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 三井不動産とつくばエクスプレス(TX)を運営する首都圏新都市鉄道(TX)は1月29日、つくばエクスプレス「柏の葉キャンパス」駅北側高架下に商業施設を開発し、6月に開業すると発表した。

 「屋台」をモチーフとした19区画の小型飲食店舗を整備することで、店主と周辺の居住者や就労者、大学関係者、来街者など多様なお相互のコミュニケーションを活性化し、地域の新しいコミュニティを醸成することを目指す。出店店舗については未定で、公募による誘致も予定している。

 店舗面積は約421㎡。施工は大和ハウス工業。開業予定は今年6月。

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 結構なことだ。「柏の葉」の駅周辺には現在、そのような店はないはずだ。

 新興住宅地に何が欠けているかといえば「屋台」だ。多摩センターも当初、パチンコ屋といかがわしい店(記者は入ったことがない。念のため)がなぜかあったが、仕事の帰りや仲間で飲むような「屋台」らしきものがなく困ったものだ。いまはありすぎて、利用するのがためらわれるひどい店もたくさんある。

 

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平成30年「新春経済講演会」(グランドプリンスホテル新高輪で)

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平田代表

 ナイスパートナー会連合会とナイスは1月26日、恒例の平成30年「新春経済講演会」を行った。関係者ら約1,600名が参加した。

 冒頭、ナイスグループ・平田恒一郎代表がグループの概況と取り組みについて講演し、日本経済・業界動向について「職人・材料不足、資材高騰などの懸念材料があり、世界の様々な政治リスクがあり、何が起きるかわからない不安材料もあるが、イノベーションが成長を促す。今年はデフレからインフレに向かうのではないか」と述べ、「〝清く正しくまじめなナイス〟を掲げ、環境・耐震・健康の3つのキーワードで『素適革命』を加速させ、『素適開花』させるべく未来にワークする。当社には現場力と理念の武器がある。ナイス真・次元の年にしたい」などと語った。

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 以下、パネルディスカッションに参加したパネリスト各氏の今年の住宅着工戸数、株価予想、景気動向などコメントを紹介する。(50音順)

 SMB建材・角柄明彦社長 経済は緩やかに回復。人手不足、物流コストアップなど懸念材料はあるが、オリンピック・パラリンピックに向け消費マインドはプラスに働く。住宅着工は後半に消費税アップに伴う駆け込みもあり97万戸くらいとみている。株価は25,000~26,000円、為替は115~120円。〝自国主義〟が跋扈するのが怖い

 セイホク・井上篤博社長 エコロジーを推進するナイスさんはエコ贔屓する。株価はわが国への投資が増えそうで27,000円。住宅着工は92万戸と低めに見ている。輸入を減らし、国産材を採用した合板をフル生産し、森林・林業再生に貢献したい

 大建工業・億田正則社長 住宅着工は後半に伸び96~99万戸。日経平均は米国の株価の伸びなどから換算して27,840円もありうる。この業界に人が入ってこないので、働き方改革も進める

 TOTO・喜田村円社長 当社は昨年、創業100周年を迎えた。住宅着工は分譲が高くなりすぎなので95~96万戸ていど。株価は26,000~27,000円で落ち着く。中国経済は底堅いものがある。省エネは消費者に分かりやすいアプローチを考えている

 ニチハ・山中龍夫社長 経済は別だが政治状況がひどい。注意する必要がある。原油高、資材高、金利高も懸念材料で、目先の株価は27,000円もあるかもしれないが後半まで持つか。規制緩和の副作用も怖い。そうなると22,000円に戻る。住宅着工は94~95万戸が着地点。職人不足がこたえてきた。サイディングのプレカット? 実現すれば爆発的に広がる

 パナソニック エコソリューションズ・北野亮社長 悲観材料見えにくい。株価が下がるとは考えていない。3万円もあるかと考えたが、25,000円と予想しておく。住宅着工は前年並みの95万戸。スマートスピーカー? 当社は予定ない。今更(参入しても)勝ち目はない。景気はオリンピック後の2025年には崖があるのではないか

 吉野石膏・須藤永作社長 住宅着工は96.5~95万戸。マンションは価格が上昇し買い控えが進む。賃貸は過剰だが、後半に向け全体として回復する。株価は27,000~28,000円(別掲の石こうボードの値上げを示唆した記事参照

 LIXIL・大坪一彦副社長 グループ再編を進める。新生LIXILの年。価格制度を変更する。キッチン、バスルームなど水回りが好調。水晶7割、石3割のハイブリッド新商品も投入する。スマートエクステリアにも力を入れる。着工は強気も考えたが96万戸くらいにしておく。株価は経済成長率などから判断して25,000円くらい

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パネルディスカッション後の懇親会

 タカラレーベンがオーナーチェンジに特化した中古マンション買取再販事業に参入する。進出に伴い、グループ会社のタフコの社名を2月1日付で「レーベンゼストック」に変更し、代表取締役社長に岡部剛氏が就任する。

 新会社は、1戸から複数戸まで買い受け、入居者が退去した後にリノベーションを行い、新築マンションブランド「LEBEN」で培った高いデザイン性と住み心地を兼ね備えたリニューアルマンションを供給する。

 先日、同じ団塊世代の先輩社員が「牧田さん、このコラムどうですか」と1月23日付「住宅新報」を読むよう促した。

 それは、「不動産屋の独り言 賃貸現場の喜怒哀楽」というタイトルがついた、〝元官僚の傲慢さにあきれる 更新通知の度に訪問命令〟という見出しのコラムだった。以下、概略を紹介する。

 このコラム氏が社長を務める会社の管理するマンションに元官僚が住んでいた。更新時になると「そちらから来なさいよ」と元官僚が言うのだという。

 そして、コラム氏は想像をたくましくし、「このような横柄な態度は役人時代の習慣によるのだろう」と解釈し、「勤めていた頃はいつもふんぞり返り」「接待攻勢も受けていたことだろう」と言い切る。「特権階級意識を退職後まで持ち続ける役人は大嫌いである」と私憤をぶちまける。

 さらにまた、保険会社の代理店社長の女性から「更新通知が届いたけれど、こちらは家賃を払っているのだからそちらから手続きをしに来なさいよ」と高圧的に言われたことがあり、その仕返しであるのか、敷金精算時に家主負担か入居者に請求すべきか迷うものはすべてその女性に請求したのだと恐ろしいことを平気で書く。

 その一方で、「上から目線でものを言わず、せめて対等に接してくれれば言われなくても様々な便宜を図る」と、言外にこのコラム氏は優しいとほのめかす。

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 賃貸には興味がない記者はこれを読んで特段の感想はなかった。「こういう人もいるんですかね」と返した。すると、先輩社員は「これは本末転倒ではないか。お客さんのところに出向くのが当たり前」と鋭い一発を放った。

 「…ン」-この一言にやや大げさだが、まるで稲妻に打たれたような衝撃を受けた。鈍麻した記者の頭を揺さぶった。いっぺんに目が覚めた。「そう、仰る通り。訳が分からぬ礼金、更新料は徴収すべきではないというのが30年も昔からの私の主張」と口走っていた。

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 コラム氏は自ら〝不動産屋〟とわざわざタイトルに付けるように、〝不動産屋〟には八百屋、床屋とはまた違った意味が込められていることを承知の上で書いているはずだ。ならばこれはもう威風堂々の増上慢、夜郎自大、うめぼれ屋だ。

 「礼金」「更新料」などの時代遅れの商習慣にすがりつき、死守しようとするコラム氏のような賃貸管理会社が幅を利かせる限り、賃貸を脱出して分譲住宅を購入する人が後を絶たないという流れは不変だ。

 空き家820万戸の半分以上、関東都市圏に限れば65%は賃貸という現実を業界関係者はどう考えるのか。

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 私事だが、10数年前、埼玉の賃貸アパートに住む友人から相談を受けた。それまでの個人の管理業者からは「このご時世ですからね」と1カ月分の更新料は据え置きだったのが、その方が亡くなり別の管理会社に交代した後の更新時期に50%近い更新料の値上げを要求されたのだという。

 直情径行が過ぎるのが欠点ではあるのだが、記者はその管理会社に赴き、「更新料の徴収は時代遅れの商習慣。やめるべきだし、値上げするしないは貸し主、借主双方が話し合って決めるべき。一方的な値上げ通告は納得できない」とねじ込んだ。

 業者は「あなたのような方は初めて」と最初は拒否の姿勢を示したが、結局、据え置きにした。そのあと、礼金や更新料は徴収しないことと定めた東京ルールが施行された。(埼玉県はどうなっているのか知らない)

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 賃貸借契約において「礼金(key money)」「更新料(renewal fee)」なる訳の分からない商習慣をやめよという記事はこれまでも書いてきた。中国や韓国には「礼金」「更新料」なる概念がそもそもない。「key money」やら「renewal fee」などと英語に訳したところで、通じるのか。そこで、賃貸管理に詳しい業界の方に聞いてみた。次のような返事が返ってきた。ほぼ全文を紹介する。

 「礼金は日本でも首都圏だけだと思います。大阪は敷引きでいまでも数カ月分取っていると思われます。東京(都心部)はマーケットの状況に左右されるのが実情です。ここ数年は7割以上で礼金1カ月は取れている貸し手市場です。礼金2カ月で募集しているところもあります。一方、外国人エキスパッツ向けなど超高額帯は募集時に礼金はないのが一般的です。逆に、借り手市場の時は礼金なしにするキャンペーンが盛んに行われます。
 よって、訳の分からない商習慣というのは言い過ぎだと思います。もともと住宅供給が少ない時代のお礼というのが由来です。今の『供給<需要』のマーケットは言ってみれば同じ状況です。そして結果的には市場で受け入れられているのが現実です。
 礼金がない世の中になれば、借り手は借りやすくなります。借りやすくなれば、転居が増え、経済活動が活発になりますね(仲介、引っ越し、家具等の業者も潤います)。なので、立場的には礼金なしは賛成です。貸主業での考え方は真逆です。取れるものは取りたいということです。
 次に更新料はなんとも言えないです。借り続けてもらえるのはどちらにもメリットありです。なのに借主側はなぜ更新料を払わなければならないのか…と思います。更新料を取るならその分で何かしらのリニューアルをするのが本来の筋だと思います。外国人はこの辺はしっかりしています。権利主張ですね。更新時の賃料増減やマーケット相場にも連動することがあるので、そもそも絶対ではないと思います。例えば更新料ナシになるなら更新しますと言う具合です」

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須藤氏

 吉野石膏・須藤永作社長は1月26日、石膏ボードの値上げを検討していることを明らかにした。「原材料はものによっては20%上昇している。それに人手不足は深刻で、(価格を抑制する)企業努力の限界を超えている。できれば値上げしたい」と、ナイスとナイスパートナー会連合会が合同で行った「平成30年新春経済講演会」のパネルディスカッションで語った。

 その理由として配送コストの上昇を指摘。「運転手を募集しても集まらないし、採用してもすぐやめる。(ビルなどの)非住宅は問題ないが、アパート、戸建ては4トン車で運転手1人が運び、荷下ろしを行う。現場には大工さんなどがいても手伝ってもらえない。建築主に荷下ろしについて応分の負担をお願いしたい」と理解を求めた。

  コーディネーターを務めたナイス・平田恒一郎社長に再度コメントを求められた須藤氏は「(エコ住宅に取り組んでいる)ナイスさんはエコひいきしたいが、(値上げの)話はさせていただく」と決意が高いことを示した。

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「平成30年新春経済講演会」(グランドプリンスホテル新高輪で)

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 いったい戸建てなどの住宅にどれくらいの量・重量の石こうボードが使用されているのか、全体のコストに占める割合がどれくらいなのか全く知らないが、記者などは持ち上げられる重量はせいぜい20キロまでで、運ぶとすれば10キロが限界だ。

 4トン車といえば、相撲取り(平均体重164キロ)にすれば約24人分だ。これだけの量と重さのある石こうボードを一人で荷下ろしするその労働が過酷なものであることは十分理解できる。

 マンションなどと比べ戸建ての建築費は比較的安定して推移しているが、約85%のシェアを占める同社が値上げに踏み切れば他社も追随するのは必至で、他の建設資材に波及することも十分ありうる。

 石こうボードは防火性に優れ、安価であることからあらゆる建築物に使用されている。

 

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「ヴィータス文京千駄木」

 伊藤忠都市開発と東急リバブルのJVリノベーションマンション「ヴィータス文京千駄木」を見学した。築23年の全24戸の賃貸マンションをフルリノベーションしたもので、2週間で公開できる6戸のうち2戸に申し込みが入るなど順調な立ち上がり。

 物件は、東京メトロ南北線本駒込駅から徒歩6分、同千代田線千駄木駅から徒歩7分、文京区千駄木5丁目に位置する6階建て全24戸。建築年月は平成7年3月。現在分譲中の住戸(3戸)の専有面積は50.40~54.00㎡、価格は4,480万~4,780万円。坪単価は300万円の予定。販売代理は東急リバブル。

 現地は、団子坂のヒルトップ。近くには「森鴎外記念館」「夏目漱石居宅跡」「青鞜社発祥の跡」などがある。

 建物は賃貸だったものを両社が取得したもので、賃貸借契約が終了し、賃借人が退去したあとに順次リノベして分譲していく。エントランスやエントランスホールなど共用部のバリューアップ工事も実施済み。

 両社は機会があれば一緒にリノベマンション事業を行うとしているが、今後は未定。

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エントランス(左)とモデルルーム

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 この日は取材の帰りに立ち寄った喫茶店の水が温かく感じるほど寒い日だったが、見学してよかった。青鞜社の発祥跡に巡り合えたのがなにより嬉しかった。女性解放運動の先駆者・平塚らいてうが雑誌「青鞜」の創刊号(明治44年9月)に寄せた発刊の辞「元始、女性は太陽であった」がよみがえった。発刊の辞は「青空文庫」でも読めるので、若い人にぜひ読んでいただきたい。跡地は東京建物の「Brillia」のマンションになっていた。

 森鴎外が曽祖父という千葉大学予防医学センター長・森千里教授には昨年11月にお目にかかることができた。

 この界隈の同じ道を平塚らいてう、野上弥生子、夏目漱石、森鴎外が歩いていたかと想像するだけでハッピーな気持ちになる。そんな地にこのマンションはある。

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「青鞜社」発祥の地を示す銘板(左)と「森鴎外記念館」

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 モデルルームを見学して、天井高はリビングが2350ミリだったので、賃貸仕様であることがすぐ分かった。サッシも単板ガラスだった。

 分譲単価は予想した通り。新築は400万円前後が相場だから、リーズナブルな価格設定ではないかと思う。

  最寄駅からは徒歩7分以内でよかった。戸建てではないが「工夫(リノベ)次第で資産になる」のか。

積水ハウス・千葉大 健康増進につながる空気環境 研究第3段階へ 実験棟完成(2017/11/10)

 

 

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「不動産格差」(日本経済新聞出版社) 

 前回、「5年前までは駅から徒歩10分でよかったものがどうして今は7分なのか、7分を超えると極端に買い手が少なくなるのは本当か、長嶋氏は全く説明していない」と書いた。

 実際はどうか。「駅から7分以内」(以下、駅7分)と「駅から8分以上」(以下、以遠)でそんなに売れ行きが極端に異なるのか、現在と5年前を比較してみた。データは不動産経済研究所の「不動産経済調査月報」に拠った。(人のふんどしで相撲を取りたくないのだが)

 2017年11月のマンション平均月間契約率は67.9%で、「駅7分」は69.8%、「以遠」は64.5%だ。明らかに「以遠」のほうが売れ行きは悪い。しかも、「駅7分」の供給量は2,141戸に対し、「以遠」は1,225戸だから、傾向としては「駅7分」に各社がシフトしていると取れなくもない。しかし、「駅7分」だって、巷間言われる「好調」ラインの70%(このマクロデータを鵜呑みにするな)を割っている。

 一方、5年前の2011年10月の平均月間契約率は70.4%で、「駅7分」は71.6%、「以遠」は68.7%(一部修正)だ。供給量は「駅7分」が1,625戸で、「以遠」は1,038戸だ。

 この2つの事例だけでは断定できないが、「極端」な差はない。長嶋氏の主張は根底から崩れるといえないか。前回も書いたとおり、ユーザーが物件を選択する際に重視するのは「価格」「間取り・部屋数」「交通アクセス」「広さ」「日当たり・風通し」であるのは今も昔も変わらない。

 デベロッパーだって「駅7分」を仕入れようとするのは当然だ。ユーザーがそれを望んでいるからだ。しかし、「価格が安くて、間取りが広くて、交通便が良くて、環境もいい」マンションなんて皆無だ。仮にこれらの条件を満たすとすれば、相場の3~4倍でも売れるはずだ(タワーマンションの下層階と上層階はこれくらい差がある物件は少なくないが)。

 ユーザーの希望する条件を満たせないから、「以遠」物件では様々な工夫を凝らす。価格を下げる、設備仕様レベルを上げる、間取りを広くする…などだ。商品企画・販売担当はこれらに需給関係、競合物件の動向などをにらみながら価格を設定する。マンション事業の難しくて面白いところだ。市場は絶えず動いており、一瞬でも判断を間違うと売れ行きに響いてくるから目が離せない。

 …と、まあ、ここまで書いてきたが、こんなのは相撲でいえば目くらましか張り手だ。野球なら長嶋さん(修氏じゃありません)の客受けを狙った空振りだ。日経(出版社)さんも長嶋(修)さんもびくともしないだろう。が、次の一撃は両者を叩き潰すに十分な反論になるはずだ。

 記者はこの記事を書くにあたって、デベロッパー各社に次の質問をした。①「7分を超えると、極端に買い手が少なくなる」「徒歩7分を超える用地仕入れには非常に慎重」は事実か②この主張には「購入者」の視点が欠落していると思うがどうか。住宅は金融商品ではない③この本の影響はあるか④分譲戸建ては「駅徒歩7分以内」の供給シェアはどれくらいあるか-。

 これに対して、「社名出していただいて構いませんので応援演説に加勢いたします」と、3年連続供給トップで、業績も絶好調の住友不動産の広報マンからメールが届いた。メールは個人からだが、同社の公式コメントととれる。

 これには①7分以内か否かで土地の仕入れを区別することはない②安定供給を行い、様々なニーズに応えるラインナップを取り揃えている③ある記者から「7分以内でないと売れないんでしょ?」と問われた経験あり④分譲戸建てで7分以内のシェアは極めて低い-とある。

 「以遠」でもよく売れている事例として今月末に竣工する「シティテラス小金井公園」(922戸)を上げた。

 「これまでに500戸を契約するなど、お客さまから圧倒的な支持を受けています。緑豊かな環境、規模感、共用施設・共用サービスの充実、専用シャトルバス運行など、駅近にはない落ち着いた住環境と、スケールメリットを活かした商品企画の充実によって、30代ファミリーを中心に幅広い世代から評価されています。駅近でなくとも物件の魅力を最大限に高め、利便性の向上を図ることや資産性のあるマンションを創るため、商品企画を日々研究し続けています」とコメントしている。

 「小金井公園」は、西武線花小金井駅から徒歩8分(JR武蔵小金井駅からバス6分徒歩4分)の物件だ。一昨年の分譲開始だが、これまたすごい販売スピードだ。「7分を超えると、極端に買い手が少なくなる」とどうしていえるのか(これは冗談だが、8分にしておけば同社の反撃はなかったかも⇒いいかげんなことを言ってはダメということ)。

 同社がネットで公表しているマンションを「駅7分」と「以遠」に分けてみた。比率は58(物件):30(物件)だ。広報マンのコメントを裏付けている。「以遠」の仕入れに「非常に慎重」な姿勢をとったら、売り上げ・戸数は激減するはずだ。

 他の大手デベロッパーの「駅7分」と「以遠」の比率もネットで調べた。三井不動産レジデンシャルのマンションは39:17で、戸建てを含めると45:43だ。野村不動産はマンション・戸建て合計で25:39(戸建てが多い)と逆転する。最近「駅近」に注力している明和地所のマンションは13:10だ。

 ある大手不動産流通会社からもメールが届いた。紹介すると①私が担当しているエリアで見る限り、そのような客観的事実はありません②仰る通りです。お客様は、価格、通勤、通学、子育て環境など、トータルで総合的に判断しております③お客様、当社社員から話題に上がった記憶がありません④正式なデ-タは取っておりませんが、主観的な感覚で言えば10~15%、良くても20%前後-とある。

 また、別の方は次のコメントを寄せた。「牧田さんのご指摘はごもっともだと思います。先に申し上げておくと、個人的には長島修氏はキライではないです(業界では希少人種です)。彼の問題意識は業界人はキチンと認識すべきです。ただし、近年はすっかり御意見番的な立ち位置になってしまい、『世の中に必要とされなくなったら、さくら事務所は解体すればよい』と潔く言い切っていた頃の歯切れの良さが影を潜めているのは正直残念ではあります。それと、実務から離れられている影響か、今の現場の状況を的確に掴めているとは思えない意見・主張が目立ちます。一部の偏った人たち(正直現場をご存じない上の方々と新興系企業の方々)の意見ばかりを聞いてアップデートしていくあまり、結果として顧客不在の机上論が展開されるのだと思われます。 今回の著書も、そんな流れの中で書かれたものだと、発売直後、読んだ際に感じました」

 あるデベロッパーも「当社としては商品企画で勝負するところもあり、徒歩分数で仕入れをやめるということでもない」としている。

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 これで記者の言いたいこと、目的は達せられた。コメントを寄せられた方々に感謝します。どうしたらマンションが売れるかと頭を絞るデベロッパーと、それこそ飲まず食わず、涙ぐましい節約を行いマイホーム取得の夢を見ているユーザーの声を代弁できたはずだ。

 全体として「消費者目線」がこの本には欠落していると思う。〝不動産の9割が下がる〟〝2022年、住宅地バブルの崩壊〟などと危機感をあおり、最後に〝戸建ては手入れ次第で資産になる〟〝空き家は直ちに売却〟せよと誘導・指南する論理の組み立てはどこか宗教団体の勧誘と似ている。自らの立ち位置が不明確で、「第三者」的な頭巾を被っているから余計に怖い。

 しかしながら、この記事はためにするために書いたものではない。参考にすべきところもたくさんある。次に紹介する。

続く

羊頭狗肉だ 「マンションは『駅7分以内』しか買うな!」の本は買うな!(上)(2018/1/24)

住友不 小金井カントリーを眼下 「シティテラス小金井公園」は坪215万円(2016/7/26)

 

 

 

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仲井氏

 積水ハウスは1月24日、新しい代表取締役社長に取締役常務執行役員の仲井嘉浩氏が就任すると発表。合わせて代表取締役社長兼COO・阿部俊則氏は代表取締役会長に、取締役副社長兼CFO・稲垣士郎氏は代表取締役副会長に、代表取締役会長兼CEO・和田勇氏は取締役相談役にそれぞれ就任すると発表した。いずれも2月1日付。和田氏は4月末の定時株主総会をもって取締役を退任する予定。

 異動の理由として同社は「世代交代を図り、激動する市場環境に対応できる新たなガバナンス体制を構築し、事業の継続的な成長を図っていくため」としている。

 仲井嘉浩(なかい よしひろ)氏は昭和40年4月30日生まれ(52歳)。京都府出身。昭和63年3月、京都大学工学部卒。同年4月、同社入社。平成24年2月、経営企画部長、同26年4月、執行役員経営企画部長、同28年4月、取締役、常務執行役員、経営企画・経理財務担当。 現在に至る。

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 和田会長が退任されると、絶滅危惧種の大阪弁を聞く機会が少なくなるので残念だが、新社長に就任される仲井氏も大阪弁を話されるそうだ。「負けたらあかんで東京に」を実践していただきたい。

「財界賞」は榊原・経団連会長 「経営者賞」に矢野・住林会長 後藤・西武HD社長など(2018/1/21)

 

 

 

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「GEMS茅場町」(左)と「GEMS神宮前」

 野村不動産は1月24日、都市型商施設「GEMS(ジェムズ)」シリーズの6棟目となる「GEMS茅場町」を3月16日に、7棟目の「GEMS神宮前」を4月27日にそれぞれ開業すると発表した。

 今年は、今回の茅場町、神宮前を含め、三軒茶屋、新橋、新横浜で開業する予定で、関西エリアでも初の開業する予定。

 2012年にブランド第1号「GEMS渋谷」を開業して以来、開発案件は15棟、店舗数は136店舗となる。今後の開発予定の投資額は約200億円。

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「不動産格差」

 さて、皆さんは昨年5月、帯に「マンションは『駅7分以内』しか買うな!」という惹句が大書きされた日本経済新聞出版社の新書版「不動産格差」(長嶋修氏著)が発刊されたのをご存じか。これまで6刷を重ね「販売冊数は3万冊。この種の本としては好調」(同出版社)のベストセラーだ。発売当初、書店の店頭に平積みされたその本を見て記者は驚きかつ嫌悪感を覚えた。いかにもぼったくりバーの客引きか年増女のストリップティーズのようなうたい文句ではあるが、読者心理を巧みに読んだ「帯」であるのも確かで〝(この本を)買うなら今でしょ〟と内なる悪魔がささやいた。

 しばし逡巡したのち、結局は正義が勝った。無視を決め込んだ。年間100件から200件のマンションや分譲戸建て現場取材を続けてきた記者だ。いくら高価な白粉や口紅で塗りたくり挑発しようと、その裏に透けて見える毛をむしり取られたブロイラーのような、100円ショップのおろし金のような、腐臭すら漂う素肌を一瞬にして見抜く眼力が備わっている(積りだ)。そんな安直な本に誘惑されてたまるか。

 もともと記者はこの種のマンション本はほとんど読まない。丹念なフィールドワークが生命線であるはずなのに、それを怠り、大方が国土交通省やら経済産業省やらその他民間の調査機関のデータを寄せ集めつぎはぎし、自分の都合(売るため)に加工しているのが落ちだ。所詮はほとんどが伝聞旧聞のたぐいに過ぎない。

 ここ数年、「駅近」マンションが人気になっているのは記者もよく知っている。富裕層・アッパーミドル向けの高額マンションが売れるのは結構なことだ。それを煽る記事もたくさん書いてきた。その一方で、郊外マンションを応援する記事にも心血を注いできた。記者はユーザーの見方ではないかもしれないが、敵でもない。マンション適地の価格・建築費の上昇で、普通のサラリーマンが東京23区でも買えなくなってきたことに心を痛めている。

 それから半年。「駅7分」は忘れかけていたが、のどに刺さった小骨のように、奥歯に挟まった焼き鳥の小片のようにずっと心のどこかにわだかまっていた。そして、つい先日、わずか1年4カ月で500戸近くを成約した野村不動産「オハナ淵野辺」の取材をしているときだ。だしぬけに〝お前は駅7分を忘れたのか。誰の味方だ、それでも記者か〟と、今度は内なる天使が呼び掛けた。

 今度はためらいがなかった。なるほど。二流三流の出版社や受けだけを狙った名も知れぬ著者だったら無視するのだが、発行者は天下の日経新聞(出版社)だ。著者は国土交通省や経済産業省などの各種委員会委員を務めたこともある業界にはよく知られた不動産コンサルタントの長嶋氏だ。これはもうほっとけない。反論あるのみだと決断した。書かない、書きます、書く、書くとき、書けば、書け、書こう!

 すぐ本を買った。代金はタバコ2箱分だが、自腹を切るのは癪に障るので会社に請求することにした。

 読んでグリコのようにおいしくはないのだがまた驚いた。件の「駅から7分以内」は、何とたった3行しか書かれていないではないか。次の通りだ。

 「売買・賃貸とも、5年前は『駅徒歩10分』で良かったのですが、昨今は『駅徒歩7分』が目安です。7分を超えると、極端に買い手が少なくなります。新築マンションデベロッパーも、昨今は徒歩7分を超える用地仕入れには非常に慎重です」(113~114ページ)

 5年前までは駅から徒歩10分でよかったものがどうして今は7分なのか、7分を超えると極端に買い手が少なくなるのは本当か、長嶋氏は全く説明していない。

 これでは羊頭狗肉ではないかと怒りがせりあがってきたが、ぐっとこらえた。

 「富裕層やアッパーミドル向けが投資や資産性を優先して購入する」という条件付きで、この長嶋氏の主張に同意する。交通利便性は重要な物件選好の要素の一つだし、都心部の高額マンションの値上がりはまだ序の口だ。お金持ちはどんどん都心の「駅近」はもちろん№1マンションを買えといいたい。

 しかし、長嶋氏も「不動産の売買価格は株価などと異なり…」(92ページ)と書くように、マンションは金融商品では断じてない。買わずにはいられない事情がみんなある。死ぬまで暮らせるほど賃貸は安くないし、なによりあらゆる居住性能が劣る。

 データは少し古いが、アットホームの2012年の住宅購入者に対するアンケート調査を紹介する。アンケートほどあてにならないものはないが、アットホームのそれはとても面白い。記者はいつも腹を抱えながら読む。

 このアンケートは非常にまじめなもので、的確に住宅購入者の意識を捉えている。住宅取得層の素顔がよくわかる。調査対象は、この年に住宅を購入した20~40歳代の首都圏に住む男女600人で、世帯年収は平均886万円。

 これによると、マンションも戸建ても購入理由は「家賃がもったいない」が50%前後でトップ、以下「金利が低い」「自分の家を持ちたかったから」「税制優遇があるから」と続き、「資産を持ちたかったから」は6番目18%に過ぎない。

 購入動機は、トップの「いい物件があったから」はともかく、「結婚」「出産」「賃貸借契約更新」「子供の進学」「親と同居」「転勤」などだ。不動産の資産性を考慮する余裕などないことが分かる。

 購入価格は中古マンションの平均2,851万円からもっとも高い新築マンションでも4,479万円だ。親からの援助も平均で682万円。重視するのはもちろん「価格」がトップで、「間取り・部屋数」「交通アクセス」「広さ」「日当たり・風通し」などと続く。

 最寄り駅までの所要時間は、マンションは「徒歩3分以内」と「徒歩5分以内」を合わせると41.5%だが、「徒歩10分以内」が20.3%、「徒歩15分以内」が13.4%あり、それ以上も7.7%ある。戸建ては「徒歩10分以内」がもっとも多く20.3%で、「徒歩3分以内」と「徒歩5分以内」「徒歩10分以内」を合わせても35.9%しかない。約64%の人が「徒歩10分以上」になっている。

 実につましい購入者像が浮かびあがるではないか。一生に一度の買い物をするためにみんな涙ぐましい努力を行っている。

 長嶋氏もこのようなデータを知らないはずがないし、東京23区内の「徒歩7分以内」の子育てファミリー向けなら6,000万円以上ということもご存じのはずだ。知らなければマンションについて語る資格はないし、知っていて「7分以内」と強弁するのであればもう何をかいわんや。

 長嶋氏はこの住宅取得層に冷水を浴びせかけた。これが許せないのだ。

続く

(次回は、具体的事実に基づいて「駅7分」に反論を加える)

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