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オープンパークイメージ

 三井不動産レジデンシャルは、すまい(日常)の中にアウトドアライフ(非日常)を取りこむ「半ソト空間」というマンションの住戸プランをスノーピークと共同開発し、10月分譲予定の「パークホームズ立川」に採用する。

 「半ソト空間」とは、マンションの1 階住戸の居室内部と専用庭部分に連続性を持たせた新発想の住戸プランで、テラスから専用庭にかけてオリジナルのトライアングルシェードを設置し、居室内からシェード下のスペースを「半ソト空間」として創出する。この空間と利用目的に合わせたスノーピーク製アイテムを組み合わせることで、“くつろぐ・食べる・寝る”という3 つの生活シーンを提案する。

 「パークホームズ立川」は、JR中央線「立川」駅バス5分、バス停徒歩1分、立川市高松町1丁目に位置する12階建て全352戸。専有面積は67.87~94.96㎡、施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は2017年3月下旬。

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インドアパークイメージ

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オリジナルトライアングルシェード

 

 長谷工グループは11月1日(日)、管理組合の方を対象とした改修・建替えに関する「マンション再生セミナー」を開催する。

 今回は8回目のセミナーで、テーマは「あなたのマンションの将来を考えよう」。同社グループの長谷工総合研究所、長谷工コミュニティ、および弁護士の戎正晴氏が“マンション再生につながる情報を提供する。

 同社グループは1980年に専門部署である「建替え相談室」を設立して以来、32件の建替え事業を推進(竣工済28件、施工中3件、準備中1件)、昨年4月には高経年マンションの相談窓口としてマンション再生事業部を新設している。グループの修繕・改修実績は約43万戸で、マンション管理戸数は約31万戸。

 日時は11月1日(日)13:50~16:50、会場は「建築会館ホール」(東京都港区芝5-26-20)、定員は100名(完全予約制)、参加費は無料。

 参加希望は≪セミナーお申込フォーム≫http://www.haseko.co.jp/saisei/seminar/

 または≪フリーダイヤル≫長谷工コーポレーション マンション再生事業部 0120-095-356(受付8:30~17:00、土・日・祭日除く)へ。

 

積水ハウスの男女別育児休暇取得者数の推移

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 先日、積水ハウスの決算説明会・記者懇親会があり、「女性活躍」について同社経営企画部ダイバーシティ推進室室長・伊藤みどり氏と歓談する機会があった。

 記者は「女性活躍」の核心は「男性の働き方を変える」ことだと伊藤氏に話した。働く女性には家事労働はもちろん、子どもが生まれるとほとんどそのすべての負担が女性にのしかかる。これは不平等だし、女性への負担が集中することは企業の経済活動にも支障をきたすし大きな損失にもつながると。

 伊藤氏も「その通り」と仰った。そこで伊藤氏が話したのは同社の「ハローパパ育児」制度だった。昨年秋から開始したもので、男性の育児休暇が取得しやすいようにするのが主な目的だ。内容は次のようなものだ。

 ①従来煩雑であった「育児休暇」取得の手続きを通常の勤態システムで申請できるよう簡素化

 ②全従業員に「育児休暇」に対する理解を促進するため、グループ全従業員に「マンガでわかる仕事と育児の両立ガイド」を配布

 ③子供の出生を人事システムで会社に届出した際、上長に「育児休暇」取得を勧めてもらうメールを配信(積水ハウスのみ)

 ④本人には子供を健康保険の扶養に入れる際、健康保険証と一緒に「ハローパパ休暇」をPRするカードを配布(同)

 この効果はてきめんだった。別表は同社の育児休暇取得者数の推移を見たものだ。

 5年前の60期の女性の育児休暇取得者は87名で男性は30名だ。男性の取得者が多いか少ないかは判断できないが、おそらく住宅・不動産業界では突出して多いはずだ。女性と男性の割合も100:34だから、これも男性の比率は高い。

 ハローパパ休暇の促進を図った64期(2014年2月~2015年1月)は女性が242名へ5年前と比べると約2.8倍に増加し、男性も119名へ約4.0倍に増加している。女性対男性の比率も100:49へ改善が進んでいる。他の業界はしらないが、これほど男性の取得率が高いのは大手企業ではないのではないかと思われる。

 同社は男性の取得率30%を目指しており、65期下期には達成できる見込みという。

 伊藤氏は、ハローパパ育児制度は「男性の育児参加の意識改革に寄与している。育児休暇を取得した男性従業員が、職場の育児中従業員の良き理解者となること、住まいづくりの提案においてもこの経験は非常に意味がある」とコメントしている。

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「マンガでわかる仕事と育児の両立ガイド」

 

 

 

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「富久クロス」竣工祝賀会(ホテル椿山荘で)

 タウン名が「富久クロス」の西富久地区市街地再開発組合(理事長・笹野亨氏)は9月18日、都内のホテルに約250名を集め竣工祝賀会を行った。

 冒頭あいさつに立った笹野理事長は、「バブルに翻弄され、街が崩壊の危機にさらされたが、再開発の勉強会を立ち上げたが、当初は行政も銀行も取り合ってくれなかった。それでもみんなコミュニティを大事にしようと頑張ってきたおかげでこの日を迎えることができた。1,000戸を超える世帯が住むことになるが、街のシンボルに誇りを持って新しい街づくりを行っていきたい」と述べた。 

 続いて登壇した野村不動産・宮嶋誠一社長は、「新しい街には3,000人の方が住まわれるが、先進の安心・安全の素晴らしい街づくりに参加できたことが嬉しい。企画に際しては、10万人に上る方々の声を1,000に集約して、そのアイデアをすべて反映させた。1,000戸近い販売戸数ではあったがわずか6カ月というに短い期間に完売できたのも街の価値を評価していただいた結果。建物の管理は私どもの管理会社で行わせていただくが、全国の再開発の見本となるよう今後も継続して街づくりにお手伝いさせていただく」と力を込めた。

 さらに、設計・監理を担当した久米設計・山田幸夫社長は、「東京の宝となる新旧住民が一体となった街が完成した。その立役者はまちづくり研究所(代表)の増田(由子氏)さんであり、共用部分などには野村(不動産)さんの知見が完璧に近い形で反映されている。建物の強度も極めて高い」と語った。

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左から笹野氏、宮嶋氏、山田氏

◇       ◆     ◇

 このマンションについては、先の竣工見学会でも記事にしているのでそちらを読んでいただきたいが、なによりも再開発組合が竣工祝賀会への参加を呼び掛けてくれたのが嬉しい。このような祝賀会へのマスコミの取材はほとんどないはずだ。

 何人かの地権者の方に話を聞いたので、話されたほとんどそのままを紹介する。

 まず、笹野理事長(72)。「昭和45年、そば屋を開業した。5坪ですよ。いい大家さんでね、その6年後土地を分けてくれた。昭和60年に3階建てのコンクリに建て替えてね、その2年後に地上げか始まった。坪400万円でも売れたんですがね、街が好きだから売る気はなかった。地権者には(土地が)3坪足らずの人もいるし5坪以下は10軒以上ある。大変苦労しました。そば屋? 怪我をしましてね、先月で店じまいしましたよ」

 次に80歳代の女性。「夫はね、シベリア抑留帰還者でね、頑固者でしゃべりたくないタイプでね、私は都会育ち、どこかって? 深川ですよ。夫? 夫はね、田舎育ち。東北の仙台かそこら。良かれと思って結婚しましたがね、育ちも考え方、価値観も全然違うから、わたしね、一度、子ども連れて逃げ出したんですよ。わたし? 幼稚園の先生をしていたので、アパートを借りて…自分の家が持ちたくて10坪の家を買ったんです。50年くらい前ですかね。新宿は安いものも高いものもたくさんある。住めば都ですよ。夫もね、カラオケなんかに行くようになってずいぶん変わりましたよ。いまはちょっと具合が悪いですけどね」

 60歳代の女性。「生まれたときは10坪の長屋でした。当時はたくさん長屋があったんです。(その後、土地を取得されたのか)地上げ? 大変でしたよ。わたしの職場まで押しかけてきた。コリンズ。30歳代の後半でした。街が好きだから売る気はなかったですね。新居? 今日初めて内覧会がありまして、わたしたちが住むベントテラスを3回も見ましたが、畳が小さかったですね(畳は団地サイズだからやむを得ない)。タワー棟の共用施設が使えないのが残念(管理組合はタワー棟、地権者のベントハウス、賃貸棟などで別々)」

 もう一人、47歳の航空会社に勤務する男性。「親が事業をやっておりまして、土地は60坪くらいでしたかね。バブルの時は学生でしたから、経験がないですね。所有しているのはタワー棟ですが、わたしはマンションに住んだことがないので、中野の一戸建てに引っ越しました。マンションは賃貸にします」

 聞けば地権者それぞれのドラマになると思うが、記者は土地を売却し移転された方々がどのような生活をしているかも気になった。バブルは人も街もある意味では破壊した。「富久」の皆さんはよくぞ再建されたものだ。

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「富久クロス」完成 四半世紀の波乱乗り切り街再生(2015/9/14)

 

 

 

 

 

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「Leche Metis」モデルハウス

 ポラスグループで2x4・2x6工法の注文住宅を手がけるグローバルホームが9月19日からHaS casa(ハスカーサ)ブランドの新しいモデルハウス「Leche Metis(レチェ メイティス)~知性の家~Intelligence in the house」をさいたま市の住宅展示場プラザ浦和にオープンする。

 「Leche Metis 」は、スペイン語でミルクの意味のLeche(レチェ)と、ギリシャ神話に登場する知性を司る女神Metis(メイティス)をあわせた造語で、テーマは〝知性〟で、円形吹き抜け空間とカフェと図書館をモチーフにした大胆なデザインが特徴。

 モデルハウスは敷地が約109㎡、建物は3階建て延べ床面積約137㎡、坪単価は65万円。年間販売棟数は25棟。

 HaS casaブランドのモデルハウスは草加、越谷、柏、加平(足立区)に次ぐ5カ所目。グローバルホームは年間約500棟(うち400棟は分譲)の受注がある。

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円形吹き抜け空間(1階はLDK、2階は図書ホール

◇    ◆   ◇

 モデルハウスはどこもそうだが、かなり思いきった提案がされている。

 1階は、アーチ型の玄関を入ると、間口約6mのくつ脱ぎがあり、すぐ広さ約17.7畳大のLDKが眼前に展開する。その正面には幅2600ミリのシーザーストーンの天板つきキッチン。右サイドにはイギリスから取り寄せたという暖炉が設置されている。その奥には多目的に利用できる居室がある。床は無垢の栗材が敷き詰められている。

 2階は円形の大きな吹き抜けに面して図書ホール(ビブリオ)が設置されている。ハードカバーで2,000冊、文庫本なども加えれば5,000冊が収納できそうなアール状の書架だ。その左右はスタディルームとDEN。

 3階は主寝室と、この主寝室とデッキで結ばれた離れ感覚の多目的に利用できるスタディルーム、緑化を施したバルコニーが提案されている。

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図書ホール

◇    ◆   ◇

 住宅展示場の常識なのだろうが、不可思議を一つ発見した。モデルハウスでは火気が厳禁だそうで、立派な暖炉には火が入れられないということだった。

 しかし、暖炉は部屋を暖める機能のほかに気持ちを和ませる〝ゆらぎ〟に価値がある。火が入れられず、その両方が体験できなければただのオブジェにもならない。

 せめて同社は、この暖炉を入れれば年間でどれくらいの暖房費やCO2が削減できるか、〝ゆらぎ〟がどれほどの効果をもたらすか示すべきだろう。

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1階部分のモデルハウス

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「リノグラン東林間アリーナ」エントランス

 小田急不動産とコスモスイニシアの初の共同リノベーションマンション「リノグラン東林間アリーナ/ブライト」が報道陣向けに公開された。小田急不動産がバブル期に企画して所有してきた築24年の賃貸マンション2棟をそれぞれリノベーションして分譲するもので、バブル仕様にコスモスイニシアのノウハウが融合した素晴らしいマンションに再生された。

 物件は、小田急江ノ島線東林間駅から徒歩2分、相模原市南区上鶴間六丁目に位置する4階建てアリーナ棟20戸(販売14戸)とブライト棟19戸(完売)の39戸。アリーナ棟の専有面積は62.02~84.18㎡。9月18日に分譲する2期1次(1戸)の価格は3,398万円(84.18㎡)、全体の坪単価は150万円台の前半。既存建物は1991年3月に竣工。改修工事は2015年1月。施工は大和小田急建設。売主は小田急不動産・コスモスイニシア。

 建物の診断・大規模修繕・共用部の改修・設備の一新・30年の長期修繕計画など一棟まるごとリノベーションを施し、設計変更にも対応する「オーナーズチョイス」を提案。クロス貼り、漆喰塗が体験できる「セルフリノベーション講座」が受けられ、スケルトンの段階で契約し、専門家のアドバイスのもと設計変更にともなう費用負担はローンに組み込めるようにしているのが特徴。

 アリーナ棟の現在の販売対象14戸のうちすでに7戸は販売済み。分譲対象外の4戸は賃借人が住んでおり、賃貸借契約が解除になった段階で分譲に切り替えることになっている。

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小上がり和室があるカリンのフローリングが施されたモデルルーム

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「リトルテーマパーク、が楽しい家」モデルルーム

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「リトルテーマパーク、が楽しい家」モデルルーム

◇       ◆     ◇

 バブル仕様の社宅がリノベーションにより分譲されたのは結構見ているが、賃貸マンションは初めてだ。〝さすが小田急〟というか、信じられないプランと設備仕様だ。いかにバブル期とはいえ、よくぞ平均で75㎡(アリーナ棟)、81㎡(ブライト棟)の賃貸を企画したものだ。

 外壁はもちろんバルコニー、階段はタイル張り。一部にはライトコート(吹き抜け)もある。住戸の天井高は2400ミリだが、2重床・2重天井で浴室の段差はほとんどない。当時分譲されていたら、坪単価は300万円台になっていたかもしれない。

 そんなレベルの高い賃貸をコスモスイニシアが最高のものに仕上げた。従前は外部とオープンになっていた地階の駐車場に電動シャッターを設置し、洗車スペースも設けた。設置はされていたが使用されていなかった地階のエレベータを利用できるようにし、駐車場から直接住戸へのアプローチも可能にした。アリーナ棟の駐車場の屋上はテラスに改修した。エントランス部分には高さ5メートルのイロハモミジなどの高木を配した。

 さらに、一部のモデルルームの床は無垢のカリン材のフローリングとし、キッチン天板はシーザーストーン、和室は小上がり仕上げ。食洗機も標準装備。

 販売を担当しているコスモスイニシア マンション分譲二部一課チーフ・田中一如氏は、「二月以降の来場者は131組だが、コンスタントに集客できている。周辺に新築物件が全くなく、やや離れているところでも2,000万円台、3,000万円台がほとんど。当社の物件がプライスリーダーになっている」と話した。

 記者は、いま新たに用地を取得して分譲マンションを建設するとしたら、坪単価は200万円を突破すると考えた。150万円という単価は極めて安い。ただ、こういったリノベーションマンションはそう供給されないはずだ。小田急とコスモスイニシアがコラボしたから実現した。

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セルフリノベーション体験イベント

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共有部のオープンスペース

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駐車場

 

 東京都港区の課税標準額1,000万円以上の納税者は平成27年4月1日現在で19,003人となり、過去最多だった前年度の17,830人より1,173人、6.6%増加していることが分かった。区全体の納税者に占める割合も前年度の14.0%から14.5%に増えた。

 その半面、課税標準額が1,000万円以上の層の総所得額は前年度の1兆776億円から8,112億円へと約2,700億円も減少した。これは税法が改正され、平成25年12月31日までに株式などを売却した場合の税率が10%だったのが、26年1月以降には20%になるため、前年度は駆け込みで大量に株式などが売却されたためのようだ。

 また、所得割額は区全体で628億円であるのに対し、課税標準額1,000万円以上の層は414億円となり、区全体に占める割合は前年度の67.3%から65.9%へと減少した。

 こうした高額所得者の増加やその他の給与所得者の所得が増えたこと、さらには前年に所得が大幅に伸びた人への課税額が増えたことなどで、同区の平成26年度の特別区民税は730億円で前年度比18.6%増の高い伸びを示した。一般会計歳入額も1,605億円で前年度比37.6%増と激増している。

港区 課税標準額1000万円以上の層 過去最高の約18,000人(2014/9/24)

 積水ハウスは9月11日、平成28年1月期 第2四半期決算グループ経営計画説明会をおこなった。決算についてはマスコミ各社が報じている通り、一点の曇りもない秋晴れと形容していいくらい絶好調だ。

 へそ曲がりの記者は、説明会で約1時間、決算内容説明と記者団の質問にてきぱきと答えた阿部俊則・代表取締役社長兼COOに「会社の課題や悩みはないのですか」と質問したら、阿部社長は「たくさんありますよ」と答えた。「一つでもいいですから教えてください」と突っ込んだが、「また、いずれ」と笑ってはぐらかされた。

 そこで考えた。中長期的な事業環境は言うまでもなく住宅事業は縮小傾向に向かう。同社はその中でどうシェアを高めていくかだろうし、周辺の事業分野の深掘りをどう進めるかだ。

 そのために社内の体制をどう整備するか。一つは人材の確保と育成だろうと見当をつけた。これはそれほど的を外していないと思う。

 どんなに「スマートタウン」が優れていようが、ユニバーサルデザインの取り組みで他を圧していようと、「5本の樹計画」で抜きんでていようと、それを推進するのは人財だ。人を増やせばいいようなものだが、阿部社長が口癖のように言っている「どのように市場環境が変化しようが、筋肉質の収益基盤を構築」するためには闇雲に人を増やしたりはしないはずだ。

 いかにグループの総合力を高め、人財を強化していくかが同社の最重要課題の一つとみた。

◇      ◆     ◇

 そこで、我田引水だが最近取材を始めた「女性活躍」について。

 女性の活用を積極的に行っている企業として経産省・東証が「なでしこ銘柄」として2012年度から毎年選定して発表している。同社は2013年度に続き2015年度も選定されている。2度も選定されているのはハウスメーカー初で、大和ハウス工業とNTT都市開発が2015年度に選ばれている。

 記者は「なでしこ銘柄」を市場、つまり株式市場がどのように反応しているか非常に興味がある。ところが、経産省はなでしこ銘柄の選定後の株式の推移などについては追跡調査など行っていないようだ。東証には現在照会しており、近く回答があるはずだ。

 記者の感触では、なでしこ銘柄に選定されたからと言って株式が敏感に反応した企業はほとんどないと見ている。「女性活躍」は喫緊の課題ではあるが、そのこと自体に株式が反応することはあり得ないからだ。

 しかし、せっかくいい制度を設けたのだから、経産省や東証はきちんとデータを取り、情報を開示すべきだし、選定した企業には法人税を引き下げるとか、銀行の融資金利を引き下げるとか何らかのアドバンテージ、インセンティブ、を付与すべきだと思う。(三井住友銀行は今年から「SMBCなでしこ融資」制度を設けている)

 阿部社長に「なでしこ銘柄制度はものすごくいいが、魂が入っていないのでは」と質問したら、「その通り」の答えが返ってきた。

 参考までに。2015年度のなでしこ銘柄が発表されたのは3月18日だ。その前日の同社の株価は1,757円で、18日当日は1,758円。ほとんど反応していないというより、それ以降の株価は4月に入るまで下げ基調で推移している。反転したのは4月入ってから。4月1日の1,714円を底に6月3日の2,115円(これが現段階で今年の最高値)までほぼ一本調子で上昇し続けた。出来高も倍増した。しかし、これを「女性活躍」と結びつけるには無理がある。

 それでもやはり、「女性活躍」が企業の価値を測る指標の一つとなるような社会を築かないといけない。そしてまた「女性活躍」と表裏一体をなす「男性の働き方」を改める必要性を痛感している。

◇      ◆     ◇

 これはおまけだが、阿部社長は最近、「ザ・リッツ・カールトン京都」に泊まられたそうだ。このホテルの素晴らしさについては言うまでもない。記者もたくさん書いてきた。

 1泊最低でも10万円するそうだが、リッツのホスピタリティは桁が違う。百聞は一見にしかず、目からうろこ、目から鼻だ。読者のみなさんにも是非一度利用されることを勧めたい。

 もう一つ。日本初のマイクログリッドによる「東松島スマート防災エコタウン」について。

 これは、同社と東松島市で推進している災害公営住宅と周辺の病院、公共施設などとマイクログリッドを構築し、地産地消で電力供給を行うものだ。これまたスマートシティ、コンパクトシティに最適なシステムだと思う。

 発表会では、完成したエコタウンの一部がビデオで放映されたのだが、5本の樹計画らしきものはひとつもなかった。そこで担当者の執行役員・石田建一氏に質問したら「災害公営住宅では同社のアイデアを盛り込むような規定にはなっていない。わたしも残念に思う」ということだった。公営住宅のあり方を問う問題だ。

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完成した、「富久クロス」

 野村不動産は9月9日、「富久クロス」(全1,222戸)の竣工記者見学会を行った。このマンションについては既報の記事を読んでいただきたいが、坪単価328万円という分譲当時としては高かったにもかかわらず、1期1~3次、2期まで即日完売し、分譲992戸がわずか6カ月で完売して話題となった。

 完成した建物を見て、人気になるのも頷けるのだが、バブル崩壊-リーマンショック-東日本大震災-建築費高騰などの〝失われた25年間〟の荒波を乗り越えてよくぞ見事な再開発を成し遂げたと感服するほかなかった。

 見学会で挨拶した同社開発企画本部プロジェクト推進部長・渡辺弘道氏は、「バブルによる地上げで虫食い状態になっていたところをバブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災などの度重なる(再開発計画の)存続の危機を地権者、地元、行政、大学などが連携して乗り越え、平成2年の勉強会から25年目にして竣工にいたった。当社は平成22年に特定業務代行として事業に参画してきた。商品企画にあたっては、実に10万人の意見を募り、その中から1000件に絞り込み、その声をすべて建物に反映した。わずか6カ月で完売できたのもそのような企画が評価されたからだと考えている。当社はいま約30地区で再開発計画を進めているが、これはデベロッパーのなかでもっとも多いのではないか」と胸を張った。

 渡辺氏は、リーマンショック前の分譲単価は坪400万円くらいが想定されていたことも明らかにした。

 また、総合プロデューサーとして19年にわたってこの計画に携わってきたまちづくり研究所代表取締役・増田由子氏は、「激しい地上げで247世帯が120世帯に半減した。何度もくじけそうになったが、2002年に都市再生緊急整備地区に指定されて流れが変わった。経済状況の悪いときに大変苦労したと」と、計画を振り返った。

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地上げからの〝守り神〟になったお稲荷さんも再生された

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ベントテラス

◇      ◆     ◇

 記者は前職のとき、勤務先が近くだったこともあり、当時のすさまじい地上げの実態を取材している。いまの方は理解できないだろうが、この富久も地上げが始まった昭和60年代の初めの地価は坪500万円くらいだったのが、最終的には3,000万円に吊り上った。西新宿も同様に坪300万円がゼネコンに売却されたときは平均3,000万円だった。接道部分などは坪1億円で売買された。

 富久も西新宿もそれこそ街が死んでいた。地上げ屋が怖くて歩くのも怖いくらいだった。

 あれから25年。富久も西新宿も見事な街に生まれ変わった。関係者の努力には頭が下がるばかりだが、どれだけの犠牲を払ったかを考えると言葉が詰まる。

 地上げが結局成功しなかったのは、当地にあったお稲荷さんの権利者が80人くらいおり、その所在が分からない人もかなりいたのがその理由だと聞いた。そのお稲荷さんに賽銭泥棒が入ったことは記者もよく知っている。

 お稲荷さんは〝地域の守り神〟として敷地内に祀られている。

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左側の壁は庵治石が張られ、正面は壁面緑化が施されたエントランスホール

◇       ◆     ◇

 完成した建物をみて驚いたのは、まず共用施設の充実ぶりだった。エントランスホールの高さ5mくらいの壁には大きな庵治石が50枚は張られていたはずだ。ホール正面にやはり高さ5m、幅約5mの観葉植物の壁面緑化が施されていた。

 3室あるゲストルームのうちの和室タイプの床は無垢のナグリ仕上げとなっており、フィットネスルーム、パーティラウンジ、キッズラウンジ、スカイラウンジ、図書コーナーなどの10のラウンジも充実している。各フロアの廊下には版画などのオブジェが200点くらい展示されている。

 接地型の住宅に住みたいという地権者向けにペントテラス住戸17戸や地権者が所有する7階建て賃貸住棟(121戸)が併設されている。スーパーや認可保育所も設けられている。

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ラウンジ

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アール状になっている共用部分の配置

新宿・富久町「Comfort Tower」 第1期482戸が即日完売(2013/9/26)

地揚げから30年 坪330万円のマンションに再生「Tomihisa Cross」(2013/9/5)

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「ユトリシア」

 大成有楽不動産が同社など6社JVの習志野市郊外の大規模分譲マンション「ユトリシア」の最終街区が竣工いたのに伴い、報道関係者向けに完成お披露目会を行った。

 「ユトリシア」は壱番街から五番街で構成される全1,453戸、総開発面積約66,000㎡の大規模分譲マンション。2009年2月に壱番街が竣工して以降、既に1,100世帯が居住。ガーデンや本格的体育館をはじめとする30もの共用施設が集まる「センタープロムナード」、様々な菜園がある中庭など広大な敷地を利用したランドスケープデザインが特徴。共用施設を活用したコミュニティ活動は2014年度の「グッドデザイン賞」を受賞している。

 物件は、京成本線実籾駅から徒歩11分、習志野市東習志野2丁目に位置する14階建て全1,453戸。専有面積は71.34~123.26㎡。施工は長谷工・大成建設共同企業体。売主は同社のほか名鉄不動産、三交不動産、東レ建設、新日本建設、長谷工コーポレーション。

 分譲開始は7年前。当初は坪単価130万円で分譲されていたが、市況の変化を受けて現在は115万円。最終街区の「五番街」272戸のうち約130戸が分譲済み。住戸プランはディスポーザー、食洗機が標準装備、バルコニー奥行きは約2m。

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中庭

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中庭に設けられている菜園(手前はオクラ、その奥にはダイコン、サツマイモ、シソなどが植えられていた。オクラの実はどうして下ではなく上を向いているのか。そう言えば、どうして朝顔のツルや記者の頭は左巻きで、巻貝はほとんどが右巻きなのか)

◇       ◆     ◇

 現地を見学してランドスケープデザインが優れているのに目を奪われた。とくに敷地を南北に貫く「センタープロムナード」と、横軸に配した中庭がいい。提供公園には生け垣の迷路もあった。休日になると子どもたちで大賑わいになるそうだ。

 坪単価115万円というのは、新築の単価では考えられない安さだ。都心へのアクセスはいいとは言えないが、30坪で3,000万円台という価格は魅力だ。竣工を受けて販売スピードは加速するのではないか。

 ゲストルームなどを併設した体育館にも驚いた。2階建てで建坪は約100坪くらいではないか。公式のバスケットボールのコート(縦28m、横15m)も可能だという。同じようなものはこれまで「ガーデンアソシエ」(大船)と「コロンブスシティ」(千葉市)にも建設されたという。

 われわれはマンションの価値を坪単価でしか評価しない測れない習性がある。中小規模マンションにはこれが当てはまるのだが、大規模物件では共用施設とか緑の量と質を適正に評価する指標を持たないといけないことをつくづく感じた見学会だった。

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体育館

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