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「Brillia 狛江Farm&Garden」完成予想図

 東京建物がモデルルームをオープンした「Brillia 狛江Farm&Garden」のモデルルームを見学した。現段階で価格は未定だが、周囲は第一種低層住居専用地域だけに人気を呼ぶ可能性は十分と見た。

 物件は、小田急小田原線狛江駅から徒歩8 分、狛江市中和泉3 丁目に位置する5階建て全39戸。専有面積は60.28~90.40㎡、価格は未定。入居予定は平成26 年11 月下旬。設計・監理はコモン・リンク一級建築士事務所。施工は南海辰村建設。

 敷地の東側は道路に面しているが、それほど交通量は多くなく、敷地南側も西側も用途地域は第一種低層住居専用地域。典型的な「狛江」の住宅街だ。

 39戸という小規模物件の特性を活かし、居住者の顔が分かる「食べられる景観」をテーマにした「コモンファーム(菜園)」や「コモンガーデン(庭園)」を設置しているのが特徴。また、バルコニーには花台とスロップシンクを設けている。

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 取材した段階では価格は公表されなかったが、記者の想定内に収まるのではないかとみている。

 面白いのは、住戸プランは多くが東向きで、バルコニーに花台を設けていることだ。住戸の外廊下側に花台を設置している例はたくさんあるが、バルコニー側に設置しているのは見たことがない。しかし、バルコニーにプランターを設置するマンション居住者はたくさんいる。これは歓迎されるはずだ。

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「コモンガーデン」(左)と「コモンファーム」

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港区「芝の家」

 日本建築学会の建築計画委員会に属する「ライフスタイル小委員会」が3月13日に行なった公開研究会「もうひとつの居場所(サードプレイス)をどこに持つ? 」を取材した。

 同委員会は、少子高齢社会における家族と住まいの現状と課題を共有し、これからのライフスタイルに対応した住宅・地域の在り方を検討することを目的に設けられているもので、この日は港区の「芝の家」を見学し、多摩ニュータウンの「福祉亭」、墨田区の「コレクティブハウスかんかん森」の事例が紹介され、「自宅」や「職場」などの居場所以外の「もう一つの居場所」の今後の可能性などが話しあわれた。

 研究会では、同委員会主査の湘北短期大学准教授・大橋寿美子氏が、「家族機能が弱体化した少子高齢社会では、人と人のつながりが希薄になっている。もう一つの居場所としてのサードプレイスは3.11以降、より一層重要性が増している。孤独や孤立からの開放、生きがいにつながる可能性を探るのが、この研究会の目的」と、概要について説明した。

 「芝の家」は2008年、港区と慶應大学とが連携して設けられた芝3丁目のコミュニティ拠点。民間のオフィスを賃借しているもので、大人から子どもまで年間1万近くの利用者がある。事業費は年間950万円。

 慶應大学特任講師・坂倉杏介氏は、「緩やかなつながりを求める人が多い。単体ではなく、いろいろな組織と連携して自主的で多様な取り組みがインフォーマルな『共』をつくり出す」と語った。

 「福祉亭」は、多摩ニュータウンのUR賃貸空き店舗を利用してNPO法人福祉亭が2003年から運営している施設で、飲食提供のほか、高齢者支援事業、街づくり事業などを行なっている。これまで100近いテレビ、新聞、雑誌などに取り上げられており、認知度は全国区になった。

 福祉亭の理事・寺田美恵子氏は、「セーフティネットの網を広げているつもりだが、漏れることもある。初期投資、立ち上げ支援、運営補助の仕組みが大切。近隣には株式会社方式も含めて、同じような施設が4カ所でき、激戦地になってきた。売上げは年間約800万円。トータルで約900万円。補助金は60万円しかない」と笑った。

 「かんかん森」は2003年、わが国初のコレクティブハウスとして誕生。人員構成は0歳~88歳まで48名。子どもが13名、大人が35名。夫婦7組、単身女性16名、単身男性5名という構成だ。

 居住者でコレクティブハウスの社長・坂元良江氏は、「誕生してから10年以上が経過したが、毎年子どもが生まれ居住者の自主管理、自主運営は発展している。コモンスペースは時には居酒屋状態になることもあるが、週に2~3回のコモンミール(食事当番)は作る人のレベルも上がってきており、レベルの高い食事が提供できている」と話した。

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「芝の家」

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 「サードプレイス」は、アメリカの都市社会学者Ray Oldenburg氏の著作「The Great Good Place」(1997年)の邦訳で、「ファーストプレイス」である自宅、「セカンドプレイス」である職場などとは別の居酒屋、カフェ、本屋、図書館など情報・意見交換の場、地域活動の拠点として機能する概念のことだ。
 
 このようなサードプレイスは、普通の人にとってはごく当たり前の施設だ。ことさら「サードプレイス」として注目されるのは、家庭も職場も自分の拠りどころではなくなっていることの証左なのだろう。無縁社会、格差社会、パワハラ、ワーキングプア、パラサイト・シングル、ネットカフェ難民…およそ20年前にはそんな言葉すらなかった深刻な問題が生起し、日常茶飯となっている。

 ならば「サードプレイス」はこれらの問題を解決してくれる万能薬になるか問えば、答えは「ノー」だろう。万病に効く処方箋はないし、「サードプレイス」に過大な期待をかけるのは酷だ。性急に成果を求めない緩やかで多様なつながりを辛抱強く続けることしかないのではないか。

 次は、数年前からナイスが取り組んでいる「住まいるCafé」を紹介する。住宅の売買・仲介店舗を地域の居住者に開放したCSR活動だ。

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大橋氏

 「サードプレイス」を取材しながら、これは社会的弱者にとってこそ必要な施設ではないかとずっと考えていた。

 そうした社会的弱者に対して、社会学者の上野千鶴子氏が近著「女たちのサバイバル作戦」(文春新書)で心強いメッセージを送っている。少し長いが、以下に紹介する。

 「日本の女のこれからを思うと、サステイナブルよりサバイバル、の方が切実だとわたしは思えます。たとえ日本が『沈没』して難民になっても、亡命してでも、どこででも生き延びていけるスキルを身につけてほしい、と思うようになりました」「自分のことは自分で。他人とは関係ない。集団で活動するのはうざいし、ださい――こういうメンタリティがネオリベ的感性です。ネオリベは強者と弱者を生みますが、問題は、弱者も強者と同じメンタリティを共有していることです。強者はつるむ必要がありません。ですが弱者は弱者だからこそ、つるむ理由があります」「制度も政治も変えられないかもしれないけれど、自分の周囲を気持ちよく変えることは自分と仲間の力でできるかもしれない」

 「たとえ目の前の問題がただちに解決できなくとも、たった今の苦しみを共有してくれるひとたちがいることで、困難にへこたれないでいられる、問題に立ち向かう元気がもらえる――そうやって女たちは生き延びてきた…傷の舐めあい――と揶揄する人がいました。それでけっこう。傷ついた者たちは、傷を舐めあう必要がありました。女性はその必要があったからこそ、つながりをつくってきました」

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左から坂倉氏、寺田氏、坂元氏

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「コレド室町3」エントランス(乃村工藝社・小坂竜氏によるアート。ツガやスギ、ヒノキなどと石、タイルなどを組み合わせた壁、床は芸術品)

 三井不動産は3月20日、日本橋再生計画の第二弾「コレド室町2」「コレド室町3」を開業する。開業に先立つ17日、開業記者会見・内覧会を行い、数百人の報道陣が詰めかけた。

 「日本橋再生計画」は、伝統ある老舗など街の文化を残し、水と緑の賑わいを甦らせ、新たな街の魅力を創っていく、「残しながら、蘇らせながら、創っていく」をコンセプトに再開発を進めているもの。

 「コレド室町2」「コレド室町3」は、再開発の第一弾ともいうべき「コレド日本橋」(2004年竣工)、「日本橋三井タワー」(2005年竣工)、「コレド室町」(2010年竣工)に次ぐもの。今後も「室町三丁目」「室町一丁目」「日本橋一丁目」「日本橋二丁目」「八重洲二丁目北街区」「八重洲二丁目中地区」など再開発計画が目白押しで、面的な再開発が進められる。

 新しく開業する「コレド室町2」「コレド室町3」には、外国人コンシェルジュによるインフォメーション・ガイドツアー(日本橋案内所)を開始するほか、和のおもてなしレンタルスペース「橋楽亭/囲庵(COREDO 室町)」を設置。外国人が無料でインターネットを利用できるWi-Fiを整備する。

 記者会見に臨んだ同社飯沼喜章副社長は、「今回のコレド室町2とコレド室町3の開業と日本橋三井タワーのリニューアルオープンは、江戸の往時の賑わいを取り戻す再生プロジェクトの一環であり、今後も日本橋の新たな魅力を発信し続けていく」と話した。

 年間の来街者は1,700万人、売上高は110億円を見込む。

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「コレド室町2」(スーパーポテト代表・杉本貴志氏のアート。石器質タイルの組み合わせが妙)

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 マンションブランドなら100も200も価値判断ができるが、飲食・ファッションなどの商業施設はさっぱり分からない。しかし、三菱地所が進める「丸の内再構築」と同社の「日本橋再生」は明らかに街づくりのコンセプトが異なるぐらいは素人目にも分かる。

 三菱地所は「世界でもっともインタラクションが活発な街」を掲げ、アジアの国際拠点都市としてグローバル化に取り組んでいる。仲通りにはティファニー、エルメス、バカラ、プラダなど世界的ブランドと流行を発信する国内のセレクトショップが軒を連ねる。20年前は土曜、日曜日となるとほとんど人通りが途絶えた「過疎」はいまでは日本一の賑わいのある街変わった。

 一方の「日本橋」は前面に「お江戸日本橋」を打ちだしている。桜、祭り、着物、茶道などのイベント積極的に行い、店舗も榮太樓、にんべん、木屋、小津和紙、鶴屋吉信、千疋屋などわれら団塊世代にもなじみのある店が多い。

 両社が狭いエリアで競り合ってどうなるのかという心配もあるが、おそらくこのコンセプトの違いで住み分けができ、相乗効果となってより賑わいを増すのだろう。両社のこれからの投資額はそれぞれ数千億円、双方では1兆円を間違いなく突破する。

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「コレド室町2」(杉本氏のタイル文様をふんだんに用いた店舗デザイン)  

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「これど室町3」(小坂氏のツガを用いた壁)

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「橋楽亭/囲庵(COREDO 室町3)」と日本橋 芳町の売れっ子芸妓さん「おもちゃ」さん

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小坂氏のアートな壁(石とツガ、ヒノキ、スギの組み合わせ)

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左は「牡蠣場 北海道厚岸」(生カキは1ピース290円から。記者が食べたのは590円。1年を通じて生カキが食べられるのは厚岸のみとか)。右は本物の出汁を販売する「茅乃舎」

三井不動産 ビルも賃貸も億ション並み「和」盛り込んだ「日本橋再生」(2014/1/29)

 

 

 

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「蔵のある街づくりプロジェクト」 曳家工事中の蔵

 ポラスグループの戸建分譲住宅事業を展開する中央住宅は3月14日、江戸時代に建築されたといわれる商家の蔵を保存・改修し、蔵を核とした住まい手、地域住民、企業が一体となってライフスタイルを提案するコーポラティブ方式の「蔵のある街づくりプロジェクト」を行なうと発表した。曳家作業を報道陣に公開した。

 現地の用途地域は近隣商業地域だが、一戸建てや中層の建築物が中心の住宅街。蔵は油屋を営んでいた商家の4棟あったものの一つ。御影石の土台にそのまま石・木材・土・漆喰塗りの家を載せたもので、重さは、現在の一般的な木造住宅の3倍以上の約90~100トン。「ボンコ」(意味は不明)と呼ばれていたもので、宝蔵として使用されていた。

 記者発表会に臨んだ同社・品川典久社長は、「用地取得したのは昨年の9月。当初は更地にしてすべて分譲戸建てにしようと考えたが、歴史的建造物の蔵を壊すのはあまりにも無神経。地域の方々と協議を重ね、蔵や古材、灯籠なども残してプロジェクトに賛同していただける人に分譲することに決めた。コーポラティブでの分譲は初めてだが、当社の理念である〝より豊かで、楽しく、幸せ〟な住宅づくりに合致するもの」と語った。

 「蔵」の推定築年数は約150年。屋根は瓦葺き、外壁は漆喰塗りの木造2階建て延べ床面積48.96㎡(14.8坪)。

 「蔵のある街づくりプロジェクト」は、東武スカイツリーライン越谷駅から徒歩5分、越谷市越ヶ谷三丁目の近隣商業地域(建ぺい率80%、容積率200%)に位置する敷地面積644.51㎡。販売予定価格は1億9,800万円(蔵の改修費、曳家工事費含む)。5月末までに購入希望者がない場合は建売住宅にする予定。

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扉の部分(左)と「うだつ」のあった部分(縦長のやや白く見える部分)

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 記者はこの日の前日(13日)、日本建築学会の公開研究会「もうひとつの居場所(サードプレイス)をどこに持つ? 」を取材した。「サードプレイス」とは、「ファーストプレイス」の自宅、「セカンドプレイス」の職場などの居場所のほかに、緩やかなコミュニティを形成する居場所のことで、同学会がその現状や可能性を探る研究を行なっている。

 研究会では、「コレクティブハウスかんかんの森」の居住者で、企画・運営しているコレクティブハウスの代表取締役・坂元良江氏から話も聞いた。

 コレクティブハウスとコーポラティブハウスは異なるが、居住者が良好なコミュニティを形成する意味では同じだ。連日にわたってこの取り組みを取材できたのはラッキーだった。

 蔵そのものは、田舎の実家にも残っているし、古い街にはまだまだたくさんあるはずだ。しかし、江戸時代に建てられたものとなるとそうないはずだ。曳家工事を担当している創業100年近くの野口組の4代目社長から説明を聞き、当時の建築技術の高さや、火災に備える工夫、豪商の暮らしぶりを学ぶことができた。

 例えば「うだつ(梲)」。われわれは「うだつがあがらない」という諺しか知らないが、「うだつ」とは防火壁のことで、この蔵には高さ5m、幅2mの巨大な「うだつ」があったという。蔵の重さにも驚愕した。野口社長によると、構造はRC造に匹敵するという。土と石(御影石、大谷石など)と木材(スギ、ケヤキがほとんどだそうだ)でRC造と同じ強度の建築物を江戸の職人・大工が造ったというのが嬉しいではないか。土台と柱の間には柱がずれないように、イチョウ形のなまりが使用されていたのにも驚いた。補強材には金具が使われていた。壁の厚さは腰壁部分で45cmもあるという。

 いったい、どうしてこのような頑丈な蔵を建てる必要があったのか。この蔵は、野口社長によると「ボンコ」(意味不明)と呼ばれ、母屋と繋がっていたことや、「宝蔵」として使用されていたことなどから推測すると、きっと売り上げ台帳、金銭などの貸借契約書、衣服などが収納されていたのではないか。

 このほか「米蔵」が2棟、「味噌蔵」が1棟あったというから、かなりの豪商だったのだろう。火災のときは、壁に味噌を塗ったとも言われる。火災に遭っても守るべきものをしっかり守った江戸時代の建築技術と知恵がここにある。

 このプロジェクトにどのような人が参加するのか、蔵はどのように利用するのかを考えるとワクワクする。ポラスはクリーンヒットを放った。このプロジェクトがどのようになっていくのかを見届けたい。

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敷地内にあった石など(左)と蔵に用いられていた金具

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「この鉛が使われていたんです」と説明する野口社長(左)と記者団の質問に答える品川社長(右端)

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蔵の中

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商品外観

 三井不動産レジデンシャルは3月12日、同社が供給する都市型戸建て「ファインコート」の全戸に東京ガスが販売する家庭用燃料電池「エネファーム」を標準採用すると発表した。

 現在、標準化を決定しているのは「ファインコート砧」(9戸)と「(仮称)国分寺市日吉町四丁目計画」(27戸)を含めた29 物件605 戸。同社はこれまで「ファインコート大塚」や大規模スマートタウン「ファインコートFujisawa SST」など8 物件131戸に「エネファーム」を採用した実績がある。

 標準化によって首都圏で年間約700~800 戸を供給することになり、家庭のCO2 排出量を年間でブナを主体とする天然林約198ha~226ha 分(東京ドーム約42~48個分)に相当する約910~約1040 トンを削減できるとしている。

 「エネファーム」は都市ガスから取り出した水素を空気中の酸素と化学反応させて発電し、発電した電気は家庭内で利用。その際に出る熱も給湯に利用します。電気をつくる場所と使う場所が同じであるため送電ロスがなく、また発電時に出る熱を無駄なく活用できる環境にやさしいシステム。

 昨日(3月12日)、日本リージャスから京都の貸事務所オープンのニュースリリースが送られてきた。「モバイル・ワーク」は間違いなく増加するとは考えてはいるが、よく分からない部分もあるので、リリースをほとんど「コピー&ペースト」で紹介する。

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 「多様化する働き方を支援する先進的なワークプレイス・ソリューションプロバイダーの世界最大手企業、リージャス(本社:ルクセンブルク)は、アジア太平洋地域で300番目の節目となるビジネスセンターを、日本の大都市のひとつであり、歴史と観光で全世界的に有名な『京都』の中心部『河原町御池』に開設します」

 「日本におけるリージャスは1998年に、東京に2つのビジネスセンターを開設後、現在では北は札幌から南は福岡まで50拠点以上を運営」「日本の50拠点、世界の100ヵ国1800拠点を超えるネットワークを活用することにより…アジア太平洋地域さらには世界中にビジネス拠点を拡大することが容易に可能」

 「リージャスのグローバル調査では、日本の経営者や経営幹部の68%は、フレキシブル・ワーキングは生産性を大きく向上させると考えています。さらに、調査会社IDCによると、モバイル・ワーキングを実践するビジネスマンは、2015年までに日本の労働人口の65%の総計3,860万人に及ぶと推定され、日本を除くアジア太平洋地域では8億3,800万人に上ると推定されています」

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 記者はずいぶん前、六本木ヒルズにある同社の貸事務所「リージャス六本木」で働く人を取材したことがある。昨年は東急不動産の会員制サテライトオフィス「Business-Airport(ビジネスエアポート)」も見学した。素晴らしい施設だと思った。

 「モバイル・ワーク」は間違いなく増えると思う。ジェンダー研究の第一人者、上野千鶴子氏によれば「フレックスレイバー(柔軟な労働)」は世界的な潮流だというし、上野の近著「女たちのサバイバル作戦」(文春新書)では次のように書かれている。興味深いので紹介する。

 「問題は誰にとって『フレックスか』? にあります。日本では使用者側が、自分たちのつごうにとって『フレックス』、すなわち使い捨て自由の労働力として、フレックス化を推進してきました。

 他方、労働者にとって『フレックス』であれば、フレックス労働は歓迎されてもよい働き方です。そもそも九時から五時までの『定型的労働』とは、誰が決めたのでしょうか。少子化対策先進国では、定型的労働と子育てとは両立しない、という経験則があります。事実、フレックス労働を採用した社会は、どこも出生率があがっています」

 続けて上野氏は、フレックス労働が不利な働き方にならないよう、「同一労働・同一賃金」や差別的な日本型雇用慣行やルールを改めるべきと主張。目指すべきはユニバーサルデザインと同様、「男女を問わずどんな状態や属性の人にとっても働きやすい『ユニバーサル就労』」だという。

 「モバイル・ワーク」「フレックスレイバー」は、子育て世代にもっとも適した働き方ではないか。これらが定着すれば、もっとマンションは売れる。

 

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「エネマネハウス2014」成果報告会(建築会館ホール)

 経済産業省資源エネルギー庁の事業の一環として行われた、大学と企業の連携により“2030年の家”をテーマに先進的な技術や新たな住まい方を提案するモデルハウス「エネマネハウス2014」の成果報告会が先日行われた。記者は他の取材があり、ほとんど終了の場面しか取材できなかったが、以下、各大学担当者が語った今後の課題などについての声を紹介する。

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慶応大学教授・池田靖史氏 心情的には継続してやってほしい。今年は集合住宅、来年は建売り部門とか。チャンスもっとあっていい

芝浦工業大学教授・秋元孝之氏 みんな面白そうにやっていた。民間とのコンソーシアムは商品化、新しいビジネスモデルの開発につながる

千葉大学教授・川瀬貴晴氏 面白いアイデア提案示せた。継続してほしい。参加大学を増やすためにも資金援助が生まれる仕組みを構築すべき。準備する期間が短すぎる

東京大学准教授・前真之氏 (今回の提案は)パッシブ手法だけで、アクティブ手法を盛り込んでいないのが課題。日射がなくても可能性のあるアクティブを開発したい。ドイツとは違う日本ならではの提案できる

早稲田大学教授・田辺新一氏 20年前にハウスジャパンとして、ヘムス、ヘルシーハウスなどの提案をおこなったことがある。今はそのようなプロジェクトがなくなった。日本の住宅の冬は後進国並み。一気に抜くチャンス。電器部門と住建部門の融合がヒント。ネタはたくさんあるが明かせない(笑)

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左から池田氏、秋元氏、川瀬氏

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左から前氏、田辺氏

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 「エネマネハウス2014」は関係者ではすごく盛り上がったイベントだったのだろう。成果報告会の会場となった建築会館ホールはほぼ満席の200人以上が集まった。展示会場の「東雲」の臨時駐車場には数千人の参加者があった模様だ。

 しかし、参加者のほとんどは関係者だろう。せっかく15年も先の未来住宅を提案するのだから一般の方も参加しやすい環境を整えるべきだったと思う。壊すのももったいない。審査委員の住環境計画研究所会長・中上英俊氏が「国交省ももっと力を入れていい」と総括したように、国交省と経産省が共同で実施してもよかったのではないか。

 もう一つは「アジア」のコンセプトがよく分からないことだ。これも中上氏が「漠としすぎ」と語ったように、記者には何のことか分からなかった。アジア向けに住宅を輸出する考えからだろうが、「アジアは一つ」かもしれないが、アジアには寒冷地から赤道直下、砂漠地もある。気候風土、文化も異なる。一括りになどできないはずだ。

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 記者が「『Nobi-Nobi HOUSE』は、外観がパープルに近いピンク。地区計画や建築協定がなくても物議を醸す住宅だ。地域との親和性が全く考慮されていない“喧嘩を売る”住宅」と書いた早稲田大学の学生さんの反論も紹介する。

 企画した学生さんによると、「コンセプト(コアの設備ゾーンを居住ゾーンが囲み、さらにその外をNobi-Nobiゾーンが取り囲む三重構造)を大事にしたもので、衣服のように脱いだり重ね着したりできるようにした。外壁もファッションとして考え、黄色とかグリーンなどと検討した結果、暖色系のピンクになった」とのことだった。

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 記者がいいと思ったCLT(クロス・ラミネーティッド・ティンバー)を採用した慶大の提案については、記事にもした大日本山林会のシンポ会場で林野庁森林整備部長・本郷浩二氏も速水林業代表・速水亨氏も「CLTは実用化まで3年かかる」と話したので、池田教授に質問をぶつけてみた。

 池田教授は、「コンピュータ解析によって検証することはできるが、お金がかかる。ヨーロッパの技術をそのまま導入することはできない。実験も繰り返さないといけないので、一般の方が採用できるようになるまでには2~3年かかるというのは事実」と語った。

「エネマネハウス2014」 最優秀賞は東大、ファン投票1位は芝浦工大(2014/2/1)

「エネマネハウス2014」 記者の評価ナンバーワンは東大 早大は? (2014/1/30)

 

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「ライオンズ練馬レジデンス」(写真提供は同業の岡本郁雄氏。ご本人は「クレジットはいらない」と仰ったが、これは礼儀。岡本氏は精力的にマンションの取材をされている方。以下同じ)

 大京は3月11日、日本初の「太陽熱戸別給湯システム」を採用したマンション「ライオンズ練馬レジデンス」が竣工したのに伴い報道陣向けに内覧会を実施した。

 「太陽熱戸別給湯システム」は、屋上で集熱された熱を利用して貯湯タンクの湯を沸かし、高効率の熱源機エコージョーズと組み合わせることでバスやキッチンなどに効率よく給湯するシステム。

 太陽光パネルのエネルギー変換効率が10~20%であるのに対し、太陽熱のエネルギー変換効率は40~60%と高く、現地は周辺に高い建物が建つ可能性が低い第一種低層住居専用地域に立地し、最大限に屋上を利用できることから同社は採用に踏み切った。 「ソーラー追い炊き」と「風呂熱回収」が行えるシステムは今回が初めて。

 システムの採用には1戸当たり約80万円のイニシャルコストが掛かっているが、このうち3分の2は経産省と東京都環境公社の補助事業で賄われている。入居者は3人家族で給湯使用量の約25%を太陽熱で賄うことができ、CO2削減量を約37%削減できるとしている。

 マンションは西武池袋線練馬駅から徒歩11分の4階建て全61戸。坪単価は247万円。残りは2戸。

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屋上の太陽熱集熱パネル(左)とバルコニーに設置されている貯湯ユニット(寸法は70㎝四方、高さは2mくらいか)

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 なかなかいいマンションだ。「太陽光」か「太陽熱」か、記者もまだよく分からない部分もあるが、今回のシステムは触媒を屋上までポンプで揚げるのは12mが限度のようで、低層マンションにしか採用できないのがネックのようだ。

 61戸の戸数の割には立派な水盤とミスト散布装置があり、同社独自のパッシブデザインも採用されている。この水盤・ミスト散布・パッシブデザインは大きな威力を発揮するのではないか。

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 今回の「太陽熱戸別給湯システム」は「日本初」と同社は謳っているが、「日本初」は=「世界初」だそうだ。先日、記者発表会を行った東急不動産「ブランズ品川勝島」の「マンション戸別エネファーム」は「世界初」と謳っていた。 

 「日本初」と「世界初」は雲泥の差があるような気がするが、わが業界はこの種の「初」をここのところ連発している。「世界初」はさすがに「品川勝島」だけだが、「日本初」「業界初」「首都圏初」「○○区初」「○○エリア初」「○○駅圏初」などあげたらきりがない。しかも「初」を謳うのは設備機器だけでなく、規模や高さにも用いられるから「初」もの尽くしだ。

 だれかが「2番じゃダメなんですか」としゃべり大ひんしゅくを買ったが、1番じゃなきゃダメな場合と2番でも3番でもいいのはケースバイケースだ。日本で2番目に高い「北岳」は記者も含めてほとんどの人は知らないだろうが、知らなくたって問題はないし、北岳に怒られることはない。

 先の冬季オリンピックでわれわれは羽生結弦さんの金メダルに沸き返った。しかし、その一方で、メダルが取れなかった高梨沙羅さんや浅田真央さんにも拍手喝采したではないか。

 「初」を謳うデベロッパーは根拠を示しているので問題はないのだが、いったいその「価値」はどの程度のものなのか「見せる化」を図らないと、みんな希薄化してしまうだろう。ユーザーはそんな「初」に惹かれてマンションを購入しているとは思えないし、そもそも不動産は〝唯一無二〟の特性を備えている。その土地の魅力を最大限に引き出すのがデベロッパーの役割だ。

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1階の水盤(ミスト散布機能付き)

わが国初の太陽熱を利用した「太陽熱利用戸別給湯システム」 大京「ライオンズ練馬レジデンス」に導入(2013/2/21)

 三井不動産リアルティは3月11日、「三井のリハウス赤坂店」を4 月1 日(火)に開設すると発表した。

 東京メトロ銀座線・丸ノ内線赤坂見附駅から徒歩1 分、青山通りに面した赤坂見附KITAYAMA ビルの9 階。周辺既存店舗の「麻布店」「青山店」との連携強化、周辺リアルプランセンターとの補完体制強化による相乗効果を高めるのが狙い。

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「プラウドシーズン祖師谷 空の街」完成予想図

 野村不動産が4月に分譲する都市型戸建て「プラウドシーズン祖師谷空の街・緑の街」を見学した。最寄駅の祖師ヶ谷大蔵駅や成城学園前駅にはややあるが、人気エリアだけに人気を集めそうだ。

 物件は、小田急線祖師ヶ谷大蔵駅から徒歩13分、又は成城学園前駅から徒歩16分、世田谷区祖師谷4丁目に位置する17戸の「空の街」と10戸の「緑の街」からなる全27区画。先行する「緑の街」の土地面積は96.34~109.73㎡、建物面積は96.19~104.71㎡、価格は未定だが7,000万円台~9,000万円台の予定。構造は木造(2×4) 2階建て。設計・施工は西武建設。入居予定は2014年6月下旬・9月中旬。

 舗道はインターロッキングとし、石貼りのコーナーウォールやアクセントウォール、ジャワ鉄平の石積み、チムニー(煙突)風デザイン装飾、水平ラインを強調したモールディングなどを施し重厚感を演出。エントランスなどにはロートアイアンを採用。住戸の設備・仕様も全体的に高い。

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 都市型戸建ての分野で三井不動産レジデンシャルを急追している同社だが、現地担当者からは近く「井の頭公園」に隣接した「プラウドシーズン井の頭公園」(20戸)を分譲すると聞いた。地図で確認したら、「ジブリ美術館」にも近接しており、玉川上水にも一部接している。価格は1億円を突破しそうだ。

 

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