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「SMA×ECO CITY(スマ・エコ シティ)相模原 光が丘エコタウン」完成予想図 

 大和ハウス工業は12月26日、相模原市で分譲中の「SMA×ECO CITY(スマ・エコ シティ)相模原 光が丘エコタウン」が神奈川県「環境共生都市づくり事業」に認定されたと発表した。

 横浜線淵野辺駅からバス10分徒歩1分の全127戸の戸建て団地で、太陽光発電システム・家庭用リチウムイオン蓄電池・LED照明・高効率給湯器・EVコンセントを搭載し、同社オリジナルのエネルギーマネジメントシステム「D-HEMS Ⅱ」による家庭内のエネルギーの見える化を図っている。

 環境共生都市づくり事業に認定されたのは13件目で、民間の戸建て団地では初。

大和ハウス「SMA×ECO CITY(スマ・エコシティ)つくば研究学園」まちびらき(2013/12/14)

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「Brillia Tower池袋(左)と「Tomihisa Cross」完成予想図

見学物件は激減 前年より20%減の85件 取材意欲駆り立てる物件減少も一因 

 今年(2013年)のマンション見学件数は85件だった。一昨年の115件、昨年の105件と比べて大幅に減少した。これまでの記者生活の中で最少であるのは間違いない。

 どうしてこれほど減ったか。一つにはフットワークが衰えたからだろう。若いときは1日に4~5件ぐらい見学しても平気だったが、さすがに今は3物件が限度だ。85件のうち都内が59件と7割近いことも体力の衰えが反映したものだろうと思う。

 もう一つは、時間的な制約だ。他の取材が増えたためだ。今まではあまり取材してこなかったハウスメーカーの取材が増えているのも一因だが、RBA野球シーズンに入ると日曜日、月曜日、水曜日、木曜日はほとんど野球の取材と記事執筆に追われる。大会期間中の4カ月ぐらいはマンションの見学は激減する。デベロッパーも土曜、日曜は取材をさせてくれないし、火曜・水曜、あるいは水曜・木曜がモデルルームの定休日になっているので、フルに取材できるのは月曜と金曜しかないのも響いている。

 取材が激減したのはもう一つ理由がありそうだ。「見学したい」と取材意欲を駆り立てられた物件が少なかったことだ。これは記者だけでなく、第一線で活躍している同業のある記者も同じらしく「今年は見るべき物件が少なかった」と話した。

 なぜ見るべき物件が少なかったのか。その理由はよく分からないが、大手の寡占化が進み、商品企画で対抗すべき中堅どころの意欲的な物件がなくなってきたのも一因ではないかと考えている。リーマン・ショックの影響はまだ払拭されていない。 

 そんな訳で、いま選定中の「話題のマンション」も減らさざるを得ない。その中から3物件だけ選んでいる「ベスト3」マンションは東京建物・首都圏不燃建築公社「Brillia Tower池袋」と野村不動産・三井不動産レジデンシャル・積水ハウス・阪急不動産の4社JV「Tomihisa Cross」と、マスコミを賑わせたアベノミクス効果を象徴する三菱地所レジデンス「ザ・パークハウスグラン千鳥ヶ淵」を選定した。

こだわり記者が選んだ2013年 話題のマンション

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 ベスト3マンションの筆頭に選んだ「Brillia Tower池袋」は別掲の記事を参照していただきたいが、豊島区役所・隈研吾・日本設計というこれ以上ない組み合わせが奏功した。売れ行きは想像をはるかに超えるものだった。

 完成は平成27年2月だが、いまから見るのが楽しみだ。記者がもっとも感動したのはやはり隈氏による外観デザインと仕様だ。区本庁舎ゾーンは台形状で、シースルーのソーラーガラス、透明ガラス、太陽光パネル、壁面緑化、木目調ルーバーを配し、10階から1階まで階段で降りられるようにするとともに、屋上庭園、エコミューゼを設置。ジグザク上にせせらぎが流れるように工夫するという。せせらぎにはメダカやカエルが生息できることも検討されているというから驚きだ。

 もう一つの「Tomihisa Cross」は、正直に言えば、三井不動産レジデンシャル・東京建物・三菱地所レジデンス・東急不動産・住友不動産・野村不動産の大手デベロッパー6社JV「東京ワンダフルプロジェクトSKYZ TOWER&GARDEN」とどちらを選ぶかで迷ったのだが、大手6社JVを選ぶのは安易というか無難な選択だという思いがあり、その一方で、「Tomihisa Cross」はシアターのBGMに「第九」の第4楽章を流した勇気を買ってこちらを選んだ。

 「第九」を採用することを提案した野村不動産住宅事業本部営業企画部営業企画課の佐々木まどかさんが「私はここで生まれて育ちました。日本一のイゴコチのいいマンションにふさわしい、自信が持てるマンションにぴったりだと思って第九を選びました」と話したのがとても印象に残っている。あの雑多な街をよくぞ「日本一イゴコチのいい街」としてアピールしたものだ。

 「SKYZ」を選外としたので、浮上したのは三菱地所レジデンス「ザ・パークハウスグラン千鳥ヶ淵」だ。これまで億ションはたくさん見てきたので、このマンションより設備仕様が勝っているのもたくさんある。しかし、何と言っても皇居が一望できるマンションは空前絶後、唯一無二なのが決め手になった。

 記者見学会のとき、記者は「最大の関心事は、このマンションが三井不動産レジデンシャルの『パークマンション千鳥が淵』(2004年竣工、64戸)の坪単価778万円を越えるかどうかだった。坪単価そのものはリーマンショック前の三井不動産レジデンシャル「パークマンション六本木」は1,140万円だし、1戸あたり10億円超はたくさんある…三菱地所レジデンス副社長・瀬川修氏が『三井さんの物件は首をひねらないと皇居は見えない。全住戸から皇居が見えるのは当社のマンションと隣接の賃貸マンションしかない』と語ったように、皇居が一望できる唯一無二のマンションだ。そのマンションが三井不動産レジデンシャルのマンションに負けるようでは情けない。坪800万円は納得だ」と書いた。

 今だかから書くが、同社の単価が「パークマンション千鳥が淵」を下回っていたらベスト3には選ばなかった。早期完売したのはアベノミクス効果だろうが、そうでなくてもあるいは売れたか。

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「ザ・パークハウスグラン千鳥ヶ淵」完成予想図

野村不動産他 新宿・富久町「Comfort Tower」第1期482戸が即日完売(2013/9/26)

東京建物「Brillia Tower池袋」はなぜ売れたか(2013/9/9)

三菱地所レジデンス「ザ・パークハウスグラン千鳥ケ淵」が即日完売(2013/9/17)

 独立行政法人のあり方について検討を重ねてきた行政改革推進本部が12月20日、基本方針をまとめた。都市再生機構については、東京都心部の約13,000戸あるタワーマンションなどの高額賃貸住は平成26年度からサブリース契約により運営を民間に委ね、財務構造の健全化に道筋をつた後は売却すべきとしている。

 賃貸住宅については、定期借家契約の活用などにより収益性が低い団地は統廃合を加速させるべきとし、急速な高齢化が見込まれる団地については、医療福祉施設を誘致すべきとした。

 また、ストックの老朽化などにより住宅管理コストは今後増加が見込まれるとし、確実にコストを下げる仕組みを構築すべきとした。

 さらに、適切な家賃収入の確保を図るため家賃の引き下げや引き上げを機動的に行い、低所得の高齢者に対する家賃減額措置は、他の供給主体の住宅との衡平性を考慮してコストは公費で負担すべきとしている。

 一方、都市再生事業については、開発型SPC(特別目的会社)の活用など民間との連携手法を多様化することで、リスクにみあった適正な収益の確保を促進すべきとした。

 ニュータウン事業は平成30年度までの土地の供給・処分完了に向けた取り組みを促進すべきとしている。

 人員規模については、東日本大震災に係る体制強化の必要性もあることから現在の水準を維持すべきとしながらも、関係会社は平成30年度までに数を半減すべきとしている。

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 方向は示されたが、前途は多難と言わざるを得ない。平成24年度末で資産が14兆4,624億円に対して有利子負債は12兆7,068億円だ。

 賃貸住宅の経営も苦しい。約75万戸ある賃貸住宅の空き家率は平成21年度に10%を超え、その後も上昇傾向にある。建物の老朽化にともなう維持・管理費コストが上昇すると思われるが、その一方で賃借人の高齢化・世帯収入減少の問題がある。家賃収入は平成20年度以降漸減を続けている。家賃を上げようにも、セーフティネットの一端を担うべきとする法律などが壁となっている。低所得者などを対象とした家賃の減額措置は約85,300世帯、減額総額は約156億円(うち国費85億円)にのほる。

 都市再生事業は黒字体制にはあるが、民間や地方自治体が行う都市再生や活性化事業を支援・補完することを目的とされており、時間とコストが掛かる地権者の権利調整などを担わされているのも収益確保の足かせとなっている。

 ニュータウン事業は、極めて厳しいと言わざるを得ない。大規模開発は地価が右肩上がりに推移するのを前提とした事業であり、バブル崩壊によって事業環環境が逆転した以降も開発を続けてきたのが今日の苦境をもたらした。新機構になった平成16年から土地の供給・処分を進めてきたが、いまなお3,000haを超える土地を抱えている。同機構がかかわった「多摩ニュータウン」(約1,400ha)と「つくばエクスプレスタウン」(約1,600ha)の合計以上だ。

 これを平成30年度までに完了するのは至難の技だろう。繰越欠損金は2,000億円を超える。今後の地価動向にもよるが、さらに膨らむ可能性もある。

 また、東日本大震災による復興市街地整備事業にも機構は全体59地区のうち27地区に関わっているが、この規模も1,000haは超えるはずだ。これも大丈夫かと疑問を挟まざるを得ない。

 国策に沿って進めてきた事業ではあるが、バブルが崩壊してもだらだらと事業を進めてきた罪は重い。

 

 

 ポラスグループの中核をなす中央住宅が戸建てだけでなくマンションや複合開発、JV、リノベーション、再開発などの案件の仕入れに複眼的な手法で積極的にトライしていく。同社取締役・金児正治氏が語った。その一つ、葛飾区新小岩ではマンションと戸建ての複合開発を開始する。

 金児氏は、戸建てのマインドスクェア事業部長でもあるが、今年の6月からマンションの事業責任者も兼ねており、今回マンションの用地仕入れ方針などについて次のように語った。

 「昨年暮れ、私のほうから、戸建て、マンションと『複眼の目で用地を仕入れたい』と手を挙げた。品川社長からも『思い切ってやってくれ』との了承も得て、今年に入ってから各部署などからヒアリングを開始してきた。用地仕入部隊は100人弱いるが、これまではマンション用地などは素通りしてきた。しかし、これからは供給エリアを広げ、規模についても他社とのJVを視野に入れた大型案件、マンションと戸建ての複合開発、さらにはリノベーション、再開発案件にもトライしていく。マンション事業の売り上げは現在50億円ぐらいだが、5年後には100億円ぐらいに伸ばしたい。事業の柱の一つに育てたい」

 その第一号案件もほぼ決まった。葛飾区新小岩で進めている案件で、マンション47戸と分譲戸建て8戸を計画している。

 戸建てについて金児氏は、年明け早々に分譲する予定の「都内城北エリア初進出の『赤塚』の事前反響が3週間で100件。スカイツリーが眺められることから話題を集めた2年前の『森下』に次ぐペース」と確かな手ごたえを感じ取っていた。

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 複眼の土地仕入れに転換するのは大賛成だ。これまで同社は埼玉の戸建てでは圧倒的なシェアとブランド力を誇っていたが、マンションは年間に1棟から2棟ぐらいしか供給してこなかった。記者は不思議でならなかった。ポラスファンを増やすためにもマンション事業は欠かせないはずだ。

 これまでマンション用地などには目もくれなかった100人弱の仕入れ担当が複眼の目で土地を見るようになれば、情報収集力は飛躍的にアップするのではないか。

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「ルジェンテ・リベル氷川台」完成予想図

 東急リバブルのリノベーションマンション「L'GENTE LIBER」首都圏第一号「ルジェンテ・リベル氷川台」のモデルルームを見学した。内装はパット見た目では新築と同様で、異なるのはサッシと水回りの段差ぐらい。新築より坪単価は30万円ぐらい安いはずで、ユーザーがどんな反応を見せるか。分譲開始は2014年1月11日から。

 物件は、東京メトロ有楽町線・副都心線氷川台駅から徒歩2分、練馬区氷川台三丁目に位置する全24戸の規模。専有面積は46.00~92.00㎡。価格は未定。建物は昭和61年10月に完成。共用部分のリノベーションは平成25年12月。施工は内野工務店。改修工事は東急ホームズ。

 昭和61年に建築された賃貸マンションの共用部分と空き住戸の専有部分に大規模改修工事を施し、区分所有マンションとして販売する一棟リノベーションマンション。現在賃貸中の住戸については賃貸住宅として運用しながら、随時、空室化した専有部分のリノベーションを実施し販売する。

 共用部分はエントランスにオートロック機能付自動ドアや防犯カメラ等を設置したほか、配管の更新、玄関ドアディンプルキーへの変更、インターロッキング外装タイルの修繕、スロープの設置も行った。

 モデルルームは、同社の女性一級建築士が監修。若いDINKS層をイメージし、ほとんどすべての機器を更新した。玄関ドアは古いままだが、最新のドアに取り換える予定。

 「L'GENTE LIBER」シリーズは、関西圏で本年5月に販売を開始した「ルジェンテ・リベル宝塚千種(兵庫県宝塚市)」の実績がある。今後も首都圏・関西圏を中心に事業を拡大していく。

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 リノベーションは全員参加型の事業になってきた。それだけ選択の幅が広がるのだから結構なことだ。今回のマンションも価格は未定だが、坪単価は200万円を切る模様で、20坪程度の新築マンションと比べると600万円ぐらいは安くなるはずだ。構造躯体はいじっていないので天井高が約2400ミリとやや低く、洗面、トイレの段差も従前よりは低くなってはいるが、5センチぐらいはあるのはやむをえない。設備機器はお客さんの要望によって臨機応変に対応するとのことだった。

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エントランス(左)とリビング

 三菱地所レジデンスは12月19日、マンションの各住戸のエネルギー消費量をコスト(燃費・円)に置き換えて「見える化」した冊子「マンション家計簿」を今後首都圏で販売する全ての新築マンション購入検討者に配布すると発表した。

 同社が分譲するマンションブランド「ザ・パークハウス」の環境性能を伝えるとともに、暮らしにおける省エネ行動を喚起することが目的。グループ会社のメックecoライフが開発した。

 冊子では、冷暖房費だけでなく、家電製品や給湯・建物の維持管理に至るエネルギー消費量をシミュレーションし、これをわかりやすいコスト(燃費・円)に置き換えて見える化を図ったもの。

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 同社に限らずエネルギーの見える化に各社は積極的に取り組んでいるが、記者はこれだけでは不十分だと思っている。単に電気やガスの消費量の見える化だけでなく、日常生活におけるすべての二酸化炭素(CO2)排出量を「見える化」「見せる化」しなければならない。

 ガソリンから上下水道、生ごみ、食品、酒・たばこ、耐久消費財、旅行・レジャー、医療、交通移動手段などすべての消費財・サービスも含めてCO2の排出量を提供できるようにし、低炭素社会を構築すべきだ。

 どこが真っ先に日常生活におけるCO2排出量の「見える化」を始めるか期待しているのだが…。

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「サーパス府中セントマークス」完成予想図
 

 大京は12月20日、今年4月に大京グループに入った穴吹工務店がJX日鉱日石不動産と共同事業主になっている「サーパス府中セントマークス」の販売代理となり来年1月に分譲開始すると発表した。大京が穴吹工務店の物件を販売代理するのは初めて。

 物件は、京王線府中駅から徒歩6分、府中市宮西町4丁目の商業地に位置する11階建て全30戸。専有面積は54.88~70.19㎡、価格は未定。竣工予定は2014年2月。設計・施工・監理は穴吹工務店。

 再開発が進む府中駅南口の商業地の外れに位置し、東側、西側が道路に面しており、南・南西側は比較的低い建物が建っているのが特徴。

 プランは1フロア3住戸構成で内廊下方式。二重床・二重天井、食洗機、エコガラス、ソフトクローズ機能付き引き戸を採用し、借り上げ保証システム付き。

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 2007年には5,037戸のマンションを供給して全国一になった穴吹工務店だが、リーマンショック後に内紛が勃発し、2009年11月に会社更生法を申請。その後、再生計画が終結したのに伴い、大京が全株式を取得し100%子会社となった。

 同社のマンションを見学するのは数年前に千葉県で見学して以来だ。その時は、同社広報に「何? RBA? 知らないね」のそっけない対応をされ記事にはできなかった。間もなくして同社は会社更生法を申請した。ほころびというものはどこかに出るものだとつくづく思った。

 供給トップはともかく、大京と連携すればどこにも負けない商品を供給できると思うので、思い切って商品企画などについて書く。

 価格は発表されなかったが、坪単価は220万円ぐらいに落ち着く模様だ。極めてリーズナブルな価格だろうと思う。かつて府中駅周辺の商業地エリアでは大量のマンションが供給され、右も左も北も南もマンションだらけになったが、このエリアは商業地の外れだけに一定の住環境は担保されそうなので、単身者やDINKSに向いているのではないか。

 商品企画については、引き戸を多用しているのはいい。数年前に見学したマンションもソフトクローズ機能がついており、今回のマンションは戸当たり部分も〝パタン〟という音が出たり跳ね返ったりしないよう工夫されていた。ドアは徳島県小松島市のニホンフラッシュ製だという。

 ただ、立地を考えれば、65㎡台と70㎡の3LDKは2LDKにして収納を増やすとか居室を広くしたほうがDINKSにアピールできたのではないか。徹底したターゲットを絞り込むことも物件によっては必要だ。

 もう一つ。もっと力を入れてほしいのはデザイン・意匠・設備仕様だ。首都圏の高単価エリアで今回のようなデザイン・設備仕様では互角に戦えない。〝素敵〟と思えるものを盛り込むべきだろう。同社に限らず中堅デベロッパーは価格を抑えるためだろうが、デザイン・意匠に力を入れない傾向がみられる。記者は逆だと思う。

 大和ハウス工業グループの大和ホームズオンラインは12月18日、中古マンション売買のWeb サイト“住まいのバトン”をリニューアルした情報サイト「中古マンSHOW」を2013 年12 月19日から開始すると発表した。

 売り手と買い手の情報量に圧倒的な差がある『情報の非対称性』を解消し、不動産に係わる情報や生活関連情報を誰もが容易に入手できるようなサイト運営を目指す。同社は「市場の信頼性が増し、参加者が拡大し、中古流通市場の活性化に貢献したい」としている。

 物件数はオープン時の物件数は約3,400 棟の既存マンションだが、月に約1,000 棟ずつ増やしていく。

 「中古マンSHOW」サイトは:https://www.sumainobaton.jp/library/

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 挑戦的で盛りたくさんなサイトだ。現行の仲介市場は、会員登録した仲介業者しか指定流通機構(レインズ)の不動産情報システムを利用できない情報の非対称性に問題があるとし、同サイトは「不動産業者に頼らざるを得ない」現状を打破するとしている。

 物件情報は、従来の一般的なサイトに掲載されている情報のほか、標準住戸の図面、相場・賃料相場・表面利回りなども提示する。施工会社で検索できることもできるようにした。地域の公共料金、各種助成、街の発展性、安心・安全の情報も盛り込む。

 さらに、駅ごとの新築価格・中古価格・家賃(70 ㎡換算過去3 年の平均)がわかるようにし、それらが上昇傾向なのか下降傾向なのかも表示する。あわせて、購入したマンションを賃貸に出した時、何年で元が取れるかを表した数値PERを表示する。

 また、最終的には首都圏約500 駅の物件を掲載する最大規模の中古マンション図書館(データサイト)を目指し、『このマンションから売りに出たら紹介して欲しい』など、販売中でない物件にもオファーを入れることができるようにするという。

 同業他社も中古マンションのWebには力を入れており、同社が挑戦的なWebを開設したことで競争は益々激化する。

 

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「日土地虎ノ門ビル」

 日本土地建物が10月末に竣工した「日土地虎ノ門ビル」を見学した。同社の環境フラッグシップビルと位置づけ、国内の環境評価システムの最高ランクであるCASBEEの「S」、PAL:26%・ERR:43%により東京都の建築物環境計画書制度において、最高ランクの「段階3」、さらに国際的な環境評価であるLEED-CSの「ゴールド」を取得。同社の矜持が込められたビルだ。

 物件は、東京メトロ銀座線虎ノ門駅から徒歩3分、港区虎ノ門一丁目に位置する敷地面積約1,536.83 ㎡の鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階、地上11階建て、延べ床面積11,507. 82㎡。設計・監理は日本土地建物(設計統括)、日建設計(構造)、清水建設(設備)。施工は清水・坂田・日土地建設共同企業体。

 すべては紹介しきれないのでいくつかを紹介するが、おそらくこの中規模のビルでは最新の技術を導入したビルであることは間違いない。

 まず、屋上の太陽光パネルと屋上緑化。太陽光パネルは96枚を設置し、年間使用電力量の1%、20kwを出力。共用部の照明などに用いる。屋上緑化では11階ガーデンテラスにオリーブなどを植樹して日射負荷の低減を目指す。

 各フロアの共用部分には港区のみなとモデル二酸化炭素固定認証制度の認証取得を目指すため床には厚さ15ミリのクリ無垢材と厚さ12ミリの下地合板にはスギ材を、壁には再生土を含有させたタイルを採用している。

 窓にはエアフローウィンドウを採用。電動ブラインドは太陽光追尾センサーを設けることで昼光制御を行い、カーテンウォールに換気口を設置して、中間期の省エネと自然の風をビル内に取り込む。さらに、ゾーン別の空調、照明もワンタッチで調整できるようにしている。

 雨水の再利用では、雨水を地下のタンクに貯留し、ろ過した水を再生水として屋上・壁面緑化の自動灌水やトイレの洗浄水に使用する。トイレは断水した時でも利用できるトイレを一部に設置する。

 エネルギーの見える化では、1階のエレベータホールにデジタルサイネージを設けたり、入居者がパソコンで使用量を把握できるようにしており、省エネ対策に利用する。デジタルサイネージではニュース、天気予報なども見える。

 外構・壁面の緑化では、南側の壁面にプランター方式の緑化を図っている。プランターは各フロアで維持管理がしやすいよう工夫している。メイン道路に面した建物はピロティ方式とし、空地にはシマトネリコを植樹、ドライミストも設置する。

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太陽光パネル                             共用部分

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 記者はビルが専門ではないが、同社の矜持をみたような気がした。壁面緑化は今のビルやマンションでは当たり前と言えるかもしれないが、プランター方式にしていたのには驚いた。同じようなものは、森ビルの「元麻布ヒルズ」がマンションのバルコニーに自動灌水方式のプランターを設置していたのを見たことがある。

 階段室の照明にも驚いた。普段、照明はついていないが、ドアを開けると人の動きをセンターが感知してLEDの光を灯し、階段ステップには光を蓄える性能がある素材が採用されていた。

 トイレの水も手洗い水と洗浄を使い分け、断水のときでも手動で利用できるようにしている心配りが憎いではないか。

 CASBEE、LEEDについては省略するが、「S」ランクはまたまだ少ないし、LEEDはわが国でも認証を取得しているところが増えているが、「ゴールド」のもう一つランクが上の「プラチナ」は数えるほどしかない。

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敷地内緑化と壁面緑化

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 このような最先端の技術を採用したのが銀行系のデベロッパーというのも感慨深いものがある。バブル崩壊後、〝長銀系の優等生〟と呼ばれた日本ランディックを筆頭にたくさんの銀行・証券系と呼ばれたデベロッパーが破たんし、または会社清算などで市場から姿を消してしまったからなおさらだ。

 姿を消したデベロッパーをいくつか紹介する。ランディックとは対照的に〝長銀の劣等生〟と言われたエルカクエイ、三和銀行系の東洋不動産、三菱信託系の菱進不動産、日債銀系のアサヒ都市開発、東京相和系の朝日建物(朝日建物を銀行系にするには異論があるかもしれない)、大和証券系の大和土地建物、日興証券系の日興不動産などだ。

 金融系で生き延びたのは第一勧銀系の日本土地建物のほか、興銀系の興和不動産(現新日鉄興和不動産)と常和ホールディングス、富士銀行系のヒューリックぐらいしかない。

 日土地がバブルを乗り切ったのは、浮利を追わなかったのがその理由の一つだろうと思う。記者は「横浜白山」(430区画)「横浜あずま野」(547戸)「横浜戸塚台」(298戸)などの大型戸建て団地を取材してきたが、売れるからといってバブル期に大量供給することなく、そしてバブル後の苦しいときも街をつくりコンスタントに供給してきた。

 そして1999年。バブル崩壊後のどん底の経済状況の中からようやく立ち直りを見せたときだ。同社は法人営業部を立ち上げ、CRE(Corporate Real Estate=企業不動産)戦略支援ビジネスを始めた。「不動産は問題解決業」という視点だ。これが今日の伸張に繋がったのではないか。

 環境不動産のトップランナーだ。

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ドライミスト

 総合地所は12月1日付けでソリューション事業本部を不動産開発事業本部に改称し、用地開発部と営業企画部を新設し、賃貸事業部の営業体制を強化するなどの組織改定を行なったが、組織改定に伴う事業説明会を16日開いた。

 主な組織改定は、①分譲・賃貸・リノベーション事業を強化するため、ソリューション事業本部(東京本社・大阪支店)を不動産開発事業本部に改称し、用地開発部(東京本社)、大阪用地開発部(大阪支店)を新設②商品企画力、販売企画力、マーケティング力の強化を図るため企画本部に営業企画部を新設③賃貸管理の営業体制を強化するためオーナー向けの窓口であった賃貸戦略部を、エリア別に三部体制に改組し、賃貸戦略第一部・賃貸戦略第二部・賃貸戦略第三部を新設-など。

 説明会の冒頭、同社取締役兼常務執行役員管理本部長・谷村大作氏は「不動産事業は建築費の上昇、消費増税後の市場への影響など、経営の舵取りが難しくなる局面を迎えるが、どう打って出るかの解答を示せたと思う」と述べた。

 続いて不動産開発事業本部を新設したことについて、不動産開発事業本部副本部長・井上理晴氏が「用地開発部を新設したのは、マンション用地取得にとどまらず戸建て、賃貸、リノベーションも含んだ多面的、戦略的な専従部隊として発足させた。ボリュームを追うのではなく質を追求していく。組織に横串を通すことで連携も図れる」と、新設の理由を語った。

 賃貸事業本部再編については、同社賃貸事業本部副本部長・八木橋伸二氏は「顧客満足度を高めるため三部体制を敷いた。スタッフも12名から23名に増員した。ファンド向け、オフィス・店舗などにも対応していく。現在約18,000戸の管理戸数を2万戸にするのが当面の目標」と話した。

 営業企画部を新設したことについては、同社企画本部営業企画部部長・小金沢伸一氏が「マンションの価格上昇圧力が高まっているが、Web戦略、商品企画、販売企画、マーケティング力を強化してカスタマーズファーストを実践していく」と語った。

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 リーマン・ショック後、同社が「ソリューション事業本部」を立ち上げたあたりから、記者は同社の動向にずっと注目してきた。「不動産はソリューションビジネス」そのものだが、言うは易く行なうは難し。何をするかだ。

 その点、同社は1棟買い取りリノベーション、サ高住なども手がけるようになった。広報活動も強化した。どんな小さな案件でも報道陣向けに現地見学会を行なってきた。今回の組織改訂に伴う説明会も同様だ。ステークホルダー重視の経営には欠かせないことだ。

 その「ソリューション事業本部」が改称されるのはさびしい気がしないではないが、「不動産はソリューションビジネス」という考えからすれば、各部署の呼称を変えて組織を明確にするのは理解できる。

 しかし、谷村氏も話したようにデベロッパーの前途は決して明るいものではない。マンションも賃貸もリノベーションも益々競争は激化する。かつて大手は手をつけなかった分野へも進出姿勢を強めている。同社がどう独自性を発揮していくかが鍵を握っている。真価が問われるのはこれからだ。

 ヒントは旧安宅地所、永昌不動産時代に培ったノウハウ、DNAをどう継承していくかだ。記者は昭和50年代から両社のマンション事業などをずっと見てきたが、決してゼネコンに丸投げするようなことはしなかった。専用カーポート付きや温泉付き、ランドスケープ重視の商品企画などで業界をリードしてきた。ステイタスとなっている〝ルネ〟マンションは少なくない。安定的な収益源の賃貸部門があるのだから、マンションは井上氏も話したように数を追うのではなく質を追求して欲しい。

 

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