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 リンナイが首都圏20~40歳代の男女400名を対象にした「冬場の冷えと暖房事情」に関する意識調査結果をまとめ発表。男性の4割、女性の8割が「冷え性」であることが分かった。もっとも冷えていると感じている部位は足先で、男女とも8割以上が「末端冷え性」であることが判明。対策としては足裏を温める床暖房が理想的で、針葉樹の無垢のフローリングやコルク畳を使うことを勧めている。

 調査によると、男女平均で約6割が冷え性を訴え、男女別では男性の約4割、女性の約8割が「とてもそう思う」「ややそう思う」と答え、年代別にデータを見ると男性は20代、女性は30代がもっとも多いことが分かった。

 冷え性の人がもっとも冷えていると感じる部位は「足先」で、85%の人がそう回答した。「手先」は6割だった。

 身体の症状については、「頭痛」が35%で、「腰痛」「不眠」「集中力が切れる」などと続く。また、「末端冷え性」の人のほうが「風邪を引く」割合が高いことも分かった。

 冬場に使用する暖房器具は、「エアコン」がトップで68%、以下、「こたつ」26%、「電気ストーブ」25%、「ホットカーペット」23%、「石油ファンヒーター/ストーブ」20%の順。「エアコン」使用者の2割以上の人が「満足していない」と回答した。その理由として「光熱費が高い」「部屋が乾燥する」「暖まるまで時間がかかる「足元が寒い」などをあげている。温度設定は「25度」がもっとも多く約50%。

 満足度の高い暖房器具は「ガスファンヒーター/ストーブ」「床暖房」「ホットカーペット」の順で、満足度が高いポイントは「足元の暖かさ」「手間がかからない」「空気がクリーン」など。

 この結果に対して、一級建築士でインテリアプランナーの佐川旭氏は「エアコンは床や衣服についているチリやホコリを舞い上げてしまうためハウスダストや花粉といったアレルギーにも配慮が必要ですが、その点床暖房はチリやホコリが部屋を舞うことはないので、空気はクリーン。さらに部屋の湿度も変わらないため、快適性を感じることができるのでオススメ」と語っている。

 とくにガス温水式は温度が約40°Cまでしか上がらず、低温やけどの心配がなく、スイッチをオフにしても余熱が床面温度をしばらく保ち、「電気式」に比べ立ち上がりが早くランニングコストも低く抑えられると指摘している。

 さらに「快適暖房のポイント」として、足裏を温める床暖房が理想的で、針葉樹の無垢のフローリングやコルク畳を使うことを勧めており、床が30度くらいあると室温が20度以下でも快適に感じられるとしている。

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 記者も佐川氏の意見に賛成だ。床は無垢のフローリングがいいに決まっている。本日(19日)、菊池建設の松戸にある住宅展示場モデルハウスを取材したが、床暖房が入っている床と入っていない30ミリ厚の無垢のヒノキの床はほとんど同じ暖かさに感じた。

 分譲も床暖房は当たり前になってきたが、キッチンまで標準装備しているところはほとんどない。最近、三井不動産レジデンシャルが一部の戸建てに採用しているくらいだ。家事労働をすればわかるはずだが、とにかくキッチンは寒い。何とかしてほしい。こたつもいいが、ネコと一緒、入ると眠くなり、動くのがおっくうになる難点がある。

 

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「上智大学6号館(ソフィアタワー)」

 三井不動産は1月18日、学校法人上智学院よりキャンパス再整備に関するプロジェクトアドバイザリー業務を受託し、建設を進めている「上智大学6号館(ソフィアタワー)」が2017年1月20日に竣工すると発表した。

 「ソフィアタワー」はJR四ツ谷駅から徒歩3分、千代田区麹町6丁目に位置。地上17階/地下1階建て延べ床面積約39,000㎡。設計は日建設計、施工は大成建設。低層階に上智学院の教育研究施設を配置し、高層階にはテナントオフィスビルを配置した複合施設。

 竣工後、同社はオフィス部分のマスターリース(一括賃借ならびに転貸事業)を行い、教育研究施設部分も含めた建物全体の運営管理を三井不動産グループで行う。オフィス部分は10フロア、総貸床面積約13,400 ㎡、基準階面積約1,300㎡。

 同学院はオフィスビル収益を財源とし、教育研究環境の充実を図っていく。

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山根理事長(第一ホテル東京で)

 マンション管理業協会は1月18日、平成29年新年賀詞交歓会を開いた。山根弘美理事長(大和ライフネクスト会長)は、今年の課題として①防災力②高齢化③マンション標準管理委託契約書の改定の3つを挙げ、スピード感を持って取り組んでいくと話した。賀詞交歓会には山本有二・農水大臣、菅義偉・内閣官房長官、井上義久・公明党幹事長、谷脇暁・国土交通省土地・建設産業局長などが来賓として出席、盛り上がった。

 冒頭、挨拶に立った山根理事長は、今年の干支が「天岩戸開き」を長鳴きの声によって達成したという丁酉(ひのととり)である逸話から話し始め、業界に光を呼び込む「声」として3つの課題を指摘した。

 その一つは防災力であるとし、「標準管理規約の改定では、第27条の管理費と第32条の管理業務に地震保険という文言が明記された。また、標準管理規約の上位概念である『指針』で、『管理組合のコミュニティ形成は積極的に取り組むことが望ましい』と位置付けられた。マンションの防災力の強化の面からも今回の改正は大変満足のいく結果となった」と歓迎した。

 二点目として挙げたのは「高齢化」で、これまでの建物と居住者の二つの高齢化対応に加え、「わたしたちの現場従事者の高齢化と採用難の課題」対応が求められるとした。

 もう一つは、マンション標準管理委託契約書の改定で、「優良なマンションストックの促進、中古住宅の活性化、特区民泊、耐震化、防災力の向上などわたしたちが担うべき課題はたくさんあるが、採用難に加えて最低賃金は上昇、消費税率がアップすれば管理組合会計が見直され、これまた委託費の値下げ要求につながる。こんなトレンドがよいはずはない」とし、「単なる価格競争ではなく、新たな時代の要求に応え得る顧客目線にたったサービスの明確化と専門性の確立のためスピードを上げて取り組んでいく」と語った。

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 「天岩戸開き」が丁酉の長鳴きで実現したというのは初めて聞いた。伊勢出身の私などは、裸踊りをした女神を見たくて天照大神が岩から出てきたと小さいころに教わった。

 そんなことはどうでもいいが、マンション管理業の大きな課題の一つがマンション管理員の高齢化・人材不足だそうだ。これまでまったく気が付かなかった。

 考えてみれば確かにそうだろうと思う。サラリーマンの定年は60歳から65歳になった。働こうと思ったらもっと働ける世の中になった。

 一方で、管理員の仕事はものすごくハードだと聞く。とくに管理委託契約外の無償労務提供が管理員のストレスになっているという。最近は〝歩く音がうるさい〟〝タバコ、ニンニクの匂いがする〟〝新聞配達員のバイクの音がうるさい〟-などのばかばかしい〝クレーム〟にも対応させられる。入居者同士の挨拶を禁止するマンションも出たそうだ。〝そんな常識が通用しない仕事なんか安月給でやっていられるか〟となるのは当然だ。

 そんなわけで、記者は管理員の仕事を体験すべくある大手管理会社に取材を申し込んでいる。そのうち実現するはずだ。

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山本有二農水大臣 海外と比べるとわが国の農家の美しさ、住まい方を考え直さないといけない。昨日は農水省が推進している「農家住宅」についてリリースを出した。田舎も忘れずよろしくお願いします

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山本大臣

井上義久・公明党幹事長(党マンション問題議員懇話会会長) 理事長が話された建物と住民に加え管理員の高齢化という新たな課題が顕在化してきた。入居者のニーズも多様化してきており、管理会社との意識のかい離が生じているのが心配。管理委託契約の改正ではそのようなかい離が生じないように、適正化法の生みの親の一人としてしっかり取り組んでいく

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井上氏

谷脇暁・国土交通省土地・建設産業局長 国交省で今年取り組む大きな課題の一つは生産性の向上。ICT、IoTなどと連携して生産性向上の取り組みを深めていく。もう一つは書簡行政の人材の確保・育成。標準管理委託契約書の改正についても予算に盛り込んでしっかり取り組んでいく

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谷脇氏

栗原清・同協会副理事長(大京アステージ会長) 昨年は中古流通量と新築の供給量が初めて逆転した。マンションストック625万戸のうち150万戸が築30年以上。建物と入居者の高齢化対応について、如何に質の高いサービスの提供ができるか考えないといけない。サービス業への転換が課題になってきた

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栗原氏

菅義偉・内閣官房長官 安部政権誕生から強い経済を目指してきたが、求人倍率は前年の1.38から昨年は1.41へ25年ぶりの高水準になったし、税収も100兆円超になり、安部政権誕生から22兆円も増やすことができた

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菅氏 

川崎達之氏(平成3年5月から19年6月までマンション管理協理事長) 今年7月で85歳だよ。俳句? 今日の心境? 最近はボケてきてね、三日三晩考えて一つできるかどうか。アハハハハ(一昨年のコメントは『理事長を辞めてから7年になるが、様変わりしたねぇ。今? なにもやってないよ。歳? 今年4月で84歳だよ。俳句? 時々やるよ。ここで一句? 即興ではできなくなっちゃった』だった=年齢が1つしか上がらず、誕生日が4月から7月になっているが、自分の年齢も誕生日がわからなくなったか、耳が遠くなり「し」と「ひ」の区別がつかなくなった記者のせいか)

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川崎氏

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「ルネモア北千住」

 総合地所は1月17日、同社初のコンパクトマンション「ルネモア北千住」(57戸)の記者見学会を行った。用地を取得した当初はファミリーマンションを企画していたが、建築費の高騰、恵まれた立地条件などを考えコンパクトに変更したもの。これまで供給した第1期48戸のうち38戸を成約するなど好調な売れ行きを見せている。

 物件は、東京メトロ千代田線・日比谷線北千住駅から徒歩5分、足立区千住仲町に位置する14階建て全57戸(事業協力者住戸3戸含む)。専有面積は33.12~58.35㎡、価格は2,600万円台~5,100万円台(最多価格帯2,900万円台)、坪単価286万円。建物は平成28年10月に完成済み。施工は合田工務店。販売代理は住友不動産販売。

 昨年11月下旬に第1期48戸を供給、これまで38戸が成約済み。来場者は約150件で、年齢は40歳代が32%、30歳代が31%、現居住地は足立区が約半数、家族構成は1人が6割、年収は500万円台が約3割、400万円台が約2割。購入者は男性が3割、女性が7割。女性の自己資金は900万円~1,000万円が約2割。

 「モア(MOI)」は、フランス語で「私(ワタシ)」の意味。「ルネモア」は、時間の価値に配慮して、通勤時間の短縮と私的時間の創出の願いを込めた造語。

 現地はインターロッキング舗装の商店街にあり、建物は全戸南向き。用途地域は商業・近隣商業だが、敷地の南側は戸建てが建ち並び、かなり細分化されているため高い建物が建つ可能性が低いエリア。

 商品企画では、ワイドスパン、トリプルセキュリティ、二重床・二重天井、食洗機、物干しリールなど-「機能的な空間が欲しい」「安心のセキュリティが欲しい」「個性的なくつろぎ空間が欲しい」などのニーズに応えているのが特徴。

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モデルルーム1LDK

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 弊社の入社2年目の郊外の昭和を代表する素晴らしい戸建てに親と一緒に住んでいる女性が、一人で住む必須要件を次のようにあげた。

 「家賃(価格)は高そうだけど、なるだけ駅に近いこと。自然があること。スーパーやコンビニがあること。治安がいいこと」

 記者はコンパクトマンションを20年くらい取材してきたが、この女性はその必須要件をすべて即座に言い当てた。

 このマンションもこれらの要件をほとんど満たしている。取材の行きに通った裏道はひどかったが、帰りに通った商店街はインターロッキング舗装で、まずほとんどの生活用品が買える。駅前には大規模商業施設がある。足りないのは自然だけだ。

 住戸プランも申し分ない。33㎡の1LDKは間口が約4.6メートルあり、天井高は約2.5m。床暖房、二重床、食洗機が標準装備、約3.3畳大の寝室には物干しリールが付いている。トイレは広めで独立。1階にはペットの足洗い場や管理・来客用トイレ、防災備蓄倉庫もある。

 これに続く第2弾、第3弾は未定とのことだが、引き続きレベルの高いものを供給してほしい。

 一つ付け加えると、なかなかのスグレモノは物干しリールだ。初めて見たのだが、物干しポールより安価で値段は数千円もしないはずだ。

 寝室の壁際に設置されており、巻き尺のようにスルスルと伸び、等間隔にハンガーがかけられる穴が開いており、もう一方の壁にくっつけると物干し竿になる代物だ。ここに赤やらピンクやらの洗濯物を万国旗のようにぶら下げて寝るのはどんな気持ちだろう。想像するだけで楽しくなってくる。荷重は5キロまで、懸垂はできないのが難点だ。

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モデルルーム2LDK

 東急不動産ホールディングスは1月17日、国連が提唱する「グローバル・コンパクト」に参加したと発表した。

 同社グループは、事業活動を通じて社会課題解決に取り組むことをCSRビジョンにしており、今後、国連グローバル・コンパクト「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」に関する10原則に則り、より積極的にCSR活動を推進することで、社会課題解決を促進し、持続可能な社会構築に貢献していく。

 グローバル・コンパクトは、コフィー・アナン国連事務総長の提唱により2000年7月に発足。各企業が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するため世界的な枠組み作りに参加する自発的な取り組み。

 参加する企業・団体は、「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」より構成される10原則を自発的に支持、実践することが求められる。2016年9月現在、世界で1万4,000超える企業・団体が参加している。

 

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「INITIA  ID」キッチン

 コスモスイニシアのリノベーションブランド「&Renovation」シリーズの一つ「INITIA  ID」を冠したマンション「元麻布」を見学した。ホテルやカフェなどの空間設計を手掛けるトランジットジェネラルオフィスとコラボし、デザイナーズホテルのような空間を提案しているのが特徴だ。

 物件は、東京メトロ南北線麻布十番駅から徒歩7分、日比谷線六本木駅から徒歩10分、港区元麻布1-1-18に位置する「秀和元麻布レジデンス」の4階部分。建物は昭和62年竣工。専有面積は94.43㎡、価格は10,400万円(坪単価364万円)。2016年11月にリフォーム済み。

 現地は、暗闇坂のヒルトップで、オーストリア大使館と大法寺に隣接。「ドムス元麻布」に近接し、道路を挟んだ対面では大手デベロッパーのマンションが建設中。

 分譲住戸は、旧耐震で壁工法のため躯体をいじれない難点はあるが、ホテルライクなデザインを採用し、オリジナルのバスローブ、タオル、プロのアート写真がプレゼントされるほか、インテリアコーディネーターが選んだ家具なども選択できるようにしているのが特徴。

 物件は耐震診断を実施済みで、耐震診断基準であるis値は倒壊、または崩壊する危険性が低いとされる0.6以上となっている。

 ホームページに公開する前段階ですでに数件の反響があるという。

 同じ「INITIA  ID」は、「パーク・ノヴァ目黒不動」(68㎡、6,800万円)も分譲する。

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リビングルーム

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 「INITIA  ID」は、昨秋見学した50~60歳代の夫婦二人暮し向けの「INITIA  WiZ(イニシア ウィズ)」に次ぐ第2弾だが、記者はデザインにほれ込んだ。

 正直に言えば、見学する前は大した期待はしていなかった。「秀和」のマンションであることがわかっていたからだ。「秀和」は一部の人には人気はあるようだが、記者はあの南欧風の塗り壁の外壁、青の瓦屋根、ロートアイアンのデザインが好きではない。

 実際の建物は「秀和」らしくないタイル張りだったので肩透かしを食ったのだが、共用部分と団地サイズの玄関ドアまでは昭和50年代の仕様だった。〝やっぱり〟と思ったのだが、玄関を開けてびっくり〝玉手箱〟。

 いきなり大きなアイランドキッチンとその背後の天然石の壁、得も言われぬ青の収納扉が目に飛び込んできた。

 キッチンはみんな隠したがるが、ここは逆だ。この意表を突く発想がとても面白い。V型の張り出し窓に合わせるようにキッチンも「く」形にし、家具の一つのように見せる演出を行い、続くダイニングは来客などと語り合うスペースとして提案している。

 担当者によると、壁は「琉球岩石」で、収納扉は「スモークブルー」だそうだ。その他の設えもプチホテルのようで記者は気に入った。

 価格はどうか。対面に建つマンションについて「坪1,000万円ですかね」「いえ、そんなに高くないのでは」などと同社の広報担当Mさんと話し合ったあとで、物件担当者から「坪単価1,000万円を超えるそうですよ」と聞かされた。

 坪1,000万円超には驚いたが、ならば旧耐震とはいえ「元麻布」の「秀和」のリノベーションマンションが坪364万円というのは安いか。「ドムス元麻布」は中古価格で坪400万円だそうだ。

 「秀和」についても一言。この会社のことを覚えている人は業界でも少なくなったはずだが、記者はよく覚えている。

 同社は昭和50年代の後半からほとんどマンションを供給しなくなり、ビルや株投資に傾注した。昭和57年竣工の「芝パークビル」はその威容から「軍艦ビル」と呼ばれ、同社の力を見せつけた。港区新川などでは大手デベロッパーやゼネコンと土地の争奪戦を演じた。創業社長の小林茂氏は大京の横山修二氏とともに〝独立系〟の旗頭として業界に君臨した。

 ところが、平成2年のバブル崩壊で雲行きが怪しくなり、経営が行き詰まった。その後、再建策を模索したが平成17年、外資に買収された。小林氏とはバブル崩壊後会う機会はなく、平成23年に亡くなったのも知らなかった。

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バスローブとタオルがプレゼントされる(左)とリビング

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ベッドルーム

コスモスイニシア、子育てを終えた夫婦向けリノベ「INITIA WiZ(イニシア ウィズ)」(2016/11/18)

 

 

 

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「武蔵小金井駅南口第2地区第一種市街地再開発事業」

 野村不動産は1月16日、「武蔵小金井駅南口第2地区第一種市街地再開発事業」と「虎ノ門駅前地区第一種市街地再開発事業」の権利変換計画がそれぞれ東京都から認可されたと発表した。

 「武蔵小金井駅南口」は、地上26階・地上24階建てツインタワーマンションを計画しており、住宅約720戸のほか、地上1~4 階には生活利便機能を揃えた地域密着型の商業施設を予定している。同社は住宅保留床及び商業保留床を取得する。工事完了予定は2019年度。

 「虎ノ門駅前」は、外堀通り・桜田通りが交差する虎ノ門交差点と虎ノ門駅に隣接。銀座線虎ノ門駅の機能拡充とバリアフリー化に資する地上・地下の駅前広場を整備するとともに、業務・商業機能の質的高度化を図る。建物は地上24階・地下4 階、延床面積約47,470㎡。竣工予定は平成32年6月。

 地権者として森村不動産、不二屋ビルデング、日本土地建物、虎ノ門リアルエステート、住友不動産の5社、参加組合員として同社のほか東京地下鉄が事業参画している。

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「虎ノ門駅前地区第一種市街地再開発事業」

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「ザ・パークリモア 白金台三丁目」外観

 三菱地所レジデンスは1月16日、一棟リノベーション事業のブランド名を「ザ・パークリモア」に決定し、その第一弾「ザ・パークリモア 白金台三丁目」のモデルルームを1月21日公開すると発表した。

 第一弾「ザ・パークリモア 白金台三丁目」は、東京メトロ南北線・都営三田線白金台駅から徒歩4分、港区白金台3丁目に位置する4階建て全14戸。専有面積は214.57~267.05㎡、第1期(5戸)の価格は28,800万~42,400万円。既存建物竣工は1987年(昭和62年)8月。施工は長谷川工務店(現長谷工コーポレーション)。リノベーション設計は南條設計室 一級建築士事務所。リノベーション施工はケーアンドイー(共用部)、パナソニックES建設エンジニアリング株式会社(専有部)。引き渡しは2017年3月中旬。

 従前は主に外国人向け賃貸として利用されてきたもので、全戸200㎡超。同社は2015年3月に取得、2016年3月までに全戸退去したのち工事を進めてきた。

 外観・中庭などの大規模改修を行い、Wオートロック、ゲート、宅配ロッカーなどを新たに設置し、セントラル空調システムを個別空調に更新したほか、ペアガラスの設置、ノンフロン断熱、二重床、エネファームなどを採用して省エネ性能の向上を図った。

 同社リノベーション事業部開発第一グループ長・田中正祥氏は、「バブル期の典型的な高級マンションで、同じような物件の更新期に入る。この物件はその嚆矢となるもの。バブル仕様のいいところを残しながら、当社の新築マンションのノウハウを注ぎ、基本性能を上げた」と話した。

 同社は2014年4月、「リノベーション事業部」を新設。一戸単位での事業とともに、今回一棟リノベーションマンションについても本格展開することにした。ブランド名には「renovation+more=もっと確かに、もっと価値があるリノベーション」という意味が込められている。

 今後、年間約100億の売上高を目標とし、将来的には年間約500~600戸(一棟含む)、売上高200億円を目標としていく。

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モデルルーム リビング

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 建物が竣工した昭和62年はバブルが発生して間もないころで、その後、バブルが崩壊する平成2年まで価格が暴騰した。所有権分譲なら坪単価は2,000万円をはるかに突破していたはずだ。施工を担当した長谷川工務店は外国人向けマンションにも注力していた。この物件も極めてレベルの高い物件だったのは間違いない。

 リノベーション後のモデルルームは約216㎡(約65坪)。大理石、御影石、オバンコール、クォーツストーンなどがふんだんに用いられ、パウダールームが2カ所、ゲスト用のトイレ、浴室には今は珍しいタオルウォーマーもついていた。

 当時の階高は3150ミリ、スラブ厚は200ミリで、新たにふところ厚130ミリの二重床にしてもリビング天井高は262ミリ確保できている。

坪単価は500万円台から600万円台で、いまの新築の相場と比較すれば割安感があるが、グロスが張るのでどのような富裕層が買うか記者は分からない。このほか管理費が約14万円から16万円、一括修繕積立金が300万円前後、駐車場使用料が29,000円から48,000円。

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洗面室

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断熱吹き増し後リビング

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「ブランズ川口元郷」完成予想図

 東急不動産が分譲中の「ブランズ川口元郷」を見学した。同社が川口駅圏で分譲する16棟目のマンションで、「川口工業総合病院」の建て替えに伴うプロジェクト。総合病院との一体開発は埼玉県初で、高齢者等配慮対策等級の最高等級5を取得したプランも選べる。

 物件は、埼玉高速鉄道川口元郷駅から徒歩5分、埼玉県川口市青木1丁目に位置する19階建て全119戸。専有面積は72.75~94.21㎡、第2期(7戸)の予定価格は4,200万円台~6,500万円台。坪単価は205万円。設計はGA建築設計社。施工は埼玉建興。竣工予定は2018年2月上旬。

 昨年12月から分譲開始し、これまで第1期50戸のうち44戸が成約済み。好調なスタートを切った。

 敷地は、川口工業総合病院が建っていたところで、同病院は隣接する前駐車場に移転し、マンション内に設置する病院関連施設を同病院が保有・運営する。 

 商品企画では、共用部・専有部では住宅性能表示の高齢者等配慮対策等級3を取得しており、さらに専有部ではセレクトプランを選択すれば、高齢者の安全な移動や介助用車いす使用者のサポートを容易にする最高等級5を備えた仕様にすることができる。

 このほか、「埼玉県子育て応援マンション認定制度」を取得している。

 販売を担当している同社マンションギャラリーチーフ・菅谷智氏は、「病院が併設されることについては、救急車の音を気にされる方などネガティブな評価もあるが、総じてポジティブに捉えられている。販売状況としては極めて順調。京浜東北線や都内の価格が上昇していることから、集客は地元川口中心ではあるが、都内中広域へと広がりつつある。シニアの需要も取り込めている」と話している。

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散策路

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 同社はこれまで川口駅圏で15棟、JVを含め2,000戸以上を供給しているが、この物件は代表的な物件の一つになりそうだ。

 高齢者等配慮対策等級の最高等級5が選べるプランがいい。一般プランでは5.5畳大となっている洋室の部分に洗面室と浴室を設置。洗面室は介助者のサポートが容易にできるように回転スペース1500 Øを確保し、浴室のドアは引き戸を採用。トイレを含む全てのドアは800ミリ以上にしている。

 このように車いす利用を想定したマンションはシニア向けはともかくとしても極めて珍しい。どんどん供給してほしい。

 細かな点では、インブルームが監修した収納提案もなかなかいい。

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モデルルーム

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 面白いやり取りがあった。物件説明を受けたのは菅谷氏で、同社広報マンのT氏と新人と思われる広報マンM氏が同席した。M氏とは初めてお会いするので名刺交換した。北海道生まれの23歳で、とてもかわいかった。

 菅谷氏は、この川口駅圏で約7年間にわたり同社の物件を担当しており、記者が見学した「イーストゲートタワー川口」「サウスゲートタワー川口」「ブランズ川口栄町パークフロント」のほか、「浦和美園」「淵野辺」などのプロジェクトにかかわっている大ベテラン。川口のことは「路地裏まですべて知っている」そうだ。

 そこで、「キューポラはもうなくなったでしょうね」と聞いたら「まだ残っていますよ」ということだったので、意地悪な質問であるのを承知の上でMさんに話を振った。

 「Mさん、キューポラって知っていますか? 吉永小百合さんは? 」「ええ、キュープラなら。吉永小百合さんも名前だけは存じ上げています」「えっ、キュープラ? キュープラって何ですか」

 ここでT広報マンが助け舟。「キュープラは当社のキュープラザ原宿のことです」「なるほど。Mさん、平成生まれだから知らないはずですよね。知っているのはサイロですよね」「…わたし、生まれは北海道でも、育ちは東京ですので…」(サイロも知らないということか)

 昭和は遠くなった。

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モデルルーム

 国土交通省は昨年末、市街化調整区域における建築物の用途変更について、古民家などの既存建築物を地域資源として地域再生に活用する場合に、許可要件を弾力的に運用できるよう開発許可制度運用指針の一部を改正した。

 集落の人口減少・高齢化の進行、空き家の発生などにより地域コミュニティの維持が困難となりつつあることを踏まえ、空き家となった住宅などを観光振興や集落の維持のために活用しようという狙いだ。都市計画法では、市街化調整区域内の既存建築物の用途変更は地方自治体の許可が必要で、これまで古民家や店舗などを他の用途に変更する運用基準は各自治体によってまちまちだった。

 具体的には古民家を宿泊施設や飲食店にしたり、自己用住宅を移住・定住促進のための賃貸住宅、グループホームなどにしたりすることが想定されている。

 実際の許可権者は地方自治体にあるため、国交省は用途変更がどの程度行われるか不明としている。各自治体の動きが注目される。

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 過大な期待は持てないだろうが、地域コミュニティを維持・活性化させる指針の改正には大賛成だ。

 そもそも市街化を図るべき市街化区域と開発を抑制すべき市街化調整区域に区分する線引きがなされたのは高度成長期の昭和43年の新都市計画法で、現在の人口減少、少子・高齢社会の状況では線引きそのものの意味も薄れている。

 このため国は平成12年に法律を改正、大都市圏と特定都市を除き、線引きは各地方自治体の判断にゆだねられることとなった。その結果、現在では10を超える自治体が線引きそのものを廃止した。

 その後も地方都市での人口減少傾向は加速し、中心市街地の空洞化、限界集落への転化、コミュニティの崩壊など地方自治体の抱える問題は深刻化している。このため全国の自治体は、移住助成措置を取ったり空き家バンクを設置したりするなどして懸命な取り組みを行っている。今回の指針改正は、これらの動きを後押しするものになる。

 ここで懸念される問題もある。用途変更によって違法建築物があぶり出されないかということだ。線引き前に建てられていた古民家などは問題ないだろうが、都市計画法第43条1号で規定されているいわゆる1号店舗には違法建築物が隠れている可能性がある。

 1号店舗とは、調整区域に居住する人向けの小売業、飲食料品店、書籍・文具店、洗濯・理容・美容・浴場業、コンビニなどだ。これらは各自治体の判断によって建設することが許される。

 国交省によれば、平成26年度の1号店舗の許可件数は全国で775件。単純計算すれば1日当たり約2件、1都道府県当たり約16件と少ないが、ある県は全体の17.2%に当たる133件と突出。この県はもともと件数が多く、昭和60年前後のピーク時には少なくとも年間200~300件が許可されていた。

 これらの1号店舗が果たして適法に利用されているかどうか。建築基準法では、建物が完成したときは建築主事又は指定確認検査機関による完了検査を受けて検査済証の交付を受けなければならないことになっているが、当時は検査済証の交付を受けていない建築物がたくさんあった。つまり実態は闇だ。

 今回の指針改正でも、用途変更が認められるのは適法に建てられ、その用途に供されていたものであるものに限られる。この要件を満たさなければ、既存建築物は用途変更も建て替えも不可となる可能性が大きい。空き家となったら最後、そのまま朽ちるのを待つほかない。

 

 

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