アキュラホーム〝カンナ社長〟宮沢氏、入社式で手本示す
アキュラホームグループの入社式(この女性新入社員の腕は相当なもの。右は宮沢社長)
アキュラホームとグループ会社のオカザキホームは4月1日、合同の入社式を行い、アキュラホーム・宮沢俊哉社長は「夢をもって大いに経験を積み、道を極めてほしい」と訓示した。
今年度の新卒新入社員は、アキュラホーム51名、オカザキホーム4名の合計55名(男性31名、女性24名)。
宮沢社長は入社式で、「今年度は、アキュラグループにおいて史上最も多い1 万3 千人以上のエントリーがありました。数ある企業の中から慎重に検討し、当社を選んでいただいたことを心より感謝いたします」「皆さんには、ぜひ夢を持ち、それを目指していただきたいと思います。どんなに小さなことでも構いません。それを目指しながら、これから自分に合うことを徐々に見つけていってください。アキュラホームは皆さんに夢を持つ場、実現できる場を提供していきます」「失敗を恐れず様々なことに挑戦し、大いに経験を積んで道を極めてほしい」などと呼びかけた。
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同社は2006年から入社式で〝カンナ社長〟の異名を持つ宮沢社長が直々にカンナがけを行うことが恒例となっている。宮沢社長が手本を示し、新入社員全員がカンナかけを体験した。
「そうじゃないんだよ。そう、そう。それでいいんだよ」社長のうれしそうな声が聞こえそうだ。
新入社員には宮沢社長手づくりの辞令が手渡された。辞令の寸法はB4。カンナで削ってできたヒノキの削り華(かんなくず)を和紙に接着させたもので、人の個性と同じように、一枚一枚柾目が異なるものだという。55人分の辞令をつくるために社長は1日3時間、10日間費やしたという。1人当たり32分だ。社長室で黙々制作に励んだのだろうか。
記者は、宮沢社長のカンナかけを見せてもらったことがある。さすが元大工。シュルシュルと香しい薄絹のような削り華がしなやかに舞いながらカンナ口から紡ぎだされてきた。
そんな宮沢社長でも、ミクロンの技を競い合うカンナかけの全国大会では入賞すらできないそうだ。いま大工さんは現場でカンナを使うことはあるのだろうか。
辞令
一次取得層向けの希望の星 清水総合「ヴィークスクエア船橋高根台」健闘
「ヴィークスクエア船橋高根台」完成予想図
消費税が8%に引き上げられた4月1日、清水総合開発が分譲中の「ヴィークスクエア船橋高根台」を見学した。第一次取得層にとっては何とか取得できる希望の星、最後の砦のような存在だ。
物件は、新京成線高根公団駅から徒歩10分、船橋市高根台3丁目に位置する7階建て全262戸。現在分譲中の住戸の専有面積は67.27~82.46㎡、価格は2,428万~3,278万円、坪単価は120万円前後。竣工予定は平成27年3月中旬。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。
物件が位置する「高根台団地」は、昭和30年代にUR都市機構(当時日本住宅公団)によって開発された施行面積約73ha。計画戸数約5,000戸の千葉県内でも屈指の大規模団地で、建物が老朽化したのに伴い建て替え・再生事業が進行中だ。
住宅の建て替えのほか、民間によるマンションや戸建て分譲のほか、商業施設、病院、高齢者支援施設、保育園・幼稚園、公園などが整備されることになっている。
これまで民間マンションとしては、清水総合開発「ヴィークステージ船橋高根台」(130戸)が今年1月に竣工、すべて完売。戸建てとしては野村不動産「プラウドシーズン船橋高根台」(62戸)も残りはほとんどない。
「ヴィークスクエア船橋高根台」の建物は南向きが中心に東向きと西向きの4棟構成。専有面積は平均74㎡で、設備仕様としてはディスポーザが標準装備。全戸平置き駐車場付きで、料金は無料。
3月中旬から分譲開始されており、供給された140戸のうち半分の約70戸が契約済みだ。
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都心から測れば近いとは言い難い。乗り換え時間などを入れれば1時間半くらいかかる。しかし、圧倒的な価格の安さがある。坪120万円でこれから建てられるマンションなど首都圏はおろか地方圏でも難しいのではないか。一次取得層にとっては最後の砦のような存在だ。
現地販売担当者によると、「ヴィークステージ船橋高根台」は4か月くらいで完売となったそうで、坪単価は115万円くらいとか。今回は消費増税率3%を上回る4.3%の上昇だ。これでも長谷工コーポだから低く抑えられたと記者は見ている。
今後のマンション用地としては「ヴィークスクエア船橋高根台」の隣接地約6,600㎡の入札が予定されているほか、さらに数百戸分に当たる用地が分譲されるようだ。戸建て用地としてはポラスグループが約130戸を分譲する予定。駅前の5,000㎡弱は商業施設用地となる。
現地(左側がマンション敷地。街路樹はユリノキと思われる)
新入社員に贈るキーワードは「チャレンジ」 「R.E.port」の各社社長あいさつから
昨日(4月1日)の不動産流通研究所のWeb「R.E.port」は住宅・不動産・流通17社の入社式での社長あいさつ要旨を紹介している。同社の了解を得たので、以下に紹介する。
鉄は熱いうちに打て。春爛漫のこの日、各社長は新人の胸に響く熱い言葉を放った。キーワードは「チャレンジ」「挑戦」だ。17社の社長が語ったあいさつの中で「チャレンジ」「挑戦」の言葉は全部で20ある。
三井不動産・菰田正信社長、野村不動産ホールディングス・中井加明三社長がそれぞれ3度用いたのをはじめ、12社の社長が果敢にチャレンジすることを呼び掛けた。語らなかったのは三井不動産リアルティ・竹井英久社長、三菱地所レジデンス・小野真路社長、東京建物不動産販売・種橋牧夫社長、積水ハウス・阿部俊則社長、森トラスト・森章社長の5氏のみだ。
三井不・菰田社長は、新人に期待することとして「自立した個人」「幅広い視野を持つ」「チャレンジスピリット」「健全な心身を保つ」「社会人としてのコモンセンスを持つ」-の5つを語った。
三菱地所・杉山博孝社長は、「守るべき」創業の原点である三菱三綱領(所期奉公・処事光明・立業貿易)を引き合いに出し、「英語に直せばそれぞれpublic、fair、globalだ」と話した。
住友不・仁島浩順社長は、「寄らば大樹の陰は通用しません。誰かに言われるがまま盲従することなく、皆さん一人ひとりが自ら考え、信念をもって行動することが肝要」と語りかけた。
野村不ホールディングス・中井社長は、「私の信念でもありますが、『人を育てる事が、すべての戦略実現に繋がる』」と自らの信念通り、新人を育てることを約束した。
東建・佐久間一社長は、仕事をする上で大切にして欲しい基本姿勢として「総合力の発揮」「現場主義」「スピード」の3点を強調した。
大京・山口陽社長は、「我々のようなBtoCを中心業務としている企業は、お客さまからの信頼という貯金を積み上げる努力が必要です。誠実で嘘がなく、人望がなければ相手から信用、信頼はされません」と、生き方を説いた。
三井リアル・竹井社長は、「『ひと、社員』に積極的に投資を続けて行こうというのが当社の成長戦略の柱であり、新入社員の皆さんは、我々の希望の星、期待の星」と最大級の言葉で望みを託した。
住友不販・田中利和社長は、「皆さんの成長なくして、当社の発展はありません。知識の習得はもちろん、人としての成長も期待しています」と人間力を磨くことを強調した。
積水化学工業・根岸修史社長は、「貧乏くじは当たりくじ」「難題のタイミングには意味がある」「振り出しに戻る時が新たな成長へのチャンス」の3つをアドバイスとして贈った。
大和ハウス・大野直竹社長は、「役職員全員が売上高3兆円という通過点を超えるため積極果敢に挑んでおり、一丸となって業容拡大を図っています」と同社の現状を踏まえ、「皆さん一人ひとりがその大きな仕事を託す価値のある人間かどうかにかかっている」と成長を託した。
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新入社員の諸君には、この不動産流通研究所の「R.E.port」を毎日読むことを記者は勧めたい。深く考えなければならないことはともかく、これほど世の中の動きが激しいと、週刊・月刊の業界紙誌に頼っていては、毎日生起する事象に追いついていけなくなる。
「R.E.port」は唯一といっていいくらい住宅・不動産・流通各社のニュースリリースを網羅し、毎日報じている。ただで読めるのだからありがたいことだ。寝る前、出社したとき必ずチェックしてほしい。病的なまでに指をせわしなく動かすスマホもいいが、しっかり新聞を読み、本も読んでほしい。
記者が贈る言葉は、月並みだが「石の上にも三年」だ。がむしゃらに3年も頑張れば未来が見えてくる。それでも芽が出なければ、さっさと会社に三下り半、絶縁状を突きつければいい。再チャレンジの時間は十分残されている。
大和ハウス 管理会社の大和ライフネクストとダイワサービス合併
大和ハウス工業は4月1日、同社グループ会社のマンションやビルなどを管理する大和ライフネクスト(渡邉好則社長)とダイワサービス(城戸知幸社長)を同日付で合併すると発表した。合併によりマンション管理戸数は約23万戸となる。
存続会社はダイワサービスで、代表取締役会長には山根弘美氏、代表取締役社長には渡邉好則氏がそれぞれ就任する。
大成有楽不動産「オーベル志村城山」駅3分の一等地に立地
「オーベル志村城山」完成予想図
大成有楽不動産の「オーベル志村城山」を見学した。駅から徒歩3分の高台に立地する志村坂上の〝一等地〟マンションだ。
物件は、都営三田線志村坂上駅から徒歩3分、板橋区志村二丁目に位置する9階建て全74戸(地権者予定住戸7戸を含む)。専有面積は62.29~101.68㎡、価格は未定だが、坪単価は230万円前後になる模様。竣工予定は平成27年2月中旬。施工は大成ユーレック。販売開始予定は5月下旬。
現地は、駅近でありながら車などほとんど通らないマンションや戸建てが建ち並ぶ閑静な住宅街の一角。敷地の近くには、江戸時代に徳川吉宗が鷹狩りの際に立ち寄り、清らかな湧水を称えたという逸話を記す石碑が建っている。北側の道路との比高は約12mあり、眺望もいい。
マンションのレベルも高い。建物基壇部には自然石を配し、エントランスホールには大理石にガラス素材を貼りつけた「光壁」を採用。
住戸設計では、天井や壁際の梁の出っ張りを解消した「壁内蔵梁工法」や逆梁ハイサッシを採用。
モデルルームは100㎡のオーダータイプ。同社のオリジナル商品を開発していく取り組み「O-range LABO(オレンジラボ)」から生まれた「オレンジ収納」をフル装備しているほか、大理石、御影石をふんだんに用いている。キッチンシンクはユーテイリティシンクを採用。ドア把手は壁面から出っ張らないようセットバック。物干しポールをリビングに取り付けている。「スマートマンション」認定も取得している。
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販売事務所には驚いた。過去6~7年間の間に3度も訪れたことのあるところだったからだ。最初は野村不動産の、その次は三菱地所レジデンス(当時、藤和不動産)、3度目は大京のマンションだった。そして今回。同じ場所で異なる4社のマンションモデルルームを見学するのは記憶にない。
過去に見学した3物件と比較しても今回が立地は一番いい。そこで記者がはじき出した単価は230~240万円。ほぼぴったりだった。一等地にふさわしい単価設定だ。
毎回毎回、単価予想が的中することについて読者の方々は不思議に思うかもしれない。「嘘だろう」と訝るかもしれないが、現地取材を重ねると、単価が見えてくるのだ。単価予想が外れるようならよほど市場が激変しているか、記者の見る目がないかのどちらかだ。
大成有楽不動産のマンションは飛躍的によくなっている。今回の見学でそれを確認することができた。「浦和」でも官庁街の一角で分譲するというので近く見学してまたレポートしたい。
完成予想CG
サ高住「コーシャハイム千歳烏山」 「囲い込み施設にしない」JKK狩野氏
「コーシャハイム千歳烏山」9号棟
東京都住宅供給公社(JKK東京)、東京建物不動産販売、やさしい手、はなまる会の4者は3月31日、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「コーシャハイム千歳烏山」の現地発表会を行った。サ高住と24時間在宅サービスを組み合わせ、かつ団地内やその周辺に居住する高齢者にもサービスを提供する地域包括ケアシステムの拠点としての役割を担う新しい取り組みとして注目される。
現地は京王線千歳烏山駅から徒歩5分。世田谷区南烏山6丁目に位置する昭和32年に管理開始したJKKの「烏山住宅」(21棟584戸)の建て替え事業の一環として整備されたもので、サ高住86戸を含む賃貸住宅94戸のほか、居宅介護支援などを行う高齢者施設、認証保育所、クリニック、レストラン、コミュニティカフェなどを備えた多世代交流を促進する機能を持たせているのが特徴。サ高住の専用面積は約25~67㎡、賃料は67,800~184,600円。管理費は約3万円。サービス料は1人入居が33,000円、2人入居が48,000円。オプションの食事代は60,000円。
JKKが建設した建物を東建不販などが一括賃貸し、管理運営するもの。併設する施設は転貸により運営する。平成25年に工事着手し、今年2月、建物が竣工した。施設事業費は約22億円。
JKK少子高齢対策部長・狩野信夫氏は、「烏山住宅」の建て替え、今回のサ高住について説明し、「医療・介護などのサービスは入居者だけでなく、団地や周辺の方々にも開放するのが大前提。街の中にサ高住が溶け込むヒューマンスケールの事業にしなければならない。これまでのような囲い込みをする施設・住宅であってはならない」と強調した。
サ高住と併設施設を管理・運営する東建不販賃貸営業本部シニアレジデンス事業担当部長・菊地達也氏は、「25㎡のワンルームタイプだけでなく、夫婦二人で住むニーズがあると考え50~60㎡台の広めのタイプも多く企画したのが当たった。1期募集55戸には174件の登録があるなど予想通り評価された。5月には引き続き2期として30戸くらいを募集する。賃料はマーケット並みに設定した。多世代の住まいを創出するプロジェクトとして万全のサポートをしていく」と語った。
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さすがJKKだ。住環境が抜群。各住棟の間隔が十分確保され、植栽計画もいい。分譲マンションなら坪300万円でも売れるような価値のある団地だ。東建不販のサ高住はこれまでも見てきたが、これまた水準以上。
ただ、既存住宅の躯体を改修した一般住宅との共生を目指すという11号棟のプランは首をかしげざるを得ない。床をバリアフリーにするため200~250ミリかさ上げしており、天井高は2200ミリで、玄関ドア、サッシ、梁型の部分などは1500~1700ミリしかない。入居する人が腰の曲がったおじいちゃんおばあちゃんならいいかもしれないが、住宅としては問題ありだ。
既存住宅を改修した11号棟
◇ ◆ ◇
一般に開放するカフェレストラン「てらすチトカラ」、コミュニティカフェ「ななつのこ」に注目した。やさしい手・香取幹社長によると、最近はこのように一般に開放した施設の取り組みが増えており、概ね好評とのことだった。
しかし、記者は一般の人が気軽に利用するにはハードルが高いような気がしてならない。特別養護老人ホームや民間の有料老人ホームにも体験宿泊したことがあるが、要介護の方たちと一般の方が談笑しながら食事をしたりお茶を飲んだりする雰囲気ではない。交流を促す工夫が必要だと思う。サ高住は決して「囲い込み施設」でも「姥捨て山」でもない。高齢者の知見、知識をどんどん引き出し、活用する場にしてほしい。
クリニック、保育所、コミュニティカフェなどが入居する12号棟
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医療サービスを担当する医療法人社団はなまる会理事長(院長)矢野孝子氏が素晴らしいスピーチを行った。事業概要の説明が終わるころで、記者は早く現場を見たい一心で矢野氏の話は全然聞いていなかった。
ところがだ。「戦争に生き抜いた…」という言葉にピクリと反応した。後で矢野氏に詳しく聞いた。矢野氏は、「戦争に生き抜き、戦後の今の豊かな時代を築き上げた人生の大先輩の方々に感謝と敬意を表して、これまでの人生に花丸を差し上げたい」と話したのだそうだ。「はなまる会」の名前はそのために付けたという。
矢野氏は「父が死んだ病院で介護医療は経験したことがある。理想の在宅医療を求めて医療法人を立ち上げた」と話した。
矢野氏には、「先生、我々団塊世代も大変な苦労をしてきました。受験地獄を味わいましたし、バブル崩壊にリーマンショック、阪神淡路に東日本大震災。どうぞわれわれにも『花丸』を付けてください」とお願いした。今回開業した「烏山はなクリニック」のカーテンはピンクで統一されていた。先生の好みだそうだ。かかりつけの医院をここにしようかしら。
クリニック(カーテンはピンクで統一されていた)
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もう一つ。質疑応答で、介護・福祉関係の記者と思われる方が、24時間サービスを行う「コンシェルジュ」について、「賃金はいくらか」とあからさまな質問をした。香取社長もこのような質問には驚いたようで「普通よりはいいと思います。正社員並み」と答えるにとどまった。
記者などは「坪単価はいくらか」と必ずマンションの価値を価格に換算して聞くが、さすがに商品を提供するデベロッパーの社員の給与を聞く勇気はない。しかし、専門紙誌の記者の方が単刀直入に聞かざるを得ないほど介護・福祉関係に勤める人の待遇が良くないのは記者も理解している。特養に体験宿泊した翌日、記者は疲れて半日ダウンした。
タカラレーベン新ブランド「THE LEBEN」第一弾「G/CLASSIC 山の手PJ」
「G/CLASSIC 山の手PJ」モデルルーム
商品企画は女性中心リーダー高荒氏は営業統括グループ長に昇格
タカラレーベンの新ブランド「THE LEBEN」シリーズ第一弾「G/CLASSIC 山の手PJ」を見学した。JR山手線大塚駅から徒歩11分、比高差にして約9mの丘の上に位置し、敷地は江戸時代中・後期の大名で、肥前国平戸藩の第9 代藩主だった松浦清(まつらきよし)氏の私邸跡地。商品企画は女性メンバーが中心の部署が担当。単価320万円は割安感があると見た。
物件は、東京メトロ丸の内線新大塚駅から徒歩9分、JR山手線大塚駅から徒歩11分、豊島区南大塚一丁目の第1種中高層住居専用地域に位置する地下1階地上5階建て全43戸。1期(8戸)の専有面積は58.71~80.15㎡、価格は4,998万~7,898万円。坪単価は320万円。竣工予定は平成27年3月上旬。施工は大和小田急建設。設計・監理はアーバンライフ建築事務所。3月30日に1期分譲が始まる。
モデルルームは〝非日常を〟演出しているが、玄関床は天然大理石、キッチンカウンターは御影石かフィオレストーンか無料で選択できる。食洗機、ディスポーザ、食器棚、バックカウンターも標準装備。
商品企画を担当したのは同社第4営業部。女性7人に男性2人の女性が中心の部署だ。物件の販売も担当する同部1課課長代理・岩元里江氏は、「用地は昨年取得。野村(克也)さんが『勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし』と話されたのは、もともとは清の随筆集『甲子夜話』が出典です。2月22日からモデルルームをプレオープンしており、来場者は約300件。巣鴨駅や六義園駅はフラットなのもセールスポイントのひとつ」と話した。
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記者は、道すがらいつものように分譲単価をはじいた。320万円だった。表通りからなだらかな坂を上った。坂は長所でもあり短所だ。とりあえず坂の上まで上ってみようとのぼった。工事中のその一角だけが大きな区画のままであることからも、邸宅跡地であることがすぐわかった、。現地から周囲を眺めた。南西側は1階部分でも前面の建物の日影をほとんど受けないことが確認できた。敷地南側の法面には竹林が残っていた。これなら340万円でも行けるかもしれないと考えた。
岩元氏から320万円くらいだと聞いて納得。腹八分目がいちばんいい。この単価なら文京区などの競合物件に負けないのではないか。
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岩元氏とは他の現場でもお会いしているが、岩元氏が所属する女性中心の部署のリーダーは高荒美香氏だ。初めてお会いしたのは3年前だが、当時は次長だった。現在は営業本部第四営業部副部長で、この4月1日には同部営業統括グループ長兼営業推進部長兼営業企画室長に昇格する。
同社は4月1日付で現社長の村山義男氏が会長に、副社長の島田和一氏が社長にそれぞれ就任するが、島田氏は高荒氏を以前から高く買っていた。全幅の信頼を寄せているようだ。
モデルルーム
「エステート鶴牧」の外断熱省エネ改修が成功した理由
花牟禮氏
大規模修繕実行委員・花牟禮幸隆氏が改修の経緯などを語る
マンションコミュニティ研究会(代表:廣田信子氏)は3月20日、多摩市の「エステート鶴牧4・5住宅」大規模修繕実行委員・花牟禮幸隆氏を講師に招き、国土交通省の平成24年度(第2回)「住宅・建築物省CO2先導事業」にも採択された「省エネ改修」について勉強会を行なった。
「省エネ改修」は、工事を担当した長谷工リフォームと共同で提案したもので、住みながら屋根を含む建物躯体の外側を断熱材で包み込む外断熱工法やインナーサッシを採用することなどでコンクリートの寿命を2倍(45年から90年)に延ばし、CO2排出量を23%削減できるもの。共同住宅の省エネ改修のビジネスモデルとしての展開も視野に入れたプロジェクトとして評価された。
「エステート鶴牧4・5住宅」は、多摩市鶴牧4丁目に位置する敷地面積約49,000㎡、壁式鉄筋コンクリート造の2~5階建て全29棟356戸の団地。建物完成は昭和57年3月(築32年)。工事期間は平成25年2月~26年3月。工事費は約11.6億円。このうち補助対象部分の50%が補助金で賄われ、1戸当たりの補助額は約100万円。
花牟禮は、平成23年7月から屋根の葺き替えを中心とする大規模修繕の検討に着手したこと、一度は予算面で外断熱を断念したこと、長谷工リフォームの提案を受けわずか10日間くらいで提案書を作成したこと、4分の3同意を得るため臨時総会の直前までマンガによるニュースなどで説明を徹底させたこと、3億5,000万円の銀行融資を取り付けたこと(金利1.25%のうち1%は都の利子補給)、反対者は25人いたことなどを話した。
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記者は、康和地所や明豊エンタープライズ、ナイスなどの新築マンションの取材を通じ外断熱のよさは分かっているし、同じ多摩ニュータウンには地元の建築のプロ集団が企画した「永山ハウス」もある。
よさは分かっていたつもりだが、長谷工リフォームがこの「省エネ改修」のニュースをリリースしたときは驚いた。記者が住む団地は「エステート鶴牧4・5住宅」に近接しており、築年数も住棟構成もよく似ており、「まさかそんな大規模団地で、後付の外断熱なんかできるわけがないし、合意形成も難しい」と思っていたからだ。工事中の現場を何回か見た。外壁に断熱材を張る工事は気の遠くなるような工事に思えた。
◇ ◆ ◇
花牟禮氏の話は、そんな疑問を吹き飛ばした。目からうろこだった。高経年のマンションはどのようにして価値を維持・向上させるか、いかに合意形成を図るべきかなどを教えてくれた。
まず、団地の価値の維持・向上。大規模修繕は定期的に行なわなければならないのは当然だが、花牟禮氏は「単なる修繕では建物の老化と入居者の高齢化により魅力は低下し、資産価値は低下するばかり。建て替えも選択肢にあると考える人はいるかもしれないが、郊外では駅近辺や、都心部と違い、余剰床を売って資金を捻出しようなどということは絶望的」「改修により建物の維持を図る場合、内外の居住環境の向上、すなわち、建物の長寿命化や、外構、住戸内温熱環境等、住環境の性能アップを計るなどして資産価値をあげ、安心して快適に住み続けられるものにしないと若年購買層に対する団地間競争に勝てない」などと話した。
合意形成について花牟禮氏は、「10年前から機会あるごとに団地の価値向上について話し合ってきた。約10人の理事は輪番制だが、10年間となると約100人と意識の共有ができたのではないか。」「価値の維持・向上は一つの団地だけでは限界がある。団地を取り巻く周辺環境が団地の魅力を増す。特に商業は重要であり、近隣の団地とも連携し、地元のスーパーを守ろう、盛り立てようと話してきた」などと語った。
花牟禮氏は著名な設計会社「アール・アイ・エー」の東京支社設計担当参与を務める一級建築士でもある。建築のプロとして継続して入居者と接し信頼を得てきたのがプロジェクトを成功に導いたのだろう。記者は工事が終わった住棟の居住者から「暖房なんかぜんぜん使わなくても快適」という声を聞いた。
アール・アイ・エーが設計したマンションでは、記者は首都圏不燃建築公社・三菱地所「パークハウス阿佐ヶ谷レジデンス」を思い出す。
後姿が美しい「パークハウス阿佐ヶ谷レジデンス」 「マンション環境性能表示」☆3つ(2010/3/8)
総合地所&フージャースコーポ 「ルネ新白岡駅前」は坪130万円弱
、「ルネ新白岡駅前」完成予想図
総合地所とフージャースコーポレーションは3月27日、「ルネ新白岡駅前」の記者発表・見学会を行った。駅1分で坪単価は130万円弱。かつては総合地所が約1,200戸の戸建て、600戸強のマンション分譲を行ったところで、マンション分譲は14年振り。駅近と単価の安さで人気を呼ぶことができるか。
物件は、JR宇都宮線・湘南新宿ライン新白岡駅から徒歩1分、蓮田都市計画事業野牛・高岩土地区画整理事業地内57街区に位置する11階建て全124戸の規模。専有面積は71.63~86.46㎡、1期(戸数未定)の予定価格は2700万円台~3900万円台、坪単価は130万円弱。竣工予定は平成27年5月末。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。販売代理はフージャースコーポレーション。
発表会に臨んだ総合地所分譲事業第一部部長・土田晃氏は、「新白岡は、当社が25年以上前から分譲している約1,200戸の『白岡ニュータウン』と3棟で600戸強のマンションを供給してきたところ。今回は駅前の最後の一等地。フージャースさんとは初めての共同事業物件。フージャースさんの女性目線のものづくりとコラボすることで付加価値の高いマンションとなった」と語った。
これまで約300件の来場があり、現居住地は地元(白岡市・久喜市・蓮田市)が70%で、その他が30%。戸建てから駅近マンションへの住み替え、ファミリー層の来場も目立つという。
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「新白岡」と聞いて関係者もどこか分からない人が多いのではないか。記者も14年振りのマンション供給と聞いてそれだけ空白が続いたのが意外だった。宇都宮線の大宮以遠では土呂、東大宮、久喜、東鷲宮では結構マンションが分譲されており取材しているが、白岡、新白岡は近年ほとんど降りたことがない。
しかし、昭和60~60年代にかけて蓮田、白岡、新白岡は埼玉の戸建て・マンションの主な供給エリアのひとつだった。「白岡ニュータウン」は4,000万~6,000万円で結構売れていた。最盛期には億住戸も供給された。そんな街が新白岡だ。空白が続いたことでマイナーなエリアだと思われているが、それをどう払しょくするかが販売のカギだ。
もう一つはもちろん駅1分(販売を担当するフージャースの女性担当者は「50m。ダッシュすれば8秒」と話した)の近さと坪130万円がいかに安いかをアピールできるかだろう。
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モデルルームの説明を聞こうと思った途端、酒か仕事のせいか相当傷んでいるという自覚もある記者の脳髄を刺激する音楽が流れてきた。大好きなエンヤだった。もう止まらない。パブロフの犬のように舞い上がって、担当者の話はほとんど聞いていなかった。周りから顰蹙を買ったのは言うまでもない。
エントランス
「住宅購入は消費増税前よりトク」 オープンハウスの調査
オープンハウスは消費増税を直前に控えた3月26日、首都圏に住む住宅購入意向者500人を対象に動向調査を実施。回答者の4割が直近1年間に「住宅を購入」し、購入者の半数以上が「増税前のほうがオトクだから」と答え、消費増税が購入を決断させた大きな要因であるとしている。住宅を購入しなかった人の7割以上は来年10月に予定されている「10%への消費税増税前には住宅を購入したい」意向があることもわかった。
一方、意向者の半数以上(56.6%)が「減税措置やすまい給付金について十分に理解できなかった」とし、約6割(57.0%)が「住宅購入を検討するのに十分に時間を費やすことができなかった」としている。
住宅を購入しなかった人の理由としては、「もっとじっくりと検討したかったから」が72.2%を占め、住宅ローン減税やすまい給付金制度を利用するため「消費税増税時よりも後に購入したほうがオトクと思った」人も15.5%あった。「返済額を見て不安になった」人は19.0%だった。
また、購入者の約5割(48.4%)が「住宅購入する際、両親から資金援助を受けた」と回答し、その額は「100万円以上500万円未満」(34.8%)が最多だった。
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調査結果は当然だ。建物価格が2,000万円と仮定したら、現行では100万円の消費税額は160万円になる。さらに、上昇する建築費・分譲価格に対する将来不安も買い急ぎを誘発したのは間違いない。
しかし、多くの人がローン減税や給付金の仕組みを理解できていない問題も浮上した。政府も住宅メーカー、デベロッパーは増税後の反動を極力抑えるための住宅取得支援策をアピールしているが、伝わっていない。景気回復が鮮明になった現在でも、増税後の景気が読みきれず「漠然とした不安」があることも浮き彫りになった。
記者は富裕層やアッパーミドル、DINKS層向けのマンションなどは来年の10月までは好調な売れ行きを見せると見ている。
心配なのは第一次取得層向け住宅の売れ行きだ。消費税の逆進性は生活必需品と同様、住宅も中低所得者により重く働く。マンションを例にすると、課税対象となる建物価格と非課税の土地価格の比率は都心部では3:7くらいであるのに対し、郊外部では逆転し7:3になるからだ。
ローン控除・住まい給付金も中低所得者は実質的には利用しづらい。年収400万円で、扶養家族2人の人が住宅ローン2,000万円(金利2%、35年返済)を借りた場合をシミュレーションしてみたら、ローン控除は年額約13万円、給付金は30万円となった。しかし、頭金や親の援助があるのならともかく、2,000万円で買えるファミリーマンションは首都圏ではほとんど皆無だ。
ならばと、他の条件を変えずに年収を500万円、借入金を3,000万円に引き上げて試算してみた。ローン控除額は約22万円、給付金は20万円となった。これなら3,000万円で買える郊外マンションが探せばある。