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「TRY 家Lab(トライエ・ラボ)」

 大和ハウス工業は4月26日、東京本社敷地内に戸建住宅体感施設「TRY 家Lab(トライエ・ラボ)」をオープンする。

 2002年4月にオープンした同社の技術や最新の設備を体験できる「D-TEC PLAZA(ディーテックプラザ)」を改装したもので、「注文住宅の『試着』をコンセプトに、バーチャル技術を用いて提案中の間取りを体感できるほか、地震体感、エコな暮らし、各種テクノロジーの比較体感などもできる。広さは約1,600㎡。予約制で、年間来場者は5,000名を見込む。

 また、東京本社内に昨年末に改装した、リアルな体験ができる「Living Salon Tokyo」では同社の5つの構法や外構、内外装材、水回り・収納アイテムなどが体感できる。

 4月22日に行われた記者案内会で同社常務執行役員住宅事業推進部長・中村泉氏は、「だれもが洋服を買うとき試着をするし、車を買うときは試乗もする。しかし、注文住宅はそれがない。当社は歩道橋や住宅ローンなど世の中になかったものをつくり常識化した。注文住宅でも試着や試乗と同じように体験できるものをやるべきと実現した」と話した。

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「トライエ シミュレーター」

 

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「トライエ シミュレーター」を体感する記者団

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 「TRY 家Lab(トライエ・ラボ)」も「Living Salon Tokyo」も予約制だから、一般のお客さんが突然尋ねていっても見せてはもらえないだろうが、戸建てのイロハが学べる施設だ。「リアル」と「バーチャル」を同時に体験・体感できる施設はそうないはずだ。

 「TRY 家Lab(トライエ・ラボ)」は、地震体感ができる「トライエ シミュレーター」がいい。阪神淡路や東日本大震災クラスの揺れはもちろん、見学者が希望するエリアの揺れも体感できる。怪我をしないよう握りバーをつかまされたままで、縦揺れは体感できないし、シャンデリアが降り注ぎ、テレビや冷蔵庫、仏壇、本棚が四方八方から飛んでくる恐怖も味わえないが、震度7クラスでは運を天に任せるほかない状況になることは学べる。仮想現実を知っておくのと知らないとでは天と地ほどの差がある。

 「Living Salon Tokyo」は、自由自在に居住空間をレイアウトできるのがいい。玄関の広さからリビング、キッチン、壁の厚さ、バルコニーの奥行き、斜線制限による勾配、天井の高さなど10の住空間が電動装置によって体験できる。隣り合わせの屋上テラスには外構のモデルも展示されており、「ダイワに任せてくだサイ」の意を込めた子ども向けのサイの張りぼてもある。

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天井高や広さが調整できる「Living Salon Tokyo」

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「Living Salon Tokyo」に隣接する屋上テラスのサイ

 

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「王子飛鳥山ザ・ファーストタワー&レジデンス」完成予想図

 近鉄不動産(事業比率45%)、京阪電鉄不動産(同45%)、長谷工コーポレーション(同10%)の3社は4月22日、JR京浜東北線王子駅から徒歩1分の「王子飛鳥山ザ・ファーストタワー&レジデンス」のプロジェクト説明会&モデルルーム見学会を行なった。

 物件は、京浜東北線王子(南口)駅から徒歩1分、または東京メトロ南北線王子駅から徒歩4分、北区堀船1丁目に位置する29階建てタワー棟230戸、7階建てレジデンス棟55戸の合計285戸の規模。専有面積は35.02~86.00㎡、価格は未定。竣工予定はタワー棟が平成28年1月上旬、レジデンス棟が平成26年11月中旬。販売代理は野村不動産アーバンネット、長谷工アーベスト。設計・施工は長谷工コーポレーション。

 現地は、王子駅前の一等地。線路を挟んだ対面には飛鳥山公園が広がる。建物は制震工法を採用。南向き中心とせず、南西・南東向き住戸を多くするよう配棟し、角の部分を雁行させることで角住戸比率を72%に高めているのが特徴で、天井高は約2,700ミリ。

 これまで2,200件の反響を集め、5月3日からモデルルームを一般公開する。1期分譲は120戸の予定。

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飛鳥山公園の桜

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 この数年、一部を除く首都圏の電鉄(系)会社はマンションや戸建て事業に力を入れているが、関西の電鉄会社も首都圏市場に参戦、攻勢を強めている。この「王子飛鳥山」は、大手の独壇場になっている「駅前のタワーマンション」に大きな楔を打ち込む注目マンションだ。

 一等地であるのは間違いない。広告表示は「駅から徒歩1分」だが、20mだから15秒だ。しかも、駅の反対側の20mには飛鳥山公園。これほど恵まれたマンションはまずない。問題はいったいいくらになるか、これが最大の関心事だ。記者は坪単価が300万円を超えるかどうかをずっと考えた。

 記者の記憶では、ここ数年、北区内では野村不動産が2010年に分譲した「プラウドシティ赤羽」の坪265万円と、やはり野村不動産が2012年に分譲した「プラウド王子本町」の坪275万円が最高値だ。

 立地条件からしてこの2物件を上回るのは確実だし、設備仕様をあげ高値挑戦する手もある。しかし、坪300万円超、つまり70㎡台で6,000万円を大きく超えても売れる購買力が北区にあるとはどうしても思えない。近鉄も京阪も長谷工も商才に長けた大阪の会社だ。そんな冒険はしないと読んだ。「北区最高値」の名声より、確実に実利を取るとみた。そこで導き出した単価は290万円だ。

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飛鳥山公園

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 モデルルームを見て、記者の予想が的中すると確信した。記者発表会で誰も手を挙げなかったら質問しようと思っていたが、他の記者が聞いてくれた。坪単価はまだ決まっていないらしく、関係者は明言しなかった。

 ここで登場したのが、近鉄不動産常務取締役首都圏事業本部長・田中孝昭氏だ。田中常務は、のらりくらり記者団の質問をはぐらかすような首都圏のデベロッパー幹部ではなかった。スタッフにレジデンス棟とタワー棟の価格差を語らせた。 

 田中常務は現在のマンション市場にも言及。「首都圏は建築費の上昇で用地取得が難しくなってきた。大阪も名古屋も同様。利益を落とさざるを得なくなってきた。関西では頭を取っていくが(入札に負けない)、その他のエリアでは他の大手とバーターで共同事業を推進していく」と語った。

 リップサービスも忘れない。「このマンションは取得が半年遅れていたら、間違いなく坪300万円を超える。他のデベロッパーには頑張ってくれ(単価を引き上げてほしいという意味)と言われているが…まあ、竣工までに売れればいい。これから新価格マンションが続々出てくるし、秋には新々価格も供給されるはず」と、真っ向勝負のストレートを投げた。首都圏デベロッパーの記者発表会ではまずこんなやりとりは聞けない。

 発表会の終了後、記者は食い下がった。ストレートで球を投げ返した。「常務、平均では坪300万円を超えないということですよね」という質問に、田中常務は「このマンションは坪単価では語れない。飛鳥山が望める住戸とそうでない住戸を平均して価値を量るのは適当ではない」と答えた。名答だ。まさかここで変化球を投げられるとは夢にも思わなかった。相手は役者が2枚も3枚も上だった。

 この質疑応答・やりとりで、読者の皆さんは売り値がいくらになるか想像できるはずだ。最大の専有面積も86㎡に抑えていることでも、販売戦略が読み取れる。

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モデルルーム リビング

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 田中常務は状況の変化を読みながら積極果敢に攻める姿勢を見せたが、京阪電鉄不動産取締役首都圏事業部長・定井和重氏も負けてはいない。

 首都圏での展開について、「近鉄さんと比べたら首都圏は経験が浅いが、今回、近鉄さん長谷工さんと組ませていただいたような取り組みや、第一次取得層向けと都心のコンパクトでアグレッシブに展開していく。今回のようなJVも成長戦略の一つ。積極的にチャレンジしていく」と、意欲を見せた。

 恐るべし、関西の電鉄系デベロッパー。阪急不動産も「ジオ」を積極展開しているし、名古屋圏の名鉄不動産も三交不動産も厳しいときもコンスタントに供給してきた。「大阪都構想」は雲散霧消するか淀川の芥になりそうな気配だが、関西の電鉄系デベロッパーが手を組んだら脅威だ。首都圏でも「頭を取られる」かもしれない。

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モデルルーム ベッドルーム

赤羽の一等地 野村不動産「プラウドシティ赤羽」(2010/10/14)

 

 

 三井不動産は4月22日、先月20日に開業した「コレド室町2・コレド室町3」と既存の「コレド室町」の1カ月(3月20日~4月19日)の来館者が約260万人に達したと発表した。

 新たな客層として増えているのは30代~40代。老舗の新業態店でのショッピングやオープンテラスでのランチ・ディナーを楽しむ様子が見られたという。

 これまで日本橋に訪れていた50代~70代もなじみの街で新たな過ごし方を楽しみ、20代は「TOHOシネマズ日本橋」を通じて日本橋に訪れ、これまで縁遠かった老舗店にも足を運んでいる様子がみられたという。

 日本橋では4月26日(土)~5月6日(日)のゴールデンウィークに様々なイベントを実施する。

 

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「グローイングシティ成田はなのき台セントラルマークス」モデルハウス

 全国住宅産業協会「第4回優良事業表彰」で「優良事業賞戸建分譲住宅部門(大規模)」を受賞した細田工務店の戸建分譲団地「グローイングシティ成田はなのき台セントラルマークス」を見学した。都心を起点に考えると、ずいぶん遠い団地だが、新緑が美しく、ゆったりとした戸建てを見られたのは大きな収穫だった。

 最寄駅の京成成田駅に降り立ったのは30年ぶりくらいだ。「日吉台ニュータウン」「成田ニュータウン」の見学以来だ。JR成田線もそうだが、かつて昭和50年代、60年代の京成線沿線は建売住宅やマンションの供給ラッシュが続いた。ほとんどの駅の団地の取材を行った。都心に近いところからでは勝田台-志津-ユーカリが丘-京成臼井-京成佐倉-京成酒々井-宗吾参道-公津の杜などだ。最盛期には1団地で年間200戸、300戸が供給されたはずだ。

 ところが、バブル崩壊後は、上り詰めたところで梯子を外された格好となり、住宅の売れ行きもばったりと止まった。遠隔地のマンションなどは、土地代がただのような坪単価が100万円くらいでも完売までには時間を要した。見るに忍び難く見学の足も遠のいた。

 今回、見学する気になったのは、同社のレベルの高い商品をこの目で確認したかったからだ。

 現地で説明を受けた同社の販売担当者によると、団地開発の経緯は次の通り。

 区画整理の話が持ち上がったのは平成4年。バブルが崩壊したころだ。従前地はほとんどが田畑や山林。同社や共同事業主の相互住宅が約80人の地権者に話を持ち込んだ。門前払いをされながら粘り強く説得し、平成13年に組合設立。同年12月に工事着手。施行面積は約37.6ha。計画人口約3,800人。住宅戸数は約1,000戸。減歩率は約60%。

 住宅の分譲開始は平成18年。初年度は80戸くらい販売し、その後は年間40戸くらいで推移しているという。400区画近くあった細田工務店の持ち分も残りは1割近く。

 購入者は成田市の賃貸居住者を中心に佐倉、千葉市居住者など。3~4割が成田市周辺勤務で、都内勤務者は1割くらい。平成23年に組合は解散した。

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近くの公園

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 かつて土地区画整理事業は「都市計画の母」と呼ばれた。土地神話が健在で、何もしなくても保留地価格はどんどん上昇し、宅地も飛ぶように売れたからだ。ところが、バブルが崩壊して様相は一変。地価上昇を前提にした土地区画整理事業には「破たん」という文言はなく、事業費をねん出するために減歩率の見直しを迫られ、ほとんど手元には何も残らなかった悲惨なまるで姥捨て山のような事例も取材してきた。

 それらに比べると、この団地は組合設立から10年くらいで解散できたのだから成功の部類に入るのだろう。厳しい時代を乗り切った関係者には頭が下がる思いだ。競合が多い中、9割近くを完売できた同社も大健闘というべきか。

 販売担当者は分譲開始時から販売を担当しており、今年で8年目を迎えるという。団地のセールスポイントを次のように語った。

 「成田市は、空港があり財政も豊か。医療、教育、福祉は充実している。『はなのき台』は駅からやや距離があるが、土地は平均約58坪。自治会もしっかりしており、子育てイベントなどを積極的に行っている。徒歩圏にはスーパーなどすべてが揃っている。最寄駅のJRも京成も座って通勤できるのも魅力のひとつ」 

 8年間も同団地の販売を担当しているからだろうが、入居者のことは熟知している。たくさんの入居者と巡り合えるのは大規模での戸建て販売ならではだろう。「生まれたばかりの赤ちゃんが、もう小学生」と担当者は楽しそうに笑った。別の団地だが、ある営業マンから「ここに骨を埋めたいぐらい」と語ったのを思い出した。好きになるから売れるのだろうし、好きになれなければ、売れるものも売れなくなるのだろう。

 今回見学した受賞区画は、既分譲と比べ団地全体がゆったりと造られており、緑を多く配した広々としたオープン外構、石張りのエントランスアプローチ、インターロッキング舗装などが特徴。1棟1棟のプランもヒーリングテラスやファミリーコーナー、ウェルカムテラスなど家族や近隣とのつながりを大切にする工夫が凝らされている。残りは7戸となっている。

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細田工 全35区画のうち23区画が角地「成田はなのき台」 全住協・優良事業賞(2014/4/16)

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「xevo GranWood 平屋暮らし」 「寛ぐ平屋」完成予想図

 大和ハウス工業は同社初の平屋木造戸建て住宅「xevo GranWood 平屋暮らし」を発売した。

 「xevo GranWood」は、構造軸組材を100%国産材で賄うことができる純国産材仕様を採用した商品で、住まいを丸ごと遮熱・断熱する「オールバリア断熱」、10kW以上の太陽光発電システムを搭載可能。「木材利用ポイント」にも適合する。

 「xevo GranWood 平屋暮らし」は、屋根形状を4寸勾配にしたことで、天井高が最大約3.1mとなり、開放的な空間を提案する「寛ぐ平屋」など6タイプの外観シルエットから選択できる。

 高齢者人口が増加し、平屋建のニーズが高まっていくと予想されていることから、50歳代の建て替え層をメインターゲットに据えた商品。

 販売価格はモデルプラン(108.75㎡)で2,618万円(消費税込み。「D-HEMS 3」、太陽光発電システム3.15kW搭載)。販売目標は年間100棟。構造は木造軸組。

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「勝どきザ・タワー」完成予想図

 鹿島建設(幹事会社)、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住友商事、野村不動産の5社JVマンション「勝どきザ・タワー」を見学した。わが国のマンションの歴史に残るマンションであるのは間違いない。シアターのパクリだが、「驚きの次元が異なる」素晴らしいマンションだ。

 物件は、都営大江戸線勝どき駅から徒歩6分、中央区勝どき5丁目の敷地面積約10,000㎡に位置する53階建て全1,420戸(事業協力者住戸102戸含む)。専有面積は40.42~120.55㎡、価格は未定。実施設計・施工は鹿島建設。竣工予定は平成28年12月下旬。販売代理は三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住商建物。販売予定は5月下旬。

 現地は、施行面積約1.9haの「勝どき五丁目地区第一種市街地再開発事業」の一角。再開発の計画が持ち上がったのが平成18年というから、わずか6年で供給にこぎつけた。中央区の指導のもと都や民間の地権者などの決断がこのようなスピード感のある事業となった。この速さは全国的にも珍しいという。

 敷地の南東側には清澄通りを挟んで「ザ・トウキョウ・タワーズ」が建っている。北西方向には隅田川を挟んで浜離宮がある。2016年開通予定の環状2号線・隅田川橋りょうができれば、浜離宮や汐留駅は徒歩圏になる。

 戸数規模は、タワーマンションとしてはわが国最大級で、3方に翼を広げたようなトライスター型としては「芝浦アイランドケープタワー」(同社施工)、「スカイズ」(清水建設施工)ついで首都圏で3棟目。3棟の連結部に制震装置を配置した世界初の「VDコアフレーム構法」を採用したほか、眺望・開放感を妨げない「ダブルチューブ架構」、床の段差を減らす「段差付ハーフPCaスラブ」、快適空間を実現する「逆梁・順梁」の併用など、同社の最新の建築技術を盛り込んでいるのが特徴。

 外観は白を基調としたアウトフレームで構成。角住戸は大きいガラスカーテンウォールを採用し、濃いグレーのデザインで分節することで陰影の深いシャープで凛としたデザインにしている。

 モデルルームは4タイプ。60㎡は単身・DINKSの入居を想定した白が基調のデザイン。最上階の120㎡のプレミアム住戸は天井高が約4mで、天然石、天然木をふんだんに使用した億ション。カップボード、吊戸棚は標準装備。浴室、トイレには緊急呼び出しボタン付き。ゲストルームは6室で、約60㎡のモデルルームはホテルのスィートクラス。

 マンションギャラリーのシアターは3つ。そのうちのひとつは、模型のような固定装置ではなく、ホログラムシアターによって立体的な画像で視覚的に分かりやすく表現している。巨大ジオラマは5.4×5.8m。主だった建物はほとんど実際の建物と同じように彩色。六本木から豊洲までの都心部を再現している。

 これまで資料請求は約1万件、来場者は約2,000件。同社事業部担当部長・芳賀泰彦氏は、「たくさんの反響をいただいている。価格を決めるのはもうすぐだが、難しい。競合物件もあり、選手村にもたくさんのマンションが建つし、再開発計画も目白押し」と、価格は公表しなかった。

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巨大ジオラマ

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 記者は鹿島のファンだ。これまで同社の自社分譲マンションはほとんど見てきたし、同社施工の主だったマンションも見学してきた。どう客観的に評価しても、マンションを造らせたら同社がナンバー1だと思う。

 その鹿島が先の施工ミスがマスコミに報じられたときはショックを受けた。他の大手2社も相次いで施工ミスをやらかした。情けないとしか言いようがない。ゼネコンはBtoBの業態だが、マンションはBtoCでもある。ユーザーはデベロッパーと同じくらい施工会社を選んでいるということを銘記すべきだ。バブルがはじけたとき同業のほとんどから不動産事業から撤退したのに対し、鹿島だけは継続して行なってきた。それが現在の評価につながっている。

 今回のマンションについては芳賀氏や事業部担当部長・重松諭氏から1時間30分にわたって説明を聞いた。改めて同社の技術の高さと、モノづくりのこだわりを肌で感じた。

 一つひとつは書ききれないが、もっとも驚いたのは巨大ジオラマだ。森ビルの「六本木ヒルズ」のような精緻なものではないが、おそらく製作には1千万円単位の費用がかかっているはずだ。ジオラマごときで〝わが国初〟などと書くべきではないが、これはすごい。

 共用部には凹凸のある採石したままのような石が採用されているが、芳賀氏によると、中国まで担当者が出かけ、実験場を設け、ああでもないこうでもないと選んだものを採用するという。

 モデルルームのデザインもいい。とにかく壁、サッシ、建具の線が美しいのだ。これはいかんとも説明のしようがない。担当者の感性というほかない。

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ホログラムシアター

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 さて、問題の価格。芳賀氏も重松氏も堅い口を閉ざしたままだった。ここは記者の評価・予想ということで読んでいただきたい。

 記者は三菱地所レジデンスと同社のJV「ザ・パークハウス晴海タワーズ」の分譲開始時に、「現段階で最高レベルのマンションとして坪単価320万円の価値があると」書いた。いまでもその評価は変わらない。

 今回は「晴海」をしのぐ。基本性能、設備仕様はともかく、立地条件が「晴海」をはるかにしのぐからだ。このマンションの計画が浮上したとき、記者は南ばかりをみていた。つまり、「ザ・トウキョウ・タワーズ」が南東側に聳え立っているので、住戸によってはその日影が影響し、眺望も損なわれるので、そんなに高く売れないとずっと考えてきた。

 見落としていたのは北側だった。環状2号線が開通すれば、浜離宮が徒歩圏になることなど全然考えていなかった。汐留駅も徒歩圏になる。「汐留」に近いマンションであることが訴求できれば飛躍的に注目度は高まる。トライスター型にしたのはなるほどと思った。これだけ条件が揃えばいくらになるか…価格は市場が決定するのでここでは書かない。

 もう一つ。細かなことだが、建物中央部には「ライトチューブ」と呼ぶ吹抜け空間を設け、太陽光追尾装置によって自然の光を下層階に取り入れる。この太陽光追尾装置はビルなどではかなり採用されているはずだが、マンションでは記者は首都圏では1~2例しかしらない。

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120㎡モデルルーム

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ゲストルーム

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ホームデコレーション コーディネート例

 コスモスイニシアは4月17日、同社のタウンハウスシリーズ「ザ・ロアハウス」の4棟目となる「ザ・ロアハウス杉並高井戸」(13戸)の竣工見学会を関係者向けに行った。第一種低層住居専用地域の旗竿状敷地の難点を逆手に取り、メゾネット、トリブレットなど戸建て感覚の要素を取り込み、エレベータ、共用施設、駐車場などを設置しないことで価格圧縮を図っているのが特徴で、圧倒的な価格の安さで残り2戸と好調な売れ行きを見せている。

 物件は、京王井の頭線高井戸駅から徒歩9分、杉並区高井戸西三丁目に位置する敷地面積約643㎡、延べ床面積約968㎡の地下1階地上2階建て全13戸。専有面積は69.00〜90.20㎡、価格は4,298万〜5,878万円。坪単価は223万円。竣工は平成26年3月。事業主は同社のほか明豊エンタープライズ。

 現地は戸建てや低層集合住宅が立ち並ぶ一角。前面道路の幅員は約5.4m、敷地延長部分は間口約3m、長さ約20mの典型的な旗竿状敷地。従前は駐車場で、車の出入りにも困っていたという敷地だ。

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ファミリーメゾネット リビング

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  プランが多彩だ。地下と1階のメゾネットのほか、その上階は70㎡台の3LDKとし、北側の斜線制限がある部分は地階と1階と2階のトリプレット(90㎡)にするなどの工夫を行っている。

 地階と1階のメゾネットタイプの階段は木製。コンクリと木を混交させる施工が難しいが、木の温かみを演出するためにこだわったという。2階のフラットタイプの床は突板仕様。

 このほか、屋上やバルコニーの緑化・演出を手掛ける東邦レオによる屋上テラスのスタイリングサービス「スカイテラスコーディネート」も提供している。

 今回、新たなサービス「ホームデコレーション」を導入したのも特徴だ。好みのレイアウト、クロス、小物などについて専門のインテリアデザイナーがコーディネートを提案。一定の額までは販売価格にリフォーム費用として含まれている。

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床は突板、階段は木製

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 同社の「ザ・ロアハウス」は、こうした人気の高い住宅地の第一種低層住居専用地域で、敷地形状に難点があるのが共通点。一般的にはデベロッパーがマンションや戸建ての商品化をためらう土地だ。

 同社は、逆にそこに着目した。同業他社との競合もないことから用地費を低く抑えられるうえ、エレベータ、共用施設、駐車場などを設けないことでレンタブル比を高めることで、相場よりかなり低い価格で分譲できるメリットがある。販売経費を削減するため販売事務所も設置していない。今回の物件も、仮に一定規模以上の低層マンションが建つとすれば、間違いなく坪単価は300万円台の半ばはするエリアだ。3割くらい安いのではないかと思われる。

 同社担当者によると、同じようなタウンハウスをスチールハウスで展開するリムテラスや、低層メゾネットを展開するオープンハウスともほとんど競合しないという。

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敷地延長部分は自然石を敷き詰め邸宅のアプローチ仕立て

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屋上テラス

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外観

 今年10月に創立40周年を迎える三井ホームは4月17日、創立40周年新企画として、超・高断熱の「2×6ウォール」標準化し、高効率健康空調システム「Newスマートプリーズ」の発売を開始したと発表した。

 「2×6ウォール」は、同社の2×4工法を独自技術で進化させた「プレミアム・モノコック構法」に、高性能屋根断熱パネルや継ぎ目のない耐久性の高い外壁、超剛性ベタ基礎を融合させた工法で、基本構造(外周壁)を従来の1.6倍に厚くすることで断熱性を大幅に向上させ、圧縮強度も従来の2.5倍に高め、さらに壁の高さも従来の2×4では約3.8mが限界だったの約6mまで対応が可能とした。これにより断熱性能は業界トップレベルとなったとしている。

  「Newスマートプリーズ」は、業界ナンバー1の省エネ性と、花粉やPM2.5も除去できる機能を持つ。「2×6ウォール」と組み合わせることで、空調効率も16%高められるとしている。

 同社は創立40周年の節目を期し、「住む人の誇りをカタチにする、それが私たちの誇り」を端的に費用減するキャッチコピー「オーダーメイドプライド。」を採用。注文住宅メーカーとしての再ブランド化ら力を注いでいく。

 「オーダーメイドプライド。」を浸透させるための新TVCFのイメージキャラクターに女優の菅野美穂さんを起用することも同時に発表。お披露目も行った。新CMは4月18日から放映される。

三井ホーム 吉永小百合さんに代わる新イメージキャラに菅野美穂さん(2014/4/17)

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創立40周年記念の新商品発表会とあわせ報道陣は過去最多の100人

 三井ホームは4月17日、今年創立40周年を迎えるにあたって新たな広告キャッチコピー「オーダーメイドプライド。」を掲げるとともに、TVCFに女優の菅野美穂さんを起用すると発表した。新CMのお披露目と菅野さんと市川俊英社長のトークセッションが東京ミッドタウンで行なわれた。同社の記者発表会としては過去最多の100人を上回る報道陣が詰め掛けた。

 菅野さんは、プレスリリースによると「知名・人気・実力ともにトップクラスであり、今最も輝いている女優のひとりとして、性別・年代を問わない幅広い共感と支持を得ている女優」として起用、テレビCFは「菅野さんが語る『理想の家は、住む人の心の中にあると思う。』という家を建てる人の想いを通じて伝えるもの」となっている。

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 新しいCMが、同社の顔としてすっかり定着している吉永小百合さんではなく、テレビドラマは見ないからなのだが、記者はほとんど知らない菅野美穂さんに代わったことに少なからずショックを受けた。記者は、「清純派女優」のイメージをこの歳になってまで抱き続ける単純なサユリストではない。むしろ逆だ。女優としての吉永さんより「清く、正しく、美しく」を貫く生身の人間・吉永小百合さんが好きだ。三井ホームはもちろんだが、三井不動産グループ全体のイメージアップに計り知れない貢献をしているはすだ。品と格が備わっているのが吉永さんだ。

 その吉永さんのカレンダーを同社から貰うのを楽しみにしていたが、昨年はもらえなかった。おかしいと思っていたが、同社によると、吉永さんとのCM契約は昨年3月で終了したという。

 理由は分からないでもない。吉永さんも70歳近く。いまの住宅需要層の年代からすれば訴求力は弱まっているのは理解できる。永遠の美女のイメージを壊すようなしわくちゃのおばあちゃん姿の吉永さんのCMなどみたくない。世代交代はやむをえないと思う。

 その後継者として「性別に関係なく知名度、好感度ともトップクラス」(同社・長谷裕専務)の菅野さんが起用されたのもわからないでもない。新CFの撮影エピソードとして紹介されている「今回の撮影は…まだまだ寒さが残る3月半ばでしたが、撮影現場にひとたび菅野さんが現れると、まさに一瞬にして温かな空気に変わり、その場にいる全員をやさしく包んでくれるような心地よい存在でした。そのやわらかな眼差しも、本番になると監督をも唸らせる凛とした演技でした」)というニュースリリースのコピーが使い回しでないならば、菅野さんもまたすごい女優なのだろう。

 しかし、三井ホームは「暮らし継がれる家」が商品コンセプトではないか。ならば、どうして吉永さんと同社のイメージを断ち切るようなことをするのか。「暮らし継がれる家」と同じように、CMも吉永さんから菅野さんへゆるやかに引き継がれるものにできなかったのだろうか。私だったら吉永さんを母親役、菅野さんを娘役、さらに子役を入れた2世帯3世代住宅の提案を行なう。大ヒット間違いないと思うがどうだろう。

 市川社長にこの疑問をぶつけた。市川社長は「お2人一緒というのは理想でしょうが…」と明言を避けた。どんな形でもいい。吉永さんの復帰を願うばかりだ。さらに言わせてもらえば、同社が「世界にひとつだけの家づくり」を目指すなら、イメージキャラクターはオードリー・ヘップバーンしかいない。時代を経るごとに評価が高まっていく、若さが衰えない彼女こそが三井の家にふさわしいのではないか。

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フォトセッション

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 菅野さん効果か。同社が新TVCF発表会の前に行なった創業40周年記念の新商品「2×6ウォール」「Newスマートブリーズ」の発表会には、同社の過去最多となる68人の報道陣が会場となった東京ミッドタウンに詰め掛けた。菅野さんと市川社長との新CMお披露目会には100人を超える取材申し込みがあったという。これも新記録だ。

 そこで同業にこの動員力を聞いた。さすが積水ハウス。同社は平成19年の新商品発表会に138人の記者が集まったという。住友林業も平成23年に行なった新商品「mamato(ママト) 」発表会に130人を集めた。

 デベロッパーでは、森ビル「六本木ヒルズ」、三井不動産「東京ミッドタウン」などは数百人の記者が集まった。三井不動産リアルティの「リハウスガール」発表会でも100人くらい集まる。

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新CM発表会(東京ミッドタウン)

三井ホーム創立40周年「オーダーメイドプライド。」前面に打ち出す(2014/4/18)

「ピンク」一色 住林の新商品「mamato (ママト) 」発表会(2011/6/2)

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「(仮称)大手町1-1計画B棟」(左の建物。右はA棟)

 三菱地所は4月14日、千代田区大手町一丁目の「(仮称)大手町1-1計画B棟」の工事に着手し、大手町初の「住」機能としてサービスアパートメントを併設すると発表した。

 計画は、隣接地で同社とJXホールディングスが建設中の「(仮称)大手町1-1計画A棟」(2015年竣工予定)とともに約16,200㎡の敷地を街区一体開発するもの。サービスアパートメントは約130室で、多言語対応・24時間対応。運営はシンガポールに本社を置く、世界最大のサービスアパートメント所有・運営企業であるThe Ascott Limitedが担い、その最高級ブランド「Ascott The Residence」が日本初出店する。

 オフィスは、敷地西側近傍に皇居東御苑、皇居外苑濠(大手濠)を臨み、地下鉄5路線が乗り入れる「大手町駅」に直結。1フロアあたり約1,000坪の整形大空間を確保。フレキシビリティの高い効率的で快適な執務環境を整備する。

 建物は地下5階、地上29階建て、延べ床面積約149,000㎡、容積率1400%。設計監理は三菱地所設計。施工は竹中工務店。竣工予定は2017年1月下旬。

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オフィス空間(完成予想図)

 

 

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