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市川氏

 日本ツーバイフォー建築協会は6月15日、平成29年度定時総会後の懇親会を行った。

 市川俊英会長(三井ホーム社長)は、平成28年度の2×4工法による建築物は前年比7.1%増の約12.3万戸となり、住宅着工に占める割合も0.2ポイント増の12.7%となり、いずれも過去最高水準に達したことを受けて、「いい結果になった。今年度はまだまだ伸びる余地がある。熊本地震の例でも2×4工法の住宅の半壊・全壊がゼロだったことからも高い耐震性が証明された。新築からストックの時代になり、流通も増加するが、2×4工法は精緻な基準で建てられており、資産性も流通性も高いことを発信していきたい」などと語った。

 来賓として登壇した国土交通省住宅局長・由木文彦氏は、28年度の着工戸数が97.4万戸となり、4月の着工戸数から今年度は100万戸の水準で推移していることから、「8%の消費増税のときの反動減は解消されつつある。2×4住宅が伸びていることは結構なことで、国土交通省としても木造住宅の推進に積極的に取り組んでいく。国産材の使用やCLTの普及、中・大規模建築物の拡大を目指す必要がある。木材が使われることは喜ばしいことで支持していく」と語った。

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由木氏

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2×4協会 懇親会(都市センターホテルで)

カテゴリ: 2017年度

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「店舗間IT接客」デモンストレーション(左が対応車、右が相談者の設定)

 大京グループで不動産流通事業を展開する大京穴吹不動産は6月16日、先に発表した「店舗間IT接客」のデモンストレーションを報道陣向けに行った。

 「店舗間IT接客」は、同社の店舗・営業所からモニターを通じて現地担当者と遠隔地の不動産売買・賃貸の相談などができるもので、6月1日から導入している。今年10月から賃貸物件に限りIT重説が本格運用となるのに応えるもの。同社の全30都道府県71店舗で利用できる。予約制で、当面は賃貸に限定する。

 同社は現在、8,000戸強の仲介扱い件数があり、首都圏顧客の売り依頼物件のうち約12%が遠隔地で、購入依頼も約7%あるという。沖縄の物件などは約50%が首都圏の購入者だという。

 そうした顧客ニーズに対応するもので、月間約30件の相談を見込む。今後はグループの新築・中古の売買、リフォーム、インテリアのほか、税理士、介護、FP、ソフトサービスにも拡大していく。

 この日は、同社スタッフが相談者になり、WEB会議システムを利用して同社大阪中央店、税理士、大京リフォーム・デザイン事務所とそれぞれ大阪の物件の売却、相続物件の相談、リフォーム済みの室内の模様などをリアルタイムで画面に映し出した。

◇       ◆     ◇

 この種の対応を行っているのは、同社によるとアパマンくらいしかないのにやや驚いた。地方の相続物件や所有リゾートマンションの売却などは売却しても足が出たり、仲介業者も手数料収入で賄えない費用が掛かったり難しい問題もあるが、時代は間違いなくIT対応が普通になる。

 今回の同社のデモンストレーションはものすごくわかりやすかった。いろいろな用途に利活用できるはずだ。

カテゴリ: 2017年度

 マンション管理業協会(管理協)は6月13日、定時総会後の理事会で新しい副理事長に石﨑順子氏(大和ライフネクスト社長)を選任した。

 石﨑氏は愛媛県出身。1960年4月26日生まれ。1983年3月、大阪大学法学部法学科卒業。同年4月、日本リクルートセンター(現リクルートホールディングス)入社。1985年5月、リクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。1999年1月、コスモスライフ(現 大和ライフネクスト)入社。2005年6月、同社取締役、2013年4月、同社常務取締役、2016年10月、同社代表取締役社長(現)。

◇       ◆     ◇

 同協会の役員数は現在30名。このうち女性は、理事を務める弁護士の篠原みち子氏と石﨑氏のみ。副理事長に女性が選任されたのも初めて。

 同協会は毎月のように理事会後に記者懇親会を開いている。石﨑も出席されるはずだ。発言が楽しみだ。男ばかりの組織に風穴を開けていただきたい。

 

カテゴリ: 2017年度

 これまで数回にわたって「週刊住宅」の破たんや業界紙のあり方について書いてきた。業界関係者の声を伝えた。これで最後にする。

◇       ◆     ◇

 国土交通省の記者クラブに投げ込まれるプレス・リリースや各社からメディア向けに発信される情報は毎週100本くらいに達するはずだ。これほど集まれば、コピー&ペーストすれば紙面は埋まる。果たしてそんな記事ばかりを書いていないか考えてみる必要がある。もしそのような記事ばかりを書いていたら何年たっても一人前の記者にはなれない。書いた端から本人も忘れてしまう。

 記者が気になるのは、ハウスメーカーやデベロッパーなどがわざわざ発表会や見学会を開いても、そのとき配布されるリリースを引き写したり話の内容をそのまま紹介したりする記事が少なくないことだ。例えばマンションの記事。読者が知りたいのは設備仕様レベルや価格、ユーザーの反響などだが、主催者が「価格は未定」と語ればそのまま「価格は未定」と書く。これは記者として失格だ。主催者の伝えたいことを過不足なく書くのは当たり前だが、読者が知りたいことに迫らなくてはわざわざ発表会に出向く意味がない。客観的な記事などありえない。記者の主観による記事だから読まれるのだ。勘違いしていないか。

 プレス・リリースの扱いも考えたほうがいい。毎日発信される情報はほとんどの場合、ホームページで閲覧できる。幸い、不動産流通研究所のWeb「R.E.port」は毎日丹念に拾って記事にしている。解説記事は少ないが、これを読めば日々の業界の動きは分かる。記者は重宝している。舌を巻くほど要領よくまとめられている記事もある。

 Webについて。日刊不動産経済通信は有料だから見出ししか読めないが、住宅新報も週刊住宅もお粗末極まりない(なかった)。毎日更新はされているが、掲載されるのは、業界でいうゴミ記事ばかりだ。ゴミ記事を掲載することで週刊紙購読に結びつけようという狙いだろうが、これは逆効果だ。一部でいいから重要な記事を配信するとか、サマリから有料購読につなげるような工夫をすべきだろう。

 わが国と単純比較できないが、ニューヨーク・タイムズ(NYT)の電子版有料購読者数が今年1月からの3カ月間で30.8万件増加し、191万件に達したと報じられた。わが国の日経新聞の日経電子版有料会員数は公称50万人。紙媒体との融合に一定の成果をあげている。Webを活用しないと業界紙も生き残れない。充実させれば新たな読者を開拓できるのではないか。

 業界紙の取材先であるデベロッパーやハウスメーカーのほとんどはBtoC企業だ。企業が業界紙に求めるのはもちろん他社の動向だが、同時に消費者のニーズはどこにあるのか潜んでいるか、将来はどうなるかのヒントとなる情報だ。いわば業界紙の役割は企業と消費者を結びつける橋渡しだと思う。世の中の「風と流れ」を活写し伝えることだ。この役割を果たすためには担当分野についての専門知識を習得するのはもちろんだが、消費者の視点からものごとを見る姿勢が欠かせない。企業目線と消費者目線はときとして衝突する。その緩衝材としての役割も大きい。

 デザイン、レイアウトについても一言。日経新聞が今年3月、日曜日に16ページの「NIKKEI The Style」の連載を開始した。用紙に高級白色紙を使用し、カラー写真やグラフィックをふんだんに盛り込んでいるのが特徴だ。

 記者はこの「NIKKEI The Style」に驚愕した。日経の読者からは株式の情報が少なくなったという声が聞かれるが、同社は他の一般紙読者をターゲットにしているはずだ。

 一般紙ですら紙面刷新に真剣にとりくんでいるのにわが業界紙は20年も30年も昔のデザイン、レイアウトを踏襲している。ここで細々したことは書かないが、全国紙といういい見本がある。見習ってほしい。

 「住宅新報」1紙になったのだから、同紙には「週刊住宅」の分まで頑張っていただきたい。「このほど」などといつの風やら流れかわからない記事を書いていたら、そのうちにどぶに捨てられる。

流れに乗れず逆らえず 記者は病葉か 「週刊住宅」破たんに思う(2017/5/9)

「週刊住宅」破たん わたしはこう考える ④(建築家)(2017/5/9)

週刊住宅」破たん わたしはこう考える ③(不動産流通会社広報担当)(2017/5/8)

「週刊住宅」破たん わたしはこう考える ②(デベロッパー広報担当)(2017/5/8)

「週刊住宅」破たん わたしはこう考える ① (ハウスメーカー広報担当)(2017/5/8)

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不動産流通経営協会懇親会8ホテルオークラで)

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榊氏

 不動産流通経営協会(FRK)は6月1日、定時総会を開き、新理事長に榊真二氏(東急リバブル社長)を選任した。前理事長の田中俊和氏(住友不動産販売社長)は副理事長に、元理事長で相談役の竹井英久氏(三井不動産リアルティ会長)は顧問に就任した。新任の副理事長には山代裕彦氏(三井不動産リアルティ社長)、田島穣氏(三菱地所リアルエステートサービス社長)が就任した。

 総会後の懇親会の冒頭であいさつに立った榊氏は、昨年度の既存マンション流通量が新築マンションの供給量を上回ったことを受けて、「優良な住宅の供給を担う新築住宅市場とストックを活用する既存住宅市場とがまさに車の両輪として市場を活性化していく状況が生まれた」とし、2025年には既存住宅市場の規模を8兆円に倍増させるという国の方針に沿うために3点の重要施策について述べた。

 第1点として、不動産流通の現場と行政の橋渡しの役割を担う政策提言と調査研究に力を入れることを上げた。

 第2点目には、「消費者が不動産業者に期待するサービスの質は高度化・多様化している」とし、宅建士などがそうした―ニーズに応えられるよう更なる教育研修に注力するとした。

 第3点目としては、不動産流通業が「お客さま一人ひとりの夢の実現をお手伝いする情報ビジネス産業」とし、最新の情報技術を駆使してサービスの質の向上と生産性の向上に知恵を絞ると話した。

 来賓として登壇した国土交通省土地・建設産業局の谷脇暁局長は、「昨年度は生産性向上元年だったが、今年度はそれを前進させる年」とし、不動産特定共同事業法を改正して、小規模な事業に参画しやすい環境を整えることなどを話した。

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谷脇氏

◇       ◆     ◇

 榊新理事長が新築マンション市場と既存住宅市場を「車の両輪」と語ったことに注目したい。FRKがこのような文言を使ったのは初めてではないか。

 消費者にとって、新築、既存住宅、さらに賃貸住宅も含めて選択の幅が広がるのは結構なことだ。「FRKの会員であれば安心・安全」できるようにしていただきたい。

 

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「旧軽井沢ホテル」

 東急不動産は6月1日、軽井沢の名門ホテル「旧軽井沢ホテル」を取得したと発表した。

 同社は会員制リゾートホテル「東急ハーヴェストクラブ旧軽井沢/旧軽井沢アネックス」を展開しており、近接の塩沢エリアでも「東急ハーヴェストクラブ軽井沢&VIALA」を建設中で、2018年7月に開業する予定。

 同ホテルを取得することで、軽井沢エリアの会員制ホテルとパブリックホテルを展開できることとなる。

 旧軽井沢ホテルは、長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢に位置。地下1階地上3階建て延べ床面積約5,800㎡。客室数50室のうち約9割が40㎡超。他に木造平屋建ての教会がある。2015年7月に大規模改修済み。

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ラウンジ

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「じゅうたく小町部会」一周年記念式典

 5月29日行われた全国低層住宅労務安全協議会(低住協)「じゅうたく小町部会」一周年記念式典で、式典の進行役を務めた大和ハウス工業人事部ダイバーシティ推進室次長・鳥生由起江氏は「いろんなことを考えるキックオフの場にしたい」と式典を締めた。

 その通りだと思った。日建連「けんせつ小町」が掲げる「もっと女性が活躍できる建設業を目指して」の取り組みも、低住協の「じゅうたく小町」が〝小町クローバー〟に込めた〝住まいを通じてお客様と幸せと安心を提供する〟などの4つの想いは実にわかりいい。

 しかし、式典は掛け声ばかりで一向に進まない〝女性活躍〟の実態を浮き彫りにした。2020年までに女性の管理職比率を30%に引き上げようという政府の目標「2030」なんか絶望的ではないか。以下、式典で拾った声を紹介する。男性にとって耳が痛い、ドキリとするものばかりだ。

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伊藤氏

 ・国土交通省大臣官房審議官・伊藤明子氏 これからはモノ・ハコから生活・暮らしの産業にならなければならないが、大事なのはコミュニケーション能力、創造力。これは女性のほうが(男性より)能力が高い

 ・鹿島建設・須田久美子氏 〝大きなものを作りたい〟というのが私の夢で、大学3年のとき土木はわたしの天職だと思った。周囲の応援があり、阪神淡路のときは24時間仕事に没頭することができた。わたしのこれからの仕事は、100年後に土木が職業人気ランク1位になる100年プランを作成すること

 ・(入社12年目、子供なし) 最初の3年間は6時に起きて7時半には現場。仕事を終えて家に着くのは9時前。食事は主人のほうが上手

 ・(入社6年目、二人の子どもとイクメン) 育休のとき一級建築士の資格を取得した。2人目の子どもが生まれたとき主人が育休を半年取ってくれたおかげで早く仕事に復帰できた。主人の協力があるとものすごくラク。本来は男も(家事労働負担は)は同じ(この方は「妊娠発覚」という言葉を用いた。われわれの時代は妊娠が判明すると赤飯をたいて祝ったりした。意図はないのだろうが「発覚」という言葉は現在の女性が置かれている立場を如実に物語っている。戦前の不況期と同じだ。それとも今が戦争の危機か)

 ・(女性が現場に出ることで変わったことについて各氏) みんなで早く帰ることができた 思ったことがすぐ相談できる 職場がきれいになる 残業が減った 快適トイレは男性も使いたいという声が上がった

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須田氏の特別講演

◇       ◆     ◇

 3回にわたって「じゅうたく小町」の記事を書いた。熊谷組の黒嶋氏は「みんなで週休2日を実現しよう」と呼び掛けた。鹿島の須田氏は建設土木の仕事が職業人気№1になる100年後プランを考えているという。その一方で、ドアに背中を付けながら用足しをしなければならない建設現場のトイレがあることも分かった。

 高邁な理想を掲げる女性がいる一方で、劣悪な労働環境で働いている女性がたくさんいる-このギャップをどう考えるか。残念ながら建設現場の女性の声を経営トップに伝え、実践させるのは極めて困難だろうと思う。この1カ月間、4~5人の経営トップに働き改革ついて聞いたが、全くと言っていいほど危機感など抱いていない。縮小するパイの奪い合いしか念頭にないようだ。

 「じゅうたく小町」の皆さん、本気で働き方改革を実行するのなら覚悟を決めたほうがいい。参考になる小説を一つ。最近読み始めた帚木蓬生「水神」(新潮文庫)だ。農民(皆さん)がお上(経営トップ)の顔を立てながら難事を成し遂げる物語だ。

 それにしても「全国低層住宅労務安全協議会」(低住協)などといういかめしい名称をよくも使い続けているものだ。記者は全労協(失礼。労働組合と思えばこれはこれで立派)かと思った。「低住協」の「低」もまた低級を連想させる。「じゅうたく小町」にふさわしい名称に変更すべきだ。「全国」組織にすることも急ぐべきだ。

建設現場の週休2日制導入 待ったなし 「じゅうたく小町」参加者に聞く(2017/5/31)

建設現場の仮設トイレ利用しない」 「じゅうたく小町」会員の声をどう聞くか(2017/5/30)

女性輝けないトイレ 「利用しない」公園90%、駅38%、職場30% 国交省アンケート(2017/1/21)

労働環境改善活動にエール 全国低住協「じゅうたく小町部会」に参加して(2016/11/26)

 

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「じゅうたく小町部会」一周年記念式典(すみだ産業会館で)

 記者のいまの最大の関心事はマンション価格が下がるかどうか、そのカギを握る建設費はこの先どうなるかだ。5月29日行われた全国低層住宅労務安全協議会(低住協)「じゅうたく小町部会」一周年記念式典の取材の第一のテーマも、建設現場の労働時間短縮、週休2日制の導入は可能か否かだった。

 というのも、「こだわり記事」でも書いたが、日建連・中村満義会長は「建設業の長時間労働の是正には週休二日の定着が必要でありますが…建設業としては、この政府の決定を真摯に受け止め、長時間労働の是正に精いっぱい努力してまいります」とコメントしているように、5年間の猶予期間を待たずに労働時間短縮に取り組む姿勢を明らかにした。週休2日は待ったなしだ。

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黒嶋氏(左)と須田氏

 式典でこの問題に積極的に踏み込んだ参加者がいた。熊谷組経営企画本部ダイバーシティ推進室担当副部長・黒嶋敦子氏だ。

 パネルディスカッション「これからの建設業女性活躍について」のパネラーとして登壇した黒嶋氏は、ダイバーシティ推進室を昨年スタートさせ、ダイバーシティパトロールの実施、女性用作業服の採用、約100名の女性技術者による交流会の実施、健康経営優良法人「ホワイト500」に初認定されたことなど同社の取り組みを紹介したあと、「建設業は残業が多すぎる。女性が働きやすい職場は男性にとっても働きやすい職場だと思う。みんなで週休2日を実現しよう」と呼び掛けた。

 式典後、この問題についてさらに聞いた。「(週休2日を)オリンピックまでに対応するのは難しいが、今年から土木と建設でそれぞれモデル現場の設定を目指している。意識を変えないといけない。日建連からも実現に向けて努力するように言われている」と話した。

 同じように週休2日制の導入に前向きな考えを示したのは、特別講演として自らの現場経験を話した鹿島建設・須田久美子氏だ。記者の「週休2日制の導入はその分コストアップ要因にならないか」という質問に「大きなコストアップにつながらないよう工夫してやらないといけない。オリンピック後? いえ、それよりも早く取り組む必要がある」と語った。

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小谷氏(左)と鳥生氏

 しかし、ハウスメーカー側は簡単にイエスと答えられない事情がありそうだ。ネラーとして登壇もした積水ハウス経営企画部ダイバーシティ推進室部長・小谷美樹氏は「業界全体の働き方改革として考え、当社としても課題だととらえています」と明言を避け、式典の進行役を務めた大和ハウス工業人事部ダイバーシティ推進室次長・鳥生由起江氏も「業界全体としてそのような動きにあります」と話すにとどめた。

 ビル・マンションなどと戸建てなどでは建設現場での週休2日制の導入には温度差があることが分かった。 

建設現場の仮設トイレ利用しない」 「じゅうたく小町」会員の声をどう聞くか(2017/5/30)

女性輝けないトイレ 「利用しない」公園90%、駅38%、職場30% 国交省アンケート(2017/1/21)

労働環境改善活動にエール 全国低住協「じゅうたく小町部会」に参加して(2016/11/26)

 

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「じゅうたく小町部会」一周年記念式典(墨田区すみだ産業会館で)

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部会長・前田直子氏

 魚に例えればやはりめでタイか。刺身でも焼いても煮てもおいしく愛でても美しい、料理のし甲斐、記事の書き甲斐のある取材ができた。5月29日行われた全国低層住宅労務安全協議会(低住協)の「じゅうたく小町部会」一周年記念式典だ。参加者約160名のうち約60名が女性会員で、約20基のお祝いの花輪が会場を華やいだ雰囲気で包んだ。

 低住協は、ハウスメーカー、専門工事店、安全関連機材など約60社が参加し、労災防止や労務管理の改善などに取り組んでいる団体で、「じゆうたく小町」はその下部組織。日本建設業連合会(日建連)が推進する「けんせつ小町」と連携して①建設現場の環境整備②技術者としての勤続促進と支援③育児と仕事の両立支援-などに取り組んでいるハウスメーカーの女性技術者・技能者集団。現在、9社70名が参加している。

 本題に入る前に、まずは建設現場の仮設トイレについて。

 先週末、東急不動産「パークフロント日比谷」の竣工見学会で女子トイレに女優ミラーなるものが備えられているのを見た。調光機能付きの光と鏡で〝夜の女〟に変身するための設備だそうだ。

 中身を磨くほうが大事だとは思ったが、女性にとってトイレはものすごく重要なのも理解できる。国交省が協議会を設立して検討を開始したし、明大の人気が劇的にアップしたのもトイレをきれいにしたからだとまことしやかに伝えられている。

 にもかかわらず建設現場の仮設トイレは男性の記者ですら入りたくない。小はともかく大はかがまなければならない。女性が入りたくないと思うのは当然だ。昨年、じゅうたく小町の会合を取材したとき、仮設トイレを利用せずコンビニに行くという人の話を聞いてびっくりしたのだが、今回の式典でも仮設を利用しない人がたくさんいた。

 パネルディスカッションのパネラーの一人は「若いとき(今でも若いが)利用したが、職人さんの気配が気になった。カギも不安で、ドアに背中を付けなければならなかった。それ以来、2度と利用しないと決めた」と語った。

 ゼネコンもハウスメーカーも女性用トイレ環境を整えるべきだと思う。いい商品も開発されている。施主が事情を話せば隣近所で借りることもできるのではないか。

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日野興業の仮設トイレ

女性輝けないトイレ 「利用しない」公園90%、駅38%、職場30% 国交省アンケート(2017/1/21)

労働環境改善活動にエール 全国低住協「じゅうたく小町部会」に参加して(2016/11/26)

 

 

 

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「日比谷パークフロント」(左のケヤキは高さ15m) 

 東急不動産は5月26日、植物が持つ力を最大限に活用し、日本の新しい働き方をデザインする「Green Work Style Project」の第一弾「日比谷パークフロント」が5月31日(水)に竣工するのに伴い、プレス説明会・内覧会を行った。同社は本拠の渋谷や竹芝の再開発など6つのビッグプロジェクトが進行中だが、その勢い見せつけるビルが完成した。

 物件は、同社とケネディクス、日本政策投資銀行の3社共同事業として開発を進めてきたもので、東京メトロ千代田線他「霞ケ関」駅から徒歩3分、千代田区内幸町2丁目に位置する地下4階地上21階建て延べ床面積約67,000㎡。設計・施工は鹿島建設。制振構法を採用。同社がプロジェクトマネージャーとして開発およびリーシングを行い、竣工後はマスターリース兼プロパティマネージャーとして管理運営を実施する。

 1フロア約630坪で、天井高は最上階が4mで標準階は3m。サッシは幅3200ミリの特注品を採用。標準階の賃料は4万円/坪。現在約6割がテナント決定済み。

 「Green Work Style Project」は、働くことで生じる課題を、植物の力によって活動的・精神的に"デザイン"(解決)し、オフィスワーカーの作業効率や生産性の向上、コミュニケーションの活性化などを目指すもの。

 デザインアソシエーションNPOとの共同プロジェクトで、コンセプト構築には同NPOの理事も務める脳科学者の茂木健一郎氏、プラントハンター・そら植物園主宰・西畠清順氏、意と匠研究所代表・下川一哉氏が参画している。

 外構、オフィスロビーなどには日比谷花壇、設計施工の鹿島建設、デザイン監修の日建設計、ランドスケープを担当したランドスケープデザイン、さらには同社グループの石勝エクステリアなどが協業している。

 説明会に臨んだ同社取締役専務執行役員都市事業ユニット長・岡田正志氏は「Green Work Style Projectのコンセプトに基づき公園の中で働いているようなオフィス空間とホテルのようなグレード感を演出した。今後の渋谷や竹芝のプロジェクトもこのような地域と環境との共生を目指す」などと語った。

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ガーデンプロムナード

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1階エントランス

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2階ロビー

◇       ◆     ◇

 同社には申し訳ないが、発表会の冒頭にあいさつした同社取締役専務執行役員都市事業ユニット長・岡田正志氏以下の概要説明、3名によるトークセッションはほとんど耳に入らなかった。聞いていなかった。

 発表会の前にビルの外周部や2階のエントランスロビーの植栽・デザインにほれ込んで、また、会見場の20階から眺めた日比谷公園の圧倒的な緑とビルの支配人で同社野球部監督・潮田喜一郎氏とばったり会って舞い上がってしまったからだ。説明を受けるまでもなく、極めてレベルの高いビルであることを理解した。

 ビルの規模や立地、緑の総量では、このビルを上回るものはたくさんあるはずだが、借景の日比谷公園の緑をビル内に取り込んだコンセプト、その緑の質の高さや同社グループの最高級ホテル「ザ・キャピトルホテル東急」とそん色ない(これは異論があるかもしれないが)デザインにほれ込んだ。

 例えば樹種。同社によると100種以上の中高本を敷地内と2階ロビー、屋上などに植えている。シンボルツリーのケヤキは高崎の山から運んできたもので高さ16m。バクチノキ、ナンジャモンジャなど見たこともない樹木もたくさんある。この質にも驚いた。

 内覧会では、仕事もできる入居者専用のスカイガーデン(150坪)とスカイラウンジ(50坪)、2階グリーンラウンジ、セキュリティゲートとエレベータの連動による先行階登録システム「ELE NAVI(エレ・ナビ)」、黒が基調の1階エントランスから2階ロビー、ナナメ壁かどか印象に残った。女子トイレの夜の女性に変身する女優ミラーは意味不明。

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2階の生木

◇       ◆     ◇

 同社は、かつて街づくりや環境共生の取り組みでは他社を圧倒していた。「かつて」と書くのは、バブル崩壊後はやや精彩を欠いていたからだ。

 しかし、「新青山東急ビル」(2015年竣工)、「東急プラザ銀座」(2016年竣工)「世田谷中町プロジェクト」(2017年一部竣工)などで、そのDNAは健在であることを示した。

 今回のビルは「Green Work Style Project」の第一弾だが、今後目白押しの渋谷や再開発、竹芝のビッグプロジェクトが楽しみだ。同社の勢いを見せつけるビルが竣工した。

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スカイガーデン(ここで仕事をするのも可能)

東急不動産 「世代循環型」の街づくり「世田谷中町プロジ ェクト」一部完成(2017/4/28)

東急不 「東急プラザ銀座」3月31日開業 ターゲットは玄人の「大人」(2016/3/28)

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