ポラス 宮城県名取市の仮設住宅で慰問の南越谷阿波踊り その2(語り部)
大正時代に造られた高さ6.3メートルの日和山(津波は松の中ほどまで押し寄せた)
「きちんと訓練していれば、全員助かった」櫻井氏
「閖上に津波は来ないという神話があった」格井氏
「きちんと訓練していれば、全員助かった」-ゆりあげ港朝市協同組合代表理事で震災の語り部でもある櫻井広行氏(62)は、約60名のポラスグループの南越谷阿波踊り慰問団を前にして開口一番こう語った。その理由や津波の教訓を一人ひとりに諄々と話した。
「みんな防災意識が欠けている。よくわかっているのは2~3%の人。95%の人はゴミ扱い。避難訓練もおざなり。行政は予定をこなせばそれで仕事が終わる。住民もモノが出ないと参加しない」
「閖上が津波に襲われたのは地震から1時間たってから。この間、肝心の防災無線は鳴らなかった。震災と同時にヒューズが飛んだからだが、それがわかったのはずっと後になってから。逃げるまで1時間もあったのに子どもをわれわれは助けられなかった」
「いざというとき、子どもは絶対に安全なところにいる環境を作ってください。子どもが安全と思うことだけで非常にらくになる」
「人間の知恵では自然には勝てない。よけるか逃げるか、どちらか。津波の時速は50~60キロ。10cmで足元が掬われる。濁流に飲み込まれると瓦礫と共にミキサー状態になる。まともな遺体など一つもなかった。逃げるときは車も金も捨ててください」
「もう被災地にモノはいらない。補助金ももらったし学校も建ててもらった。みんな税金。あいつら借金だけ残したと言われるのが恥ずかしい。子どもや孫の脛かじっているようなもの。お返しはできない。とにかく来てください」
約1時間、櫻井氏の口からは辛辣な言葉が次から次へほとばしった。慰問団は水を打ったように静まり返った。
櫻井氏は年間、会場となったゆりあげ港朝市食堂で約100回、県外で約30回講話を行っているそうだ。翌日の朝市では、黒山の人を前にバナナのたたき売り口上そっくりのだみ声で商品を手際よくさばいていた。
櫻井氏
櫻井氏の講話を聴く参加者(メイプル館で)
◇ ◆ ◇
津波で両親と家を失くした、もう一人の語り部、閖上地区の復興新聞代表・編集長の格井直光氏(58)は「閖上には津波が来ない、避けて通るという神話があった」と何の根拠もない〝妄信〟が住民の間に広まっていたことを悔やむ。
「昭和8年の三陸沖地震で津波に襲われたとき、先人は石碑を立てた。昔の人は意識が高かった。それを教訓にできなかった。行政も情けない」
「嵩上げについては賛否があった。行政は5mと決めたが、あと1m高くすべきという声が多かったが、行政は聞かなかった」
「私たちの役割はきちんと被災を後世に伝えること。風化の懸念はあるが、ことあるごとに伝えていきたい」
櫻井氏ほどではなかったが、格井氏もまた被災者の望む通りに進まない行政の復興計画を暗に批判した。
格井氏
日和山の慰霊塔に供花する参加者
◇ ◆ ◇
別掲の通り記者は4年前、中国人画家・常嘉煌(ジョウ カコウ)氏が100号の油絵「祈願の櫻」を名取市立閖上中学校に寄贈した際、取材で訪れており、当時の佐々木一十郎市長や仮設住宅に住んでいた三浦信江さん(75)にインタビューも行っている。
閖上地区の復興計画について「賛否両論があるが」と佐々木市長に尋ねたが、「マスコミは信用できない」などと、市の計画に反対する住民の声を紹介する地元紙を批判した。
昨年7月行われた市長選で佐々木氏は、20,677票を得た新人の山田司郎氏に約6,000票差で敗れた。河北新報は山田氏の勝利を「『復興がここまで遅れたのは市民の声と懸け離れた市政運営の結果だ』と強調。対話重視の姿勢を鮮明にして有権者の心をつかんだ」と報じた。
記者は被災地の復興土地区画整理事業を懐疑的に見ている。名取市がどう進むか気になる。
住民運動で建立された慰霊塔(高さは津波の最大を記録した8.4m)
嵩上げされた区画整理地に建設中の公営住宅(奥)と隣り合わせの墓地
ポラス 宮城県名取市の仮設住宅で慰問の南越谷阿波踊り その4(フォトページ)(2017/4/29)
ポラス 宮城県名取市の仮設住宅で慰問の南越谷阿波踊り その3(旗振り役)
ポラス 宮城県名取市の仮設住宅で慰問の南越谷阿波踊り その1(死の街)(2017/4/27)
「みんなと別れたくない」 名取市美田園の仮設住宅に住む三浦さん(2013/3/21)
東急不動産 「世代循環型」の街づくり「世田谷中町プロジ ェクト」一部完成
「グランクレール世田谷中町」エントランス
東急不動産は4月25日、認知症の研究が豊富な英国スターリング大学認知症開発センター(DSDC)のケアデザインを取り入れた「世代循環型」の街づくり「世田谷中町プロジ ェクト」の「ケアレジデンス」が完成したのに伴うDSDCプレスセミナー・内覧会を行った。
DSDC のケアデザインとは、「転倒の危険性や、ストレス、興奮、混乱、不穏、見識障害など本人が不安や混乱する状態を減らすもの」で、これまでの事例から①廊下での転倒が71%減少②体重減の割合が13%から3%に改善③暴力行為が60%減少④薬による鎮静行為が週20 回から週1回に減少⑤スタッフが居住者と質の高い時間を過ごせるようになった⑥トイレを探すのに手助けが必要だった人が自立してトイレにいけるようになった-などが実証されている。
また、同社は2015 年10 月、順天堂大学と「包括的連携協力」の協定を締結し、「ロコモティブシンドローム」(運動器症候群)の予防に向けたプログラムを導入している。
「世田谷中町プロジェクト」は、東急田園都市線桜新町・用賀駅から徒歩15分、世田谷区中町五丁目に位置するNTT社宅跡地で開発中の全252戸の定期借地権付きマンション「ブランズシティ世田谷中町」と、「シニアレジデンス」(176戸)と「 ケアレジデンス」(75戸)からなる「グランクレール世田谷中町」(251戸)との複合開発。マンションの一部を除き建物は竣工済み。
◇ ◆ ◇
記者は他の取材があり、駆け付けたときセミナーは終わっており、内覧会も予定時間いっぱいだった。関係者の好意でケアレジデンスを案内してもらった。
たくさん驚いたことがあったのだが、分譲マンションにも採用できる商品企画があった。
一つは、居室の床は直貼りなのだが、二重床とほとんど同じ機能を発揮する永代産業の「セーフケアダイレクト」を採用していた。床がまったくふかふかしない。
もう一つは、内廊下の居室の玄関ドアの位置をずらすことでお見合いを避けていることだ。
地域包括ケアの拠点となる「ナースケア・リビング世田谷中町」のキッチンには、事故防止のため訪朝入れなど収納はマグレットを使用しないと開けられないようになっていた。これもスグレモノだ。
そして何より素晴らしいのが植栽計画だ。歩道には既存樹の見事なサクラが植わり、差し渡し1mはありそうなケヤキも植わっている。総延長100mの緑の遊歩道も分譲マンションエリアに設置されている。
舗道
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昨年9月、分譲マンションのモデルルームを見学したとき「東急不動産の記念碑的マンション」と書いた。間違っていなかったことを見学して確認した。
街づくり、ユニバーサルデザイン、環境共生、シニア住宅分野で同社は先駆的な役割を果たしてきた。今回のプロジェクトには消化できないくらいの様々な取り組みが行われている。
一つ腑に落ちないのは、分譲マンションの販売進捗がいま一つであることだ。これまで100戸を供給して契約済みは80戸。今夏までに全戸が完成する。
坪単価308万円はやや高い気がしないではないが、定借がネックになっているとは思わない。圧倒的な緑の量と認可保育所、子どもの無料遠隔医療相談、シャトルバス、多世代交流拠点、買い取り保証などをアピールできれば販売スピードは飛躍的に高まるはずだ。
「ブランズシティ世田谷中町」
野村不動産 共働きをターゲットにした「プラウド日本橋人形町パサージュ」分譲
「プラウド日本橋人形町パサージュ」完成予想図
野村不動産は4月25日、東京メトロ日比谷線・都営浅草線人形町駅圏で同社としては第3弾の「プラウド日本橋人形町パサージュ」(全39戸、非分譲住戸3戸含む)の予約制モデルルーム案内会を今週末より開始すると発表した。
共働き世帯にターゲットを絞り、プラウドシリーズでは首都圏エリア初の「全戸2LDK」とし、専有面積を全戸60㎡超確保するほか、EV着床制限システムの導入、アマゾン最小サイズの郵送物も入れられる大型郵便物対応ポストを設置して差別化を図る。
物件は、東京メトロ日比谷線・都営浅草線人形町駅から徒歩2分、中央区日本橋人形町三丁目に位置する14階建て39戸(非分譲3戸含)。専有面積は60.43~65.76㎡。施工は新日本建設。竣工は2018年5月下旬。
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同社は2003年、コンパクトマンション「プラウドジェム幡ヶ谷」を分譲し、その後、数件「ジェム」シリーズを供給したがやめてしまった。賃貸に切り替えたようだ。記者はどうして継続して分譲しないのかとずっと思っていた。
今回の物件は、共働きをターゲットにしたという点で面白い。この界隈ではコンパクト、ファミリー、投資用が入り乱れて乱売合戦が展開されている。どのような商品企画が改めて取材してレポートしたい。
ポラス 宮城県名取市の仮設住宅で慰問の南越谷阿波踊り その1(死の街)
汚染土壌の土嚢(富岡町で)
福島原発 新緑が美しい山並みとあまりにも対照的な光景に声もなし
ポラスグループと南越谷阿波踊り振興会は4月22~23日、宮城県名取市美田園第一仮設住宅阿波踊り慰問を行った。記者は密着取材を敢行した。数回に分けてレポートする。今回はその第一弾。
名取市は2011年3.11の東日本大震災で被災エリア住民の約6分の1に当たる954名(このほか行方不明者39名)が犠牲となった。ポラスグループは震災直後、美田園地区に128戸の仮設住宅を建設。その翌年から、仮設住宅の建設にも関わった同社グループの住宅資材センター施工部部長でPO連連長・土屋誠氏(45)の呼びかけで毎年慰問を行っており今回が6回目。
約60名の参加者は早朝6時30分に越谷市を貸し切りバス2台で出発。常磐道を北へ、約6時間30分の行程をかけて現地に向かった。冒頭、土屋氏は「物見遊山で出かけるのではない。それぞれがツアーで見聞したことを語り継ぎ、国を動かす力になってほしい」と注意を促し、もっとも甚大な被害を受けた閖上地区の被災状況や、仮設住宅建設の経緯、映画「君の名は。」の原点となった新海誠氏の閖上訪問のエピソードなど映像を交え説明した。
いわきICを過ぎたあたりから放射線量を示すモニタリングが表示され、至るところに設置されているシートで覆われた放射能汚染土と「帰還困難区域」に指定されている大熊町、双葉町などの高い放射線量に声を失った。〝死の街〟を目の当たりにした。
土屋氏
◇ ◆ ◇
いわきICを過ぎ四倉IC当たりで、土屋氏は「ほら『二輪通行不可』の注意書きが見えるでしょ。汚染土の土嚢の量も放射線モニタリングの数値も越谷の10倍から数十倍。しっかり見てください」と声を掛けた。
記者は広野~南相馬間に設置された9カ所のモニタリングポストの数値と、車窓から見える汚染土壌の土嚢をカメラに収めた。
モニタリング数値は広野町当たりで01 mSv/hだったものが福島原発に近づくにつれ上昇し、双葉町では3.4 mSv/hを記録した。さいたま市当たりで0.05 mSv/hだから68倍の数値だ。
「帰還困難区域」に指定されている大熊町、双葉町などは人の気配が皆無なのは理解できるが、避難指示が解除された楢葉町、富岡町、南相馬市などでも人家は確認できたが、人の気配は全くなく、車の通行も2~3台はあっただろうか。
帰りの車中では南相馬を過ぎた当たりからいわき市に入るまでの数十キロにわたり人家の灯りはまったく確認できなかった。新緑が美しい山並みと正反対の光景に暗然たる気持ちになった。
広野-南相馬間の放射線量0.1~3.4 mSv/hを示すモニタリング表示
「二輪通行不可」の表示
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国立がんセンターがん対策情報センターがん情報・統計部の祖父江友孝氏は「放射線の発がん影響について」(2011.3.28)と題するレポートで「成人が1000ミリシーベルトを一度に被ばくすると全固形がんの発がんリスクが1.6倍に増加します。これは非喫煙者と比べた場合の喫煙者のリスクの増加程度とほぼ同程度です。現時点で住民の方が受けたと考えられる被ばくによる影響は、それよりはるかに低い値となると予測されます」と述べている。
レポートが震災からわずか17日後に出されているのに注目したいが、わざわざ喫煙者の発がんリスクと比べているのも興味深い。
政府は先に、避難指示区域のうち空間線量率から推定された年間積算線量が20ミリシーベルト(3.8 mSv/h)以下となることが確実であると確認された浪江町や富岡町の避難指示を解除した。
記者は専門家でないのでよくわからないが、チェルノブイリでは6年目以降に5ミリシーベルトへと避難基準を引き上げた。また、チェルノブイリで被ばく(650~1240 mSv)した18歳以下の10~15年後の甲状腺がんの発症リスクは4.0と喫煙者のガン発症リスク1.6の2.5倍にも跳ね上がるというテータもある。
20ミリシーベルトを年間被ばくすれば50年で1000ミリシーベルトに達する(被ばく総量と被ばく率の因果関係や閾値は不明)。今村復興相が自主避難者に対して「自己責任」などと暴言を吐き辞任に追い込まれたのは当然のような気がする。
車窓からの風景
ポラス 宮城県名取市の仮設住宅で慰問の南越谷阿波踊り その4(フォトページ)(2017/4/29)
東急不動産 二子玉川に新しい都市型商業施設「キュープラザ二子玉川」開設
「キュープラザ二子玉川」
東急不動産と東急不動産SCマネジメントは4月28日、都市型商業施設ブランド「キュープラザ」の4番目の施設である「キュープラザ二子玉川」をオープンする。26日、施設がメディアに公開された。
「キュープラザ二子玉川」は、東急田園都市線・大井町線二子玉川駅から徒歩1分の3階建て延べ床面積約2,521㎡。
エリア初の「Climbing Gym Fish and Bird(クライミングジム フィッシュアンドバード)」やピザ料理などが楽しめる新業態の「CHICAMA(チカマ)」など4店舗からなる。
外観は枕木とレールをイメージした外装とし、建物の随所に在来種の草花をうえるなど環境にも配慮しているのが特徴。
同社と東京急行電鉄は先に、両社が運営する二子玉川駅直結の商業施設「二子玉川ライズ・ショッピングセンター」の2016年度の売上高は403.9億円、来館者数は3,121万人となり、全館グランドオープンした2015年度を上回り過去最高を記録したと発表している。
「CHICAMA(チカマ)」
◇ ◆ ◇
Climbing Gym Fish and Birdでデモンストレーションを見学した。所長の酒井悠さん(26)は沖縄国体にも出場しているプロで、記者の「当然東京オリンピックを目指すのでしょ」という誘導質問に「イエス」と答えた。このほか4人の全日本クラスの選手がヤモリかサルのような格好で難題をクリアした。
小さい頃は10mくらいの柿の木など平気で登った記者も体験したかったが、落ちて怪我でもしたら「自己責任」といわれそうでやめた。
酒井氏(色男だが容姿は競技に関係ないとか)
みなさん全日本クラスとか(たしか右端の人はワールドカップ優勝者)
大和ハウス 天井高2.8mの「xevoΣ」ロビーに公開 一般住宅との差が一目瞭然
東京本社1階ロビーに設置された「天井高ひろがり体感ブース」
大和ハウス工業は4月25日、同社が2014年1月に発売した天井高2.72mの「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」が好評であることを受け、天井高をさらに8㎝伸ばし2.80mにした「天井高ひろがり体感ブース」を東京本社1階ロビーに設置し、報道陣に公開した。4月29日から7月まで期間限定で一般にも公開する。一般的な住宅の天井高2.4mのリビング空間と隣り合わせにして、その違いが一目見てわかるようにしている。
「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」の構造をいじることなく天井高を8㎝上げるプランバリエーションを追加することで「2.80mフラット天井」「2.80m折上天井」を実現。費用は10畳大で約10万円。天井高を高くしたことに伴い建具も天井一杯に伸ばす。サッシ高も上げる。
「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」の天井高2.72mの採用率は2016年10月から2017年3月末の時点で約75%に達している。2014年に発売して以来、累計の販売棟数は約10,000棟。
◇ ◆ ◇
マンションも戸建ても天井高が高いほうがいいに決まっている。記者は見学の際、その天井高を必ずチェックする。
同社もそうだが、ポラスはずっと以前から1階のリビング天井高を2.7m確保してきた。その旨パンフレットなどにも記載しているが、分譲戸建てのモデルハウスではほとんど〝その差〟を見せる工夫などしていない。「せめてテープでも貼ったらどうか」と提案したことがあるが、やっていない。
後発の大和ハウスが期間限定ではあるが、その差を〝見える化〟した。ハウスメーカーの天井高競争は間違いなく激化する。ついでに言えば、同社は2階バルコニーのマタギ部分をフラット化して久しい。これも天井高を上げたのと同等の効果がある。もっとアピールしていい。
三井レジ他「パークタワー晴海」 「有明」と競合必至 価格はいくらになるか
「パークタワー晴海」完成予想図
三井不動産レジデンシャルは4月25日、今後の市場動向を占う意味で注目されるマンション「パークタワー晴海」の記者見学会を行った。残念ながら取材不足。核心に触れることができなかった。
物件は、東京メトロ有楽町線・都営地下鉄大江戸線月島駅から徒歩12分、中央区晴海2丁目に位置する48階建て全1,076戸(他に保育施設1区画、店舗1区画)。専有面積は42.53~121.16㎡、価格は未定。竣工予定は平成31年05月下旬。売主は同社のほか近鉄不動産、JX不動産、新日鉄興和不動産、住友商事。施工は大林組。
現地は、晴海2丁目の3方が運河、対面が豊洲。2010年に太平洋セメントの工場跡地を取得し、隣接する都が所有していた土地と合わせ開発するもの。隣接地には三菱地所レジデンスと鹿島の「ザ・パークハウス 晴海タワーズ」(全1,744戸)がある。
建物は大林組の日本初のDFS・ハイブリッド免震構造を採用。デザイン監修は光井純アンドアソシエーツ建築設計事務所。外構コンセプトデザインはオリエンタルランド。
約19,000㎡の敷地の外構部を「イマジネーションランド」、屋内共用部を「イマジネーションランド」と見立て、内と外をつなぐ不思議な空間をデザインしているのが特徴。アウトドアメーカーのスノーピークス、遊具メーカーの「ボールネンド」とコラボしたソフトサービスを用意するほか、月島駅へのシャトルバスも運行する。
モデルルームは4タイプ。それぞれ明確なコンセプトが特徴。シアターは映像に合わせて座席が動く360°体験型シアター。
昨年9月からの問い合わせは約6,000件、3月18日から4月2日までの事前案内会来場者は約1,200件。サロンのキャパシティいっぱいの反響だという。モデルルームは5月3日に一般公開する。
360°イマジネーションシアター
水憩テラス
冒険の森
◇ ◆ ◇
まず価格。2~3年前から坪単価は最低で330万円、アッパーで350万円と読んでいた。いまもそれは変わらない。しかし、競合必至の住友不動産「(仮称)東京ベイ トリプルタワープロジェクト」(全1,539戸)がどうなるかが読めない。こちらはゆりかもめ有明駅から徒歩3分、江東区有明の商住複合開発だ。強気な値付けをするのは間違いない。坪300万円をはるかに突破するはずだ。
モデルルームは4タイプ。スノーピークスが提案している67㎡のタイプはコンセプトが明確でなかなかいい。床、壁などは無垢材を使用しており、オプション仕様は総額500万円くらいだそうだ。
この他、「海」「光」「森」をテーマにしたモデルルームもそれぞれ思い切った提案がなされている。バックカウンター・吊戸棚も標準仕様だ。シャトルバスの詳細は未定だが、かなりインパクトがあると思う。
ユーザーは駅からややある中央区晴海の三井不動産レジデンシャルを選ぶか、駅から3分の住友不動産を選ぶか。価格次第だろうが、これは相当悩ましい選択になる。中央区が江東区より安い値付けはありえないと思うが…どうなるか。三井VS住友の引くに引けない押すに押せないメンツをかけた綱引きもまた見ものではあるが…。
住友不動産も記者発表会を行うと聞いているのでしっかり取材したい。
スノーピークモデルルーム
◇ ◆ ◇
完全に取材不足。余裕をもって出かけたが、アクセスを間違って結局1時間近くさまよった。現地についてすぐシアター。これがいけなかった。
シアターの座席数は32席もある大きなもので、ディズニーの仕掛けと同じように映像に合わせて座席が上下に動き、空を飛ぶクジラの背中に乗って物件の共用部分などを見て回るようになっていた。映像が360度回転するので、クジラに自在に操られ、浮遊しているような感覚を覚えた。
普段ならどういうこともないのだが、記者は先週の土曜日と日曜日、3.11で900名を超える犠牲者を出した宮城県名取市で行われたポラスの復興支援阿波踊りを密着取材してきたばかりだ。もっとも被害が甚大だった閖上地区の被災画像や語り部の生々しい話をきいた。取材の疲労で月曜日は1日寝込んだ。
シアターの座席がガタンと動いたとき体が反応した。逃げ出したくなった。気持ちが悪くなった。ずっと避難口を探していた。もう落ち着いて見ていられなくなった。
シアターから解放された後も、渡された端末タブレットもまったく使い方が分からない。すごい情報が盛り込まれているのは容易に想像がついたが、操作できないので記事にしようがない。片手にタブレットを持っているとメモも取れない。
さらにまた、同じ時間帯に東急不動産の「世田谷中町プロジェクト」の見学も予定していたので、気もそぞろ、1時間で取材を切り上げた。
シアターに翻弄され、タブレットに気を取られ、なんだかしどろもどろの記事になってしまった。申し訳ない。
「海」がテーマのモデルルーム
「光」がテーマのモデルルーム
「森」がテーマのモデルルーム
住友不動産 「有明北3-1」容積率1種当たり42万円の安値で取得(2012/12/22)
「ザ・パークハウス 晴海タワーズ」完成・完売(2016/4/14)
三菱地所レジデンス 全1744戸の「ザ・パークハウス晴海タワー」(2013/5/30)
ナイス 隈研吾氏が設計した南三陸町の「南三陸ハマーレ歌津」完成
「南三陸ハマーレ歌津」街びらきセレモニー
ナイスは4月24日、建築家・隈研吾氏が設計した宮城県南三陸町の仮設商店街「伊里前福幸商店街」の移転新築施設「南三陸ハマーレ歌津」が完成、4月23日に街びらきセレモニーを行ったと発表した。
「南三陸ハマーレ歌津」は、東日本大震災の津波により被災した伊里前商店街があった国道45号沿いの5メートル程嵩上げされた海抜約7mの高台造成地約5,200㎡に完成。建物は木造平屋建て延べ床面積約672㎡。
同社グループオリジナルの金物接合を用いた木造軸組工法(パワービルド工法)を採用。来訪者の手に触れる部分にはできるだけ地元の木材を使いたいという隈氏の意向を受け、外壁及び下屋部分のポーチ柱には地元の「南三陸杉」を採用。外壁には、地元の製材事業者、丸平木材が製材した木材が用いられている。
近くには小中学校や防災集団移転団地などがあり、同施設は地域コミュニティーの中核的機能を担いつつ観光交流拠点となる。
同社は、地元建設会社の志津川建設と山庄建設とで組成した「ナイス ・ 志津川 ・ 山庄 特定建設工事共同企業体」の代表として参画したほか、木質化企画や材料調達、構造躯体材のプレカット加工、施工などに携わった。
全戸にホワイエ(屋内廊下)土地の価値を最大限引き出す日本エスコン「渋谷富ヶ谷」
「グラン レ・ジェイド渋谷富ヶ谷」(12階相当から渋谷方面を望む)
日本エスコンがゴールデンウィーク明けに分譲する「グラン レ・ジェイド渋谷富ヶ谷」を見学した。東京メトロ千代田線代々木公園駅から徒歩5分、1フロア2戸の全25戸(但し最上階は住戸連結プランの選択もでき24戸に変更の可能性あり)だが、敷地南側に富ヶ谷-神山町-松濤の第一種低層住居専用地域が広がる恵まれた立地を最大限に引き出したプランが光る好物件だ。
物件は、東京メトロ千代田線代々木公園駅から徒歩5分、小田急小田原線代々木八幡駅から徒歩5分、渋谷区富ヶ谷1丁目の第一種低層住居専用地域・第二種住居地域に位置する地上12階・地下1階建て全25戸(最上階住戸連結時は24戸)。専有面積は47.71~125.55㎡(最上階住戸連結の場合)。坪単価は下層階と上層階ではかなり差があるが、平均すると500万円前後か。竣工予定は平成30年2月末。設計・監理は創建築設計事務所。施工は奈良建設。
現地は、代々木公園駅からの商業系用途と、渋谷方面からだと松濤-神山町-富ヶ谷と続く高級住宅街の間に位置する。敷地南側は第一種低層住居専用地域。
建物は1フロア2戸で、40㎡台後半の1LDKと50~60㎡台の2LDK、70㎡台後半の3LDKで構成される。用途が第一種低層住居専用地域にある敷地南側にゆったりしたアプローチを設け、両脇の植え込みに孟宗竹などを植え高級感を演出。全戸に5.11㎡(1.54坪)~8.85㎡(2.67坪)のホワイエ(屋内廊下)が付くのが特徴。
住戸プランは、小規模ながらディスポーザを標準装備し、天然御影石キッチン・パウダールームカウンター、食洗機、ミストサウナ、グローエ水栓、ハーマン製コンロなどを採用。
同社開発事業本部東京開発事業部東京企画販売グループサブマネージャー・畑山秀樹氏は「おかげさまで資料請求は1,800件を突破。4月8日にモデルルームをオープンして以来、来場は70組を超える。ギャラリーは4卓しかありませんがゴールデンウィークまでの週末は全て満席。2駅2路線利用可能な駅近の利便性や、山手通りから一本奥に入り車の音も聞こえづらく南面に第一種低層住居専用地域が広がる良好な住環境、拘りの設備仕様もお客様から評価が高く早期完売への手応えを感じている。」と話している。
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昨年は同社の「グラン レ・ジェイド若松河田」の商品企画に驚いたが、今回は1フロア2戸の小規模宅地物件ながら、立地条件とその価値を最大限に引き出している企画力が光る。
エレベーターは両開きの”2戸1”で住戸の玄関前に専用使用権付きのホワイエを設置したのがいい。セキュリティーがかかったエレベーターで直接アクセスするエレベーターホールとして、住戸の独立性とプライバシー性を高める空間となっている。
住戸プランもいい。1LDKタイプは北向きや下層階に限られるケースが多いが、5階以上の1LDK(約47.71㎡)は柱型がでず、開口・採光窓は6カ所もある。3LDKは全居室開口窓付き。
大手デベロッパーの寡占化が進んでいるマンション市場では、中堅デベロッパーはなかなか好立地の大規模用地を取得できないだろうが、反面、大手が手を出しづらい今回のような小規模宅地物件でマンションに求められる理想を具現化できるのは柔軟な発想力を持つ日本エスコンならではと言えるだろう。
ライトコート付きのプラン秀 日本エスコン 首都圏初の〝グラン〟「若松町」(2016/11/4)
エアロテックを武器にオール三菱で挑め 三菱地所レジデンスの都市型戸建て
「ザ・パークハウス ステージ奥沢東玉川」
三菱地所レジデンスが分譲中の一戸建て「ザ・パークハウス ステージ奥沢東玉川」を見学した。三菱地所ホームが施工した全21戸で、昨秋から分譲を開始し、これまでに14戸か成約済みだ。
物件は、東急池上線雪が谷大塚駅から徒歩8分、世田谷区東玉川1丁目に位置する三菱銀行の社宅跡地の全21戸。現在分譲中(5戸)の土地面積は102.78~120.87㎡、建物面積は97.00~102.67㎡、価格は89,800,000円~108,800,000円。構造は木造枠組工法(2×4工法)2階建て。建物は昨年7月完成済み。施工は三菱地所ホーム。
現地は、一戸建てが建ち並ぶ緩やかな傾斜地の一角。開発道路は一部インターロッキング舗装。21戸のうち4戸は三菱地所ホームの全館空調「エアロテック」が装備されていたがすでに販売済み。
モデルハウス
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恥ずかしいことだが、同社の分譲一戸建てを見学するのはいつ以来か。記憶にない。首都圏では「金沢文庫パークタウン」以来か。
なぜか、これは記者が怠慢だったことよりも、同社がバブル崩壊後供給しなくなったせいのほうが大きい。同社は2013年秋に一戸建てシリーズ「ザ・パークハウス ステージ」を立ち上げるとプレス・リリースしたが、その時点でも〝本気〟で都市型戸建て市場に参入するとは思えなかった。同社によると、2013年度から16年度までの供給実績は201戸だ。年間にして約50戸のペースだ。
トップを走る三井不動産レジデンシャルが年間700~900戸くらい供給しているのと雲泥の差だ。三井レジは、バブル崩壊後いち早く面開発からの撤退を決め、その代わりに回転率の速い都市型戸建てを継続して供給してきた。
この差が出ている格好だ。価格が価格で市場の反映とは言え、三菱地所ともあろうものが全21戸の戸建てを売るのに1年くらいかかるとは情けない。かつてリーマン・ショックの直後、三井レジが同じ石川台駅が最寄り駅の1億円前後の「ファインコート」を1カ月くらいで完売したのを取材して記事にしている。デザインもそうだが、緑量が圧倒的に異なると思った。
しかし、同社とていつも三井の後塵を拝するわけにはいかないはずだ。起死回生の主客を転倒させる武器は「エアロテック」だと確信する。「エネファーム」「ZEH」をしのぐインパクトがある。これのよさは経験しないとわからない。全ての供給物件に採用して他社との差別化を図ってほしい。企画-施工-販売ともオール三菱で挑めば三井と互角に戦えると見たがどうだろう。