世相の反映か 「4人家族が幸せに暮らす住宅の広さは89㎡」 アットホーム調査
「4人家族が幸せに暮らす住宅の広さは89㎡」-こんなアンケート調査結果を不動産情報サービスのアットホームが7月31日、まとめ発表した。
首都圏で暮らす夫婦二人と子ども二人の4人家族628 名を対象に行ったもので、「4人家族が幸せに暮らす」には、少なくとも89㎡必要との回答があった。もっとも多かったのは「80~100㎡未満」で28.9%、以下、「100~120㎡未満」22.1%、「60~80㎡未満」21.6%だった。「120㎡以上」も全体で13.7%を占めた。間取りは4LDKが40.8%ともっとも多く、3LDKLが次いで33.6%だった。
リビングの広さについては、10畳大~15畳大と答えた人が47.8%。「駅徒歩の限界」平均は18.4分、「通勤時間の限界」平均は57.1分、「年収」平均は882.5万円、「子供との会話時間」平均は68.7分、「夫婦の会話時間」平均は53.8分だった。
「父親がやるべき家事」1位は「ゴミ出し」、「母親がやるべき家事」1位は「料理」、「子供がやるべき家事」1位は「食器を流しに運ぶ」だった。
「必要最小限の設備・仕様」では、トップが「独立したバス・トイレ」の89.3%、以下「エアコン」87.4%、「インターネット回線」79.5%、「追い炊き機能付きバス」70.1%、「2口以上のコンロ」69.3%、「駐車場」68.9%、「モニター付きインタホン」61.3%など。「食洗機」は32.6%、「床暖房」は31.2%、「オートロック」は29.3%だった。
「どんな住まいでも愛さえあれば幸せに暮らせる」と回答したのは33.0%で、現在の住まいが4人家族にとって最低限必要な条件を「満たしている」という人は約8割にのぼった。
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いつも面白いアンケートを行う同社だが、今回は「幸せに暮らせる」というテーマは非常にいいが、そもそも「幸せ」とは何かを問うものでないので、回答は極めて常識的なラインに落ち着いたような気がする。個人的には100㎡が4人家族の理想の住宅の広さだとずっと考えてきた。
「愛があれば」が33%にとどまり、現在の住まいが必要最小限の条件を満たしている人が8割に達したのには驚いた。8割の人は本当に「幸せか」、愛はあるのかないのかも聞いてほしかった。
全体的には、ものすごく保守的で自己肯定的、現状是認型の人が多い世相を反映していると思う。
出勤の行き帰り、いつも「お前、幸せかい」と声を掛けあっていた野良猫の姿が見えなくなって久しい。
東京オリンピック・パラリンピック選手村 「施設・設備の仕様は非公開」なぜ
東京オリンピック・パラリンピックの選手村の施設がどのようなものになるかについて東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に問い合わせていた件で、次のような回答がメールで届いた。
「選手村の宿泊施設は、東京都が施行する市街地再開発事業において民間事業者が整備する住宅棟を一時借用して活用します。
大会時の選手村用の施設・設備の仕様等の詳細については、セキュリティの観点などからお伝えすることはできません」
回答には「セキュリティの観点など」と〝など〟がついているのが曲者だ。施設の基本性能、プラン、設備仕様が事前に漏れたところでセキュリティ上の問題が発生するとは思えないが、その他のことを〝など〟とくくればすべて情報は非開示することができるということか。
ワールドワイドな施設になるのではないかと考えているので、情報が開示されないのは非常に残念だ。
個人的には、出場選手が自由に壁・クロスなどへサインや落書きができるようにして、それを〝レガシー〟としてそのまま分譲時、あるいは賃貸時に残せば申し込みが殺到する住戸が出てくるのではと思っている。オークションにすれば途方もない値段が付くものも出てくるはずだ。
大会終了後の改修費として大会組織委員会は500億円を見込んでいるとの報道もされた。一戸当たり約880万円になる勘定だ。これも法外。
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記者は、選手村の施設(主に住宅部分)についておおよそ次のような質問をしていた。
1)基本性能はどうなるのか
工法、階高、天井高、サッシ高、廊下幅、採光・遮音性、環境配慮、ユニバーサルデザインなど
2)プランはどうなるのか
間取りなど。玄関、トイレ、浴室はどのようなものか、和室はあるのか、ベランダはどのようなものか
3)設備仕様はどうなるのか
選手村用とその後、スケルトンにして分譲、あるいは賃貸用の設備仕様は異なると思いますが、そのまま転用できるものはないのか。選手村としてはトイレ、浴室などはどのようなものを採用されるのか
東京2020オリ・パラ選手村 敷地売却価格は地価公示の10分の1以下の〝怪〟(2016/8/4)
戸建て含めた「住宅団地の再生の在り方検討会(第2期)」 第1回検討会 国交省
国土交通省は8月1日、戸建て住宅団地を含む老朽化した住宅団地の建て替えや再生を幅広く論議する「住宅団地の再生のあり方に関する検討会(第2期)」(座長:浅見泰司・東京大学大学院教授)を設け、第1回検討会を行った。
平成26年度から28年度にわたって行われた「住宅団地の再生のあり方に関する検討会(第1期)」の取りまとめは、土地共有者の組合員算定方法の合理化を盛り込んだ都市再生開発法の改正(平成28年6月)や、建築基準法第86条の一団地認定の職権による取り消しの手続き規定を追加する同法施行規則の改正(同年10月)につながった。
今回は、制度見直しを活用した新たな再生手法を整理しガイドラインを定めるほか、敷地売却の仕組みを活用した団地型マンションの再生のあり方、戸建て団地の再生・活性化などを論議する。平成30年度までに中間報告をまとめる予定。
会の冒頭、同省住宅局長・伊藤明子氏は「第1期取りまとめが円滑に動くように、さらに戸建て住宅団地の再生にもつなげる、幅広く深い論議を行っていただきたい」などと話した。
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確か大月敏雄委員(東京大学大学院教授)だったと思うが、「戸建て団地とは何ぞや」という質問が飛んだ。これに対して同省市街地建築課市街地住宅整備室企画専門官・佐々木雅也氏は「団地の定義から考えていただきたい」と答えた。
記者もこの問題に以前から悩んでいる。昔は平気で「マンション団地」「戸建て団地」と呼んでいた。しかし、最近は「団地」なるフレーズをほとんど使わない。あるハウスメーカーから「牧田さん、戸建て団地はやめてくれないか。なんだか古臭いイメージだから」と言われたこともある。
読者の皆さんは「団地」という単語にどのようなイメージを描かれるか。おそらく十人十色だろう。
広辞苑(第六版)を当たってみた。「団地」とは「住宅・工場などが計画的に集団をなして建っている土地」とある。また「団地サイズ」では、「公団住宅など狭い室内に合わせた、一般よりも狭い畳・家具など」とある。
「団地サイズ」の住宅が供給されたのは昭和30年代以降だから、発刊当初の広辞苑には載っていなかったのではと考え岩波書店に問い合わせた。同書店によると「団地サイズ」が掲載されたのは1991年11月の第四版からだという。つまりバブルがはじけた後だ。確かにこの頃には「団地サイズ」は〝狭い〟という認識が浸透していた。昭和30年代に建設された公団住宅の建て替えが決定されたのは昭和61年だ。
公団住宅が庶民のあこがれの的であった時代の「団地妻」は「新妻」と同義語として理解されていたはずだ。1961年には「大和団地」(現大和ハウス工業)が設立されている。その大和団地は「ネオポリス」というブランドで戸建てやマンションを分譲した。同社は2001年に大和ハウス工業に吸収された。
これらからすると、「団地」が新しいイメージでとらえられていたのはせいぜい30年間くらいだ。民間が「経年優化」「経年美化」の街づくりをしているのと対照的だ。世の「妻」だって30年で〝古い〟と評価されたら起こるだろう。
昭和25年に制定された建築基準法はどうか。同法には「団地」の定義はないが、「一団地」という単語が12カ所ある。また、1919年に公布された「市街地建築物法」にも「一団地」の文言があるように、大正時代には「一団地」という言葉はあった。しかし、これは「一団の土地」と解するのが妥当のようで、「団地」なる言葉はいつ生まれたのか判然としない。興味のある方は調べていただきたい。
さて、最初に戻る。少なくとも「団地」の言葉は一般名詞として存在はするが、どのようなものかをはっきり示す「定義」はないということになる。国会でも論議された「集団」とは何ぞやという問題にも突き当たる。
もうこれ以上深入りしない。同省や検討会の委員の方々が鳩首凝議しても結論は出ないのではないか。
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櫻井敬子委員(学習院大学教授)がまたまた辛辣な問題提起をされた。〝またまた〟と書くのは、以前、櫻井氏は「建築基準法は窮屈」と同省の会合で発言されたのを記事にしているからだ。今回もまた「建築基準法はきつい規制が多すぎる。実態とあっていない」「全員合意のドグマを何とかしないといけない」「区分所有法はロートル化している」「(管理組合について)民主主義が機能していない」などと発言された。
同感だ。いっそ櫻井氏を座長に建築基準法や区分所有法を根本から考え直す会を設けてはどうか。建基法や区分所有法が時代遅れであることはみんなわかっていることではないか。わが国の都市計画は、土地所有権の絶対的排他的権利が強い割に細かな規制が多すぎる。理念と実態が釣り合っていないと思う。
長谷工グループ 王子5丁目の複合開発内の賃貸と有料老人ホーム 来春開業
賃貸・有料老人ホーム複合施設 完成予想図
長谷工グループは7月28日、「住」「商」「育」の複合開発「北区王子5丁目プロジェクト」のエリア内で開発を進めている賃貸マンションと介護付有料老人ホームの複合施設を2018年春に開設すると発表した。
同施設は、JR京浜東北線東十条駅から徒歩6分に位置する敷地面積約5,900㎡。賃貸マンション「ブランシエスタ王子」(120戸)と介護付有料老人ホーム「センチュリーシティ王子」(90室)からなる複合施設。敷地内にはテラスガーデンやコミュニティガーデン、パーティルームなどの多彩な共用部を配し、子ども・大人・高齢者など多世代の居住者が交流できる場を備えている。
「北区王子5丁目プロジェクト」は、日本製紙王子倉庫跡地を中心とする開発面積約43,000㎡。同施設のほか分譲マンション「ザ・ガーデンズ東京王子」(864戸)・商業施設・保育施設からなる複合開発。マンションは圧倒的な人気を呼んでいる。
「ザ・ガーデンズ東京王子」(864戸)は坪260万円台(2016/7/8)
大京 久々のコンパクト「ライオンズ千代田岩本町ミレス」 売れ行き好調
「ライオンズ千代田岩本町ミレス」完成予想図
大京が分譲中のコンパクトマンション「ライオンズ千代田岩本町ミレス」のモデルルームを見学した。同社がコンパクトマンションを分譲するのは2013年以来4年ぶりだが、売れ行きは好調だ。
物件は、都営新宿線岩本町駅から徒歩4分、千代田区岩本町2丁目に位置する15階建て全53戸。専有面積は25.27~44.24㎡、現在分譲中の住戸(6戸)の価格は3,540万~4,470万円。坪単価は400万円。竣工予定は平成30年2月26日。施工は大京穴吹建設。7月から分譲を開始しており、これまで約半数が契約・申し込み済み。
現地は、表通りから一歩入った商業地域エリア。建物は1フロア4戸。南側道路の幅員は約8m。住戸プランは南向き・角住戸中心(1フロア4戸のうち3戸)、内廊下方式が特徴。
モデルルーム
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このところ千代田区や中央区エリアでコンパクトマンションが激増している。坪単価も軒並み400万円を突破しており、苦戦を強いられている物件も少なくない。駅に近いとはいえ、馬喰町とか横山町などもともと人が住むようなエリアでなかった。
ネットでいろいろ検索していたら同社のこのマンションがヒットした。同社が〝コンパクト〟を銘打ったのは2011年の「ライオンズアイル赤坂」、翌年の渋谷区「松濤」、その翌年の千代田区「三崎町」以来だという。
アドレスが「岩本町」だったので、ひょっとしたら売れるかもしれないと思い見学した。岩本町では昨年、スターツが定期借地権付きの再開発マンションを分譲して人気になったので、〝穴場〟になるのではと考えていたからだ。
しかし、1カ月で半分も売れているとは全然思わなかった。千代田区アドレスで東京駅まで歩こうと思えば歩ける(約1.5㎞)というのは魅力か。
約43㎡の角住戸タイプのモデルルームもよくできていた。リビングダイニングは約10.0畳大で、約4.6畳大の主寝室のほか、洋室(約3.0畳大)もある。二重床・二重天井。室内物干しポール付き。
同社広報は今後のコンパクトの供給については「未定」としているが、用地取得に動いているのは間違いないと見た。
大和ライフネクスト マンション管理業界初 高齢者孤立化防止活動で千葉県と協定
大和ハウスグループの大和ライフネクストは7月26日、千葉県が進める高齢者孤立化防止活動「ちばSSKプロジェクト」の普及のため、県と個別協定を締結したと発表した。千葉県内の分譲マンションの管理を担当する東関東支社(千葉県船橋市)が参画する。この種の取り組みはマンション管理業界初。
同社は、高齢者世帯に対する定期連絡や訪問による見守りや声かけ、水道検針値異常注意などに努める。このほか、同支社社員は認知症サポーター資格を取得し、高齢者の生きがい、健康、仲間作りに関する活動を支援していく。
また、高齢者雇用として、高齢者が安定して長く働くことができる体制作り、働く場創出に努める。
マンション管理業界は、建物の老朽化と居住者の高齢化という「2つの老い」を抱えており、マンション現場に携わる管理員や清掃員の高齢化も大きな課題となっている。
「ちばSSKプロジェクト」は、高齢者孤立化防止ため具体的な行動を起こすきっかけづくりとなるよう実施されているプロジェクトで、「SSK」は「しない」S、「させない」S,「孤立化」Kのそれぞれアルファベット頭文字を記号化したもの。
積水ハウス 顧客の資産管理・継承をサポートする「積水ハウス信託」設立・営業開始
積水ハウスは7月27日、同社グループの顧客の資産管理・継承をサポートする「積水ハウス信託株式会社」を設立し、営業を8月1日から開始すると発表した。
これまで同社が供給する賃貸住宅「シャーメゾン」を積和不動産グループが一括して借り上げ、入居者募集や維持管理など賃貸経営をサポートしてきたが、オーナーの高齢化などによる経営不安、相続時のトラブル、資産継承方法への不安など従来のサポートでは補えない悩みをワンストップで対応する。
積水ハウス信託株式会社は、本社所在地:渋谷区代々木2-2-1、新宿マインズタワー、代表者:稲澤良樹氏、資本金:3億円(持ち株比率:積水ハウス95%、三井住友信託銀行5%)。事業内容は管理型。
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富裕層を中心とする顧客の資産管理・運用は、ハウスメーカーに限らずデベロッパーや不動産流通会社も行っているはずだが、信託業法の規制もあり、信託会社として営業しているのはスターツ信託(運用型)、大東みらい信託(管理型)くらいしかないようだ。
スターツについていえば、もう20年以上も前、「お前にすべて任せる」と富裕層からすべての資産の管理を任せられた営業マンを取材したことがある。この方はその後、役員になられた。
期待以上の満足が得られればユーザーはみんなそう考える。営業マンはコンシェルジュになれる。FPと宅建士の資格取得は必須だと思う。
〝豊かな暮らし〟とは何か ジャーブネットが第18回全国大会&シンポジウム
「第18回ジャーブネット全国大会&シンポジウム」(ホテルイースト21東京で)
全国の工務店・ビルダーが加盟する日本最大級の工務店ネットワーク「ジャーブネット」(主宰:宮沢俊哉・アキュラホーム社長)は7月24日、「第18回ジャーブネット全国大会&シンポジウム」を開催した。約800名が参加した。
宮沢主宰は2016年度の総括として、会員数は249社、受注棟数は6,006棟(アキュラホーム含む)、1社平均棟数は21.9棟(アキュラホーム除く)、累計棟数は129,429棟だったことを報告。
2017年度は「日本一の豊かな暮らしをデザインする、オンリーワンの集団へ」を基本方針に掲げ、学会、行政、住まい手、匠などと垣根を超えた連携を強化し、「スマートアライアンスビルダー ~賢いホームビルダー連携~」を目指すと発表した。
シンポジウムでは、芦原太郎建築事務所所長・芦原太郎氏の基調講演と、伊藤圭子氏(アキュラホーム住生活研究所所長)が司会進行役を務めたパネルディスカッションが行われた。パネラーは芦原氏のほか古川亮太郎氏(フルカワデザインオフィス代表)、 堀木エリ子氏(堀木エリ子&アソシエイツ代表)、井草健二氏(アキュラホーム常務)。各氏が「豊かな暮らしとは何か」を語りあった。
宮沢氏
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全国大会はこれまで数回取材している。当初は会員数や受注棟数を追う大会だったが、ここ数年は「永代家守り・暮らし守り・まち守り」という高い理念を掲げ、デザインに力を注ぐなどより質の高いレベルを目指す大会へ進化している。
その取り組みを象徴するのがパネルディスカッションだった。テーマは「人をつなぐ、豊かな住まいと暮らしを創る」-この難しい本質的な問題に各コメンテーターが挑戦した。
パネルディスカッション
ここでは詳細について触れられないが、各氏が語った印象的なフレーズを順不同で紹介する。
伊藤氏 かつて住まい手は美しいものを評価する芸術家だった。住む人の想像力を大事にすることが肝心
古川氏 豊かな住まい、暮らしは人さまざま無限にあるが、自然に近い暮らしは普遍的な要素になる。草木をどう取り込むかに取り組んでいる(吉川氏はアキュラホームの若葉台プロジェクトに参画している)
堀木氏 人間も自然の一部。紙は神に通じる。〝美しい〟と感じる背景には日本人の精神性、美学、技がある(会場には堀木氏の大きな亀甲をデザインした光壁が展示されていた)
芦原氏 自然とともにある、人とともにあるとホッとする。イタリアの村はこれが機能している(芦原氏は基調講演で父・芦原義信氏が戦後渋谷区に15坪の家を建て、その後、自宅に露天風呂を掘ったことなどを話した。アキュラホームは芦原氏が設計したモデルハウスを馬込に建設する)
井草氏 若葉台のプロジェクトではハード、ソフト両面でコミュニティを育てる仕掛けを施す(若葉台プロジェクトは、京王線若葉台駅から徒歩17分の全50棟の戸建て分譲。内と外をつなぐ「U」スペースが特徴になる模様)
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記者は三重県出身なので、各賞にどこが受賞するか楽しみにしているが、今年も森大建地産が顧客満足度優秀賞を受賞した。同賞は、受注棟数20棟以上で、OB紹介率50%以上が選考基準。同社は毎年のようにクリアしている。森秀樹社長は「今後も地域守りに貢献していく」と語った。
受注12棟以上で営業人員に対する受注棟数の割合が高い企業を顕彰する全国営業優秀賞(営業人員4名以下の部門)で最優秀賞を受賞した東京都の小林建設・小林伸一社長は「今年度はすでに前年度受注39棟の半分を受注しているが、当社は40棟以上を受注しないことにしている。これを超えるとお客様をフォローできない」と話した。
森氏(左)と小林氏
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宮沢主宰は全国大会で、「私はあと7年で主宰も当社の社長も退く。後任に任せる」と話した。
びっくりしたので同社広報に確認したところ、宮沢氏は社内外でそう話しており、周知の事実だそうだ。
宮沢氏は現在58歳。65歳で社長交代を考えているようだが、その考えを支持したい。軸足を業界全体に移し、「豊かな暮らしをデザインする」社会的なテーマに取り組んでいただきたい。
会場のイベント・展示など
「独身でマンションを購入すると結婚できない」噂は迷信 シースタイル調査
大和ハウス工業の賃貸について記事を書いたあと、「独身でマンションを買うと結婚できない」は本当? 」と大書きされたタイトルのニュース・リリースが飛び込んできた。
不動産関連の比較査定サイト「スマイスター(https://www.sumaistar.com)」を運営するシースタイルによるもので、20代以上の全国1,280人を対象に「“独身で住宅を購入すると結婚できない”という噂」について調査を行ったとある。
そんな噂があることすら記者は全く知らなかったので、驚いてリリースを読んだ。
結論から言えば「この噂は迷信であることがわかりました」とある。噂については「そう思う」5.9%、「ややそう思う」12.6%、「ややそう思わない」10.8%、「そう思わない」70.8%となった。
当然の結果だ。男性も女性も、住宅を購入する動機は、同社の調査結果でも1 位は「老後を考えて」32.9%となっており、2位は「自分の城を持ちたかった」24.5%、以下「通勤や移動に便利な所に住みたかった」15.1%、「金利が安く買い時と思った」14.2%、「一人暮らしを満喫したかった」10.4%、「結婚を意識した恋人がいた」9.4%、「投資目的」8.5%などだ。
同社の調査で面白いというか滅入りそうな気持になったのは、独身時に住宅を購入したと回答した人の購入時の年齢が「25歳未満」21.7%、「25~30歳未満」19.8%と41.5%が30歳未満で購入していることだ。親がかりであるかどうかは不明。
若年層が将来に不安を抱いているということは厚労省などの調査でも明らかになっているが、将来に夢が持てない社会を何とかしないといけない。
ついでだが、面白いのは独身者の住宅購入動機として「結婚をあきらめた」男性は2.8%いるのに、女性はゼロだったことだ。これも当たり前。独身女性がマンションを購入するケースが目立ってきたころ取材したことがあるが、女性は結婚をあきらめて住宅を購入する人などほとんどいないことを知った。女性はしたたかに生きている。
「わが国の賃貸業はガラパゴス」 大和ハウス・堀専務 賃貸が伸びる理由を聞いた
「ロイジェントパークス四ツ谷」
大和ハウス工業が「第6回 業界動向勉強会」を開催し、賃貸住宅事業について同社取締役専務執行役員・堀福次郎氏が講話したことを紹介し、その関連として新浦安のホテルついて書いた。今回は、その本題について書く。
堀氏
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わが国の住宅着工はここ数年、政府の景気刺激策、震災後の住宅再建、消費増税前の駆け込み、相続対策などの要因により意外と健闘しているが、人口・世帯減少が加速度的に進むことを考えれば賃貸市場が縮小するのは誰が考えても同じだ。堀専務も同じだ。
「当社の2017年度の賃貸事業売上高はセグメント別で初めて1兆円を超える見通しで、売上高の85%は2階建て、3階建てだ。しかし、将来的には現商品のほかの改良商品、新商品、関連市場、新市場分野を伸ばし、現商品とその他の商品比率を50:50にしなければならない」とマトリックスを示しながら説明した。
その通りだと思う。堀専務が伸ばしたい分野として例示したのは家具家電付き賃貸、外国人向けサービスアパートメント、シェアハウス、新築民泊、外国人留学生向け宿舎、サ高住、アパートメントホテルなど30近い事業を挙げた。
堀氏が「ガラパゴス」と語ったように、従来型のレベルの低い利回り優先の賃貸事業は完全に曲がり角に来ている。(レベルが低いからこそ分譲が伸びる)
同社が現商品の改良型として挙げたのが「S&SW仕様」の賃貸だ。女性向けにホームセキュリティシステムを標準装備とし、ワイドな洗面化粧台、1616サイズのバス、10%以上の収納率確保、女性に好まれるデザインなどを採用して飛躍的に伸ばしたのだそうだ。(わが家のかみさんが「ダイワハウスの賃貸はいいわよ」と絶賛していたが、記者は見たことがない)
もう一つ、紹介したのが家具家電付き賃貸住宅だ。報道陣に公開した「ロイジェントパークス四ツ谷」だ。四谷三丁目駅から徒歩4分の14階建て全91戸。専用面積は約25~40㎡。賃料は15~20万円。家具、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、照明、炊飯器、ポットなどがついており、オプションで寝具や食器類も借りられる。キャスター付きトランク一つで引っ越しができるものだ。男性を中心に契約・申し込みが10件あり、1棟売りとしての話もあるようだ。
立地条件からして分譲マンションにしたら坪単価は最低450万円だろう。グロスで3,400万円以上だ。投資用ならともかく、25㎡で3,400万円の分譲マンションが早期に売れるかどうかは疑問だ。リスクが大きすぎる。賃貸にしたのは正解だろうと思った。一等売りにすれば一定の利回りも確保できるはずだ。
勉強会では、堀氏は全827戸の「パシフィックロイヤルコートみなとみらい」の100戸分を外国人居住向けに七面鳥が焼けるオーブンを採用したりしてプランを設定したのが大正解であったことも話した。
企画段階で「私は面の皮が厚いので聞き流したが、827戸の賃貸などありえないなどと侃侃諤諤、喧喧囂囂の論議があった。企画はヒットしたが、こんなに外国人居住が増えるとは夢にも思わなかった」と語った。現在、827世帯のうち350世帯が外国人居住だという。
「ロイジェントパークス四ツ谷」の室内(左にテレビ、天井には室内干しポールもあった)
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堀専務の話は面白いと前回書いた。ものを見る目が人とは違うからだと思う。漫然と日々生起する出来事を眺めていては問題点など浮かばない。不動産業に限らずあらゆるビジネスはソリューションだ。「わが国の賃貸業はガラパゴス」という視点が新しい発想を生み出すのだろう。
裏を返せば、圧倒的多数派を形成する賃貸の守旧派の存在が同社の賃貸を伸ばしている要因だ。堀氏は一方で守旧派を応援しているのではないか。記者もそうだ。時代遅れの賃貸が続く限り分譲市場は縮小はするけれども事業として継続できると考えている。
大和ハウス ファミリー向け「ラ・ジェント・ホテル 東京ベイ」ヒット 稼働率80%超(2017/7/25)