大京「ライオンズタワー柏」 坪単価はドンピシャリの230万円 人気必至
「ライオンズタワー柏」完成予想図
大京の柏駅前再開発マンション「ライオンズタワー柏」の坪単価は230万円-大京は5月30日、JR常磐線柏駅から徒歩3分の竹中工務店施工の商・公・住の複合再開発マンション「ライオンズタワー柏」(全265戸、分譲戸数249戸)の記者発表会を行なった。
予定価格は2,700万円台~7,800万円台(40㎡台~90㎡台)で、坪単価は230万円になる模様。6月14日から第1期分譲を開始する。戸数は未定だが、価格の高い住戸を中心に購入希望が多く入っており、100戸近くが分譲されそうだ。人気になるのは必至だ。
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このマンションの坪単価についてはずっと気になっていた。今後の郊外の駅近タワーマンションの値付けに大きな影響を与えると思っていたが、ドンピシャリ予想通りの価格になった。
あるいは240万円もあるかもしれないと見ていたが、同社は極めてリーズナブルな価格設定を行ったと思う。売れるからといって高値を追求すべきではない。詳細は後日紹介する。
15万円/坪の耐震補強・リノベ費用で賃料50%アップ 地所レジ 中小ビルリノベ事業
中小ビルリノベーション事業第一号物件(神田岩本町)
三菱地所レジデンス 中小ビルリノベーション賃貸事業に進出
三菱地所レジデンスは5月30日、中小ビルリノベーション事業に進出すると発表。同日、第一号物件の千代田区岩本町にある築40年の内覧会を行った。約15万円/坪(総額約1,500万円)の耐震補強・リノベーション費用で賃料は従前より50%アップでき、ほぼ満室稼働する。
同事業は、築年数の経過などで競争力が低下し、継続的な運営が困難な中小事務所ビルを一括賃借、耐震補強工事を含むリノベーション工事を行い、バリューアップを通じて再生・転貸するもの。10年後にはオーナーに返還する。今後3年間で15棟、5年間で30棟の事業規模を目指している。千代田区神田小川町の第2号物件もリノベーションが完了し、順調にリーシングが進んでいるという。
リノベーションにあたっては、同社の子会社メックecoライフとオープン・エー(東京R不動産)と企画・連携し、リノベーション物件のニーズを的確にとらえ、飲食・物販・住居・オフィスなどの多様な用途に改修する。
環境負荷が大きいスクラップ&ビルドに頼らない既存ストックの有効活用につながり、資金面で改修できず競争力を失った中小ビルをバリューアップすることは、社会的意義も大きいとしている。
内覧会で同社リノベーション事業部資産活用室資産活用グループ・明嵐(めあらし)二朗氏は、「当社の『大・丸・有』エリアとシナジー効果が期待できる神田エリアを中心に展開していく。神田は食・住・商が混在する一方で、後背地などは土地の細分化も進み、大型の再開発が困難な地域。これらを再生・支援する意義は大きい」と語った。
第一号物件のビルは、築40年の敷地面積約73㎡、延床面積約387㎡の7階建ての物販・オフィスビル。1、2階に耐震補強を施したうえ、1戸については住居兼SOHOに改修した。改修費は約1,500万円(15万円/坪)。賃料は約1.2万円で、従前より50%増の設定。転貸するのは1~6階で、すでに1~5階は入居者が決まっているという。
同社は、昨年10月、リノベーションマンション事業に進出。今年4月には体制を強化のため「リノベーション事業部」を新設。年間100戸、売上高30億円を目指している。
住居兼SOHO
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リノベーションについてはよく分からないが、古いビルやマンションの耐震改修は喫緊の課題だと思う。しかし、所有者の高齢化が進み、資金難から進まないのが現状だ。その費用を同社が負担するというのは、オーナーにとっても決断しやすいのではないか。
今回のリノベーションビルは、耐震壁以外はそれほど設備仕様にはお金を掛けていないようだ。床はコンクリートのままで、天井高を2.5mから2.8mにして、配線などは天井にむき出しで設置するようだ。窓も単板ガラスのままだった。
1戸だけ住居兼SOHOになっていたが、複数の住戸にコンバージョンするためには2方向に避難箇所を設置するよう求めている建築基準法がネックになったためだという。階段など1カ所しか避難箇所がない古いビルを住宅用にコンバージョンするのは難しいようだ。
明嵐氏
東建など6社共同「東京ワンダフルプロジェクト」第2弾「BAYZ」分譲へ
「東京ワンダフルプロジェクトBAYZ TOWER&GARDEN」完成予想図(写真左は「SKYZ」)
東京建物など6社は5月28日、江東区豊洲6丁目で開発を進めているマンション「東京ワンダフルプロジェクトBAYZ TOWER&GARDEN」の「モデルルームお披露目会&新CM発表会」を行なった。この物件については、隣接する「SKYZ TOWER&GARDEN」(1,110戸)を見学した際の記事を参照していただくとして、特徴的なことを紹介する。
物件は、東京メトロ有楽町線豊洲駅から徒歩14分、またはゆりかもめ新豊洲駅から徒歩6分、江東区豊洲6丁目の土地区画整理事業地内に立地する31階建て全550戸。専有面積は42.88~97.69㎡、予定価格は3,400万円台~1億1,500万円台(最多価格帯6,000万円台)、坪単価は250万円台の半ばになる模様。竣工予定は平成28年7月。設計・施工は清水建設。事業主は東京建物のほか三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、東急不動産、住友不動産、野村不動産。
モデルルームオープンは5月31日、販売開始は7月の予定。これまで3,500件の反響があり、事前案内会への来場者は約800組。
「東京ワンダフルプロジェクト」は東雲運河に面した敷地面積約3.2haに、約9カ月で完売した隣接の「SKYZ TOWER&GARDEN」(1,110戸)のほか、賃貸住宅、商業施設、公益施設、教育施設が建設される区画整理事業地内の一角。開発エリアの46%を緑地空間とし、約2,200本の中低木を配する計画。
建物は、清水の免制震複合システム「スイングセーバー」を採用。外周や住戸内の梁の厚みを抑えることで自由度の高い住空間を実現。バルコニー側のサッシ高を2,450ミリ確保し、キッチンからの給排気ダクトによる下がり天井のないフラットな天井にし、SI(スケルトン・インフィル)も採用。わが国初の「CASBEEまちづくり」Sランクと「都市開発版SEGESつくる緑」を同時取得。長期優良住宅、東京都マンション環境性能表示でオール満点の三ツ星も取得。非常時発電は72時間確保。
建物のデザイン監修は光井純氏、上層階共用部分デザインは世界的デザイナー、アラン・チャン氏、キッズガーデンデザインは手塚貴晴・手塚由比の両氏。
完成予想図
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まず、価格について。同社住宅事業部事業推進グループグループリーダー・水野功氏は、「SKYZと工法などが異なり単純比較はできないが、単価的にはそれほど変わらない」と坪単価は明らかにしなかったが、「SKYZ 」と同様の250万円くらいに落ち着く模様だ。
バブルが崩壊する前は、マンションも一戸建ても期を重ねるごとに値段を上げるのが常識だったが、いくら景気がよくなり、今回の「BAYZ」も人気になりそうだからといって価格を上げるようなことはしないと思うし、そうすべきではない。この単価で十分利益は出るはずだ。高値競争は、各社単独の富裕層向けでどんどんやってほしい。
「SKYZ」との設備仕様の違いについて。「SKYZ」は天井高2600ミリ、サッシ高2300ミリだったのに対し、「BAYZ」は天井高2500ミリ、サッシ高2450ミリ。キッチンは、「SKYZ」では付いていなかった食洗機が標準装備。コの字型が主流でバックカウンターもついている。ドアノブは「コロンボ」が標準。双方の共用部分は相互利用できる。
ゲストルーム(左)と最上階のラウンジ&バー
モデルルーム リビングダイニング
「わたし、買っちゃおうかしら」江角マキコさんが絶賛した「BAYZ」(2014/5/28)
ハイブリッド免制震など初ものづくし 満艦飾マンション「SKYZ」(2013/6/13)
「わたし、買っちゃおうかしら」江角マキコさんが絶賛した「BAYZ」
江角さん
「わたし、買っちゃおうかしら」-5月28日行われた東京建物など大手デベロッパー6社JVの江東区豊洲6丁目に建設中りマンション「BAYZ TOWER&GARDEN」のモデルルームお披露目会&新CM発表会に臨んだ女優の江角マキコさんは「わたし、マンションは趣味で結構見学しています。このマンションは天井が高く窓も大きく、梁がなく、どこと比べても最高。買っちゃおうかしら」と、リップサービスとはとても思えぬ入れ込みようで絶賛した。
そう語ったのは、事業者から挨拶や説明が行われた後のトークセッションの場だった。登場したのは髪と肌を除いて全部白。上着はところどころに花柄模様がある肌が透けて見えるノーブランドのチュニック、パンツはノーティファイ、パンプスはレペットだ。
(記者は着ているものと履いている靴の色だけは「白」であることが分かったが、何と呼んだらいいか分からなかったので、女性記者に聞いて教えてもらった。このことを売主に名を連ねている別の会社の広報マンに伝えたら、「そこまでやるならブランドを聞かなきゃ」とけしかけられた。ここで助け舟だ。たまたまその場にいた広告担当の代理店の方が「スタイリストに聞いてみましょう」ということで、ブランド名が判明した。ノーティファイやらレペットは興味のある方は調べてください。記者はマンションブランドなら詳しいが、着るもののブランドには全く興味がないし、あっても買えないとあきらめている)
なるほどと思った。マンションの外観も白だ。江角さんはきっとマンションにふさわしい白で統一したのだと瞬時に理解した。この場にふさわしいいでたちで登場した江角さんを鳥に例えるならば、掃き溜めと言っては言い過ぎの、まだまだ水質は十分でないかもしれない東雲運河に浮かぶ白鳥かシラサギだ。花になぞらえるなら、これ見よがしのシャクヤクではなく、可憐だが名前が悪い「ドクダミ」でもなく、触れなば落ちんタンポポの綿毛のように尻軽には見えないし、やはり凛と咲くカサブランカだ(カサブランカは他のマンションのCMに出た女優さんにも使ったような気がするが)。
身に着けているものだけならどういうこともない。トークセッションでは誰もが当たり障りのない、どうでもいいようなことを話すのだが、江角さんは違った。冒頭に紹介したように、たくさんマンションを見ていないと話せないようなことを次から次へと催促もされないのに話した。これには仰天した。
「モデルルーム見せてもらって本当にほしくなった。ゼロから造り上げる造り手の思いが伝わってくる。マンションの見学は趣味のようなもので、海外に行ってもよく見る。梁が出ていないのは不思議。全部、最高」と賛辞を贈った。
江角さんに負けず劣らずの返答をしたのがトークセッションに参加していた同社住宅事業部課長・三谷和仁さんだ。すかざず「後で申込書をお渡ししますので」と返し、会場の笑いを誘った(江角さんを買う気にさせたのは、92㎡のフルオプションの9,000万円台の住戸であるのは間違いない)。
これだけではない。江角さんは「ずっとデフレが続いてきたが、アベノミクス効果で明るさも見えてきた。私たちのような30歳代や40歳代の人が元気になるよう明るく楽しく生きたいし、このようなプロジェクトに関われてうれしい」と締めくくった。6社の社長が聞いたら泣いて喜びそうなコメントではないか。
トークセッション(左から江角さん、三谷さん、同社住宅販売部課長・小保内剛さん)
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〝刺身のつま〟程度でしかないトークセッションを記事の冒頭に書いたのは生まれて初めてだ。江角さんのコメントでこの物件の魅力を紹介できたと思う。これから書く記者の拙い記事こそ〝刺身のつま〟としてゴミ箱にでも捨ててほしい。
三井不動産 新株発行と株式売り出しで3245億円調達
三井不動産が1億株の新株発行と野村證券を割当先とする第三者割当による新株発行1,000万の合計1億1,000万株を発行し、概算3,245億円の資金を調達するというニュースが飛び込んできた。
調達する資金は、同社が開発を進めている日本橋・八重洲エリア、日比谷エリアや「飯田橋グラン・ブルーム」、「(仮称)ららぽーと富士見」、「柏の葉キャンパスシティ148駅前街区」などのオフィス・商業施設のほか、物流、賃貸、ホテル・リゾートなどの平成27年3月期の設備資金計画3,760億円の一部に充当する。
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現段階で同社の各事業の業績は絶好調。前期末のオフィス空室率は3.5%(連結)と低い水準で、分譲住宅の完成在庫は235戸と3.1%しかなく、今期計上予定戸数5,900戸のうち約5,200戸を契約済みだ。懸念される建築費の上昇も「すでに今期分についてはほとんど発注済み。発注の平準化も進み、一部は価格に転嫁できる」としている。
同社は今期売上高1兆5,400億円(前期比1.6%増)、営業利益1,830億円(同6.0%増)、当期純利益900億円(同17.1%増)といずれも過去最高を予測している。
今回の新株発行と第三者割当増資によって同社の発行済み株式数は約8.8億株から約9.9億株へ12.5%も増加する。増資による利益希薄化による株価の下落も懸念されるが、現在の株価は3,100円くらいで推移している。上場来最高値は2007年5月10日の4,000円。前期末の有利子負債は約2兆円で、前々期末より約800億円減らしている。
三井不レジ 可動間仕切りで間取り自由自在 「駒沢」に初採用
「パークホームズ駒沢ザレジデンス」完成予想図
三井不動産レジデンシャルは5月27日、「可動間仕切り収納(Kanau Shelf/カナウシェルフ)」を採用することで、住戸内の空間を自由に変更することができる「KANAU PLAN」を開発、その第一弾として「パークホームズ駒沢ザレジデンス」に採用すると発表した。
「KANAU PLAN」は、ライフスタイルが多様化する中で、供給サイドが決めた「LDK」の発想では住まい手のニーズに応えられないという発想から考え出したもの。
水回り部分は固定したままだが、「カナウシェルフ」はキャスター付きなので軽く押すだけで移動が可能で、収納の下部に格納されている昇降ハンドルを回すだけで天井に突っ張ることができる。震度5弱以上で扉の開閉を自動ロックする「耐震ラッチ」機能もついている。クロークユニット、下足入れユニット、建具ユニットなど7種類のユニットを組み合わせ、自由に室内をレイアウトできる。各ユニットの寸法は50ミリ単位でオーダーすることもできる。
物件は、東急田園都市線駒沢大学駅から徒歩2分、世田谷区駒沢二丁目に位置する5階建て全50戸。専有面積は40.63~101.66㎡、坪単価は360万円。設計は日建ハウジングシステム、施工は五洋建設。竣工予定は平成27年7月上旬。
これまで来場者は約220件。立地、利便性に恵まれており、外観意匠に力を入れていることから遠方からの反響もあるという。6月7日からモデルルームを一般公開し、販売は6月下旬。
「KANAU PLAN」概念図(左)とモデルルーム
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記者は他の取材があり遅れて発表会に臨んだ。可動間仕切りの提案はもう20年も前から各社が提案しており、別に珍しいことではない。最近では三菱地所レジデンス、コスモスイニシア、伊藤忠都市開発、大成有楽不動産などの同じ発想の優れた提案を見学しているし、三井不動産レジデンシャルも「武蔵小杉」「八丁堀」「大崎」などで思い切ったプランを提案している。
なので「KANAU PLAN」そのものは真新しいものではない。同社がこれまで提案してきたプランからすると当然の帰結だと思った。SI(スケルトン・インフィル)の提案ともいえるものだ。ただ、同社が特許を申請しているように、ユニットは女性一人で動かせ、ハンドルひとつで天井にぴったり張り付かせることができるのがいい。「駒沢」は15戸で対応するが、13ユニットまでは無料。設置するだけで少なくとも100万円以上の価値があるという。もちろん、好みの間取りに変えられる価値はお金では換算できない。
それよりも、驚いたのは単価だった。坪単価360万円は極めて安いと思った。徒歩2分で設計は日建ハウジングシステムだ。物件は北口から徒歩2分なので、駅の南側よりは安いと思ったが、坪単価は380万円くらいだと弾いた。
早速、現地を見学した。まずまずの住宅地だが、難点もあった。玉川通りと高速道路からは離れてはいるが、うるさいほどではないにしろ、かといって静かではない。この騒音を考慮して下方修正した。それでも坪360万円はこれから供給される駅近マンションと比べたら割安感がある。申し込みが殺到しても驚かない。
「可動間仕切り収納(Kanau Shelf/カナウシェルフ)」(ハンドルが見える)
現地(奥のタワーマンションは玉川通りに面している)
子育てに人気呼ぶか 大和ハウス・伊藤忠都市開発「プレミスト浦和常盤」
「プレミスト浦和常盤」完成予想図
大和ハウス工業(事業比率60%)と伊藤忠都市開発(同40%)のJVマンション「プレミスト浦和常盤」を見学した。駅近の第1種住居地域に立地する子育てファミリーにお勧めの好物件だ。
物件は、JR京浜東北線北浦和駅から徒歩5分、さいたま市浦和区常盤10丁目に位置する6階建て全86戸。専有面積は70.54~86.15㎡、価格は未定。竣工予定は平成27年5月下旬。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は伊藤忠ハウジング、日本住宅流通。分譲は7月末の予定。
物件の最大の特徴は、北浦和駅から徒歩5分、賑やかな商業エリアから一歩入った住宅街であることだ。「北浦和」は文教エリアとして知られるところだが、常盤小学校へ徒歩7分、常盤中学校へ徒歩10分。このほか大型商業施設へ徒歩3分。
敷地は伊藤忠商事の社宅跡地。東西軸に細長く4方を道路に囲まれており、建物は南向き住戸が90%以上。全戸70㎡のファミリーマンションだ。
販売担当者は、「先週からモデルルームの事前案内会を開始し、これまで来場は130件。駅から5分の第一種住居地域で、常盤中学校や常盤小学校にも近く、モデルルームタイプのプランが人気」と話している。
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いい物件だ。さいたま市の駅近マンションなら浦和や大宮もいいが、教育熱心のファミリーなら「北浦和」に住みたいと思うはずだ。モデルルームの玄関はクランク・インで、設備仕様レベルも高い。リビングドアはソフトクローズ機能付き、洗面は2ボウル、天井高は2400ミリしかないが、圧迫感を緩和するため小梁が出にくい工法を採用している。
現地販売事務所(この部分がマンションのエントランス部分になる。その奥の建設中が同単価レベルのマンション)
3駅が10分以内の第一種低層 三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス元代々木町」
「ザ・パークハウス元代々木町」完成予想図
三菱地所レジデンスが7月に分譲する予定の「ザ・パークハウス元代々木町」を見学した。3駅が徒歩10分圏内の第一種低層住居専用地域に立地する希少の低層マンションだ。価格は未定だが人気を呼ぶか。
物件は、東京メトロ千代田線代々木上原駅から徒歩9分・代々木公園駅から徒歩7分、小田急線代々木八幡駅から徒歩6分、渋谷区元代々木町に位置する地上3階地下1階建て全24戸(事業協力者住戸4戸含む)。専有面積は42.77~100.05㎡、価格は未定。竣工予定は平成27年2月上旬。施工は東急建設。
現地は、山手通りから比高にして10mくらい坂を上った南傾斜の高台。敷地西側には道路を隔ててベトナム大使館がある。
建物のデザイン監修は建築家の柴田知彦氏。同氏は、同社の〝ザ・パークハウス〟第一号マンション「ザ・パークハウス大崎」などたくさんマンションの設計・監修を手掛けており、グッドデザイン賞も11作品にのぼっている。
建物の地階部分にエントランス、駐車場などを配し、住戸は2階から。プランは約42㎡の1LDKが1戸、約55㎡の2LDKが2戸のほかはすべてファミリー向け。
設備仕様は、玄関・ホール・廊下は天然石張り(一部フローリングとの選択制)。玄関と框に段差がないフルフラットが特徴の一つで、建具・面材はマホガニーの代用としてよく用いられるサペリ。キッチン・洗面のカウンターは御影石。バルコニーの天井は木目調のシート張り。バックカウンター・吊戸棚も標準。
販売担当者は「3駅へ10分以内で渋谷へもタクシーでおよそワンメーターという交通便と、第一種低層住居専用地域という立地を評価していただいている」と話した。
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建物の設備仕様レベルは間違いなく同社のフラッグ・シップブランド〝ザ・パークハウスグラン〟と同等だ。
現段階で単価は公表できないが、最近分譲された近隣物件(とはいっても立地条件は全く異なるが)と比較してももっとも高くなりそうだ。しかし、第一種低層のマンションを考えれば、記者は単価には納得する。
旭化成不レジ 賃貸伸長に伴い賃貸仲介ブランド「ヘーベルROOMS」強化
新たに開設する「ヘーベルROOMS 新宿」
旭化成不動産レジデンスは5月26日、旭化成ホームズの賃貸仲介ブランド「ヘーベルROOMS」の直営アンテナショップ「ヘーベルROOMS 新宿」を6月4日にオープンすると発表した。
「ヘーベルROOMS」は、旭化成ホームズが供給する賃貸住宅「へーベルメゾン」など賃貸住宅の入居者募集強化と入居者サービスの向上を目指すもので、昨年1月に立ち上げた賃貸住宅入居者募集代理店ネットワークのブランド。
今回、アンテナショップを開設するのは、直接入居者募集を行うことで入居希望者のニーズを直接把握するとともに、実際の募集活動を通じて独自のサービスやノウハウの開発をおこない、代理店ネットワークにその成果をフィードバックするため。
ブランド力向上のため、昨年度に引き続き旭化成キャンペーンモデルの久慈暁子さんを採用したポスターなどで広告宣伝活動を行っていく。
アンテナショップは、同社が管理する首都圏のヘーベルメゾン約4.8万戸(常時紹介できるのはうち約1,500戸)を紹介するほか、「プライベートブース」を設け、希望に応じて女性が対応する。定休日なし。仲介経験の豊富な「ニチワ」と店舗スペースをシェアする。店舗はJR新宿駅から徒歩2分、渋谷区代々木2-11-17 ラウンドクロス新宿9階。
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同社の賃貸部門の業績はこのところ飛躍的に伸びている。管理戸数は2008年が約36,000戸だったのに対し2014年度は約64,000に達する見込みで、売上高は334億円が608億円に大幅に増加。空室率は4.0%から3.6%へと減少している。同社は2020年までに売上高1,000億円、管理戸数100,000戸を目指す。
記者は賃貸住宅の管理についてはよく分からないが、同社の「へーベルメゾン」や旭化成不動産レジデンスの分譲マンション「アトラス」の賃貸に特化した管理事業では業界トップクラスのようだ。一般的な賃貸マンションやアパートなどと比べ耐震性や遮音性、その他の基本性能が高いからこそ空室率が3.6%という低い水準を維持できている要因だろうということは容易に想像できる。
ただ、私見を言わせていただければ、大手流通業界もそうであるように、これからはグループの総合力が問われる時代だ。たんに賃貸だけでなく中古の売買から、個人住宅の受注、建て替え・リフォーム、不動産投資・資産管理などワンストップで消費者のニーズに応えていくことがグループ全体の業績アップにつながっていくと思う。「へーベル」は首都圏に限っていえば圧倒的なブランド力があるはずだ。
発表会に臨んだ同社副社長賃貸営業本部長・池谷義明氏も「近い将来はワンストップで対応できるような店舗展開も考えたい」と話した。
「19歳、大学2年です。1年間たくさんPRしていきますのでよろしくお願いいたします」久慈さん(青山学院の2年生。久慈さんの左右には池谷氏のほか同社の担当者も並んでいたので、撮ったのだがピンボケで使いものにならず。同社広報そのことをに話したら、痛いところをつかれた。「最初から撮るつもりなかったんでしょ」当たり!)
ブルースタジオ 築85年のシェアハウス 国交省「寄宿舎」に該当せず
「わが家 千峰」
ブルースタジオは5月23日、築85年の木造平屋をシェアハウスにリノベーションした「わが家 千峰」を関係者に公開した。同社が企画・設計したもので、延べ床面積は約108㎡、部屋数は6室。すでに3室に申し込みが入っているという。建築基準法がない時代の建物であることから、国土交通省が定めた「寄宿舎」には該当しない。
物件は、西武新宿線野方駅から徒歩4分、中野区若宮1丁目に位置する木造平屋建て延べ床面積約108㎡。竣工は昭和4年(その後、増築あり)。浴室、シャワーブース、トイレ2カ所、キッチン、洗濯機付き。専用面積は約9~11㎡。月額賃料は6.5万~6.8万円。共益費は1.5万円。耐震補強など改修費は約15,000万円。
「おばあちゃんやお母さんが大事にしてきた昭和の空気を残したい」というオーナーの希望から、当時の建物や建具を極力残して今回のシェアハウスになった。「千峰」という名称は、オーナーの亡くなったおばあちゃんの雅号。
中庭から撮った居室(左)と共用部分の床の間付き和室
大島氏
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現在、国土交通省はシェアハウスの規制に乗り出しているが、今回のシェアハウスは「寄宿舎」ではない。同社専務取締役クリエイティブディレクター・大島芳彦氏は次のように話した。
「区や消防とも協議したが、建基法がない時代の建物であることから、国交省が定めた『寄宿舎』には該当せず、建基法も遡及適用しないことになった」
記者は法律に疎いが、Wikipediaによると「実行時に合法であった行為を、事後に定めた法令によって遡って違法として処罰することを禁止する」という法律不遡及の原則が適用されたことのようだ。
浴室(左)とキッチン
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悲しい性か誇るべき習性か、分譲であろうと賃貸であろうと、建物を見ると記者は坪単価をはじいてしまう。
古ぼけた民家を見て〝こんな家に誰が入るのか〟と不思議に思った。見学の際に手渡された資料を見てさらに驚いた。賃料は65,000円とあった。「えっ、10㎡で家賃65,000円? 坪いくらですか」とたまらず声を掛けていた。
「シェアハウスは共用部分がありますから、坪単価では計れません」とピシャリと関係者からくぎを刺されてしまった。
キッチンの隣にある冷蔵庫と水屋(高価そうな食器が入っていた。使用するのは自由だそうだ)
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木造のシェアハウスを見学するのは20年ぶりくらいだ。最初に見学したのは、シェアハウスの走りのころで、木造民家に10人以上が住んでおり、まるで〝タコ部屋〟(記者が勝手に想像したもので、記者自身タコ部屋を見たことはない)だった。火災でも起きたら大変だと心配したが、家賃の安さから隠花植物のように世にはびこるのだろうと予感した。
今回見学したシェアハウスはその時のものとは雲泥の差があるが、それでも理解の埒外の建物だ。大島氏が「ターゲットは30歳代。20歳代に味気ないひとり暮らしを経験している人、プラスの発想をする人。コミュニティ活動にも積極的にかかわろうという人だ。昭和の住宅を住こなしてやろうという気迫が必要。すき間風とか隣の声を気にするような人は住めない」と話した。
なるほどそうだ。シェアハウスには共用施設の風呂もあった。レトロな檜風呂だった。風呂を使用するのは自由だが、使用後はしっかり掃除するのがルールだという。
夏はいいが、真冬には小窓から寒風が吹きつけるはずだ。真っ裸で風呂洗いをする光景を思っただけで、記者などは震え上がった。風呂から上がり、掃除をして出ようと思ったら湯冷めしてまた入りたくなる-そんな風呂にだれが入るのか。見学に来ていた若い女性に聞いたら、「毎日入ろうとは思わない」と話した。最近の女性は毎日風呂に入らないのか、それとも銭湯に行くのか。野方に銭湯はあるのか。
そんな建物に、見学者は同業や同社の関係者、オーナー中心に180人にものぼった。昨年の青木茂先生のリファイニング建築には300人集まった。いったい、いつから人はまた群れて住むようになったのか。薄い壁一つ隔てた6畳間に女性が住んでいて安眠などできるのか-こんなことを考えると、今晩は眠れないかもしれない。
玄関(見学者はきちんと揃えていたが、昔見たシェアハウスは乱雑に脱いだままも少なくなかった)