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 国土交通省は2月10日、第30回社会資本整備審議会産業分科会不動産部会(部会長:中田裕康・東京大学大学院法学政治学研究科教授)を開き、増大しつつある空き家等の現状を踏まえ、不動産流通の観点からどのような対応が望まれるかについて審議した。

 総務省の調査によると2013年の全国の空き家は約820万戸に達し、そのうち木造一戸建てや共同住宅などのその他住宅が約318万戸(賃貸は約429万戸)に上り増加率が高まっていること、全住宅ストックに占める空き家の割合は全国平均で5.3%(賃貸を含めると13.5%)で、昭和55年以前の建物は約210万戸あること、また、駅から1㎞以内で、簡易な手入れにより活用可能な住宅は全国で約48万戸あることなどが国交省から報告され、空き家にしておく主な理由としては「物置として必要」(44.9%)「解体費用をかけたくない」(39.9%)などがあげられた。

 空き家対策としては、空家対策特別措置法が平成27年5月全面施行されたことにより、全国107市町村が空家等対策計画を策定済みで、管理不十分で放置することが不適切な空家等(特定空家等)に対する措置として勧告137件、命令7件、代執行22件に上っているとした。

 今後、所有者情報の活用、全国版空き家・空き地バンクの構築、小口資金を活用した不動産特定共同事業制度の創設や、高齢者、低額所得者、子育て世帯向け賃貸住宅に空き家等を活用したり地域関係者の連携による流通・利活用を促進したりしていくことが報告された。

 また、地方自治体の取り組みとして長野県上田市・母袋創一市長が、NPOの取組みとして特定非営利活動法人空家・空地管理センター事務局長・上田福三氏がそれぞれ事例報告した。

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 空き家対策は、国土交通省土地・建設産業局不動産業課長・中田裕人氏が「わたしどもの部署にとどまらず住宅局はもちろん厚労省、消費者庁など横とも連携して霞が関の垣根を越えて取り組んでいく」と話したように、あらゆる行政と民間、大学などが連携しないと解決できない社会的課題だ。

 今回の部会では、宅建業界がどのような役割を果たせるかが主な論点になっている。

 興味深いのは、上田氏が「田舎では(仲介手数料収入だけでは)持ち出しが多く、ただでもやりたくないという業者がいる。宅建業法で定められている手数料収入の上限を『3%+6万円または50万円以下』に改正することも検討していただきたい」と発言したことだ。業界関係者によると、その方向での業法改正の可能性は高いという。(〝それでは消費者は困る。固定資産税くらいの収入があれば貸してもいいという所有者がいるかもしれないし、借りるほうもいるかもしれない〟という声を聞いた。なるほど、賃貸はいいかも)

 さらに上田氏は、良好な宅地を増やす一方で、他方では供給を減らす政策もとるなど都市計画にメリハリをつけるべきと話した。

 母袋・上田市長は、上田市が大河ドラマ「真田丸」の舞台になったことが支援材料になり、平成28年には中心市街地の定点22地点の1日当たり歩行者数が3万人になるなど過去最高を記録し、人口の社会増減は平成23年度からプラスに変わり、28年度は542人増(自然増減はマイナス659人)と大幅に増加したこと、女性の創業や就労を支援する取り組みでも大きな成果をあげているなどと語った。

全国276団体が参加する「住宅団地再生連絡会議」設立 国土交通省(2017/1/31)

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「THE 千代田麹町TOWER」完成予想図

 サンヨーホームズ(事業比率50%)・NTT都市開発(同30%)・大林新星和不動産(同20)が分譲中の「THE 千代田麹町TOWER」を見学した。麹町駅直結の周辺のマンションとしては最高峰となる23階建てだ。

 物件は、東京メトロ有楽町線麹町駅から徒歩1分(直結)、千代田区麹町3丁目に位置する23階建て全83戸。第2期(7戸)の価格は9,570万~1億6,390万円、専有面積は50.90~75.31㎡登録受け付けは2月10日~12日(日)。竣工予定は2018年12月中旬。施工は安藤・間。販売代理は三菱地所レジデンス、東急リバブル。

 昨年9月から分譲が始まっており、これまで約半分が分譲済み。このうちコンパクトの41㎡台(8戸)は全て契約済み。50㎡台も22戸のうち14戸が契約済み。

 販売担当者は「千代田区で駅直結は15年ぶり。総合設計制度の適用を受けており、絶対高さは通常なら19階までだが、23階建てとなった。東京のど真ん中という立地が評価され、地方からの購入も1割強ある」と話している。

 現地は麹町駅に直結。建物は16階までは1フロア4~5戸で、17階以上はプレミアム仕様の1フロア2~3戸。

 モデルルームは112㎡の価格が3億円台の億ション。さすが億だけあって、設備仕様レベルは高い。玄関ドアはナグリ調仕上げで、建具・面材は突板が採用されている。

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エントランス(外観デザイン監修は田原桂一氏)

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リビング

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工事中の「風と緑のまち 白岡」

 ポラスグループ・中央住宅の戸建て「風と緑のまち 白岡」(全21棟)が埼玉県「先導的ヒートアイランド対策住宅街モデル事業」第1号として採択され、上田清司・埼玉県知事から直々に認定証を受け取ったことは昨年11月、記事にした。

 「素材」「水」「緑」「風」の力を利用した「パッシブ・ランドデザインシステム」を導入することによって、夏季の体感温度を5度程度引き下げる商品企画が評価されての認証だったのだが、その時は、物件を見ていなかったこともあり簡単に紹介するにとどめた。それ以上に上田知事の話が面白かったので、知事の話を書いた。

 同社には「物件を見たい」と伝えており、それが昨日実現した。5つの散水栓から噴き出すミスト状の〝水道水〟を浴びせられたときはさすがにたじろいだが、これが真夏で、各家庭が一斉に打ち水をしたらどんなだろうと想像して感動すら覚えた。こんな分譲住宅を供給したハスウメーカーもデベロッパーも皆無だろう。

 上田知事は認証式で「今回の案件をきっかけに第2弾、第3弾と続け、全ての戸建てでやっていただきたい」と述べたが、記者もそう思う。ポラスにエールの座布団3枚!

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ミスト噴霧中(中央の白いものが散水栓)

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庭(奥に見えるのが緑化フェンス)

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散水機

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 物件は、JR東北本線白岡駅から徒歩7分、埼玉県白岡市千駄野字加美に位置する土地区画整理事業地内の一角にある全21区画。すでに20区画は契約済みで、残っているのはモデルハウス1棟のみ。土地面積は135㎡、私道負担が449㎡(持分21分の1)、建物面積は101.23㎡、価格は4,190万円。構造は木造2階建(在来工法)。建物は昨年9月完成済み。

 現地は、地主らしき人の立派な住宅のほか賃貸マンション、駐車場などがたくさんあり、とても大宮から14分の近さにある住宅地とは思えぬのどかな田舎風景が展開している。

 分譲住宅の外構はまだ終わっておらず街並み全体像を把握することはできないが、企画意図はすぐ伝わってきた。

 圧巻は太陽光発電利用のタイマーによる自動散水システムだ。商業施設などは上部からミストが吹き付けられるのが一般的だが、ここは庭の樹木や草花、菜園「ポタジェ」などに水遣りもできるよう地上から吹き上がるようになっている。水源は水道水で、栓は1戸当たり5つ。5分間噴霧すると、トイレを1度使用したくらいの水量だという。このほか栓は私道部分に10数カ所設置されている。

 もう一つ、駐車スペースや玄関のステップなどに植えられている「ハーブマット」がなかなかのスグレモノだ。北海道の黒田ハーブ農園が開発したもので、食べられないそうだが踏みつけるとハーブの香りがする。歩くたびにハーブの香りが漂うなんて最高ではないか。

 それぞれの住戸の境界部に緑化フェンスを設置しているのもいい。ここに蒸散効果の高いつる性植物を這わせるのだという。1階リビング掃き出し窓の上には緑のカーテン用のフックもついている。このほか全戸に雨水タンクが設けられており、舗道は保水性アスファルト舗装。

 以上は「水」「緑」の力を利用したものだが、「風」の力を取り込んだものとして同社オリジナルの自動小屋裏換気システム「PaaS」がある。形状記憶合金を使用して、小屋裏の温度に応じて換気量を自動的に調節するものだ。小屋裏にこもった熱気を外に出すことで冷房負荷を低減する。

 「素材」の力を採用したものでは、室内の壁は調質効果のある同社オリジナルの珪藻土壁のほか、メープル、カエデ、ナラ、スギ、ヤマザクラなどの無垢材・挽板を多用。調質効果があり、虫がつきにくい桐材も壁や収納に採用している。1階の天井高が約2.7m確保されているので、階段のステップは16段。出隅はR施工。食洗機も標準装備。

 商品企画を担当した同社グループのポラス暮し科学研究所住環境グループ主任・福代昇一氏は「当社のオリジナルもあるが、多くはすでにあるものを採用した。このパッシブデザインは他の部署にも理解されつつあり、どんどん広がっていくのに期待したい」と話した。

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敷き詰められている「ハーブマット」

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 取材中、記者と同年配と思しき男女二人連れに出会った。話を聞くと、ご主人は秋田県出身で、土木関係の仕事をしていたとか。娘夫婦が購入した住宅を毎日のように見に来て写真に収めるのだそうだ。

 「ポラスさんの家はいい。基礎もしっかりしており、なにより職人さんのほうから声を掛けてくれる。写真は記念として娘夫婦にプレゼントする」とご主人は話した。

 「よかったら娘さんが買った家の前で記念写真はどうですか」と誘ったら、ご主人はその気になったのだが、奥さんに断られ実現しなかった(一回り若く見えた。ひょっとしたら秋田美人か。押しが足りなかったか)。

 ならばと「お父さん、まだ1戸残っているそうですから買ったらどうですか」と〝追い打ち〟をかけたら、「いやいや、もう歳ですから。宝くじでも当たらなきゃ買えない」と逃げられた。

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モデルハウス リビング(左の壁は桐材)

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桐の鎧張りの壁とデザイン収納

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 この日は朝から底冷えがするほど寒かったが、ポラスの哲学を目の当たりにし、娘思いのご夫婦と歓談することができて浮き浮きした気分になれた。

 上田知事にも一言。こういう住宅にこそ固定資産税や都市計画税の減免措置を取るべきではないか。税収は減るかもしれないが、都市間競争で生き延びることができる。空き家にもならない。5選も間違いない。

 それにしても知事は話がうまいと思ったら、大学は弁論部だったとか。奥さんに「家庭でもこの調子ですか」と聞いたことがあるが、「政治家ですから」とはぐらかされた。どういう意味だろう。

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自動小屋裏換気システムについて説明する福代氏

ポラス「白岡」の戸建て 埼玉県「先導的ヒートアイランド対策モデル」認定(2016/11/29)

 多くの媒体が書き、専門家の方が話しているように「今年のマンション市場展望」に挑戦しようと思う。

 しかし、最初に断っておく。外的要因である市場を取り巻くあれやこれらの経済指標を借用したところで消費者には〝それがどうした〟と言われそうだし、内的要因であるデベロッパーの供給姿勢については年間100件くらいしか見ていない記者は分からないというほかない。

 なので、歯切れの悪い文章になってしまうのを許していただきたい。物件選好の役に立つかどうかも分からない。〝当たるも八卦、当たらぬも八卦〟というくらいの気持ちで読んでいただきたい。

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 長谷工総研は先に「2016年の首都圏全体の分譲単価は前年比1.8%アップの79.3千円/㎡、平均面積は69.22㎡で同比2.2%縮小し、平均価格は5,490万円と、同比0.5%ダウンとなった。分譲単価の上昇幅(前年9.6%アップ)が縮小したことに加え、平均面積の縮小もあって、平均価格は前年を下回った」と発表した。平均専有面積が70㎡を割るのは1996年の69.45㎡以来20年振りだ。

 「アップ」「縮小」「上昇」「ダウン」の単語が交互に出てくると目が回る。分かりやすく書き改めると、「2016年の首都圏マンションの平均像は価格が5,490万円(昨年比0.5%減)で、面積は69.22㎡(同2.2%減)、1㎡当たり単価は79.3千円(同1.8%増)だった」となる。

 これでも理解しづらいかもしれない。もっとわかりやすく言えば、建築費の上昇分を分譲価格にオンすれば売れないので、面積を狭くして、さらに基本性能、設備仕様レベルを下げて価格が上がっていないように〝見せかけた〟のが昨年の首都圏マンション市場だ。

 単価の上昇幅が縮小した理由について、長谷工総研は「山手エリアでの供給が低調であった」「その一方で、都内23区以外の地域の分譲単価は前年比6.5%アップ」「分譲単価・平均価格の上昇傾向は継続している」としている。

 これはこれでその通りだろうが、記者は実際の建築費はもっと上昇していると見ている。つまり、基本性能、設備仕様レベルを落としているからこの程度の上昇幅に収まっていると考えている。

 具体的にいえば、建築費、設備仕様を落とす手段として、間口を狭め同じパターンのプランにする、二重床を直床にする、キッチン、洗面の天板の質を落とす、階高(天井高)を下げる、逆梁は順梁にする、食洗機、バックカウンター・吊戸棚はオプションにする、床暖房をやめる、スロップシンクやミストサウナはつけない、建具・面材・クロスの質を落とす…あらゆることが行われているのが現実だ。都心であろうと郊外であろうと例外はない。

 ただ、過度の基本性能、設備仕様レベルダウンは逆効果になるので、市場動向や近隣物件の商品企画と天秤にかけながら各社は値付けに苦労しているのだ。

 このように、単に価格や面積だけで市場を測ることはできない。契約率も同様だ。例えば、専有面積66㎡の8,000万円(坪単価400万円)と専有面積75㎡の3,000万円(坪単価132万円)のマンションが分譲されたとする。平均価格は5,500万円、平均専有面積は70.5㎡、平均坪単266万円となる。一方が売れ、他方が売れないと仮定すると、平均契約率は50%となる。平均値は昨年の市場とほぼ同じだ。

 では、この平均契約率は市場を正確に反映しているかと問われれば、ほとんどの人はノーと答えるはずだ。母数字が大きければ大きいほど平均値は全体像を反映するという人がいるかもしれないが、現在のマンション市場はよく言われる二極化現象が顕著で、すべての供給物件を足してその数で割ったところで全体像は把握できない。

 売れ行きの格差は大手・中小、デベロッパー間でも顕著で、いくらマクロデータをいじくってみても市場を把握するのは難しい。

 ましてや、一国の大統領が発するツイッターに世界の政治家や経営者が右往左往、右顧左眄し、株価が乱高下する世の中だ。この先どうなるのか全く読めない。

 多少の景気変動など問題にしない富裕層や、比較的元気な単身者、DINKS層向けは堅調に推移しそうなことくらいは読める。価格調整が進むのも間違いない。(こんなことはユーザーのほうがよく知っていることだ)

 しかし、需要層の中心である子育てファミリー向けは不確定要素が多すぎる。雇用の改善は進んでいるが、実質賃金は底這いが続いている。これから3月末に向けて完成在庫の値引き販売が始まる。各社が堰を切ったように実施すれば、相場は崩れ、新規供給物件の価格下げ圧力はさらに強まる…などの不安要素はぬぐい切れない。

 一つだけ確かなのは、マンションは金融商品ではなく、購入者は買わざるを得ない切実な事情があるから買うということだ。

 その中心層は、分譲と比べ圧倒的に質が劣り、その割に賃料が高い賃貸居住者だ。これからも利回り優先の賃貸市場が変わらない限り、分譲マンションの優位性は保持される。市場規模が縮小するのは当たり前だ。いつの時代もデベロッパーの基本は商品企画だ。

 生鮮食品に例えるのは適当ではないかもしれないが、最近、家の者が〝ちくわの穴が大きくなった。その分キュウリがたくさん詰まる〟としゃべった。マンションも基本的には同じだ。景気は家庭の主婦に聞くのが一番いいかも。

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 東日本旅客鉄道、三井不動産、三菱地所の3社は2月7日、官民が連携して推進する「プレミアムフライデー」の趣旨に賛同し、東京駅、日本橋、丸の内エリアが連携した様々な取り組みを行うと発表した。

 「プレミアムフライデー」初日となる2月24日(金)は、当該エリアが連動し、企業の早上がり時間に合わせて、周辺ワーカーにドリンクを提供し、各エリアを中継で繋いで同時に乾杯をする「東京エキマチ乾杯」(無料)と、各エリアが提案する体験や魅力に触れてもらえるように各エリア間を走行・回遊するリムジン「東京エキマチプレミアムリムジン」(無料)を運行する。

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埼玉県住まいづくり協議会 設立20周年記念式典(埼玉県県民健康センターで)

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上田知事

 埼玉県住まいづくり協議会は2月6日、設立20周年記念式典を開催、関係者ら約120名が集まった。

 同協議会は平成8年10月、「埼玉で、がんばる! 埼玉を、創る!」を スローガンに、県内の住宅関連企業と行政・公益団体とが一体となり、優良な住宅供給やまちづくりを行うことで、県民の生活基盤の安定とその住環境の向上を図ることを目的に設立された。現在、会員は153に上っている。

 式典では、風間健会長(高砂建設社長)が挨拶を述べたあと、上田清司・埼玉県知事が来賓として登壇、挨拶するとともに、県の住宅政策に対する貢献を称える感謝状を同協議会に贈った。

 また、東京大学名誉教授・有馬孝禮氏が「大きなうねりの中の木材利用について」と題する講演を行った。

 以下、上田知事の挨拶を紹介する。

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 20周年を迎えられた埼玉県住まいづくり協議会が、県の住宅政策にこれまで多大な貢献を頂いたことに改めて厚くお礼申し上げます。

 住宅メーカーの宣伝ではありませんが、気持ちのいい家に住んでいれば家に戻っても気持ちいいというのは間違いのないことであります。住宅は仕事を終え、次の英気を養う大変重要な空間であります。その空間をもっとよくできないかと、大手だけでなく新進気鋭の若い社長さんたちが集まってできたのがこの協議会であります。

 協議会メンバーが供給される住宅は、いつ訪ねても〝なるほど〟というコンセプトが盛り込まれております。環境や教育などに配慮した特色のあるものを提供されておられる。

 玄関にはベビーカーが置け、お父さんのゴルフバッグも置けるように工夫されている。屋根裏はミニシアターとか子どもが遊べるような空間にしておられる。様々な制約のある中でよく見せる工夫・方法を考え、ぎりぎりの線でちゃんとつくっておられる。

 県はそうした皆さんの住宅づくりに応えなければならないと常に意識しております。

 埼玉県には海はありませんが、河川面積は日本一であります。しかし、ヘドロの川であっては何にもならない。平成20年から『水辺再生100プラン』に取り組んでおります。県の政策の中でもっとも成果をあげているのがこの川の再生であります。

 アユが棲める河川の割合はわたしが知事に就任した平成15年は52%でしたが、最近は89%にまで改善しました。ヘドロの川は清流になりつつあります。

 東京都にもっとも近い朝霞市に黒目川(荒川の源流)が流れています。この川にアユが遡上するようになりました。

 わたしはこのような顔をしておりますが、意外と虚弱体質でして変なものは食べられない。嫌だったんです、黒目川のアユなどを食べるのが。しかし一昨年〝大丈夫だ〟と勧められて塩焼きを食べたら、これがおいしい。何ともなかった。

 このような環境改善の政策に協議会の皆さんが呼応され、質の向上に取り組んでおられるのはありがたい限りであります。

 残念ながら、時として価格に見合わない質の低い住宅が提供されているのも事実です。しかし、少なくとも協議会メンバーが供給される住宅は、中古住宅市場で高い評価を受け、リフォームなどを経て生き延びることができると信じております。空き家も増えておりますが、健康長寿人生が全うできる、いろんな住み替えができる住宅であってほしいと思っております。

 皆さんがこれからも質の高いコンセプトの優れた住宅を供給され、その先進事例が埼玉に根づき、全国に展開できるよう願っております。

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上田知事(左)と風間会長

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 上田知事の挨拶は約10分間で、文章にすればこの倍くらいはあるのだが、要点を紹介した。記者は県の職員が書いた原稿をそのまま読み上げるのではないかと思っていたが、すぐに〝これは知事の自らの言葉〟ではないかと判断した。

 紹介した記事を読めばオリジナルであることがすぐわかるはずだ。積水ハウスのCMの〝紹介〟から始まり、玄関や屋根裏部屋の工夫に言及され、驚いたことに「価格に見合わない(実際は「価格以下」と知事は話した)住宅が供給されている」と語ったのだ。県の職員は「価格以下の住宅…」は口が裂けても言えないはずだ。記者だって面と向かって言えないし書けない。

 協議会のメンバーの皆さん、風間会長、住宅業界全体に対して鋭い指摘をされたが、これほどうれしい温かい言葉はないはずだ。知事の言葉に応えないといけない。

 記者も同協議会の先進の活動(「住まい協モデル浦和美園」がまさにそう)が全国に広がるよう期待したい。

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「パレットコート朝霞 カーサブランカ」

 ポラスグループの中央グリーン開発とポラスタウン開発が共同で分譲している「パレットコート朝霞 カーサブランカ」を見学した。東武東上線沿線では同社グループ過去最大規模の全64棟で、朝霞駅から徒歩19分のハンディを抱えながら、販売開始2週間で14戸を成約するなど好調なスタートを切った。

 物件は、東武東上線朝霞駅から徒歩19分(バス8分、バス停徒歩7分)、埼玉県朝霞市根岸台3丁目に位置する全64戸。第1期(18戸)・2期1次(11戸)の土地面積は100.00~173.94㎡、建物面積は89.73~113.43㎡、価格は3,380万~4,780万円。建物は木造2階建(在来工法)。入居予定は2017年9月上旬。

 現地は雑木林だったところを造成した南傾斜地。スペインのアンダルシア地方の街並みをモチーフに、「白い壁の家並み」「南傾斜の丘の上」「リゾートフルな植栽」を演出。また、朝霞市初の建築協定を締結し、「灯かりのいえなみ協定」のほか外構、建物の色などを統一して良好な街並み景観が将来にわたって維持できるようにしているのが特徴。

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以上48号棟

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 モデルハウスは2棟のみで、これから住宅の建設が本格的に始まろうという段階にも関わらず、わずか2週間で14棟を成約するとはさすがポラスだ。

 商品企画がいい。特に、ポラスの注文住宅「ポウハウス」も手掛けたデザイナー百瀬修氏が担当した48号棟にほれ込んだ。玄関をたっぷりとり、スギの集成材を用いたルーバー、挽板の床、上部に化粧梁と花台を設けた大きなバールカウンター付きキッチンがいいし、色使いも巧みだ。

 もう一つの16号棟の内装は白が基調で、吹き抜け空間は5mくらいあり、4層にも5層にも見える住宅だ。

 駅から徒歩19分(近道を通れば13分くらいだそうだが)もあるのによく売れるものだと感心した。

 会社に戻り、埼玉県出身の若い男女4人に聞いたら、みんな「チャリンコ通勤できるから平気」と答えた。これにはうれしくなった。一方で大泉学園に住む若い女性は「雨のときとか…」と言葉を濁した。

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以上16号棟

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 注文が2つある。現地はひな壇造成のため、白いコンクリの擁壁が目についた。4,000万円前後の住宅にこれを要求するのは酷かもしれないが、せっかく市で初めての建築協定を結んだのなら、壁面緑化を施してほしかった。白い外観の建物とグリーンの外構、擁壁が美しく映えたはずだ。

 もう一つは48号棟の過剰な装飾について。百瀬氏の本物志向のデザインが最高なのだから、家具、造花などの装飾は最小限にとどめてもよかった。とくに一見して造花と思える観葉植物はいかがなものか。やはり本物を用いるべきだ。水遣りなどたいした作業にならないはずだ。

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「ホテル ザ セレスティン京都祇園」

 三井不動産と三井不動産ホテルマネジメントは2月3日、宿泊型上級の新ホテルブランド 「ザ セレスティンホテルズ」を開発し、第1号店として「ホテル ザ セレスティン京都祇園」を2017年9月7日(木)に「ホテル ザ セレスティン銀座」を2017年10月5日(木)にそれぞれ開業すると発表した。約60名の報道陣が詰めかけ、関心の高さを示した。

 「ホテル ザ セレスティン京都祇園」は、祇園、清水寺、建仁寺、八坂神社、鴨川、先斗町が徒歩圏の京都東山エリア・八坂通に面した5層6フロアの全157室。面積は26~66㎡までツイン30㎡台が中心。スパ、ゲストラウンジのほか、京都の老舗料亭「八坂圓堂」が出店する。

 「ホテル ザ セレスティン銀座」は、新橋駅から徒歩3分の旧銀座日航ホテルを建て替えたもので14階建て全104室。面積はダブル約24㎡を中心に約24~約47㎡。イタリアンレストラン「Casita(カシータ)」が出店する。

 また、現在稼働中の東京・芝の「セレスティンホテル」を大規模なリノベーションを行い、「(仮称)ホテル ザ セレスティン東京芝」として2017年秋オープンする。

 新ブランドは、2002年に開業した「セレスティンホテル」(旧国際観光ホテル)の上質なプライベート感とゲストサービスのこだわりを継承しながら、宿泊型上級クラスとしてリブランドしたもの。

 ルームチャージは平均で3万~3.5万円。従来の同社グループのホテルよりは1万円くらい高いようだ。

 発表会に臨んだ三井不動産執行役員ホテル・リゾート本部長・世古洋介氏は、「当社グループは“Creating New Destinations”をホテル・リゾート事業のステートメントとし、全国20施設約5,300室を運営しているが、政府の観光先進国に向けた様々な施策を支援材料に今後も事業は伸びていくと認識しており、2020年度までに1万室規模へ成長させる計画を進めている。顧客ニーズの多様化も進んでおり、新ホテルブランドはそれに応え質的拡大を図るもの」と語った。

 “Creating New Destinations”には、同社のホテルに泊まることが、滞在することが目的となるように価値を創造する意味が込められている。

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「ホテル ザ セレスティン京都祇園」

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 最初、新ブランド名を聞いたとき、「あれっ、セレスティン? ウェスティン?  クレスティン? クレスト? ゴールドクレストもあるではないか」と混乱した。やや考え、あの旧国際観光ホテルだと理解し納得した。国際観光も銀座日航ホテルもなかなかいいホテルだった。日航ホテルのコーヒーは絶品だった。

 嬉しかったのは、わが故郷・三重の「鳥羽国際ホテル」と「AMANEMU」が伊勢神宮と共に映像で紹介されたことで、とくに「AMANEMU」については、世古氏が「ラグジュアリーホテルとして想定を超える滑り出し」と紹介した。「AMANEMU」は東京からだと少し遠く料金が高いが、「鳥羽国際」は皇室の方もよく宿泊されるクラシックホテルだ。伊勢神宮にお参りしたら泊まってほしい。眼前に鳥羽湾が広がる。

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「ホテル ザ セレスティン銀座」

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ロビー(左)とレストラン

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「ザ・ パークハウス 国分寺四季の森」紅葉の小路(完成予想図)

 同業他社の近隣物件へ価格下げ圧力をかけるかもしれないが、三菱地所レジデンス他「ザ・ パークハウス 国分寺四季の森」(494戸)が低迷市場に活を入れる。

 坪単価は中央線沿線では信じられないような240~245万円。昨年圧倒的な人気を呼んだ北区王子の三井不動産レジデンシャル・三菱地所レジデンス他「ザ・ガーデンズ東京王子」(864戸)よりも20万円くらい安い。

 1月だけで来場者は300組に上り、同社城西事業部販売グループリーダー・佐久間亮氏は「西武線沿線では苦戦物件も多いが、うちは中央線の徒歩圏で、大きな森に隣接。再開発が進む国分寺駅まで4分で結ぶシャトルバスも好評。設備仕様は高くないが、共用部分やランドスケープには力を入れた。どこにも負けない」と自信満々に語った。

 3月の第1期分譲では約150戸を供給する勢いにある。

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 物件概要は、同社がニュースリリースしたとき記事にしているのでそちらを参照していただきたい。事業比率は同社が85%、東京建物が10%、大栄不動産が5%。南向き住戸の総延長が250mで、南向き住戸が75%あり、〝森〟が眼前に広がる住戸も多数ある。

 40年近く記者をやっている。正攻法で攻めていいか、からめ手か下手がいいかぐらいは瞬時に判断できる。佐久間氏には単刀直入「いくらですか」と聞いた。佐久間氏は質問に躊躇するタイプではないと読んだからだ。

 すかさず佐久間氏は自信満々の顔(顔は少しあのAKB48の生みの親、秋元康氏に似ている)「240万円の前半。高くても245万円くらい。人気が出たからといって引き上げることはしない」と明言した。別荘のような日立の森に面している「南向き住戸は70㎡台で5,500万円台から6,000万円台中心。95㎡の東南角住戸は7,000万円台中盤前後。東向きの森に面したD棟で71㎡台4,000万円台後半から5,000万円台半ば中心。森に面さない住棟は70㎡くらいが中心で、4,200万円台から5,000万円くらいまでにしてグロスを抑える。設備仕様はさほど高くはないが、デザイン監修に三菱地所設計を起用して、共用部分などはしっかり造り込みをした」と舌滑らかに話した。

 リーダーたるものこうでなくてはならない。少しでも不安をのぞかせればスタッフに影響するし、お客さんにも伝わってしまう。「設備仕様は高くはない」というのも正直でいい。目が肥えたお客さんに「設備仕様は高いですよ」などと言ったら、間違いなくそっぽを向かれる。

 森に隣接する特性は、住友不動産「シティテラス小金井公園」(922戸)と激突するのではないかと思ったが、「競合はまったくありません」ときっぱり答えた。佐久間氏には他の物件は眼中にないようだ。

 「このように好調なのは最近聞いていないが」と水を向けたら、「当社と三井さんの『王子』が人気ですが、西側ではここ。沿線では見ていただいたうちの『中野タワー』が沿線では一番人気。9割まで進捗している。コンパクトの『ザ・パークハウス アーバンス 中野中央』もあと1割」と語った。

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 一つ、このマンションの大きな特徴でもある学童保育所の併設について。保育園は現地のすぐ北側に新設されるなど不足しないため、同社は絶対的に足りない学童保育所を設置することで、国分寺市の条例により15mの高さ規制を20mまで緩和措置を受け、容積の割り増しも受けている。

 確かに、保育所も必要だが学童保育所も子育て世帯にとっては欠かせない施設だ。

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サクラ・ガーデン

小金井カントリーを眼下 「シティテラス小金井公園」は坪215万円(2015/7/26)

三菱地所レジデンス他「ザ・ パークハウス 国分寺四季の森」モデルルームオープン(2017/1/26)

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実証実験住戸

 三菱地所レジデンス、メックecoライフ、三菱地所ホームは2月2日、快適・健康・省エネルギー性に配慮したマンション用全館空調システム「新マンションエアロテック」の開発に向けた実証実験を文京区のマンションで3月下旬に開始すると発表。その現場を報道陣に公開した。

 三菱地所ホームは24時間365日、家中を換気しながら快適な温度を保つ全館空調システム「エアロテック」を1995年に開発、これまで約6,000棟の新築住宅、100棟超の戸建てリフォームに搭載してきた。また、三菱地所グループが分譲するマンションでも2006年以降で6棟132戸に採用している。

 「エアロテック」は、花粉やPM2.5などをカットし、室内のホコリや化学物質などを屋外に排除する。1度単位で各居室の室温を設定できるのが他社にない特徴。同社の試算によると、年間の冷暖房費は約63,600円に抑えられる。壁やドアなどで空間を仕切る必要もないことから、空間デザインの制約も軽減できるメリットがある。

 設備機器の保証期間は10年だが、無償の定期点検を年1回実施しており、10年を超えても壊れたという声はなく、20年を過ぎても機器の交換を行わなくて済んでいる住宅も多いという。

 「新マンションエアロテック」は、従来のシステムを実現しながら、天井のダクト空間を使う代わりに二重床の床下空間を利用することでダクト工事が削減し、導入コストの低減を実現したという。

 メックecoライフ取締役・子安誠氏は、「真冬でも春や秋と一緒」とどこでもほぼ23度の室温が保たれている室内を紹介したうえ、「従来はダクトを確保するためにマンションでは階高が3.2m必要だったが、新システムは床下のふところ厚23㎝で可能にした。将来的には18㎝にする。イニシャルコストも200万円を150万円くらいまでに抑えるようにしたい。新規マンションでも三菱地所レジデンスの共同事業物件などに提案していく」と話した。

 無人の実験はすでに昨夏から行っており、これから自宅の建て替えやリフォームのために仮住まいを必要としている顧客に相場より安い賃料で貸し出し、今秋をめどにリノベーションマンションとして売却する予定。

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グッドデザイン賞を受賞した今回の取り組み概念図

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 「エアロテック」を三菱地所ホームが開発したとき、爆発的にヒットするのではないかと思った。このシステムを搭載したあるデベロッパーの建売住宅も圧倒的な人気を呼んだのを記憶している。

 そして今、戸建ての実績が約6,000棟、マンションでも最近竣工した「南青山」を含め7棟だという。

 これが多いのか少ないのか、記者は判断材料がないが、やはり物足りない数字だ。コストがかかるうえ、まだまだ省エネや健康に対する認識・意識が薄いからかもしれないし、その快適性を享受し、効果の大きさを体感している人が少ないからだろう。

 しかし、2016年グッドデザイン賞の評価委員はこの取り組みに対して「分譲マンションの商品開発に風穴を開ける可能性がある」と言った。年間の冷暖房費が大幅に削減できるのはもちろんだが、花粉、ダニ、ホコリなどからも完全ではないが解放される。そのストレスを金額に換算したらいったいいくらになるのか。桁違いの額になる。これを訴えきれれば大ヒットする可能性を秘めている。三菱地所グループの総力を結集して取り組んでほしい。

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床下の模型(ふところ厚は23センチ)

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床の吹出口(320×200ミリ)

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各居室の温度計(23度以上となっているのは記者団の人いきれのためか)

 

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