RBA野球常勝軍団・旭化成ホームズ 育ての親の平居社長「野球」を語る
平居社長
「体育会系社員は練習する価値を知っている」
住宅・不動産・建設業を横断的に組織するRBA野球大会が今年で25周年を迎える。約50チームでスタートしたのは平成元年。バブルの絶頂期にあったが、平成2年にはバブル崩壊。さらに追い打ちをかけるようにリーマン・ショックも業界を襲った。
この間、参加チームは業界の浮沈を映すように約170チーム・社が参加しては消えた。第1回大会から連続して参加しているのは6チームのみだ。25年間を通じて断トツの強さを発揮しているのが旭化成ホームズだ。同社チームは第2回大会から水曜ブロックに参戦している。
参加した当初は強豪チームに歯が立たず、コールド負けを繰り返していた。そのチームが激変したのが平成8年。この年、4勝を挙げると翌年に無敗で初の総合優勝を遂げると、その後はほとんど毎年のように優勝争いを演じてきた。日曜ブロックの覇者と争う総合優勝戦で24回大会まで11度の優勝を飾っており、水曜ブロック優勝が12回、準優勝が2回。通算119勝19敗、勝率.862の高率をマークしている。
ターニングポイントになった平成8年こそ平居正仁社長が当時人事担当として野球選手をコンスタントに採用してきた時代と符合する。平居氏はその後、平成12年に人事部長、同16年に旭化成リフォームの社長を務めた後、同21年に社長に就任した。人事担当だったころはいつもグランドに駆けつけ応援していた。いまは業務が忙しく決勝戦にも顔を見せなくなったが、チーム育ての親であることに変わりはない。平居社長になぜ野球なのかを聞いた。
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平居社長が野球部を強くしようと思ったきっかけは平成6年に人事部担当になったときだ。それまで平成2年~6年、平居氏は滋賀の旭化成住工勤務だった。
「当時、社名は東芝住宅工業(旭化成住工に社名変更したのは平成3年)で、若い社員は野球をやっていました。その野球部が強く、グループ内の大会でも好成績を上げていました。みんな天狗になっていたんです。
私自身、野球は素人。そこで、私は旭化成ホームズの人事部に異動になるとき『本社の野球部を強くして、こいつらの天狗の鼻をへし折ってやる』と考え、平成7年採用のとき、慶大野球部監督の後藤(寿彦氏)さんを訪ね『住宅に興味のある部員はいませんか』とお願いしたら、たまたま鈴木鉄也(前監督)ら3人が来てくれることになった。その年の秋、慶大の4年生とうちのチームと親善試合をやったのですが、慶大チームには西武から指名を受けて、その日が入団調印式だった高木大成さんも参加され、ものすごく盛り上がりました。
この年は、青学の渡辺康平たちも入ってくれた。翌年、後藤さんの伝手で早大野球部監督の佐藤さん(清氏)にお願いしたら、山本(寿彦氏、現監督)が入ってきた。それから負けないチームになりましたね。先輩、後輩の伝手でコンスタントに入社してくれるようになりました。
当時、土屋社長(友二氏)から『お前はスポーツ選手ばかり採っているんじゃないか』と言われ、早速野球選手の営業成績を調べたら、みんな平均以上だった。しかし、支店や営業所もなかなか売り上げが上がらず苦戦していた時代で、業績が悪いと気持ちよく野球に出してくれないこともあった。やはり業績が上がらないと気持ちよく野球はできない。
その頃、鈴木鉄也(前出)が受注絶好調だったので、休日に野球部員を集めて営業の勉強会を何度か行い、その結果、他の営業マンと比較しても皆それぞれ営業成績を上げてくれた。そこで、『人事部長としての仕事をちゃんとやっているでしょ』と、決して野球選手ばかり取っている訳でなく、業績にも貢献できる人材を採用していますと、土屋に伝えました」(土屋社長はチームが優勝したときホテルで祝勝会を開いたほどの野球好き。平居氏には『野球選手は本業でも優秀であることを証明せよ』とエールを送ったのだろう=記者注)
野球選手などの体育会系の社員はどこがいいのか。この質問に対して平居社長は「一般的にはパワーがあるとか礼儀正しいとかが強みだと言われます。確かにそれもそうですが、私が体育会系を買っているのは、練習することの価値を知っていることに対してです。たゆまず練習する。スポーツ系の社員はこれを苦にしないで実践する。これが最大のポイントです。仕事も同じ。普通は何度か失敗するとあきらめて方向転換しますが、それでは仕事も上達しない。失敗したらなぜ失敗したのか、考えればいいこと。反復練習することでミスが見えてくるし、ミスをなくすことができるんです。当社の野球部の選手は本業でも全国レベルの人材がたくさんいます」
(旭化成ホームズの選手は確かにミスをしない。1試合に1つあるかどうかだ。ライバルのリスト主砲・杉山選手(横浜高校出身で、松坂にエースの座を奪われた投手)は『うちと旭化成さんの違いはミスの差』と話したことがある)
同業へのメッセージ。「いまは積水(ハウス)さん、住林(住友林業)さんも参加されています。住林の市川さん(晃氏)は〝打倒・旭化成〟を目指していただいておりますし、社長同士が集まる会合では野球の話で盛り上がっています」
「14回大会と15回大会は2度にわたって優勝できなかった年があります。〝打倒リバブル〟が達成できて気が抜けてしまったのではと思ったので、みんなを集めて『本当に野球が好きだったら、野球に恩返しをしろ』と話しました。かつてのリバブルさんのように〝打倒・旭化成〟と目標にされるような強いチームにすることが野球に対する恩返しだ』と話しました。それからまたエンジンがかかり、負けないチームになったんです。鈴木はかなりプレッシャーと戦っていたはずですよ」
(鈴木監督が負けないチームをつくったのは適材適所の起用と、チームが勝つための采配にこだわったためだ。ナインも外野への安打を放っても『あの場面はゴロを打てとの指示だった』と決して喜ばなかった。鈴木監督は試合後の反省会で必ず左利きでノートに小さな字でメモを取っていた)
「(旭化成)リフォームにも強くなってほしいのですが…補強? 補強はしませんよ。補強して強くしても面白くない。弱いチームを強くしていくプロセスが楽しいのです」と話した。
普段は各支店・営業所めぐりで忙しく、本社にいるのは月に数えるほどとか。「ここ(本社)にいても仕事にならない(笑)。各地を回って担当者から人の成長を確認するのが私の役割」とくったくがない。2泊3日の勉強会を年10回もこなすという。現場主義を貫く社長だ。
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旭化成ホームズの業績が伸びている。平成26年度第2四半期決算は、売上高前年同期比11.9%増収の2,384億円、営業利益が40.9%増益の265億円となり、第2四半期累計としては過去最高となった。通期見通しについても「消費増税の駆け込みの反動による落ち込みは限定的」(平居正仁社長)と判断し、売上高5,320億円、営業利益600億円とし、過去最高の売上高・営業利益を目指す。
同社の業績が好調なのはこれまで書いたように、人事担当時代から人を育ててきた平居社長の手腕によるところが大きいと思えてならない。これは記者の身びいきか、我田引水か。
平居社長は11月22日に開かれる25周年記念の「RBA懇親会」にも出席する。
左手にタコ 一筆書きのようにマンション検査を徹底 新三平建設・高谷氏
高谷氏(2011年6月撮影)
今年の春先から夏までに約3カ月で完売した「プレミアムレジデンス府中西府駅前」45戸の施工を担当している新三平建設の建設事業部支援課課長・高谷郁浩氏に話を聞く機会があった。マンションの竣工検査の厳しさを思い知らされた。
マンションはJR南武線西府駅から徒歩1分の6階建て全45戸。専有面積は57.77~92.17㎡、価格は3,300万円台~5,800万円台(最多価格帯3,900万円)。竣工予定は平成25年12月上旬。施工は新三平建設(事業比率90%)、三信住建(同10%)。売主は三信住建。
西府駅は2009年に開業した駅で、当時、扶桑レクセル(現大京)が「レクセルマンション府中西府」78戸を分譲して人気になったのを記憶している。坪単価は220万円ぐらいではなかったか。その後、マンションは供給されていないはずだ。
今回も人気になったのは駅1分の利便性と、道路を隔てた隣接地にスーパーが開業する予定になっていることだろうと思う。
高谷氏は、引き渡しを目前に控えかなりナーバスになっていた。「竣工検査には社内検査-施主検査-入居者検査の3回ありまして、今回が最初の社内検査。機能性で問題が発生するのはあり得ないことですが、住戸内検査のとき私は左手に軍手をはめて角という角を隈なく撫でまわします。一筆書きと一緒ですよ。途切れることは絶対にない。徹底してキズや汚れをチェックします。1回あたり30カ所ぐらいは修理すべきところを発見します。職人さんたちとは侃侃諤々、掴み合いになるぐらいの議論になることも度々です。それをやるから施主や一般のお客さまからゼネコンは信頼されるのです」と話した。
左手を見せてもらったが、普通にはあり得ないタコができていた。なぜ左手かは聞かなかったが、右手は何か作業したり書いたりするので使わないのだろうと思った。工事ミスかそうでないかで議論が白熱化するのは、それぞれプロの立場から自論を主張するはずだろうから当然だろうと考えた。
こうした裏方の苦労を思うと、マンションの施工時期の平準化は急がなければならないし、ゼネコンの多重下請構造の改善も喫緊の課題だ。
千駄ヶ谷のリファイニング建築に見学者300人
現地で挨拶する青木氏
青木茂建築工房 賃貸を分譲の「千駄ヶ谷 緑苑ハウス」に再生
青木茂建築工房(主宰:青木茂首都大学東京特任教授)が11月12日、青木氏がリファイニング建築の設計・監修を担当する再生マンション「千駄ヶ谷 緑苑ハウス」の解体現場見学会を行った。JR千駄ヶ谷駅から徒歩3分の賃貸マンションを同社として初めて分譲マンションに再生するプロジェクトで、行政、不動産、設計事務所、研究者ら約300人が押し寄せた。
物件は、JR中央・総武線千駄ヶ谷駅から徒歩3分、渋谷区千駄ヶ谷5丁目に位置する7階建て全17戸 (非分譲住戸1戸、非分譲事務所3戸、一般分譲13戸) の規模。専有面積は38.93~50.25㎡、現在分譲中の住戸(6戸)の価格は3,390万~5,180万円。坪単価は290万円。リファイニング工事は山田建設。完成予定は平成26年2月下旬。売主はハチハウス。媒介は三井不動産レジデンシャル。既存建物は築43年が経過。再生工事を着手後、これまでに半分以上が分譲済み。
青木氏は、「見学者が100名、200名は想定していたが、300名を突破するとは。僕もよく分からない。こういったプロジェクトは大きな可能性を秘めている。旧耐震でも再生できないほど耐震性に問題があるのは100棟に1棟ぐらい。今回のプロジェクトは賃貸にするか分譲にするか、事業主をどうするかなどに時間を割かれたため企画段階からこれまで3年がかかったが、現在の事業主は決断が速かったため、3か月で基本設計ができた。検査済証があったため、今回の工事では建築確認の必要はない。行政と協議を行い、確認申請が不要の工事内容であることを確認している」と語った。
耐震補強前の7階(左)とほぼ補強済みの6階スケルトン
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まず、見学者の数から。見学会の直前、9日にメールが届いた。「このたびは『千駄ヶ谷 緑苑ハウス リファイニング工事』の解体現場見学会に沢山の参加のお申し込みをいただきありがとうございました。現時点におきまして参加者数が約300名に達しましたため、安全上の観点から、大変恐縮ではございますが受付を締め切らせていただきます」と書かれていた。
この人数に驚いた。何かの間違いではないかと思った。大手デベロッパーが分譲するマンションの見学会でも多くて50人ぐらいしか集まらない。青木先生とハチハウスには失礼だが、たかが17戸の再生マンションに300人もの見学申し込みがあるはずがないと思った。青木先生が〝さくら〟として学生さんを動員したのだろうと思った。
ところが、当日の現場は見学者でごった返していた。主催者によると見学者は国交省を含めた行政、不動産会社、建築設計事務所、大学の研究者が中心で、学生さんらしき人は数えるほどしかいなかった。ビルやマンションの再生が大きなテーマになっているが、300人という数に関心の高さをうかがわせた。
リファイニング建築とは同社の登録商標で、従来のリフォームやリノベーションよりさらにレベルの高い安全性を確保し、トレンドを見据えたデザインを施した再生手法のことだ。
モデルルーム(梁型を織り上げ天井として演出。照明設計は東京スカイツリーの照明デザインを担当したシリウスライティングオフィス)
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現地は、敷地北側に新宿御苑が見渡せる立地。すぐ近くにはトーセイが分譲して早期完売した「THEパームス千駄ヶ谷 御苑の杜」(23戸)が建っている。 従前建物は賃貸と事務所の複合用途建築物。
旧耐震の建物であることから、様々な手法により耐震補強を行い、第三者調査機関に委託し、躯体の耐用年数推定調査を実施。税法上の残存耐用年数は7年であるにもかかわらず改修後の物理的耐用年数は残り50年と評価された。35年の住宅ローンも借りられる予定である。
モデルルームは内装と設備の一新を図ったもので、天井高は約2400ミリ(スラブ厚120ミリ、階高2800ミリ)。二重床・二重天井。従前は北側住戸には小さな窓しかなかったものを、耐震補強することで幅約6mの開口部を設けて窓にしている。
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分譲単価について。新築ならいくらぐらいか判断ができるが、躯体をそれほどいじらないリノベーションでもないから評価は難しい。工事費については青木氏から聞いたが、これは売主のこともあるから明かせない。ハチハウス・青木歩実社長(青木氏とはたまたま同姓)は「坪単価は新築の8掛けと考えていただいて結構」と話した。
見学会に参加していたある大手のリフォーム会社の常務と取締役は、青木社長から単価を聞いて「よく付けましたね」と感嘆の声を上げたので、記者は「それは安いという意味? それとも頑張った値段? と解していいのですか」と聞いたらすかさず「もちろん、頑張った値段」と返ってきた。
屋上(左)と現地(写真右端はトーセイのマンション、シートがかかっているのが工事中の建物)
「関西」電鉄会社の矜持を見た 京阪電鉄・京阪電鉄不動産「品川タワーレジデンス」
「品川タワーレジデンス」
京阪電鉄・京阪電鉄不動産の「品川タワーレジデンス」を見学した。品川がリニア新幹線の始発駅となることが正式に発表され、品川-田町間のJR品川車両基地再開発が「アジアヘッドクォーター特区」にも選ばれるなど、将来性が期待されるエリアにあり、アドレスが「高輪三丁目」の初のタワーマンションだ。
物件は、JR品川駅から徒歩6分、または都営浅草線泉岳寺駅から徒歩7分、港区高輪三丁目に位置する25階建て125戸の規模。専有面積は30.00~87.37㎡、現在分譲中の住戸の最多価格帯は8,800万円台。坪単価は385万円。設計・施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は2015年2月下旬。販売代理は三井不動産レジデンシャル。
現地は、品川駅高輪口から第一京浜道路を北に向かった「高輪三丁目」の一角。南側の借景にはグランドプリンス高輪、SHINAGAWA GOOSなどのホテル群や邸宅街が望める。建物は制震構造を採用し、外観は見る方角によって、時間の経過とともに表情が異なるように工夫し、グラデーションを巧に利用している。居室の天井高は最高約2.7m。標準階はワンフロア5~6戸。角住戸比率は76%。これまで80戸が販売済み。
京阪電鉄不動産首都圏事業部マネージャー・髙橋和寿氏は「仕入れたのは2年前。最初は大手とのJVも考えたが、私たちの矜持を見せようと親会社の京阪電鉄と共同で分譲することになった。商品開発には力を入れた。リニア新幹線の効果もあるが、すでに第1期で80戸が売れているようにお客様に評価されたと考えている」と話した。
DEN
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モデルルームを見てすぐ電鉄会社のマンションとしては初めて大手と互角に戦える物件だと思った。
専有部のインテリア・内装デザインコーディネートは、髙橋氏が「一目見てほれ込んだ」という鈴木ふじゑ氏だ。鈴木氏の「作品」は記者も数え切れないほど見ているが、本物志向でえもいわれぬ色使いに特色がある。57㎡のコンパクトタイプでは主寝室(約6.2畳大)に隣接した約2.8㎡のDENの提案がいい。
最高価格1億2,000万円の87㎡では、幅約1.5m、奥行き約5m、壁面突き板仕様の玄関・ホールが圧巻。57㎡のタイプ20戸と最高価格住戸を含む80戸が完売というのも納得だ。
リビングダイニング
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首都圏の電鉄会社はみんな立派な街をつくってきた。ところが、分譲マンションとなると、記憶に残るいいマンションはほとんどない。大手デベロッパーとのJVで〝ぶら下がり〟として名を連ねているぐらいだ。最近でいえば、近鉄不動産の「大宮」が出色の出来だったが、これも鹿島建設とのJVだ。西武線を中心に水準以上のマンションを供給していた西武不動産は分譲から撤退してしまった。社名もなくなった。情けない限りだ。
そんな事情があるので、今回見学した「品川」もそれほど期待はしていなかった。そもそも京阪電鉄も京阪電鉄不動産もよく知らなかった。大阪や京都には多くはないが取材や旅行で行ってはいるが、京阪電車に乗った記憶はない。中ノ島、枚方、東福寺、祇園四条などにはどうやって行ったのだろう。一般のユーザーも記者と同じではないか。「京都タワー」は知っていても、それが京阪電鉄のホテルだと知っている人は少ないのではないか。
それもそのはずだ。過去、関西でプロ野球球団を経営した「近鉄」「阪急」「阪神」「南海」は日本中に強烈な印象を残しているが、「京阪」は全国へのブランド展開を行ってこなかった。
記者が見学取材している「戸田公園」「聖蹟桜ヶ丘」のマンションも髙橋氏に指摘されるまで、同社が分譲したマンションであることを忘れていた。
いま考えてみると、知名度が低いからこそそのハンディを跳ね返すためにも「矜持を込めた」商品企画にしたのに違いない。関西圏でマンション供給第3位の力を首都圏で見せた。
同社は来春、王子駅前の一等地で近鉄不動産と共同で29階建てタワーマンション285戸を分譲するという。見るのが楽しみだ。社員約100人のうち8割がプロパーという他の電鉄(系)会社にない企画力を見せてくれるのではないか。東京の営業所長である髙橋氏は関西出身だが、あるゼネコンの経験を含めて東京勤務20年の大ベテランだ。
キッチン
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最後に坪単価について。道すがら考えた。高輪の住居系なら坪400万円をはるかに越えるが、第一京浜に面していることから坪400万円は越えないと予想した。しかし、リニアや再開発の将来性を先取りすると400万円をはるかに越えると思った。
モデルルームを見学している途中で「単価はいくらですか」と聞いたら、逆に髙橋氏から「いくらだと思いますか」と聞かれたので、とっさに「坪420万円」と、リップサービスの意味も込めて答えた。385万円は極めてリーズナブルだし、将来性を考えたら割安感のあるマンションだ。
87㎡のモデルルーム玄関
公共建築物の木造化 24年度は100戸のマンション1棟分
平成24 年度第13 回公共建築賞で国土交通大臣表彰を受けた三重県立熊野古道センター(三重県尾鷲市)
農林水産省と国土交通省は11月7日、平成24年度の公共建築物における木材の利用の促進に向けた措置の実施状況をまとめ発
表した。木造で整備を行なった公共建築物は42棟7,744㎡(前年は31棟6,534㎡)で、内装などの木質化を行なった公共建築物は258棟5,002㎥(同257棟9,511㎥)だった。
平成22年に施行された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」では、低層3階建て以下の公共建築物は原則としてすべて木造化を図るものとし、内装などについても、直接又は報道機関などを通じて間接的に国民の目に触れる機会が多いと考えられる部分を中心に木質化を促進するとしている。
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公共建築物の木造化は全然進んでいないといわざるを得ない。42棟の省庁内訳は農水省(9棟)、国交省13棟)、警察庁(3棟)、環境省(16棟)、防衛省(1棟)のみだ。用途も倉庫、トイレ、作業施設などが20棟以上を占める。延べ床面積の総数は100戸ぐらいのマンション1棟ぐらいにしか過ぎない。24年度に国が整備した3階建ての公共建築物は462棟249,692㎡だから、木造化率は棟数比率にして16.8%、延べ床比率では0.03%だ。
木造化が図れなかった理由としては、①延べ面積3,000 ㎡を超える大規模な建築物は建築基準法などの基準で耐火建築物とすること又は主要構造部を耐火構造とすることが求められた建築物であること②自衛隊施設など治安上又は防衛上の目的から木造以外の構造とすべき③刑務所、拘置所などの収容施設であり、施設の機能上の観点から木造以外の構造とすべき-などとしている。
①については、本気で木造化を図るのであれば建基法を改正して規制を緩和すべきだし、自衛隊や刑務所施設を木造化したら防衛上、機能上問題があると考える国民などほとんどいないだろう。自衛隊の施設は大砲を撃ち込まれても大丈夫なのだろうか。
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地方自治体は、法律に基づき同じように都道府県や市町村ごとに木材利用を促進する方針を定めてもよいことになっているが、これも大都市圏ではそれほど進んでいない。
東京都は62の市町村のうち方針を定めているのは新島村、神津島村、港区、日野市しかない。神奈川県は33市町村のうち小田原市、逗子市、相模原市など9市町村、埼玉県は63市町村のうち秩父市、飯能市、熊谷市など20市町村、千葉県は54市町村のうち富津市、茂原市など13市町村のみだ。
木を大切にする自治体は人にも優しいはずだ。マンションや戸建てを検討する際に参考になるのではないか。港区は日本一のお金持ち自治体(特別区)だ。人気を集めるのも理解できる。
マンション価格上昇は序の口 竣工時期の平準化取り組み急げ
「当社は相対取引ができる計画的な大型案件が中心で、闇雲に用地争奪戦に加わるようなことはしない。第2四半期の決算数字を見る限りでは建築費の上昇は顕在化していない」-三井不動産の決算説明会で、同社の経理部経理グループ長・富樫烈氏はこう語った。
しかし、その一方で「業界では職人さんの引き抜き合戦が始まっている。待遇を改善するなどして安定的に職人さんを確保することが課題となってくる。価格に転嫁しなくても済む努力が必要」(旭化成ホームズ・平居正仁社長)「郊外部では坪150万円以下では難しくなってきた。職人不足は深刻で、リーマン・ショック前の『新価格』どころか、ゼネコンが積年の恨みつらみを晴らす『倍返し』価格になるかもしれない」(あるデベロッパー)「建築費は上がるし、大手は設備仕様を上げているので、われわれ中堅は苦しい。大手の一人勝ちになるのでは」(ある中堅デベロッパー販売責任者)など、先行きの建築費・価格上昇を懸念する声が噴出している。
記者も最近の価格上昇は序章、序の口に過ぎないと思う。マンションの単価は2~3年前までは、「えっ、こんなに安くできるの」という物件がかなり見られたが、最近、とくに今秋の物件は「えっ、そんなに高いの? 」と驚く物件ばかりだ。
今後10年間で200兆円の規模でインフラなどの基盤整備を進めるという「国土強靭化」を背景に震災復興に伴う公共工事、東京オリンピック、リニア、都市再開発などが目白押しだ。リニア建設費は10兆円と言われているし、これから本格的に始まる復興区画整理事業は56カ所で総面積は3,000haを越える。数千億円規模だ。ビッグプロジェクトに大量の土木・建設技能労働者が投入されれば、中小規模マンションなどははじき出されるのは火を見るより明らかだ。土地の仕入れはしたものの、着工が出来ないという「在庫倒産」も出てくるのではないか。
そのような事態を避けるため、竣工時期の平準化は喫緊の課題だと思う。前出の三井不動産の場合、第2四半期のマンション計上戸数は1,555戸で、通期計上予定の6,450戸に対する割合は24.1%でしかない。富樫氏は「たまたま今期は下半期に竣工・引渡しが集中したため」と説明したが、マンションの竣工が期末に集中するのは常識だ。
そこで、現在分譲中のマンション200物件の竣工時期を調べてみた。もっとも多いのが2月で45物件、以下、3月32物件、1月24物件、11月22物件の順だ。もっとも少ないのが5月の6物件だった。四半期ごとでは第4四半期が104物件(52.0%)と過半数に達し、以下第3四半期49物件(24.5%)、第1四半期24物件(12.0%)、第2四半期23物件(11.5%)となっている。
下半期に竣工・引渡しが集中しているのは、購入者の入居希望時期と密接な関係がある。単身者やDINKSはともかく、子育て世帯にとっては子ども転校は学年途中は避け、年度初めの進級時に行ないたいという親心が働き、デベロッパーもその意向を汲んで竣工を年度末に集中してきた経緯がある。
竣工時期と売れ行き、企業規模や施工会社などとの相関関係を分析しないといけない部分があるが、下期に竣工することがマンション単価を引き上げる要因になっているのは間違いない。
この問題について、三井不動産レジデンシャルはすでに手を打っているようで、今年4月、建築工事発注機能を強化するため「建設統括部」を新設した。三井不動産グループの三井ホームも「工期の平準化に力を入れていく」(市川俊英社長)という。
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同時に進めなければならないのは、建設業が抱える重層下請け構造の改善だ。
建設労働者は景気の安全弁的な役割を背負わせていることから、賃金が抑えられ、若年入職者が激減している。建設技能労働者52万人のうち60歳以上は約18%にのぼり、10年後には大半が引退するといわれている。京都工芸繊維大学准教授・矢ケ崎善太郎氏は「日本の職人たちの技は世界に誇る無形の文化財でもある」と語ったが、現実の待遇はまるで正反対だ。
この命題はなんとも皮肉なパラドックスとしてわれわれに突きつけるが、関係者は知恵を絞って明解な解答を導き出して欲しい。
東建グループ サ高住の第2弾「グレイプスふじみ野」開業
「グレイプスふじみ野」完成予想図
東京建物と東京建物不動産販売は11月16日、埼玉県ふじみ野市で開発を進めている両社のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)第2弾「グレイプスふじみ野」を開業する。開業に先立つ6日、報道陣に公開した。
物件は、東武東上線ふじみ野駅から徒歩14分、埼玉県ふじみ野市南台1丁目に位置する5階建て全86戸(他に訪問介護事務所、居宅介護支援事業所)。専用面積は18.60~50.69㎡(1R~2LDK)、月額賃料は63,000~198,000円、管理費は15,000~20,000円。他にサービス費、食費あり。事業主が東京建物、貸主が東京建物不動産販売、運営受託がやさしい手、建物管理が東京建物アメニティサポート。設計施工は大末建設。
「グレイプス」シリーズとしては22年に開業した「グレイプス浅草」(99戸)に次ぐ第2弾で、医療介護連携による24時間見守り体制、分譲マンション「Brillia」の設備仕様、「アクションフリー型在不在検知システム」と「インターホンによる代理応答システム」との連動、専有部個別設計変更システム、終身建物賃貸借、入居一時金不要などが特徴。
これまで問い合わせ件数は412件、申し込み・契約は39区画。居住地は地元3市が37%、他の埼玉が24%、東京が27%。介護度は自立が16人、要支援が6人、要介護が28人。年齢は平均80歳。40~50㎡の2LDK7区画は申込受付当日に全戸申し込みが入った。
同社グループは今後も4物件で301戸を計画しており、東京都住宅供給公社などからの受託案件も4物件で256戸が進行中。
2人居住を想定したモデルルーム(天蓋付きのベッドには驚かされた。2人居住の需要もあるとのことだった)
◇ ◆ ◇
「グレイプス浅草」も見学しているが、進化しているものがいくつかあった。その一つが「見守り体制」だ。「浅草」には入居者が長時間水を使用しないと自動的に異変を察知してフロントと警備会社に自動的に通報する「水量センサー」が設置されていたが、今回は居室内と玄関に設置することで居宅中なのか外出したのか帰宅したのかも把握できる。「見守り時間」を設定することでセンサーが作動しないときは緊急事態が発生したことを告げることができる。
「代理応答システム」もよく考えられていると思った。本人が在宅か就寝中かなどもフロントが対応する。
少しだが食事も試食した。記者は特養や民間の〝日本一おいしい〟ある有料老人ホームの食事も食べたことがあるが、今回のほうが数段おいしいと思った。「センターミール」社の「真空調理法」により従来調理法の問題点を解決したという。これは〝スグレモノ〟だ。1日のカロリーは1,500キロカロリー。
前回も書いた「サービス費」(月額29,400円)について。「安心・安全」「お・も・て・な・し」を金額に換算したらものすごく安いと思った。賃料は一般の賃貸マンションと比較すると割高だが、共用施設が充実しているので単純な比較はできない。
玄関に設置された人感センサー(天井の円形のものと、引き戸の上部にある小さい縦長のもの。居室にも円形のものがついている)
食事メニューの1例
こういった施設に付きものの手すり(手すりは連続してその機能を発揮するもので、防火扉、機械室の扉にはほとんどついていないし、
手すりを利用する入居者もほとんどいない。この規制は矛盾している。緩和すべきだと思う)
三井不動産リアルティが快勝 神村が本盗決める
逆転に沸く三井不動産リアルティ ナイン
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合 計 | |||
野村不動産アーバンネット | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | |||
三井不動産リアルティ | 3 | 0 | 2 | 1 | 0 | X | 6 |
(6回時間切れ)
野村不動産アーバンネット 拙守たたる
三井不動産リアルティが快勝。野村不動産アーバンネット茂木投手は立ち上がり制球を欠き、野手陣も拙守で足を引っ張った。
1点先制された三井リアルは初回、3つの四球で得た1死満塁の好機から5番引地のショートゴロ敵失でまず1点。6番水野が倒れたあと8番安田の内野安打で2者が還りこの回3点。3回には1死1、3塁から3塁走者の神村が本盗を決めて突き放した。先発の北地は初回に1失点したが、その後は安定したピッチングで5回まで無失点に抑えた。
野村アーバンは初回、四球で出塁した3番遠藤を1塁に置き、4番三根が左中間2塁打を放ち1点を先制したが、その後は抑えられた。
○安西監督 結果オーライ(と言ったかどうか。エンドランスクイズのサインを見落としたのは澤村のようだった)
○神村 …(本盗が決まっても浮かぬ顔)
●赤堀 いい当たり? 野球で飯を食っていた男だから当たり前(三根の快打にも手厳しかった)
三井 北地投手(左)と野村 茂木投手
〝いかんなぁ〟野村 三根監督
東急リバブル辛勝 延長で主砲・河野が特大満塁弾
延長で満塁弾を放ったリバブル河野
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合 計 | |||
東急リバブル | 1 | 0 | 0 | 2 | 1 | 7 | 10 | |||
みずほ信不動産販売 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 1 | 4 |
(6回延長サドンデス)
みずほ信不動産販売は惜敗 サヨナラの場面逸す
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東急リバブルが延長戦を制した。3-3の同点で迎えた6回、先頭の主砲河野が台風の影響で強烈な向かい風が吹く中、右翼越え満塁弾を放ち、その後も相手の拙守につけ込み一挙7点を挙げて試合を決めた。
藤巻投手は8個の四死球を与えるなどピリッとしなかったが、何とか踏ん張った。
みずほは逸勝。選手が集まらず、57歳の中村監督もセカンドを守らざるを得なかったが、打線が奮起。3回には4つの四球と敵失から同点に追いつき、2点差とされた4回には四球と敵失で1点を還した。さらに5回には、1番岩本の適時打で同点に追いついた。延長サドンデスでは四球による押し出しの1点にとどまった。竹内投手は粘り強く投げたが、最後は力尽きた。
リバブル 藤巻
○大槻監督 藤巻が復活した(毎回ピンチをしのいだ藤巻を称えた)
○河野 逆風だったが、よく飛んだ。100mぐらいではないか
●中村監督 惜しかったねぇ。僕が出ざるを得ないようじゃ(2つの四球を選び出塁。最後は3塁走者としてあわやのシーンを演出した)
大量点に沸くリバブルベンチ
みずほ 竹内投手
住友不動産販売 14安打11点の圧勝
住友不動産販売 越前
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合 計 | |||
住友不動産販売 | 0 | 0 | 3 | 4 | 4 | 11 | ||||
ナイス | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
(5回コールド)
ナイス 初回の1点のみに抑えられる
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住友不動産販売が14安打11点で圧勝した。1点を追う3回、1死から相手先発の芦沢を攻め、1番の中園以下、山口、橋本、前田の4連続長短打で3点を奪い逆転。4回にも無死から7番の赤岩以下、布施、静光の3連打と4番伊藤の適時打で4点を挙げリードを広げ、5回にはこの回から登板した2番手正木からも4安打を浴びせ4点を加点。
越前投手は初回こそ1失点したが、その後は2安打に抑えた。
ナイスは初回、先頭の北村が四球で出塁した2死2塁から4番村尾の安打で1点先制。しかし、その後は村尾と9番貝瀬の2本の2塁打に抑えられた。
先発の芦沢は2回を無難に抑えたが、山なりボールは2順目からは通用しなかった。
○古賀監督 よっしゃ、全員安打だ(4番和田、5番越前を除く選手が安打)
○前田 2打数2安打でお役御免(伊藤に交代)
●芦沢 調子はよかったが…
ナイスのナイン