「とても満足」「満足」が85% プレハブ建築協会 お客様アンケート
プレハブ建築協会は3月28日、恒例のお客様アンケート調査結果をまとめ発表した。総合評価では「とても満足」「満足」が85%に上った。
23回目となる今回は、アンケート内容を見直し、調査項目を充実、営業担当者の対応について細かく調査するとともに評価尺度も細かくし、設計・工事・アフターサービス担当者等への評価についても調査項目に加えた。調査対象は会員のメーカー10社が新築し2015年に入居した1,300名で、回答は669名(有効回収率51.5%)。
メーカー選定理由は、前回と同様「安心できる会社だった」「品質・性能が優れていた」「営業担当者の説明に納得できた」ことが多く、プレハブ住宅を選定する上で「安心」「品質」「納得」が重要であることがうかがえる。営業担当者に対しては、「人柄・営業態度」の評価がもっとも高く、「説明やアドバイス」「住まいづくりに関する知識」の評価がそれに続いている。
契約段階以後(設計~工事~入居後)の対応については、段階が進むにつれて評価が徐々に低下する傾向が見られることから、今後、契約以降の営業担当者の対応についても満足度を高めるような取り組みが必要としている。
また、アフターサービス分野も水準を高める余地があるとしている。
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毎回思うのだが、お客様の住宅に対する満足度は回答率の高さに表れている。50%を超えているのだから総じて評価が高いと言えそうだ。欲を言えば、回答しない人はなぜなのか、その理由が知りたい。追跡調査をしてはどうか。
アンケート項目については考慮してほしいことがある。メーカー選定理由の設問は「安心できる会社だった」「品質・性能が優れていた」「営業担当の説明に納得できた」「希望を反映した提案が良かった」「アフターサービスが良いから」「外観・デザインが気に入ったから」「知人に薦められたから」などとなっている。
この「安心」「品質・性能」などは漠としてよくわからない。何が「安心」なのか具体的に問うべきだろうし、「品質・性能」についても、耐震性、遮音・断熱性、耐久性、広さなどのほかに天井高、収納率、ユニバーサルデザイン、設備仕様など細かな点について聞いてほしい。ユニバーサルデザインは気がつきにくいかもしれないが、極めて重要だと思う。
そうすれば、選定理由では13%しかない「外観・デザインが気に入ったから」の評価は相対的に高まるのではないかと思う。品質の高さは間違いなく「外観・デザイン」に表れるはずだ。そのデザインについてもどのようなデザインが気に入ったのか聞けば面白い結果が出るのではないか。
視点を変えれば高齢社会は無限の可能性あり ホスピタルデザイン研究会がフォーラム
「ヘルスケアデザイン産業の最前線」(京王プラザホテルで)
ホスピタルデザイン研究会(代表:戸倉蓉子氏)は3月27日、日本医師会、公益資本主義推進協議会、東京都健康長寿医療センター、日本居住福祉学会などが後援する「ヘルスケアデザイン産業の最前線」と題するフォーラムを開いた。
キックオフ講演会では、経済産業省ヘルスケア産業課課長・江崎禎英氏が「生涯現役社会の構築に向けて」と、医療法人社団慶成会会長・大塚宣夫氏が「高齢者よ大志を抱け!」と題する講演をそれぞれ行った。
医療・介護、建設、住宅・リフォーム、建築士、ホテルなど幅広い分野から約120名が参加した。
戸倉氏
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江崎氏の話は、厚労省などの悲観的で絶望的なデータを経産省の立場から分析すればまったく別の展望が開けるという意味でとても面白かった。要は予防医療に力を注ぎ、高齢者が自ら誇りが持てるように遇し、どんどん社会進出を促す取り組みをすべきということだ。江崎氏が「介護ろし」などと現行の制度を皮肉ったのにはびっくりしたが、当意即妙その通りだと思った。
大塚氏の話も面白かった。大塚氏は、高齢者の増加、家族による介護力の低下、社会保障制度の前提の崩壊などを述べた後、老後を豊かに過ごすための基礎知識を次の通り紹介した。
1)生物の歴史から見た晩年
親を見るDNAは引き継がれていない
2)75歳で心身とも変わる
臓器の耐用年数は70年。自己修復力の低下。認知症の不安など
3)自分を元気に保つ術
自分で老け込むな。依存心を捨てよ。体の言うことを聞くな。リタイアしても朝外出して夕方まで帰るな、それのほうが奥さんも喜ぶ。年を取ったら独立自存
4)老後の沙汰(も金次第とは言わなかったが)
感謝の気持ち。現金主義を貫き不都合、不便を回避せよ
5)終わり良ければすべて良し
つらい思いを家族にさせない。介護はプロに任す
6)高齢者施設の活用
「終身介護」は要注意、8割は後悔する。最期に入る場所を決めておく。それまでは入らないよう頑張る
また、大塚氏は超高齢社会への提言として、高齢者の定義は少なくとも75歳以上にすべきとし、寝たきりが少ないヨーロッパ人の人生の終わり方を紹介し、緩和ケアを充実させ、「自分で嚥下できなくなったら寿命」と悟るべきで、大往生の人生をよしとする社会的コンセンサスが必要と話した。
大塚氏は医療付き老人ホームの「青梅慶友病院」(700床)と高齢者ホスピス「よみうりランド慶友病院」(240床)の会長を務めており、その概要を紹介した。平均年齢は「青梅」が89歳、「よみうり」が87歳。年間死亡は「青梅」が276名、「よみうり」が163名。入院期間は「青梅」が2年半、「よみうり」が1年半。
江崎氏(左)と大塚氏
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フォーラムを企画した埼玉県住まいづくり協議会副会長、日本居住福祉学会関東支部長などを務めるリブラン会長・鈴木靜雄氏が「戸倉さんは平成のナイチンゲール」と持ち上げ、「経産省、日本医師会、日本商工会議所の3者が手を携えるという過去にはありえないトライアングルが実現した。健康経営の取り組みもオーソライズされ、あらゆる産業が健康になることが求められる時代になった。住や医療が連携して次のステップに進まなければならない」と語った。
その言葉は理解できても、なかなか実感できない記者は、これから住宅・不動産業はどうしたら健康長寿社会の実現に貢献できるのか、なにが求められているのかずっと考えた。
真っ先に浮かんだのは富裕層ビジネスだ。これはすでにデベロッパーやハウスメーカーが取り組んでいるが、これに元気な高齢者向けのビジネスも絡んでくる。新しいビジネスモデルも生まれるかもしれない。そんな期待感を抱かせるフォーラムだった。それほど参加者の業種は多種多彩だった。
鈴木氏
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最近話題になっているビジネスとして、第1回「日本サービス大賞」の内閣総理大臣賞を受賞したJR九州の「ななつ星in九州」がある。
JR九州によると、「ななつ星in九州」のスタートは2013年10月で、利用者は昨年11月22日の9期までで約7,700名に達する。利用者の平均年齢は64.4歳で、60歳代を中心に50歳代から70歳代、居住地は関東が多いという。最近の企画では2人利用で200万円~300万円だが、申込受付の電話はつながらない状態だ。
クルーズ人口はどうか。国土交通省の調査では2000年の21.6万人をピークにその後減り続け20万人を割っていたが、2012年に21.7万人へ回復し、2013年には23.8万人と過去最高を記録している。
視点を変えれば、金融資産が数百兆円になるはずの高齢者・富裕層向けのビジネスは無限に広がる。
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記者も相当酒が入っているころだった。ゆったりした作務衣か甚平か茶羽織かを羽織った下駄ばきのおじさんが登壇した。会場の沸き具合からして相当の人であることが分かった。日本BE研究所所長・行徳哲男氏(84歳)だった。会場からは「先生はマグロと一緒。泳ぎ続けなければならない。100歳に向かって頑張って」などの声援が飛んだ。
その先生が、いま話題の安倍昭恵夫人にエールを送る書を披露した。明治天皇御製による「あらし吹く 世にも動くな 人ごころ いはほに根ざす 松のごとくに」という和歌だそうだ。
なるほど。いかに政情、人心が混乱していようと泰然自若として構えなさいということのようだ。
安部昭恵夫人にエールの明治天皇御製の和歌
行徳氏
相羽建設会長・相羽正氏「うちにはなぜか大正天皇に献上した潜水艦の100分の1の模型があるんだよ。社長は65歳のとき、娘婿に譲った。今は何もしていない」
絆コーポレーション所長・吉村健司氏(RBA関係者にはお馴染み)
野村不動産アーバン 大宮と立川に仲介店舗 「野村の仲介+」75部店舗に
野村不動産アーバンネットは3月27日、売買仲介店舗「大宮センター」(さいたま市大宮区)と「立川センター」(立川市)を4月2日に開設すると発表した。
今回の店舗開設により「野村の仲介+」の部店数は首都圏69部店・関西圏6部店の計75部店となる。
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先日、東急リバブルが店舗開設を発表したとき、全国のリバブルネットワークは176カ所となり、この5年間で39店舗、28.5%増やしたと書いた。
同じように野村不動産アーバンネットも調べた。5年前の2011年は42店舗だったので、同社も33店舗、78.6%増やしたことになる。
一方、不動産流通業の〝2強〟三井不動産リアルティと住友不動産販売は店舗集約、移転、改装などは頻繁に行っているが、店舗数そのものはそれほど増えていない。
後続にとっては店舗増=売上増につながると読み、2強はシェアを奪われないよう質の向上を図る図式が見えてくる。
RBA「こだわり記事」は継続します 「住宅サーチ」終了に当たって
すでに告知されていますが、日経新聞のWeb「住宅サーチ」の不動産検索サービスが2017年3月31日をもって終了となり、「住宅最前線 こだわリポート」も同時に終了となります。
2011年4月から6年間、記者の独断と偏見に満ちた記事を事前検閲などまったくせず転載していただいた「住宅サーチ」関係者に心からお礼申し上げます。
そして何よりも辛抱強く読んでいただいた読者の皆さんにお礼申し上げます。ありがとうございました。
振り返ってみれば、読者の皆さんが期待されるセカンド・オピニオン、ネガティブ情報については期待に沿えなかったのではないかと考えています。
しかし、これは当初「住宅サーチ読者の方々へ」でもお断りしましたように、「最優先するのは業界の利益」であって、個別マンションの欠点・難点をあげつらうような記事は書くまいと自らを戒めてきました。中には見立て違いがあったかもしれませんが、意図的にそのような記事を書いたことはありません。これからも書くつもりは全くありません。
むしろ、そのような情報が飛び交っている電子掲示板がよい方向に向かうことを期待しています。
「住宅サーチ」への転載は終了しますが、「RBAタイムズWeb版」はこれまで通りです。〝記事はラブレター〟をモットーに、体力・気力が続く限り情報を発信していきます。「お気に入り」にでも入れていただければ幸いです。
重ねてこれまで拙い記事に付きあってくださった皆さんに感謝しお礼申し上げます。
どこにも負けない先進の街づくり「浦和美園E-フォレスト」竣工 街びらき
「浦和美園E-フォレスト」街びらきセレモニー
さいたま市の「次世代自動車・スマートエネルギー特区」事業コンペに採択された中央住宅・高砂建設・アキュラホーム3社による戸建て「浦和美園E-フォレスト」が竣工し、3月26日、街びらきセレモニーが行われた。主催者のさいたま市長・清水勇人氏、高砂建設社長・風間健氏、アキュラホーム社長・宮沢俊哉氏、中央住宅社長・品川典久氏がそれぞれあいさつしたほか、関係者、入居者らで竣工を祝った。
最初に挨拶した清水さいたま市長は「『浦和美園E-フォレスト』は産官学が連携した『次世代自動車・スマートエネルギー特区』の象徴的プロジェクト。低炭素で災害に強く、コミュニティを育む取り組みは『ジャパン・レジリエンス・アワード』(強靭化大賞)に選ばれた。今年度末で期間が終了する特区は3年間延長するよう国に申請した。同様の街づくりは第2期、第3期も予定しており全体で100戸くらいの規模にし、さらに市内全域で展開していきたい」と述べた。
続いて登壇した埼玉県住まいづくり協議会の会長も務める風間氏は「協議会設立20周年プロジェクトであり、日本の最先端を行く取り組みだと自負している。全国の見本となることを期待している」と語った。
同協議会副会長の宮沢氏は「さいたま市はアキュラホーム発祥の地で、わたしも市民。手弁当で行ってきた協議会の活動が認知され、民も官も会員か続々参加するようになってきた全国的に珍しい団体。『E-フォレスト』は北海道並みのHEAT20さいたま版を搭載した省エネ、コミュニティ支援など高邁な思想を掲げ、永代にわたって豊かな街となるよう英知を絞った」と経緯について語った。
また、同協議会副会長の品川氏は「当社グループはイオンがオープンした2006年から戸建てを積極的に展開してきた。『E-フォレスト』は21世紀にふさわしい街になった。これをモデルに今後も豊かで楽しく、安心・安全の街づくりを行い、地域の活性化に貢献したい」と抱負を述べた。
セレモニーにはポラスグループがトップパートナーになっている浦和レッドダイヤモンズの淵田敬三社長も登壇。イギリス・リバプールでの経験を引き合いに「スタジアムが街の中心にあり、サッカーを中心にした文化、環境は浦和でもできると強く感じた。みなさん、ポラスさんのロゴが入ったレッズのユニフォームを着て応援に来てください」と呼び掛けた。
左から清水、風間、宮沢、品川、淵田の各氏
テープカット
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この街の素晴らしさについては昨年末見学して記事にしているのでそちらを参照していただきたい。同じような先進的な取り組みを行っている横浜市や柏市に負けない。あとは情報発信力だと思う。
この日はあいにくの雨模様だったが、来場者は約200名にものぼった。街づくりの主人公でもある入居者にも話を聞いた。
中央住宅の戸建てを購入した東川口に住む夫婦と1歳と4歳の子ども4人家族のご主人(32歳)は、「駅に近いこととスマートシティの取り組みが選好の決め手。マンションも検討したが、管理費などを考えて戸建てを選んだ」と話していた。
全33棟の「浦和美園E-フォレスト」の内訳・販売状況は、中央住宅が21棟(残4棟)、高砂建設が6棟(残2棟)、アキュラホームが6棟(残2棟)。
入居者の方
各敷地に地役権を設定し、路地としても機能するようにしている
アキュラホームから参加者にプレゼントされた有機野菜
高砂建設から提供された埼玉産の杉で造った本箱・椅子
中央住宅からはモデルハウスで使用された小物がプレゼントされた
三井不リアルティ 仲介店舗 「三井のリハウス 六本松センター」開設 全国279店舗に
三井不動産リアルティ九州は3月24日、仲介店舗 「三井のリハウス 六本松センター」を4月1日(土)に開設すると発表した。
これで三井不動産リアルティグループの仲介店舗数は全国で279店舗となる。
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東急リバブルがこの5年間で店舗数を39店舗、28.5%も増やし176店舗にしたので、業界トップの三井不動産リアルティはどうなのか聞いた。
約100店舗多いことが分かったのだが、同社は「5年前の2012年4月、直営リハウス5社を吸収合併し、ユニット制の導入、全国の店舗リニューアル工事、リハウスブランドロゴのリニューアル、360°サポートの導入など、ここ5年間余り、不動産仲介事業におけるサービス品質の向上に向けた施策を中心に取り組んできた」(広報)としている。
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住友不動産は3月17日、住友不動産販売の普通株式を公開買付けにより取得し、完全子会社化すると発表した。
事業環境の変化に迅速に対応するためには経営資源の集約及び市場情報の一元管理の必要性が益々高まってくることから下した決断だ。これによって、一時は三井不動産リアルティ、住友不動産販売、東急リバブル、東京建物不動産販売の4社が東証市場に上場していたのが、すべて消えることになる。
寂しい限りだがこれもやむを得ない。時代の流れだ。一般のユーザーからすれば親も子も一緒。総合力がいよいよ問われる時代に突入したということだ。
呉越同舟効果 「5本の樹計画」の本領発揮 積水「品川シーサイド」1期207戸!
「グランドメゾン品川シーサイドの杜」完成予想図
積水ハウスが4月1日に分譲する「グランドメゾン品川シーサイドの杜」を見学した。近接する京急電鉄他「プライムパークス品川シーサイド」(1,152戸)と激突するが、商品企画では負けない。こちらも第1期は207戸の大量供給。坪単価は308万円で、京急「ザ タワー」より若干安い。
物件は、東京臨海高速鉄道りんかい線品川シーサイド駅から徒歩3分、京急本線青物横丁駅から徒歩6分、品川区東品川4丁目に位置する19階建て全687戸(他にゲストルームなど)。専有面積は62.33~77.23㎡、第1期販売戸数は207戸で、価格は5,190万~8,390万円(最多価格帯6,600万円台)。平均坪単価308万円。竣工予定は平成31年11月下旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。長期優良住宅認定、耐震等級2を取得。
敷地面積約13,000㎡のうち約3,700㎡を緑化。〝3本は鳥のために、2本は蝶のために〟という同社の「5本の樹計画」にそって約15,000本の樹木を植栽。敷地全体を「杜」にするのが特徴。
建物は柱・梁型が居室内に出ないアウトフレーム設計を採用。住棟はコの字型で、中庭を囲むように南向き、東向き、西向きの構成。12基のエレベータを設置して4戸1エレベータを実現。4戸のうちの2戸に付いては共用廊下側にプライベートバルコニーを設置する。
設備仕様では、メーターモジュール、ドア把手の壁面までのセットバック、折上げ天井の廊下、天然石のキッチン天板、食洗機、ミストサウナなどが標準装備。リビング天井高は2500~2650ミリ。
販売事務所
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最大の関心事は、近接する京急電鉄他「プライムパークス品川シーサイド ザ タワー」(817戸)とのバッティングが吉と出るか凶となるのか、あるいは共倒れとなるのか相乗効果を発揮してWin-Winの関係となるのか。販売事務所は同じビルの上と下で呉越同舟。
京急の物件は先日紹介した。「品川」の未来を強烈にアピールしており、第1期供給量が395戸(「ザ タワー」が300戸、「レジデンス」が95戸)に達するように好調なスタートを切った。
同じような例としては、大成有楽不動産「オーベルグランディオ品川勝島」がある。ほとんど知られていない倉庫街の「勝島」の物件を「品川」エリアであることを徹底して訴えた。これが見事に成功した。
一方の積水ハウスは、京急と同じ長谷工施工だがコンセプトがまるで異なる。「SLOW&SMART」のブランドビジョンと「家に帰れば、積水ハウス」のコミュニケーションワードを前面に打ち出している。シアターでも物件の説明はほとんどなく、渡り鳥キビタキに託して同社が目指している住まいづくりを訴えている。バックには同社のCM音楽も流れていた。
販売事務所の設営も京急とは全く異なっている。京急の演出には記者も感動したのだが、積水はスペース全体(京急より広い)を「5本の樹計画」の草木で埋めている。造花の類ではく、ほとんどすべてが本物の草木だ。1階住戸のモデルルームは奥行き3mのバルコニー付で、ここにも本物の観葉樹を植え、付加価値を高めている。
共用部分に本物の草木を植え癒しの空間を演出した例としては、三井不動産レジデンシャル「パークコート麻布十番ザ タワー」があるが、マンションギャラリーでこれほど草木を配したのは初めて見た。さすが積水というべきか。マンションギャラリー所長・長嶺伸之氏は「通常の3倍くらいのボリューム」とこともなげに言った。
第1期供給量は京急が395戸、積水が207戸。合計で602戸だ。これはすごい数字だ。結構住み分けもできているような印象も受けた。Win-Winの関係になる可能性もある。双方で低迷市場を吹き飛ばすか。
モデルルーム
京急電鉄他「品川シーサイド」 資産性アピール 多様なニーズ取り込む戦略(2017/3/14)
マンション管理協 管理員の待遇改善を重要課題に 呼称も変えてほしい
先月、別掲の「掃除は科学 床は朝日、窓は読売〟 マンション管理員のスゴ技を1日体験」という見出しの記事を書いた。
マンション管理の仕事がどのようなものか全く知らないのに〝マンションは管理を買え〟などと記事を書くのは管理員や購入検討者に失礼だと思い、取材させてもらったのだが、取材してデベロッパーや管理会社は管理員の待遇改善に一層力を注ぐべきだと強く感じた。
そこで、先日3月16日に行われたマンション管理業協会(管理協)恒例の記者懇親会でこの問題について質問した。
山根弘美・理事長は所用で欠席だったが、栗原清・副理事長(大京アステージ会長)は「ご指摘の通り。フロント、管理員の待遇改善は来期の重要課題の一つ。業務委託契約にサービスの内容を明確にし、報酬に反映させたい」と語った。
また、岡本潮・副理事長(東急コミュニティー会長)も「契約内容がクリアでないのは伝統的になっている。仕事(仕様)の範囲などを明確にし、対価についてもクリアにするよう研究会を開いて取り組んでいる。一歩踏み出した」と答えた。大島宏志・専務理事も「業務委託契約書の見直しについては国交省にも要望している。業界をあげて取り組んでいく」と話した。
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管理員の待遇の悪さに管理協の役員も心を痛めていることがよくわかった。全力で取り組んでいただくようお願いしたい。
個人的には「管理員」「管理人」という呼称も変更したほうがいいと思う。この業界には宅地建物取引士(宅建士)、不動産鑑定士、マンション管理士、建築士、測量士などの「士」がたくさんあり、管理業務主任者という国家資格もある。
一方の「管理員」はどうか。掃除を科学の域にまで高め、マンションの資産価値の維持・向上のために粉骨砕身している技能者であるにも関わらず、「士」とは大きな差がある。職業に貴賎なし-とはよく言われるが、名は体を現すという言葉もある。待遇改善と同時に呼称を格上げすれば、人材不足は一挙に解消されるはずだ。
「看護婦」は「看護師」に、「保母」は「保育士」に、「宅建主任者」は「宅建士」にそれぞれ格上げされた。「農夫」「炭鉱夫」「工夫」「八百屋」「芸人」「外人」など「-人」「-夫」なども軒並み放送禁止用語として自主規制しているではないか。法律用語ですら「日雇い」は「自由労働者」(これは本当だろうか)に、「按摩(あんま)」は「あんま師」と言い換えているではないか。そのうちに「家政婦」「美人」「主婦」も消えるかもしれない。(NHKに聞いたら「ケースバイケースで「特に決めているわけではない」とのことだ)
ここまで自粛すると益々日本語が貧しくなり、却って格差社会を覆い隠すイチジクの葉っぱにならないか不安も感じるのだが、ここまでくれば一蓮托生だ。「管理人」もせめて「宅建士」クラスに格上げしてしかるべきだ。
ついでだが「特別養護老人ホーム」「有料老人ホーム」はやめていただきたい。これこそ差別用語だ。こんな差別用語を使っているから「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)なる意味不明の言葉も生まれる。特別に擁護されなければならない老人とは何か、「有料」があるのなら「無料」はあるのか、高齢者はサービスがない(このサービスもものすごく曖昧)施設を利用する選択肢もあるということか。
創建 ECCと提携 語学教室が無料のシェアハウス 大阪・吹田市に開設
「シェアハウス千里古江台」
創建は4月1日、ECCと提携し、暮らしながら英語が習得できる「シェアハウス千里古江台」を大阪・吹田市のパナホーム社宅跡地でオープンする。
同社の賃貸リノベーション事業の一貫として行うもので、ECCと提携し平日17:00から21:00までシェアハウス内で入居者を対象とした語学教室が無料で開かれる。近くにある大型銭湯「健康温泉 万博おゆば」と提携し500円で入湯も可能。
物件は、大阪モノレール山田駅から徒歩11分、大阪府吹田市古江台5丁目に位置する4階建て全72室。収容人数は144名。居室面積は17㎡。賃料は個室が5万円/月、シェアハウスが3万円/月。共用施設はキッチン、トイレ、洗面室、シャワールーム、コインランドリー、多目的室、談話室、喫煙室など。
三井不 柏の葉スマートシティ 世界的権威の「Futura Mega Project」最優秀賞受賞
「柏の葉スマートシティ」
三井不動産は3月23日、同社のスマートシティ戦略のフラッグシッププロジェクト 「柏の葉スマートシティ」(千葉県柏市)の街づくりが、MIPIM(不動産プロフェッショナル国際マーケット会議)が表彰する「The MIPIM Awards 2017」の「Futura Mega Project」(将来的な大規模開発プロジェクト)部門で最優秀賞を受賞したと発表した。
MIPIMアワードは、世界の不動産業界におけるもっとも権威のある賞の一つで、毎年さまざまなカテゴリーの中から革新性や偉業を成し遂げた優れたプロジェクトが表彰される。
「柏の葉スマートシティ」は、2005年から千葉県柏市のつくばエクスプレス「柏の葉キャンパス」駅周辺で公・民・学が連携して「環境共生」「健康長寿」「新産業創造」の実現を目指し、開発が進められている課題解決型の街づくり事業。
今回の「MIPIM Awards 2017」の「Futura Mega Project」部門では、将来的な街づくりの可能性と環境配慮型の都市の実現、地域に根付くコミュニティの形成に寄与するプロジェク トとして表彰された。