同床異夢の実態 一筋縄ではいかないマンションコミュニティ
サステナブル・コミュニティ研究会がアンケート調査
表札表示は6割、コミュニティ形成活動なしが6割-サステナブル・コミュニティ研究会(代表:三井不動産レジデンシャル)が実施した「マンション・コミュニティに関するアンケート調査」で課題が多いマンション管理の実態が浮き彫りになった。
調査結果では、コミュニティ形成に関する活動が「特にない」が約60%にのぼり、行事は「年1 回程度」「2~5 回」が約30%、「防災訓練」実施は約40%にとどまった。コミュニティの自己評価については約70%が「良好」となった一方で、「良好とはいえない」が6%あり、課題については「区分所有者高齢化」が約30%、「ルールを守らない居住者増加」も約20%にのぼった。
同研究会は、「居住者が楽しく・安心して暮らせ、次の世代にも、さらにその次の世代にも住み続けてもらいたいと思えるような地域社会」(サステナブル・コミュニティ)のあり方を外部有識者や団体と共同で研究し、情報ツールやプログラムを通じて、研究成果を社会に発信していく研究会として2011 年7 月に発足。
アンケート調査は、今後のマンション開発や管理運営に生かすために行ったもので、調査対象は三井不動産グループが管理を行っている関東エリアの約1,600棟の管理組合。回収数は691棟(回収率43%)。
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記者が注目したのは、コミュニティに関する活動は「特に活動していない」が6割にのぼるなど活発でない一方で、コミュニティの自己評価では「理事会などでの意見が活発」「イベント・行事への参加も積極的」「懇親会や回覧板を通じて名前が分かり挨拶ができる」「問題が発生したらその都度解決するようにしている」ことなどが高い評価を受け、全体として70%が「とても良好」「おおむね良好」としていることだ。
活動が活発ではないのに、活発な活動を評価する-この相矛盾した回答をどう評価するかだ。また、コミュニティが「良好とはいえない」と回答した6%の少数派が「お互い興味を示さない」「参加意識の欠如、協調性が欠ける」「自分勝手が多い」「共助の関係はほとんどできていない。自助にも不安」と強い不満・不安を示したのと合わせ興味深い。「表札を掲げている住戸は少ない/ない」が32%にも達するなど、いわばコミュニティ拒否派の存在も無視することはできない。
「共同住宅」という共助なくして財産維持・管理ができないマンションであるにも関わらず「われ関せず」という居住者が少なくない、同床異夢の実態が浮き彫りになった。問題解決は一筋縄ではいかないということだ。この複雑な問題に同研究会はどのような解決策を打ち出すか興味深い。
これでいいのか 被災地復興土地区画整理事業
「高田」の市街地完成予想図
陸前高田は2カ所で302ha 事業費は桁違いの1200億円
東日本大震災による被災地の復興の有効な手段として防災集団移転促進事業(防集事業)とともに震災復興土地区画整理事業が各地で進められている。復興庁のデータによると、計画されているのは51地区で、このうち48地区で事業化、33地区で造成工事に着手した。
一般的な土地区画整理事業と異なり、①施行地区については市街化調整区域を含むことが可能②宅地と農地を一体的に整備することも可能③市街地のかさ上げ費用を国費で賄う④施行面積や人口密度計画の緩和⑤事業費は復興交付金事業として実施されるため、地方の財政負担は生じない-などが特徴だ。
一つ一つの事業について調べる余裕はないが、事業計画がまとまった陸前高田市について紹介する。
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陸前高田市では、「高田地区」189.8haと「今泉地区」113.0haの合計302.8haが被災市街地復興土地区画整理事業として認可された。道路、公園を整備したうえ、津波被害あったエリアを盛土によって10m前後かさ上げし、公共施設、商業施設、宅地などを配置する。盛土は、山林などを切り崩して宅地にした部分の残土を充てる計画だ。双方で住宅は2,120戸、人口は5,900人を想定している。平成30年度までに工事を終える予定だ。事業費は双方で約1,200億円。ほとんどを国や県の公費で賄う。
これがいかにとてつもない計画であるかを紹介しよう。まず規模。記者が知る限りでは全国の土地区画整理事業で千葉県市原市の組合施行による「国分寺台」約380haが過去最大だ。「国分寺台」は昭和50~60年代にかけて保留地が分譲され、バブルを背景に年間数百戸の建売住宅が飛ぶように売れた。しかし、バブル崩壊の影響は大きく、組合を解散したのは事業認可から30年が経過した平成13年だった。
陸前高田の事業規模は「国分寺台」には及ばないが、双方合わせれば間違いなくトップ10に入るはずだ。その事業費もケタ違いだ。時代が異なるとはいえ「国分寺台」は396億円だし、昭和62年施行の香川県高松市の「太田第2」は約360haで、事業費は640億円だ。陸前高田の「高田」「今泉」はその2倍近くに上る。高台の山を切り崩し、低地をかさ上げするのが費用増の大きな要因のひとつと思われる。
保留地による収入も極めて少ないのも大きな特徴だ。「高田」で3.9億円(0.6%)、「今泉」で3.1億円(5.6%)と合計で7億円だ。一般的に民間(組合)の土地区画整理事業は地価上昇を前提にした事業で、従前の地権者から一定の土地を提供してもらい道路や公園、保留地に当て、保留地を売却することで事業費をねん出する。地権者が土地を提供することを「減歩」といい、土地の価値が高ければ高いほど減歩は少なくて済む。
ところが、被災地はもともと宅地需要が小さい地方都市で地価も安く、震災によって土地の価値が大幅に下落した。100%減歩しても事業費をねん出できるかどうかだろう。広島県福山市郊外の「佐賀田土地区画整理事業(あしな台)」(19.5ha、342区画)団地では減歩率は97%に達した。つまり、元にはほとんど残らないという悲惨な例もある。民間ではとても成り立たない事業だ。被災地復興の土地区画整理の事業費をほとんど国費で賄うのはそのためだ。
ちなみに「高田」の減歩率は36.3%で、事業前単価は59,070円/坪、事業後の想定単価は93,060円/坪、「今泉」の減歩率は57.9%、事業前単価は2,211円/坪、事業後の想定単価は53,130円/坪となっている。「今泉」の減歩率が高いのは想定単価が低いためだが、減歩率が高いと地権者の理解が得られない問題もある。
事業費や事業後の想定単価などから計算すると、1,200億円の費用をかけても宅地・農地の価格は従前の約21億円が約32億円にしかならない。
人口約2万人の陸前高田市の平成24年度の予算規模は、800億円近くの国費が投入されたため前年度比倍増の約1,111億円に膨れ上がった。地方税は約12億円と100分の1くらいしかない。
人口約23万人の東京都港区の平成25年度一般会計予算は1,158億円。特別区民税は549億円。予算の47%を区民税で賄う。
東北の被災地と日本一財政が豊かな港区を比較するのは適当ではないかもしれないが、これでいいのかの疑問はぬぐえない。「復興」の名のもとに是非もなく検証もされずに暴走しているような気がしてならない。土地区画整理事業は民間の事業と異なり走り出したら止まらない。
被災復興区画整理事業、全体で多摩NTしのぐ数千ha 問題も山積(2013/3/25)
積水ハウス 「エネマネハウス2014」で最優秀賞
「CITY ECOX」モデル
積水ハウスは1月13日、先に行われた「エネマネハウス2014」で提案した東京大学との共同事業「ゼロエネルギー化を目指した都市型低層集合住宅のプロトタイプの設計とその実証事業『CITY ECOX』」が最優秀賞を受賞したと発表した。2030年の居住者のライフスタイルに柔軟に対応できる集合住宅というコンセプトが明確な点などが評価された。
「エネマネハウス2014」は、経済産業省資源エネルギー庁事業の一環として実施された事業で、主催はエネマネハウス2014実行委員会(委員長:村上周三建築環境・省エネルギー機構理事長)。
大学が主体となり企業とチームを構成し、「エネルギー」「ライフ」「アジア」をコンセプトに、2030年の家に求められる先進的なZEH技術や、新たな住まい方を取り込んだモデルハウスを建築・展示し、エネルギー・居住環境の測定成果を競い合うコンペティション。事前審査を通過した5大学(慶應義塾大学、芝浦工業大学、千葉大学、東京大学、早稲田大学)が成果を競い合った。
政府は日本のエネルギー事情を反映し、全消費電力の31%を占める家庭部門で、住宅のゼロエネルギー化を推進しており、2020年までに一次エネルギー消費賞が正味(ネット)で概ねゼロとなる「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)を標準的な新築住宅とすることなどを掲げている。
多摩ニュータウンの課題を解決し、魅力をどう発信するか
「多摩ニュータウン再生プロジェクトシンポジウム」(パルテノン多摩小ホールで)
多摩ニュータウン再生シンポジウムに300名
多摩市は2月12日、「多摩ニュータウン再生プロジェクトシンポジウム」を開いた。平日の午後にもかかわらず定員の250人を上回る約300人が集まり、関心の高さをうかがわせた。
多摩ニュータウン再生検討会議委員長・上野淳氏(首都大学東京理事)が基調講演「多摩ニュータウンの魅力と今後の展望」を行い、同検討会議委員・西浦定継氏(明星大学教授)が「多摩ニュータウン再生検討会議の検討状況」を報告。諏訪2丁目住宅マンション建替組合理事長・加藤輝雄氏が建て替えの経緯と成功に導いた要因などについて語り、上野氏がコーディネーターを務めたトークセッション「まちの夢を語ろう」には南佳孝・リビタ社長、阿部裕行・多摩市長も参加した。
シンポジウムの冒頭で挨拶した阿部市長は、「昨年7月、入居開始から43年が経過した多摩ニュータウンの今後の方向性や具体的な取組みを行う多摩ニュータウン再生検討会議を設置した。本日が緑豊かで夢のあるまちづくりを進めるキックオフの日にしたい」と語った。
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最初に基調講演を行った上野氏は、「多摩ニュータウンは、豊富な緑と歩車分離のネットワーク、さらには大学の集積など高いポテンシャルを持っている。これをどう生かすか、これからの街づくりの大きなヒントになる。建物の老朽化、入居者の高齢化などは全国共通の課題。住宅と街のバリアを解決し、すでに行われている自立的な先進モデルを広げていくことだ」などと語った。
西浦氏は、「このまま何もしないと50年後には多摩ニュータウンに人口は5万人に半減する。これまでの街づくりの50年を踏まえ、これからの人口減少に対応したスリム化に向けた50年をセットにした100年の街づくりのロードマップを検討会議で完成させる」と話した。
加藤氏は、建て替えの検討が始まってからバブル崩壊、「一団地」の指定解除に10年以上もかかったこと、リーマン・ショックによる打撃などの困難を乗り切って全戸即日完売に導いたのは、「住民が主役」の理念を貫き、専門家や地域との連携を図り、情報の開示を徹底させたことなどが要因と話した。
日野市のURの賃貸「りえんと多摩平」でシェアハウスを運営しているリビタのコンサルティング部コミュニケーションマネージャー・日野孝彦氏は、住民を主役に行政、大学、地域がサポートしていく必要性を強調。若者を呼び込む仕掛けがヒントになるとした。
京王電鉄総合企画本部沿線価値創造部長・都村智史氏は、2012年に部を立ち上げてからこれまでの「生活支援サービス」活動について報告。鉄道事業は2008年の利用者63,700万人をピークに2013年は62,000万人に減少しており、「生産人口の減少に対応するには、街の魅力を双方向メディアで発信したり、子育て支援のマンションや保育事業、さらには移動販売などを行ったりして、われわれが街に入っていくアウトリーチ型サービスを展開していく」と語った。
トークセッション
トークセッションでパネラーの太田誠一氏(東京都都市整備局多摩ニュータウン事業担当部)は、ポテンシャルが高い多摩ニュータウンのブランドを高めていくと語った。
寺門文夫氏(UR都市機構東日本賃貸住宅本部エリアマネージャー)は、計画的な街づくりの魅力を若年層向けにアピールする取り組みや高齢者の住み替え支援も行っていく必要があると語った。
加藤氏は、「親あるいは子世帯が入居するにあたって家族会議が復活した。アンケートを重ねるごとに広い専有面積を希望する人が増え、団地内同居や同じエリアに近居するケースも多い」などと、建て替えにより同居・近居が増加していることを報告した。
南氏は、「多摩ニュータウンを知らない若者が多い。できることからやってみる『場づくり』『場育て』が大事。多摩ニュータウンには人材も揃っている。歯車を回す条件、仕組みを整えれば未来は非常に明るい」とエールを送った。
阿部市長は、「大学はたくさんあるが、学生の居住は少ない。家賃が高いことと単身向けの住宅がないからだ。URは空き家家賃を抑え、スケルトン賃貸などを行い『アートな街』として情報発信してほしい」などと注文した。
左から上野氏、西浦氏、太田氏、寺門氏
左から加藤氏、都村氏、南氏、阿部氏
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これまでの多摩ニュータウン再生検討会議と今回のシンポで課題は出尽くし方向性も見えた。
上野氏をはじめ出席者が異口同音に語った「豊富な緑」「歩車分離」の価値をどうアピールするかが大きなポイントになる。住宅内と街のバリア解消も喫緊の課題だ。建て替えだけでなくリノベーション、シェアハウス、スケルトンなどの選択肢もあることが明らかになった。「多摩ニュータウン」を知らない若者世代に情報を発信する必要性も強調された。
シンポジウムに参加した市内の豊ヶ丘に住む60歳代の女性が「これまで見えなかったものが見えてきた」と感想を語ったように、収穫の多いシンポジウムになったはずだ。上野氏は「もうオールドタウンなどと呼ばせないようにしよう」と締めくくった。
内閣府 女性の活躍「見える化」サイトが提起した問題点
マスコミ各紙が報じたように内閣府は1月31日、企業での女性の活躍を推進していくため、各企業の取り組みの現状を投資家、消費者、就活中の学生などに「見える」ようにする「女性の活躍『見える化』サイト」を公開した。
役員・管理職への女性の登用、産休取得者などに関する情報を業種別に整理して公表した。公表している企業数は上場企業3,552社中1,150社(32.4%)。
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不動産業で公開しているのは115社のうち28社(24.3%)。公開率は全33業種の中でもっとも低いガラス・土石の20.6%、その次の証券・先物取引の23.8%に次ぎ下から3番目だ。
マンションや戸建ての最大のテーマが「子育て」「働くママ」である業界が、自らの会社の女性の活躍の状況を公開しないのは情けない。記者がこれまで取材してきた各社の女性はみんな素晴らしい活躍をしている。これを機会に積極的に公開することを期待したい。
ただ、公開されている「管理職」の定義は、「部下を持つ職務以上の者、部下を持たなくてもそれと同等の地位にある者を指す」とあるのみで、この条件を満たすかどうかの判断は各企業にゆだねられている。いわゆる「名ばかり管理職」の問題については不明だ。
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サイトは、東洋経済新報社が発行する「2014CSR企業総覧」に掲載されている情報に、内閣府が2013年10月~12月に実施した調査の結果を追加したものだ。
記者はこのサイトを記事にしようと思ったが、【留意事項】が事細かに記載されていた。①本データ(内閣府の調査により収集したデータを除く。)の著作権その他の権利は東洋経済新報社に帰属する②本データの利用者は、本データを利用者自身の使用目的以外に利用しないでください③形態の如何、また加工の有無を問わず、本データの一部または全部を第三者に譲渡、転貸、提供しないでください④第三者の利用に供する目的で本データの一部または全部を引用、複製、改変しないでください-などというものだ。「許可を得れば可能」などの記載もない。
つまり、閲覧は自由だが、得た情報は形態の如何を問わず第三者に提供してはならないというのだ。これを破れば当然著作権法などに触れる。
しかし、この留意事項はいかがなものかと思う。サイトを公開する目的は、資本市場にも女性の活躍を促そうというものだ。著作権法でも、広く国民に周知されるべき憲法やその他の法令、国や自治体など公的機関の発する通達などは著作権の対象外としている。
さらに、著作物の引用についても同法では、①公表された著作物は、引用して利用することができる。引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。国や地方公共団体が一般に周知させることを目的として作成し、公表する広報資料、調査統計資料、報告書などは、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない(第32条)③新聞紙又は雑誌に掲載して発行された政治上、経済上又は社会上の時事問題に関する論説は、他の新聞紙若しくは雑誌に転載を行うことができる。ただし、これらの利用を禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない(第39条)-などとしている。
今回公開されたサイトの留意事項と著作権法を照らし合わせると、留意事項に違法性はないものの、サイト公開の主旨や「著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする」著作権法の目的にも合致しないのではないか。
よって、「引用」しても問題にはならないはずだが、〝人の…で相撲〟も取りたくないのでサイトにどのようなハウスメーカーや不動産会社が情報を公開しているかについては触れない。
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内閣府のサイトや東洋経済の「CSR総覧」に頼らなくても、女性の活躍を「見える化」しているハウスメーカーや不動産会社は少なくない。
例えば東証「なでしこ銘柄」に住宅・建設業界から唯一選定されている積水ハウス。同社はCSRレポートで2008年から2012年の間に女性の管理職比率は0.56%から1.21%へ増加していることなどを報告している。
「世界で最も持続可能な100社」に選ばれている大和ハウス工業もしかり。同社の2013年度の女性社員は2005年度比1.4倍(2,371人)、主任は2.5倍(325人)、管理職は5.8倍(47人)に増加したと報告している。
住友林業は、わが国ではベネッセ、丸紅、Panasonic、TOTOとともに世界的なSRI 評価会社であるRobecoSAM社のCSR格付けで2年連続して「Gold Class」に選ばれたが、CSRレポートで詳細な社員関連データを報告している。
三井不動産グループも、日本橋の「三井二号館」に事業所内保育所「キッズ スクウェア日本橋」(定員50人)を開業しており、「& EARTH REPORT 2013」で、育児支援、介護支援、ワークライフバランス実現支援などについて報告している。
コスモスイニシアの女性広報担当者からはこんなコメントが届いた。「弊社は元々リクルートグループであったこともあり、性別によって『できる』『できない』の区別をする風土はあまりない会社だと思っております。また、大和ハウスグループは女性の活躍をもっと増やしたいと考えており、今年の1月に大和ハウスグループの女性フォーラムが開催されました」
フォーラムに集まったのはグループの管理職、管理職候補、産休・育休明けで働いている女子社員など合計約160名。樋口会長の訓話や大和ライフネクスト常務取締役・石﨑順子氏の基調講演のほか、女性のパネルディスカッション、分科会などが行われたという。(確かに。同社には仕事の面では性差を感じさせない雰囲気が以前からあった。これが望ましい姿だと思う)
全社員158名(男103名・女55名)うちの3分の1が女性で、課長以上の役職も女性が4分の1、役員が6人のうち2人を占めるフージャースホールディングスは「出産後も復帰して働くワーキングマザーも多く、女性が存分に能力を発揮している会社」とホームページに公表している。
東急不動産ホールディングスグループも東急不動産、東急コミュニティー、東急リバブルの3社とも公開の準備を進めている。
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内閣府がサイトを公開するにあたっては、丁々発止のやり取りがあったようだ。内閣府の「女性の活躍状況の資本市場における『見える化』に関する検討会」(座長:岩田喜美枝・財団法人21世紀職業財団会長)の最終報告書の冒頭では、「日本の潜在力の最たるものは女性」「女性こそ日本にとって最大の含み資産」と高らかにうたっているが、最後は「有価証券報告書やコーポレート・ガバナンスに関する報告書では、現在、明示的に女性の活躍に関する情報を記載することを求める項目は設けられていないが、関連する項目の中で女性の活躍に関する情報を自主的に開示している例も見られる」にとどまっている。
議事録でも、資生堂初の女性副社長に就任したことがある岩田氏は「意見のかい離・隔たりが相当あったのは、やはり有価証券報告書、もう一つは、コーポレート・ガバナンスに関する報告書…非常に積極的な御意見を言われる方と、慎重な御意見を言われる方の間の調整が難しいと私は判断いたしました」と、無念さをにじませている。
また、生活経済ジャーナリストの高橋伸子委員は、「コーポレート・ガバナンスに関する報告書には推奨という言葉がよいのどうか分かりませんけれども、もう書くのが当たり前だという段階になるようなことを期待しておりまして、書けないところはそれなりの理由を書くか、書けるように努力するということが必要なのではないかと思っております」と語っている。
河口真理子委員も、「経団連の久保田委員以外は皆様多分同じ、かなり近い意見なのではと思いつつ、この報告書を全体的に読みますと、前段は非常に盛り上がっていて海外では大変価値があるのだとあるのに、最後の結論のところでいきなりトーンダウンしていて…」と、有価証券報告書などに女性の登用状況などを「記載事項」として盛り込むことに否定的な経団連委員を批判した。
これらの意見に記者も賛成だ。昔から〝地震、かみさん、火事、おやじ〟と言ったではないか。怖いのはおやじよりも〝かみさん〟だ。女性が職場や社会で正当に評価され、やがては今回のようなサイトそのものが存在価値を失う世の中になることを願いたい。
フージャースの戸建て「デュオアベニュー成城」早期完売か
「デュオアベニュー成城」
フージャースアベニューが分譲中の戸建て「デュオアベニュー成城」を見学した。成城学園前駅からは徒歩14分とややあるが、外観デザインがよく価格も7,000万円台でリーズナブルなことから、早期完売は必至だ。
物件は、小田急小田原線成城学園前駅から徒歩14分、または喜多見駅から徒歩12分、世田谷区成城4丁目に位置する全11戸の規模。土地面積は127.53~160.66㎡、建物面積98.53~103.53㎡。現在分譲中の住戸(2戸)の価格は7098万円・7698万円。建物は2×4工法2階建て。施工はイトーピアホーム。
現地は、かつて三井不動産レジデンシャルが分譲したマンション「パークシティ成城」の隣接地で、従前は畑。成城4丁目緑地や野川にも近接している。 成城学園前駅からは途中に急坂があるが、隣駅の喜多見駅まではほぼフラット。 建物外観は、一部建物に「バットレス」壁を用いてグレード感を高めている。
分譲開始して約1カ月で4戸が完売。もっとも価格が高い8,000万円近くの住戸も予約が入っている。11戸のうち2戸は来期引き渡しだが、価格的には割安感があり早期完売しそうだ。
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同社の戸建て新シリーズ〝デュオアベニュー〟シリーズを見学するのは昨年末の「国立」(13戸)以来2度目だが、今回も見てすぐ〝これは売れる〟と思った。もちろん、価格次第だが7,000万円台という価格もぴったりだ。8,000万円台、9,000万円台になるとエリア的には厳しいと見ていた。
もう1物件、見学したいと思っていた「デュオアベニュー八王子」(10戸)は瞬く間に売れてしまった。前回の「国立」のときにも書いたが、大手と互角に戦える商品企画だと思う。完全に「デュオアベニュー」は軌道に乗った。
被災地石巻では再開発マンション「石巻テラス」77戸分譲へ
フージャースコーポレーションは近く宮城県石巻市で再開発マンション「石巻テラス」(全85戸のうち分譲77戸)を近く販売開始する。現段階で価格は未定。
被災地の市況は分からないが、価格は再開発物件だけに分譲単価はかなり安くなるのは間違いない。〝土地代がただでも建たない〟価格になるかもしれない。
住友林業 RobecoSAM 社のCSR格付けで2年連続「Gold Class」
住友林業は2月6日、世界的なSRI 評価会社であるRobecoSAM社によるCSR格付けで2年連続して「Gold Class」に選ばれるとともに、「Homebuilding Industry(住宅建設部門)」で最も評価が高い企業として「Industry Leader(インダストリーリーダー)」に選定されたと発表した。
RobecoSAM社は、持続可能性に優れた企業を毎年「The Sustainability Yearbook」で公表しており、今年は世界の約3,000 社のうち460 社が「The Sustainability Yearbook 2014」に掲載された。特に優秀な企業を「Gold(金)」「Silver(銀)」「Bronze(銅)」として表彰している。
「Gold Class」に選定された日本企業は同社のほかベネッセ、丸紅、Panasonic、TOTOの各社。
総合地所 業界初のT ポイントサービス導入
総合地所は2月6日、分譲マンション業界としては日本で初めてT ポイントサービスを導入すると発表した。
同社が分譲するマンションモデルルームに初めて来場した人に500ポイント、契約した人に10,000ポイントをそれぞれ提供する。
「T ポイント」は、TSUTAYA 、ファミリーマート、ENEOS、ガスト、ドトールコーヒーショップなどが加盟するわが国最大の共通ポイントサービス。加盟店で買い物をした場合、100 円につき1 ポイントを貯めることができ、1 ポイント=1 円で利用できる。
同社は期間限定として、2 月8 日(土)~3 月31 日(月)にモデルルームを見学した人に通常500 ポイントのところを2 倍の1,000 ポイントを提供する。
3.11からもうすぐ3年 人口は震災前より2.0%、6万人減少
岩手県田野畑村の今年1月の広報紙「たのはた」表紙
福島県の死者・行方不明者3,461人のうち47%が「関連死」
死者15,883人、行方不明者2,643人、住宅の全・半壊399,548棟の被害(平成25年12月10日現在)を出した平成23年3月11日の東日本大震災からもうすぐ3年だ。マスコミは連日復興の模様を伝えているが、記者も少しでも役に立てればと、ほとんどがホームページから拾ったものだが、復興の状況を調べた。まずは人口動態から。
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別表は東日本大震災が襲った東北3県と茨城県の北茨城市と高萩市の震災前と現在の人口を調べたものだ。
震災前の人口は約260万人で、直近の人口は約254万人。減少率は2.0%だ。この減少率をどう見るかだ。復興庁は「被災3県の人口は、減少傾向にあるもののその度合いは鈍化しており、社会増減率は、沿岸市町村においても震災前の水準に戻りつつある」(復興庁ホームページ)としているが、果たしてそうか。
各市町村の人口増減を詳しく見ると、とても「震災前の水準に戻りつつある」などと楽観的な見方はできない。
別表にあるように、震災後、人口が増加しているのは仙台市、名取市、利府町の3市町だ。この3市町を除く沿岸市町村は5.4%も減少している。多数の死者を出した山田町、大槌町、陸前高田市、南三陸町、女川町などは二けたも減っており、女川町は実に25.3%も減少している。
また、254万人はあくまでも住民登録している人の数で、実際に住んでいる人の数ではない。現在でも全国に約27万人いる避難者が住民票をそのままにして、他のエリアに住んでいるケースも相当数に上るはずだ。福島原発による「帰還困難区域」「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」に指定されている南相馬市、浪江町、双葉町、大舘村、楢葉町などは今後どうなるのか皆目見当もつかない。
復興庁などが調査した浪江町の住民意向調査では、回答した約6,000世帯のうち37%の人は「現時点で戻らない」と回答している。避難指示が解除された広野町でも実際に戻ったのは全世帯の35%にあたる686世帯だ。昨年の9月では実際に住んでいるのは10分の1と言われたように「確実に戻ってきている」(広野町役場)のは確かだが、復興には程遠い。岩手県や宮城県の避難者がどのような意向であるかは不明だ。避難者に対する生活支援はエンドレスではない。
東北3県は内陸部の過疎の問題もある。震災前の3県の人口は約571万人だったのが、現在は約557万人で、2.4%減少している。沿岸の人口減少率より大きい。震災復興と内陸部の活性化という二つの大きな課題を抱えている。
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数字を眺めていると、その裏に隠されたものがあぶりだされてくる。見えないものが見えてくる。
その一つが関連死認定の数だ。関連死も含む死者・行方不明者の数は21,139人だが、関連死は東北3県で2,948人にも達している。
岩手県では5,106人の死者のうち8.5%にあたる434人(内陸31人含む)が関連死による死亡と認定されている。大きな被害を受けた釜石市では、死者988人のうち100人(10.1%)が関連死認定を受けている。
一方、宮城県では、死者10,471人のうち関連死は8.4%の879人だ。岩手県と比率的には同じだが、市町村によってかなり差がある。例えば仙台市では908人のうち関連死は27.9%(253人)に上るのに対し、3,518人の死者を出した石巻市の関連死は7.1%で、他の市町村も数パーセントにとどまっている。
興味深いのは福島県だ。同県の震災による死者・行方不明者は3,461人(内陸部含む)で、このうち47.2%に当たる1,635人が関連死だ。福島原発に近い浪江町は499人の死者のうち63.5%の317人が、南相馬市は40.8%、太平洋に面していない飯館村は43人のうち42人が、葛尾村は25人すべてがそれぞれ関連死として認定されている。
関連死について復興庁は次のような報告を行っている。「マスコミは、まるで『心のケア』なる明確なものが存在し、それを行えば様々な被災者の心の問題が解決すると報道する傾向にある。しかし本来は、地域経済・職業・健康状態の改善等、いわゆる生活再建を通して、はじめて被災者の心の健康が回復していくものである。生活不安が解消しない状態では、心のケアは万能ではないことを知るべき」と。
この報告通りだとすれば、太平洋岸に住む人の圧倒的多数は「不安が解消」されていないのではないか。特に福島原発エリアの住民の不安は少なくとも向こう数十年間、あるいはもっと長期間にわたって続くはずで、ヒロシマ・ナガサキのように「関連死」はまだまだ増えるのだろうか。
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各市町村のホームページのスローガンは創意工夫を凝らしているようだ。キーワードは「絆」「こころ」「みんな」「うみ」「ひと」「元気」「希望」「笑顔」「復興」「一丸」「キラリ」「未来」などだ。
記者が惹かれたのは「海と生きる」(気仙沼市)「ともに前へ仙台」(仙台市)「東北に春を告げる町」(広野町)などだ。「海と生きる」は、プロレタリア文学の傑作と言われる葉山嘉樹の「海に生くる人々」(岩波文庫)を連想させるし、「ともに前へ」は、強い意志が込められている。「東北に春を告げる町」とは、真っ先に春めく町なのだろうか。
その一方で、浪江町の馬場有町長が昨年の9月17日付で「東日本大震災および福島第一原子力発電所の事故から2年半が経ちました。この間は、皆さまには故郷を離れて悲しみ・怒り・悔しさが溢れる途方もない苦悩の日々であることを考えますと、胸が締め付けられる思いです」とメッセージを発している。町長はその後メッセージを更新していない。
広報紙は全部見たわけではないが、岩手県田野畑村の今年1月号の表紙が目に留まった。若い夫婦が親子と思われる馬とともに緑一色の牧草地を背景に映っている写真だ。タイトルには「馬いこといく1年に」とある。悲惨な写真よりもいいと思い、田野畑村の広報担当者の了解を得て掲載した。ご夫婦の方も了承してくださったとのこと、「東北の山にも里にも野にも 春よ来い」-この強い願いを込めてお礼の言葉に代えさせていただきます。
次は被災地復興土地区画整理事業について紹介します。
圧巻約34畳の空間提案 日本綜合地所「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央」
「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央」
日本綜合地所が2月に分譲開始する「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央」を見学した。
現地は、千葉ニュータウン中央駅より徒歩5分圏内で地区計画において定めらている集合住宅地区での、最後のマンションプロジェクトである。
最大の特徴は、全217戸のうち専有面積100㎡以上のプランが153戸もあること、同社の実用新案登録済みであるリビングと一体として利用できる奥行き約4m広さ約10畳の「オープンエアリビングバルコニー」付きプランが102戸設定されていることである。また、標準装備として、ビッグウォークインクロゼット、食器洗い乾燥機、床暖房、ペアガラスなどを採用している。
物件は、北総線・成田スカイアクセス線千葉ニュータウン中央駅から徒歩5分、千葉県印西市戸神台一丁目に位置する12階建てと10階建て2棟の全217戸。第1期1次(30戸)の専有面積は100.03~101.42㎡、予定価格は2,900万円台~3,800万円台。全体の坪単価は120万円台の後半になる模様。竣工予定は平成27年2月中旬。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。
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同社の「オープンエアリビングバルコニー」はたくさん見てきたが、居住面積が100㎡もあると圧巻だ。約20畳のリビングや約4畳のオープンキッチン、約10畳のオープンエアリビングバルコニーを含めると約34畳にもなる。億ションならこれほど広い空間を提案したものはあるが、ファミリータイプではまず同社しかない。
坪単価は120万円台の後半になるようだが、もちろんオープンエアバルコニーは共用部分なので坪単価には含まれない(共用部分も分譲価格には含まれるが)。いったいこれを金額に換算したらいくらの価値になるのか。相当の額になるのは間違いない。営業マンがどれだけこの価値をアピールできるかにかかっている。このスペースに天然芝を植えられるようすればさらに価値は高まると思う。技術的には可能なはずで、ぜひ同社に検討してほしい。
もう一つ素晴らしいのは廊下幅だ。幅1.4mというのは同社の「レイディアントシティ横濱」でも採用されていたが、100㎡だとこのような提案ができる。ただ、同社は廊下に隣接した洗面所のクローゼットを大きくしたために、その部分だけ廊下幅が狭まっていた。むしろ廊下としてそのままにし、造りつけの書棚などを提案したほうが使い勝手がさらに良くなると思った。
さらに、2つの居住棟「スカイ・ヴィラ」と「ブラッサム・ヴィラ」の間には全217邸各1台分の無料平置き駐車場を設置している。この駐車場は使用権付きとなっており駐車場を使用しない所有者は他の区分所有者に賃貸することができる。
単価も圧倒的に安い。リーマンショック後には千葉の郊外では坪110万円位のマンションが結構分譲されたが、仕様設備はかなり劣っていた。このマンションは居住性能と設備仕様の高さをどうユーザーにアピールできるかがカギを握る。
もちろん千葉ニュータウンの街がどのような街であるかも伝えなければならない。この点でいえば、多摩市は「多摩ニュータウン」について首都圏の居住者を対象にアンケートを取ったところ、20歳代の若者を中心に「多摩ニュータウン」を知らない人がかなりいたという。われわれの世代には信じられないことだ。
都市再生機構(UR都市機構)は否定的な側面が強調されているが、優れた居住環境のニュータウンを造ってきていることもわれわれは伝えないといけないのかもしれない。
リビングダイニング