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第20回「木の家・こんな家に住みたい!!」作文コンクール表彰式(すまい・るホールで)

 日本木造住宅産業協議会(木住協)は10月28日、小学生を対象にした第20回「木の家・こんな家に住みたい!!」作文コンクール表彰式を行った。各省大臣賞など18作品や木住協各ブロック賞の合計30作品が入賞。それぞれ賞状と副賞が手渡された。

 コンクールは、国土交通省・文部科学省・農林水産省・環境省・住宅金融支援機構・朝日小学生新聞社の後援を得て行われているもので、今回は過去最多となる海外6か国7校を含め国内外から1,733校の応募があり、応募総数も6年連続の2万点を超える22,778点に上った。

 冒頭にあいさつした木住協会長・市川晃氏(住友林業社長)は、「審査員の方々は素晴らしい作品ばかりで選ぶのが大変だったと仰った。私も読ませていただいたが、情景が目に浮かんだり、やさしい気持ちがよく表現されていたり、わくわくさせられたりして、とてもうれしい気持ちになりました。私たちは美しい自然や環境を未来に残す責任があります。来年のコンクールはもっと成長させる。楽しみにしてください」などと話した。

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 それにしても2万点超の数字がすごい。1点を400字原稿用紙2枚として4万枚超。小説に例えると、世界最長とされる900万文字のマルセル・プルースト「失われた時を求めて」、わが国最長の原稿用紙13,000枚の中里介山「大菩薩峠」をはるかに超える。積み上げると高さは2mくらいに達するはずだ。それを一つひとつ読まれた関係者には頭が下がるばかりだ。

 世の中にはこの木住協の応募数を超える作文コンクールがいくつもあるというから驚きだ。それなのにわが国のノーベル文学賞受賞者は川端康成と大江健三郎氏しかいない。ハルキストは歯ぎしりしているが、日本生まれのイギリス人、カズオ・イシグロ氏に先を越されてしまった。

 そこで木住協にお願いしたい。過去20年間を振り返って子どもの作文力は高まったのか退行したのか、木造住宅は進化したのか後退したのか、各分野の専門家を集めてぜひ検証していただきたい。

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市川氏

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 耳が遠くなったせいもあり、壇上で読まれた8人の子どもの入賞作文は聞き取れなかったものもあったが(以前はプロジェクターで紹介されたこともあった)、気が付いたことをいくつか。

 一つは、祖父母の木造住宅をテーマにしているものが多かったということだ。募集条件が「夏休み期間中の自由課題」なのでこれはこれで納得するのだが、逆に考えればいまの子どもたちが住む住宅は美しくないのか、木の香りがしないのか。木住協を含めたメーカー、工務店は考えないといけない。経済性優先のケミカル製品だらけの住宅を造っていないか。

 このことと関連するのだが、もう一つは、子どもたちが〝このように書けばほめられる、入賞できる〟と先生や主催者の意図を忖度してテクニックに走りすぎてはいないかということだ。朗読された作品は、会話文を巧みに挿入し、メタファー(暗喩)の技法をうまく取り入れているが、あまりにも美しすぎてその背後に〝大人の企み〟〝大人の匂い〟が見え隠れする。コンクールは美文・名文を顕彰する以外にも子どもの鋭い感受性、想像力を引き出すことにあるのではないか。

 記者は、小学1年生の圓山義久くんの「ぼくのつくる木のいえはかみ」がもっとも印象に残った。圓山くん、日本には本気で紙の家を普及させようとしている坂茂さんという建築家もいるよ。

 もう一つ。紹介された18作品のうち7作品が千葉県市川市の国府台女子学園の生徒さんだったことだ。先にも書いた〝大人の意図〟が感じられないでもないが、みんなしっかりした文章を書いていた。子どもの教育の基本は国語だ。この学校は国語教育に力を入れているのだろうと思った。受賞者の一人に尋ねたところ、書く機会は多いが、学校や親のからの特別の〝指導〟などはないそうだ。

木住協 第19回「木の家・こんな家に住みたい」作文コンクールに応募2万件超(2016/10/31)

 

 

 

 

 

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「ピアース銀座8丁目」現地(左奥が吉兆)

 モリモトが11月中旬に分譲するコンパクトマンション「ピアース銀座8丁目」の現地を見学した。2年前に分譲され、圧倒的な人気を呼んだ三井不動産レジデンシャル「パークリュクス銀座mono」と同じ並びの二方道路の角地。果たして銀座の柳の下に泥鰌はいるのか。

 物件は、都営地下鉄大江戸線汐留駅から徒歩4分、東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩9分、JR新橋駅から徒歩8分、中央区銀座8丁目に位置する敷地面積約207.34㎡、13階建て全36戸。専有面積は33.65~47.79㎡、価格は未定。竣工予定は平成31年1月上旬。設計・監理は庵都市建築設計事務所。デザイン監修は野生司環境設計。施工は合田工務店。販売開始は平成29年11月中旬。

 現地はビル、マンションなどが建ち並ぶ一角で、敷地は二方角地。東京吉兆、竹葉亭、銀座中学校などが近接。三井ガーデンホテル、築地市場へも徒歩数分。

 モデルルームは設置されていないので詳細は不明だが、立地特性をいかし、SOHO利用も可能なプランになるようだ。

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現地近く

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 問題は価格だ。同社は「未定」としており、予想するしかない。2年半前に取材した「パークリュクス銀座mono」は坪415万円。相当の割安感があり早期完売した。ほぼ同じころ分譲されたNTT都市開発「ウエリス銀座二丁目」は坪単価600万円くらいでなかったか。面積が広くターゲットも異なったが、これも人気になった。

 モリモトの物件は三井レジの物件より敷地が狭く、北と西道路であることは割引材料だが、用地・建築費高に外国人を含めた投資需要の高まりを考慮すると坪500万円を軽く突破するのは間違いない。

 坪600万円があるかどうかだ。比較する同じような超都心のコンパクトマンションとしては、都営地下鉄三田線芝公園駅から徒歩3分の三菱地所レジデンス「ザ・パークワンズ芝公園」(81戸)がある。立地がいま一つわからないので、何とも言えないが、今年2月に分譲されたファミリー向けの野村不動産「プラウド芝公園」(51戸)と近いはずだ。野村は坪500万円を突破していた。

 「銀座」と「芝公園」の地位(ジグライ)を比較したら、やはり「銀座」が上か。それでも坪600万円の壁は厚いような気がするが、モリモトは挑戦するか。コンセプトルームは赤坂見附に設置するとも聞いているが…。

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「パークリュクス銀座mono」

野村不動産 全51戸に反響4,000件近く 「プラウド芝公園」が人気(2017/2/14)

「銀座初」に北海道から沖縄まで問合せ2,500件NTT都市開発「銀座二丁目」(2015/5/12)

バブルだ!中古が新築を上回る 三井レジ「パークリュクス銀座mono」(2015/2/23)

 プレハブ建築協会は10月27日、国産材利用に向けた検討会を立ち上げ、今後の取り組みについてまとめ発表した。

 立ち上げたのは旭化成ホームズ、積水化学工業、積水ハウス、大成建設ハウジング、大和ハウス工業、トヨタホーム、パナホーム、ミサワホーム、ヤマダ・エスバイエルホームの会員有志による9社で、今年6月と8月の2回の会合を経て今後の取り組みを取りまとめた。

 今後の取り組みは、①国産材の価格・質・量を見ながら2×4材、集成材などを中心に国産材利用の拡大を目指す②イニシャルコストの低減に向けて林野庁補助事業の活用を検討③協会内にワーキンググループを立ち上げ、国産材業界との情報交換、連携を行い、利用推進の方策の検討を行う④大学、公的機関、関連団体などと利用技術に関する共同研究を検討する-など。

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 国が「10年後の木材自給率50%以上を目指す」と決めたのは2009年12月だった。当時の自給率は26.0%で、10年間に50%まで引き上げるのは絶望的だと思っていたが、昨年、計画を見直し、全体の供給量を当初計画の3,900万㎥から3,200万㎥に引き下げるとともに達成年度を2025年までと5年先送りした。

 現状認識、見通しが甘いと言ってしまえばそれまでだが、森林・林業の再生・活性化は喫緊の課題だ。杜甫は「国破れて山河在り」と詠ったが、その逆はない。美しい日本の自然・文化が荒廃し、破壊され、国が栄えるはずはない。そうならないよう、木材自給率50%以上を目指し頑張っていただきたい。

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左から篠崎氏、渡邊氏、田中区長、田中氏(総合東京病院 STR東京ホールで)

 積水ハウス、医療法人財団健貢会 総合東京病院、都市再生機構の三者からなる江古田三丁目地区まちづくり協議会は10月25日、「江古田の杜プロジェクト」に関するプレス向け説明会を行った。中野区の田中大輔区長も登壇し、プロジェクトに対する期待について話したほか、関係者が持続可能な街づくりの実現に向けたこれまでの取り組みや今後の展開について説明した。

 冒頭に登壇した田中区長は、「区は人口密度が練馬区に次いで高く、住居系用途が8割。4m未満の狭あいな道路が多い。区の北東部に位置するエリアは約6㏊の江古田の森公園があり、広域避難場所にも指定されている。また、保健・福祉・医療施設が集積しており、マスタープランでも緑を生かした街づくりを行うようにしている。プロジェクトに対しては、安全・居住都市づくりの観点から、ファミリー向けの良質住宅の供給、防災機能の整備、小児初期緊急診療などの小児医療、高齢者、子育てコミュニティの支援に期待している」などと述べた。

 積水ハウス東京特建支店支店長・篠崎浩士氏は、〝コドモイドコロ〟をテーマにコミュニティを育み、ユニバーサルデザインの取り組みに力を入れ、多世代が交流して循環する街づくりとしての日本版CCRC(Continuing Care Retirement Community)のモデルにしたいなどと話した。

 篠崎氏はまた、現在分譲中のプロジェクトの中核をなすマンション「グランドメゾン江古田の森」(全531戸)の進捗について「これまで270戸を供給して250戸が成約済み。順調に進んでいる」ことも明らかにした。

 総合東京病院院長・渡邉貞義氏は、平成22年4月に病院の経営を引き継ぐ形で開院したことなどを紹介し、救急医療に力を入れ、病床を451床に増やし、最新の医療機器を導入するなど、地域の中核病院として使命を果たすと語った。

 都市再生機構東日本都市再生本部本部長・田中伸和氏は、平成18年7月に都市再生プロジェクトとして決定されて以降、国有地である公務員宿舎とUR都市機構が所有する東雲地区の土地交換によってプロジェクトをスタートさせ、東京ドームとほぼ同じ広さの約4.4㏊の開発を進めてきたことなど経緯を説明した。

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「NOHGA HOTEL(ノーガホテル)」完成予想図

 野村不動産は10月24日、同社グループが商品開発しサービスを提供するホテル新ブランド「NOHGA HOTEL(ノーガホテル)」を立ち上げ、第1号を2018年秋に上野で開業すると発表した。

 ホテルが立地する地域に応じたデザインとするほか、地域の職人やデザイナーと連携したオリジナルの家具・備品・アートなどを配置。日本初の黒の江戸切子を開発した「木本硝子」、家紋をコンセプトにデザインする「京源」、インテリア雑貨店「SyuRo」などのデザイン・備品をホテル内に取り入れる。また、宿泊者と地域が深くつながることを目指すため、ホテルスタッフが宿泊ゲストに地域の魅力を積極的に発信する。

 総合的なキュレーターとして黒崎輝男氏を、インテリアデザインには南部昌亮氏、大橋規子氏をそれぞれ起用。 

 物件は、JR上野駅広小路口から徒歩5分、東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅3番出口から徒歩3分、台東区東上野2丁目に位置する敷地面積966.57㎡、10階建て延べ床面積4,896.40㎡。客室は130室(ダブル・ツイン・スイート他)。建築主はNREG東芝不動産。運営は野村不動産ホテルズ。

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「SyuRo」

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「京源」

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「木本硝子」
 

 

 エコ・ファースト推進協議会(議長:和田勇・積水ハウス会長)は10月23日、第8回「エコとわざ」コンクール審査結果発表した。

 同コンクールは、環境省の後援、全国小中学校環境教育研究会の協力を得て、7月1日から9月9日まで全国の小中学生から募集し、最優秀作品には「環境大臣賞」(1点)、その他「エコ・ファースト推進協議会」優秀賞、 日本ことわざ文化学会賞(各1点)、各加盟企業賞(27点)の合計30作品が選ばれた。

■最優秀作品賞 環境大臣賞

「ちきゅうのえ あおとみどりで かきたいな」(大阪市立東小路小学校1年 中田理仁さん)

■エコ・ファースト推進協議会優秀賞

「電気消し 名月愛でる エコな夜」(浦安市立日の出中学校2年 竹田真亜さん)

■日本ことわざ文化学会賞

「物心つく前の エコ心」(神戸海星女子学院小学校4年 藤田あまねさん)

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 全30作品を読んだ。身びいきかもしれないが、記者が一番好きなのはわが業界の積水ハウス賞に選ばれた東近江市立蒲生西小学校1年 和田昂志郎さんの「じいちゃんの むかしのあそびに エコまなぶ」だ。

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「アールブラン横浜仲町台」完成予想図

 モリモトが近く分譲する「アールブラン横浜仲町台」を見学した。いつものことながら実に美しい。メタセコイアの並木を映し込む北側のファサードは絵画のようだ。

 物件は、横浜市営地下鉄ブルーライン仲町台駅から徒歩6分、横浜市都筑区茅ヶ崎南2丁目に位置する7階建て全130戸。専有面積は65.54~86.07㎡、価格は未定だが、坪単価は260万円くらいになる模様。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。デザイン監修はSKM設計計画事務所。住戸デザインはカン・デザイニングオフィスの鈴木ふじゑ氏。竣工予定は平成30年12月下旬。販売開始は11月下旬。

 現地は、「グリーンマトリックスシステム」や「歩車分離」など計画的に整備された街区の一角で、敷地はメタセコイアの街路樹に囲まれた3方道路の角地。

 建物はコの字型で、南向き、東南向きが中心。平均専有面積は約70㎡。設備仕様は二重床・二重天井、食洗機、ディスポーザー、ミストサウナ、ハイサッシ、全戸無料駐車場付きなど。

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 このマンションも、同社のデザインへのこだわりがよく表現されている。

 冒頭の、SKM設計計画事務所代表・柴田知彦氏のデザイン監修による北側のファサードを見ていただきたい。白のマリオンとグリット、ガラス手すりが幾何学的に配置されており、まるで絵画のようだ。敷地に隣接するメタセコイアの樹影を映し込むはずだ。

 住戸デザインは鈴木ふじゑ氏。鈴木氏のデザインは数えきれないほど見てきたが、今回は〝グレージュ〟の鏡面仕上げの建具・面材がいい。絵画のグレーは白と黒を混ぜれば好きなように濃淡が表現できるが、どこか寒々しい印象を与える。その冷たさを消すためにベージュを何度も上塗り(グレーチング)して微妙な色を出す。今回も鈴木氏はそのような微妙な色を演出している。

 価格について。単価は高いような気もするが、その分だけ専有面積を圧縮してグロスを抑えている。全戸に無料の駐車場を設置しているのもインパクトがある。港北ニュータウンの居住者は車の所有率が高いはずだ。

 敷地南西側には線路が走っているが、敷地を囲むように植わっているメタセコイアが緩衝帯になっており、嫌悪施設にはなっていない。

 友の会優先住戸が40戸もあるように、完売まで時間はかからないとみた。

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「ザ・パークハウス西新宿タワー60」

 三菱地所レジデンスは10月23日、日本最高階数60階建て、高さ208.97mの「ザ・パークハウス西新宿タワー60」が完成したのに伴い竣工見学会を行った。

 同マンションは、東京メトロ丸の内線西新宿駅から徒歩9分、新宿区西新宿5丁目に位置する「西新宿五丁目中央北地区第一種市街地再開発事業で。60階建て全953戸(分譲は777戸)。専有面積は33.90~156.99㎡、価格は3,198万~3億5,000万円。2015年2月から分譲が開始され、年内に全戸が完売した。同社は相鉄不動産、丸紅とともに参加組合員として事業に参画していた。

 同社・脇英美社長は、再開発の話が持ち上がってから25年の歳月が経過し、生物多様性や防災、コミュニティ支援の企画がヒットし、圧倒的な人気で早期完売したことなどを受け、「足元のマンション市場は、職住近接、生活利便性、資産性がポイントになるが、都心部も郊外部もお客様目線でしっかり造りこみをすれば評価される。今後もコンパクト、リノベーション、シニア向け、シェアハウスなど多様なニーズに応える商品を供給していく」と話した。

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360度パノラマ

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 見学会場に入った途端、美しい本物の木で作られたテーブルに見惚れてしまった。別掲の写真を見ていただきたい。直径4メートルの円卓だが、よく見ればわかるようにスギの板目、柾目のスギ材のピース(小片)を交互に組み合わせた小机(全部で20卓くらいか)を合体させたものだ。椅子25脚分あり、管理組合の理事全員が座れるように造られたのだそうだ。

 これだけでもうマンションの企画意図を理解したのだが、案内板表示に従って一通り見て回った。「東京おもちゃ美術館」が監修した2階の約280㎡の「フォレストハウス」、2階の約170㎡のゲスト&パーティルーム、ほとんどが1,000円以下の洋食、ワイン・ウイスキーメニューが用意されている富士山も眺望できる44階の約130㎡のビューラウンジ&バー、44階のマンション1戸分の広さがある和洋室のゲストルームなどだ。

 それぞれが素晴らしいものだったが、何よりも感動したのは約1,900㎡の公開空地「結いの森」だった。同社が最近力を入れている「生物多様性」の取り組みの一環として整備したもので、近接する新宿中央公園や新宿十二社、熊野神社、神田川と緑のネットワークを形成する意図が手に取るように伝わってきた。調査によるとカマキリ、コオロギ、バッタ、チョウ、トンボなど20種の生き物が確認できたという。見学したときにもハクセキレイが芝生で虫をついばんでいた。

 圧巻は高さ12~13mはありそうなまっすぐに伸びた円錐形のシラカシの高木だった。シラカシは20mくらいまで育つといわれているが、剪定が難しく下手に切ると枝が荒れて修復不可能な形になる。ここのシラカシはそれが全くなかった。並みの職人技ではないと思った。

 「結いの森」について説明した同社クオリティ事業部・浅岡友也氏は「生物多様性保全の取り組みはこれまで100件になるが、20種もの鳥や虫の飛来が確認できた。確かな手ごたえを感じた」と話した。

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スギ材でできた見事な円卓

「富久」「目黒」に続き60階建ての三菱地所他「西新宿」も分譲777戸が全戸完売(2015/12/4)

三菱地所レジ「西新宿タワー60」〝しいたけマンションにしよう〟曽根原氏が提案(2015/5/4)

ここも唯一無二か わが国最高階数の三菱地所レジ他「ザ・パークハウス西新宿タワー60」(2014/11/7)

 

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「ルネ常盤平さくら通り」完成予想図

 総合地所は10月19日、新京成線常盤平駅圏では8年ぶりのマンション供給となる「ルネ常盤平さくら通り」の竣工記者見学会を行った。「日本の道100選」にも選定されている美しい桜並木「常盤平さくら通り」から一歩入った全55戸で、坪単価は168万円。すでに13戸が申し込み済み。〝リビング〟〝ナガラ〟〝クローク〟の3つの〝ポケット〟が面白い。

 物件は、新京成電鉄常盤平駅から徒歩8分、松戸市常盤平3丁目に位置する9階建て全55戸。専有面積は61.82~78.11㎡、第2期(戸数未定)の予定価格は2,898万~3,978万円(最多価格帯3,300万円台)、坪単価は168万円。建物は平成29年8月31日に竣工済み。設計は長谷工コーポレーション。施工は森組。販売代理は長谷工アーベスト。

 現地は、「新・日本の街路樹百景」に選ばれた「常盤平けやき通り」と「日本の道100選」にも選定されている「常盤平さくら通り」に近い住宅街の一角。

 建物は、空・桜・緑をモチーフに、ホワイトとウッドカラーのマリオンが印象的な外観とし、プランは子育て世帯を意識した〝リビングポケット〟〝ナガラポケット〟〝クロークポケット〟の3つの〝ポケット〟を作りこんでいるのが特徴。

 〝リビングポケット〟は子ども学習ができるスペースを、〝ナガラポケット〟は家事をしながら子どもを見守れる、〝クロークポケット〟は家族みんなが共有できるスペースをそれぞれ設置している。食洗機、床暖房が標準装備。

 これまで来場者は約90件、申し込みは13件。来場者の86%が松戸市居住者で、60歳代以上と40歳代がほぼ同数の2割。シニア層の買い替え需要も見られるという。

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モデルルーム

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ナガラポケット(左)とリビングポケット

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 新京成線はマンションの見学でよく訪れた。とくに常盤平駅は駅前からほぼまっすぐ伸びるけやき通りと、それと交差するように八柱-五香まで東西に続くさくら並木が圧巻だ。

 そんな美しい街でありながら、マンションの供給は8年振りというのにある種の感慨を受ける。後背地には多摩ニュータウンと同じ歴史がある約4,800戸の常盤平団地がある。入居は昭和34年から始まったというから60年近くになる。街の活性化は喫緊の課題だろう。

 同社の販売担当者は「桜が咲くころには…」と話した。あと半年だ。1か月に10戸成約すれば完売する。

 坪単価については、はやりそうかと思った。実は、見学前に同業の女性記者とばったり出会い、あれやこれやと歓談したのだが、その女性記者の単価予想が当たったら拍手喝采しようと約束した。大外れだった。残念。Doutor Coffeeはタバコが吸えず、平日は夜7時で閉店とは驚いた。

 この前、「公園・眺望価値」の記事を書いた。さくらを愛でる、けやき通りを散策する「価値」を富裕層に訴えれば買う人もいるのではないか。隅田川の花火を見るためだけにマンションの一室を買った金持ちもいる。

 プランはなかなかいい。似たようなプランは他社も提案しているが、〝クロークポケット〟はバルコニーに面して設けられており、一人籠って何かするのにふさわしいスペースだ。布団だって敷ける。

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クロークポケット

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 三菱地所ホームは10月19日、トイレ・洗面室を含めて室内をくまなく365日24時間換気冷暖房ができる「新マンションエアロテック」の販売を開始し、同時に、定額制のスケルトンリフォーム「Re Dia (リディア)」の発売も開始したと発表した。

 「新マンションエアロテック」は、三菱地所レジデンス、メックecoライフと共同で開発したもの。従来の全館空調システム「マンションエアロテック」ではダクトを敷設する室内の天井高さが確保できないという課題があったが、二重床下空間(ふところ厚約18センチ)をダクトに代わる空気の経路として確保することができるように開発した。

 ①温度が快適②空気がきれい③空間がすっきり④間取りが自由自在⑤維持・管理がラクで長期保証-などが特徴。スケルトンリフォームを前提とした販売価格は250万円(税別)。

 導入にあたっては、2016年7月から基礎実験、2017年2月からの実証実験を経て、従来の「マンションエアロテック」 と同等の室内温度環境が実現できることを確認している。

 スケルトンリフォーム「Re Dia (リディア)」は、2016年秋に発売した水回り中心の「Re Dia (リディア)」をバージョンアップしたもの。従来型は、三菱地所レジデンスが開発した「EYE’S PLUS(アイズプラス)」商品の設備交換などがセットになった定額制で、価格は498万円(税別)だった。「新マンションエアロテック」を開発したのに合わせフルスケルトンリフォームの定額制を実現した。

 専有面積に応じた定額制で、70㎡の3LDKを2LDKにスケルトンリフォームした場合の価格は「マンションエアロテック」の250万円を含め1,100万円(税別)。

 発表会に臨んだ加藤博文社長は「今期上期は、リフォームが30%伸びるなど全体の受注でも30%増といい結果を残せた。通期目標も達成したい。今回3つのリリースを出したが、モデルハウスでは国産材採用率を80%にし、マンションエアロテックの発売は、私もマンションの商品企画を担当した経験があるからわかるが、田の字型プランを一新できる可能性を秘めている。新築、リフォームを含めて拡大する。来年にはマンションの常設モデルルームを設置したい」と拡大に意欲を見せた。

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 「エアロテック」と最初に出会ったのは今から10数年前、野村不動産「千都の杜」の販売開始時にモデルハウスの1棟として建設されたのを見学した時だった。当時、マンションでは外断熱工法が話題となっており、同じような機能を持つエアロテックは〝大ヒット〟すると確信した。

 ところが、同社がエアロテックを発売開始した1995年から現在まで、新築に搭載した戸数は6,000棟だ(マンションは8棟)。年間にして約300棟。優れた商品性を考えると、これはどう考えても少なすぎる。

 しかし、今回の「新マンションエアロテック」と定額制の「Re Dia (リディア)」、新モデルハウスの「グリーンガーデン」提案などを取材して、同社のやる気をひしひしと感じた。加藤社長のムチが入った。

 マンションエアロテックが250万円、フルリフォームが850万円、トータルで1,100万円。同業他社のリフォームは70㎡で1,000万円くらいのはずだ。価格が若干高くなるが、全館空調の価値を訴えきれれば圧倒的な優位に立てるはずだ。

 〝やる気〟は会見の冒頭でも感じられた。「今年10月、新たに広報戦略グループを立ち上げた。心を込めてわかりやすく説明していく」経営企画部 広報戦略グループのグループリーダーに就任した横須賀直人氏がこう語った。〝心を込める〟-記事も同じだ。

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 「これからは住宅の価値観に〝空気の価値〟が付加される時代になる」中島秀敏常務が「エアロテック」の説明でこう話した。

 なるほどと思った。この1カ月の間に記者は〝空気〟〝音〟に関して考えさせられる取材を立て続けに行った。

 一つは入間市のジョンソンタウンの取材の時だった。入居者が「都心はいつでも何らかの音がする。ここに来ると音が消えるんです」と話した。

 もう一つは、日本ツーバイフォー建築協会の「ツーバイフォー6階建て実験棟プロジェクト報告会」だった。「環境振動」について研究している大学教授が「常時微動記録には数十メートル離れた位置にある道路交通による振動も記録された」「構造的に問題となるレベルとは考えられないが、環境振動レベルでは注意が必要」と語った。

 さらに先週。エアロテックを搭載した三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス二子玉川碧の杜」を取材したとき、モデルルーム来場者が「音がしないね」「静かだね」と感嘆の声を上げたと聞いた。

 まだある。エコ・ファースト企業などが主催したイベント「エコ・ファースト サステナブルカフェ2017」で、参加者が「エアコンいらずの世の中」を実現すべきとカードに記した。

 記者はもともと〝音〟には鈍感で、〝空気が読めない〟性格なので気にならないのだが、言われてみれば今の世の中〝雑音〟が多すぎる。交通騒音もそうだが、駅前の再開発、建築物の解体・建設から振り込め詐欺電話、家電の音、隣家の風鈴の音、連れ合いのいびき・歯ぎしりの音まで我慢できないようだ。夕方になると「よい子のお子さん…」が限界集落ですら放送されるし、風力発電の低周波に人間ばかりかイノシシも脅かされ、夜中には止めてある携帯が〝緊急地震速報〟で叩き起こし、はるかかなたなのに北朝鮮のミサイル発射のJアラートまで聞かされる。いい加減にしてほしいと思う。

 これは余談。昭和47年に発売された筒井康隆「にぎやかな未来」(角川文庫)には、生活の全てが政府のコマーシャルに利用され、ラジオの電源を切ると罰せられる法律が制定されたというショートストーリーが盛り込まれている。CMの聞きすぎで頭が痛くなった主人公がコマーシャルの入っていないレコードはないのかとレコード屋で聞くくだりを引用する。

「『…ところで、コマーシャルのぜんぜん入っていないレコードはないのか』

『ございます。10万円です』

 そんな大金は、とても払えない。

 『で、それにはどんな曲が入っているんだ』

 『曲も入っておりません。何も音の出ないレコードです』

 主人はにやりと笑い、うなずきながらいった。

 『現代でもっとも高価なものは、静寂です』」

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 この前、三菱地所レジデンスの新宿御苑の記事で、「公園・眺望価値」は坪500万円以上と書いた。ならば「音・空気の価値」はいったいいくらか。エアロテックの250万円を70㎡で割ると坪単価は12万円にもならない。そんなものなのか…。

三菱地所ホーム 家の中に自然の中低木 最新モデルハウス「ONE ORDER」横浜に開設(2017/10/20)

三菱地所グループ みなとみらい地区の仲介・リフォーム強化 ショールーム開設(2017/4/13)

三菱地所グループ マンション用全館空調「新エアロテック」の実証実験開始(2017/2/2)

 

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