大和ハウスグループ 情報の非対称性の解消目指すWeb「中古マンSHOW」開始
大和ハウス工業グループの大和ホームズオンラインは12月18日、中古マンション売買のWeb サイト“住まいのバトン”をリニューアルした情報サイト「中古マンSHOW」を2013 年12 月19日から開始すると発表した。
売り手と買い手の情報量に圧倒的な差がある『情報の非対称性』を解消し、不動産に係わる情報や生活関連情報を誰もが容易に入手できるようなサイト運営を目指す。同社は「市場の信頼性が増し、参加者が拡大し、中古流通市場の活性化に貢献したい」としている。
物件数はオープン時の物件数は約3,400 棟の既存マンションだが、月に約1,000 棟ずつ増やしていく。
「中古マンSHOW」サイトは:https://www.sumainobaton.jp/library/
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挑戦的で盛りたくさんなサイトだ。現行の仲介市場は、会員登録した仲介業者しか指定流通機構(レインズ)の不動産情報システムを利用できない情報の非対称性に問題があるとし、同サイトは「不動産業者に頼らざるを得ない」現状を打破するとしている。
物件情報は、従来の一般的なサイトに掲載されている情報のほか、標準住戸の図面、相場・賃料相場・表面利回りなども提示する。施工会社で検索できることもできるようにした。地域の公共料金、各種助成、街の発展性、安心・安全の情報も盛り込む。
さらに、駅ごとの新築価格・中古価格・家賃(70 ㎡換算過去3 年の平均)がわかるようにし、それらが上昇傾向なのか下降傾向なのかも表示する。あわせて、購入したマンションを賃貸に出した時、何年で元が取れるかを表した数値PERを表示する。
また、最終的には首都圏約500 駅の物件を掲載する最大規模の中古マンション図書館(データサイト)を目指し、『このマンションから売りに出たら紹介して欲しい』など、販売中でない物件にもオファーを入れることができるようにするという。
同業他社も中古マンションのWebには力を入れており、同社が挑戦的なWebを開設したことで競争は益々激化する。
「日土地虎ノ門ビル」竣工 浮利を追わず、環境にかける同社の矜持を見た
「日土地虎ノ門ビル」
日本土地建物が10月末に竣工した「日土地虎ノ門ビル」を見学した。同社の環境フラッグシップビルと位置づけ、国内の環境評価システムの最高ランクであるCASBEEの「S」、PAL:26%・ERR:43%により東京都の建築物環境計画書制度において、最高ランクの「段階3」、さらに国際的な環境評価であるLEED-CSの「ゴールド」を取得。同社の矜持が込められたビルだ。
物件は、東京メトロ銀座線虎ノ門駅から徒歩3分、港区虎ノ門一丁目に位置する敷地面積約1,536.83 ㎡の鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階、地上11階建て、延べ床面積11,507. 82㎡。設計・監理は日本土地建物(設計統括)、日建設計(構造)、清水建設(設備)。施工は清水・坂田・日土地建設共同企業体。
すべては紹介しきれないのでいくつかを紹介するが、おそらくこの中規模のビルでは最新の技術を導入したビルであることは間違いない。
まず、屋上の太陽光パネルと屋上緑化。太陽光パネルは96枚を設置し、年間使用電力量の1%、20kwを出力。共用部の照明などに用いる。屋上緑化では11階ガーデンテラスにオリーブなどを植樹して日射負荷の低減を目指す。
各フロアの共用部分には港区のみなとモデル二酸化炭素固定認証制度の認証取得を目指すため床には厚さ15ミリのクリ無垢材と厚さ12ミリの下地合板にはスギ材を、壁には再生土を含有させたタイルを採用している。
窓にはエアフローウィンドウを採用。電動ブラインドは太陽光追尾センサーを設けることで昼光制御を行い、カーテンウォールに換気口を設置して、中間期の省エネと自然の風をビル内に取り込む。さらに、ゾーン別の空調、照明もワンタッチで調整できるようにしている。
雨水の再利用では、雨水を地下のタンクに貯留し、ろ過した水を再生水として屋上・壁面緑化の自動灌水やトイレの洗浄水に使用する。トイレは断水した時でも利用できるトイレを一部に設置する。
エネルギーの見える化では、1階のエレベータホールにデジタルサイネージを設けたり、入居者がパソコンで使用量を把握できるようにしており、省エネ対策に利用する。デジタルサイネージではニュース、天気予報なども見える。
外構・壁面の緑化では、南側の壁面にプランター方式の緑化を図っている。プランターは各フロアで維持管理がしやすいよう工夫している。メイン道路に面した建物はピロティ方式とし、空地にはシマトネリコを植樹、ドライミストも設置する。
太陽光パネル 共用部分
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記者はビルが専門ではないが、同社の矜持をみたような気がした。壁面緑化は今のビルやマンションでは当たり前と言えるかもしれないが、プランター方式にしていたのには驚いた。同じようなものは、森ビルの「元麻布ヒルズ」がマンションのバルコニーに自動灌水方式のプランターを設置していたのを見たことがある。
階段室の照明にも驚いた。普段、照明はついていないが、ドアを開けると人の動きをセンターが感知してLEDの光を灯し、階段ステップには光を蓄える性能がある素材が採用されていた。
トイレの水も手洗い水と洗浄を使い分け、断水のときでも手動で利用できるようにしている心配りが憎いではないか。
CASBEE、LEEDについては省略するが、「S」ランクはまたまだ少ないし、LEEDはわが国でも認証を取得しているところが増えているが、「ゴールド」のもう一つランクが上の「プラチナ」は数えるほどしかない。
敷地内緑化と壁面緑化
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このような最先端の技術を採用したのが銀行系のデベロッパーというのも感慨深いものがある。バブル崩壊後、〝長銀系の優等生〟と呼ばれた日本ランディックを筆頭にたくさんの銀行・証券系と呼ばれたデベロッパーが破たんし、または会社清算などで市場から姿を消してしまったからなおさらだ。
姿を消したデベロッパーをいくつか紹介する。ランディックとは対照的に〝長銀の劣等生〟と言われたエルカクエイ、三和銀行系の東洋不動産、三菱信託系の菱進不動産、日債銀系のアサヒ都市開発、東京相和系の朝日建物(朝日建物を銀行系にするには異論があるかもしれない)、大和証券系の大和土地建物、日興証券系の日興不動産などだ。
金融系で生き延びたのは第一勧銀系の日本土地建物のほか、興銀系の興和不動産(現新日鉄興和不動産)と常和ホールディングス、富士銀行系のヒューリックぐらいしかない。
日土地がバブルを乗り切ったのは、浮利を追わなかったのがその理由の一つだろうと思う。記者は「横浜白山」(430区画)「横浜あずま野」(547戸)「横浜戸塚台」(298戸)などの大型戸建て団地を取材してきたが、売れるからといってバブル期に大量供給することなく、そしてバブル後の苦しいときも街をつくりコンスタントに供給してきた。
そして1999年。バブル崩壊後のどん底の経済状況の中からようやく立ち直りを見せたときだ。同社は法人営業部を立ち上げ、CRE(Corporate Real Estate=企業不動産)戦略支援ビジネスを始めた。「不動産は問題解決業」という視点だ。これが今日の伸張に繋がったのではないか。
環境不動産のトップランナーだ。
ドライミスト
総合地所が組織改定 質の向上を追求して欲しい
総合地所は12月1日付けでソリューション事業本部を不動産開発事業本部に改称し、用地開発部と営業企画部を新設し、賃貸事業部の営業体制を強化するなどの組織改定を行なったが、組織改定に伴う事業説明会を16日開いた。
主な組織改定は、①分譲・賃貸・リノベーション事業を強化するため、ソリューション事業本部(東京本社・大阪支店)を不動産開発事業本部に改称し、用地開発部(東京本社)、大阪用地開発部(大阪支店)を新設②商品企画力、販売企画力、マーケティング力の強化を図るため企画本部に営業企画部を新設③賃貸管理の営業体制を強化するためオーナー向けの窓口であった賃貸戦略部を、エリア別に三部体制に改組し、賃貸戦略第一部・賃貸戦略第二部・賃貸戦略第三部を新設-など。
説明会の冒頭、同社取締役兼常務執行役員管理本部長・谷村大作氏は「不動産事業は建築費の上昇、消費増税後の市場への影響など、経営の舵取りが難しくなる局面を迎えるが、どう打って出るかの解答を示せたと思う」と述べた。
続いて不動産開発事業本部を新設したことについて、不動産開発事業本部副本部長・井上理晴氏が「用地開発部を新設したのは、マンション用地取得にとどまらず戸建て、賃貸、リノベーションも含んだ多面的、戦略的な専従部隊として発足させた。ボリュームを追うのではなく質を追求していく。組織に横串を通すことで連携も図れる」と、新設の理由を語った。
賃貸事業本部再編については、同社賃貸事業本部副本部長・八木橋伸二氏は「顧客満足度を高めるため三部体制を敷いた。スタッフも12名から23名に増員した。ファンド向け、オフィス・店舗などにも対応していく。現在約18,000戸の管理戸数を2万戸にするのが当面の目標」と話した。
営業企画部を新設したことについては、同社企画本部営業企画部部長・小金沢伸一氏が「マンションの価格上昇圧力が高まっているが、Web戦略、商品企画、販売企画、マーケティング力を強化してカスタマーズファーストを実践していく」と語った。
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リーマン・ショック後、同社が「ソリューション事業本部」を立ち上げたあたりから、記者は同社の動向にずっと注目してきた。「不動産はソリューションビジネス」そのものだが、言うは易く行なうは難し。何をするかだ。
その点、同社は1棟買い取りリノベーション、サ高住なども手がけるようになった。広報活動も強化した。どんな小さな案件でも報道陣向けに現地見学会を行なってきた。今回の組織改訂に伴う説明会も同様だ。ステークホルダー重視の経営には欠かせないことだ。
その「ソリューション事業本部」が改称されるのはさびしい気がしないではないが、「不動産はソリューションビジネス」という考えからすれば、各部署の呼称を変えて組織を明確にするのは理解できる。
しかし、谷村氏も話したようにデベロッパーの前途は決して明るいものではない。マンションも賃貸もリノベーションも益々競争は激化する。かつて大手は手をつけなかった分野へも進出姿勢を強めている。同社がどう独自性を発揮していくかが鍵を握っている。真価が問われるのはこれからだ。
ヒントは旧安宅地所、永昌不動産時代に培ったノウハウ、DNAをどう継承していくかだ。記者は昭和50年代から両社のマンション事業などをずっと見てきたが、決してゼネコンに丸投げするようなことはしなかった。専用カーポート付きや温泉付き、ランドスケープ重視の商品企画などで業界をリードしてきた。ステイタスとなっている〝ルネ〟マンションは少なくない。安定的な収益源の賃貸部門があるのだから、マンションは井上氏も話したように数を追うのではなく質を追求して欲しい。
アキュラホーム 約100万円価格圧縮した「戦略商品開発プロジェクト」発表
「本社」試行棟
アキュラホームは12月16日、「戦略商品開発プロジェクト」発表会を行い、同時に同プロジェクトを具体化した2棟の試行棟を報道陣に公開した。
同プロジェクトは、同社グループ、JAHBnet会員、大工職人などから寄せられた約3万件の「KAIZENプロジェクト」をもとに徹底したコストダウンとバリューアップを研究し、試行棟として具現化したもの。約35~36坪の本体価格1,380万円を1,280万円に約100万円安く提供できるとしている。
試行棟のうち「本社」が「KAIZENプロジェクト」で寄せられた約3万件の声のうち半数を企画に盛り込んだもの。「土の無駄をなくす」「施工の合理化」「バリューアップ」の3つが特徴。「土の無駄をなくす」では、雨水・排水配管を工夫し、さらに残土をスロープ・つき山に利用するなどして工事費の約3%30~40万円を占める「土」に関する費用を13万円分削減した。施工の合理化ではオリジナルハイドアの採用、梱包レス搬入、「養生(床)レス」「組み立て搬入」などを実施。一方で、バリューアップとして1200ミリ軒出し、大型玄関収納、和風庭の提案などを行っている。
もう一つの試行棟「埼玉第一事業部」棟では、スケルトンインフィルを提案して分譲住宅でありながら注文住宅の要素を盛り込んで設計料などの低減をはかっているのが特徴。
発表会に臨んだ宮沢俊哉社長は、「本社主導ではなく、地域の声を生かし変化している消費者の価値観にあった豊かな暮らしを提案していく。今年度は9棟を完成させるが、来年度は会員を含め50棟ぐらい建設したい」と抱負を語った。
先日、広島県福山市で行ったイベントには3,000人を超える来場者があり、昨年広島市で行ったイベントでの来場者約900人を大幅に上回ったことも報告された。
和風庭とカーポート 深い軒
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「本社」試行棟は、なるほどと思う一方で、首をかしげざるを得ないものもあった。いいと思ったのは約80万円の外構費で和風庭を提案しているものだ。自然石をエントランス部分に敷き、カーポートはコンクリートではなく砂利と廃材を利用したものだ。大型玄関収納も機能的なものだ。軒の出を1200ミリにしたのもいい。特殊な構造を必要とせず、最大限伸ばせる長さにしたという。ステップ材が既製品なのはどうかと思ったが、大工さんが仕上げた集成材の階段もなかなかいい。大幅にコストダウンされていた。高性能の雨樋を採用して外観デザインをよくしているのも評価できる。
しかし、塩ビシート張りの床材はどうか。昔の塩ビシートと比べればはるかに優れているが、継ぎ目がないのでいかにもシートという印象を受ける。
スケルトンインフィル提案は一部のメーカーも提案しており、きめ細かな対応ができるという点でいい。
塩ビシート張りの床と階段(手すりはこれからつけるのだそうだ)
「埼玉第一事業部」試行棟
「
積水ハウス「住ムフムラボ」来場15万人突破 暮らしを劇的に変える可能性秘める
「住ムフムラボ」外観
積水ハウスは12月16日、「共創」による研究開発拠点「SUMUFUMULAB(住ムフムラボ)」が4月に開設してから7カ月の11月末で延来場者数が15万人を突破したと、「住ムフムラボ」報告会で発表した。
生活者、有識者、大学・教育機関、メディア、ナレッジキャピタル参画団体・企業などと「生活・暮らし」に関するイベント、セミナー、ワークショップ、トークセッションなどをこの7カ月間に100日以上開催してきた。図書コーナー、カフェも併設している。
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」との共創により視覚以外の様々な感覚の可能性と心地よさを体感できる取り組みのほか、HONDAのロボティクス、IBMの持つ最新IT技術による「食と栄養」、未来型HEMSなどの研究も行っている。
「住ムフムラボ」は4月26日(金)に「グランフロント大阪・ナレッジキャピタル」内に開設したもの。床面積は約660㎡。営業時間は10時~21時(水曜休館)、入場無料。今後も情報発信&研究開発拠点として積極的に展開していく。
住ムフムスクエア+カフェ
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「報告会」を聞きながら、同社がなぜ圧倒的な支持を得ているのかを理解した。例えばユニバーサルデザイン(UD)。同社が他社に先駆けてUDに取り組んできたのは1990年だ。UDなる言葉がまだ一般に浸透していないころだ。どこよりも早く廊下・階段のメーターモジュールを採用したのを鮮明に覚えている。ソフトクローズ機能付き引き戸も採用が早かった。
新しい取り組みでは「食と栄養」「ウェアラブルセンサー」が計り知れない可能性を秘めていると思った。「食と栄養」では、食卓に並んだ料理をセンサーが感知してカロリー計算などを瞬時にはじき出し、「塩分取りすぎ」などと警告も発すことができるという。生活習慣病に役立つのは必至だ。
「ウェアラブルセンサー」は、粘着型の使い捨てパッチ(約11㎝)にセンサーを装着させ、体に貼りつけるだけで、心拍数や呼吸数、表皮温度、消費カロリー、ストレスの測定などができるもの。HEMSなどと連動すれば予防医学につながりそうだ。実用化されれば数千億の市場になるのではないか。
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「住ムフムラボ」は、阿部社長の「営業は置かない」という方針で設置されたのもさすがというべきか。デベロッパーはこのところワンストップ営業拠点を構えて積極的に展開しているが、積水ハウスの取り組みははるかにその上をいくものだ。目先の利益だけでなく中長期的に「積水ファン」を開拓していくものだ。7カ月で来場者が15万人だから、年間では約26万人の計算だ。住宅だけでなく、食や医療、暮らしを劇的に変える可能性を秘めている「住ムフムラボ」だと思う。
UDワークショップ
積水ハウスがサプライズ懇親会 「グリーンファーストゼロ」カクテル振る舞う(2013/12/17)
積水ハウスがサプライズ懇親会 「グリーンファーストゼロ」カクテル振る舞う
山本氏が振る舞った「グリーンファーストゼロ」(実際のカクテルはもっと淡いグリーン)
積水ハウスは12月16日、報道陣向けに「住ムフムラボ」報告会&懇親会を開催したが、懇親会で報道陣も仰天するサプライズ演出をした。世界的なフレアバーテンダー山本圭介氏が登場して、同社が掲げるエネルギー収支をゼロにする「グリーンファーストゼロ」なるカクテルを報道陣に振る舞いやんやの喝さいを浴びた。
Wikipediaによると、「フレアバーテンディング(Flair Bartending) とは、バーテンダーがボトルやシェーカー、グラスなどを用いた曲芸的なパフォーマンスによって、カクテルを作り提供するスタイルである。フレアバーテンディング の技術を有するバーテンダーを、フレアバーテンダー(Flair Bartender) と呼ぶ。英語のスラングである『フレア』(flair) は、主に『自己表現』と訳される」とある。
山本氏は国内大会では9度優勝しているほか、「2011 Gold Shake Cup in Korea国際大会」で準優勝している国際的なフレアバーテンダー。
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この種の曲芸は記者も見たことがあるが、山本氏のパフォーマンスに会場は沸きかえった。ベテランの記者E氏、F氏、M氏などは「素晴らしい。こんな忘年会初めて」と感心しきりだった。驚愕のサプライズを演出したのは同社の広報マンK氏のようだ。「グリーンファーストゼロ」のカクテルはアメリカウオッカをメロンソーダなどて割ったもの。昔懐かしいメロンソーダのような味がした。
別掲のように「住ムフムラボ」報告会では、他の住宅メーカーやデベロッパーをはるかに上回る様々な取り組みを紹介。なぜ同社が好業績を上げられるか、広いユーザーから支持されるかがわかる懇親会だった。
積水ハウス「住ムフムラボ」来場15万人突破暮らしを劇的に変える可能性秘める(2013/12/17)
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)のサービス料を考える
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の「サービス」とは何か、その「お・も・て・な・し」を金額に換算したらいくらかについて考えてみた。
そもそも、高齢者福祉行政については「特別擁護老人ホーム」「有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」にも共通するように「特別」「有料」「サービス付き」などといった文言が枕詞として使用されているのかよく分からない。これは基本的には行政が高齢者の福祉や居住について「公的責任」を負い、行政の権限で「特別」に措置したり「有料」で住宅を供給したり、あるいは「サービス」を提供したりという権能を持つという意味が込められているように感じるのだが、この点はさて置くとする。
サ高住の入居費用は「家賃」「共益費」「サービス費」の3つで構成されている。家賃は、一般的な賃貸住宅と同じようにいわゆる相場が基本となり、広さや設備仕様などによって異なってくる。高齢者住宅財団(財団)の調査研究によると、全国の全住戸(65,647 戸)の平均家賃額は64,178 円となっている。
共益費は、主に賃貸住宅の食堂、ラウンジ、浴室など共用部分の維持・管理に充てられる費用で、財団によれば全国平均では18,470 円となっている。
さて問題の「サービス」。サ高住について定めた「高齢者の居住の安定確保に関する法律」によれば、サ高住は、①状況把握サービス(入居者の心身の状況を把握し、その状況に応じた一時的な便宜を供与するサービス)②生活相談サービス(入居者が日常生活を支障なく営むことができるようにするために入居者からの相談に応じ必要な助言を行うサービス)③その他の高齢者が日常生活を営むために必要な福祉サービスを提供する-ことが必須要件となっている。
財団によれば、状況把握・生活相談費用の全国平均額は19,479 円(0円を除く)で、「兼務が多く有資格も様々であるうえに、単体で収益をみるのではなく家賃や介護保険事業などを組み合わせて収益のバランスをとる場合があり、その費用の根拠は利用者からみると分かりにくいとの指摘がある」「費用が『0円』という物件も地方に行くに従い多くなる傾向がみられた」とある。
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記者が注目したのは財団が指摘している「費用の根拠は利用者からみると分かりにくい」という一点だ。ホテル・旅館、飲食店などで「サービス料」として一律に10%徴収するのもよく分からないし、サービスが必須のサ高住でサービス料がゼロ円というのも解せない。
サ高住における基礎的なサービスとは、状況把握・生活相談のほか、緊急時対応、アクティビティ、健康管理、フロントサービス、服薬管理、シャトル便・送迎、入浴、介護、洗濯・掃除、付き添い、配膳など多岐にわたっており、オプションとして食事、掃除・洗濯、付き添い、健康管理、買い物の代行、介護サービス保険外の自費支援サービスなどとしているところが多い。付き添いや健康管理などは基礎的サービスに含めたりオプションにしたりと事業主によりまちまちである実態も分かる。
つまり、サービスとは何かを明快に示しているものはないということが分かる。
しかし、それでいいのだろうか。例えが適当かどうか分からないが、「サービス」「ホスピタリティ」「おもてなし」の単語に記者はリッツ・カールトンに反応する。2007年3月30日に「東京ミッドタウン」に開業した「ザ・リッツ・カールトン東京」で究極の「おもてなし」を体験したからだ。
宿泊体験記には次のように書いた。「翌日昼ごろにも、感動的なもてなしを受けた。タバコを吸いたくなったので、ロビーで『タバコを吸う場所は外しかありませんか』と聞いたところ、『バーなら結構ですので、よろしかったらどうぞ』とスタッフが応えた。内心、真っ昼間から1杯2000円以上もするワインを飲まなきゃならないのかと思ったが、飲み物はオーダーしなくてもいいと言われた。こんなサービスをするホテル・旅館は日本中のどこを捜してもないだろうと思った(中略)ロビーからは生演奏のクラシック音楽が流れてきた」
これが本物のおもてなしだ。富裕層なら間違いなくバーラウンジでビールなりワインなり飲んだはずだ。ホテルマンはプロだ。記者が富裕層でないのは一見して分かる。お金持ちにも貧乏人にも平等に対応してくれたスタッフに感動したのだ。タバコ1本吸うのに記者は数千円(もっとかも)の価値を見いだした。
ホテルでは、リッツと対抗するマンダリン東京でも驚くべき対応を経験している。リッツが開業する約1カ月前だった。そのときの記事にはこう書いた。「宴もたけなわのころ、記者はワインを注文しようとカウンターに近寄った。そのとき、グラスが倒れ、ワインが記者のスーツにかかった。スタッフがすっ飛んできて『大丈夫ですか、失礼しました』とタオルでぬぐってくれた。むっとした記者は『大丈夫じゃない』と応えた。しかし、怒りは数秒で収まった。
(中略)瞬時に考えたのは『マンダリンはこういうときどういう対応をするのだろうか』だった。ホスピタリティではリッツ・カールトンがライバルという同社の対応を体験するには絶好の機会だと思ったのだ。
(中略)バンケットオペレーションズマネージャー氏がすぐ駆けつけてきて、丁重にお詫びを言ってくれた。ここまではどこのホテルでもやることだろう。次の言葉には、記者も驚いた。『「別室で着替えていただいても結構なのですが、着替えをお持ちでないでしょうから、ご自宅までうかがいます。クリーニングさせていただきます』とマネージャー氏が言ったのだ」
この2つの世界的なホテルは、ホスピタリティはどうあるべきかを教えてくれる。サ高住だって基本的には同じだ。入居者が感動するようなザ―ビスを提供すれば、トラブルなど発生しないはずだし、室の高さは瞬く間に広がるはずだ。そうなれば高額のサービス料金も可能になる。
質の高いサービスを提供するには大きな課題もあるように思う。サ高住を含めた医療・介護従事者の待遇改善だ。リッツ・カールトンは宿泊客を「淑女・紳士」と呼ぶ一方で、スタッフも「淑女・紳士」として処遇するようクレドで謳っている。医療・介護に従事するスタッフもまたそのように遇されないと高いホスピタリティは実現しないのではないか。現場のスタッフが「これは基礎のサービス」「これはオプション」などと説明することは大事だが、本来はそのような区別なしに入居者のために働くのがサービスではないか。
サ高住の退去理由の4分の1は「入居者の死亡」だという。終の棲家で最高の「お・も・て・な・し」を受けられるようなサ高住を願うばかりだ。〝地獄の沙汰も金次第〟にならないよう国も支援すべきだ。
比類なきホスピタリティの高さリッツ・カールトン 記者も初体験(2007/4/2)
大和ハウス「SMA×ECO CITY(スマ・エコシティ)つくば研究学園」まちびらき
まちびらきのテープカットをする左から北村氏、市原氏、沼田氏、中村氏
大和ハウス工業は12月14日、つくば市研究学園でNTT都市開発とともに開発を進めている「SMA×ECO CITY(スマ・エコシティ)つくば研究学園」のまちびらきを行なった。つくば市長・市原健一氏、同社取締役専務執行役員・沼田茂氏、同社上席執行役員・中村泉氏、NTT都市開発取締役住宅事業部長・北村明義氏の4氏がテープカットを行い祝った。
「SMA×ECO CITY(スマ・エコシティ)つくば研究学園」は、茨城県つくば市の「実験低炭素タウン構想」に基づく先進モデル街区として整備が進められているもので、全175区画に家庭用リチウムム蓄電池(6.2kWh)や太陽光発電システム、家庭用燃料電池(エネファーム)の3電池を設置するほか、同社オリジナルのエネルギーマネジメントシステム(D-HEMS Ⅱ)によるエネルギーの見える化や街全体の見える化も「SMA×ECOクラウド」で実施する。街並みを保全するため地区計画・景観協定を定め、電柱・電線の地中化も実施する。
また、「D-HEMS Ⅱ」で計測したエネルギー情報を利用して、光の色の変化や音で知らせるコミュニケーションロボット「HEMS版ココナッチ」を一部住宅に導入する。
沼田氏は、「2011年に立ち上げたスマートシティプロジェクトは大阪府堺市、埼玉県・吉川南、神奈川県相模原市とともに進めている4カ所の一つ。先進の技術を採用して、つくば市の実験低炭素モデル構想にも貢献し、ネット・ゼロ・エネルギー(ZEH)を目指す」と話した。また、同社つくば支店長・宮武孝之氏は、「来年末に全棟が完成する。再来年の3月までに全戸完売したい」と意欲を語った。
物件は、つくばエクスプレス研究学園駅から徒歩11分、つくば市研究学園C43街区に位置する開発面積約5.1ha。敷地面積は平均200㎡、延べ床面積は117.10~126.40㎡、価格は4,580万~4,920万円(最多価格帯4,600万円台)。会員優先販売ですでに10件が契約・申し込み済みで、3件が商談中。
モデルハウス
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つくば沿線の区画整理事業に記者は〝果たして大丈夫か〟と懐疑的だが、関係者が揃って販売に自信を見せていた。15カ月で完売するためには月間12戸を販売しなければならない。同社は3年前、隣接地で積水ハウスと50区画ずつ合計100区画の戸建てを3年がかりで完売したという。近接する創建「ルナつくば研究学園」(141区画)も同じぐらいかかっている。
販売スピードは、既分譲の戸建ての倍になる計算だが、「電柱の地中化、太陽光・リチウム蓄電池・エネファーム、4,000万円台の半ばという価格帯が評価されている」と宮武氏は胸を張った。
左からエネファーム、・リチウム蓄電池、スマ・エコプラウド
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街区の整備はUR都市機構が行なっているので大和ハウスやNTT都市開発に責任はないのだが、街路樹がないのはどういうわけか。
駅から現地までの途中の街路にはハナミズキと思われる街路樹が植えられていた。ところがしばらく歩くと、街路樹は途絶えた。LEDの街路灯のみが寒々と突っ立っていいた。どこまでも広い道路の両側には緑があふれているつくば市の中心市街地とは対照的だ。
つくば市も含めてURは街路樹の価値をどう見ているのだろう。電柱のように街路樹が切られているのは見るに忍びないが、新しい街づくりで街路樹が1本もないというのは信じられない。造成費や道路の維持・管理費を抑えるためだろうが、これでは将来の街のポテンシャルはあがってこない。大事なものを忘れているのではないか。
街路樹が1本もない近隣の街路(右の写真はC43街区に隣接する街区の既存樹の立派な松。この非対称をどう理解すればいいか)
NTT都市開発「ウェリスつくば研究学園テラス」 1期50戸ほぼ完売へ
「ウェリスつくば研究学園テラス」完成予想図
NTT都市開発の「ウェリスつくば研究学園テラス」が人気を集めている。12月14日(土)に登録申し込みが締め切られるが、当日昼の段階で47戸に申し込みが入っている。〝エコタウン〟がテーマで、単価の安いのも特徴だ。
物件は、つくばエクスプレス研究学園駅から徒歩12分、茨城県つくば市東平塚字西原の区画聖地内に位置する8階建て全86戸の規模。1期(50戸)の価格は2,498万〜4,298万円(最多価格帯2,900万円台)、専有面積は76.20〜104.51㎡。坪単価は122万円。竣工予定は平成26年7月下旬。販売代理はフージャースコーポレーション。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。
現地は、開発面積約484.7haというつくばEX沿線最大規模の「研究学園葛城地区」の一角C43街区にあり、敷地南側は台一種低層住居専用地域。C43街区は総面積約9.3haで、計画戸数約500戸の戸建て・マンションエリア。国交省の平成24年度「まち・住まい・交通の創エネルギー化モデル構築支援事業」にも選定されている。「つくば環境スタイルSMILe」(コミュニティエコライフ、モビリティ・交通、最先端技術、環境教育・実践)の具現化を目指し、同社と大和ハウス工業、つくば市が協定を結び、地域住民とともにエコタウンづくりに取り組むことになっている。電気の一括受電システム、MEMSのほか家庭菜園も設置する。
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分譲単価を聞いて驚いた。122万円という水準は3年前に、三交不動産が「羽村」で分譲し人気になったのを見学して以来だ。施工は同じ長谷工コーポレーションだった。
設備仕様も単価からすると水準以上だ。この単価の安さで一定の水準を確保できるのは長谷工コーポレーションだからできることだ。リーマン・ショック後に同社施工ではない坪単価100万円ぐらいの新築物件を千葉県や茨城県で見学したことがあるが、設備仕様は最低だった。あまりひどいので記事にしなかった。
NTT都市開発もゼネコンに丸投げするようなことはしていない。同社は独自の「WELLITH CODE(ウェリスコード)」を策定し、「安全安心」「環境創造」「快適な生活空間」など、6つの分野で50項目を超えるこだわりや細かな工夫を施している。
積水ハウス 住宅メーカーにこだわり医療・介護事業を強化
「シノン青葉台」
積水ハウスは12月12日、医療・介護事業報告会&「シノン青葉台」見学会を報道陣向けに行った。当日は同社専務取締役執行役員東京支店長兼コーポレート・コミュニケーション部長・平林文明氏ほか執行役員東京シャーメゾン事業本部長・堀内容介氏をはじめ医療・介護事業を担当する関係会社の幹部全員が揃い、同事業にかける意気込みを示した。報道陣も約40人が参加した。
冒頭に挨拶した平林氏は、「医療・介護事業は、皆さん(報道陣)にはあまり認識されていないが、当社は大きな事業として位置づけ全国的にサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を展開している。施設としてではなくあくまでもメーカーとしての住宅を深耕する方針、思いを見ていただきたい」と語った。
同社は2011年11月にサ高住の登録が始まって以降、これまで東京、大阪圏を中心に全国で6,605戸(うち1,669戸が東京)の登録を行っている。主に自立型のアッパーを対象とした「グランドマスト」と、自立から要介護まで幅広い層を対象とした「Cアミーユ」で展開。住戸面積は全国の約7割が25㎡以下であるのに対し同社は25㎡以上を基本とし、施設ではなく住宅の延長として捉え、今後もグループ会社の積和不動産などと連携し、専用部材の開発、ユニバーサルデザインの深化などを進め他社との差別化を図っていく。年間売上高は250~300億円で、地方展開も視野に入れ近い将来1,000億円にする目標。
ラウンジ
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同社のサ高住を見学するのは昨年竣工した「マストライフ古河庭園」以来だが、今回の「シノン青葉台」(74戸)も募集開始2カ月で広い住居を中心に約5割の契約率というからかなり人気になっているようだ。
注目したのは手すりだ。手すりは途切れないから機能が果たせるのだが、実際はほとんどの施設・住宅もそうはなっていない。今回の物件もすべてがつながっているわけではないが、機械室や防火扉、メーターボックスにも手すりがついていた。浴室には6カ所ぐらいについていた。どこよりも早くメーターモジュールを採用し、ユニバーサルデザインに取り組んできた同社だからできることだ。
サ高住は今後も伸長が期待できる。全国に約215万戸もの住宅を建設してきた同社の実績がものをいうのだろう。
物件は、東急田園都市線青葉台駅からバス7分徒歩6分の横浜市青葉区桂台2丁目に位置する3階建て。居室面積は27.28~62.20㎡。健常棟と介護棟に分かれているのが特徴で、将来的には介護棟は有料老人ホームとして利用できるようにしている。
手すり(他社の物件ではこの消火設備の部分の手すりが途切れているものが多い)