京急電鉄他「品川シーサイド」 第1期は約400戸 昨年の「二俣川」「東京王子」上回る
「プライムパークス品川シーサイド」完成予想図
京急電鉄などが近く分譲する「プライムパークス品川シーサイド」の第1期供給戸数が全1,152戸の約34%に当たる400戸近くに上ることが分かった。マンションギャラリーサブマネージャーの京急不動産販売部・橋本昌彦氏が明らかにした。
第1期分譲戸数の多さでは、昨年、相鉄不動産他 「グレーシアタワー二俣川」が380戸、三井不動産レジデンシャル他「ザ・ガーデンズ東京王子」が315戸供給され話題となったが、それを上回る。記録を塗り替えるのは確実だ。
ファミリー向けが中心だが、資産性を最大の売りに単身・DINKS向け、投資家向けのプランも多く用意するなど多様なニーズに応えるプランになっているのが特徴だ。橋本氏は「当社グループは品川での再開発計画もあり、沿線のイメージアップを図る第一弾のマンション。来場者は1,500件超。最近は毎週50~100件。手ごたえ十分」と話した。
同物件は、りんかい線品川シーサイド駅から徒歩3分の免震タワー棟817戸と徒歩5分のレジデンス棟335戸の合計1,152戸の規模。同じ駅圏では積水ハウス「グランドメゾン品川シーサイドの杜」587戸もほぼ同時期に分譲される予定で、双方を合わせると1,739戸にも上る。
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この物件と積水ハウスの物件については、明日以降詳報する。激突は避けられないが、コンセプトが全く異なっており、全体として相乗効果を発揮して双方とも好調な売れ行きを示す可能性もあると見た。
積水ハウス もっとも一級建築士の多い会社 スーパーゼネコンもしのぐ
積水ハウス代表取締役社長兼COO・阿部俊則氏が3月10日に行われた2016年度決算&第4次中期経営計画説明会の席上で、同社のコア・コンピタンスとして「技術力」「顧客基盤」「施工力」の3つを上げ、「働き方改革を進めており、遅くまで働く会社に未来はないとみんなに言っている。ワクワクできるような会社にするためトライしている。ダイバーシティの取り組みで常時上位にランクされる会社にする。技術力でいえば、(一級)建築士の有資格者の数は2,600名を突破しており、住宅会社のなかでは断トツ、ゼネコンも含めてもっとも多いはずだ」と述べた。
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その裏付けをとるためネットで調べた。同社の一級建築士の有資格者は平成28年4月1日現在2,664名(二級は2,986名)となっており、全従業員約16,000名のうち16.7%(二級を含めると35.5%)に達している。
他のハスウメーカーは公表していないのでわからないが、阿部社長が話した通りスーパーゼネコンを超えトップだ。以下、分かった範囲内で一級建築士の有資格者の多い会社を紹介する。
積水ハウス 2,664名
大成建設 2,476名
竹中工務店 2,462名
鹿島建設 2,363名
清水建設 2,178名
大林組 2,077名
日建設計 1,044名(グループ含む)
そのほかではNTTファシリティーズが877名、日本設計が495名、三菱地所設計が340名。大和ハウス工業、住友林業、ミサワホームなども相当いると思われるが不明。野村不動産も社員の数に占める割合が高い。
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説明会のあとで行われた懇親会で同社設計部東京設計室室長・藤田弘樹氏と名刺交換し、しばし歓談した。
とてもダンディな方で、濃紺のスーツは身体にぴったりの細めで、光の当たり具合によって微妙に光り、ワイシャツは濃い青、ネクタイも同系。くたびれたスーツ姿の記者とは真逆だった。
一つ気になったのは、この日、記者が他の取材の際に見た「グランドメゾン伊勢山」をご存じない役員・幹部が多かったことだ(全員に聞いたわけではないが)。もちろん阿部社長はよくご存じで、「いろいろあったからね。苦労したマンションだった」と話した。
阿部社長! 幹部が「伊勢山」を知らないのは問題。次の「住まいの参観日」には「伊勢山」を幹部は見学するよう指示を出してはいかがか。「東戸塚」「狛江」「白金」も追加していただきたい。みんな自社のマンションのレベルの高さを改めて認識するはずだ。
億ションの歴史を変える積水ハウス「グランドメゾン伊勢山」(2011/5/13)
「このままでは生き残れない業界紙」 東急不動産HD・金指潔会長が苦言
東急不動産グループ記者懇親会(ザ・キャピトルホテル東急)
金指会長
3月9日行われた恒例の第38回東急不動産ホールディングス記者懇親会。宴もたけなわどころか、お開きの場面だった。記者は取材を終え、沖縄のホテルプロジェクトや震災支援の活動について話を聞き、お薦めの酒を飲んでいるときだった。
金指潔・同社会長が閉会の辞でいきなりブラッシングボールを投げた。「業界紙に『住宅新報』『週刊住宅』があるが、合併して一緒になったほうがいい。このままでは生き残れない。〝週刊住宅新報〟とでもしたほうがいい…。とにかく情報が大事…」と。(この通り話されたかどうか自信はないが、それほど間違っていないはず)
この言葉の真意を聞こうと思ったが、金指会長は会場袖の出入り口からすぐ退出されたようで、話を聞くことはできなかった。周囲にいた同社関係者や同業の記者に聞いたが、「あれは冗談でしょう」「記者の方の対応をしていましたのでよく聞き取れませんでした」「どういう意味でしょうかね」という答えしか返ってこなかった。
金指会長をご存じない方に分かりやすく伝えるためにプロ野球投手に例える。金指会長は大谷投手やマー君のように力任せで相手を牛耳るタイプではない。基本はストレートだが、内角をえぐる際どいシュートや人を食ったような緩い球を投げる。
これだと並みの変化球投手だが、金指氏はそうではない。〝ブラッシングボールを投げるぞ、よけきれなければ俺は知らんぞ、お前の責任だぞ〟と予告し、その通りに投げるタイプだ。
その意図を読み切ればものすごくわかりいいが、深読みしすぎるとまともに死球を食らい、または絶好球を見逃してしまう。
この日、金指会長はなにを伝えたかったのか。ただの受け狙いの冗談を飛ばしたはずはない。かなり辛辣な問いを投げかけたと受け止めるべきだ。慈愛に満ちたブラッシングボールだと理解しないといけない。
名指しされた「住宅新報」も「週刊住宅」も、さらにわたしも含めたすべての記者も〝あなたたちはきちんと情報を伝えているか〟と問われていることくらい分かったはずだ。
しかし、この「情報」が曲者だ。情報にどのような価値があり、何のための誰のためかを見極める力がないと、みんな集まっても烏合の衆になってしまう。金指会長のこの日の言葉はずしりとこたえた。酔いはいっぺんに醒めた。
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昨夜に書いた記事が気になり、今日(10日)は早く起き、信頼できる同業の記者に聞いた。いくつか間違いもあるようなので追加する。昨夜の記事はそんなに的外れでもないのでそのままとする。
金指会長が投げたブラッシングボールは、それまでのメディアの人との懇親、歓談の流れの中で飛び出したもので、おおよそ次のような意味のようだ。
つまり、われわれ業界紙の記者は、これまでの時代をどう生きてきたかという根本的な問いを金指会長は〝危険球〟のようなジョーク交じりで発したのだ。あなたたちは自力で流れをつくり、あるいは流れに逆らって言うべき主張をしてきたのかと。それがジャーナリズムの使命ではないかと。
そうではなくて、病葉のように時代に流され、右に左にぶれやがて勢いをなくした大河のよどみに沈み汚泥、ヘドロとなり、やがて腐臭を発し、あぶくとなってぷかぷかと浮かび上がり、スギ花粉かPM2.5のような有害物質となって空気中に害毒を垂れ流す存在になっていないかと。もしそうならば、老害は去るべしと。
もう一つ、金指会長は「情報」と言ったのではなく、「上司」と言ったそうだ。上司次第で組織のよどみを一掃し、アユが遡上できるような清流を取り戻すこともできるという意味のようだ。
ブラッシングボールどころか、金指会長はものすごく重要なことをわれわれに語ったということだ。
積水ハウス 平成29年1月期決算 売上高、営業利益とも過去最高
積水ハウスは3月9日、平成29年1月期決算を発表。売上高2兆269億円(前期比9.0%増)、営業利益1,841億円(同23.1%増)、経常利益1,909億円(同18.9%増)、当期純利益1,218億円(同44.5%増)となり、2017年1月期が最終年度となる中期経営計画は当初計画を上回り、売上高、営業利益とも過去最高となった。
主力の戸建事業は売上高が前期比2.7%減となったが、営業利益は4.9%増加した。他の賃貸住宅、リフォーム、フィー事業などのストック事業の営業利益は二ケタ台の伸び率となった。分譲住宅、マンション事業はそれぞれ26.0%、72.0%の減益となった。
次期予想は売上高2兆1,440億円(当期比5.8%増)、営業利益1,920億円 (同4.3%増)、経常利益1,960億円(同2.6%増)、当期純利益1,280億円(同5.0%増)。
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同社は3月9日、2017年度(平成30年1月期)を初年度とし、2019年度(同32年1月期)を最終年度とする第4次中期経営計画を策定。
第3次中期経営計画(2014~2016)が当初計画を上回ったことから、本計画では、IoT・AIに代表されるIT技術の飛躍的な進化、地球温暖化や高齢化に求められる住宅需要の変化、インバウンド需要の拡大や東京オリンピック開催などわが国経済の情勢や事業環境が大きく変化するととらまえ、基本方針を「BEYOND 2020 に向けた“住”関連ビジネスの基盤づくり」とした。
新たな事業領域の拡大を目指すとともに国際事業を大きな柱の1つとし、財務基盤の強化を図る。
最終年度となる平成32年1月期では、売上高2兆3,830億円、営業利益2,300億円、当期純利益1,490億円、営業利益率9.7%を目指す。
「検見川浜には負けない」 価格的競争力は十分「ヴェレーナシティ稲毛海岸」
「ヴェレーナシティ稲毛海岸」完成予想図
大和地所レジデンスが近く分譲開始するマンション「ヴェレーナシティ稲毛海岸」を見学した。駅からややあるが、現地は中低層の住宅が立ち並ぶ良好な住宅街の一角にあり、奥行き約4mのオープンエアリビングバルコニーやオープンエアスペース付きの商品企画は訴求力があり、価格競争力もあると見た。
物件は、JR京葉線稲毛海岸駅から徒歩14分、千葉市美浜区高洲二丁目に位置する8階建て全180戸。専有面積は66.20~84.25㎡、価格は未定だが坪単価は180万円を超えない模様。設計・施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は平成30年7月下旬。
稲毛海岸エリアで5年ぶりとなる分譲マンションで、現地は市立小学校跡地。敷地南側は他社戸建て宅地造成計画地。幼保一体の認定子ども園が隣接。スーパー、小・中学校などの利便施設も近接している。約83haの稲毛海浜公園まで徒歩15分。
建物はL字型で住戸は全戸南東、南西向き。商品企画は、奥行き約4mのオープンエアリビングバルコニー付が32戸あるほか、他の住戸は全開口サッシ&オープンエアスペース付き。全戸スロップシンク付、1階住戸には専用庭。食洗機も標準仕様。1,2階リビング天井高は2500ミリ。
販売を担当する同社課長・臼井実氏は「検見川浜で分譲されているのが坪170~180万円くらい。値段は言えませんが、うちはそこに負けませんよ」と話していた。
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臼井氏が「負けない」という意味は値段が高いという意味ではなく、販売競争で負けないという意味だ。かなり割安感のある価格になるはずだ。
臼井氏は面白い方で、駅からの距離について「広告表示は14分ですが、この前測ったら私の足で10分51秒」と話した。
びっくりした記者が「えっ、わたしなんか人の1.5倍くらいかかる。臼井さん、それって駆け足、競歩じゃないですよね」と聞き返したら、「昔は走っていましたから。若いころ30代くらいですかね、河口湖マラソンで3時間半でした。今でも普通の人よりは速いですが…」「えっ、3時間半? いまおいくつですか? 」「52歳です」
不動産の距離表示はいうまでもなく駅の出入り口から80mを1分として換算し、端数は切り上げて表示することになっている。信号待ちや速く歩く人、遅い人の差は考慮していない。
なので、臼井氏が徒歩14分の表示を10分51秒で歩く速さがどんなものか全くわからない。今度またあったら歩き(走り)比べようと思う。
住宅ジャーナリスト・櫻井幸雄氏が「最近のマンションは華がない」と嘆いているが、このマンションをどう評価するか。モデルルームにはたくさん〝造花〟が生けられていたし、稲毛駅周辺には臼井氏と同じように一足早く春を告げる河津桜がたくさん咲いていた。
モデルルーム
明和地所 フラッグシップ「横濱ザ・マークス」 神奈川県初の低炭素認定「綱島」
「クリオ レジダンス横濱ザ・マークス」完成予想図
明和地所の総合マンションギャラリーで「クリオ レジダンス横濱ザ・マークス」と「クリオ横濱綱島」のモデルルームを見学した。昨年秋に見学して以来だったが、2つのモデルルームは一新されており、とくに100㎡以上のプレミアム住戸の商品企画、設備仕様レベルの高さが光った。
「横濱」は、横浜市営地下鉄ブルーライン高島町駅から徒歩4分、みなとみらい線みなとみらい駅から徒歩9分、横浜市西区花咲町6丁目に位置する11階建て全102戸。専有面積は46.67~106.30㎡、価格は未定だが、坪単価は320~330万円くらいになる模様。竣工予定は平成30年7月下旬。設計は三輪設計。分譲開始は3月下旬。
現地は、昨年、横浜市住宅供給公社が分譲して人気を呼んだ「横濱MIDベース タワーレジデンス」に近接。同社創業30周年の節目を飾るフラッグシッププロジェクトとして位置付けられている。
建物はコの字型で南向きが中心。ワイドスパンが特徴。100㎡超の14戸はプレミアム仕様。インテリアデザインはカン・デザイニングオフィスの鈴木ふじゑ氏が担当。
「綱島」は、東急東横線綱島駅から徒歩13分、横浜市港北区綱島東4丁目に位置する7階建て全66戸。専有面積は60.26~81.62㎡、坪単価は270万円。竣工予定は平成30年3月下旬。設計は三輪設計。施工は加賀田組。2月から分譲を開始し、これまでに約30戸が契約済み。
現地は、「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン」に隣接。パッシブデザインを取り入れ、太陽光発電+蓄電池を装備、マンション向け家庭用燃料電池エネファームを全戸採用していることから神奈川県で初の低炭素建築物認定を取得した。
建物はL字型で、西向き住戸プランはワイドスパンが特徴。食洗機、ミストサウナが標準装備。
「クリオ レジダンス横濱ザ・マークス」モデルルーム
「クリオ レジダンス横濱ザ・マークス」モデルルーム
「クリオ横濱綱島」
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最近の同社の商品企画、設備仕様は飛躍的によくなってきているが、「横濱ザ・マークス」のモデルルームはどこかで見たような既視感を覚えた。
広さは100㎡くらいで、南側バルコニーに面した幅約10mのワイドスパンのリビング・ダイニング・キッチンは約30畳大。その見せ方が巧みだった。坪単価300万円超の物件としては水準以上の設備仕様レベルだった。
ワイドスパンは同社のこれまでのマンションと同様なのだが、何より感心したのは、トイレを含めて廊下に面したドアの把手は全て壁面まで後退させていることだった。すっきりしていて美しい。
パンフレットを見て、既視感は間違っていなかったことが分かった。コーディネーターはカン・デザイニングオフィスの鈴木ふじゑ氏だった。先日見た阪急不動産の「元麻布」と同じ形状だったからだ。おそらく同社は初めて鈴木氏を起用したと思われる。同社の意気込みが伝わってきた。一部の住戸を除き廊下幅を1m以上確保しているプランもいい。
「綱島」は、パナソニックと野村不動産が開発を進めている「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン」に隣接。パッシブデザインのアドバイザーとしてチームネットの甲斐徹郎氏を起用していることからも力が入っていることが分かる。
西向き住戸だけだが、7~8メートルのワイドスパンがいい。坪単価もリーズナブルだと思う。野村とパナソニックのマンションは坪300万円を超えるのは微妙だが、明和の物件よりは高くなるのは間違いない。
「クリオ横濱綱島」
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同社取締役執行役員開発事業本部長・柿﨑宏治氏は常設モデルルームと「横濱」のコンセプトなどについて次のように語っている。
「クリオマンションの発祥の地である横浜は今でも供給の多いエリア。この数年横浜中心部での供給が続き、おかげさまで高い評価を得て好調に完売してきました。そこで、これだけ継続的に供給ができるなら総合マンションギャラリーをつくってみてはという考えにいたりました。
ただ単にモデルルームを2住戸設け複数物件を紹介するものではなく、ワンストップ型の総合マンションギャラリーを目指しております。クリオの基本コンセプトからここまで出来るというハイエンドなインテリアまで住まいに対する希望やイメージを極力体感できるような場となっております。
70㎡のモデルルームはクリオマンションの居住性、快適性を追求した基本性能の高さを表現し、100㎡タイプはクリオマンションのハイエンドモデルとしてのクオリティの高さ表現しています」
東急不動産HD社長・大隈郁仁氏が東急不動産社長を兼務 東急不・植村社長は副会長へ
大隈氏
東急不動産ホールディングスは3月8日、グループマネジメント体制を強化するため機構改革と執行役員体制制度を変更すると発表した。これに伴い、4月1日付で同社代表取締役社長・大隈郁仁氏が東急不動産の代表取締役を兼務する。
東急不動産代表取締役社長・植村仁氏は東急不動産ホールディングス執行役員兼東急不動産代表取締役副会長に就任する。
大隈氏は、昭和33年8月生まれ。広島県出身。昭和57年3月、横浜市立大学卒、同年4月、東急不動産入社。平成16年4月、資産活用事業本部 ファンド推進部 統括部長、同20年4月、執行役員 ビル事業本部長、同26年4月、取締役専務執行役員、同26年4月、東急不動産取締役就任。
トイレ、車庫、犬(舎)小屋…情けない国の木材利用状況
国土交通省と農林水産省は3月7日、平成27年度の木材の利用状況をまとめ発表した。
木造化を促進する低層の公共建築物110棟のうち60棟を木造で整備(前年比187.5%)したほか、内装等の木質化を行った公共建築物は186棟(前年比108.1%)となった。
平成22年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され、国が率先して木材利用に取り組むとともに、地方公共団体にも働きかけ、木材全体の需要拡大を推進している。
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件数が大幅に伸びたので嬉しくなったので中身を調べた。基本方針で積極的に木造化を促進するとされている低層(3階建て以下)の公共建築物が全体で110 棟、合計延べ面積10,402㎡が整備されたが、木造で整備を行った公共建築物は60棟、合計延べ面積3,708㎡とある。
確かに平成26年度は32棟だから大幅に増えた。ところが延べ面積は逆に8.4%減少している。つまり1棟当たりの延べ床面積は平均すると61.8㎡、18坪しかない。もっとも広いものは国交省の公園施設で1,080㎡、次が農水省の公務員宿舎で554㎡。この2棟で全体面積の約半数を占める。この2棟を除く58棟の平均延べ床面積は約36㎡。
用途は休憩所、公衆便所などの公園施設がもっとも多く30棟で半数を占めている。他では自転車置き場、トイレ、車庫などで、警察庁の犬舎兼倉庫もある。
これを見てがっくり。国は2020年までに木材の自給率を50%に引き上げようと取り組んでいるのに、これはどういうことか。犬舎といえばつまり犬小屋ではないのか。どうして駅舎、官舎、校舎、寄宿舎(厩舎もあるが)のようなもったいぶった呼び方をするのか。棟数は大幅に増えたが、中身が乏しい。
木質化を行った公共建築物のうちもっとも多かった省庁は防衛庁で84棟と全体の45%を占め、最高裁判所と国土交通省が各18棟、法務省が17棟、財務省が13棟となっている。
木材の使用量は全体で2,327㎥で前年比14.0%減、一昨年比で65.2%減となっている。
こういう数字を見せられると、2020年までに木材自給率を50%(平成27年度末で33.3%)にするという〝202050〟目標は、「社会のあらゆる分野において2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度になるよう期待する」という政府目標〝202030〟よりはるかかなたのような気がしてくる。やる気があるのかと問いたい。情けない。
旭化成ホームズ社長に川畑文俊専務、池田英輔社長は取締役会長へ
川畑氏
旭化成は3月8日、役員などの異動について発表。4月1日付で常務執行役員に旭化成ホームズ取締役兼専務執行役員・川畑文俊氏が就任する。川畑氏は旭化成ホームズ代表取締役社長と旭化成建材取締役も兼務する。
専務執行役員で旭化成ホームズ代表取締役社長・池田英輔氏は旭化成ホームズ取締役会長に就任する。
川畑氏は1958年(昭和33年)6月3日生まれ。58歳。大阪府出身。1982年3月、関西学院大学法学部卒。同年4月、旭化成工業(現、旭化成)入社。2003年4月、住宅カンパニー東京第三営業部長。2012年4月、旭化成ホームズ執行役員兼東京営業本部長。2013年4月、旭化成ホームズ取締役兼常務執行役員。2016年4月、現職就任。
震災から6年 被災39市町村の人口 再び減少に転じる 増加は5市町のみ
震災から6年。別表は震災被害を受けた太平洋岸39市町村の人口動態を見たものだ。今年2月1日現在の人口は約254万人となり、昨年同月比で約1万人、0.4%減少した。昨年2月の時点では前年比1.3%増(推計人口調査の数値は平成27年10月に実施された国勢調査の数値をもとに変更されており、実際は微増にとどまっている)になり、人口減少傾向に歯止めがかかったかと思われたが、再び減少に転じた。人口が昨年比増加したのは仙台市、名取市など5市町にとどまり、昨年の19市町村から大幅に減少。増加傾向にあったいわき市も減少に転じた。
各県別にみると、岩手県は12市町村すべてが減少。合計は約24.9万人で、昨年同月比約4,000人、1.5%減少。震災前と比較して約3.3万人、10.3%減となっている。
宮城県は仙台市、名取市、多賀城市、岩沼市で増加した。ただ、仙台市の増加率は0.2%増にとどまり、前年の0.8%増と比較して伸び率は鈍化した。
震災前との比較では、利府町が5.4%増で、名取市の5.0%増を上回り39市町村の中でトップ。同町は仙台市の北東に位置し、津波被害エリアが小さく、内陸部では仙台駅へ電車で30分圏と便利であることから最近は住宅開発が進んでいる。町の人口は、都市計画マスタープランによれば平成32年に38,400人に増加するとしている。
逆に、女川町が37.7%減となっているほか、南三陸町が30.6%減、山元町が26.6%減とそれぞれ大幅に減少している。
福島県では、増加したのは新地町のみ。これまで増加していたいわき市も0.6%減と減少に転じた。市は自然減が社会増を上回ったのが大きな要因と見ている。
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国はこれまで集中復興期間(H23~27年度)に25.5兆円を注ぎ、復興・創生期間(H28~32年度)に約6.5兆円、合計で32兆円規模の対策費用を見込んでいる。
今後は、事業ごとの精査・年度ごとの進行管理を重視し、自治体が持続可能なまちづくりを自ら進めていくためにも一定の自治体負担を求めていく方針だ。
こうした方針と人口動態はどのような関連があるのか。これほどの国費を投入しても人口減少傾向に歯止めがかけられないのをどう考えればいいのか。これからどんどん完成する土地区画整理事業の宅地や公園、その他の施設に対する維持・管理費はだれが負担するのか。
福島原発事故による避難指示区域のうち、解除の見込みが立ったという「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」はともかくとして、「帰還困難区域」の住民の未来はあるのか。直近の住民意向調査によると、「帰還の意向」について大熊町、富岡町、双葉町、浪江町は住民の5割以上が「戻らない」と回答している。「帰還困難区域」はいよいよ「帰還不能地域」の様相を呈してきた。
復興庁によると、今年2月28日現在、震災による全国の避難者の数は全国で約12万3千人に上っている。