その瞬間、福井氏に惚れた 三菱地所レジ SOHOタイプの賃貸第2弾「代々木公園」
「The Parkhabio SOHO 代々木公園」(北側から写す)
三菱地所レジデンスは10月12日、コワーキングスペース付きの職住一体型賃貸マンションシリーズ「The Parkhabio SOHO(ザ・パークハビオ ソーホー)」の第2弾「The Parkhabio SOHO 代々木公園」が竣工したのに伴うメディア向け内覧会を行った。2004年から供給を開始した「The Parkhabio」の100棟目で、敷地西側は小田急線の線路だが、道路を挟んだ東側は代々木公園。好立地であることからリーシングも好調に推移しているようだ。
物件は、小田急線参宮橋駅から徒歩4分、渋谷区代々木5丁目に位置する敷地面積約942㎡、7階建て全81戸。専用面積は22.23~71.31㎡。月額賃料は約13万~25万円(71㎡を除く)、平均賃料は19,800円/坪。礼金はなし、敷金は1か月。管理費は20,000~30,000円、SOHO使用料は1,100~2,200円。法人登記も可能。設計・監理はコモン・リンク一級建築士事務所。施工は青木あすなろ建設。デザイン監修はparkERs(パーカーズ)。
1階には約120㎡のコワーキングスペース「Style Lounge」のほか8室の個室ブース、会議室、外が眺められるワークスペース、ペット洗い場などを整備。代々木公園に面す屋上テラスは、芝生や屋上ベッドに寝転がることができる「スカイテラス」や、Wi-FI完備のテーブル席や全長2.5mのベンチ付きの「ルーフテラス」、パーゴラ付きの「リラックステラス」、「ドッグラン」を設置。
住戸プランは1R~2LDKで、約71㎡の7階ペントハウスの専用アプローチは国産トチノキを使用したアート付き。天井高3.75mのロフト付き4戸も用意している。
同社常務執行役員賃貸住宅計画部長・森山健一氏は、「6月に竣工した『大手町』に次ぐ第2弾で、コロナ前から企画していた商品企画が評価され、『大手町』のリーシングは好調に推移している。今回、『代々木公園』が100棟目の竣工物件になることから『The Parkhabio』のブランドスローガンを『その瞬間に、心がはずむ。』に一新した。『SOHO』シリーズも今後『祐天寺』『南青山』『関内』で予定している」と語った。
現在のリーシング状況は、37戸の募集に対して29戸の申し込みがある。坪あたり賃料は19,800円で、周辺相場のアッパー1.8万円を上回る。第一弾の「大手町」は募集49戸に対し27戸(55%)が申し込み済み。
コワーキングスペース「Style Lounge」
屋上テラス
間伐材を利用したエントランスのアート
覗かれる心配が全くないモデルルーム
◇ ◆ ◇
「皆さん、私は大きな声で話していますので聞こえないかもしれませんが、ほら、静かにするとBGMが流れていることが分かります。『大手町』と一緒です。仕事が2倍はかどり、眠りたい人は永遠の眠りに就くこともできます」
「皆さん、これ見てください。ホワイトオーク材の無垢の長さ6mのテーブルです(横は2.5mくらいか)。parkERsさんが調達したものです。そこの、トイレの外周も本物の木です。女性トイレは化粧室付きです」
「どうぞお入りください。今日は特別に皆さんにお見せする最上階の東南角のペントハウス71㎡です。目の見えないところまでこだわり、できることは全て盛り込み、特別に設えました。ルーフバルコニーでシャンパンを飲むのも寝転ぶのもよし。東側は代々木の森から都心方向、逆は富士山も眺望できます。キッチンカウンター幅は1000ミリ、浴室はミストサウナ付き。収納も豊富。外国人の方も住めるようにしました。賃料? 特別仕様ですので申し訳ございませんが、非公開とさせていただきます」
「こちらはもっとも狭い22㎡タイプですが、女優の〇〇〇〇さん(知らないのは記者だけか)のような美しくて品があり、感性が豊かで、コーヒーを淹れる所作にもこだわる自分の世界観を大事にされる方にお勧めです。これ? ただの水ではありません。高級ブランドの炭酸水です」
「どうですか、皆さん。スカイテラス。最高の環境が享受できます。床は天然芝ですよ。ここは足湯じゃありません。ゆっくり座って仕事ができるようにしたテラスです。ここのテーブルでは8人くらいでシャンパンを飲むこともできます。ドックランはメタボの犬には狭い? そんなことはありません。自分の犬で確認しましたから」
長くなるのでこのあたりでやめるが、上記は、若干の脚色は施したが、物件案内を務めた同社賃貸住宅計画部第四グループ主任・福井一哉氏が話したことをほぼ忠実に再現したものだ。メモを取るのに必死で、肝心のモノを全然把握できなかったのが残念。
時間にして約40分、見学場所は10か所くらいだったか。敷地は南北に細長く、移動時間を除くと1か所当たり約3分。カップラーメンのように特徴をぎゅっぎゅっと圧縮し、口火を切るともうどうにも止まらない。一気呵成に立て板に水のごとく喋りまくった。小生はものの1~2分で新スローガン「その瞬間に、心がはずむ。」を理解した。惚れ込んだ。
これほど多弁、口達者な人は40年以上取材してきた中で大手デベロッパーに10人いたかどうか。三菱地所グループでは三本指に入る。マンション販売担当だったら、間違いなく人の2倍、3倍は売るはずだ。
だからこそ、心配になったこともある。同社には売れ行き不振物件はないだろうが、完成在庫をさばくのに四苦八苦しているデベロッパーか、あるいはトマトだろうがキュウリだろうが硬いカボチャだろうが、腐れ縁までスバッと切ることができる包丁のテレビショッピングのMCに、破格の条件でもって引き抜かれるのではないかということだ。
まだある。好事魔多し、口は禍の元だ。舌下事件を起こし、会社をクビになったり、奥さん(独身かもしれないが)に叩き出されたりして、場末のバナナのたたき売りかガマの油売り(これはこれで立派な職業だとは思うが)になり下がらないか。
ご本人に確認したら入社10年目で31歳。現担当の前の4年間は経理部で「電卓と格闘していた」そうだ。森山常務は「彼はいつもあんな調子」とさじを投げていた。
何ごともなくご無事なら「祐天寺」か「南青山」でお会いできそうだ。一日千秋の思いで再会できるのをお待ちいたします。
机下
蛇足 非公表の71㎡の賃料について。小生はいつものようにマンションに換算した。坪単価は600万円くらいではないか。つまり価格は600×71÷3.3=12,909万円。利回りを3%と仮定すると、月額賃料は12,909×0.03÷12≒32.2万円。これに設備仕様レベル、眺望などの付加価値を考えると賃料は40万円もあるかもしれない。
〝代々木公園の緑を眺めながら仕事ができる、こんな環境はほかにありません〟福井氏
〝丸見えですから法的に許されるかは分かりませんが、もちろん人間だって洗えます〟(ペット洗い場で)
手前のテーブルに置かれているのが「炭酸水」
大和地所レジ〝ヴェレーナグラン〟「門前仲町」と「茅ヶ崎東海岸」竣工前完売
「ヴェレーナグラン門前仲町」
大和地所レジデンスは10月7日、同社の最上位ブランド「ヴェレーナグラン」として分譲した「ヴェレーナグラン門前仲町」と「ヴェレーナグラン茅ヶ崎東海岸」が、竣工前に全戸完売したと発表した。
「ヴェレーナグラン門前仲町」(全75戸)は、東京メトロ東西線門前仲町駅から徒歩3分の定期借地権付きで、6月の販売開始から約2か月で全戸完売した。
「ヴェレーナグラン茅ヶ崎東海岸」(全111戸)は、企業が保有していた第一種低層住居専用地域に位置する約8,000㎡の歴史ある迎賓館跡地での開発で、全111戸に対して63タイプのプランバリエーションが評価され、竣工7か月前に全戸完売した。
「ヴェレーナグラン茅ヶ崎東海岸」
◇ ◆ ◇
この2物件については、同社は記者見学会を行っており、記事にしているので参照していただきたい。「門前仲町」の坪単価は410万円、「茅ヶ崎東海岸」の坪単価は280万円。決して安くないが、設備仕様レベルは高く、商品企画が評価されたということだ。
同社は来年の2月、設立30周年を迎えるのを機に、「ヴェレーナグラン」の集大成と位置付ける「ヴェレーナグラン北赤羽マスタープレイス&マナープレイス」(318戸)と「ヴェレーナグラン菊名の杜」(125戸)を分譲すると発表している。二つの物件の見学会も行われるだろうから、しっかり取材したい。
記者は創業時からずっと取材してきている。リーマンショック後の2009年2月に会社更生手続の申請を行ったときは驚いたが、大和地所の支援を得て、完全に勢いを取り戻したといえる。創業時からの確かな商品企画のDNEは受け継がれている。創業者の西丸誠氏も喜んでいるのではないか。
歴史・文化を次代に繋ぐ 企画意図伝わる 日本エスコンの定借「千代田神保町」
「レ・ジェイド クロス 千代田神保町」
日本エスコンが分譲中の期間73年の定期借地権付き「レ・ジェイド クロス 千代田神保町」を見学した。歴史的建造物の改修工事と一体的に整備するオフィス・住宅の複合開発で、既存建物の容積を移転し、デザインを統一するなど、歴史を次代に繋ぐマンションだ。
物件は、東京メトロ・都営新宿線神保町駅から徒歩4分、JR水道橋駅から徒歩7分、千代田区西神田二丁目の商業地域に位置する敷地面積約1,118㎡、14階建て全50戸(分譲は30戸)。期間73年の定期借地権付き。専有面積は40.36~135.67㎡、坪単価は490万円。竣工予定は2023年8月中旬。設計・監理はスタイレックス。施工は鉄建建設。販売代理はタカラレーベンリアルネット。
分譲開始は今年6月末で、これまで約400件の来場を集め、25戸を成約。購入者のほとんどが千代田区居住者。最高価格27,700万円(135㎡)を含む残り5戸は近く最終分譲される。
現地は、敷地南側と東側に接道する角地。東側道路を挟んだはす向かいは西神田公園。土地・既存建物の所有者は、外務省所管のわが国と東方諸国の東方文化の学術的研究の発達、文化の進展、国際文化の交流を目的に1947年に設立された一般財団法人東方学会本部。既存建物は1926年(大正15年)ころ竣工した4階建てで、歴史的建造物として2003年(平成15年)、「千代田区景観まちづくり重要物件」に指定された。
プロジェクトは、既存建物の改修工事が行われるのに伴い、隣接する「東方学会新館」(2021年9月解体済)の跡地に建設される住宅とオフィスを一体的に整備するもの。既存建物の余剰容積率を新築する建物に移転するとともに、既存建物と接続させデザインの調和を図る同社の提案が評価された。低層部のオフィス部分は東方会館が所有・利用する。
新築する建物のエントランス・ラウンジの本棚には、神保町に昔からある書店で選んだ建築の専門書を100冊以上、古本・新書を置く予定。
分譲対象住戸は7階以上で、主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、フィオレストーンキッチン・洗面カウンタートップ、食洗機など。最上階の2戸は親子玄関ドア、リビング天井高4m、人工大理石浴槽・御影石カウンター、グローエ水栓・シャワーヘッド、開き戸にも引き戸にもなる180度開閉仕様リビングドアなど。同社首都圏開発事業部首都圏企画販売グループ・石井和明氏は、「道路を挟んだ反対側の建物は8階建てなので、開放感が担保されています。天井高は高くありませんが、調光機能付きのダウンライトを多用して上質な空間を演出しているのが特徴です」と話した。
イメージ図
改修前の東方会館
モデルルーム
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先に紹介した「レ・ジェイド板橋本町」もそうだが、企画コンセプトをデザイン・意匠にしっかりと反映させているのが特徴だ。
歴史的建造物の外壁とアーチ状のエントランス部分をマンションギャラリーで表現し、接客ブースも大正ロマンを象徴するライトを設け、昔懐かしいスイッチもアクセントとしてあしらっている。
もう一つ、86㎡のモデルルームは、「微睡(まどろみ)スタイル」がコンセプトのホテルタイプ仕様となっており、8~10畳大はありそうな主寝室は東側バルコニーに隣接させ、日が昇ると同時に目覚めるような工夫・提案がされている。リビングドアも昔の凹凸があるガラスを採用している。
リビング天井高は2400ミリしか確保できていないが(高さ規制によるものかどうかは不明)、調光機能付きダウンライトをLD、キッチン、全居室に30か所以上設置することで、その難点の解消を図っている。
この種の対応では、下がり天井部分にガラスを張ったりデザイン処理したりしているものはあるが、今回のように30か所以上も調光ダウンライトを採用しているのは初めて見た。
さらにもう一つ。細かなことだが、洗面室の照明は自然光に近いLED照明を採用。女性が(男性もそうか)メイクで朝と昼と夜のそれぞれの顔を描けるような工夫が施されている。
本物の観葉植物もそうだが、このような配慮が購入検討者(とくに女性)を感動させる。同社はいま一番元気のあるデベロッパーの一社だと思っているのだが、その成長力の秘密は細かなことにも手抜きしない企画力にあるのではないか。
ギャラリーエントランス(左)と接客ブース
モデルルームのリビングドア
プランよく仕様レベルも高い 観葉植物は本物 日本エスコンのコンパクト「板橋本町」(2022/10/7)
プランよく仕様レベルも高い 観葉植物は本物 日本エスコンのコンパクト「板橋本町」
「レ・ジェイド板橋本町」
日本エスコンが分譲開始したコンパクトマンション「レ・ジェイド板橋本町」と、販売好調の定期借地権付き「レ・ジェイド クロス 千代田神保町」を見学した。まず、「板橋本町」から紹介する。
物件は、都営三田線板橋本町駅から徒歩5分、板橋区大和町の商業地域(建ぺい率100%、容積率600%)に位置する敷地面積約356㎡、13階建て全55戸(非分譲住戸10戸含む)。専有面積は25.63~57.16㎡、第1期1次(9戸)の価格は3,490万~5,390万円(31.69~46.29㎡)。坪単価は360万円。今週末に契約開始する。竣工予定は2023年11月下旬。設計・監理はコモン・リンク一級建築士事務所。施工は鍜治田工務店。販売代理はプレシャスホームズ。
敷地はL型で、短辺の東側は国道17号線、北側は幅員約3.5m、西側は幅員約3.2mの道路にそれぞれ接道。住戸部分は国道から約17m離れた西向きで、1フロアは2~8階がAタイプ(31.69㎡)、Bタイプ(25.63㎡=6戸非分譲)、Cタイプ2スパン(35.73㎡)、Dタイプ(46.29㎡)、9~13階がEタイプ(57.16㎡)、Cタイプ2スパン、Dタイプ。
主な基本性能・設備仕様は二重床・二重天井、リビング天井高2450~2500ミリ、バルコニー側は2重サッシ、食洗機、床暖房、フィオレストーンキッチン天板、ワイドスパン(Aタイプ4350ミリ、Cタイプ4950ミリ、Dタイプ5500ミリ、Eタイプ7850ミリ)、全戸防災倉庫付きなど。このほかカラーセレクトのほかオープンキッチン&天板拡張、ガス&IHヒーター選択などが無償(一部制約あり)。
同社首都圏開発事業部首都圏企画販売グループ・根岸聡美氏は、「価格は抑制気味です。『十条』とは競合はしませんが、単価の差は大きく、23区のコンパクトは軒並み坪400万円、500万円以上になっているので、インパクトは大きいはずです」と語った。
販売事務所の観葉植物
オープンタイプの販売事務所
好みのカラーを相談するカウンター
モデルルーム
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この物件も現地は見ていないが、設備仕様レベルは水準以上で、プランもよく単価は割安感があると思う。
感心したのは販売事務所と46㎡のモデルルームの設営・デザインだ。たくさん配置されていた観葉植物は全て本物、壁材もすべてではないが挽板が採用されていた。接客ブースは個室タイプではなく、それぞれ緩やかなカーブを描いたレースカーテンで仕切られたオープンタイプだった。カラーリングも、いかにも女性が好みそうな明るい色調でまとめられていた。
〝フェイクを止めよ〟としつこいほど記事を書いてきた。RBAの記事で「フェイク」を検索したら89件ヒットした。添付した記事も8,500件を突破している。トータルするとアクセス数は10万件に達するはずだ。雨垂れ石を穿つ。少しは受け入れられているようでうれしくなった。
11年ぶりのフラッグシップ 大京「ザ・ライオンズ池袋」分譲開始へ
「ザ・ライオンズ池袋」
大京は10月6日、同社のフラッグシップブランド「ザ・ライオンズ」としては11年ぶり(竣工後)の「ザ・ライオンズ池袋」のマンションギャラリーを10月22日(土)から一般公開すると発表した。同日、メディア向けモデルルーム見学会を行った。
物件は、東京メトロ丸ノ内線池袋駅から徒歩7分、山手線池袋駅から徒歩10分、豊島区池袋3丁目の商業地域(建ぺい率80%、容積率400%)に位置する敷地面積約1,215㎡、7階建て全83戸(一般分譲対象戸数67戸)。竣工予定は23年9月。設計は日企設計。施工は佐藤工業。専有面積は43.40~72.37㎡、価格は未定。販売開始は2022年10月下旬。
現地は、同社本店事業推進部事業推進一課係長・上田寛人氏によると「お客さんは『池袋にこんな道路があったか』と驚かれる」というエリアの一角のようだ。計画から17年の歳月を経て、従前は幅員4mだった「みたけ通り」の道路を18mに拡幅し電線の地中化、歩道の整備が行われ、豊島区の地区計画によって商業地域でありながら風俗施設などを禁止し、建物の絶対高さが22mと定められているという。
デザイン監修にUDSを起用し、建物外観は「池袋西口の芸術・文化の継承」をコンセプトに、柱の表面を三角形状に設置するなど、洗練されたシャープなデザインとし、間取りは1LDKから3LDK(43.40~72.37㎡)まで全14タイプ。主な基本性能・設備仕様は二重床・二重天井、リビング天井高2500ミリ、サッシ高約2.2m、食洗機、御影石キッチン・洗面化粧台、LDのほか居室床暖房(一部)、コロンボ製ドアノブ、タオル掛け1か所など。
「みたけ通り」(物件ホームページから)
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この日は、午前中から夕方まで4件の取材が入っており、昼食をとる時間もなかったため、この物件の現地は確認していない。駅からのルート次第では歓楽街・風俗街もありそうだが、周辺は低層住宅街とのことだ。
現地を確認していないので価格(単価)予想はしづらいが、埼京線十条駅前の39階建て東急不動産他「ザ・タワー十条」(578戸)の坪単価が470万円(記者予想)で、近接する30階建て東京建物「ブリリアタワー池袋WEST」(230戸)が坪単価520~530万円で好調に推移していることなどから、坪単価は500万円前後になるのではないかと思う。
ただ、モデルルームの印象からは、2009年に分譲された「ザ・ライオンズたまプラーザ美しが丘」や「ザ・ライオンズ武蔵野」よりレベルは低いと思う。「美しが丘」「武蔵野」の記事を添付したので比べていただきたい。
これは同社に限ったことではなく、10年前に分譲されたマンションのほうが総じてレベルは高い。
大京「ザ・ライオンズたまプラーザ美しが丘」が竣工(2010/3/10)
フラッグシップにふさわしい大京「ザ・ライオンズ武蔵野」(2009/9/27)
「三井のリハウス」でもマンション管理適正評価表示スタート
マンション管理業協会と三井不動産リアルティは9月29日、同協会が運営する「マンション管理適正評価制度」における管理評価(★6段階表示)を通じて、同社が運営する個人向け不動産仲介事業「三井のリハウス」のマンションライブラリーに掲載を開始したと発表した。
今後は、同協会のマンション管理適正評価サイト(https://www.mansion-evaluationsystem.org/)の更新に応じて、「三井のリハウス」マンションライブラリー(https://www.rehouse.co.jp/mansionlibrary/)の掲載情報も定期的に更新していく。
マンション管理適正評価制度による★6段階表示は、東急リバブルが8月3日にスタートさせている。今回で2社目。
◇ ◆ ◇
同協会のサイトで検索した。10月4日現在、表示されているのは57件で、★5つが28件、★4つが20件、★3つが8件、★1つが1件で、★4つと5つが全体の84%を占めている。
課題もありそうだ。同協会のサイトで物件は検索できるが、両社のサイトには「マンション管理適正評価」の検索項目はないことだ(「三井のリハウス」には200項目を超える検索項目があるが)。例えば★5つの「東建ニューハイツ花小金井」。この物件名で両社のサイトで検索したが、売り物件がないためか、それとも両社とも仲介していないためかヒットしなかった。
ところが、Googleで「東建ニューハイツ花小金井」のワードを検索したら、東急リバブルのサイトが真っ先にヒットし、「現在、このマンションが注目されています!4,815回ページが閲覧されています」と表示された。
この課題を解消するには、同協会に掲載されている物件をクリックすると仲介している会社のサイトに飛ぶようにするか、各社が「マンション管理適正評価」の検索項目をつくるかどちらかだ。
それにしても「東建ニューハイツ花小金井」が東急リバブルのサイトで4,815回(いつからかは不明で、小生の記事もこれくらい閲覧されているのは珍しくないが)も閲覧されているとは、東急リバブルもGoogleも凄いではないか。
東急リバブル 「マンション管理適正評価制度(★の数)」評価掲載スタート(2022/8/3)
敷地南側は玉川上水 第1期は約30戸成約見込み 1低層のリスト「武蔵野御殿山」
「リストレジデンス武蔵野御殿山」
リストグループのリストデベロップメントが9月24日に分譲開始した「リストレジデンス武蔵野御殿山」を見学した。三鷹駅から徒歩6分の「武蔵野市御殿山」アドレスで、敷地の南側は御殿山通りを挟んで玉川上水という閑静な低層住宅街の一角。第1期供給34戸のうち30戸前後が契約見込みとかで、好調なスタートを切った。
物件は、JR・東京メトロ三鷹駅から徒歩6分、武蔵野市御殿山2丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する敷地面積約3,275㎡の3階建て全45戸(事業協力者住戸2戸含む)。専有面積は58.11~92.10㎡、9月24日に登録を締め切った第1期34戸の価格は8,090万~、坪単価は491万円。竣工予定は2023年7月上旬。デザイン監修はプランテック。設計・施工・監理は川口土木建築工業。販売代理は伊藤忠ハウジング。
物件パンフレットによると、1995年以降武蔵野市で供給されたマンションは137物件で、そのうち「御殿山」アドレスは6物件で、九年ぶりの供給という希少立地。従前は畑。現地周辺は低層住宅街。敷地は30m×100mくらいの南北に細長い形状で、敷地南側は、一方通行の御殿山通りを挟んで玉川上水隣接。「風の散歩道」は徒歩3分。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2550ミリ(1階)・2450ミリ(2・3階)、ディスポーザー、食洗機、ハンズグローエ水栓、フィオレストーンキッチン・洗面天板、良水工房など。
7月にモデルルームをオープンし、これまでの資料請求は1,734件で、来場者は259件。来場者の約6割は三鷹市、武蔵野市居住者。評価ポイント低層、井の頭公園まで徒歩8分、平置き駐車場18台など。9月24日に申し込みを締め切り、第1期34戸のうち30戸前後が成約の見込み。
敷地南側
「風の散歩道」(市のホームページから)
◇ ◆ ◇
土地は入札で取得したというが、よくぞ仕入れられたものだ。現地周辺は何度か歩いたことがある。絶好の住宅地だ。玉川上水はフェンスで囲われているので降りることができないのは残念だが、自然林がそのまま残されている。太宰治が入水自殺したのはもう少し下流の武蔵野市下連雀だ。当時は水量も豊かだったのだろう。
敷地形状が南北に細長いので、プランニングは難しいだろうとは思ったが、設備仕様レベルを上げて富裕層をターゲットにしたら坪単価は600万円を超えても不思議ではないと考えていた。坪500万円を切ったのは驚いた。(それでも三鷹駅圏最高値だが…駅北口徒歩2分の物件は坪500万円くらいだと聞いたが、これまた納得)
敷地の南側正面には樹高にして十数メートルはありそうな桜の巨木が植わっている。南側の住戸は75㎡の2スパンと83㎡、84㎡の全4スパンだが、小生が企画担当だったら、3スパン1戸100㎡にして2億円くらいで勝負する。売れると思うが、どうだろう。
現地
福岡・大濠公園に近い一等地で坪500万円超 大和ハウス「プレミスト大濠二丁目」
大和ハウス工業が福岡市の大濠公園に近い一等地・大濠2丁目で坪単価500万円超のマンション「プレミスト大濠二丁目」を分譲することが分かった。現段階で同社のホームページには公開されていないので、いつ分譲するのか、あるいは公開しないまま販売するのかは分からない。
物件は、福岡市空港線唐人町駅から徒歩6分、福岡市中央区大濠2丁目12区115番1(地番)の第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積約1,951㎡、10階建て全35戸。専有面積は82.33~148.03㎡、価格は未定だが、坪単価は500万円を突破する模様。竣工予定は2023年3月下旬。施工は松尾建設。
◇ ◆ ◇
このマンションについては今年3月、〝単価については触れない〟という条件付きでタカラレーベン「レーベン福岡天神 ONE TOWER」を取材したとき、同社マンション事業部 営業推進事業部 第1営業統括部 第1営業部1課長・松島勇一郎氏が「果たして大和ハウスさんはいくらの値を付けるか」と気にしていた。
タカラレーベンの坪単価には記者も仰天したのだが、大和ハウスの「プレミスト大濠二丁目」は、同社広報から「坪単価は500万円超」との回答があった。タカラレーベンをはるかにしのぐ。もちろん、九州地方の最高坪単価マンションになる。少なくとも最低価格は1億円を突破し、最高価格は3億円を超える可能性もある。現段階ではホームページに公開されていないので、クローズドのまま販売するのかもしれない。
この前は、坪単価が700万円超になる隈研吾氏が設計を担当した「プロスタイル札幌 宮の森」の記事を書いたばかりだ。いま地方、とくに札幌を中心とする北海道、福岡、沖縄を中心とする九州が元気だ。都内では、目をそむけたくなるような劣悪な住環境でも〝駅近〟などは坪単価は500万円を突破している。
それと比べれば、地方の垂涎の的の一等地のマンションが坪500万円超というのは結構なことだと小生は思う。昨年分譲の坪単価650万円の東京建物「ブリリア タワー堂島」から、潮目は完全に変わった。
福岡の最高峰 第1期100戸 圧倒的な人気 タカラレーベン50周年「福岡天神」(2022/3/15)
隈研吾氏が設計 坪700万円超でも好調スタート プロポライフ「札幌 宮の森」(2022/9/23)
〝どう見ても美しい〟大阪の市場を変える 東京建物「堂島」は坪単価650万円(2021/11/25)
東急不他「十条」1期1次は105戸(当初予定の約半分)坪単価は470万円か
「ザ・タワー十条」
業界関係者の間で話題になっている東急不動産・日鉄興和不動産の「ザ・タワー十条」578戸の第1期1次105戸の登録申し込みが9月23日から始まった。当初、第1期1次の販売戸数は分譲対象394戸の半分近い186戸とされていたが、その半数強に減少した。申し込み締め切りは10月2日で、3日に抽選が行われる。
物件は、JR十条駅から徒歩1分、北区上十条二丁目の商業地域(建ぺい率66%、容積率797%)に位置する39階建て全578戸(事業協力者住戸184戸含む)。第1期1次(105戸)の専有面積は58.23~127.37㎡、価格は8,290万~30,000万円(最多価格帯11,100万円台)。竣工予定は2024年9月末日。販売代理は東急リバブル。施工は前田建設工業。事業コンサルタントは日本設計。
現地は、住宅・商業・公益一体の複合開発「十条駅西口地区第一種市街地再開発事業」(地区面積約1.7ha)。2005年11月に十条駅西口地区まちづくり協議会が発足してから2012年10月の都市計画決定、2021年3月の着工を経て今回の分譲開始となった。両社は参加組合員として事業参画している。
1階〜4階の一部は商業・業務フロア、住戸は6階からで平均専有面積74.32㎡と広いのが特徴。今回の分譲対象は26階以上の高層階となっている。
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物件ホームページには基本性能・設備仕様レベルなどは公開されておらず、記者は見学していないのでいい加減なことは書かない。いいか悪いか、買うか買わないかは検討者が考えることだ。
ただ、坪単価にはびっくりした。最低価格の住戸が専有面積約58㎡の住戸であるとすれば坪470万円だし、最高価格住戸の専有面積が約127㎡であれば坪777万円だ。(比較にはならないが、今春に分譲開始され、3か月で完売した十条駅から徒歩4分の三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス十条」41戸の坪単価は353万円だった。地所レジ関係者はどう思っているのか、切歯扼腕しているのか)
建物の四方は開けており、下層階でも眺望が妨げられる要因は今のところなく、この26階の坪470万円が平均値になる可能性が高い。(個人的には最上階と思われる住戸はとても安いと思う。単価通りのラッキーセブンだ。どこにでもお金持ちはいる。坪1,000万円でも安いのではないか)。
だとすると、この坪470万円は周辺の今後予定されている周辺物件の値付けに大きな影響を与えるのは必至だ。さしずめ、同じような立地条件から競合しそうなのは、先に分譲開始された三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウス 戸越公園タワー」であり、住友不動産の各物件だ。中でも住友不動産は周辺エリア、あるいは単価的に同レベルと思われる大規模物件を続々供給する。以下の通りだ。
・住友不動産「シティタワーズ板橋大山」(ノースタワー88戸、サウスタワー239戸) 来年1月分譲予定。竣工は2024年7月上旬。
・住友不動産「シティタワー千住大橋」466戸(駅5分、今年11月分譲予定)。竣工予定は2025年4月中旬。
・住友不動産「シティタワー綾瀬」427戸(駅1分、来年1月分譲予定)。竣工は2024年12月中旬。
・住友不動産「シティテラス赤羽」438戸(駅7分、THE EAST300戸、THE WEST 138戸)。今秋から来年1月分譲予定。竣工予定は2024年12月。
・「赤羽一丁目第一地区第一種市街地再開発事業」(住友不動産が事業参画。開発準備組合が設立された段階)
・「上板橋駅南口駅前地区第一種市街地再開発事業」(住友不動産が事業参画する)
上記のうち「赤羽一丁目」と「上板橋」はあと2~3年先にならないと詳細は固まらないだろうが、「十条」によって価格を上方修正するのではないか(その逆もあり得ないわけではないが)。ほくそ笑んでいるかもしれない。
同じ北区では、企画力がある大和地所レジデンスが30周年記念プロジェクトとしてフラッグシップブランド〝グラン〟を冠した「ヴェレーナグラン北赤羽 マスタープレイス&マナープレイス」571戸(駅5分、マスタープレイス318戸、マナープレイス253戸)のエントリーを開始した。来春分譲開始予定で、竣工は2024年末から2025年初。概要には「工業地域」とあるので、価格を抑え、企画で勝負に出るのは間違いない。
また、着工したばかりで競合は微妙だが、板橋駅前では野村不動産と東日本旅客鉄道が事業参画している「板橋駅板橋口地区第一種市街地再開発事業」がある。
「十条」の影響はこれだけにとどまらない。再開発計画がたくさんある城東エリアだ。野村不動産が事業参画している「平井五丁目駅前地区第一種市街地再開発事業」(住宅は370戸、竣工予定は2024年度内)や三井不動産レジデンシャルと日鉄興和不動産が事業参画している「JR小岩駅北口地区第一種市街地再開発事業」(住宅は730戸、竣工予定は2027年度)にも影響を及ぼすことになる。街のポテンシャル、東京駅までの交通便を考えれば、「十条」には負けないと考えるのが妥当だ。坪単価は400万円をはるかに突破してもおかしくない。
参考までに、最近分譲された周辺物件と準都心部のマンションの記事を以下に紹介する。
反響3000件超 ランドスケープ抜群 三菱地所レジ他「板橋大山大楠ノ杜」(2021/12/11)
三菱地所レジ「十条」41戸は坪353万円3か月で完売/台風の目「ザ・タワー十条」(2022/8/1)
南北・銀座戦争か? 北の「十条」と競合あるか 三菱地所レジ他「戸越公園」(2022/9/10)
エリアの最高値更新へ 三菱地所レジ コンパクト&ファミリー「赤羽」(2021/9/17)
第1期は全227戸の約6割の135戸 大和ハウス他「王子神谷」圧倒的な人気(2021/12/3)
総武線(亀戸~小岩)の開発に拍車 再開発中心に5000戸超 「亀戸」の上値圧力も(2021/9/1)
隈研吾氏が設計 坪700万円超でも好調スタート プロポライフ「札幌 宮の森」
「プロスタイル札幌 宮の森」(写真は全てリリース、物件ホームページ)
プロポライフグループのログスイート(LogSuite)とプロスタイル(Prostyle)は9月21日、隈研吾氏が設計を担当した「プロスタイル札幌 宮の森」が3年3か月の工期を経て8月31日に竣工。同時に、棟内モデルルームと現地事務所を設け、販売を開始したと発表した。第一種低層住居専用地域の高級住宅地に立地する全20戸の傾斜地マンションで、坪単価は市内のこれまでの記録を大幅に更新する700万円超ながら、すでに申し込みが5件入ったという。
物件は、札幌市営地下鉄東西線円山公園駅から車で約7分、札幌市中央区宮の森4 条の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率60%)に位置する敷地面積約4,413㎡、11階建て(建基法では地下2階地上3階建)延べ床面積約4,997㎡(容積対象面積約2,634㎡)の全20戸。専有面積は124.26~176.65㎡(他にテラス26.78~122.75㎡、プライベートガーデン17.58~105.87㎡など)、価格は18,800万~40,000万円(最多価格帯26,000万円台3戸)、坪単価は700万円強。設計・監修は隈研吾建築都市設計事務所。施工は砂子組。
現地は、「例えるならば渋谷・松濤、横浜・山手町」「札幌の街を一望できる眺望と残された自然の借景を、全ての住戸に取り入れています。特徴である天然木を贅沢に用いたデザインで、自然に溶け込んだ斬新な集合住宅」(リリース)というのが特徴。
建物は、モノレール型のエレベーターを採用、外気に面する梁・壁の室内側に約55㎜厚、最下階住戸の床下に約35㎜~約50㎜厚の結露発生を抑制する断熱材を施工。主な基本性能・設備仕様は、IHヒーター、食洗機、天然無垢材建具・家具・床仕上げ、デュポン・コーリアン製天板、DURAVIT社製スタルク浴槽、プライベートサウナ、高断熱トリプルガラスなど。
隈氏は、物件ホームページのインタビューで「今回僕自身で現地に足を運び、非常に魅力的な敷地だと感じました。丘を生かした建築を構想していました。それを実際に成立させるためにはかなりの時間をかけたプロジェクトでしたね(設計期間は3年半、施工期間は3年3か月)。恐らく今後、そう容易く誰もがここまでの建築に取りくむチャンスがあるわけではないと思う」「事業主のProstyle社とLogSuite社は、天然無垢材を必ず採用することにこだわった会社です。これに共鳴した部分が大きくあります」「コンクリートを流す枠に無垢の丸太を使うことは大変稀で、技術としても非常に難しいものです。木を自然な形で使用できるこの丸太の残存型枠は、一般的な都会型のマンションではできない、今回ならではの挑戦でした」などと語っている。
現地の販売担当者は「数か月で完売できるのではないか」と話していた。
外壁は北海道産のスギ
エントランス
◇ ◆ ◇
このマンションは、不動産流通研究所のWeb「R.E.port」が9月22日に報じるまで全く知らなかった。隈氏が設計したのに驚いたのだが、それ以上に仰天したのは価格だった。最低でも坪単価は500万円を突破するではないか。現在の札幌市内の最高値マンションは、大和ハウス「ONE 札幌ステーションタワー」の415万円のはずだが、それを一気に抜き去った。(抜かれた大和ハウスは福岡・大濠公園の近くでこれまでの市内の最高単価をはるかに超えるマンションを計画していると聞く)
早速、ログスイートとプロスタイル、物件ホームページで確認した。両社は持ち株会社プロポライフグループの会社で、同社グループは創業15年間で約2,000件のリノベーションマンションの実績があるとしている。しかも全てスケルトンリノベを施し、二重床・二重天井にし、床から建具・家具、天井に至るまで無垢材仕上げにしているとあった。扱う物件も都心部のアッパーミドル・富裕層をターゲットにした億ションが中心だった。
これに合点がいった。床や建具・家具は天然木がいいのに決まっている。バブル期は最高級のマホガニー、チーク、紫檀・黒檀などが当たり前だったし、数年前まではモリモトが突板仕上げなどで他社との差別化を図って成功していた。分譲戸建てではポラスグループが「木」にこだわっており、構造材の現し、挽板仕上げが多い。
話を元に戻す。「プロスタイル札幌 宮の森」の物件概要には、建ぺい率40%、容積率60%(田園調布、山手町、芦屋市・六麓荘も40%、80%)とあるではないか。設計に3年半、施工に3年3か月かけたことでも法規制をクリアするのに苦労したであろうことは素人の記者でも分かる。傾斜地であることを巧みに生かし、建基法の地盤面規定を利用して実現したのだろう。
傾斜地マンションといえば、〝傾斜の魔術師〟と呼ばれた故・井出共治氏設計の「ヒルサイド久末」(清水建設施工)「ヒルサイドテラス平山城址」(同)「ゆりが丘ヴィレッジ」(鹿島建設施工)を思い出す。他では、竹中工務店施工の「テラス寺尾台」もいい物件だった(安藤忠雄氏の「六甲」は見ていない)。「プロスタイル札幌 宮の森」もまた、わが国の代表的な傾斜地マンションとして歴史に刻まれるのだろうか。近ければ飛んでいきたい。以下に隈氏が手掛けたマンションを紹介する。
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「神楽坂『赤城の杜』プロジェクト」完成 三井不レジが見学会(2010/8/20)
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