旭化成不レジ わが国初の分譲マンション建て替えは「ヒカリエ」に隣接

建て替え後の完成予想図
旭化成不動産レジデンスは2月17日、築63年のわが国初の分譲マンション「宮益坂ビルディング」の建て替え説明会・見学会を行った。分譲当時は10坪で約100万円で、今の価値にすると億ションだったそうだが、いったいいくらになるのか、ワクワクするマンションだ。建て替え後は商業・事務所とマンションの複合になる。
物件は、渋谷駅から徒歩1~2分、渋谷区渋谷2丁目の「ヒカリエ」に隣接した敷地面積約1,311㎡、地下1階地上11階建て(高さ規制はいわゆる「百尺規制」により31mまで)延べ床面積約7,872㎡。1階から4階が事務所・店舗で44区画、住居部分は5階以上70戸。建て替え計画では地下2階建て地上15階建て(地区計画の絶対高さ規制は60m)、延べ床面積約14,553㎡。住宅は約30~78㎡、事務所・店舗は37区画。竣工予定は2019年。還元率は75~80%程度になる模様。
同社開発営業本部長・中園明弘氏は、「わが国初の分譲マンション建て替えに参画できたことは非常に光栄。今回の建て替えが25棟目の着工になる予定。建て替えは当社のコア事業で、トップランナーとして今後、年間10棟の着工を目指し態勢を整えていく」と挨拶した。
同社開発営業本部・マンション建替え研究所長・向田慎二氏は、複合建て替えで渋谷の立地条件などから「マンションはSOHO利用やベンチャーの入居を想定した商品企画にしたい」などと語った。
また、マンション管理組合理事長・ウレマン フレッド氏は「30数年前、事務所を構えた。それぞれ自分のわがままを通すのでなく、合意形成を図ることに力を注ぐべきことを学んだ」と振り返った。
区分所有者の一人、満田照世氏は「昨年亡くなるまで母が住んでいた。私は15年前から理事を務めているが、『面倒くさいからこのままでいいのよ』といつも言っていた無精者の母のお陰で、63年前当時のままの部屋が残った。昨日、ビルの中で最後の会議を行った。和気あいあい、とてもいい雰囲気で最後の会議を締めることができた。この地で続いていたことがまた次代に引き継がれることになって非常にうれしい」と話した。

現在の外観

昭和30年の現地周辺(写真はすべて満田氏のお宅)

ピクチャーレール付きの床の間(左)と通気口

当時のままの襖(左)とトイレ

当時のままの食器棚(左)、下足入れ(中)、玄関収納(右、下部は炭入れ)
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多くの建て替えマンションを取材しているが、こんなにワクワクして話を聞いていたことはない。「ヒカリエ」に隣接したわが国初の分譲マンションがどのようなものに生まれ変わるのか、想像するだけで楽しくなってくる。もちろん、最大の関心事は価格がいくらになるかだ。以下、当時の状況を紹介しながら思いつくままに書く。
専有面積(当時はそのような概念はなかったが)34.01㎡で価格は1022,000円だった。支払い条件は3割・7割の2回払い。
主な設備仕様などは、電気・水道は個別契約でなくビル全体で契約、電話交換手が内線で接続(管理人室横に電話交換手)。ダストシュート、メールシュート付き、エレベータにはブルーの制服のエレベータガール、ガス風呂・水洗トイレ付き、和室に床の間付き、スチール窓サッシの内側には木製枠付き、居室のサッシは上吊型でレールなし、居室に通気口付き、玄関に下足入れと別の収納・炭入れスペース付き、キッチンカウンターは人造大理石張り、外廊下はサッシ付き、ビル内に医院・歯科医院が併設など。
配布された資料によると、竣工当時の新聞は「天国の100万円アパート」「お金持ちアパート」「ここは停電も断水もない天国の家」「この文化アパートは区の文化水準を示すものとして誇りに思う」(渋谷区助役談)「住宅70室に対して会社重役が47人申し込み」などと報じたそうだ。
昭和28年は、朝鮮戦争の休戦協定が結ばれた年で、わが国は戦争特需の恩恵によってその後の経済発展のスタートを切った年と言われる。NHKがテレビ放送を開始し、伊東絹子さんの「八頭身」が流行語になったのもこの年だ(彼女の水着姿はよく覚えている)。しかし、スターリン死去後の米ソ冷戦時代は激化の一途で、吉田首相の「バカヤロー解散」など世情は混とんとしていた時代だった。
当時はもちろん〝億ション〟という言葉はなかったが、今の価値で測ると「億ションだった」(管理組合理事長・ウレマン フレッド氏)ようだ。
記者も昭和28年当時のことは全然思い出せないが、森永キャラメルが8個入りで10円だった時代だ。1円、2円でお菓子が買えた。当時の100万円は設備仕様の豪華さも考慮に入れると、今の1億円以上の価値が確かにあると思う。つまり坪1,000万円以上ということだ。
さて、それではいったいいくらで分譲されるのか。竣工はオリンピックの1年前の2019年。分譲はそれより前の来年か再来年だ。その頃のマンション市場がどうなっているか読めないが、渋谷の再開発の未来像がより具体的になるはずだ。
しかし、高さ規制60mのため15階建てにしかならず、敷地南側には「ヒカリエ」がそびえ、日照はほとんど期待できず、宮益坂に面した北向き住戸となる。これは大きな難点だ。スカイデッキで銀座線と接続されるメリットを考慮しても、坪1,000万円で分譲するのは難しいと思う。市場が沸騰すれば坪800万円はあるかもしれないし、利回り3%とすると坪800万円は妥当な価格にも思えるが、果たしてどうなるか。記者なら自然光採光システムを採用して、全ての居室に光を取り込む工夫をする。これは相当の価値があるはずだ。

ウレマン氏(左)と満田氏

廊下

真鍮の手すりとらせん階段(手すりは人造大理石)

屋上のボイラー煙突(左、背後の建物は「ヒカリエ」)とエントランス照明

ダストシュート
旭化成不動産レジ、わが国初の分譲マンション「宮益坂」建て替えへ(2015/2/9)
さらに進化した商品企画 玄関に勝手口 中央住宅「ルピアコート新小岩フレール」

「ルピアコート新小岩フレール」完成予想図
ポラスグループの中央住宅が分譲中のマンション「ルピアコート新小岩フレール」を見学した。駅から徒歩14分とややあるが、間口を最低でも約8m確保し、玄関とキッチンを引き戸でつなげたり、コンセント付きの出窓を設けたり、実用新案申請中の分別ダストボックスを設置したりと、隣接する同社の「ルピアコート新小岩」からさらに進化したマンションだ。
物件は、JR総武本線新小岩駅から徒歩14分、葛飾区東新小岩2丁目に位置する13階建て全36戸。専有面積は59.08~76.76㎡、現在分譲中の第1期2次(4戸)の価格は3,250万~4,740万円。坪単価は200~210万円。入居予定は平成28年10月下旬。施工は川村工営。販売代理は東京中央建物。設計は複葉アーキテクツ一級建築士事務所。
現地は、同社が2年前に分譲した「ルピアコート新小岩」の隣接地。建物は逆梁工法を採用した南西向きで、1フロア3住戸。ワイドスパンが大きな特徴で、59㎡と64㎡のプランで間口は約8.1~8.4m、76㎡は約9.3m。二重床・二重天井、食洗機、バックカウンター・吊戸棚、5種類の分別が可能な実用新案申請中の隠せるダストボックスなどが標準装備。

玄関(左奥がキッチン。ソフトクローズ機能付きの引き戸でつながっている)
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この物件については、一昨年に書いた「ルピアコート新小岩」の記事と一緒に読んでいただきたい。「ルピアコート新小岩」のときは「進化するピアキッチン」という見出しを付けたのだが、今回は細かいところに手が届く工夫を含めて商品企画全体がさらに進化している印象を強く受けた。
素敵なのはモデルルーム(76㎡)だ。玄関とキッチンを引き戸でつなげたプランを提案している。玄関とは別の勝手口付きマンションは一時期流行したが、最近はほとんど見なくなった。経済設計を優先すると、勝手口などは無駄になるからだ。しかし、大きな買い物袋などがすぐキッチンに運び入れることができ、生ごみなども廊下を通らず出せる勝手口がどんなにいいか、家事労働をしている人ならよくわかる。このマンションはそれに近い機能を持つ玄関を実現している。
また、5種の分別が可能な隠せるキャスター付きのダストボックスの提案がいい。これも家事労働をしなければその良さはわからない。盲点をついているのが、小さな子どものドラム式洗濯機や浴槽への落下、洗剤の誤飲を防ぐために洗面室の鍵は子どもの手が届かないところに設置した提案だ。鍵の位置など気が付かなかったが、他社はどうしているのだろうか。浴槽で溺死する子どもの事故は結構ある。
このほか、廊下(幅約950ミリ)の天井照明を片側に寄せるだけで壁にかけた絵などに陰影ができるようにした「マイギャラリー」、小上がり約26センチの3畳大の「和コーナー」、タッチレス水栓、コンセント付き出窓、スマートフォンなどが置ける「小物置場付きペーパーホルダー」など、細かなことだが生活者目線の商品企画が手に取るように伝わってくる。
これらの特徴を「ポラスのしあわせメソッド」として小冊子にまとめているのも読みやすくてなかなか説得力がある。
同社のマンション事業部門は年間に2~3棟くらいしか供給せず、同社のモデルルームなど見たこともない業界関係者も多いだろうが、商品企画だけなら間違いなく大手と互角に戦える。

リビングダイニング(手前がピアキッチン)
進化するピアキッチン ポラス中央住宅「ルピアコート新小岩」(2014/11/17)
野村不動産 着実に伸びるPMO 2019年までに倍増32棟に

「PMO平河町」
野村不動産は2月17日(水)~19日(金)、オフィスビル事業「プレミアム・ミッドサイズ・オフィス(Premium Midsize Office)」シリーズの18棟目「PMO平河町」が竣工したのに伴うオープニングイベント「PMO FORUM 2016」を一般企業向けに開催する。各分野のビジネス情報に精通した専門家によるセミナーのほか、PMOの建物を体験したり、多機能性のオフィス家具を展示したりして、課題解決のヒントにつながるよう工夫を凝らす。
PMO事業は、都心3区に立地を絞り、中規模オフィスながら大規模オフィスに劣らない設備機能や高水準のセキュリティ、デザイン、サービスを提供することをコンセプトに2008年に立ち上げたもの。
ベンチャー企業、外資系企業向け、老舗企業に評価されたほか、大企業のサテライトオフィス需要も取り込みながら着実に実績を積み上げ、これまで供給した17棟はすべて満床となっている。
事業が軌道に乗ってきたことから、2016年から2019年までに新規15棟を計画し、供給済みを含めてシリーズ累計で32棟、総貸床面積約28,000坪に拡大する。供給エリアも都心3区から都心5区へ広げる。
一般企業向けイベントに先立つ15日、報道陣向けのオープニングイベントに出席した同社都市開発事業本部執行役員・中村治彦氏は、「われわれの事業は多岐にわたっているが、お客さまのニーズを捉え、ものづくりにこだわる当社のDNAは変わらず根底にある。PMOもお客さまのニーズを捉えることを出発点にしており、昨年までに100社超の企業と契約でき、竣工した17棟は満床となっている。これからもユニークで元気な中小企業向けのサポート、ソフトサービスに磨きをかけていく」と話した。

オープンパントリーの提案
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同社の都市開発事業本部 ビルディング営業部 部長代理 営業四課長・福岡雄一郎氏が約20分間、PMO事業についてパワーポイントを使用しながら説明した。20分間はやや長いような気もしたが、福岡氏は過不足なく要領よく話した。「あー」「えー」などの機能語や言い間違いもほとんどせず、「事業を立ち上げた2008年はちょうどリーマン・ショックの時で、その後の数年間は思い出したくないほど苦労したが、現在は拡大期、巡航速度に入っている。約10年でここまで到達することができた。ハイエンド型の需要は今後も増大する」などと語った。
2019年までの総貸床面積約28,000坪がどのような規模であるかを説明するため、「丸ビル」が約22,000坪であることを引き合いに出した。一言でPMOの事業の大きさを言い表した。
竣工した「PMO平河町」は最高の立地。平河町駅から徒歩1分の9階建て延べ面積約566坪。ビルのほぼ正面に自民党本部や議員会館が(国会議事堂は確認できなかった)、議長公邸は眼下に見える。最近は国会議員の口利きやら失語、失言、挙句の果ては不倫から議員辞職に追い込まれる不祥事にうんざりしているのだが、福岡氏のほぼ完ぺきな話に溜飲が下がる思いをした。大手デベロッパーのレベルの違いを見せつけた。
質疑応答では、ビルディング開発部長・廣瀬政男氏の〝答弁〟も冴えた。ここまで事業を伸ばせた要因などについて、同社の優位性を上げ、「他社がほとんどやっておらず、競合するのは賃貸マンションや小規模のホテルくらい。当社の事業は有効率も高く、プレミア付きの賃料が提案できているし、稼働率も高い。こうした優位性がキープできている」「マンションと同様、PMOファン、ストックが蓄積できている」などと語った。
同社が当日に発表したニュースリリースもA4判1ページに要領よく内容がまとめられていた。ニュースリリースもこれくらいがちょうどいい。

イベントに出席した左から中村氏、廣瀬氏、ビルディング営業部長・井上一馬氏、同事業部長・生田誠氏、福岡氏
住友不動産 東京・名古屋・大阪のモデルハウスで「Pepper」導入

ヒト型ロボット「Pepper」
住友不動産は2月12日、東京・名古屋・大阪の3大都市にある注文住宅のモデルハウスに今年からソフトバンクロボティクスが開発・提供するヒト型ロボット「Pepper」を導入、大阪は大阪弁、名古屋は名古屋弁でそれぞれ顧客対応を開始したと発表した。
「Pepper」は、お客さまを出迎え、会社紹介やキャンペーン情報などの案内、商談中の顧客の子どもと遊んだりして、おもてなしと楽しさを提供する。
例えば、大阪の千里第一モデルハウスでは、「大阪弁で住友不動産を紹介するで~。覚えたてやから、ツッコミは堪忍な~」、名古屋の名古屋港モデルハウスでは「名古屋弁で住友不動産を紹介するでね。覚えたてだで、変でも許してちょ~」などとなる。
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マンションでは先日見学した伊藤忠都市開発「クレヴィア豊洲」の販売事務所でロボットくんが記者に反応した。記者よりずっと頭がよさそうに見えた。見つめられると、性格や心まで見透かされているのではと不安を覚えた。
しかし、これは記者がへそ曲がりだからこそそう感じたのだろう。ロボット導入は面白い。ただ、首都圏のお客さんに大阪弁やら名古屋弁で対応したら却ってマイナス、まとまるものも壊れるのではと心配したので、同社広報に問い合わせた。東京では標準語で対応するとのことだった。
まずは安心したのだが、乱れきっている日本語に標準語はあるのかとも思う。ならば、記者は伊勢志摩サミットで全国区になった伊勢の「な言葉」がお勧めだ。語尾に「そやなぁ」「あのなぁ」と「あ」を付けるのが特徴だ。優しく聞こえるので、間違いなく商談に役立つ。全国どこでも通用すると思うがどうだろう。
もう一つついでに設問。慶大の入学試験に出た問題。「尊敬」と同じ標準発音アクセントは次のうちどれか。(1)国民 (2)真実 (3)後世 (4)生命 (5)帝王 (丸谷才一「完本 日本語のために」より) 「Pepper」くんが正解すれば、わたしは土下座する。
隅田川沿いの商・住一体開発 プラン秀逸 三井レジ「パークシティ中央湊」

「パークシティ中央湊」完成予想図
三井不動産レジデンシャルが分譲中の「パークシティ中央湊」を見学した。八丁堀駅から徒歩6分、東京駅からでも徒歩20分の36階建て住・商一体免震タワーマンションで、昨年12月から分譲が始まっており、分譲268戸に対してすでに160戸が契約・申し込み済みだ。
物件は、東京メトロ日比谷線八丁堀駅から徒歩6分、中央区湊2丁目に位置する地下1階地上36階建て全416戸(権利者住戸148戸含む)。専有面積は41.13~116.512㎡、第1期3次(戸数未定)の予定価格は4,500万台~2億3,900万円台(最多価格帯8,900万円台)。坪単価は440万円。入居予定は平成30年2月下旬。施工は大成建設。
現地は、隅田川がすぐそば、面積約1.8haの土地区画整理事業と再開発事業とが一体となって進められている区域内の一角。敷地の東側のC1街区には10階建てマンション(高さ31m)、西側のA街区には高さ71mの建築物(用途未定)が建設される予定で、南側のD1~D4街区も整備されるが、敷地は細分化されているので高層建築物が建つ可能性は低いとみられる。敷地南東側には隅田川につなぐ広場も整備される。
建物の3階までは店舗(スーパー)と共用施設などで住戸部分は4階以上。住戸プランはすべてがワイドスパンで、40㎡のコンパクトタイプでも間口は約5.1mあり、ほとんどが7~10mかそれ以上。
外観デザイン監修は光井純&アソシエーツ建築設計事務所、共用部分のデザインは鬼倉めぐみ氏とテキスタイル(布)デザイナーの須藤玲子氏。
12月から分譲が開始されており、これまでに問い合わせは約4,000件、契約・申し込み済みは約160件。隅田川とその先のリバーシティが望める東向きが特に人気で、南向きは聖路加ガーデン(徒歩約7分)が正面に見える。
東京建物「Brillia THE TOWER TOKYO YAESU AVENUE(ブリリアザ・タワー東京八重洲アベニュー)」とは販売時期が重ならなかったためか、それほど競合していないという。


ラウンジ
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昨年末に隈研吾氏がデザイン監修した同社の「パークコート赤坂檜町」を見学したばかりなので、どうしても比較してしまうのだが、今回の「中央湊」も素晴らしい。
モデルルームの73㎡タイプでは、オプションだが江戸切子をモチーフにしたリビング壁が素晴らしく、リビングに隣接した寛げる空間提案(DEN)がいい。キッチンバックカウンター・吊戸棚も標準装備。ドア把手は鏡面材(磨き材)にスチール、ガラスビーズ、砂などを打ち付けて梨地肌にするブラスト仕上げ。92㎡のプレミアムタイプではキッチンカウンター横に割石が採用されていた。
そして、間取りプランだ。タワーマンションではワイドスパンのマンションは少なくはないが、40㎡の住戸でも5m以上、ほとんどが7~10mという物件はそうないはずだ。少なくとも記者の記憶にはない。
見学したこの日(2月12日)は株価下落がとまらず、日経平均株価は1年4カ月ぶりに1万5,000円(安値は14,865円)を割り込んだ。昨年6月24日に付けた年初来高値の20,952円から実に約3割も下げた。販売担当者に株価下落の影響はないかと聞いたが、「現段階では影響が出ているとは感じられない」ということだった。
ちなみに1月下旬に抽選分譲された「パークコート赤坂檜町」最終期3戸(1億5,220万~5億8,000万円)には15件の申し込みが入り、完売となった。3戸の販売総額は約9億円だった。3戸それぞれに5件の申し込みがあったと仮定すると、9億円×5倍=45億円分の申し込みがあったことになる。これは、4,000万円クラスの郊外マンション113戸が即日完売するのと同じということもできる。いま、1戸4,000万円の113戸のマンションを販売するとなると、場所によっては完売まで1年、2年かかるのではないか。

リバーガーデン
〝フレー!フレー! ハセジョ〟 長谷工コーポ他「ブランシエラ浦和駒場」

〝フレー!フレー! ハセジョ〟(同社ホームページから)
長谷工コーポレーションと大成有楽不動産が2月下旬に共同で分譲する「ブランシエラ浦和駒場」を見学した。マンションの事業企画から開発推進、設計、施工、販売、インテリア内装、管理まですべての業務に長谷工グループの女性社員が携わっている〝ハセジョプロジェクト〟だ。女性目線を生かした子育て・ファミリー世帯向け提案が随所に盛り込まれているのが特徴だ。
物件は、JR京浜東北線浦和駅から徒歩18分、または同線北浦和駅から徒歩18分、さいたま市浦和区駒場一丁目に位置する7階建て全146戸。専有面積は68.11~83.51㎡、予定価格は2,900万円台~5,200万円台(最多価格帯3,800万円台)、坪単価は170万円前後の予定。竣工予定は2017年2月末。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。
現地は、駅からはやや距離があるが、浦和駒場スタジアム、駒場緑地、浦和総合運動場、市立浦和高校などが揃う文教エリアの一角。敷地は「浦和ルーテル学院」の跡地。建物はL字型で、住戸は南向きと西南西向き。プランは約75㎡のものが中心。

「ブランシエラ浦和駒場」完成予想図
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見学の主な目的は、モデルルームに女性目線の提案がどこまで盛り込まれているか、どこまで差別化が図られているかを見るためだった。
モデルルームは約83㎡。なるほど女性の企画だとすぐわかったのは、白を基調にしたシンプルなデザインであることだった。女性だから派手に飾り立てるだろうと考えるのは偏見。
さすがだと思ったのは、基本プランでは5畳大の洋室となっているものを、約4.9畳大の「ファミリーユーティリティ」と呼ばれる多目的スペースにして提案しているものだった。キッチンと一体して使えるようにしていた。これに近い提案は他社も行っているが、なかなかいい提案だ。
この提案とセットになっているもので、優れているのは1.2m×1mの下部収納付きのカウンターだ。これは親子が一緒に調理したり、忙しい時に軽いものを食べたりするのに便利なものだ。
女性社員による商品企画「U’s-style」では、「ドレッサーⅢ」がいい。化粧しやすくするよう鏡の奥行きを違え、取り出しやすい収納棚を設けているものだ。これもなるほどと思った。
販売を担当する長谷工アーベスト受託販売第三部門プロジェクトマネージャー・西谷美由貴氏は、「ドレッサーは進化形の第三弾。カラーリングも普段より多い流行りの色をそろえました。子ども部屋にマグネットを取り入れたのも提案の一つ。企画の責任者もモデルルームの責任者も女性部長です。販売も女性ばかり5人で対応しています。女性ばかり? もともと女性が中心のチーム。慣れていますから、そんなに男性を意識することはありません」と話した。顔には「女性だからと特別な目で見てほしくない」書いてあった。記者も同感。そんなに特別視しているわけではない。ただ、細かいところに気を配るのは女性のほうが優れているとは思う。
圧倒的な価格の安さは武器にはなるが、駅から遠いハンディをどう克服するか。〝フレー!フレー! ハセジョ〟。

手前が「ファミリーユーティリティ」。中央にあるのがカウンター
横浜傾斜マンション問題 再調査の結果待ち 旭化成が中間報告書
旭化成は2月9日、旭化成建材が施工した杭工事の施工データ流用問題に関する社内調査委員会の中間報告書をまとめ発表した。
多数のデータ流用を発生させた原因・背景については、「既に発表された国土交通省の基礎ぐい工事問題に関する対策委員会(有識者会議)・弊社外部調査委員会の分析と同様でありました。即ち、①データが紛失し易い環境であった②データ紛失時の対応ルールが未整備であった③データ軽視の意識が蔓延していた④旭化成建材の管理が不十分であった」とし、再発防止策については、①管理の範囲に抜けがあった②例外的に見える事象の発生時の反応③固定化した組織の問題などに対する改善措置を水平展開し、体質強化を図り信頼の回復に努めていくとしている。
横浜の傾斜マンション問題については、「社内調査委員会および外部調査委員会によるヒアリング調査の結果、該当する現場責任者およびオペレーターは、一様に杭は支持層に到達しており、施工は適切に行っていると述べており、杭工事の施工上の瑕疵を隠蔽する目的で施工データの流用を行ったことを示す証言または資料はこれまでの調査では発見されなかった」とし、「杭の施工不具合の有無を明らかにする再調査が2016 年2月8日現在実施中であり、結果が明らかになるには時間がかかる模様であり、上記の施工不具合に関する事実関係は、現時点では明確になっていない」としている。
旭化成不動産レジ わが国初の分譲マンション「宮益坂」建て替えへ

「宮益坂ビルディング」(左が現在、右が完成予想図)
旭化成不動産レジデンスは2月9日、わが国初の分譲マンションと言われる「宮益坂ビルディング」(渋谷区)の建て替えの着工に向けた準備がほぼ終了したと発表した。
宮益坂ビルディングは「渋谷ヒカリエ」に隣接する都心の一等地に位置し、区分所有法が制定(1962年・昭和37年)される以前の1953年(昭和28年)に東京都が分譲。わが国の分譲マンションの先駆けとも言える地上11階地下1階建ての建物。2基のエレベーター(当初はエレベーターガールが操作)、セントラル方式による暖房、ビル内の交換手による電話、ダストシュート、メールシュートなど当時の最先端設備を備えた超高級住宅として注目された。
当初は1階が店舗、2~4階が事務所、5階以上が住宅として分譲されたが、住宅部分の事務所化・賃貸化が進み、近年は区分所有者がほとんど居住していない状況となっていた。
建物の高経年化に伴い外壁や給排水管などの老朽化が深刻化する中、約25年前から「宮益坂ビルを考える会」などによる建て替えの検討が始まっていたが、合意形成活動の難しさ、借地権や共用部の名義残り問題など複雑な権利関係の整理などのため建替え決議成立までに長い年月を要した。
2011年に同社が事業協力者に選定され、2012年に建替え決議が成立。今春には権利変換手続き後に解体着手する予定。2019年に竣工予定で、住宅は152戸が予定されている。
今度は上智大キャンパスが借景 三菱地所レジ「ザ・パークハウス 千代田麹町」

「ザ・パークハウス 千代田麹町」完成予想図
三菱地所レジデンスは2月8日、JR四ツ谷駅から徒歩2分、上智大学キャンパスを借景にしたマンション「ザ・パークハウス 千代田麹町」の記者見学会を行った。12月にモデルルームをオープンして以来、これまで約400件の来場がある。分譲開始は2月中旬で、人気は必至だ。
物件は、JR中央線四ツ谷駅から徒歩2分、千代田区麹町6丁目に位置する17階建て全77戸(事業協力者住戸18戸含む)。専有面積は41.98~133.42㎡、価格は未定。竣工予定は2017年11月上旬。施工は東急建設。従前敷地は事務所・住宅の複合。
現地は、四ツ谷駅を降りてすぐの麹町大通りと番町文人通りが交差する角地。麹町通りを挟んだ南側は上智大のキャンパス。徒歩2分には雙葉学園、5分には番町小学校、9分には学習院初等科がある。藤田嗣治、島崎藤村の居住跡もすぐ近くにある。
建物は等価交換方式で建てられ、地下1階から地上5階までは事務所・店舗、住居は6階以上。メインの南西向きが71㎡以上のファミリー向きで、北東、北西向きは40~50㎡台のコンパクトタイプ。内廊下方式を採用している。
モデルルームは南西向きの100㎡のタイプ。一部オプション仕様もあるが、建具・面材に大理石・御影石の天然石、突板をふんだんに用いた高級仕上げ。

ラウンジ
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さて、問題の坪単価。同社は「未定」としており、四ツ谷駅圏のマンション分譲事例はほとんど皆無で難しいのだが、ズバリ「630万円。アッパーで650万円」と予想した。外れたら謝るほかないのだが、そんなに外れていないという自信はある。もちろん南西向きの高層階のプランは700万円、800万円になっても不思議ではない。
借景が素晴らしいマンションは、つい最近、約20haの日立製作所中央研究所の森に隣接した三菱地所レジデンスの「国分寺」を見たばかりだが、今回は約4.7haの上智大四谷キャンパスだ。「国分寺」と比べれば面積・緑量は少ないが、千代田区民は調査・研究目的なら図書館の利用も可能だ。名門校もそろっており、文京エリアともいえる立地条件だ。
プランもいい。南西向きの住戸は間口が約8~10mのワイドスパンだ。コンパクトタイプも間口が広く、採光も取れている。モデルルームの3m×1mのオープンシステムキッチンと突板キャビネットが最高に素晴らしい。システムキッチンに飾られていたカサブランカは造花だったが、リビングテーブルに置かれていた「GLENMORANGIE」のスコッチは173年ものだった。と、書いたのだが、いくら何でも173年ものヴィンテージウイスキーがあるはずがないと思い調べたら、173年前、つまり1843年に生まれたのが「GLENMORANGIE」社ということだった。
来場者の数からして一挙販売もあるかもしれないと思ったが、2期以上に期分けして分譲するそうだ。

エントランス
元町仲通りの中心地 販売好調 インテリックス「リシャール横濱元町」

「リシャール横濱元町」完成予想図
リノベーションマンション最大手のインテリックスの自社分譲マンション「リシャール横濱元町」を見学した。先に書いた「クレヴィア豊洲」同様、実際に見学しないといけないことをつくづく感じた。なかなかいいマンションだ。
物件は、みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩5分、又はJR京浜東北線・根岸線石川町駅から徒歩7分、横浜市中区元町3丁目に位置する地下1階地上8階建て全23戸。専有面積は24.51~53.89㎡、価格は2,497万~5,428万円、坪単価は330万円。竣工予定は平成28年4月末。基本設計はインテリックス空間設計。全体設計・監理は朝倉崇夫都市建築設計事務所、ファサードデザインはレーモンド設計事務所。施工は風越建設。
1月上旬から分譲を開始しており、これまで約100組の来場があり、12戸が契約・申し込み済み。
現地は横濱元町商店街の元町通りと元町仲通りの2方に面しており、建物ファサードデザインがレーモンド設計事務所というのが特徴。地下1階から3階までが店舗・事務所で、住戸は4階からというコンパクトマンション。
住戸プランは、引き戸を多用して居住スペースを有効に使っているほか、お洒落な洗面室を採用するなど、単身者・DINKSを意識したカラーデザインとなっている。

モデルルーム
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同社の自社分譲マンションは「奥沢」「田園調布」「碑文谷」に次ぐ4棟目だ。記者は第一弾の「奥沢」を見学しており、今回は商品企画などに進歩はあるのか、「横濱元町」「レーモンド設計事務所」の看板に偽りがないかどうか確認をするために見学した。
驚いたのは立地だ。見学する前に現地の地図を見たのだが、地図が小さく、建物は高速道路沿いに見えた。内心、最悪の立地かもしれないと思ったのだが、そうではなかった。高速道路から一歩入った「元町仲通り」の中心地だった。販売担当者に聞いたら、「元町アドレス」のマンション分譲は20年以上も遡らないとないという。
さらに驚いたのは、元町商店街は地区計画で建築物の外観デザイン、店舗の用途、営業時間などの制限を設け、良好な環境を保全していることだ。いかがわしい店舗などは一切建てられない。自らの街は自らでつくる地区計画の見本のようなエリアにこのマンションは建つ。
商品企画もいい。コンパクトマンションであるために居住スペースは限られているが、トイレを含めたソフトクローズ機能付きの引き戸の多用やお洒落なデザインの洗面室が採用されていた。
レーモンド設計といっても一般の方は知らない人も多いだろうが、あの帝国ホテルを設計したフランク・ロイド・ライトとともに来日したアントニン・レーモンドのDNAを継承する設計事務所だ。端正なガラスデザインファサードが印象的だ。
「単価が高い」という印象を受ける人もいるかもしれないが、それは「元町」を知らない人だ。販売担当者によると「価格が高いという方はほとんどいない。来場者の多くは元町エリアをよく知っている人」とのことだった。
販売好調に味を占めて自社マンション事業を強化するのではないかと思ったが、同社はそれを否定した。これは正解。やみくもに拡大してもいいことはない。立地を厳選して、年間1棟くらいの供給がいいペースではないか。

現地(合成写真)

