三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス新越谷」 坪185万円の高値で挑戦
「ザ・パークハウス新越谷」完成予想図
三菱地所レジデンスが2月に分譲する「ザ・パークハウス新越谷」を見学した。新越谷駅近に残された唯一の一等地に立地するマンションで、好立地にふさわしく、ここ数年間でもっとも高い単価で同社は挑戦する。
物件は、東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)新越谷駅から徒歩3分、越谷市南越谷4丁目に位置する15階建て全156戸の規模。専有面積は66.27~85.43㎡、1期(戸数未定)の予定価格は3,398万~5,588万円、予定坪単価は185万円。竣工予定は平成26年12月下旬。施工はフジタ。
駅近の商業地ではあるが、敷地東側を除く3方が道路に面しており、開放感があり南向きの3LDKファミリータイプが中心というのが特徴。食洗機、ディスポーザー、床暖房などが標準装備。引き戸は戸当たりも含めソフトクローズ機能付きで、浴室のシャワーのスライドバーは2カ所に設置。
これまで約200件の来場があり、1期は70~80戸が予定されている。販売担当者は「これまで新規供給がなく待ち望んでいらっしゃった方の来場が多く、競合物件もない。早期完売が期待できる」と話した。
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今年初めて見学したマンションだったが、予定単価はほぼ予想通りとなった。
東武伊勢崎線は、かつて記者も〝魔の伊勢崎線〟と名付けたようにグロス志向の強い沿線として知られており、一定の価格以上になるとばったりと売れ行きが止まる傾向にある。
しかし昨年8月、現地に販売予告の看板が出ていたとき「間違いなく坪単価は180万円を突破する」と読んだし、高値に挑戦すべき物件だと思った。ユーザーにとって価格は安いほうがいいに決まっているが、デベロッパーは街のポテンシャルを高めるという役割も担っている。このマンションがその役割を果たすべきだと判断した。その願いがかなったのがうれしい。
同駅圏での最近の最高単価は、扶桑レクセル(現大京)がリーマンショック前に分譲した物件の187万円だ。瞬く間に売れたのには驚いたが、今回は果たしでどうなるか。
中庭
大成有楽不動産 「OBER(オーベル)」リブランディングをスタート
新しいロゴマーク
大成有楽不動産は1月7日、新築マンションブランド「OBER(オーベル)」の価値向上を図るためブランドコンセプトを再構築し、新たなコンセプトに基づく商品やサービスを提供していくリブランディングを1月からスタートさせたと発表した。
大成建設グループの不動産事業を展開する「有楽土地」と建物管理事業を担う「大成サービス」とが合併して誕生した「売主・管理一体」の体制を活用することで、「デザイン性」「居住性能」「品質管理」「マンション管理」という普遍的な価値を軸にして、住んだ後のことを考えてマンションを「つくり」、住んだ後もお客様と一緒に末永く建物や暮らしを「守っていく」としている。
「OBER(オーベル)」ブランドの新しいコンセプトを分かり易く伝えるために、「住まうほどに、愛おしくなる。」というタグライン(ブランドメッセージ)や「フィロソフィ」「新ロゴ」を定めた。
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同社は平成24年4月、大成建設の完全子会社である「有楽土地」と「大成サービス」が合併して誕生した会社だ。新会社になったときからずっと新機軸を打ち出すのではないかという予感があった。ユーザーに「なるほど」と思わせる分かりやすいブランドコンセプトを打ち出さない限り、「グループ企業の収益力を強化し総合力を高める」ことにはならないし、由緒ある「有楽土地」を消滅会社にした意味がないと考えていたからだ。
この記者の予感を確信に変えたのが、昨年見学した「オーベル芦花公園」だった。敷地内にあった既存樹をたくさん残したが、そのうちの10本以上が世田谷区の保存樹に認定された。このような例はまずない。
その後、「オーベル明石町」「オーベル東中野」などを見学したが、「明石町」は大成建設の免震構造を採用し、「東中野」はLDの位置を無償で変更できる意欲的なマンションだった。
今回打ち出したリブランディングがどのように実際の物件に具現化されるのかしっかり確かめたい。
ケン・コーポレーション田中健介会長が死去
ケン・コーポレーションの創業者で代表取締役会長・田中健介氏が昨年12月25日、死去した。享年74歳。
故人の遺志により通夜、葬儀は近親者のみで執り行われた。後日、「お別れの会」を行う予定。
田中氏は1939年生まれ。愛媛県出身。1964年早稲田大学卒。1972年12月、ケン・コーポレーション設立。2013年9月、代表取締役会長就任。
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田中氏はRBA野球大会の顧問を第1回大会から務められていた関係で、記者も20年間ぐらいお付き合いさせていただいてきた。「民間外交の役割を果たしてきたRBAは100人分ぐらいの外交官の価値がある」と話されたのが忘れられない。
また、第13回大会の決勝戦で三井不動産に敗れたとき、自ら率先して「三井さん、ありがとう」とスタンドからエールを送られ、ドーム全体が大合唱に包まれたのも強烈な印象として残っている。礼儀正しい方だった。茶目っ気もあり、時には英語を流暢に操りいつも周囲の人を笑わせていた。
本業については平成18年3月に取材したとき、次のように語った。
「私は創業以来、信用、信頼、コンプライアンスを最重要視してきた。信用は無限の資本金だ。今日のグループ企業の発展やJリートへの参入、ホテル事業など多角的なビジネスが実現できたのもまさに信用のお蔭。規模でナンバーワンになるより、信用でのオンリーワンだよ」「KENのDNAはしっかりプリントされている。後継者に心配はない」
今だから書くが、こんなエピソードもある。取材を終えてからゴルフ談義になり、社長室で田中氏はピッチングを持ち出し、6メートルぐらい離れた小さな的に当てるゲームを始めた。10打のうち半分ぐらいは的中しただろうか。田中社長は「普段はもっと入るんだ」と悔しがった。そんな姿を見て記者は「社長業は孤独なもんだなあ」と思った。
心からご冥福をお祈りいたします。合掌
マンション建築費上昇 住宅着工統計でも顕著
マンションの建築費の上昇が住宅着工統計でも顕在化している。東京都では2年前と比較すると約5%上昇しており、被災地の宮城県では25%もアップしている。
国交省が発表した平成25年11月の住宅着工統計によると、鉄筋コンクリート造による分譲共同住宅の坪単価は東京都が72.6万円、神奈川県が69.3万円、埼玉県が66.0万円、千葉県が59.4万円となっている。また、1戸当たりの価格は東京都が1,579万円、神奈川県が1,443万円、埼玉県が1,540万円、千葉県が1,836万円となっている。被災地の宮城県の坪単価は66.0万円で、1戸当たり価格は1,813万円だ。
これらの数値を平成23年の平均値と比較すると、坪単価は東京都が4.8%、神奈川県が10.5%、埼玉県が11.1%、千葉県が5.9%、宮城県が25.0%それぞれ上昇。1戸当たり価格は神奈川県が14.4%減少した以外は、東京都が1.0%、埼玉県が3.6%、千葉県が25.8%、宮城県が18.7%それぞれ上昇している。
単価上昇がストレートに1戸当たり価格に反映されていないのは、専有面積の圧縮を図り価格を抑えたり、あるいは市場ニーズに対応して広くしたりしているためだ。東京都の単価が相対的に高いにも関わらず1戸当たり価格がそれほど上昇していないのはその典型例だ。
単価上昇はまだ序の口と思われ、デベロッパーはいかに価格を抑え工期の平準化を進めるかが課題となっている。
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住宅着工統計の「工事費」とは、躯体工事費と建設設備費を合わせたもので、工事に伴う地盤調査、既存たてものなどの除去費用、設計・監理費、近隣対策費などは含まれないので、広義の工事費ではない。また、工事費予定額であって実際に要した工事費ではない。この種の統計では低めに設定される傾向があり、工事予定額を100とすると実際の額は100~102が目安とされる。
三菱地所 年末年始の商業施設 記録的な賑わい
丸の内オアゾ/鏡割り
三菱地所の年末年始の商業施設がどこも記録的な賑わいとなった。
「プレミアム・アウトレット」は、元日休業の仙台泉、昨年4月開業の酒々井を除く御殿場・りんくうをはじめ7施設の元日の売上げが歴代日商1位を記録。12/21~1/3までの年末年始の売上高は、2012年12月に増床を行った神戸三田を除き、前年比でおおむね二ケタ増。店舗の入れ替え効果が奏功した御殿場は前年比3割増。国内客の来場増に加え、インバウンド客としてインドネシア・タイ・中国からも多数来場した。
丸ビル、新丸ビルなど5つの「丸の内」ビルは東京駅改装効果もあった前年を上回る売上げを記録。年始の2日の売上は新丸ビルで歴代2位、丸ビルが歴代4位となった。また、みなとみらいエリアの「MARK IS みなとみらい」の2日の初売りは開店待ちで約1500人が並び、グランドオープン翌日の6月22日に次ぐ開業来2番目の売上を記録した。
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記者の年末年始は寝正月だったため街の賑わいは実感できなかったが、ここ5年間、渋谷オーチャードホールのニューイヤーコンサートを聴きにいっているわが社の女性社員は「全席満席だったため初めて大入り袋をもらった。新しい5円玉が入っていた。とてもうれしかった」と話していた。
「旧耐震マンション 何も検討しない」選択肢はない アークブレイン・田村氏
三井不動産&三井不動産レジデンシャル「マンション再生セミナー」
三井不動産と三井不動産レジデンシャルが12月8日に行なった「マンション再生セミナー」で、建て替えの留意点について講演したアークブレイン・田村誠邦社長(明治大学特任教授)の講演内容を紹介する。
田村氏は、次のように話した。
①耐震性に不安のある旧耐震マンションについては、早晩、耐震補強を含む大規模修繕か建て替えるか選択が迫られる。何も検討しないというのはあり得ない
②大規模修繕か建て替えかという検討は、できるだけ客観的にかつ各組合員の参加を促進することが必要で、当初から「建て替え検討委員会」などと選択の幅を狭める名称は使うべきではない
③建て替えの場合、これまで自己負担なしに建て替えられた事例は条件に恵まれたためで、今後は自己負担を覚悟しなければならない
④今後は平均還元率に代わるマンション建て替え判断基準が必要で、「建て替え後に従前と同面積の床を取得するために必要な平均追加負担額」とか、「建て替えによる経済メリット」を比較・検討し、総合的に判断すべき
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管理組合に参考になるのは、「建て替え」や「大規模修繕」を検討する際の呼称だ。田村氏が何度も繰り返したように、はじめに結論ありきの印象を与えないよう工夫することが大事だ。決まるものも決まらなくなる。
「建て替え」でも「大規模修繕」でもない「リファイニング」、さらにはコンバージョンや、マンションそのものを売却して消滅させる区分所有関係の滅失も選択肢に入ってくる時代が来るかもしれない。
もう一つ、還元率についてもしっかり認識することが必要だ。田村氏は講演の中で、「販売単価が165万円/坪以下では建設コストが低い場合でも100%還元は困難」などと話した。
記者も同感だ。経済状況・市況やマンションの建てかた、規模によって異なってくるが、建設コストが85万円/坪以下というのは、ここ数年は難しいのではないか。土地代がゼロの場合であっても建替えにともなう建築費とその他の経費、デベロッパーの利益などを含めると125万円/坪ぐらいかかると見ている。
例えば、従前が20坪で同じ規模のマンションを建て替えた場合、価格は2,500万円だ。これを建て替え後の増床床を処分(分譲)して自己負担なしにするには、同じ価格の住戸を2倍確保しなければならない計算になる。つまり5,000万円で、坪単価にすると250万円だ。
坪250万円以上のエリアは、首都圏では東京23区内か郊外ターミナル駅圏なら可能だ。しかし、戸数が2倍になるような容積を余しているマンションはごく限られたものになるはずだ。さらに、最近は建物の絶対高さを抑える自治体が増えており、容積率を引き下げるダウンゾーニングを実施しているところも少なくない。
還元率100%などの幻想は捨て、還元率はせいぜい50%ぐらいと考えたほうが賢明だ。「何も検討しないというのはあり得ない」のだから、足りない部分をどう補うか、建て替えコンサルの腕の見せ所になるのではないか。
こだわり記者が選んだ2013年 話題のマンション
記者が選んだ「2013年 話題のマンション」は23物件となった。「ベスト3」マンションの記事でも書いたが、見学したマンションが大幅に減少したためだが、23物件は必ずしも物件の良否を示すものではないが、2013年を代表する物件だと思う。以下、おおよそ見学順に紹介する。
記者が選んだ今年のベスト3マンション 「Brillia Tower池袋」「Tomihisa Cross」「ザ・パークハウスグラン千鳥ヶ淵」
高額は東急不「四番町」、NTT都市「代官山」「有栖川」、積水「白金」
高額物件では、ベスト3の一つに選んだ三菱地所レジデンス「ザ・パークハウスグラン千鳥ヶ淵」のほかに、東急不動産のリブランディング戦略第一弾「ブランズ四番町」、NTT都市開発の億ション「ウェリス代官山猿楽町」「ウェリス有栖川」、植栽計画が見事な積水ハウス「グランドメゾン白金」を選んだ。
東急不動産のリブランディング戦略第一弾マンション「ブランズ四番町」が好調な売れ行きをみせた。
リブランディング戦略は、同業他社と比べマンション認知度・知名度で大きく遅れを取っているという認識のもと、新しいブランドコンセプトとして「人生を極める住まい」を立ち上げ巻き返しを狙うもの。
記者も同社の巻き返しに期待したい。かつての「アルス」はレベルが高かったし、高額シリーズの「プレステージ」もどこにも負けない好立地の物件を供給してきた。これからに期待だ。
東急不動産 「BRANZ(ブランズ)」リブランディング戦略第一弾「ブランズ四番町」モデルオープン(2012/12/20)
「代官山猿楽町」は間違いなく本物の億ションだ。地下2階地上3階建て全44戸。坪単価は585万円。設計・監理はNTTファシリティーズ、設計協力はアーキサイトメビウス。施工は鹿島建設。設計、施工も一流だが、建物は凛とした美しさがあった。地下の車寄せにせせらぎを設けていたのは本当に驚いた。
「代官山猿楽町」と甲乙つけがたいのが「ウェリス有栖川」だ。こちらは5階建て全57戸。坪単価は585万円。設計・施工は清水建設。建物は2013 年11 月に竣工済み。中層ながら免震を採用し、自然光が降り注ぐラウンジに設けられた挾土氏の作品や水景壁に囲まれたラウンジの照明が素晴らしく、ワインセラー付きのパーティールームも圧巻だ。
本物の億ションを見たNTT都市開発「ウェリス代官山猿楽町」(2013/9/20)
「代官山」と甲乙つけがたいNTT都市開発「ウェリス有栖川」(2013/11/28)
「白金」は、同社の〝5本の樹計画〟をふんだんに盛り込んだマンションだ。銀杏並木が美しいプラチナ通りに面しており、約2万本の樹木(低木含む)を起伏に富んだ敷地内に配している。エントランスには守衛つきのゲートも設置している。建物は大成建設の「ハイブリット免震・制震構造」を採用。同社の記念碑的なマンションの一つになるはずだ。完成が待ち遠しい。
植栽が見事な積水ハウス「白金」タワーマンション(2013/8/20)
激戦の総武線で最大級のNTT都市他「ウェリス稲毛」
東日本大震災後、「コミュニティ」がマンションの重要なコンセプトになっているが、全929戸という総武線最大級のマンション「ウェリス稲毛」もその一つだ。
〝出会いや触れ合い〟のきっかけを作り、それを育むことで豊かな暮しを創り出すことがコンセプトになっており、コミュニティ支援の運営については、月額400~500円を管理費とは別に徴収する予定。
戸数が多く、沿線には競合物件も少なくないが、買いやすいマンションだ。売主は幹事会社NTT都市開発のほか大和ハウス工業、大成建設、新日本建設、三信住建の5社。
NTT都市開発他「ウェリス稲毛」 「はぐむ」アピールできるか(2013/2/4)
太陽光だけでないタカラレーベン「レーベン東鷲宮Ⅲ」
「太陽光発電」がトレードマークになったタカラレーベンだが、「太陽光“カガヤキ”PROJECT( レーベン東鷲宮Ⅲプロジェクト) 」は過去最大級の「戸別売電可能太陽光発電」を採用したばかりでなく、単価120万円という圧倒的な安さと平均80㎡という広さに加え、ワイドスパン、メーターモジュールの採用など居住性の高い物件だ。
太陽光は、建物屋上に1戸当たり6枚、トータルで1200枚の太陽光パネルを設置し、「戸別売電可能太陽光発電」を採用。太陽光発電とオール電化システム、エコキュートの利用により年間光熱費が約56%節約できるという。
それにしても、同社は同じエリアで2008年9月竣工の「レーベンスクエア東鷲宮ブリーズアリーナ」(210戸)、2011年3月竣工の「レーベンスクエア東鷲宮ブライトアリーナ」(263戸)を分譲しており、今回のマンションと合わせると673戸。これはすごい。
太陽光だけでない圧倒的な安さと広さ確保 タカラレーベン「レーベン東鷲宮Ⅲプロジェクト」(2013/2/26)
伊勢崎戦で驚異的な売れ行き 野村不動産「オハナ草加松原」
グロス志向が極めて強い東武伊勢崎線で、見事にそのニーズをとらえたのが野村不動産「オハナ草加谷塚」だ。
東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)谷塚駅から徒歩7分の全127戸。分譲開始1カ月で1期78戸が完売、続く2期も早期完売した。専有面積66.13~75.53㎡、最多価格帯2,800万円台、坪単価129万円が示す通り〝売れるべくして〟売れたマンションだ。伊勢崎線では驚異的な売れ行きだった。
施工は〝オハナ〟の第一弾からコンビを組んでいる長谷工コーポレーション。
野村不動産〝オハナ〟好調続く 「草加谷塚」の単価は超割安の129万円(2013/4/5)
事前協議から30数年 名鉄不動産「メイツ西武立川」
西武ファンの記者にとって名鉄不動産「メイツ西武立川」の人気は感慨深い。西武拝島線西武立川駅から徒歩1分の全146戸の規模で、坪単価は134万円。施工は長谷工コーポレーション。ほぼ3カ月で完売した。価格の安さと水準以上の設備仕様を備えているのが人気の要因。
敷地は西武鉄道がずっと所有していた土地で、記者は昭和50年代からずっと追っかけていた。西武が土地を手放したのはあの総会屋問題や有価証券の虚偽記載問題があったからだが、その後、土地を取得したあるデベロッパーがマンションを予定していたが、このデベロッパーもリーマンショックで手放さざるを得なくなった経緯がある。事前協議開始から30数年が経過した。
2カ月弱で100戸契約名鉄不動産「メイツ西武立川」(2013/4/23)
商品企画でハンディ克服 大和・イニシア「オークプレイス豊洲」
大和ハウス工業が4月、コスモスイニシアを連結子会社化して話題となったが、大和ハウス工業(事業比率70%)とコスモスイニシア(同30%)の共同事業マンション「オークプレイス豊洲」は、インテリアに「アクタス」を起用した好物件。
アースカラーを基調としたカラーリング、アットホームなモデルルーム提案、好みによって二重壁にしたりウォールステッカーを張ったりペイントも可能な「KASUTAMA」「彩り収納」「ハピカジキッチン」などが盛り込まれている。玄関土間の提案もいい。商品企画はコスモスイニシアが担当した。
住環境にやや難があったので売れ行きはどうかと思っていたが、完売したようだ。
商品企画いい大和ハウス+コスモスイニシア「オークプレイス豊洲」(20134/25)
コンパクトの提案力 三井不レジ「パークホームズ横濱山下公園」
コンパクトマンションでは、三井不動産レジデンシャル「パークホームズ横濱山下公園」の商品企画がいい。神奈川県庁、横浜市庁舎、山下公園、ホテルニューグランド、横浜中華街などが全て徒歩10分圏内の商業地立地だが、日本大通りから一歩入った東南の角地に立地。
モデルルームはジャーナルスタンダードファニチャーが家具をコーディネートしており、ヴィンテージもののトランクや家具などがセットされていた。単価250万円もリーズナブル。
同社の巧みなモデルルームの見せ方は「武蔵小杉」「大崎」などでも経験した。さすがというべきか。
三井不動産レジデンシャル「パークホームズ横濱山下公園」即完へ(2013/5/20)
働く女性がプロデュース 東京建物「Brillia 大山The Residence」
記者は歳を重ねるごとに女性にはかなわないという思いが募っている。若い女性にはもちろん、70歳代のおばあちゃんにも腕相撲はかなわない。フェミニストをどう捉えるかだが、いつも過激な発言をされる上野千鶴子氏にはひれ伏すばかりだ。
「子育て」「働くママ」がマンションでもテーマになっているが、デベロッパーではその具現化のトップランナーになるのは東京建物ではないかと考えている。「働く女性のニーズをそのまま商品・サービスとして形にし、働く女性の幸せを実現するプロジェクト」の「Bloomoi (ブルーモア)」がそれだ。
昨年10月、同社女性社員6人を中心に立ち上げたもので、「Brillia 大山The Residence」は商品化の第一弾。
「Bloom(咲く)」と「moi(私)」からなる造語で、働く女性のたくさんの笑顔や才能がしなやかに咲き誇るという意味が込められている。
東京建物「Bloomoi/ブルーモア」第一弾「Brillia 大山The Residence」(2013/5/29)
満艦飾マンション 大手六社JV「東京ワンダフルプロジェクトSKYZ」
共同開発マンションで最多の企業が結集したのは、不動産協会、日本高層住宅協会、住宅産業開発協会の主だった企業が開発会社「新宿西戸山開発」を設立して昭和61年に分譲した「西戸山タワーホウムズ」だが、三井不動産レジデンシャル、東京建物、三菱地所レジデンス、東急不動産、住友不動産、野村不動産の大手デベロッパー6社が勢ぞろいしたのは「東京ワンダフルプロジェクトSKYZTOWER&GARDEN」が初めてだった。
日本初のハイブリット免制震システムのほか、地中熱利用、天体観測ドームの設置、販売センターとしては過去最大級のゲストサロン、さらには全16ページにもわたるニュースリリースの量の多さなど初ものずくしの満艦飾のマンションだ。全1,110戸のうち残り(未分譲)はわずかのはずだ。
初ものづくし、満艦飾の三井レジ他6社共同「SKYZ」(2013/6/13)
ランドスケープデザイン秀逸 大成有楽不動産「オーベル蘆花公園」
大成有楽不動産「オーベル蘆花公園」は、生まれ変わった同社の矜持を示したマンションだ。徳冨蘆花の居宅「恒春園」が目の前にあり、敷地約8,900㎡の西側の隣接地には約3,000㎡の国の文化財に指定されている邸宅がある。
ランドスケープデザインも秀逸で、敷地内にあった灯籠、景石、石畳などの添景物を約80本もの既存樹とともにマンションの前庭、中庭などに残した。既存樹のうち10数本は世田谷区の保存樹に指定されている。
大成有楽不動産「オーベル蘆花公園」 想像以上の出来栄え(2013/7/24)
道からつくったマンション 旭化成不動産レジデンスン「アトラス調布」
旭化成不動産レジデンスの16件目の建て替えマンション「アトラス調布」は、「アトラス江戸川アパートメント」や「アトラス国領」に匹敵する秀逸マンションだ。
「一団地の住宅施設」の解除を行い、地区整備計画を制定し、さらに容積率を200%確保するため、マンション建替え円滑法に基づく組合施行では初めてとなる公道の付け替えを行なった。
全体敷地の中央に付け替えた公道を配し、この道路を核として建物をセットバック、かつ雁行させ、両側に並木や植込、ガーデンカフェ、キッズルーム、オーナーズラウンジといった共用施設を配置したのが最大の特徴。
旭化成不動産レジデンス道を中庭化したマンション(2013/7/25)
中堅の星モリモト 免震&長期優良「カワサキ・ミッドマークタワー」
中堅デベロッパーとしては一人大手と互角に戦っているモリモト。大和ハウス工業と共同で分譲した「カワサキ・ミッドマークタワー」もなかなかいい物件だ。
川崎駅圏で免震工法を採用しているのは同社の「川崎タワー」に次ぎ2棟目だ。市内の長期優良住宅としては川崎市住宅供給公社の「川崎ケートタワー」に次ぎ2物件目だ。免震でかつ長期優良住宅というのは三菱地所レジデンス・鹿島の「ザ・パークハウス晴海タワーズ」と、三井不動産レジデンシャル「パークタワー東雲」、野村不動産「プラウド大宮」、三井不動産レジデンシャル「パークホームズLaLa新三郷」しかないはずだ。今回が5物件目になる。
モリモト・大和ハウス「カワサキ・ミッドマークタワー」首都圏で5物件目 免震で長期優良住宅(2013/8/2)
食洗機は必需品 フージャースコーポ「デュオヒルズ府中多摩川」
立地にはやや難はあるが、働く女性・子どもに優しいマンションとしてフージャースコーポレーション「デュオヒルズ府中多摩川」をあげる。京王線聖蹟桜ヶ丘駅からバス7分・徒歩6分の全187戸で、坪単価は138万円。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。
単価でも分かるように〝贅肉をそぎ落とした〟マンションではある。しかし、その一方で①ドアスコープは大人用と子ども用の2カ所に設置②ドアノブはメーカーと共同開発したユニバーサルデザインのもの③トイレも含めたドア把手は壁面まで後退④合理的な収納⑤食洗機を標準装備-など、子育てファミリーに配慮した住戸プランを盛り込んでいる。シャトルバス(月額700円負担)が運行される。
嬉しいのは、同社としては初めて食洗機を標準装備したことだ。お金持ちは食洗機がオプションだろうと標準装備だろうとあまり関係ないが、忙しい共働きの主婦(あるいは主夫)にとって食洗機は必需品だ。
フージャースコーポ 女性・子どもに優しい「デュオヒルズ府中多摩川」(2013/9/19)
新川崎と鹿島田をつなぐ 三井不レジ「パークタワー新川崎」
三井不動産レジデンシャル「パークタワー新川崎」が駅前再開発の好物件。曲がりくねった道を歩かなければならなかった「新川崎」「鹿島田」の2駅を新設のペデストリアンデッキで結ぶことによって利便性を飛躍的に高めた。
日本初のマンション各住戸内に設置する蓄電池・HEMS 連携システムを全戸に導入。居住者同士の交流を育む「防災」「エコ」「多世代居住」「コミュニティ」「ユニバーサルデザイン」などのテーマを企画に反映している。「CASBEE川崎」の最高ランク「S」も取得。単価もリーズナブルなものだ。
商・住一体の三井不動産レジデンシャル「パークタワー新川崎」(2013/10/3)
相鉄不動産が調布の一等地で再開発「グレーシア調布」
電鉄(系)会社の攻勢が加速している。相鉄不動産もその1社だが、京王線調布駅前の一等地の再開発マンションを手掛けるとは夢にも思わなかった。どうして同社が名乗りを上げたかその経緯はわからないが、相鉄沿線だけではなく都内への鉄道の乗り入れ、開発事業の強化の一環だろう。
設備仕様は、住居内の水すべてを浄水する相鉄ピュアウォーターの「良水工房」が標準装備されるほか、グレードアップ仕様のレンジフード、ミストサウナが採用される。キッチンカウンターはフィオレストーンで、玄関収納、引き戸などはすべてソフトクローズ機能付き。単価は300万円を切っており、早期完売は間違いない。
相鉄不動産 調布駅前の一等地で再開発マンション(2013/10/3)
電鉄(系)会社の攻勢 京阪電鉄・京阪電鉄不「品川タワーレジデンス」
電鉄会社の攻勢は相鉄不動産の項でも書いたが、関西の京阪電鉄・京阪電鉄不動産も首都圏のデベロッパーにとっては手ごわい相手になりそうだ。「品川タワーレジデンス」のレベルは高く、商品企画力は大手デベロッパーと互角と見た。売れ行きがいいのも当然だ。
居室の天井高は最高約2.7mで、最高価格住戸の廊下幅は約1.5m、腰壁は突板。専有部のインテリア・内装デザインコーディネートは、髙橋氏が「一目見てほれ込んだ」という鈴木ふじゑ氏。
野球ファンの記者は「近鉄」「阪急」「阪神」「南海」のことなら少しは知っているし、首都圏マンションも結構見学している。同社については物議をかもした「京都タワー」の事業主とは知っていたが、こんな素晴らしいマンションを供給する力があるとは全然思わなかった。
「関西」電鉄会社の矜持を見た 京阪電鉄・京阪電鉄不動産「品川タワーレジデンス」(2013/11/10)
青木茂建築工房 リファイニング「千駄ヶ谷緑苑ハウス」に見学300人
リノベーションマンションが話題を集めているが、青木茂建築工房(主宰:青木茂首都大学東京特任教授)が設計・監修を担当する再生マンション「千駄ヶ谷緑苑ハウス」の解体現場見学会に300人も詰めかけたのには驚いた。
築43年の旧耐震賃貸住宅・事務所ビルを分譲にリファイニングしたもので、行政、不動産、設計事務所、研究者らが見学に押し掛けた。リファイニング建築とは同社の登録商標で、従来のリフォームやリノベーションよりさらにレベルの高い安全性を確保し、トレンドを見据えたデザインを施した再生手法のことだ。今後、さらに注目を集めるかもしれない。
青木茂建築工房は、「日経アーキテクチュア」(2013/10/10)の「発注したい設計者・施工者ランキング」の設計者好感度ランキングで17位にランクされている会社だ。
千駄ヶ谷のリファイニング建築に見学者300人(2013/11/12)
子どもに個室必要ない? 三井不レジ他「パークシティ大崎 ザ タワー」
驚嘆のモデルルームを設けたのが三井不動産レジデンシャル他「パークシティ大崎 ザ タワー」だ。各界のスペシャリスト5名がコンセプターとして参画しており、様々なアイデアを反映させながら都心での理想的な子育て環境を提案したものだ。
モデルルームの広さは約70㎡。基本2LDK(主寝室約6.3畳大、洋室5.5畳大、キッチン約3畳大、リビング・ダイニング約17.0畳大)のプランを1LDKに変更したもので、リビングに隣接した洋室をオープンにし、子ども部屋として提案していた。
リビングの隣に子ども部屋を設けるなんてありえないと思ったが、小さい子どもは個室など必要ないし、家族と一緒に過ごす時間を増やす提案は理解できる。今後の商品企画の参考になるはずだ。
街の価値を評価したい三井不動産レジデンシャル他「パークシティ大崎 ザ タワー」(2013/11/27)
職人不足を反映 大京・近鉄不「ライオンズ港北NTローレルコート」
環境共生に力を入れたマンションとして大京・近鉄不動産「ライオンズ港北ニュータウンローレルコート」を選定した。パッシブデザインとスマートシステムを融合したのが最大の特徴だ。大きなビオトープを設置しているのもいい。
このマンションのもう一つの特徴は、7階建てであるにもかかわらず、工期が通常より1.5倍の22カ月もあることだ。同社は「通常はこの程度のマンションなら15カ月ぐらいかもっと早く竣工できるが、工期を長くとることで施工会社も余裕をもって職人を手配できる。工期を長くしてコストがアップしたわけではない。事前の検査もそれだけ十分できる」と説明した。職人不足が深刻化するなか、このような逆手をとった手法が増えるのではないか。
大京・近鉄不動産 環境共生に力入れた「港北」(2013/11/28)
住友不動産が大攻勢 「シティテラス加賀」
どちらかと言えば〝わが道を行く〟路線を敷いてきた住友不動産だが、このところの広報活動は目をみはるばかりだ。マンションの記者発表会は今年後半だけで「武蔵小杉」「高田馬場」「晴海2丁目」と立て続けに3回行い、戸建ての「渋谷」と竣工見学会の「シティテラス加賀」を合わせると5回も実施した。
回数の多さだけではない。発表会には同業他社をはるかに上回る40~50人の記者を集めて圧倒しているし、「加賀」の見学会では、同社製品企画室シニアエンジニア・山田武仁氏が予定の1時間を40分も上回る熱のこもった〝独演会〟を演じ、寒さを吹き飛ばした。
住友不動産「シティテラス加賀」山田氏が独演会商品企画を熱く語る(2013/12/10)
大和ハウス 「SMA×ECO CITY相模原 光が丘エコタウン」が神奈川県「環境共生都市づくり事業」に認定
「SMA×ECO CITY(スマ・エコ シティ)相模原 光が丘エコタウン」完成予想図
大和ハウス工業は12月26日、相模原市で分譲中の「SMA×ECO CITY(スマ・エコ シティ)相模原 光が丘エコタウン」が神奈川県「環境共生都市づくり事業」に認定されたと発表した。
横浜線淵野辺駅からバス10分徒歩1分の全127戸の戸建て団地で、太陽光発電システム・家庭用リチウムイオン蓄電池・LED照明・高効率給湯器・EVコンセントを搭載し、同社オリジナルのエネルギーマネジメントシステム「D-HEMS Ⅱ」による家庭内のエネルギーの見える化を図っている。
環境共生都市づくり事業に認定されたのは13件目で、民間の戸建て団地では初。
記者が選んだ今年のベスト3マンション 「Brillia Tower池袋」「Tomihisa Cross」「ザ・パークハウスグラン千鳥ヶ淵」
「Brillia Tower池袋(左)と「Tomihisa Cross」完成予想図
見学物件は激減 前年より20%減の85件 取材意欲駆り立てる物件減少も一因
今年(2013年)のマンション見学件数は85件だった。一昨年の115件、昨年の105件と比べて大幅に減少した。これまでの記者生活の中で最少であるのは間違いない。
どうしてこれほど減ったか。一つにはフットワークが衰えたからだろう。若いときは1日に4~5件ぐらい見学しても平気だったが、さすがに今は3物件が限度だ。85件のうち都内が59件と7割近いことも体力の衰えが反映したものだろうと思う。
もう一つは、時間的な制約だ。他の取材が増えたためだ。今まではあまり取材してこなかったハウスメーカーの取材が増えているのも一因だが、RBA野球シーズンに入ると日曜日、月曜日、水曜日、木曜日はほとんど野球の取材と記事執筆に追われる。大会期間中の4カ月ぐらいはマンションの見学は激減する。デベロッパーも土曜、日曜は取材をさせてくれないし、火曜・水曜、あるいは水曜・木曜がモデルルームの定休日になっているので、フルに取材できるのは月曜と金曜しかないのも響いている。
取材が激減したのはもう一つ理由がありそうだ。「見学したい」と取材意欲を駆り立てられた物件が少なかったことだ。これは記者だけでなく、第一線で活躍している同業のある記者も同じらしく「今年は見るべき物件が少なかった」と話した。
なぜ見るべき物件が少なかったのか。その理由はよく分からないが、大手の寡占化が進み、商品企画で対抗すべき中堅どころの意欲的な物件がなくなってきたのも一因ではないかと考えている。リーマン・ショックの影響はまだ払拭されていない。
そんな訳で、いま選定中の「話題のマンション」も減らさざるを得ない。その中から3物件だけ選んでいる「ベスト3」マンションは東京建物・首都圏不燃建築公社「Brillia Tower池袋」と野村不動産・三井不動産レジデンシャル・積水ハウス・阪急不動産の4社JV「Tomihisa Cross」と、マスコミを賑わせたアベノミクス効果を象徴する三菱地所レジデンス「ザ・パークハウスグラン千鳥ヶ淵」を選定した。
こだわり記者が選んだ2013年 話題のマンション
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ベスト3マンションの筆頭に選んだ「Brillia Tower池袋」は別掲の記事を参照していただきたいが、豊島区役所・隈研吾・日本設計というこれ以上ない組み合わせが奏功した。売れ行きは想像をはるかに超えるものだった。
完成は平成27年2月だが、いまから見るのが楽しみだ。記者がもっとも感動したのはやはり隈氏による外観デザインと仕様だ。区本庁舎ゾーンは台形状で、シースルーのソーラーガラス、透明ガラス、太陽光パネル、壁面緑化、木目調ルーバーを配し、10階から1階まで階段で降りられるようにするとともに、屋上庭園、エコミューゼを設置。ジグザク上にせせらぎが流れるように工夫するという。せせらぎにはメダカやカエルが生息できることも検討されているというから驚きだ。
もう一つの「Tomihisa Cross」は、正直に言えば、三井不動産レジデンシャル・東京建物・三菱地所レジデンス・東急不動産・住友不動産・野村不動産の大手デベロッパー6社JV「東京ワンダフルプロジェクトSKYZ TOWER&GARDEN」とどちらを選ぶかで迷ったのだが、大手6社JVを選ぶのは安易というか無難な選択だという思いがあり、その一方で、「Tomihisa Cross」はシアターのBGMに「第九」の第4楽章を流した勇気を買ってこちらを選んだ。
「第九」を採用することを提案した野村不動産住宅事業本部営業企画部営業企画課の佐々木まどかさんが「私はここで生まれて育ちました。日本一のイゴコチのいいマンションにふさわしい、自信が持てるマンションにぴったりだと思って第九を選びました」と話したのがとても印象に残っている。あの雑多な街をよくぞ「日本一イゴコチのいい街」としてアピールしたものだ。
「SKYZ」を選外としたので、浮上したのは三菱地所レジデンス「ザ・パークハウスグラン千鳥ヶ淵」だ。これまで億ションはたくさん見てきたので、このマンションより設備仕様が勝っているのもたくさんある。しかし、何と言っても皇居が一望できるマンションは空前絶後、唯一無二なのが決め手になった。
記者見学会のとき、記者は「最大の関心事は、このマンションが三井不動産レジデンシャルの『パークマンション千鳥が淵』(2004年竣工、64戸)の坪単価778万円を越えるかどうかだった。坪単価そのものはリーマンショック前の三井不動産レジデンシャル「パークマンション六本木」は1,140万円だし、1戸あたり10億円超はたくさんある…三菱地所レジデンス副社長・瀬川修氏が『三井さんの物件は首をひねらないと皇居は見えない。全住戸から皇居が見えるのは当社のマンションと隣接の賃貸マンションしかない』と語ったように、皇居が一望できる唯一無二のマンションだ。そのマンションが三井不動産レジデンシャルのマンションに負けるようでは情けない。坪800万円は納得だ」と書いた。
今だかから書くが、同社の単価が「パークマンション千鳥が淵」を下回っていたらベスト3には選ばなかった。早期完売したのはアベノミクス効果だろうが、そうでなくてもあるいは売れたか。
「ザ・パークハウスグラン千鳥ヶ淵」完成予想図
野村不動産他 新宿・富久町「Comfort Tower」第1期482戸が即日完売(2013/9/26)
都市再生機構 行革の基本方針は示されたが前途は多難
独立行政法人のあり方について検討を重ねてきた行政改革推進本部が12月20日、基本方針をまとめた。都市再生機構については、東京都心部の約13,000戸あるタワーマンションなどの高額賃貸住は平成26年度からサブリース契約により運営を民間に委ね、財務構造の健全化に道筋をつた後は売却すべきとしている。
賃貸住宅については、定期借家契約の活用などにより収益性が低い団地は統廃合を加速させるべきとし、急速な高齢化が見込まれる団地については、医療福祉施設を誘致すべきとした。
また、ストックの老朽化などにより住宅管理コストは今後増加が見込まれるとし、確実にコストを下げる仕組みを構築すべきとした。
さらに、適切な家賃収入の確保を図るため家賃の引き下げや引き上げを機動的に行い、低所得の高齢者に対する家賃減額措置は、他の供給主体の住宅との衡平性を考慮してコストは公費で負担すべきとしている。
一方、都市再生事業については、開発型SPC(特別目的会社)の活用など民間との連携手法を多様化することで、リスクにみあった適正な収益の確保を促進すべきとした。
ニュータウン事業は平成30年度までの土地の供給・処分完了に向けた取り組みを促進すべきとしている。
人員規模については、東日本大震災に係る体制強化の必要性もあることから現在の水準を維持すべきとしながらも、関係会社は平成30年度までに数を半減すべきとしている。
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方向は示されたが、前途は多難と言わざるを得ない。平成24年度末で資産が14兆4,624億円に対して有利子負債は12兆7,068億円だ。
賃貸住宅の経営も苦しい。約75万戸ある賃貸住宅の空き家率は平成21年度に10%を超え、その後も上昇傾向にある。建物の老朽化にともなう維持・管理費コストが上昇すると思われるが、その一方で賃借人の高齢化・世帯収入減少の問題がある。家賃収入は平成20年度以降漸減を続けている。家賃を上げようにも、セーフティネットの一端を担うべきとする法律などが壁となっている。低所得者などを対象とした家賃の減額措置は約85,300世帯、減額総額は約156億円(うち国費85億円)にのほる。
都市再生事業は黒字体制にはあるが、民間や地方自治体が行う都市再生や活性化事業を支援・補完することを目的とされており、時間とコストが掛かる地権者の権利調整などを担わされているのも収益確保の足かせとなっている。
ニュータウン事業は、極めて厳しいと言わざるを得ない。大規模開発は地価が右肩上がりに推移するのを前提とした事業であり、バブル崩壊によって事業環環境が逆転した以降も開発を続けてきたのが今日の苦境をもたらした。新機構になった平成16年から土地の供給・処分を進めてきたが、いまなお3,000haを超える土地を抱えている。同機構がかかわった「多摩ニュータウン」(約1,400ha)と「つくばエクスプレスタウン」(約1,600ha)の合計以上だ。
これを平成30年度までに完了するのは至難の技だろう。繰越欠損金は2,000億円を超える。今後の地価動向にもよるが、さらに膨らむ可能性もある。
また、東日本大震災による復興市街地整備事業にも機構は全体59地区のうち27地区に関わっているが、この規模も1,000haは超えるはずだ。これも大丈夫かと疑問を挟まざるを得ない。
国策に沿って進めてきた事業ではあるが、バブルが崩壊してもだらだらと事業を進めてきた罪は重い。