すてきナイス 三井、野村と肩を並べた分譲戸建て これからが正念場
すてきナイスの住宅事業
日暮社長
すてきナイスグループは6月1日、2017年3月期決算の説明会を開き、同社・日暮清社長と大野弘取締役が1時間半にわたって詳細な報告を行った。売上高は2,464億円(前期比103.3%)で営業利益は15億円(同93.2%)ととなり、売上高の68.7%を占める建築資材事業の営業利益は過去20年で最高水準となり、マンションから戸建てにシフトチェンジした住宅事業も堅調に推移していることなどを話した。以下、決算数字と日暮社長の説明などから住宅事業について考えてみた。
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同社の前期の住宅事業の売上高は一戸建てが319億円、マンションが212億円。戸数は1,323(一戸建て831戸、首都圏マンション434戸、地方マンション58戸)。6年前は戸数1,336戸(一戸建て207戸、首都圏マンション1,060戸、地方マンション69戸)だから、完全に戸建てとマンションが逆転した。今期の一戸建ての売上目標は950戸。
マンション市場はリーマンショック後、大手デベロッパー(とくに三井、三菱、住友、野村)の寡占化が進行しており、これらに大和ハウスや積水ハウスのハウスメーカー、大京、東建、東急不、NTT都市開発、伊藤忠都市開発、新日鉄興和、さらには資金力がある近鉄、阪急、京急、相鉄などの電鉄(系)が攻勢を強めている。中堅デベロッパーは駅近の用地取得合戦で太刀打ちできず、競争を回避する形で大手が手を出さない〝隙間〟や郊外・地方へ〝転戦〟せざるを得ない状況が今後も続くはずだ。同社がリスキーなマンション事業から戸建てへシフトするのは賢明な選択だ。
武器も揃った。先に書いたようにBELS、CLT、ZEHなどはどこにも負けないし〝木の時代〟は加速する。本社に隣接して2015年にオープンした「スマートウェルネス体感パビリオン」の来場者は8,000名を超えたというし、同じような施設は「群馬」「新潟」にも開設した。モデルハウスは「横浜」に続き「藤沢」にも設ける。威力を発揮するのは間違いない。自ら木材、資材を調達できるのも強みだ。
分譲戸建て分野では課題がないわけではない。この分野は、システマテックな手法を徹底させ、圧倒的な価格の安さで優位に立つ、年間4万戸を販売する飯田グループが王者として君臨する。大手ハウスメーカー社長は「うちは土地代がただでもかなわない」とお手上げだ。
ここと競争するのは意味のないことだと思うが、建売りの価格下げ圧力は強まる一方で、同業の追い上げもある。いかに質を落とさず、トータルな価格競争力を向上させるかが問われる。これからが正念場だ。
同社の計上戸数のうち6割、約500戸が分譲戸建てだ。ハウスメーカーを除けば三井、野村と肩を並べるまでに伸びた。
日暮社長は「これからは売り建て(停止条件付き)や注文を伸ばし、建売りの比率を下げたい。手間がかかる仕事の平準化を進めて利益率を高めたい」と語った。
記者は、フージャースコーポレーションが劇的に変わったようにデザインと外構に力を注ぐべきだと思うが、同社の建売りを近く見学して商品企画についてレポートしたい。
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ついでに同社の沿革・株式ポストについて。同社は1950年、市売木材として創業。1962年、東証2部に上場。1972年に日榮住宅資材に社名変更し、1988年は日榮不動産へ、1995年にナイス日榮へ、2000年にナイスへ、そして2007年には持株会社体制への移行に伴い現社名になった。「ナイス日榮」から「ナイス」への変更は、当時、悪質な事業者ローン問題を引き起こした「日榮」を連想させ、風評被害があったための変更ではあったが、67年間に5回も社名を変更した上場会社は同社だけでないか。
その是非は分からないが、株式ポストは「卸売業」だ。売上比率からすれば同社は商社だからそうなのかもしれないが、戸建て・マンションの住宅事業や木材事業比率も低くなく、多角化を推進している。「卸売業」のイメージとは程遠い。
同社は全国8カ所に約1,836ヘクタールの森林(新宿区とほぼ同じ広さ)を保有し、地球温暖化防止に貢献するとともに「木材」という人と環境にやさしい社会性のある事業を行っている。最近は国産材利用、BELS、CLT、ZEH、免震マンション、復興支援、スマートウェルネス体感パビリオンなど先進的な取り組みを強化しており、隈研吾氏の起用や慶大、京大などの学との連携を図るなど話題性に富む事業を展開している。
業態は「建設業」ポストに入っている住友林業に近いのではないか。住林と比べると売上高も利益率も比較にならないが、こうした環境への取り組みや社会的に意義のある事業展開を考慮すれば、住林の10分1以下という同社の株価150円前後は解せない。
この日の決算説明会にはたくさんのアナリストが出席していたはずだが、企業の価値は収益性よりも企業サステナビリティ(社会性)がより重視されるべきだと思うがどうか。日暮社長、せっかく立派なホテルで説明会を開くのだから、そのまま懇親会にしてこの点をアピールしてはどうか。記者は20年以上、RBA野球大会で同社チームのメンバーと交流しているが、勝っても負けてもしっかりミーティングを行い、チームワークを大事にしているのに感心している。家族経営的な社風はもっと評価されていい。
不動産流通経営協会(FRK)新理事長に榊真二氏(東急リバブル社長)
不動産流通経営協会懇親会8ホテルオークラで)
榊氏
不動産流通経営協会(FRK)は6月1日、定時総会を開き、新理事長に榊真二氏(東急リバブル社長)を選任した。前理事長の田中俊和氏(住友不動産販売社長)は副理事長に、元理事長で相談役の竹井英久氏(三井不動産リアルティ会長)は顧問に就任した。新任の副理事長には山代裕彦氏(三井不動産リアルティ社長)、田島穣氏(三菱地所リアルエステートサービス社長)が就任した。
総会後の懇親会の冒頭であいさつに立った榊氏は、昨年度の既存マンション流通量が新築マンションの供給量を上回ったことを受けて、「優良な住宅の供給を担う新築住宅市場とストックを活用する既存住宅市場とがまさに車の両輪として市場を活性化していく状況が生まれた」とし、2025年には既存住宅市場の規模を8兆円に倍増させるという国の方針に沿うために3点の重要施策について述べた。
第1点として、不動産流通の現場と行政の橋渡しの役割を担う政策提言と調査研究に力を入れることを上げた。
第2点目には、「消費者が不動産業者に期待するサービスの質は高度化・多様化している」とし、宅建士などがそうした―ニーズに応えられるよう更なる教育研修に注力するとした。
第3点目としては、不動産流通業が「お客さま一人ひとりの夢の実現をお手伝いする情報ビジネス産業」とし、最新の情報技術を駆使してサービスの質の向上と生産性の向上に知恵を絞ると話した。
来賓として登壇した国土交通省土地・建設産業局の谷脇暁局長は、「昨年度は生産性向上元年だったが、今年度はそれを前進させる年」とし、不動産特定共同事業法を改正して、小規模な事業に参画しやすい環境を整えることなどを話した。
谷脇氏
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榊新理事長が新築マンション市場と既存住宅市場を「車の両輪」と語ったことに注目したい。FRKがこのような文言を使ったのは初めてではないか。
消費者にとって、新築、既存住宅、さらに賃貸住宅も含めて選択の幅が広がるのは結構なことだ。「FRKの会員であれば安心・安全」できるようにしていただきたい。
東急不動産 「旧軽井沢ホテル」を取得
「旧軽井沢ホテル」
東急不動産は6月1日、軽井沢の名門ホテル「旧軽井沢ホテル」を取得したと発表した。
同社は会員制リゾートホテル「東急ハーヴェストクラブ旧軽井沢/旧軽井沢アネックス」を展開しており、近接の塩沢エリアでも「東急ハーヴェストクラブ軽井沢&VIALA」を建設中で、2018年7月に開業する予定。
同ホテルを取得することで、軽井沢エリアの会員制ホテルとパブリックホテルを展開できることとなる。
旧軽井沢ホテルは、長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢に位置。地下1階地上3階建て延べ床面積約5,800㎡。客室数50室のうち約9割が40㎡超。他に木造平屋建ての教会がある。2015年7月に大規模改修済み。
ラウンジ
「女性のほうがコミュニケーション能力高い」 「じゅうたく小町」参加者の声
「じゅうたく小町部会」一周年記念式典
5月29日行われた全国低層住宅労務安全協議会(低住協)「じゅうたく小町部会」一周年記念式典で、式典の進行役を務めた大和ハウス工業人事部ダイバーシティ推進室次長・鳥生由起江氏は「いろんなことを考えるキックオフの場にしたい」と式典を締めた。
その通りだと思った。日建連「けんせつ小町」が掲げる「もっと女性が活躍できる建設業を目指して」の取り組みも、低住協の「じゅうたく小町」が〝小町クローバー〟に込めた〝住まいを通じてお客様と幸せと安心を提供する〟などの4つの想いは実にわかりいい。
しかし、式典は掛け声ばかりで一向に進まない〝女性活躍〟の実態を浮き彫りにした。2020年までに女性の管理職比率を30%に引き上げようという政府の目標「2030」なんか絶望的ではないか。以下、式典で拾った声を紹介する。男性にとって耳が痛い、ドキリとするものばかりだ。
伊藤氏
・国土交通省大臣官房審議官・伊藤明子氏 これからはモノ・ハコから生活・暮らしの産業にならなければならないが、大事なのはコミュニケーション能力、創造力。これは女性のほうが(男性より)能力が高い
・鹿島建設・須田久美子氏 〝大きなものを作りたい〟というのが私の夢で、大学3年のとき土木はわたしの天職だと思った。周囲の応援があり、阪神淡路のときは24時間仕事に没頭することができた。わたしのこれからの仕事は、100年後に土木が職業人気ランク1位になる100年プランを作成すること
・(入社12年目、子供なし) 最初の3年間は6時に起きて7時半には現場。仕事を終えて家に着くのは9時前。食事は主人のほうが上手
・(入社6年目、二人の子どもとイクメン) 育休のとき一級建築士の資格を取得した。2人目の子どもが生まれたとき主人が育休を半年取ってくれたおかげで早く仕事に復帰できた。主人の協力があるとものすごくラク。本来は男も(家事労働負担は)は同じ(この方は「妊娠発覚」という言葉を用いた。われわれの時代は妊娠が判明すると赤飯をたいて祝ったりした。意図はないのだろうが「発覚」という言葉は現在の女性が置かれている立場を如実に物語っている。戦前の不況期と同じだ。それとも今が戦争の危機か)
・(女性が現場に出ることで変わったことについて各氏) みんなで早く帰ることができた 思ったことがすぐ相談できる 職場がきれいになる 残業が減った 快適トイレは男性も使いたいという声が上がった
須田氏の特別講演
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3回にわたって「じゅうたく小町」の記事を書いた。熊谷組の黒嶋氏は「みんなで週休2日を実現しよう」と呼び掛けた。鹿島の須田氏は建設土木の仕事が職業人気№1になる100年後プランを考えているという。その一方で、ドアに背中を付けながら用足しをしなければならない建設現場のトイレがあることも分かった。
高邁な理想を掲げる女性がいる一方で、劣悪な労働環境で働いている女性がたくさんいる-このギャップをどう考えるか。残念ながら建設現場の女性の声を経営トップに伝え、実践させるのは極めて困難だろうと思う。この1カ月間、4~5人の経営トップに働き改革ついて聞いたが、全くと言っていいほど危機感など抱いていない。縮小するパイの奪い合いしか念頭にないようだ。
「じゅうたく小町」の皆さん、本気で働き方改革を実行するのなら覚悟を決めたほうがいい。参考になる小説を一つ。最近読み始めた帚木蓬生「水神」(新潮文庫)だ。農民(皆さん)がお上(経営トップ)の顔を立てながら難事を成し遂げる物語だ。
それにしても「全国低層住宅労務安全協議会」(低住協)などといういかめしい名称をよくも使い続けているものだ。記者は全労協(失礼。労働組合と思えばこれはこれで立派)かと思った。「低住協」の「低」もまた低級を連想させる。「じゅうたく小町」にふさわしい名称に変更すべきだ。「全国」組織にすることも急ぐべきだ。
建設現場の週休2日制導入 待ったなし 「じゅうたく小町」参加者に聞く(2017/5/31)
建設現場の仮設トイレ利用しない」 「じゅうたく小町」会員の声をどう聞くか(2017/5/30)
女性輝けないトイレ 「利用しない」公園90%、駅38%、職場30% 国交省アンケート(2017/1/21)
労働環境改善活動にエール 全国低住協「じゅうたく小町部会」に参加して(2016/11/26)
建設現場の週休2日制導入 待ったなし 「じゅうたく小町」参加者に聞く
「じゅうたく小町部会」一周年記念式典(すみだ産業会館で)
記者のいまの最大の関心事はマンション価格が下がるかどうか、そのカギを握る建設費はこの先どうなるかだ。5月29日行われた全国低層住宅労務安全協議会(低住協)「じゅうたく小町部会」一周年記念式典の取材の第一のテーマも、建設現場の労働時間短縮、週休2日制の導入は可能か否かだった。
というのも、「こだわり記事」でも書いたが、日建連・中村満義会長は「建設業の長時間労働の是正には週休二日の定着が必要でありますが…建設業としては、この政府の決定を真摯に受け止め、長時間労働の是正に精いっぱい努力してまいります」とコメントしているように、5年間の猶予期間を待たずに労働時間短縮に取り組む姿勢を明らかにした。週休2日は待ったなしだ。
黒嶋氏(左)と須田氏
式典でこの問題に積極的に踏み込んだ参加者がいた。熊谷組経営企画本部ダイバーシティ推進室担当副部長・黒嶋敦子氏だ。
パネルディスカッション「これからの建設業女性活躍について」のパネラーとして登壇した黒嶋氏は、ダイバーシティ推進室を昨年スタートさせ、ダイバーシティパトロールの実施、女性用作業服の採用、約100名の女性技術者による交流会の実施、健康経営優良法人「ホワイト500」に初認定されたことなど同社の取り組みを紹介したあと、「建設業は残業が多すぎる。女性が働きやすい職場は男性にとっても働きやすい職場だと思う。みんなで週休2日を実現しよう」と呼び掛けた。
式典後、この問題についてさらに聞いた。「(週休2日を)オリンピックまでに対応するのは難しいが、今年から土木と建設でそれぞれモデル現場の設定を目指している。意識を変えないといけない。日建連からも実現に向けて努力するように言われている」と話した。
同じように週休2日制の導入に前向きな考えを示したのは、特別講演として自らの現場経験を話した鹿島建設・須田久美子氏だ。記者の「週休2日制の導入はその分コストアップ要因にならないか」という質問に「大きなコストアップにつながらないよう工夫してやらないといけない。オリンピック後? いえ、それよりも早く取り組む必要がある」と語った。
小谷氏(左)と鳥生氏
しかし、ハウスメーカー側は簡単にイエスと答えられない事情がありそうだ。ネラーとして登壇もした積水ハウス経営企画部ダイバーシティ推進室部長・小谷美樹氏は「業界全体の働き方改革として考え、当社としても課題だととらえています」と明言を避け、式典の進行役を務めた大和ハウス工業人事部ダイバーシティ推進室次長・鳥生由起江氏も「業界全体としてそのような動きにあります」と話すにとどめた。
ビル・マンションなどと戸建てなどでは建設現場での週休2日制の導入には温度差があることが分かった。
建設現場の仮設トイレ利用しない」 「じゅうたく小町」会員の声をどう聞くか(2017/5/30)
女性輝けないトイレ 「利用しない」公園90%、駅38%、職場30% 国交省アンケート(2017/1/21)
労働環境改善活動にエール 全国低住協「じゅうたく小町部会」に参加して(2016/11/26)
旭化成不動産レジ わが国初の民間マンション「四谷コーポラス」建て替えへ
「四谷コーポラス」
旭化成不動産レジデンスは5月30日、わが国初の民間分譲マンション「四谷コーポラス」の建て替え決議が3月25日に成立、5月に全員合意となり、9月に解体工事に着手すると発表した。
「四谷コーポラス」は、1956年(昭和31年)竣工の築61年を迎える5階建て全28戸のマンション。専有面積はフラットが約51㎡(4戸)、メゾネットが約76㎡(24戸)。メゾネットの価格は1戸233万円で、大卒の初任給が1万円程度だった当時、時代の最先端をいく高級住宅だった。従後は6階建て51戸(販売戸数28戸)、専有面積は約38~55㎡となる。2019年7月竣工予定。
建て替え・大規模修繕等の検討会が2006年にスタート。その後東日本大震災をきっかけに耐震性能への不安が顕著化し、建物の高経年化に伴う給排水管の老朽化などの理由から建替えを中心に検討することとなり、決議が成立した。
同社は、区分所有者(25名)の大半が再建後のマンションを再取得することを考えているため、権利者それぞれの想いや要望に丁寧に応えるオーダーメイドの住戸プランニングを行うとしている。
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このマンションが建て替えられることは「週刊住宅」関係者から聞いていた。理由は明かせないが、記者が35年前の昭和57年6月24日号「週刊住宅」で全8段を使ってこのマンションの記事を書いたことがあり、その記事コピーを送ってくれたからだ。
同紙が破たんしたいま、その記事コピーを掲載するのは著作権の問題がありそうなので紹介できないのが残念だが、確か1週間くらいかけて取材して記事にした。(興味のある方は国会図書館でどうぞ。コピー&ペーストの記事でないことは分かっていただけるはずだ)
旭化成不動産レジデンスはプレスリリースで「日本初の民間分譲マンションとされる」と伝聞調にしている。当時、「日本初」が諸説あり記者も悩んだ。いろいろ調べた結果「日本初」と書いたのを記憶している。
あの時は梅雨のうっとうしい天気が続いた頃だ。5~6人にインタビューした。みんな快く取材に応じてくれた。分譲時の担当者の声をストレートに伝えようとして書いた。
驚いたのはまだ駆け出しの記者が「中高層集合住宅の老朽化問題は、日本ではこれから直面する未経験の課題である」と書いていることだ。当時、マンションの建て替え事例は2例しかなかった。少しは先を見る目があったと、読み返して安堵した。それにしても、昨日食べた夕食が何だったか忘れるのに、35年前の取材がどうしてよみがえるのか。パンフレットは2色刷りだった。
東急リバブル「ルジェンテ本郷三丁目」 坪単価は400万円強 早期完売か
「ルジェンテ本郷三丁目」モデルルーム
東急リバブルが6月上旬に分譲する「ルジェンテ本郷三丁目」を見学した。本郷3丁目駅から徒歩5分、全28戸のコンパクトマンション。坪単価は400万円強になる模様で、比較的交通量が少ない通りで前面が開けている立地条件などを考えると完売まで時間はかからないと見た。
物件は、東京メトロ丸ノ内線・都営大江戸線本郷三丁目駅から徒歩5分、東京メトロ丸ノ内線御茶ノ水駅から徒歩7分・JR中央線・総武線御茶ノ水駅から徒歩8分、文京区本郷3丁目に位置する12階建て全30戸(事業協力者住戸2戸含む)。専有面積は32.02~56.47㎡、予定価格は3,800万円台~7,200万円台。坪単価は400万円強。建物は平成29年4月に竣工済み。施工は松尾工務店。
現地は、本郷三丁目駅からだとほぼフラット、御茶ノ水駅からだとなだらかな坂を上がったヒルトップ。
建物は東南向きで、前面道路は比較的交通量が少なく、南側前方は三叉路になっているので開放感がある。
住戸プランは標準階が1フロア3戸で専有面積は30~40㎡台のコンパクト、10階から12階は1フロア2戸で専有面積は50㎡台の2LDKが中心。
基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、御影石キッチンカウンター、食洗機(一部除く)、ミストサウナ、三面鏡下モザイクタイルなど。
◇ ◆ ◇
立地条件からして坪単価は420~430万円と見たが、同社は今後も「東大前」(24戸)「根津」(39戸)「春日」(37戸)の文京区内3物件などの供給を予定しており、また竣工売りであることなどから早期完売を狙っての価格設定と思われる。
近隣物件と比較しても割安感がある。価格が6,800万円台~7,200万円台の2LDKの住戸(5戸)がどう動くかだが、他のコンパクトタイプは完売まで時間はかからないと見た。モデルルームのデザインもいい。
「建設現場の仮設トイレ利用しない」 「じゅうたく小町」会員の声をどう聞くか
「じゅうたく小町部会」一周年記念式典(墨田区すみだ産業会館で)
部会長・前田直子氏
魚に例えればやはりめでタイか。刺身でも焼いても煮てもおいしく愛でても美しい、料理のし甲斐、記事の書き甲斐のある取材ができた。5月29日行われた全国低層住宅労務安全協議会(低住協)の「じゅうたく小町部会」一周年記念式典だ。参加者約160名のうち約60名が女性会員で、約20基のお祝いの花輪が会場を華やいだ雰囲気で包んだ。
低住協は、ハウスメーカー、専門工事店、安全関連機材など約60社が参加し、労災防止や労務管理の改善などに取り組んでいる団体で、「じゆうたく小町」はその下部組織。日本建設業連合会(日建連)が推進する「けんせつ小町」と連携して①建設現場の環境整備②技術者としての勤続促進と支援③育児と仕事の両立支援-などに取り組んでいるハウスメーカーの女性技術者・技能者集団。現在、9社70名が参加している。
本題に入る前に、まずは建設現場の仮設トイレについて。
先週末、東急不動産「パークフロント日比谷」の竣工見学会で女子トイレに女優ミラーなるものが備えられているのを見た。調光機能付きの光と鏡で〝夜の女〟に変身するための設備だそうだ。
中身を磨くほうが大事だとは思ったが、女性にとってトイレはものすごく重要なのも理解できる。国交省が協議会を設立して検討を開始したし、明大の人気が劇的にアップしたのもトイレをきれいにしたからだとまことしやかに伝えられている。
にもかかわらず建設現場の仮設トイレは男性の記者ですら入りたくない。小はともかく大はかがまなければならない。女性が入りたくないと思うのは当然だ。昨年、じゅうたく小町の会合を取材したとき、仮設トイレを利用せずコンビニに行くという人の話を聞いてびっくりしたのだが、今回の式典でも仮設を利用しない人がたくさんいた。
パネルディスカッションのパネラーの一人は「若いとき(今でも若いが)利用したが、職人さんの気配が気になった。カギも不安で、ドアに背中を付けなければならなかった。それ以来、2度と利用しないと決めた」と語った。
ゼネコンもハウスメーカーも女性用トイレ環境を整えるべきだと思う。いい商品も開発されている。施主が事情を話せば隣近所で借りることもできるのではないか。
日野興業の仮設トイレ
女性輝けないトイレ 「利用しない」公園90%、駅38%、職場30% 国交省アンケート(2017/1/21)
労働環境改善活動にエール 全国低住協「じゅうたく小町部会」に参加して(2016/11/26)
「デフレ脱却絶望的。郊外マンション価格は下がらない」トータルブレイン・久光社長
久光社長
もうすぐ喜寿(77歳)を迎えるというのに、忙しい仕事の合間を縫って趣味の〝モグリ〟(スキューバダイビング)に近年は年間約70回、この21年間に約1,100回も海外に足げく通っているマンション業界のご意見番、トータルブレイン・久光龍彦社長に話を聞いた。
最近のマンション市場や業界の課題などについては、記者が書く記事より「週刊ダイヤモンド別冊」(2017年5月27日号)を読んでいただきたい。極めて的確に供給動向、販売状況、建築費の動向をとらえていらっしゃる。
いまの市場をけん引している〝元気印〟ユーザーは①パワーカップル(共働きの年収2,000万円以上の層②アッパーミドル(上場企業に勤務するサラリーマンや、その親の支援が受けられる層③アクティブシニア④可処分所得が多いシングル層⑤景気の動向などあまり気にしない富裕層-というのはその通りだと思う。こうした層にターゲットを絞り、ニーズをくみ上げ、あるいは掘り起こせば売れ行きは堅調に推移する。
問題は、圧倒的な需要層である第一次取得層向けのマンションの動向だ。久光氏は「そうした層の取得能力は坪単価180万円、グロスにして3,600万円前後だが、建築費の高騰などからいまは70㎡台で坪単価は210~220万円、グロスで4,600~4,700万円になっている。つまり、売り値を15%下げないと、雇用や社会保障など将来不安を抱える中小企業などに勤務するサラリーマンは買えない」と指摘する。
では、分譲価格は下げられるかどうか。久光氏は厳しいとみる。今は専有面積圧縮やグレードダウンなどでグロス価格を抑制しているが、分譲価格に占める建築費の割合が高い郊外部=第一次取得層向けは国の働き改革圧力が強まることによってゼネコンも労務費などを建築費に転嫁せざるを得なくなるというのだ。
久光氏がもっとも懸念するのは土曜日を休日にする動きだ。オリンピック関連の工事が終了する2~3年後は週休2日が建設業界でも始まるという。職人の給与は日給・月給だから、就労しなくても賃金は下げられず、工期は長くなり、コストアップにつながる。価格に転嫁せざるを得なくなる。
ところが、先に書いたように中堅サラリーマン(言われるところの「ミレニアル世代」)の取得能力は一向に上がる気配がないから、利益率を下げざるを得なくなるという図式は避けられない。
「デフレ脱却は絶望的。建築費は下がらない。若年層の購買力は上がらない。消費増税が待ち構える。オリンピック後が心配だ」と〝元気印〟の久光氏はペシミスティックに捉える。
記者も同感だ。われわれ団塊の世代も若い時は生活が苦しかった。しかし、まじめに働けば賃金は上がるという明るい未来像が描けた。いまのミレニアル世代は、現在の生活に満足していながら将来の雇用や社会保障に漠然とした不安を抱える。消費については常にマイナス思考だ。この意識(社会)を変えないとマンション市場は先細る一方だろう。
◇ ◆ ◇
「建築費は下がらない」根拠として、日本建設業連合会(日建連)・中村満義会長が3月28日付で政府の「働き方改革実現会議」についてコメントを発表しているので紹介する。
「本日(3月28日)、政府は『働き方改革実現会議』においてにおいて、『働き方改革実行計画』を策定されました。
その中で、これまで、時間外労働の上限規制の適用除外であった建設業についても、5年間の猶予期間をおいて適用することになりましたが、日建連としては、建設業における担い手確保のためには、長時間労働の是正は不可欠であるとの石井国土交通大臣の強いご指導に従い、政府の方針に従うことを決断いたしました。
建設業の長時間労働の是正には週休二日の定着が必要でありますが、週休二日を定着させるには、工期の延伸などの困難な課題があり、政府に対して官民の発注者をはじめ、社会全体に受け入れていただくことが前提であると申し上げたところ、政府としても必要な協力を惜しまないと、総理からも表明していただきました。
建設業としては、この政府の決定を真摯に受け止め、長時間労働の是正に精いっぱい努力してまいります」
ロイヤルハウジング 軽井沢で4棟目リゾートマンション「プリンシパル軽井沢」分譲
木島社長
ロイヤルハウジングが、同社としては4棟目のリゾートマンション「プリンシパル軽井沢」を分譲する。JR軽井沢駅から徒歩約14分、軽井沢町軽井沢東に位置する全19戸。1戸当たり平均35坪前後、価格は1億円前後(坪単価300万円前後)の予定。
8月9日に軽井沢大賀ホールでパーティを開き、モデルルームを公開。一般分譲は行わず、これまで同社と取引があった顧客を優先して販売する。
◇ ◆ ◇
同社・木島寛社長(70)と久々にお会いし歓談した。木島社長には公私にわたりお世話になっており、記事にできないことのほうが圧倒的に多いのだが、その歓談の中で「軽井沢」の話が出た。とっさに「坪300万円でどうですか」と聞いたらその通りだった。
主力の不動産仲介業は堅調だ。平成29年3月期の仲介手数料収入は前期比 10%増の約40億円強、不動産売買が約35億円、インテリア部門が約14億円。
同社は今年3月、高齢者事業やリゾート事業に力を入れるため、フジテレビ「ニュースJAPAN」の金融経済アンカー、「日経CNBC」の経済キャスターなどの経歴を持つ谷本有香氏を上席執行役員として招へいした。
木島社長は古希を迎えた。それでも毎週、約30カ所ある店舗を隈なく回っている。視力は1.5だという。
インタビュー後、昼食をおごってもらったのだが、糖尿のためカロリーを抑えている記者はサンドウィッチ、木島社長はその数倍のカロリーがありそうなスフレドリアを注文した。元気が出るはずだ。
元気の源は「出しゃばらないこと。マイペース。人生はロマン」と語った。記者のモットーは「人生は愛」、木島社長は「ロマン」。「愛」も「ロマン」も似たようなものだが、生き方は真逆。視力からして世の中・経済を見る眼力や胆力は普通の人の数倍であることを付け加えておく。