三井不レジ 戸当たり単価 マンションが一戸建てを上回る逆転現象
三井不動産レジデンシャル「ファインコートつつじヶ丘シエルガーデン」
三井不動産レジデンシャルが分譲するマンションと一戸建ての戸当たり単価が逆転した。三井不動産は11月6日、平成28年度第2四半期決算を発表したが、三井不動産レジデンシャルの分譲マンションの計上戸数は2,627戸(前年同期比658戸増)で、戸当たり単価は5,742万円(同190万円増)となり、一戸建ては299戸(同79戸減)で、戸当たり単価は5,424万円(同139万円増)となり、マンションのほうが一戸当たりの価格は318万円高くなった。
同社の分譲マンションと一戸建ての戸当たり単価が逆転した時期は別表の通り過去にもあった。「パークコート虎ノ門愛宕タワー」が計上された2009年度はマンションが戸当たり5,281万円だったのに対し、一戸建ては5,278万円だった。2010年度には「パークコート赤坂ザタワー」「パークシティ浜田山」などが寄与したため5,515万円となり、戸建て平均の5,365万円を150万円上回った。
今回、再び逆転したのはマンションの計上物件が「Tomihisa Cross」や「桜上水ガーデンズ」「パークシティ大崎ザタワー」など都心の高額・高単価マンションが多かったためだが、今後も都心部の高額。高単価物件の計上が予定されており、マンション価格が一戸建て価格を上回ることが常態化する可能性が高い。
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同社と戸建て部門でデッドヒートを演じている野村不動産はどうか。平成28年3月期第2四半期のマンション計上戸数は3,242戸で戸当たり単価は5,308万円、一戸建ては174戸で戸当たり単価は6,779万円だ。戸建て単価は野村のほうが約1,400万円高く、マンションは三井のほうが約400万円高い。
「ファインコートつつじヶ丘シエルガーデン」
ヤフー&ソニー不 〝マンション流通革命、はじまる。〟サービス開始
ソニー不動産・西山社長(左)とヤフー・宮坂社長
ヤフーとソニー不動産は11月5日、リアルタイムで自分が売りたいマンションの価格を知ることができ、売値も自分で決められ、売却した際の売却仲介手数料がゼロという新しい不動産売買プラットフォーム「おうちダイレクト」を開始したと発表した。
マンション所有者は、「おうちダイレクト」を利用することで不動産仲介会社を介することなく、自由に価格を決定し、その物件情報を「Yahoo!不動産」内の「おうちダイレクト」上に無料で掲載することができる。
マンション購入検討者は、まだ売り出されていないマンションについて「購入希望の意思表明」や、売り出し中のマンション所有者に対して「物件に関する質問」を直接できるようになり、より能動的に物件購入を検討することが可能となる。
マンション所有者による物件の売り出しから、購入検討者による物件見学の申込みまではウェブサイト上で行うことができ、その後の物件見学から売買代金の決済・物件の引渡しまでのオフラインでの不動産取引実務はソニー不動産がサポートする。
「おうちダイレクト」は、1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の約5万棟のマンションに関する豊富な情報をデータベース化しており、マンション所有者はYahoo! JAPAN IDでログイン後、オーナー登録を行うだけで自分の住戸の推定成約価格を知ることができる。
「不動産価格推定エンジン」の推定精度MER(Median Error Rate:誤差率の中央値)は東京23区で5.39%と、業界最高水準の精度を持っているという。
不動産の売買契約が成約した場合、不動産仲介会社が受け取ることのできる仲介手数料(税抜)は、売主と買主のそれぞれから成約価格の3%+6万円が法定上限金額とされているが、「おうちダイレクト」では、売主が負担する売却に係る仲介手数料は無料となる。買主はコーディネーター料金として成約価格の3%+6万円の料金をソニー不動産に支払うことになる。
当面、サービスは東京都心6区(千代田区、中央区、港区、渋谷区、品川区、江東区)のマンションが対象で、その後サービスエリアを順次拡大していく予定。
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なかなか刺激的な会見だった。共同記者会見が行われた東京ミッドタウンのヤフーの会場には約60名の報道陣が駆け付けた。不動産流通業界に詳しい記者によると、この種の会見などに集まる記者は多くて20人くらいだそうで、今回はその3倍の記者が集まったことになる。ヤフーとソニーの〝集客力〟を見せつけた格好だ。会場のあちこちに「マンション流通革命、はじまる。」のポスターが張り出されていた。
会見に臨んだヤフー・宮坂学社長は、「われわれは、法人や国、組織しかできないことを個人でもネットの情報技術を通じて可能となるように一貫して追求してきた。これがわれわれのミッションだ。『おうちダイレクト』も個人が法人と同じ環境で、自分の一番大事なものを売れるようにするサービス。我々の業界でよく用いる破壊するという意味のDisruptor(ディスラブター)ではなく、既存の負仲介システムの選択肢を増やすのが目的」と、時々笑みを浮かべ自信たっぷりに話した。
ソニー不動産・西山和良社長は、「会社を設立してからこれまで1年3か月、売買エージェントとして代理人に寄り添って好評を得てきた。ヤフーのメディア力とソニーの技術力で安心・安全の取引を心がけ、中古住宅市場の活性化に寄与したい」と語った。
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記者は不動産流通業に疎いので、これが成功するかどうか分からない。これまでも不動産オークション市場に挑戦したところがあったが、どこも成功しなかったのが気にはなる。それはなぜなのか。買う側の不安のほうがはるかに勝るからだろうか。
もう一つは、「不動産価格推定エンジン」の精度だ。誤差率5.39%が高いのか低いのか。ただ、いまでもレインズの「不動産ジャパン」でかなりのデータを個人でも知ることができるが、自分の所有マンションの価格が瞬時にはじき出されるのはいいかもしれない。「不動産価格推定エンジン」の精度がそれほど高いのなら、新築マンションの価格査定には使えないのか。それが可能になれば、購入希望者が査定依頼に殺到するのではないか。
それと、やはりマンション戸別の日照、設備の劣化、管理状態は客観的に評価できるかどうか。もちろん売る側は高く売りたいから高値を付けるだろうが、購入希望者との価格のかい離が大きければなかなか成約に結びつかないのではないかという気もする。
いずれにしろ、不動産情報の非対称性を巡って論議が活発化するのは間違いない。ヤフーとソニー不動産が火に油を注ぐデモンストレーションを行ったということか。
不動産流通に関する会見でこれほどの報道陣が集まった例はほとんどないという
ナイス 全物件を免震に 「ノブレス赤羽」 敷地南側は第一種住居
「ノブレス赤羽」完成予想図
ナイスが分譲中の免震マンション「ノブレス赤羽」を見学した。同社は2005年以降、低層を除き免震を標準としてきたが、今年度から低層を含めすべての物件を免震とすることを決定した。今回の物件もそのうちの一つ。6月から分譲を開始しており、これまで20戸を契約、順調に売れている。
物件は、JR埼京線・湘南新宿ライン・京浜東北線・東北本線・高崎線赤羽駅から徒歩11分(東京メトロ南北線赤羽岩淵駅から徒歩7分)、北区志茂2丁目に位置する15階建て44戸(事業協力者用住戸8戸含む)。専有面積は26.91~66.18㎡、現在分譲中の住戸(16戸)の価格は3,890万~5,710万円。坪単価は260万円。入居予定は平成28年3月下旬。施工は木内建設。設計・監理は三輪設計。
現地は、北本通りに面しているが、敷地南側は基本的に高さが10m以下の第一種住居専用地域に指定されている。建物は1フロア3戸でコンパクトタイプ。ほとんどの窓は2重サッシを採用している。
同社の販売の責任者、横澤圭太氏は「免震が高く評価されており、販売は順調に進んでいる。東日本大震災で大きな揺れに襲われた仙台において、当社は22物件1,500戸以上の免震マンションを分譲している。震災時も地面が大きく揺れているのに建物はそれほど揺れていない画像を販売事務所でも公開しているが、皆さんその効果に一様に驚かれる」と話している。
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同社がすべてのマンションを免震にするというのは知らなかった。ナイスグループは、首都圏における免震マンション供給棟数はナンバー1で、全国でも、現在計画しているものを含めて70棟7,120戸の免震マンションを供給している。
横澤氏は帰りがけに、「お客さますべてに配っているものですが、来ていただくお客さまの命を守りたいという気持ちが込められたものです。これを持っていってください」と、ストラップ付きの「ミニホイッスル」をくれた。
もう20年も30年も昔だ。平田恒一郎社長がまだ役員になったばかりだったか、「うちは戸数など追わない。地域に信頼される企業としてナンバー1を目指す」と語ったのが記憶に残っている。愚直に安全・安心を追求する姿勢は貴重だ。
三信住建 「妙蓮寺」で坪単価294万円 それでも売れる東横線
「プレミアムレジデンス横濱妙蓮寺」完成予想図
三信住建が分譲中の「プレミアムレジデンス横濱妙蓮寺」を見学した。妙蓮寺駅から徒歩2分で戸数39戸、坪単価は294万円。驚くような単価だが、9月から分譲開始し、すでに22戸が契約済みだからよく売れている。
物件は、東急東横線妙蓮寺駅から徒歩2分、横浜市港北区仲手原二丁目に位置する6階建て全39戸。専有面積は64.98~85.48㎡。現在分譲中の住戸(4戸)の価格は5,878万~6,988万円(70.05~80.16㎡)。平均坪単価は294万円。竣工予定は平成28年6月上旬。売主は同社のほかセコムホームライフ(事業比率は50:50)。設計・監理はIAO竹田設計。施工は三信住建。販売代理は双日新都市開発。
現地は、道路に面しているところは商業地域で、その奥は第一種低層住居専用地域。建物は東向きと南向き。2重床・2重天井、食洗機、ミストサウナが標準装備。
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この単価を聞いたときは正直驚いたが、もともと単価水準の高い東急東横線。武蔵小杉を筆頭に駅近物件は軒並み坪300万円を突破しつつある。だから、駅2分で294万円も妥当かなと思えてくる。何よりも22戸が売れていることが証明されている。
読者の方はご存じないかもしれないが、バブルが終息するころ、佐藤工業「ザ・ヴィスタ妙蓮寺」が分譲された。確か坪単価は330万円くらいで、全61戸ほとんどか億ションだった。
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それにしても同社の伸びがすさまじい。同社はマンション用地の取得・卸しで急伸している会社だが、会社設立の2006年度は開発・取扱い件数が18件1,409戸、売上高20億円だったのが、2014年度は開発・取扱い件数が45件2,269戸、売上高294億円だ。10年足らずで売上高は10倍に伸びた。
同社社長・信田博幸氏は長谷工コーポレーション出身。2005年に取締役兼専務執行役員に就任。2006年に退社し、同社を立ち上げた。
ブランド名「プレミアムレジデンス」は、自社で分譲する物件に冠するもので、今回が3物件目。記者は2年前、第一号の「プレミアムレジデンス府中西府駅前」を見学し、記事にしている。なかなかいい物件だった。この記事は、いま問題になっている横浜市の傾いたマンション問題を考える意味でも参考になるはずだ。
左手にタコ、一筆書きのようにマンション検査徹底 新三平建設・高谷氏(2013/11/19)
「親方に弟子入りしたい」-国交省 初のものづくり体験授業 カンナ社長が匠の技披露
匠の技について講話する宮沢社長(さいたま市立春里中学校で)
「親方に弟子入りしたい」-国土交通省は10月31日(土)、子どもたちに建設業の社会的な役割やものづくりの素晴らしさを知ってもらおうとさいたま市教育委員会と連携、市内の小・中学校を対象としたキャラバン「建設産業ものづくり体験授業」を実施。「カンナ社長」ことアキュラホーム・宮沢俊哉社長のかんな掛けを目の当たりにした生徒は「親方(宮沢社長)に弟子入りしたい」「親方のようになるには何年かかりますか」「自分もなりたい」などと感動を語った。
体験授業は、建設業界に対する世の中一般のネガティブなイメージを払しょくし、建設業の魅力を発信しようという取り組みの一環として行われたもので、今回は市立新和小学校と春里中学校を対象に行われた。この種の授業は工業高校では行われているが、小・中学校では初の試み。
市内見沼区の春里中学校では、8時45分から開会式が行われ、1年生約270名が建設産業の紹介、かんな掛け、釘打ち、のこぎり挽き、壁塗り、作業ロボット体験のほか、地滑り、トンネル工事、液状化などについて正午まで学んだ。
体験授業には土木学会や埼玉県左官業協会が、業界からはアキュラホーム・宮沢社長がかんな掛けを、大和ハウス工業が作業ロボットスーツの体験・実演をそれぞれ行った。
かんな掛け(左)と釘打ち体験
宮沢社長
目を輝かせてかんな掛けを観る生徒
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かんな掛けにはミクロン(1000分の1単位)の技を持つアキュラホームの宮澤俊哉社長が講師として参加。自ら大工として弟子入りしてから、トップレベルのかんな掛けができるようになった経緯をわかりやすく話し、実際に匠の技を生徒の前で披露した。
しゅるしゅると薄絹のような「かんな華」がむき出され、鏡のようになった表面に生徒たちは歓声を上げた。質問コーナーでは、「何年で技は身につきますか」「親方に弟子入りしたい」「コツはありますか」「好きな木はなんですか」などと宮沢氏を質問攻めにした。
生徒たちは「とても楽しかった。自分も大工になりたい」「ワクワクの連続」「ロボット体験がおもしろかった」などと異口同音に感動を語った。
約24キロのペットボトルを楽々と持ち上げる生徒
壁塗り(左)と地滑りの実験をする生徒
明和地所「クリオ駒沢公園」 全53戸のうち10戸は億ションかプレミアム仕様
「クリオ駒沢公園」完成予想図
明和地所が11月下旬に分譲する「クリオ駒沢公園」を見学した。駒沢オリンピック公園に徒歩4分、国立東京医療センターに隣接する全53戸の中層マンションで、同社久々の100㎡、億ションも含まれる。
物件は、東急田園都市線駒沢大学駅から徒歩16分(JR恵比寿駅からバスで約20分圏)、目黒区東が丘1丁目に位置する6階建て全53戸。専有面積は55.69~124.32㎡、価格は未定だが坪単価は370~380万円台になる模様。竣工予定は平成28年11月下旬。設計は三輪設計。施工は多田建設。
現地は、敷地南側が駒沢通りに面しており、西側は国立東京医療センターの森に隣接。
建物は、南向き中心に東向きと西向き。88㎡以上の10戸がプレミアム仕様として億ションになる模様。
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なかなか意欲的なマンションだ。モデルルームに当てられているのは120㎡の「X type」。インテリアデザインを担当するのはカン・デザイニングオフィスの鈴木ふじゑ氏。玄関は横入りタイプで、廊下幅は1200ミリ以上。床、壁などに大理石やチェリー材など天然材をふんだんに用いており、リビング壁は「セルベジャンテ」と呼ばれる大理石張り。カラーリングは鈴木氏が名付けた〝グレージェ〟。グレーとベージュを掛け合わせた微妙な色を表現している。
設備仕様からして10戸は間違いなく億ションになる。同社の億ションと言えば、10数年前に分譲された「クリオレミントンハウス文京播磨坂」を思い出す。高額だったが、瞬く間に売れた。
100㎡住宅も久しぶりだ。「レミントンハウス」もそうだが、もともと100㎡は同社が積極的に手掛けてきたプランだ。元気な明和が戻ってきた。
モデルルーム
「国産材を活用し、地方創生にも寄与したい」 三井ホーム・市川社長
三井ホーム市川俊英社長は10月30日行われた決算説明会で、「2×4工法による大規模木造建築は数年前から積極的に取り組んできており実績も積んできた。足立区の老人ホームは3,000坪という巨大な建物。また、2×4とCLTは工期も短くて済み相性もいい。わが国の山林は伐採期を迎えており、コストの問題もあるが、国産材を構造材に活用し、地方創生にも寄与したい」などと語った。
同社は、国土交通省の「木造建築技術先導事業」に選定された足立区の5階建て延べ床面積約9,000㎡の老人ホームの建築を進めており、また、林野庁の補助事業「CLT建築等新たな製品・技術を活用した建築物の実証事業」についても同社グループの三井ホームコンポネトの事務所棟計画が採択されことを受けて発言した。
ナイス 分譲するマンション全てに免震構造を採用
建築現場で行われた地震体験車(わが国に4台しかないという)
ナイスは10月30日、今後同社が分譲するすべてのマンションを免震構造にすると発表。日建設計、および日建ハウジングシステムと共同でワークショップを実施し、これまで8階建て以上を免震としていたものを7階建て以下の中層でも採用が可能とみて踏み切ったもの。免震の新ブランド「Noblesse(ノブレス)」を立ち上げ、その第一弾「ノブレス西馬込」(6階建て41戸)の建築現場見学会を行い関係者に公開した。
同社は1997年に竣工した「ナイスアーバン砧公園」を皮切りに免震構造を積極的に採用しており、2005年以降は仙台市では100%、それ以外のエリアでは8階建て以上に採用している。これまで計画中を含め70棟7,120戸に採用。首都圏での免震マンション供給棟数はナンバーワンとなっている。従来、一般の耐震構造と比較した場合、免震は15~20%程度建築コストが高くなることからタワーマンション、高級マンション以外の中層マンションではほとんど採用されていない。
同社と日建は、これらの課題について①平面・立面形状の最適化②建物の軽量化③動線・セキュリティ・設備系統④免震部材の組み合わせ⑤基礎形状-などの検討を重ねて実施することにした。
「ノブレス西馬込」は、都営浅草線西馬込駅から徒歩10分、大田区中馬込3丁目に位置する6階建て41戸。専有面積は58.60~73.56㎡、坪単価は270万円。竣工予定は平成28年4月中旬。
地下の免震装置(マンション全体で16個が設置されている)
ナイス 環境・健康が学べるパビリオン 「木造のよさ医学的に証明する」平田社長
「スマートウェルネス体感パビリオン」
ナイスが10月31日(土)、横浜市と慶応大学との共同プロジェクト「スマートウェルネス体感パビリオン」を開設する。「見て・触れて・感じて・知る」をコンセプトに、「温熱」「空気」「睡眠」「安心・安全」「省エネ・エコ」の5つの要素を中心に「スマートウェルネス住宅」の仕組みを学ぶことができる。開設に先立つ27日、関係者らでオープン記念セレモニーが開催された。
「スマートウェルネス住宅」とは、ICT技術と省エネ・創エネ・畜エネの「スマート住宅」の概念を広げ、多様な世代が安心で安全、健康、快適な暮らしを目指すもの。
パビリオンの企画や展示は慶応大学理工学部・伊香賀俊治研究室の協力のもと行うもので、11月から来年2月にかけて様々な実証実験を行い、データの集積などを行う。
ナイスグループは、横浜市が進める「環境未来都市」構想の取り組みの一環として、環境・健康に配慮した建築物の普及、木材の利活用などについて包括連携協定を今年2月に締結している。
セレモニーで挨拶した林文子・横浜市長は「素晴らしいパビリオンが完成して感激している。様々なプレゼンや子どもの授業に使っていく」と話した。
また、平田恒一郎・同社社長は「当社は今年で創業65周年。これまで地震に強い住宅を一貫して造ってきたが、今年からはマンションは全て免震構造とした。わが国の既存住宅約5,000万戸のうち国の断熱基準(平成11年)を満たしているのはわずか5%しかない現状は残念だが、当社は長期優良住宅の認定基準を超えたパワーホームの供給に力を入れている。これまでのCASBEE横浜[戸建]の届け出件数105件のうち103件が当社施工。住宅は木のほうがいいとみんながいうが、感情に走ってきた。エビデンスが欠けている。データを集積して医学的にも木の住宅が優れていることを証明したい」などと語った。
現地は、JR・京浜急行鶴見駅から徒歩5分、横浜市鶴見区鶴見中央4丁目、ナイス本社の対面に位置。敷地面積は約1,338㎡、延べ床面積約620㎡。日産自動車から寄贈された電気自動車や地震体験車も配置されている。
左から伊香賀氏、林氏、平田氏
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なかなか立派なパビリオンだ。スマート住宅のモデルハウスはたくさんあるが、非断熱と高断熱仕様の温度の違いを体感したり、9種類もの樹木の香りを比べたり、様々な内装材を使用した場合の室温と湿度の違いを見ることができる。
敷地の半分くらいは同社が所有しており、残りの半分は借地だという。建設経費もすべて同社が負担したというから立派だ。
パビリオン エントランス
パビリオン 中庭
三菱地所 障がい者のアート作品展10月30日から全国6会場で開催
三菱地所は10月30日(金)から来年2 月にかけて、横浜を皮切りに全国6会場で「第14回キラキラっとアートコンクール優秀賞作品展」を開催する。
「キラキラっとアートコンクール」は、障がい者アートライブラリー「アートビリティ」を運営する社会福祉法人東京コロニーの協力を得て2002年にスタート。「アートビリティ」の登録作家として現在17名が活躍中。コンクール応募作品はこれまで様々な企業の冊子の表紙やカレンダーなどに使用されている。
今回の作品展は、全応募作品1,725作品の中から審査会を経て選ばれた優秀賞51作品を展示するもの。
三菱地所は、本コンクールが障がいのある子どもたちの優れた才能を評価・発掘・展示する機会となり、芸術活動の裾野が広がることを願い応援している。
優秀賞・全応募作品は次のホームページで公開している。
キラキラっとアートコンクールホームページ http://www.kira-art.jp
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一度、この作品展を取材したことがある。われわれは「障がい者」という色眼鏡で作品を観がちだが、それが誤りであることに気づかされるはずだ。われわれがレッテルを貼ることで伸びる芽を摘み取ることが怖い。
今回の絵画展に寄せられたO JUN・東京藝術大学教授と杉山博孝・同社社長の講評を紹介する。
O JUN氏 今年も全国からたくさんの応募があった。コンクールということで入選作品を選ぶわけだが、惜しくも選外になった作品とどれほどの差があるのかといえば、実はないのだ。ではどのように選び取っているのかといえば、私は一瞬にして目を撃つ作品と繰り返し見ていてゆっくり見えてくる作品だ。作品はどれも伯仲している。
昨年は数点だが、強く印象に残る作品があった。いずれも“さみしい絵”“孤独な絵”だった。色彩豊かで描き込んでいる絵の中にあって、しんとした空間が目を惹いた。
今年はそういう絵が見当たらなかった。これは望ましいことなのかそれとも残念なことなのか。
応募の段階で学校や教室と私たちの選考で彼らの作品は数度のフィルターを通過してきている。
私たちは、作品を見る自らの目をいつも見返していようと思う。そういう中で一つの学校から応募された作品が印象に残った。どの作品も描く人の“私は、これを、こう描きたい!”という思いに溢れ、それに見合う画材と技術が効果的に使われている。個々の資質との向かい方や場を作る努力をされている先生やスタッフを想像する。教室の空気がよほど気持ちよいのではないか。
杉山氏 昨年より、障がい者芸術に造詣の深いO JUN氏、青柳路子氏に審査に加わっていただき、西田氏、髙橋氏と共に新たな体制で選定をしております。審査の視点が変わったことと作品全体のレベルアップにより、昨年の優秀賞作品展の会場では、個性豊かな作品が増えたとの評価を数多くいただきました。
第14 回となる今回は、全国から1,725 点もの応募をいただきました。その中から50 作品を選ぶことは非常に困難で毎回頭を悩ますのですが、今回は最後の1作品がどうしても絞り切れず51作品を優秀賞として選定致しました。
また、当社グループの社員も投票に加わっているのですが、毎年応募される特定の方の作品を楽しみにしていたり、離れた職場から投票に駆けつけたりと、社員の間でもすっかり定着した感があります。
これからも本コンクールは、応募者の皆様、審査員の方々、作品展をご覧になる各会場のお客様と三菱地所グループの役員・社員が力を合わせて作り上げて、その価値を高めていくコンクールでありたいと願っております。