「女性のほうがコミュニケーション能力高い」 「じゅうたく小町」参加者の声

「じゅうたく小町部会」一周年記念式典
5月29日行われた全国低層住宅労務安全協議会(低住協)「じゅうたく小町部会」一周年記念式典で、式典の進行役を務めた大和ハウス工業人事部ダイバーシティ推進室次長・鳥生由起江氏は「いろんなことを考えるキックオフの場にしたい」と式典を締めた。
その通りだと思った。日建連「けんせつ小町」が掲げる「もっと女性が活躍できる建設業を目指して」の取り組みも、低住協の「じゅうたく小町」が〝小町クローバー〟に込めた〝住まいを通じてお客様と幸せと安心を提供する〟などの4つの想いは実にわかりいい。
しかし、式典は掛け声ばかりで一向に進まない〝女性活躍〟の実態を浮き彫りにした。2020年までに女性の管理職比率を30%に引き上げようという政府の目標「2030」なんか絶望的ではないか。以下、式典で拾った声を紹介する。男性にとって耳が痛い、ドキリとするものばかりだ。

伊藤氏
・国土交通省大臣官房審議官・伊藤明子氏 これからはモノ・ハコから生活・暮らしの産業にならなければならないが、大事なのはコミュニケーション能力、創造力。これは女性のほうが(男性より)能力が高い
・鹿島建設・須田久美子氏 〝大きなものを作りたい〟というのが私の夢で、大学3年のとき土木はわたしの天職だと思った。周囲の応援があり、阪神淡路のときは24時間仕事に没頭することができた。わたしのこれからの仕事は、100年後に土木が職業人気ランク1位になる100年プランを作成すること
・(入社12年目、子供なし) 最初の3年間は6時に起きて7時半には現場。仕事を終えて家に着くのは9時前。食事は主人のほうが上手
・(入社6年目、二人の子どもとイクメン) 育休のとき一級建築士の資格を取得した。2人目の子どもが生まれたとき主人が育休を半年取ってくれたおかげで早く仕事に復帰できた。主人の協力があるとものすごくラク。本来は男も(家事労働負担は)は同じ(この方は「妊娠発覚」という言葉を用いた。われわれの時代は妊娠が判明すると赤飯をたいて祝ったりした。意図はないのだろうが「発覚」という言葉は現在の女性が置かれている立場を如実に物語っている。戦前の不況期と同じだ。それとも今が戦争の危機か)
・(女性が現場に出ることで変わったことについて各氏) みんなで早く帰ることができた 思ったことがすぐ相談できる 職場がきれいになる 残業が減った 快適トイレは男性も使いたいという声が上がった

須田氏の特別講演
◇ ◆ ◇
3回にわたって「じゅうたく小町」の記事を書いた。熊谷組の黒嶋氏は「みんなで週休2日を実現しよう」と呼び掛けた。鹿島の須田氏は建設土木の仕事が職業人気№1になる100年後プランを考えているという。その一方で、ドアに背中を付けながら用足しをしなければならない建設現場のトイレがあることも分かった。
高邁な理想を掲げる女性がいる一方で、劣悪な労働環境で働いている女性がたくさんいる-このギャップをどう考えるか。残念ながら建設現場の女性の声を経営トップに伝え、実践させるのは極めて困難だろうと思う。この1カ月間、4~5人の経営トップに働き改革ついて聞いたが、全くと言っていいほど危機感など抱いていない。縮小するパイの奪い合いしか念頭にないようだ。
「じゅうたく小町」の皆さん、本気で働き方改革を実行するのなら覚悟を決めたほうがいい。参考になる小説を一つ。最近読み始めた帚木蓬生「水神」(新潮文庫)だ。農民(皆さん)がお上(経営トップ)の顔を立てながら難事を成し遂げる物語だ。
それにしても「全国低層住宅労務安全協議会」(低住協)などといういかめしい名称をよくも使い続けているものだ。記者は全労協(失礼。労働組合と思えばこれはこれで立派)かと思った。「低住協」の「低」もまた低級を連想させる。「じゅうたく小町」にふさわしい名称に変更すべきだ。「全国」組織にすることも急ぐべきだ。
建設現場の週休2日制導入 待ったなし 「じゅうたく小町」参加者に聞く(2017/5/31)
建設現場の仮設トイレ利用しない」 「じゅうたく小町」会員の声をどう聞くか(2017/5/30)
女性輝けないトイレ 「利用しない」公園90%、駅38%、職場30% 国交省アンケート(2017/1/21)
労働環境改善活動にエール 全国低住協「じゅうたく小町部会」に参加して(2016/11/26)
建設現場の週休2日制導入 待ったなし 「じゅうたく小町」参加者に聞く

「じゅうたく小町部会」一周年記念式典(すみだ産業会館で)
記者のいまの最大の関心事はマンション価格が下がるかどうか、そのカギを握る建設費はこの先どうなるかだ。5月29日行われた全国低層住宅労務安全協議会(低住協)「じゅうたく小町部会」一周年記念式典の取材の第一のテーマも、建設現場の労働時間短縮、週休2日制の導入は可能か否かだった。
というのも、「こだわり記事」でも書いたが、日建連・中村満義会長は「建設業の長時間労働の是正には週休二日の定着が必要でありますが…建設業としては、この政府の決定を真摯に受け止め、長時間労働の是正に精いっぱい努力してまいります」とコメントしているように、5年間の猶予期間を待たずに労働時間短縮に取り組む姿勢を明らかにした。週休2日は待ったなしだ。

黒嶋氏(左)と須田氏
式典でこの問題に積極的に踏み込んだ参加者がいた。熊谷組経営企画本部ダイバーシティ推進室担当副部長・黒嶋敦子氏だ。
パネルディスカッション「これからの建設業女性活躍について」のパネラーとして登壇した黒嶋氏は、ダイバーシティ推進室を昨年スタートさせ、ダイバーシティパトロールの実施、女性用作業服の採用、約100名の女性技術者による交流会の実施、健康経営優良法人「ホワイト500」に初認定されたことなど同社の取り組みを紹介したあと、「建設業は残業が多すぎる。女性が働きやすい職場は男性にとっても働きやすい職場だと思う。みんなで週休2日を実現しよう」と呼び掛けた。
式典後、この問題についてさらに聞いた。「(週休2日を)オリンピックまでに対応するのは難しいが、今年から土木と建設でそれぞれモデル現場の設定を目指している。意識を変えないといけない。日建連からも実現に向けて努力するように言われている」と話した。
同じように週休2日制の導入に前向きな考えを示したのは、特別講演として自らの現場経験を話した鹿島建設・須田久美子氏だ。記者の「週休2日制の導入はその分コストアップ要因にならないか」という質問に「大きなコストアップにつながらないよう工夫してやらないといけない。オリンピック後? いえ、それよりも早く取り組む必要がある」と語った。

小谷氏(左)と鳥生氏
しかし、ハウスメーカー側は簡単にイエスと答えられない事情がありそうだ。ネラーとして登壇もした積水ハウス経営企画部ダイバーシティ推進室部長・小谷美樹氏は「業界全体の働き方改革として考え、当社としても課題だととらえています」と明言を避け、式典の進行役を務めた大和ハウス工業人事部ダイバーシティ推進室次長・鳥生由起江氏も「業界全体としてそのような動きにあります」と話すにとどめた。
ビル・マンションなどと戸建てなどでは建設現場での週休2日制の導入には温度差があることが分かった。
建設現場の仮設トイレ利用しない」 「じゅうたく小町」会員の声をどう聞くか(2017/5/30)
女性輝けないトイレ 「利用しない」公園90%、駅38%、職場30% 国交省アンケート(2017/1/21)
労働環境改善活動にエール 全国低住協「じゅうたく小町部会」に参加して(2016/11/26)
旭化成不動産レジ わが国初の民間マンション「四谷コーポラス」建て替えへ

「四谷コーポラス」
旭化成不動産レジデンスは5月30日、わが国初の民間分譲マンション「四谷コーポラス」の建て替え決議が3月25日に成立、5月に全員合意となり、9月に解体工事に着手すると発表した。
「四谷コーポラス」は、1956年(昭和31年)竣工の築61年を迎える5階建て全28戸のマンション。専有面積はフラットが約51㎡(4戸)、メゾネットが約76㎡(24戸)。メゾネットの価格は1戸233万円で、大卒の初任給が1万円程度だった当時、時代の最先端をいく高級住宅だった。従後は6階建て51戸(販売戸数28戸)、専有面積は約38~55㎡となる。2019年7月竣工予定。
建て替え・大規模修繕等の検討会が2006年にスタート。その後東日本大震災をきっかけに耐震性能への不安が顕著化し、建物の高経年化に伴う給排水管の老朽化などの理由から建替えを中心に検討することとなり、決議が成立した。
同社は、区分所有者(25名)の大半が再建後のマンションを再取得することを考えているため、権利者それぞれの想いや要望に丁寧に応えるオーダーメイドの住戸プランニングを行うとしている。
◇ ◆ ◇
このマンションが建て替えられることは「週刊住宅」関係者から聞いていた。理由は明かせないが、記者が35年前の昭和57年6月24日号「週刊住宅」で全8段を使ってこのマンションの記事を書いたことがあり、その記事コピーを送ってくれたからだ。
同紙が破たんしたいま、その記事コピーを掲載するのは著作権の問題がありそうなので紹介できないのが残念だが、確か1週間くらいかけて取材して記事にした。(興味のある方は国会図書館でどうぞ。コピー&ペーストの記事でないことは分かっていただけるはずだ)
旭化成不動産レジデンスはプレスリリースで「日本初の民間分譲マンションとされる」と伝聞調にしている。当時、「日本初」が諸説あり記者も悩んだ。いろいろ調べた結果「日本初」と書いたのを記憶している。
あの時は梅雨のうっとうしい天気が続いた頃だ。5~6人にインタビューした。みんな快く取材に応じてくれた。分譲時の担当者の声をストレートに伝えようとして書いた。
驚いたのはまだ駆け出しの記者が「中高層集合住宅の老朽化問題は、日本ではこれから直面する未経験の課題である」と書いていることだ。当時、マンションの建て替え事例は2例しかなかった。少しは先を見る目があったと、読み返して安堵した。それにしても、昨日食べた夕食が何だったか忘れるのに、35年前の取材がどうしてよみがえるのか。パンフレットは2色刷りだった。
東急リバブル「ルジェンテ本郷三丁目」 坪単価は400万円強 早期完売か

「ルジェンテ本郷三丁目」モデルルーム
東急リバブルが6月上旬に分譲する「ルジェンテ本郷三丁目」を見学した。本郷3丁目駅から徒歩5分、全28戸のコンパクトマンション。坪単価は400万円強になる模様で、比較的交通量が少ない通りで前面が開けている立地条件などを考えると完売まで時間はかからないと見た。
物件は、東京メトロ丸ノ内線・都営大江戸線本郷三丁目駅から徒歩5分、東京メトロ丸ノ内線御茶ノ水駅から徒歩7分・JR中央線・総武線御茶ノ水駅から徒歩8分、文京区本郷3丁目に位置する12階建て全30戸(事業協力者住戸2戸含む)。専有面積は32.02~56.47㎡、予定価格は3,800万円台~7,200万円台。坪単価は400万円強。建物は平成29年4月に竣工済み。施工は松尾工務店。
現地は、本郷三丁目駅からだとほぼフラット、御茶ノ水駅からだとなだらかな坂を上がったヒルトップ。
建物は東南向きで、前面道路は比較的交通量が少なく、南側前方は三叉路になっているので開放感がある。
住戸プランは標準階が1フロア3戸で専有面積は30~40㎡台のコンパクト、10階から12階は1フロア2戸で専有面積は50㎡台の2LDKが中心。
基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、御影石キッチンカウンター、食洗機(一部除く)、ミストサウナ、三面鏡下モザイクタイルなど。
◇ ◆ ◇
立地条件からして坪単価は420~430万円と見たが、同社は今後も「東大前」(24戸)「根津」(39戸)「春日」(37戸)の文京区内3物件などの供給を予定しており、また竣工売りであることなどから早期完売を狙っての価格設定と思われる。
近隣物件と比較しても割安感がある。価格が6,800万円台~7,200万円台の2LDKの住戸(5戸)がどう動くかだが、他のコンパクトタイプは完売まで時間はかからないと見た。モデルルームのデザインもいい。

「建設現場の仮設トイレ利用しない」 「じゅうたく小町」会員の声をどう聞くか

「じゅうたく小町部会」一周年記念式典(墨田区すみだ産業会館で)

部会長・前田直子氏
魚に例えればやはりめでタイか。刺身でも焼いても煮てもおいしく愛でても美しい、料理のし甲斐、記事の書き甲斐のある取材ができた。5月29日行われた全国低層住宅労務安全協議会(低住協)の「じゅうたく小町部会」一周年記念式典だ。参加者約160名のうち約60名が女性会員で、約20基のお祝いの花輪が会場を華やいだ雰囲気で包んだ。
低住協は、ハウスメーカー、専門工事店、安全関連機材など約60社が参加し、労災防止や労務管理の改善などに取り組んでいる団体で、「じゆうたく小町」はその下部組織。日本建設業連合会(日建連)が推進する「けんせつ小町」と連携して①建設現場の環境整備②技術者としての勤続促進と支援③育児と仕事の両立支援-などに取り組んでいるハウスメーカーの女性技術者・技能者集団。現在、9社70名が参加している。
本題に入る前に、まずは建設現場の仮設トイレについて。
先週末、東急不動産「パークフロント日比谷」の竣工見学会で女子トイレに女優ミラーなるものが備えられているのを見た。調光機能付きの光と鏡で〝夜の女〟に変身するための設備だそうだ。
中身を磨くほうが大事だとは思ったが、女性にとってトイレはものすごく重要なのも理解できる。国交省が協議会を設立して検討を開始したし、明大の人気が劇的にアップしたのもトイレをきれいにしたからだとまことしやかに伝えられている。
にもかかわらず建設現場の仮設トイレは男性の記者ですら入りたくない。小はともかく大はかがまなければならない。女性が入りたくないと思うのは当然だ。昨年、じゅうたく小町の会合を取材したとき、仮設トイレを利用せずコンビニに行くという人の話を聞いてびっくりしたのだが、今回の式典でも仮設を利用しない人がたくさんいた。
パネルディスカッションのパネラーの一人は「若いとき(今でも若いが)利用したが、職人さんの気配が気になった。カギも不安で、ドアに背中を付けなければならなかった。それ以来、2度と利用しないと決めた」と語った。
ゼネコンもハウスメーカーも女性用トイレ環境を整えるべきだと思う。いい商品も開発されている。施主が事情を話せば隣近所で借りることもできるのではないか。


日野興業の仮設トイレ
女性輝けないトイレ 「利用しない」公園90%、駅38%、職場30% 国交省アンケート(2017/1/21)
労働環境改善活動にエール 全国低住協「じゅうたく小町部会」に参加して(2016/11/26)
「デフレ脱却絶望的。郊外マンション価格は下がらない」トータルブレイン・久光社長

久光社長
もうすぐ喜寿(77歳)を迎えるというのに、忙しい仕事の合間を縫って趣味の〝モグリ〟(スキューバダイビング)に近年は年間約70回、この21年間に約1,100回も海外に足げく通っているマンション業界のご意見番、トータルブレイン・久光龍彦社長に話を聞いた。
最近のマンション市場や業界の課題などについては、記者が書く記事より「週刊ダイヤモンド別冊」(2017年5月27日号)を読んでいただきたい。極めて的確に供給動向、販売状況、建築費の動向をとらえていらっしゃる。
いまの市場をけん引している〝元気印〟ユーザーは①パワーカップル(共働きの年収2,000万円以上の層②アッパーミドル(上場企業に勤務するサラリーマンや、その親の支援が受けられる層③アクティブシニア④可処分所得が多いシングル層⑤景気の動向などあまり気にしない富裕層-というのはその通りだと思う。こうした層にターゲットを絞り、ニーズをくみ上げ、あるいは掘り起こせば売れ行きは堅調に推移する。
問題は、圧倒的な需要層である第一次取得層向けのマンションの動向だ。久光氏は「そうした層の取得能力は坪単価180万円、グロスにして3,600万円前後だが、建築費の高騰などからいまは70㎡台で坪単価は210~220万円、グロスで4,600~4,700万円になっている。つまり、売り値を15%下げないと、雇用や社会保障など将来不安を抱える中小企業などに勤務するサラリーマンは買えない」と指摘する。
では、分譲価格は下げられるかどうか。久光氏は厳しいとみる。今は専有面積圧縮やグレードダウンなどでグロス価格を抑制しているが、分譲価格に占める建築費の割合が高い郊外部=第一次取得層向けは国の働き改革圧力が強まることによってゼネコンも労務費などを建築費に転嫁せざるを得なくなるというのだ。
久光氏がもっとも懸念するのは土曜日を休日にする動きだ。オリンピック関連の工事が終了する2~3年後は週休2日が建設業界でも始まるという。職人の給与は日給・月給だから、就労しなくても賃金は下げられず、工期は長くなり、コストアップにつながる。価格に転嫁せざるを得なくなる。
ところが、先に書いたように中堅サラリーマン(言われるところの「ミレニアル世代」)の取得能力は一向に上がる気配がないから、利益率を下げざるを得なくなるという図式は避けられない。
「デフレ脱却は絶望的。建築費は下がらない。若年層の購買力は上がらない。消費増税が待ち構える。オリンピック後が心配だ」と〝元気印〟の久光氏はペシミスティックに捉える。
記者も同感だ。われわれ団塊の世代も若い時は生活が苦しかった。しかし、まじめに働けば賃金は上がるという明るい未来像が描けた。いまのミレニアル世代は、現在の生活に満足していながら将来の雇用や社会保障に漠然とした不安を抱える。消費については常にマイナス思考だ。この意識(社会)を変えないとマンション市場は先細る一方だろう。
◇ ◆ ◇
「建築費は下がらない」根拠として、日本建設業連合会(日建連)・中村満義会長が3月28日付で政府の「働き方改革実現会議」についてコメントを発表しているので紹介する。
「本日(3月28日)、政府は『働き方改革実現会議』においてにおいて、『働き方改革実行計画』を策定されました。
その中で、これまで、時間外労働の上限規制の適用除外であった建設業についても、5年間の猶予期間をおいて適用することになりましたが、日建連としては、建設業における担い手確保のためには、長時間労働の是正は不可欠であるとの石井国土交通大臣の強いご指導に従い、政府の方針に従うことを決断いたしました。
建設業の長時間労働の是正には週休二日の定着が必要でありますが、週休二日を定着させるには、工期の延伸などの困難な課題があり、政府に対して官民の発注者をはじめ、社会全体に受け入れていただくことが前提であると申し上げたところ、政府としても必要な協力を惜しまないと、総理からも表明していただきました。
建設業としては、この政府の決定を真摯に受け止め、長時間労働の是正に精いっぱい努力してまいります」
ロイヤルハウジング 軽井沢で4棟目リゾートマンション「プリンシパル軽井沢」分譲

木島社長
ロイヤルハウジングが、同社としては4棟目のリゾートマンション「プリンシパル軽井沢」を分譲する。JR軽井沢駅から徒歩約14分、軽井沢町軽井沢東に位置する全19戸。1戸当たり平均35坪前後、価格は1億円前後(坪単価300万円前後)の予定。
8月9日に軽井沢大賀ホールでパーティを開き、モデルルームを公開。一般分譲は行わず、これまで同社と取引があった顧客を優先して販売する。
◇ ◆ ◇
同社・木島寛社長(70)と久々にお会いし歓談した。木島社長には公私にわたりお世話になっており、記事にできないことのほうが圧倒的に多いのだが、その歓談の中で「軽井沢」の話が出た。とっさに「坪300万円でどうですか」と聞いたらその通りだった。
主力の不動産仲介業は堅調だ。平成29年3月期の仲介手数料収入は前期比 10%増の約40億円強、不動産売買が約35億円、インテリア部門が約14億円。
同社は今年3月、高齢者事業やリゾート事業に力を入れるため、フジテレビ「ニュースJAPAN」の金融経済アンカー、「日経CNBC」の経済キャスターなどの経歴を持つ谷本有香氏を上席執行役員として招へいした。
木島社長は古希を迎えた。それでも毎週、約30カ所ある店舗を隈なく回っている。視力は1.5だという。
インタビュー後、昼食をおごってもらったのだが、糖尿のためカロリーを抑えている記者はサンドウィッチ、木島社長はその数倍のカロリーがありそうなスフレドリアを注文した。元気が出るはずだ。
元気の源は「出しゃばらないこと。マイペース。人生はロマン」と語った。記者のモットーは「人生は愛」、木島社長は「ロマン」。「愛」も「ロマン」も似たようなものだが、生き方は真逆。視力からして世の中・経済を見る眼力や胆力は普通の人の数倍であることを付け加えておく。
日比谷公園の緑取り込む 東急不「日比谷パークフロント」竣工 同社の勢いまざまざ

「日比谷パークフロント」(左のケヤキは高さ15m)
東急不動産は5月26日、植物が持つ力を最大限に活用し、日本の新しい働き方をデザインする「Green Work Style Project」の第一弾「日比谷パークフロント」が5月31日(水)に竣工するのに伴い、プレス説明会・内覧会を行った。同社は本拠の渋谷や竹芝の再開発など6つのビッグプロジェクトが進行中だが、その勢い見せつけるビルが完成した。
物件は、同社とケネディクス、日本政策投資銀行の3社共同事業として開発を進めてきたもので、東京メトロ千代田線他「霞ケ関」駅から徒歩3分、千代田区内幸町2丁目に位置する地下4階地上21階建て延べ床面積約67,000㎡。設計・施工は鹿島建設。制振構法を採用。同社がプロジェクトマネージャーとして開発およびリーシングを行い、竣工後はマスターリース兼プロパティマネージャーとして管理運営を実施する。
1フロア約630坪で、天井高は最上階が4mで標準階は3m。サッシは幅3200ミリの特注品を採用。標準階の賃料は4万円/坪。現在約6割がテナント決定済み。
「Green Work Style Project」は、働くことで生じる課題を、植物の力によって活動的・精神的に"デザイン"(解決)し、オフィスワーカーの作業効率や生産性の向上、コミュニケーションの活性化などを目指すもの。
デザインアソシエーションNPOとの共同プロジェクトで、コンセプト構築には同NPOの理事も務める脳科学者の茂木健一郎氏、プラントハンター・そら植物園主宰・西畠清順氏、意と匠研究所代表・下川一哉氏が参画している。
外構、オフィスロビーなどには日比谷花壇、設計施工の鹿島建設、デザイン監修の日建設計、ランドスケープを担当したランドスケープデザイン、さらには同社グループの石勝エクステリアなどが協業している。
説明会に臨んだ同社取締役専務執行役員都市事業ユニット長・岡田正志氏は「Green Work Style Projectのコンセプトに基づき公園の中で働いているようなオフィス空間とホテルのようなグレード感を演出した。今後の渋谷や竹芝のプロジェクトもこのような地域と環境との共生を目指す」などと語った。


ガーデンプロムナード

1階エントランス

2階ロビー
◇ ◆ ◇
同社には申し訳ないが、発表会の冒頭にあいさつした同社取締役専務執行役員都市事業ユニット長・岡田正志氏以下の概要説明、3名によるトークセッションはほとんど耳に入らなかった。聞いていなかった。
発表会の前にビルの外周部や2階のエントランスロビーの植栽・デザインにほれ込んで、また、会見場の20階から眺めた日比谷公園の圧倒的な緑とビルの支配人で同社野球部監督・潮田喜一郎氏とばったり会って舞い上がってしまったからだ。説明を受けるまでもなく、極めてレベルの高いビルであることを理解した。
ビルの規模や立地、緑の総量では、このビルを上回るものはたくさんあるはずだが、借景の日比谷公園の緑をビル内に取り込んだコンセプト、その緑の質の高さや同社グループの最高級ホテル「ザ・キャピトルホテル東急」とそん色ない(これは異論があるかもしれないが)デザインにほれ込んだ。
例えば樹種。同社によると100種以上の中高本を敷地内と2階ロビー、屋上などに植えている。シンボルツリーのケヤキは高崎の山から運んできたもので高さ16m。バクチノキ、ナンジャモンジャなど見たこともない樹木もたくさんある。この質にも驚いた。
内覧会では、仕事もできる入居者専用のスカイガーデン(150坪)とスカイラウンジ(50坪)、2階グリーンラウンジ、セキュリティゲートとエレベータの連動による先行階登録システム「ELE NAVI(エレ・ナビ)」、黒が基調の1階エントランスから2階ロビー、ナナメ壁かどか印象に残った。女子トイレの夜の女性に変身する女優ミラーは意味不明。

2階の生木
◇ ◆ ◇
同社は、かつて街づくりや環境共生の取り組みでは他社を圧倒していた。「かつて」と書くのは、バブル崩壊後はやや精彩を欠いていたからだ。
しかし、「新青山東急ビル」(2015年竣工)、「東急プラザ銀座」(2016年竣工)「世田谷中町プロジェクト」(2017年一部竣工)などで、そのDNAは健在であることを示した。
今回のビルは「Green Work Style Project」の第一弾だが、今後目白押しの渋谷や再開発、竹芝のビッグプロジェクトが楽しみだ。同社の勢いを見せつけるビルが竣工した。

スカイガーデン(ここで仕事をするのも可能)
一挙116戸供給の東建他「Brillia Tower代々木公園」の坪単価は520万円
東京建物他「Brillia Tower代々木公園」第1期分譲は全195戸のうち半分以上の116戸に達することは先日報じたが、坪単価は520万円であることが同社広報を通じて知らされた。
率直に言ってずいぶん安いと思う。だからこそ116戸も一挙に供給できたのだろう。この単価が今後の都心部や駅近マンションのメルクマークになるはずだ。
業界初「見て、触れて、学べる」体験型研修施設「すまラボ」 三井不レジサービス

屋内消火栓放水体験(消防士でも17~19秒かかるのに同社の若い女性の記録は2秒とか)
三井不動産レジデンシャルサービスは5月25日、マンション管理について「見て、触れて、学べる」体験型研修施設「すまラボ」を豊洲本社内に開設し、6月から同社が管理するマンションの管理組合・居住者にも公開すると発表した。
東京都から東京都職業訓練校としての認定を受け、訓練校初の「コンシェルジュ養成コース」をはじめとする社内研修のほか、管理マンション居住者や近隣地域住民を対象としたコミュニケーションイベントスペースとして利用できるようにしている。
「すまラボ」では、「火災時の実物消火栓での放水体験」や「避難の際のバルコニー隔壁板蹴破り体験」など多くの体験型研修企画を盛り込み、従来の施設とは一線を画した体験型コミュニケーション研修施設になっている。
発表会に臨んだ同社執行役員・山村勝治氏は、「私が入社した昭和62年はまだ〝住宅すごろく〟(国土交通省調査による永住希望は31.1%)が通用していた時代だったが、現在は当社が管理する約25万戸のマンション居住者の65%(同52.4%)が永住を希望されるなど劇的に変化した。これまでの『安心・安全』に加え、『快適』『便利』へとお客さまのニーズは多様化・高度化している。ハードはもちろん、変化する居住者ニーズに対応するためソフトを含めた管理の品質の向上を図るのが目的」と開設の理由を話した。
同社関係者によると「ビル1棟が施設の会社もあるが、このようなソフトを重視した体験型の施設は業界初だと自負している」と語った。
場所は、東京メトロ有楽町線豊洲駅から徒歩6分、NBF豊洲キャナルフロント5 階。面積は約230坪。エントランス、コンシェルジュカウンター、専有部モデルなど11のエリアに分かれている。

隔壁板け破り(ハイヒールのヒールで蹴ったほうが安全だと記者は思う)
◇ ◆ ◇
マンション管理会社はほとんど情報開示をしないのも原因だろうが、よくもまあ「マンションは管理を買え」などと恥ずかしい記事を書いてきたものだと改めて感じた。驚愕ものの見学会だった。
これまで、管理会社の研修施設は3カ月前、大京アステージの施設で1日体験取材をしており、三井不動産レジデンシャルサービスの「月島」で2度くらい取材したことがある。長谷工コミュニティの施設もずいぶん昔だが見学している。
これだけで同業他社との比較は難しいが、同社関係者が「うちが初めてだと自負している」の言を借りれば、「驚愕もの」という表現は的を外していないのだろう。
マンションの基本的な構造、設備仕様、管理会社の日常業務などはどこにでもあるが、隔壁板を破るのにどれだけの力が必要なのか、スプリンクラーが作動したら1分間に約80リットルの水が出るそうだが、それがいったいどのようなものかを見たり、消火時間を競い合ったりできるとか、避難はしごの使い方などが体験できることなど初めての経験だった。
さらにまた、バリアフリー法と建築基準法の定めるスロープの差がどのようなものであるかも確認できる。4階の「お客さまセンター」では、スタッフが1日24時間365日体制でどのような対応をしているかも、ガラス越しに見ることができる。このガラスがまたスグレモノで、スイッチ一つでスモークガラスに変わり中の様子が見えなくするようにもできる。
これを見て、マンションの窓に採用したらカーテンが必要なくなるととっさに考えたが、相当高価なものらしく一般に普及するのは難しいとのことだった。
「お客さまセンター」では1日300~350件の電話による相談に、平日日中は7~8名、夜中は2~3名で対応しているという。
相談内容は同じようなものは多くて10%くらいだというから、実に多岐にわたっていることも分かった。

専有部分の裏側エリア

いろいろ設備エリア
◇ ◆ ◇
同社は、この施設を管理員(同社はライフサポーターと呼ぶ)の研修や管理組合など向けに開設したが、記者はマンション購入を検討している人向けにも公開してはどうかと思う。モデルルームなどではここまで基本性能、構造、マンションの管理がどうなるかを説明しない。仮に口頭で説明してもユーザーが深く理解することは不可能だ。
ここに来れば、それこそマンションのイロハが分かる。同社と同業他社との比較(劣っているものは見せないだろうが)が一目瞭然となれば、マンション販売促進につながる。
もう一つ考えたのは、近い将来深刻化するマンション管理員不足に対応するため、高いスキルと人材確保のために同社は先手を打ったのではないかということだ。
マンション管理業協会の岡本潮新理事長は、就任会見の場で「マンション管理は階層でいえばデベロップメントの下支え的な位置にランクされている。ハード・ソフト両面で事業体としてきちんと整備しないといけない」とし、私見としながらも女性・高齢者・外国人の活用は避けられないと語った。
今回の「すまラボ」は管理組合に管理の質とソフトサービスの違いの「見える化」を図った。同業も対応を迫られるのは必至だ。新たな管理会社同士の競争に同社は火をつけたのではないか。マンション管理会社の変更のことをこの業界では「リプレイス」と呼ぶそうだが、劣悪なサービスしかしない管理会社は「リプレイス」される動きが加速するのではないか。

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