべて大理石。壁などにも無垢材が多用されていた。
「ロウリーズ・ザ・プライムリブ&フランクバー」は天井高が5m。ホテルの宴会場かレストランに似ているが、少人数掛けのテーブルのほか20人くらいが座れる大テーブルがどんと据えられていたのには度肝を抜かされた。アートや個室の設え、照明計画もまた印象的だ。日本人が利用するにはかなり勇気がいりそうで、お金もそうだが気が小さい記者などは足がすくむ。
第三は、BCPやエネルギー・環境の取り組みだ。非常時200時間の電源確保など聞いたことがない。環境性能評価「CASBEE」、東京都エネルギー性能評価制度、DBJ GREEN Building認証などはすべて最高ランクを取得し、約35%の省エネ効果、CO2約35%削減を実現している。
永井社長が「赤坂を国際都市東京の顔にしていく」と語ったが、このビルが今後の街づくりのベンチマークになるのではないか。20・21階には同社が入居するが、眼下に首相官邸、国会議事堂、米国大使館が眺望できる。社長室はそれらを眺められる位置には設置しないとも聞いたが、社員の生産性はどれだけアップするのか、これにも期待したい。
住宅は将来にわたって分譲されることはなさそうだが、記者は借りに分譲されれば坪単価は1,500~2,000万円とはじいた。
かつて記者は、デベロッパーを超えるのはデベロッパーではなく、異業種だろうと思ったことがある。日鉄ライフが新日鉄の社宅跡地で優れたマンションを分譲したときだった。恐るべし新日鉄興和不動産。

同社が本社を移す21階(窓の左が虎ノ門ヒルズ、右のクレーンはホテルオークラの建て替え、その右は坪単価500万円で分譲された鹿島の最高峰マンション)
皇居に隣接 三菱地所 最高級Sクラスの「大手町パークビルディング」竣工(2017/2/14)
日比谷公園の緑取り込む 東急不「日比谷パークフロント」竣工 同社の勢いまざまざ(2017/5/26)
三井不動産 新ブランド「ザ セレスティン」ホテルの第2弾「銀座」開業

「ホテル ザ セレスティン銀座」
三井不動産と三井不動産ホテルマネジメントは9月26日、滞在そのものが旅の目的となる「デスティネーション型ホテル」を目指す新ホテルブランドの「ホテル ザ セレスティン銀座」を10月5日にオープンすると発表。同日、メディア向けの見学会を行った。
「ザ セレスティンホテルズ」は、アッパーミドルとラグジュアリーの中間層がメインターゲットで、ブランドコンセプトは①「ローカル エクスペリエンス(Local Experience)-その地域を象徴する文化・歴史性が深いロケーション②「プライベート スタイル(Private Style)-「第2の我が家」のように寛げるプライベート空間の創出③「パーソナライズド ホスピタリティ(Personalized Hospitality)-日本ならではのさりげないおもてなし-の3つ。9月7日に開業した「ホテル ザ セレスティン京都祇園」に続く第2号。
施設は、JR新橋駅から徒歩3分、中央区銀座8丁目に位置する14階建て全104室。客室はスーペリアダブル(23.5㎡、65室)~セレスティンデラックス(47.5㎡、2室)。設計は日建設計。インテリア設計はHirsch Bedner Associates。敷地は元銀座日航ホテル。
建物は免震構造で、館内は1階ロビーおよび客室階12層、14階レストランの計14フロアで構成。14階には青山・麻布十番のダイニングレストランCasitaによる「GINZA CASITA」が出店する。
インテリアは、ロビーに配置された凹凸のあるガラスのアートウォールを中心に、シンプルなデザインの中にも光と影を演出し、上質で落ち着いた空間に仕上げている。天井高はロビーは6.5m、客室は約3.1m(窓側)を確保している。(地区計画で当地の建築物の高さ規制は57m=1層3mとして19階まで)
アメニティは、ブルガリの最高級シリーズ「オ・パフメ」と資生堂の「ルモンドール」を用意。外国人宿泊者向けに銀座三越と連携したサービスも提供する。
見学会に臨んだ三井不動産ホテル・リゾート本部ホテル事業部長・鴉田隆司氏は「外国人客数は今後も増加が見込まれるが、多様化しているニーズに応えるために今回、新たに『ザ セレスティンホテルズ』をラインアップに加えた。今後も案件は目白押しで、現在、23施設5,811室を2020年までに1万室にする」と話した。
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スーペリアツイン
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バスルーム
◇ ◆ ◇
記者は「ホテル ザ セレスティン京都祇園」の記者発表・見学会を取材して次のように書いた。
「一つだけ気になったのは客室の浴室とトイレだ。コンセプトの一つが〝第2のわが家〟で、スパがあるからいいのかもしれないが浴室は14×16サイズで、トイレは普通のマンションと変わらない。同社の〝パークホームズ〟のほうが豪華だと思った」
この疑問をストレートに今回の見学会席上でぶつけた。鴉田氏は「おっしゃる通りでして、『京都』は高さ規制(15m)もあり、一番苦労した部分」と話した。
その後、ホテル見学会が行われた。浴室、トイレも含めしっかりチェックした。「京都」の記事の取り消しはしないが、今回の「銀座」は〝パークホームズ〟レベルをクリアしており、〝パークマンション〟には程遠いが、〝パークタワー〟仕様に近いと判断した。同社の狙いもまさにそこにあるのだろうが、一般的なマンションに住んでいる多くの人はなるほど〝第2のわが家〟だと納得するはずだ。
ルームチャージはスーペリアツインで2~3万円台だから、これもまたリーズナブルだと思う。ブルガリや資生堂のアメニティの価値は猫に小判、牛乳石鹸とどう違うのかまったくわからないが、水栓はグローエ、随所に御影石が使用されていた。女性客をかなり意識したアメニティだろう。

ブルガリ「オ・パフメ」
三井不 「ホテル ザ セレスティン京都祇園」開業 〝日本一の朝食〟メニュー(2017/8/29)
三井不動産 宿泊型上級の新ブランドホテル「ザ セレスティンホテルズ」開発・開業(2017/2/3)
わが意を得たり 人工植物は販売促進に逆効果 三井デザインテック調査研究
三井デザインテックは9月22日、職業能力開発総合大学校・橋本幸博教授とオフィス空間における植物配置の好ましさに関する共同研究を行い、その結果の概略を発表した。
調査の結果、観葉植物を天井面や側面に配した空間が高い評価を売るなど、オフィスの閉鎖的な作業スペースでは観葉植物によって良好な心理的効果が得られる一方、人工植物や過剰な植物量、あるいは不具合な配置にすると、心理面以外に作業効率にも好ましくない影響を及ぼすことが確認されたとしている。
また、「作業効率がよい」という評価を得るためには「集中できる」と「コミュニケーションが取れる」の両者が満足されている必要があることが分かったとしている。
実験は今年1月、同社内オフィス内に7つの異なるグリーンを配置した空間を作り、オフィスワーカー延べ42名を対象に、評価グリッド法を用いて実施した。
◇ ◆ ◇
調査研究の詳細は日本建築学会で発表されたので、興味のある方はそちらで確認していただきたい。プレス・リリースにはわが意を得た記述があった。「人工植物…作業効率にも好ましくない影響を及ぼす」という部分だ。
マンションのモデルルームや戸建てのモデルハウスには、例外なくいろんなところに観葉植物が配置されている。本物の植物は少なく、人工植物、つまり偽物が圧倒的に多い。そんなまがいものを見るにつけ、〝せっかくの商品企画が台無しになるではないか。品格を落とすもの〟と担当者に口酸っぱく言い続けてきたが、みんな右に倣え、改善される気配は全くない。
三井デザインテックの調査の「作業効率に好ましくない」文言はそのまま「販売促進に好ましくない」と言い換えられるはずだ。日に焼けて変色し、ほこりが被ったような食品サンプルが陳列されている店などに誰も入らないのと一緒だ。
イミテーションの観葉植物は即刻やめるべきだ。売れるものも売れなくなる。記者なら今が旬の秋の七草(絶滅危惧種もあるが)を道端や空き地で摘んできて飾る。お客さんは感動するはずだ。
蛇足ながらもう一つ。同社は「過剰な植物量」もまた「好ましくない影響を及ぼす」と言っている。吉永小百合さんが「フン、フン、フン」と歌えば鹿の糞も食べられそうに思えるが、三流役者がどんなに着飾っても道化師にしか見えないのと一緒だ。過ぎたるはなお及ばざるがごとし。これはマンションや戸建てのモデルルーム・モデルハウスにも該当する。
アキュラホーム 第20回木造耐力壁ジャパンカップで総合優勝 大会はいったん幕

木造耐力壁「紬~final~」
アキュラホームの「チーム匠 (アキュラホームグループ+東京大学木質材料学研究室+篠原商店)」が開発した木造耐力壁「紬~final~」が、9月16日(土)~18日(月)に行われた「第20回木造耐力壁ジャパンカップ」で総合優勝を果たすとともに、文化性・独創性、デザイン性が評価され「デザイン部門賞」も受賞した。
「紬~final~」は、日本の伝統技法である継手・仕口で行う「設計」、手作業による「加工の技術」、正確に組み立てる「施工の技術」の3つの要素技術を高次元で結実させた耐力壁。金物や接着剤を一切使わず柱・桁・土台には国産針葉樹製材を用い、壁内部も全て国産材で構成されているのが特徴。東京大学木質材料学研究室、篠原商店と共同開発した。主材料は国産桧、赤松、白樫で、最大荷重は43.66kN(大会公式記録)約4.5t(1kN=0.102t)。
同社は、「出場耐力壁の多くが強度を高めるために、ビスやボルトなどの金物を多用する中、あえて金物を一切使用しない耐力壁で総合優勝できたのは、東京大学木質材料学研究室(稲山教授)による、金物を使用せず初期剛性と終局耐力の両面で高耐力を引き出すことを目指したバランスのとれた設計、篠原商店による材料調達と全て職人の手による高度な加工技術、そしてアキュラホーム熟練大工たちによる寸分たがわぬ正確さで組み立てる施工技術」としている。
木造耐力壁ジャパンカップは、阪神大震災後の平成10年、木造住宅の構造耐力向上、伝統工法の継承を目的として「NPO法人 木の建築フォラム」が主催しスタートした大会。大会はトーナメント戦を勝ち抜いたもっとも強度の高い耐力壁に贈られるトーナメント優勝と、強さ(耐震評点)に加えて環境負荷費、デザイン評点、材料費、加工費、施工費など総合的に優れた耐力壁に贈られる総合優勝(ジャパンカップ)の2つのタイトルがある。毎年、大学、専門学校、住宅関連企業、設計事務所などが参加している。
今年は静岡県富士宮市の日本建築専門学校で開催され、13体の耐力壁が出場した。トーナメント戦はポラス暮し科学研究所の「SHINMEI」が優勝した。
大会事務局によると、20年の節目の今回で大会は終了し、装いを新たにして再開するという。
◇ ◆ ◇
この木造耐力壁ジャパンカップを10回近く取材してきた。素人には理解し辛いことがたくさんあるが、毎回、楽しませてもらった。今回は別の取材が入っており残念ながら取材できなかった。主催者や稲山正弘教授にこれまでの成果や課題、今後の予定などについて聞きたかったが、機会があればまた紹介したい。
私見を言わせていただければ、競技の前提条件を明確にし、あとは創意工夫に任せて結果を問うのか、それともレギュレーションを取っ払って強いか、美しいか、安いかなどの総合力を競うようにしたらわかりやすいと思う。

左から篠原商店・糸井剛夫、大工・並木隆明、東京大学大学院木質材料学研究室教授・稲山正弘、大工・武原勉、商品開発部課長・田村明、組子職人・和田伊弘の各氏
ポラスグループが準優勝と審査員特別賞 第19回木造耐力壁ジャパンカップ(2016/9/22)
東京建物「Bloomoi(ブルーモワ)」が企画 機能的で美しい 公園隣接の「大山」

「Brillia大山Park Front」完成予想図
東京建物が10月下旬に分譲開始する「Brillia大山Park Front」を見学した。同社女性社員を中心とする働く女性が提案する住まいの共創プロジェクト「Bloomoi(ブルーモワ)」の企画商品が随所に採用されている、出色の出来のマンションだ。
物件は、東武東上線大山駅から徒歩7分、板橋区大山西町に位置する7階建て135戸。専有面積は56.91~83.16㎡、予定価格は4,400万円台~8,000万円台(最多価格帯5,900万円台)、坪単価は270万円台。竣工予定は平成30年10月下旬。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。分譲開始は10月下旬。
「Bloomoi(ブルーモワ)」は、平成24年10月に発足した、同社女性社員を中心とする組織で、翌年にはメンバーが考案した商品企画を盛り込んだ第一弾マンション「Brillia大山 The Residence」「Brillia下丸子」が、一昨年には第二弾「Brillia日本橋三越前」が分譲されている。
今回の「大山」は、昨年2月、「理想のリビング空間」として公開したものを採用しているのが特徴。
1階には小規模認可保育園が設置され、隣接する公園と調和するようファサードデザインに木調横ルーバーを採用している。
物件ゲストサロンのチーフアドバイザー・島田康光氏は「構造やらを廃したBloomoi(ブルーモワ)に特化した事務所の設えやモデルルームの評価が高い」と話している。

モデルルーム リビング
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いま、「マンションは『駅7分以内』しか買うな!」という、デベロッパーが卒倒しそうなおどろおどろしい帯がついた本が店頭に並んでいる。記者はこの種の本を読まないので中身はわからないが、いかにもじり貧の出版業界がやりそうな一発逆転の、あるいは当たりそこないのポテンヒットを狙ったハウツー本であるのは間違いない。
その伝でいえば、この「大山」は駅から徒歩7分、坂もないからぴったり。関係者は胸をなでおろしているかもしれないが、そんな些末(これは言い過ぎか)なことよりはるかにアピールできる魅力をこの物件は持っている。
それは、敷地南西側は区立板橋公園に隣接しているということだ。もともと敷地は区立小学校が建っていたところで、隣接地は交通公園と一体として整備される。
もう一つの特徴は、「Bloomoi(ブルーモワ)」の商品企画を世に問う第一号案件ということだ。詳細は添付した記事を読んでいただきたいが、昨年2月、「理想のリビング空間」としてメディアに公開された「アイランドキッチン」「ブルーモワライブラリー」「ブルーモワポケット」「壁面収納」などが商品企画に盛り込まれている。
モデルルームは76㎡の東南角の住戸だから表現できた部分もあるが、とにかく機能的でかつ美しい。一つひとつ紹介しないが、玄関の見せ方が巧みで、5畳大の子ども部屋もうまく処理している。特に記者がほれ込んだのは細い木調枠を施したキッチン収納だ。この木調枠と白の面材は絵画のようだ。住戸内の床はシート張りフローリングだが、突板仕上げのように映る。
辛子色や淡いブルーのクッションを配したキャンパス地のようなL字型ソファーセットは、〝こんな提案がしたかったのよ〟と言いたそうな、「Bloomoi(ブルーモワ)」のメンバーの誇らしげな顔が目に浮かぶ。
この〝最強〟の女性目線のマンションの販売を担当するのが、RBA野球にも参加している加覧憲一氏をリーダとするチームだ。加覧氏はかつて国学院久我山の選手として、今でいえば清宮くんみたいに騒がれた人だが、本人とチームメンバーの加齢により弱体化する一方で、今では〝最弱〟チームに成り下がっている。
この最強と最弱の取り合わせが面白い。販売事務所は商品企画意図を最大限表現できていると記者はみた。販売動向に注目だ。加覧氏の名誉のために言い添えるが、加覧氏は同社のヒット作をたくさん担当している。

「Bloomoi(ブルーモワ)」収納
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公園に隣接・近接するマンションをここ1~2年たくさん取材してきた。同社のマンションでいえば、加覧氏がリーダーを務めた「Brillia上野池之端」がそうだ。
今回の「大山」は、都の民設公園制度を活用した第一号「Brillia萩山四季の森公園」を彷彿とさせるような物件だ。詳細は省くが、この民設公園制度はその後一件も供給されていない。残念だ。
美しく機能的な「Brillia大山Park Front」を演出する東建・加覧-磯田コンビ(2017/9/19)
東京建物 「Bloomoi(ブルーモワ)」が「理想のリビング空間」公開(2016/2/18)

