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「グレースヴィラ越谷レイクタウン」

 ポラスグループのポラスタウン開発が分譲中の「グレースヴィラ越谷レイクタウン」を見学した。全戸150㎡以上の全31棟の環境共生プロジェクト」。

 物件は、JR武蔵野線越谷レイクタウン駅から徒歩17分、越谷市川柳町6丁目に位置する土地区画整理事業地内に位置する全31区画の規模。敷地面積は153.07~153.59㎡、建物面積は93.88~111.8㎡、価格は4,313万円~4502万円。建物は木造2階建(在来工法)、完成済み。施工はポラテック。昨秋に分譲開始し、これまで24戸が契約済み。

 パッシブデザイン手法を採用して国が定めた「認定低炭素住宅」を、「CASBEE」住まい(戸建て)では「Aランク」をそれぞれ取得しているのが特徴で、各住戸の商品企画にも細かな配慮がなされている。区画割は隣り合う住戸が見合いしないよう棟割りとせず、窓の位置をずらしている。門柱はLED照明を採用。ガーデニングの水栓も門柱に隠れるように設置している。

 そして何より大きな特徴は、同社ならではの1階天井高約2.7mの空間を生かすデザインとしていることだ。モデルハウスの一つ「木くばりの家」では構造材を現わし天井として採用。照明用の移動可能レールも設置している。もう一つのモデルハウス「ビルトインガレージ」では、リビングから愛車が眺められるようにし、その上部は多目的に利用できる空間を提案している。

 これらのプランはどこかで見たような気がしたら、やはりポラスの注文住宅「ポウハウス」のデザイナー百瀬修氏が担当したとのことだった。侘び寂びを採用したデザインの住宅もよかった。

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モデルハウス

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ビルトインガレージ付きモデルハウス

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門柱

ポラス、地震の揺れを動画で見る「倒壊シミュレーション」開発(2013/6/18)

ポラス 新越谷に2棟のモデルハウス 「音楽好き」と「くるま好き」を想定(2010/10/18)

 野村不動産アーバンネットは5月1日、2013年度中古マンション「人気の駅ランキング」を発表した。「広尾」が前年5位から1位に躍進し、2位が「品川」、3位は「恵比寿」。ベスト10は全て都内。都内以外でベスト20に入っているのは神奈川県「溝の口」の19位のみ。

 調査は、2013年4月から2014年3月までに同社の不動産情報サイト「ノムコム」に掲載された中古マンションへの問い合わせ数を駅ごとに集計したもの。

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 結果はなかなか興味深いものではある。「広尾」がとうして1位になったのかよく分からない。昨年は都心の一等地での億ションの供給が少なかったことと関係があるのかどうか。

 ベスト10までは全て都心部。前年29位の渋谷が7位に、18位の「大崎」が10位に上昇しているのが注目される。「渋谷」は「ヒカリエ」効果か再開発期待か。「大崎」は大規模新規が供給されたためだろう。

 「住みたい街」として毎年のようにトップとなる「吉祥寺」が17位に沈み、いつも上位にランクされる「吉祥寺」「自由が丘」「横浜」「武蔵小杉」などがベスト20にも入っていないのは解せない。「辰巳」が前年17位から14位に上昇したのは「湾岸人気」につられたものだろうが、これも不思議。

 結局は「人気」というより、新規とのからみなどで上下しているということだろう。上位にランクされていないところで記者のお勧めはもちろんわが街「多摩センター」だが、都内では「小金井」「国分寺」「立川」「調布」「石神井公園」、神奈川県では「相模大野」「上大岡」「たまプラーザ」「青葉台」「橋本」、埼玉県では「志木」「ふじみ野」「川越」、千葉県では「流山おおたかの森」「柏の葉キャンパス」「柏」「千葉ニュータウン中央」か。

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「おりひめトイレ」

 積水ハウスは5月1日、東日本大震災の教訓を生かし、女性や子どもも快適に利用できる仮設トイレ「おりひめトイレ」を仙台市と共同開発したと発表した。

 防犯ベルやベビーチェア、荷物置き場を設置したほか、ドアを開けたときトイレの中が丸見えにならないような角度にしているのが特徴。開発に当たっては、同社の女性社員や仙台市の女性デザイナーも参加した。広さは約1.85㎡、重さは約500㎏で、トラックに積載して運べるという。

 東日本大震災では、仮設トイレの利用を我慢したために健康被害が生じたことが報告されている。同社が社員やNPOと連携して独自に行ったアンケート調査では、仮設トイレは「汚い」「暗い」「怖い」「使いにくい」などの不満が多く寄せられたという。

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 さすが「なでしこ銘柄」に選定された会社だ。ニュースリリースに添付されている平面図はとても仮設トイレとは思えぬ〝豪華〟なものだ。ドアにはコートフックがあり、防犯ベルがあり、便器は洋式トイレで流水擬音装置付き。

 よくぞやったと拍手喝采を送りたい。というのも、記者も3.11のあと液状化被害を受けた千葉市美浜区を取材したとき、仮設トイレを利用はしなかったが体験しているからだ。

 公園に数個が並んで設置されていたが、見るからに急ごしらえの仮設トイレ然としており、これでは若い女性などは利用しづらいだろうと思った。トイレの中をのぞいてさらにびっくりした。

 便器は和式で、床面より膝頭くらいの高さに設置されていた。50cmくらいか。ステップがあればともかく、これでは小さい子どもやお年寄りは手すりがないと這い上がれないと思った。汚いのはもちろんだ。用を足す考えは吹っ飛んだ。新浦安では、若い女性などは寒い中、10分も20分もかけて駅まで歩いたという話を聞いた。

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 立派なトイレはもちろんいいのだが、トイレを我慢した結果、亡くなった人がいたと聞いて悲しくなった。生きるか死ぬかのときにトイレを我慢するなんて信じられない。我慢せずに人前だろうとなんだろうと堂々と用を足す勇気も必要だ。

 記者の小さいころ、男は当然、女性、といってもおばあちゃんたちだが堂々と立ちションをする姿はごくありふれた光景、日常茶飯だった。

 宮尾登美子さんは小説「櫂」でその様子を克明に描いている。朝日に小水が湯気を立て、キラキラと黄金色に光り、小さな弧を描いて大地を潤し、しぶきが着物の裾にかかる光景は美しいではないか。宮尾さんもきっと立ちションをしたのだろうと想像すると愉快だ。

 最近はないが、昔、郊外の新興団地を取材したときなどは喫茶店などまったくないから、藪の中で用を足したのは一度や二度ではない。

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立地と築年数でしか価値が計れない賃貸市場に一石投じる

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「(仮称)ラコント七左町2丁目」

 ポラスの女性社員が企画開発した初の賃貸アパート「ラコント七左町」を見学した。DINKSのニーズにマッチした企画がヒットし、相場より2割くらい高いにもかかわらず、竣工の時点でほぼ満室稼働になっている。立地と築年数でしか賃料が評価されない賃貸住宅市場に一石を投じる物件だ。

 物件は、東武伊勢崎線新越谷駅から徒歩12分、越谷市七左町2丁目に位置する木造2階建て全6室。専用面積は47.13~54.65㎡。月額賃料は79,000~84,000円。敷金は1カ月。礼金はなし。共益費は4,000円。駐車料は6,000円。入居は3月下旬。

 現地は、区画整理事業によって整備された街の一角にあり、新越谷駅圏でも住宅地として人気が高いエリアに立地。建物は、ポラスの分譲住宅に多くみられる南欧風の外観で、アンティークなフラワーボックスなどを配することで一戸建て感覚を演出しているのが特徴の一つ。

 住戸プランは、1階が3室、2階が3室だが、各住戸の玄関を1階に集約し、共用廊下や階段がない重層長屋タイプ。住戸内はポラスの戸建ての商品と似ており、壁面ニッチ収納、カウンター収納、DENスペースなどを設けている。ヨガやストレッチスペースとして使えるようリビングを広めにしているものやバルコニーがないタイプもある。

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 記者は賃貸アパートのことはよく分からないが、間口の狭い箱型住宅を積み重ね、外階段にバルコニー付きというのが通り相場だろう。この物件は全く違っていた。外階段がないのには驚いた。

 住戸プランも、30㎡とか40㎡を想像していたが、分譲マンションのDINKS向けタイプとほぼ同じ50㎡前後あったのにも驚いた。いくらレンタブル比が高い賃貸だって90%くらいだろうが、ここは100%近いはずだ。

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フラワーボックス

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 商品企画を担当したポラスグランテック営業課企画営業係チームリーダー係長・飯村隆志氏から話を聞いた。

 商品は相続税率アップ、基礎控除額の減額など相続対策として企画されたものだが、立地と築年数で賃料が決まる賃貸市場では他社と同じ商品は賃料値下げ圧力、空室リスク、修繕費負担など資産劣化を抱え込むことになり、競争に勝てないと判断。どこにもない〝ニッチ〟に的を絞ったのが特徴だという。

 居住性を高め長く住めるように広めのプランにし、管理コストを抑えるためレンタブル比をほぼ100%にしたのもそのためだ。商品化にあたっては21営業所で約20,000戸の管理をしているグループ会社の中央ビル管理とも連携している。

 飯村氏は、「この物件を含め戸田、蒲生とあわせ3棟が満室稼働。当面の目標は当社の事業エリアの各駅で3棟。オーナーの代替わりも進んでおり、2代目を巻き込んだ事業を展開していく。オーナークラブは300人を超えている。地域にねざした狩猟型ではない農耕型で、普通のアパートではないオンリーワンの商品を提案していく。秋には新しいこれまでにないタイプの新商品も発表する」と話した。

 良質な賃貸アパートが増えることは大歓迎だ。賃貸が劣悪だから分譲マンションが売れるのだが、賃貸の質が低いからこそ分譲のレベルも抑えられる相関関係にある。本来は賃貸も分譲も同じ選択肢としてユーザーが考えられるような市場であるべきだ。その意味で、この物件はよくできたと感心する。

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 見学はもともと予定に入っていなかった。他の業界紙の若い男性記者が見学するのに同行させてもらったのだ。その記者が決してお世辞ではない「僕も住みたい」と感嘆の声を上げたのには驚いた。

 記者もいいプランだとは思った。6室のうち1室はポラスがモデルルームとして利用するために借りているが、他の部屋は1月から募集を始め3月までにはすべて満室になったというのも納得できた。

 しかし、世間が何と言おうと断じて高齢者ではないと思っている自分が住みたい家ではない。リビングの天井には物干しポールが設置されていたのは理解できても、一見して女性が好みそうなピンクのソファやら家具が設えてあったデザインは私好みではない。

 設計を担当したのはポラスグランテック設計監理課係長・岸野真奈美氏だ。商品企画にはポラスグループで賃貸管理業を展開する、中央ビル管理営業推進課の堀切広美氏も参画し、現場サイドの声を反映させているという。

 プラン、インテリアは住宅選考で女性が主導権を握っていることを考慮したものであるのだが、この若い男性記者もまんまと岸野氏の計略にはまったようだ。家庭では奥さんの言いなりになっているのだろう。実際の入居者も、女性だけでなく男性からの反響も大きいという。

 同社の新しい商品のヒントはここにある。記者には理解できないが、ターゲットは女のような男であり、男のような女だろう。違いますか? 飯村さん、岸野さん、堀切さん。

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バスルーム

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「ルナ越谷レイクタウンクルムのまち」

 創建が分譲中の建売住宅・建築条件付き土地分譲「ルナ越谷レイクタウンクルムのまち」を見学した。競合物件が多い中、「外断熱」を前面に押し出し、コンスタントに成約している団地だ。

 物件は、JR武蔵野線越谷レイクタウン駅から徒歩15分、越谷市越谷レイクタウン特定土地区画整理事業区域内に位置する全80区画。現在分譲中の建売住宅(3戸)の価格は3,580万〜4,450万円、土地面積は151.49〜165.42㎡、建物面積は114.12〜116.94㎡。建物は木造2階建て(外断熱工法)。建築条件付土地分譲(29区画)は、価格が1,680万〜2,280万円(最多価格帯2,100万円台)。

 昨年10月から分譲開始しており、これまで21戸・区画が契約済み。営業部チーフの宮澤太一氏は、「外断熱を前面に押し出し、コミュニティを大事にしていることを訴求している。月3~4棟の契約ペース」と話した。

 大手との競合は避けられないが、外断熱のよさをどこまでアピールできるかがカギだ。「外断熱」のよさは、実際に体験してみないと分からない。同社はモデルハウスの体験宿泊も行っている。

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モデルハウス リビング

創建 首都圏進出10年 初の「心伝える 感謝のつどい」約960名が参加(2014/4/29)

 「士」の印籠を振りかざすのかイチジクの葉っぱか

 宅地建物取引主任者(宅建主任者)を「宅地建物取引士(宅建取引士)」に〝昇格〟させる議員立法を自民党が作成中であることを業界紙が報じた。手元に法案に関する資料がないからよく分からないが、現行の試験制度はそのままにし、宅建取引士に公正かつ誠実に行う義務を課し、信用失墜行為の禁止などを求め、能力向上に努める規定を新たに設けるようだ。そのための宅地建物取引業(宅建業法)の一部を改正する法案を今国会に提出するという。

 宅建主任者を宅建取引士に昇格させる話はずいぶん前からあったので驚きはしないが、どうして現行の宅建主任者を「士」にしなければならないのか、その理由が全く分からない。宅建主任者の資質を向上させるため、現在、約90万人いる宅建主任登録者の資格をはく奪・ご破算して再試験を行うというのなら意味はあるが、名称だけ変更し、新たな「士」に何を求めるのかが分からない。

 名称を「士」に変えたところで、山積する問題の解決につながらない。むしろ「士」を隠れ蓑にした新たな儲け先を企図する陰謀ではないかと勘繰らざるを得ない。

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 宅建業界の現状を概観するとこうだ。この数字を見るだけでもどうすればいいかの課題も見えてくる。

 国交省のデータによると、平成25年3月末の全国の宅地建物取引業者(宅建業者)の数は約12万業者だ。平成4年の約14万業者から14.1%減少している。このうち約85%が5人未満の業者で、従事者は約52万人。

 記者は、この宅建業者の数は極めて多いと思っている。街の商店などはどんどん姿を消しつつあるのに、宅建業者はしぶとく生き残っている。個人業者の平均年齢はずっと右肩上がりだ。24年度は63.9歳だから、あと1~2年には高齢者人口に仲間入りするのは間違いない。

 総務省の平成18年度のデータによると、いわゆる街の不動産屋さんと呼ばれる「不動産賃貸・管理業」は約25.5万で、420の事業分類でトップに君臨している。「食堂・レストラン」の約23.5万、「医療業」の約23.3万、「教育・学習支援業」23.2万、「バー・キャバレー」の約15.2万などをしのぐ。

 一方、宅地建物取引主任者(宅建主任者)の平成24年度末の登録者数は約90万人で、平成14年の約71万人と比べると27.0%増加している。

 宅建主任者も多い。主任者登録者のうち仕事に従事している専任の取引主任者は約20万人で、1業者当たりの平均取引主任者数は1.6人だ。宅建主任者の資格者が90万人もいるのだから、資質はともかく人数に不足をきたすことはないはずだ。問題は質だ。この資格者を含め不動産業界で働く人がすべて社会から評価されるようにするのが先決だ。

 また、平成23年度の宅地建物取引業法(宅建業法)違反は免許取り消し216件を含む358件で、そのほかに勧告・指導を行ったものが793件ある。違反、勧告の数値はこの10年間でほとんど横ばいだ。

 この数が多いのか少ないのか。記者は判断できる材料がないが、以前と比べれば違反件数は激減したのではないか。バブル崩壊前は、都内などのミニ開発の建売住宅の大半は違反建築だった。違反を摘発するパトロールが行われたが、これなどは「違反に厳しく対処している」というアリバイづくりでしかなかった。

 違反は減ってはいるが、詐欺師そのものの不動産投資の勧誘を行うあくどい業者が後を絶たない。資産などまったくない記者の自宅に電話してくるくらいだから、「振り込め詐欺」と同じ被害者がいなければいいがと心配している。

 宅建主任者が取得しなければならない宅地建物取引主任者資格の試験(宅建試験)もなかなか理解しづらい制度だ。

 受験資格に年齢制限がないため、過去の最年少合格者は小学6年生だし、最高齢者は90歳のおじいちゃんもいた。宅建主任者は、単に重要事項の文章を読んで聞かせるだけではない。相手に理解させるのが目的だ。小学生や高齢者でも合格できる制度が適当かどうか考えるべきだ。ペーパーテストのみで資質まで見抜こうとするからこうなる。記者は、20年くらい不合格になっても「俺がルールブックだ」と豪語した立派な営業マンを知っている。

 合格点も一定していない。本来、資格試験は一定の資質を問うものだから、試験の難易度は一定であるべきだが、そうなっていない。毎年のように合格基準は変わる。平成2年は50点満点のうち26点で合格という国家資格の格を問われる失態をやらかした。逆に不動産不況で需要が減退したときは、36点でないと合格できなかった年もあった。一定の合格者を確保したい各都道府県関係者と、一定のレベルを確保したい試験機関が綱引きをするからこのような結果になる。試験が形骸化し、調整弁の役割しか果たしていない現実がここにある。

 過去の試験問題が参考にならなければ、受験者も講習屋もパニックになる。とくに過去問題を必死で取り組んでいる受験者にとっては災難だ。

◇       ◆     ◇

 記者は、そんな呼称の変更よりも現行の宅建業法を徹底させることが重要だと思う。

 宅建業法の第1条では、「この法律は、宅地建物取引業を営む者について免許制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うことにより、その業務の適正な運営と宅地及び建物の取引の公正とを確保するとともに、宅地建物取引業の健全な発達を促進し、もつて購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化とを図ることを目的とする」と高らかに宣言している。この目的の実践あるのみだ。

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 「士」について参考になる、沖縄の泡盛を「全国区」にし、中小企業研究の第一人者として知られる明治大学名誉教授・百瀬恵夫氏の文章を紹介する。

 百瀬氏は共著「『武士道』と体育会系 <もののふの心>が日本を動かす」(発行:第三企画出版)で「『武士道』とは、日本人が長い歴史をかけて磨き上げてきた『もののふの心』というべき精神性の基盤である。残念ながら、現在は『武士道』精神に代表される日本人の伝統ある美しいならわしが大きく損なわれてしまった。…それが、多くの社会問題の原因ともなっているのは疑いない」「先見性に富み、潔く、清々しい心を持つ日本人はどこへ行ってしまったのか。『もののふの心』をもう一度見直し、日本人がそこから広く新しい道を切り開いていくことが今、われわれに問われているのではないか」と記している。

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 ある業界紙のコラム氏は、「『士』への名称変更は、不動産業界で働くすべての人たちが、顧客を決して裏切らないプロフェッショナルになることを誓うような証(あかし)のようなものであろう」と言い放った。

 記者もコラム氏の言うように宅建主任者であろうと宅建取引士であろうと名前はともかく、真に「士」のように崇められるプロになってほしいと願う。しかし、今検討されている問題は、「士」の印籠を振りかざし、イチジクの葉っぱのように恥部・暗部を覆い隠し「身の証」を立てようという狙いが見え隠れする。「顧客」とはいったい誰のことかも書いてほしかった。

積水、ダイワ、ポラスなどと対照的な驚愕の戸建て

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本来あるべき戸建て分譲の街並み(左がハウスメーカーの停止条件付き戸建て、右がポラスの分譲戸建ての住宅は北道路だが、隣接する住宅が美しいことから、南道路の住宅より人気が高かったそうだ)

 以下の記事は、先に書いた創建の「感謝のつどい」と、改めて書く越谷レイクタウンにある同社やポラスの記事と一緒に読んでいただきたい。

 創建が「感謝のつどい」を開いた前日、2時間かけて越谷レイクタウンの戸建てを見学した。

 越谷レイクタウンはUR都市機構が開発主体となり、平成22年に街開きした約225.6haの区画整理団地だ。駅前には国内最大級のイオンレイクタウンやマンション、一戸建てなどが建設されており、まだまだ開発途上だ。

 一戸建ては、駅前に大和ハウスが開発した見事な団地があり、積水ハウス、ミサワホーム、ポラスなどの戸建てもゆったりとした敷地にみどりをふんだんに配したのが特徴だ。創建は外断熱で大手に対抗していた。

 これらの一戸建てと明らかに異なる対照的な街区があった。単調な建物が連たんし、庭・エントランスには樹木は1本も見当たらないばかりか、敷地は全てコンクリートで固められていた。雑草すら生えていなかった。

 記者は数年前から、いわゆるパワービルダーの建売住宅は見ないことにしている。見る価値がないからだし、見ると劣悪な建物に腹が立つからだ。この日見た建物は想像を絶するものだった。まるで地面の下には観てはならないものが隠されているような風情だった。

 住宅の質を左右するのはもちろん敷地の広さやデザインだが、樹木などみどりも大きな役割を果す。それが1本もないとはどういうことか。怒りがこみ上げた。どうしてこうなったか、どうすべきか書かざるを得ない。

 まずUR都市機構に提言したい。土地をその建売り会社に卸したのはURだ。このエリアには地区計画の網が敷かれており、その街区は「良好な低層住宅の環境を保全する」地域に指定されている。1区画150㎡以上とか、建物の壁面後退、色彩、生け垣や柵の形状などがこと細かに定められている。どういうわけか、緑化率には規定がない。緑がまったくない一戸建ての街がどうして良好な低層住宅地を形成するのか、URは答えるべきだ。緑化率を40%とは言わない。せめて30%は確保するようデベロッパーに求めるべきだ。

 越谷市には注文をつけたい。地域住民とともに地区計画を改正し、是非とも緑化率の規定を盛り込むべきだ。悪貨は良貨を駆逐する。たとえ少ない街区でも街全体の価値の低下を招き、固定資産税も減り、やがては空き家となり頭痛の種になる。

 この建売り会社には苦情を申し立てる。大手と対抗するためには価格の安さを前面に打ち出さざるを得ないのは理解できる。しかし、良質住宅を供給して地域に貢献するのがデベロッパーの役割ではないか。地面の下では芽を出せない雑草が怒りで煮えくり返っているはずだ。もう一度、原点に戻って建売り会社とは何かを考えてほしい。

 ユーザーには注意を喚起する。こんな建売りを買ってはいけない。買ったその日から価値は半減する。安もの買いの銭失いだ。売りに出したときは二束三文に買い叩かれる。自分の家だけが評価されるのではない。街としての価値が評価されることを肝に銘ずべきだ。資金が不足するのだったら10年間、飲まず食わずの辛抱をして頭金を蓄えることだ。1,000万円も貯めれば、大手の住宅が買えるはずだ。

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越谷レイクタウンの空き地で摘んだ雑草(ポピー、タンポポ、ハナニラ、ハルジオン、アカツメグサ、シロツメグサ、ジシバリ、チガヤ)

創建 首都圏進出10年 初の「心伝える 感謝のつどい」約960名が参加(2014/4/29)

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創建「心伝える感謝のつどい」(帝国ホテル 孔雀の間で)

 創建は4月29日、同社の首都圏の住宅を購入したお客さんを対象にした第1回「心伝える感謝のつどい」を帝国ホテルで行った。約260組960人が参加した。

 冒頭挨拶に立った吉村孝文社長は、次のように感謝の言葉を述べた。

 「今年で創業31年、首都圏に進出して10年目。3年前にも行なう予定でしたが、東日本大震災があり、当社もリーマンショックの影響で初めて赤字を計上して中止しました」

 「私が創業以来ずっと考えているのは〝倒産させてはいけない〟ということです。倒産はお客さんに対する裏切り行為です。ですから他の事業には手を出さない、本業に徹しています。さらに社是として〝感謝、希望、工夫、改革、感動〟の5つのKを掲げていますが、大事なのは、利益優先ではなく、お客さんに対する感謝、感激の気持ち。これからも建ててよかった、出会えてよかったと思っていただくように邁進します」

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挨拶する吉村社長

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 「感謝のつどい」に参加した公務員のSさん(37)に話を聞いた。Sさんは奥さんとお子さん2人の4人家族。稲城市の「ルナオーヴ若葉台」(108区画)を購入して3年目だ。

 「それまで住んでいた溝の口のマンションを売却して購入しました。住環境がよく土地が170㎡と広いのが決め手。まるで公園の中に住んでいるようで、外断熱も快適。最寄り駅の若葉台駅までは自転車通勤。勤務先の大手町までは約1時間」と、住み心地を語った。

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 同社は平成16年に首都圏進出。翌年、第一号として千葉ニュータウン・西白井で86区画の戸建てを供給開始。これまで670戸を供給。現在173戸を販売中。今後約190戸を予定している。2006年からは外断熱工法の供給を開始している。平成25年5月期の売上高は157億円。

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右は同社のマスコット「創犬(そうけん)」くん

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「グローエアーキテクトクラブ」セミナー(グランド ハイアット東京で)

 ドイツの水栓金具のトップ企業GROHE(グローエ)ブランドを輸入販売するグローエジャパンが4月23日に行った「GROHE ARCHITECT CLUB(グローエアーキテクトクラブ)」のキックオフイベントを取材した。建築家など約150人が参加した。

 「GROHE ARCHITECT CLUB(グローエアーキテクトクラブ)」は、建築家と消費者・施主をつなぐプラットホームで、同社が世界の最新の情報を提供するとともに、わが国の水回りをより豊かにすることを目的に昨年発足。4月には、グローエ製品を使用した建築家の施工実績を「採用事例」として掲載するWebも開設する。

 当日は、グローエ関係者からコンピュータによる最新の設計技術やデザイン、今後の世界的な潮流などが紹介された。

 記者も、グローエが高いクオリティやテクノロジーをデザインによっていかに感性の高い商品にするか、サステナビリティを重視しているかがよく分かった。1坪サイズが主流の浴室については、SPAやセラピー、可動式なども提案していくという話は説得力があった。

 グローエはLIXIL傘下になったが、ドイツの最高レベルの商品とわが国の技術・文化の融合がありそうだ。

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 記者は建築については素人だし、建築家(一級建築士)について語る資格はない。しかし、言わざるをえないことがある。以下は誤謬・偏見に満ちたものかもしれないが、考えていることをそのまま書く。

 医師や弁護士と同様、建築士が世の中から「先生」と崇められるのは当然だ。一つ間違えれば人命にかかわる仕事をしている。高い志がなければ建築士は務まらない。

 ところが、世間から注目され、尊敬される建築家はほんの一握りに過ぎないことを見聞する。仕事がないから、地上げ屋まがいの仕事をしている人もいる。

 なぜ「先生」と尊敬されながら、一部の人しか食べられないのか。その根本理由は分からないが、建築士に決定的に欠けるのは営業力、プレゼン能力ではないかと思っている。「士」プライドが許さないのか邪魔をするのか。自ら頭を下げることはしないし、卓越したデザイン力を簡潔にアピールする術も持っていない人を多く見てきた。

 もう一つ、こちらがもっと重要だと思うのが、世間、ユーザーのことをご存じないということだ。ユーザーとは、建築士にとって一般のお客さんではなく、コンペ狙いのゼネコンやデベロッパー、公共団体ではないか。これらの顧客ばかりを見ているから、背後にいる真のユーザーが見えてこない。

 マンションでいえば、消費者が何を志向しているか、家事労働・動線を理解していないと設計などできないはずだが、これが欠落している。真のユーザー、つまり消費者を知らないのだから、ゼネコンやデベロッパーに媚びる、言いなりになる以外に方法はない。だから似たり寄ったりの経済設計しかできないのだと思う。

 ユーザーを理解しないのは建築士だけではなさそうだ。不動産鑑定士にしてもそうだ。

 鑑定士の世界では〝クライアント・プレッシャー〟なる意味不明の言葉がまかり通っている。つまり、公正中立な不動産鑑定を行うのを妨げるプレッシャーをクライアント、お客さんから受けるというのだ。何の商売でも相手の要求を喜びではなくプレッシャーと感じたらおしまいだ。一歩も前に進めない。かといえば、クライアントのためなら公正中立をかなぐり捨てて、ろくに現場を見ないで注文通りの査定をする鑑定士もいるようだ。

 このように「士」が生きづらい世の中になってきたというのに、あろうことか、宅建取引主任者を「宅建取引士」に〝昇格〟させる動きがある。まさか呼称だけ変えようということではないだろうが、全国に100万人近くいる宅建主任者をダシにしてひと儲けしようという企みが見え隠れする。今やるべきことは主任者の資質の向上だ。講習屋を儲けさせるための、一定の人数だけを確保するためとしか思えない宅建試験は根本的に見直すべきだ。

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「今後も定期的にセミナーを行なっていく」と挨拶したグローエジャパン・森一幸社長

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 話しが横道に外れてしまったが、この日のセミナーに参加した建築士の皆さんはレベルが違っていた。セミナーが始まる前の雰囲気からして違っていた。さすがドイツ、グローエだ。BGMで流れたのはぺートーベンの第九第4楽章の冒頭の部分だ。いったいわが国を代表する音曲はあるのか。まさか「スキヤキソング」でもないだろうし、結局は誰もが聞いたことのないような雅楽におちつくのか。

 プレゼンを行ったドイツのグローエ関係者が話したのは英語だった。記者はちんぷんかんぷん。同時通訳のイヤホンで日本語を聞くしかなかったが、約150人の参加者でイヤホンを耳にしたのはざっと半分、多くみても6割ぐらいだった。これには驚いた。端から聞く気がない人はいなかったはずだ。通訳なしで建築に関する専門の話を理解できるのだから、間違いなくグローバルに活躍できる資質の持ち主ばかりだと記者は理解した。

 「参加者の方からコメントを取りたいのですが」とグローエジャパンの広報担当者に聞いたら、「そこにいらっしゃる南部さんはいかがですか」と勧められた。〝南部さん〟? どこかで聞いたような気がした。

 早速、名刺交換した。肩書には「フォワードスタイル代表取締役社長 南部昌亮」とあった。南部氏から先に声をかけられた。「牧田先生、いつも記事を拝見しています」 

 ここで南部氏が野村不動産の「プラウド」やモリモトのマンションの優れたデザインをたくさん手掛けていらっしゃる「先生」であることと、かつてある建築家を「先生」と呼び、「私は先生と呼ばれるほど馬鹿ではない」とやり返されたのを同時に思い出した。すかさず南部氏に「私は先生などと…」としゃべりそうになったのをぐっと堪えた。記者は馬鹿そのものだからだ。返す言葉がない。

 その南部氏から紹介されたのが押野見邦英氏だった。押野見氏は、圧倒的な人気を呼んだ三井不動産レジデンシャルの「パークコート千代田富士見ザタワー」の専有部分のデザインを鬼倉めぐみ氏とともに担当された方で、モリモトの成城学園、大井町、南品川などの繊細なデザインに記者がほれ込んでいる「先生」だ。早速、記念写真を撮らせていただいた。

 鬼倉氏は三井不動産レジデンシャルの「千鳥ケ淵」や「麻布霞町」も担当しており、近く公開されるモリモトのマンションを手掛けるそうだ。モデルルームがオープンしたら取材してレポートしたい。

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南部氏(左)と押野見氏

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「ザ・パークハウス上野」完成予想図

 三菱地所レジデンスが5~6月に分譲開始する「ザ・パークハウス上野」を見学した。同潤会アパートとして最後まで残っていた「上野下アパート」の建て替えマンションで、東西軸が長い敷地形状を生かした全戸南向きのワイドスパンプランがいい。

 物件は、東京メトロ銀座線稲荷町駅から徒歩1分、またはJR山手線・京浜東北線上野駅から徒歩8分、台東区東上野5丁目に位置する14階建て全128戸(事業協力者住戸52戸含む)。専有面積は25.17~75.26㎡、価格は未定だが、坪単価は280万円台になる模様。竣工予定は平成27年8月下旬。施工は東亜建設工業。

 現地は、稲荷町駅から徒歩1分だが、表通りから一歩入ったところで、すぐ近くに銭湯があるようにまだ下町の風情が残るところ。用途地域は商業地域で、前面道路の幅員は6m。前建の影響は受けるが、高層建物は1棟くらいしかない。

 敷地が東西軸に細長い形状を生かしたプランが最大の特徴。1階は駐車場や店舗、共用施設で、2~5階まではコンパクトタイプが中心。6階以上の62㎡プランでも間口は約8.5mのものや、75㎡では12.8mのものもある。全住戸の6割ある逆梁タイプにはバルコニーに花台を設置しているのも特徴のひとつ。

 2週間前に予約制の事前案内会を開始したばかりだが、平日でも全て満席。約100組の来場者がある。

◇     ◆   ◇

 説明を受けたのは同社街開発事業部主任・上村剛司氏。「単価はいくらですか」と聞いたら、「いくらだと思いますか」と返された。「坪275万円はどうですか」と答えたら、上村氏はしばし沈黙。顔には「そんなに安いはずないでしょ」と書いてあった。

 記者だってそんな反応が返ってくるのは百も承知、千の風だ。鎌をかけたわけではなく、ストレート勝負で聞いたのだが、皆もの上がる春の風をしっかり読んでいる。そこで「290万円でも高い」と返した。上村氏は「まだ決まっていませんが…」と即答はしなかったが、当たらずとも遠からず。280万円台に落ち着くことを匂わせた。いい線だ。

 台東区の人は、「320万円の武蔵小杉よりどうしてそんなに安いのか」と抗議するかもしれないが、新幹線の始発駅を東京に奪われてから23年。あのころから上野の地盤沈下は始まり、加速している。「ああ上野駅」「上野発の夜行列車…」 演歌のメッカはかつて昔だ。最後の砦というべき常磐線・高崎線・宇都宮線も来年には東京乗り入れになるのではなかったか。山手線で坪300万円以下のマンションが買える-これが上野のいいところだ。

 三菱地所レジデンスは、「18坪の3LDKですが、ワイドスパンなので70㎡の機能があります」とは言わないだろうが、それに近いことはアピールしていい。

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75㎡のプラン

最後の同潤会「上野下アパート」 三菱地所レジデンスが現地見学会(2013/5/8)

 

 

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