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「プラウド立川マークス」

 野村不動産が11月下旬に分譲する「プラウド立川マークス」を見学した。立川駅北口から徒歩4分、坪単価は200万円台半ばと安くはないが、同社が参画する駅前再開発エリアにも近接しており、商品企画も優れているマンションだ。

 物件は、JR中央線・南武線・青梅線「立川」駅から徒歩4分、または多摩都市モノレール線「立川北」駅から徒歩3分、立川市曙町一丁目に位置する14階建て68戸の規模。専有面積は62.48 ~83.61㎡、価格は未定だが、坪単価は200万円台半ばになる模様。竣工予定は平成27年5月中旬。施工は安藤・間。

 現地は、伊勢丹、高島屋などの大型商業施設やホテル、図書館などが集積する商業エリアと、駅前の「第一デパート」跡地などで開発が進む大規模再開発事業エリアに近接した駅近であるのが特徴。再開発事業には、同社が32階建て319戸のマンションを建設するほか、ヤマダ電機などの商業施設、公益施設が入居することになっている。また、来春開業予定の都内初の「IKEA立川」が来春開業するほか、立川駅圏には「ららぽーと(業態想定)」も計画されている。

 現地は南側の道路を挟んでビルなどが建っており眺望が優れているとはいえないが、建物の商品企画がいい。内廊下方式で基準階は6戸構成。ワイドスパンと全戸角住戸の多面採光が特徴。バルコニーにはガラス手すりのほか、外からの目線をさえぎり通風にも配慮したアルミルーバーとガラス手すりを組み合わせたオリジナルの手すりなどを採用している。

 設備仕様は、ディスポーザー、食洗機、ミストサウナ、タンクレストイレなどが標準装備。モデルルームは、木目調の格子窓付き多目的ルームの提案がいい。

 マンションギャラリー所長・相馬裕太氏は、「北口の曙町は駅南口の柴崎町とともに人気のエリア。モデルルームの出来もいい」と早期完売に自信を見せた。

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 今回の見学取材は同社広報の〝お勧め〟マンションで、広報マンによると相馬氏は担当するマンションがことごとく即日完売しており、若手のホープと紹介された。相馬氏とは坪単価350万円で即日完売した昨年分譲の「吉祥寺御殿山HOUSE」でも説明を受けているが、その後「プラウド王子本町」122戸(坪単価275万円)、「プラウド王子本町ディアージュ」37戸(坪単価259万円)も即日完売したのだという。

 さて、分譲単価。相馬氏は「現場を100回は歩いた」というが、記者はそれほどでもないが少しは知っている。「第一デパート」はかなり古く、表通りの街並みもかなり古い。モノレールの東側と西側では街並みは異なるので、坪単価は230万~250万円とはじいた。

 相馬氏には鎌をかける意味で「坪230万円でしょ」と声をかけたら「もう少し上です」と返された。予想は外れた。

 いま、わが街、多摩センターの駅近マンションは坪単価200万円が相場だ。新宿から同じ距離圏の立川に坪50万円もの差をつけられている現実を見せられショックを受けた。多摩市は多摩地域の都市間競争に大きく後れを取っている。

 建売住宅のガリバー企業誕生-一建設、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、アーネストワン、アイディホームの6社は11月1日、共同持株会社「飯田グループホールディングス」を設立し、東証一部に上場した。初値は2,226円、終値は2,149円だった。出来高は205万株(売買単位100株)。

 直近の決算を合計すると売上高は9,075億円、経常利益は751億円、当期利益は473億円で、売上高は住宅・不動産業で大和ハウス工業、積水ハウス、三井不動産、三菱地所に次ぐ第5位に躍り出た。三菱地所の9,271億円(2013年3月期)も射程圏に捉えている。

 主力の建売住宅の販売戸数は29,459戸(アーネストワン8,222戸、一建設7,202戸、飯田産業4,854戸、東栄住宅3,267戸、タクトホーム2,958戸、アイディホーム2,954戸)に達している。建売住宅の全国市場は10~12万戸だから、実に3割前後の市場占有率だ。年間800~900戸の三井不動産レジデンシャルなどとは桁違いの多さだ。追随するところがないという意味では、まさにガリバー企業だ。自動車業界のトヨタ、証券業の野村ホールディングスのような存在だ。

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 企業の価値は売上高で決まるものではないが、わが国で100数十社しかない1兆円企業に迫ろうとする同社のビヘイビアには苦言を呈さざるを得ない。新会社を設立したこの日、「飯田グループホールディングス」のホームページを立ち上げたが、リンクされているのは一建設と飯田産業のホームページだけだ。ホールディングスのホームページも知りたい情報らしきものはほとんどない。各社の決算短信や有価証券報告書を閲覧することしか情報を得られない。消費者や投資家に極めて不親切としか言いようがない。

 同社が期待するシナジー効果も記者は疑問に思っている。飯田産業や東栄住宅はやや異なるが、一建設とアーネストワンは兄弟というより一卵性双生児のような会社だ。同じ商圏、同じ商品、同じ販売手法の会社が企業規模を縮小するならともかく、それぞれが現在の体制を維持しながら果たしてシナジー効果を得られるのか。逆のアナジーに陥りはしないのか。

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 実質的な筆頭株主で代表取締役会長・飯田一男氏について、時効だろうから一言触れたい。

 飯田氏の情報は極めて少ない。有価証券報告書にも昭和13年生まれで、昭和42年に一建設(当時、飯田建設工業)を開業したことぐらいしか記載されていない。

 本人が極端に表に立つことを嫌っていたからだ。記者は昭和50年代の後半から平成4年ぐらいまで、毎年ではなかったが年に1度くらいお会いしていた。当時、前職で「首都圏建売住宅供給ランキング」調査を行なっており、トップの同社は4,000戸ぐらい供給していた。しかし、正確な数は公表しなかった。そこで、何度も頼み込んで「数字だけは教えるが、オレのことや会社のことについて記事にするな。写真はもちろんメモも取るな」という条件つきで取材に応じてくれた。

 事務所はプレハブの2階建てで、いつも数人しかいなかった。エアコンはあったが暖房は石油ストーブだった。飯田氏はいかにも大工出身という短矩でがっしりとした体格をしていた。また、〝吝嗇家〟として知られており、手弁当持参で旧式の古い自転車通勤をしていた。「数字を教えてやるから新聞代をタダにしろ」ともいわれた。

 約束の時間から1~2時間待たされることもしばしばあった。「書くな」といいながら、話し出すととまらなかった。「エッ、エッ、そうだろ」というのが口癖で、記者は年間の供給戸数を聞くのが目的だから、相槌を打つだけでほとんど話を聞いていなかった。

 バブルが崩壊し、〝これからは戸数を追う時代ではない〟と調査をやめてしまい、飯田氏とも会わなくなったが、平成5年ぐらいのときか。同社が〝破綻する〟という噂を聞きつけたので新社屋に会いに行った。在庫処分に注力しており、「値引き販売して何が悪い」と強気なことを言っていたが、さすがに疲れきった表情をしていた。

 その後、平成21年にジャスダックに上場したとき、コメントを取ろうと自宅まで押しかけたが、家族の方から「もう一線から退いておりますので」とお会いすることも出来なかった。

 飯田グループホールディングスの代表権を持つ会長に就任したのだから、マスコミにも登場し、波乱万丈を語って欲しい。「チープな建売住宅」のイメージを払拭する責任があるのではないか。

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経団連「日本再興への道」未来都市モデルプロジェクト・シンポジウム

 経団連が「日本再興への道」と題する未来都市モデルプロジェクト・シンポジウムを行ったと先に紹介したが、「都市と成長戦略」について基調講演を行った東大大学院教授・伊藤元重氏の講演内容と、未来都市モデルプロジェクトに選定されている「北九州アジア戦略・環境拠点都市」(北九州市長・北橋健治氏)、「西条農業革新都市」(住友化学代表取締役常務執行役員・西本麗氏)、「福島医療ケアサービス都市」(NTT常務取締役・篠原弘道氏)、「沖縄物流拠点都市」(全日空常務取締役執行役員・岡田晃氏)、「柏の葉キャンパスシティ」(三井不動産常務執行役員・小野澤康夫氏)のシンポジウムの内容を以下に紹介する。

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 伊藤教授は、アベノミクスの3本の矢のうち第1と第2の矢は想像以上に働いているものの、肝心の第3の矢の成長戦略はいまひとつ迫力に欠けるとし、民間投資を促進するシナリオが必要と強調した。その際の政策ポイントは「変化のスピードアップ」と指摘。TPP参加の決断、東南アジア向けビザの緩和などスピードアップ化に対して安倍政権のかじ取りを評価した。

 今後は電力需給、高齢化対応、環境問題などで一層の規制緩和と改革スピードアップが必要とした。都市問題については成功事例、失敗事例をどうやって全国に広げるかが課題と話した。農業政策では減反政策の見直しが必要と述べた。

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 未来都市モデルプロジェクトについては、経団連や経済広報センターのホームページにも公開されているので参照していただきたい。

 「柏の葉」の取り組みについては記者もその都度記事にしている。「柏の葉三井不動産 RBA」の3文字で検索していただけば10本ぐらいの記事が出てくるはずだ。

 北九州の取り組みは「すごい」の一言だ。よくぞ「死の海」から「緑のまちへ」再生を遂げたものだ。三井不動産の小野澤氏も見学して刺激を受けたそうだ。水や環境ビジネスの「北九州モデル」を東南アジアなどへ輸出するという。官と民が連携して初めてできる事業だ。

 「西条農業革新都市」は、これからの農業のあり方を問う事業で興味深い。農地法の規制や農協、物流などの難問をどうクリアしていくのか。儲かる農業は可能なのか、食糧自給率は高めることができるのか。森林・林業、漁業との連携を密にして6次産業化を早く確立することが求められている。

 「福島医療ケアサービス都市」は、ICTなどを駆使して深刻な過疎村の遠隔医療相談やデマンド交通、緊急避難に生かそうというもので、さらに観光にも結び付けようというものだ。高齢化は過疎村だけの問題ではない。首都圏近郊の大規模団地でも高齢化は加速度的に進み、空き家の大量発生、コミュニティ崩壊、限界集落化、廃村が大きな社会問題となるのは必至だ。

 「沖縄物流拠点都市」は、全日空が沖縄観光に力を入れているのはOSI(沖縄観光産業研究会)を通じてよく知っていたが、まさか人口20億人が住む東アジアの中心地という利便性を生かして「国際物流ハブ拠点」として地歩を固めつつあることは知らなかった。沖縄は気候の問題もあるだろうが、東アジアの観光拠点にはならないのだろうか。

 シンポジウム全体を通じて官民学の連携こそがあらゆる分野の問題を解決する道筋だと強く感じた。

未来都市モデルは成長戦略の重要な柱」 経団連シンポ(10/31)

 国土交通省は10月31日、平成25年9月の住宅着工戸数をまめ発表。総戸数は88,539戸(前年同月比19.4%増、13か月連続の増加)となった。内訳は持家が32,128戸(同14.2%増、13か月連続の増加)、貸家が31,892戸(同21.5%増、7か月連続の増加)、分譲住宅が23,968戸(同23.5%増、5か月連続の増加)。分譲住宅の内訳はマンションが12,497戸(同35.6%増、5か月連続の増加)、一戸建住宅が11,396戸(同12.4%増、13か月連続の増加)。

 首都圏マンションは6,295戸(同21.4%増)で、都県別の内訳は東京都が4,109戸(同19.1%増)、神奈川県が1,484戸(同191.6%)、埼玉県が321戸(同40.6%減)、千葉県が381戸(同14.4%減)。

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「ザ・パークハウス多摩ニュータウン永山」完成予想図

 三菱地所レジデンスが11月に分譲する「ザ・パークハウス多摩ニュータウン永山」を見学した。永山の一等地に建つマンションで、同社の新しい設備仕様が盛り込まれており、価格もリーズナブルなことから人気を呼びそうだ。

 物件は、京王電鉄相模原線京王永山駅・小田急電鉄多摩線小田急永山駅から徒歩5分、多摩市永山2丁目に位置する11階建て全156戸。専有面積は68.78~89.15㎡、1期(107戸)の価格は2,948万~5,588万円(最多価格帯3,600万円台)、坪単価は170万円台。竣工予定は平成26月11月中旬。施工は東急建設。登録受付は11月9日(土)~。抽選は11月16日(土)。

 現地は、商業施設が建ち並ぶ駅前から5分、住居系エリアの入り口に立地。敷地南側には小学校がある。昭和40年代の開発当初はともかく、過去これほど駅に近い民間マンションは分譲されたことがない。住宅地としては一等地といえる。

 建物は南向きが中心でシンメトリーなデザインを採用。分節手法を採用することで単調にならないよう工夫を凝らし、バルコニーのガラス手すりは下層階から上層階に向かって薄くなっていくグラデーションを施している。

 設備仕様は、同社がすべてのマンションに標準化しつつあるキッチン御影石天板、食洗機、ディスポーザー、ミストサウナ、ソフトクローズ機能付き玄関収納、背の高さに合わせて調整できる2カ所の浴室スライドバーなどをフル装備している。

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モデルルーム

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 多摩市はわが街だ。我田引水のところがあるかもしれないが、住むにはいいところだ。やや坂はあるが、歩道は歩車分離されており駅まで信号などを渡らなくて済む。買い物も便利だし、緑も豊富だ。

 問題は価格だ。見学したときは価格が決まっておらず、販売担当者から具体的な単価は聞けなかった。そこで「175万から180万円ぐらいでしょうが、180万円はないはず」と聞いたら、ほぼその通りだった。東京建物の「Brillia」は駅からマンション入り口まで10分の表示で単価は150万円台だったが、立地はこちらのほうが断然いい。単価は極めてリーズナブルなものだ。

 本音を言えば多摩ニュータウンのポテンシャルを考えればもっと高くてもいいと考えているが、現状では永山は180万円の壁があると思う。同社は多摩センターでも駅近マンションを計画しているが、こちらは坪200万円の壁を打ち破ることができるかどうか。記者が商品企画担当者だったら、近隣居住者が見たこともないような最高の設備仕様を盛り込んで坪200万円の壁に挑戦する。デベロッパーは街のポテンシャルを引き上げる役割も担っているからだ。

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岩沙氏

岩沙弘道・経団連審議員会副議長のあいさつ文

 日本経済団体連合会(経団連)は10月29日、「日本再興への道」と題する未来都市モデルプロジェクト・シンポジウムを開いた。約500人が集まった。

 「未来都市モデルプロジェクト」は、経団連が2011年3月から11の都市・地域を選定し、世界に先駆けた社会的課題の解決を目指し官・学などと連携しながら民間企業が主体的に取り組んでいるプロジェクト。その解決モデルを世界に発信し、経済成長へと結びつけるのが目的。分野は環境・エネルギー、先端医療、次世代交通・物流、次世代電子行政・電子社会、国際観光拠点、先進農業、子育て支援・先進教育など。

 シンポジウムの冒頭、経団連審議員会副議長経済広報センター副会長・岩沙弘道氏(三井不動産会長)が挨拶した。わが国の抱えている問題、目指すべき方向が過不足なく述べられているので、ほぼ全文を紹介する。(  )内の見出しは記者が付けた。

(冒頭のあいさつ 略)

成長なき経済から再び成長軌道へ 民間の役割

 さて、わが国経済は、安倍政権が進める経済政策、アベノミクスの効果もありまして、生産、設備投資が持ち直し、企業収益や業況が改善するなど、本格的な景気回復に向けた動きを見せ始めております。こうした動きを、持続的な経済成長へと確実につなげていくことが重要です。この機を逃さずに、20年余り続いた成長なき経済から脱却し、再び成長軌道へと回帰させなければなりません。

 そのために何よりも重要なことは、アベノミクスの第三の矢である成長戦略を、着実にかつ迅速に実行していくことであります。そして、われわれ民間企業には、成長のメインプレーヤーとして、積極果敢に事業を展開するとともに、イノベーションを推進し、新たな需要を創造していくことが求められているかと存じます。

課題解決につながる未来都市モデルプロジェクト

 こうした中、経団連では、未来都市モデルプロジェクトを立ち上げ、都市を舞台にしたイノベーション実証実験を推進してまいりました。

 現在、プロジェクトが進みます全国11の都市・地域で、環境・エネルギー、医療、交通インフラ、農業等の分野において、先端技術を用いた実証実験が行われております。そして社会的な課題の解決や産業システムの変革、さらには地域の活性化へとつなげる成果が芽生えつつあります。今後は、これらの成果を事業化・産業化へと結びつけていくことで、企業の競争力強化、ひいてはわが国の経済成長へつなげていくことが重要だと考えます。

 プロジェクトを通じまして、課題解決につながるサービスを提供し、国内の新たな需要を掘り起こす、さらには、成功事例を積極的に海外展開していくことで、海外の需要を取り込むことも可能となります。このように、未来都市モデルプロジェクトは、内需と外需、2つの推進力によって、わが国の経済社会を新たな成長ステージへと離陸させる、成長戦略の重要な柱となると確信しております。

大胆な規制緩和で民間活力の発揮を

 一方で、個々のプロジェクトを進めるうえで、課題となるのが、様々な制度面での規制であります。この後のパネルディスカッションの中でも紹介されると思いますが、とりわけ、エネルギー、医療、農業といった分野の規制は厳しく、事業を進めるうえでの壁となっております。

 安倍総理は、規制改革の推進が、成長戦略の一丁目一番地だと指摘されました。我々企業といたしましても、成長戦略の担い手として、これまで以上に、積極的かつ主体的にビジネスを展開してまいります。官の皆様におかれましては、大胆に規制緩和を推進し、民間活力の発揮につながる環境を整えていただきたいと存じます。

官・民の連携がグローバル市場では不可欠

 また、未来都市モデルプロジェクトを通じまして、私どもがチャレンジしている高齢化やエネルギー・環境問題、水・食糧問題は、わが国特有のものではありません。いずれ多くの国が抱えることになる世界共通の課題であります。他国に先駆けてこれらの課題を解決することができれば、国際社会への貢献となるだけでなく、グローバルな市場で、わが国が強みを発揮することにもつながります。

 ただ、世界各地でスマートシティの建設が進んでおりまして、それに見られます課題解決ビジネスをめぐっても、国際競争が激化しております。グローバル市場での需要を取り込もうと、世界各国で都市を実験場にしたイノベーション創出競争が展開されており、欧米の先進国企業のみならず、国の政策的後押しを受けた新興国企業もプレゼンスを高めつつあります。

 このように、企業の枠を超えた、国を挙げての国際競争が繰り広げられている中で、世界の競争相手と渡り合っていくためには、官・民の連携・協調が不可欠であります。本日は、国、自治体の関係者にも多数お越しいただいております。是非、この点について、理解を深めていただければと願っているところであります。

(結び 略)

官民学の連携が成果挙げる 未来都市モデルプロジェクト(10/31)

 不動産情報サービスのアットホームがまたまた面白いアンケートを行った。1都3県に在住する20~40代で、2012年10月1日から2013年8月28日までの間に新築・中古住宅を購入した男女600名を対象に「近所付き合い」に対する意識調査を実施したもので、近所づきあいを価格に換算して結果を公表した。

 ニュースリリースによると、「近隣住民の雰囲気も住宅購入の決め手になった」人が58.3%で、「現在、近所付き合いに満足している」人は全体で49.7%(新築46.0%、中古61.9%)、「近所付き合いは大切にしたい」人が65.8%、「良好な近所付き合いを買うことができたら、物件価格に上乗せしてもいい額」は平均160万円というものだ。

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 記者もなにもかも金額に換算するのは大好きで、あの東京ミッドタウンの用地の落札価格を1,800億円と予測して的中させたのには快哉を叫んだし、主婦(夫)労働はとてもサラリーマンの給与で賄えないとはじき出したときはショックを受けた。

 今回のリリース記事を業界紙で読んで腰を抜かすほど驚いた。「近所付き合い」を金額に換算したのはおそらく初めてだろうし、その価値をユーザーが160万円とはじいたことに狂喜乱舞でもしようかと思ったほどだ。

 しかし、残念ながら「平均160万円」は著しく不正確だ。スポーツ紙もこんな見出しはつけないのではないか。回答者のうち35.3%の人は「0円」と答えているし、「1円~100万円未満」の人も31.7%いる。その一方で「300万円台」が5.8%、「400万円以上」が3.6%だ。

 これらを足して割って平均値を出したところで、果たして近所付き合いの価値を正確にはじき出したと誰もが思わないのではないか。価値を0円としか見ていない人が4割近くいるのだ。つまり、近所付き合いは大事だが、それを分譲価格に上乗せしたらびた一文出したくないという人がたくさんいるということだ。160万円は新築の首都圏マンション消費増税額(8%)と同じぐらいの価格だ。

 もう一つは「良好な近所つきあい」の「良好な」とはどのようなものかも考える必要がある。つかず離れずがいいのか、土産物のおすそ分けやおかずのやり取りをするのがいいのか、挨拶を交わす程度でいいのか人さまざまだ。

 さらに、購入に際して「不動産会社の担当者から近隣住民についての説明や情報を受けている」人が48.5%という数字にも興味が引かれる。これが多いのか少ないのかの判断だが、記者は圧倒的に少ないと思う。不動産の価値は、個別単体の価値だけではない。地域のポテンシャル、近隣のコミュニティとも密接につながっている。ユーザーは不動産会社に近隣住民の情報など期待していないのかもしれないが、新築にしろ中古にしろ、近隣のコミュニティについて把握していない営業マンは失格だ。

 個人情報の保護に過剰に反応して〝見ざる言わざる聞かざる〟が蔓延しているとしか思えない。無猿(縁)社会とはよくいったものだ。

 それにしても、アットホームの意表をつくアンケートは面白い。どんな人が企画するのか今度聞いてみよう。

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「アトラス渋谷公園通り」完成予想図

角を矯めて牛を殺すことにならないか総合設計制度改正

 旭化成ホームズは10月29日、渋谷区の「宇田川町住宅」の建て替え事業「アトラス渋谷公園通り」が竣工したのに伴い、報道陣向けに見学会を行った。

 物件は、渋谷駅から徒歩5分、渋谷区宇田川町3の敷地面積約870㎡の商業地域に位置する13階建て49戸(店舗1)。専有面積は約33~104㎡。坪単価は420~430万円。

 従前建物は、昭和36年に竣工した東京都住宅供給公社が分譲した店舗併用マンションで、地下1~3階を同公社が所有、住戸(約58㎡)は4~7階で全16戸。エレベータはなし。

 平成15年から建て替えの計画が進められたが、合意形成ができず検討がストップ。同18年、有志が同社の建て替えセミナーに参加したことがきっかけで再び建て替えの検討が始まり、同21年6月、同社が事業協力者としてプレゼンを行った3社の中から選定された。同22年9月、全員同意で建て替え決議を行い、同年12月、組合員全員が再取得することが決まった。

 同社は当初、建基法案と総合設計案を提示したが、平成22年に都の総合設計制度改正が行われることになっており、適用の可否、容積率の割り増し、公開空地の確保や非住宅面積の制限が厳しくなることなど上に伸ばすメリットがなくなったとして断念した。

 また、同社は、権利者が17人と少ないことから、複数の議決権を持つ権利者が建て替え決議に大きな影響を及ぼすこと、商業立地の店舗併存マンションは更地での売却、商業ビルへの建て替えのほうが「最有効活用」となる場合が少なくないこと、テナントとの交渉に時間がかかるなどの課題もあると説明した。

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エントランス

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 計画は聞いていたが、坪単価420~430万円で分譲済みとは知らなかった。同じ公社住宅の建て替えマンションとして話題を集めた「渋谷美竹」より少し遅れて分譲された。こちらは「公園通り」に面しており、隣は東武ホテル、その先は渋谷区役所、NHKなどがある一等地。記者は坪単価500万円でも売れるのではないかと思った。リーマンショック前では坪500万円のマンションが近くで分譲されており、高額を除き人気になった。

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 総合設計制度を活用しなかったというのも驚いた。都は平成22年に同制度を改正。単に公開空地の面積の確保だけでなく、緑化率などの質や住宅の質、環境性能などが問われるようになった。

 今回のマンションは敷地面積が小さく要綱が改正される前で、その概要が明確でなかったために同制度の活用を見送ったようだ。しかし、総合設計制度は良好な街づくり、住宅供給を促すための制度だ。権利者が基準法を選択したほうがいいと判断される要綱改正は、制度の趣旨からしていかがなものか。

 都の総合設計制度の適用案件は毎年20~30件あったが、要綱が改正されたあとの平成23年度も24年度もそれぞれ3件しかないのは気になる。角を矯めて牛を殺すことにならないのか。

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屋上テラス

 日本土地建物が千葉県船橋市で開発を進めている全85戸の大型シェアハウスの名称が「シェアリーフ西船橋グレイスノート」と決まり、賃料も51,000円/室~83,000円/室(別途共益費18,000円)と決まった。

 リビング・ダイニング、多目的ルームのほか、音楽スタジオを3室設置するなど共用施設を充実させているのが特徴。個室は9.6畳大が基準で、最大15.8畳大。入居募集開始は来年1月から。入居開始は3月上旬。

日本土地建物 業界最高水準のシェアハウス「船橋」(2013/9/17)

 

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「NEXT HEBEL HAUS 新大地」(左)と「NEXT HEBEL HAUS CUBIC(キュービック)」

 旭化成ホームズは10月28日、静岡県富士市の同社住宅総合技術研究所で戸建て住宅の新商品発表会を開き、低層戸建住宅用の躯体システム「鉄骨軸組ハイパーフレーム構法」の優れた構造性能を最大限に生かした内部空間の縦方向へのプラン自由度を高め、新たに開発した外装部材やインテリアを備えた「NEXT HEBEL HAUS(ネクストヘーベルハウス)」シリーズを平成25年11月1日(金)から発売すると発表。

 同時に、「NEXT HEBEL HAUS」を盛り込んだ陸屋根タイプの「NEXT HEBEL HAUS CUBIC(キュービック)」と寄棟屋根タイプの「NEXT HEBEL HAUS 新大地」を新たにラインアップに加え、関東、東海、関西、山陽、九州北部で販売していくと発表した。同社の主力商品にする考えだ。

 「NEXT HEBEL HAUS」は、コストアップ要因を企業努力で抑えながら「鉄骨軸組ハイパーフレーム構造」の強化を図り、1階の階高を16cm高くする仕様を導入するとともに、2階の床を約80cm下げた中間層に設置する「クロスフロア」を実現。住空間の自由度を飛躍的に高め、インテリア・エクステリアを進化させたのが特徴。2~3年かけて開発してきた。平成25年度の販売目標は3,000棟。

 「NEXT HEBEL HAUS CUBIC」は、大都市圏の狭小敷地の子育てファミリーをメインターゲットに置いた商品で、「クロスフロア」を採用することで、4層にも5層にも見える豊かな住空間を提案している。コンセプトモデルの延床面積は118.16㎡(35.8坪)。本体価格は2,930万(税抜き価格)。平成25年の販売目標は150棟。

 発表会に臨んだ同社取締役兼副社長執行役員・池田英輔氏は、「2~3年前から開発を進めてきたもので、これまでやってきたことをてんこ盛りにした商品」と語り、同社技術本部商品開発部長・加藤明氏は、「設計の自由度を高め小さくても豊かな空間を実現したことと、インテリア・エクステリアのアイテムを増やしたことの2つの進化を遂げた商品」と特徴を語った。

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池田氏

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 報道陣に公開された「NEXT HEBEL HAUS 新大地」は広さ約60坪。新商品の特徴であるダウンフロア400ミリ、クロスフロア、勾配屋根などを駆使して2.7m・3.2m・5.2mなどの天井高を提案した5層住宅だ。外観に木目調軒天やルーバースクリーン、キャノピーを採用し、住戸内も床・壁・天井に無垢材をふんだんに用いた「ウッディモダン」を提案している。それこそ「てんこ盛り」のモデルハウスだ。

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「カフェミックス キッチン」(左)と「キッズピット」

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「パパボックス」

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 記者が注目したのは「NEXT HEBEL HAUS CUBIC」だ。これまで軸組工法や2×4工法による中2階や2層吹き抜け空間の提案はたくさん見てきた。鉄骨住宅の同社の提案もこれまで見てきたものと大差はないだろうと高を括っていた。

 ところが、従来のものとは全く異なっていた。従来の中2階はどちらかといえば閉じられた空間を中2階に設置したものが多かった。

 今回の提案は閉じられた空間でもあるが、上下階やスキップフロアの隣り合う住空間との一体利用を想定したものだ。「個室を最小限に抑えている」ためもあり、床面積にして20坪の空間が0坪ぐらいの空間に見える。3.2mの天井高を実現した「クロスフロアのリビング」が上層階のダイニングキッチンや下層階の子ども部屋ともつながっているのには驚いた。新たに加えられたインテリアスタイルの「カフェミックス」も需要層のニーズにマッチした提案だと思う。

 一つだけ注文をつけるとすれば、外観だ。「キュービック」は合理的な住宅に違いないが、内部空間が素晴らしいだけに外観も魅せるものにしたほうがいいのではと思った。

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クロスフロア空間

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 われわれ記者は戸建てであろうとマンションであろうと、すぐ坪単価で価値を判断する。今回のプロトタイプの「NEXT HEBEL HAUS CUBIC」は約83万円で、約36坪で2,930万円だ。しかし、先にも書いたようにこの商品は坪単価で測れない価値がある。3層~4層の住空間があるからだ。

 もう一つ、この坪単価と関連することだが、間取り表示について。記者はあまり間取り表示を重視しない。基本的には居住面積だ。居住面積が間取りを決定付けるからだ。その意味で、今回の商品は○LDKとして表示ても意味がない。DK表示の物差しを超える価値がある。

 ちなみに建基法でいう「居室」とは天井高が2.1m以上で、採光と換気について一定の基準を満たさなければならないが、広さについての規定はない。マンション業界などは自主規制として4.5畳大以上を「居室」としたときがあった。

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腰窓付きのクロスフロアで住宅の特徴を話す担当者(上階のダイニングキッチンから写す)

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