長期優良、ZEH、CASBEE…レベル高いはず 住友不&長谷工「多摩川住宅」着工
「多摩川住宅ホ号棟マンション建替事業」
住友不動産と長谷工コーポレーションは9月2日、参加組合員として事業参画している「多摩川住宅ホ号棟マンション建替事業」の工事を8月5日に着工したと発表した。事業は国土交通省「マンション長寿命化等モデル事業」(令和3年度)に採択されている。
「多摩川住宅」は、1968年竣工の東京都住宅供給公社初の大規模団地。東京都調布市と狛江市にまたがる約48.9ha(調布市約32.9ha・狛江市約16.0ha)のエリアに、賃貸住宅(約1,800戸)と分譲住宅(約2,100戸)の約3,900戸のほか商業施設、幼稚園、小・中学校などの生活利便施設が整備された。当時、モデル団地として話題になった。
建物の老朽化が進んだことから2007年に「多摩川住宅まちづくり協議会」が結成された。両社は事業協力者として2015年11月に選定され、2020年8月、団地一括建替え決議が成立。2021年4月に調布市の認可を受け、「多摩川住宅ホ号棟マンション建替組合」が設立された。
「ホ号棟」は5階建て380戸(11棟)からなり、地区計画により「住宅再生A地区」として建ぺい率は26%から40%へ、容積率は60%から160%にそれぞれ緩和されたことから905戸(7棟)の建設が可能になった。
特徴は、長期優良住宅認定、CASBEE建築(新築)、ZEHの認証申請予定など。既存のケヤキの巨木の保全など緑環境にも配慮する。
地区計画では、このほか住宅福祉複合地区、住宅再生促進地区、住宅公益複合地区として再生・整備される。
物件は、京王線調布駅からバス12・13分、徒歩4~7分(小田急線狛江駅もほぼ同様)、調布市染地三丁目に位置する敷地面積約37,638㎡、12階建て全905戸(非分譲住戸245戸含む)。専有面積は30.68~87.01㎡。完成予定は2024年11月下旬(I工区)。設計・施工は長谷工コーポレーション。
空撮
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現地は、商品企画が素晴らしかった都公社「ソシア多摩川」を見学して以来30年以上も訪れていないが、緑環境はその後も年々成長しているに違いない。他の地区計画エリアの再生がどうなるか未定の部分もあるが、新しい街に生まれ変わる。多摩川にも近く、住環境としては最高だ。調布駅、狛江駅へのバス便も豊富だ。長期優良、CASBEE(Sになるのか)、ZEHも取得するようだからレベルの高いマンションが期待できる。
着工したばかりなので価格はいくらになるか分からないが、同じ長谷工コーポレーション施工の東京建物他「ブリリアシティ石神井公園アトラス」(844戸)は坪270万円くらいで販売好調のようだ。「多摩川住宅」も負けない。このままの市況が継続すれば単価は最低坪260万円、アッパーで坪280万円くらいではないかと予想する。課題は、他の沿線と比べ割り負けしている京王線の魅力をアピールできるかだ(石神井公園は知っていても、多摩川住宅を知っている人は地元の人くらいだろう)。企画・訴求次第で爆発的な人気を呼ぶ可能性もあるとみた。
「ホ」について。惚れたの「ホ」ではない。イロハニホヘト(色は匂えど)だ。昔の物件名は一郎、次郎、三郎…末男、トメ子と一緒。同じエリアで分譲すると第1、第2、第3…などと付けた。某デベロッパーなどは20以上もある。
持家の着工減続く 16年ぶりに分譲住宅が逆転する可能性高まる
国土交通省は8月31日、令和4年7月の新設住宅着工動向を発表。総戸数は前年同月比5.4%減の72,981戸で、3か月連続の減少。内訳は、持家が22,406戸(前年同月比14.1%減、8か月連続の減少)、貸家が29,668戸(同1.5%増、17か月連続の増加)、分譲住宅が20,612戸(同4.0%減、先月の増加から再びの減少)となった。
分譲住宅の内訳は、マンションが8,053戸(同11.7%減、先月の増加から再びの減少)、一戸建住宅が12,461戸(同1.8%増、15か月連続の増加)。分譲マンションは首都圏、近畿圏、中部圏とも2ケタ減となったが、その他は25.2%増と大幅に増加した。
首都圏マンションは3,532戸(同12.8%減)で3か月連続減。都県別では東京都が2,291戸(同-26.5%減)、神奈川県が824戸(同45.1%増)、埼玉県が32戸(同83.5%減)、千葉県が385戸(同127.8%増)。1~7月では、首都圏全体は29,149戸(同10.9%)で、東京都が24.7%減、神奈川県が5.4%減となり、埼玉県が17.6%増、千葉県が49.0%増となっている。
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持家の着工減が止まらない。1~7月では145,571戸(前年同期比9.0%減)となっており、分譲住宅の148,857戸(同3.7%増)を下回っている。このまま推移すれば、2006年(平成18年)の持家358,519戸、分譲住宅379,181戸以来16年ぶりに分譲住宅が持家を上回る可能性が高まった。
旭化成不レジ「アトラスタワー五反田」に反響2,700組 角住戸・ワイドスパンが特徴
「アトラスタワー五反田」完成予想図
旭化成不動産レジデンスは9月1日、近く分譲する30階建てタワーマンション「アトラスタワー五反田」(全213戸)が4月27日にサイト開設以来、これまで2,700組超の問い合わせがあると発表した。
物件は、JR山手線五反田駅から徒歩5分(西口)、品川区西五反田二丁目の商業地域に位置する30階建て全213戸(非分譲住戸11戸、広告対象外住戸8戸含む)。専有面積は30.12~126.94㎡、価格は未定(記者は坪単価450万円前後と予想)。竣工予定は2024年3月中旬。意匠・監理はNEXT ARCHITECT&ASSOCIATES、構造・電気・設備・監理・施工は西松建設。
現地は目黒川沿い。日本独自の空間文化を用いることで築地塀と門と庭に囲まれたタワーに緑、水、石の潤いと庭を用いて静寂の空間を創造。3階共用部には蔦屋書店の運営サービスを導入し、約3,000冊の書籍や雑誌を備えたライブラリーラウンジを設置、
住戸プランは角住戸やワイドスパン中心の設計によって開口面を増やし、採光性を向上。専有部の天井高は2,550~2,700mm。28~30階の上層階はプレミアム住戸とし、30階は住戸付設駐車場付きとする。
エントランス
ライブラリーラウンジ
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現地は確認済み。立地はいい。見学取材を申し込む予定で、実現したら改めて紹介したい。坪単価は650万円前後と予想したが、競合しそうな野村不動産「プラウドタワー目黒MARC」が坪650万円なので、それより高くなることはないと見たがどうだろう。「目黒」同様、標準階は1フロア6戸で、最低9365ミリのワイドスパンがいい。
野村不動産 マンションにリンナイの「乾太くん」採用 洗濯家事の負担軽減
野村不動産は9月1日、マンションの商品企画提案として2007年から採用している「LUXMORE(ラクモア)」の新たな商品として「ガス衣類乾燥機」を設置した住空間デザイン「キャンドライフ(CAND‐LIFE)」を開発、「プラウド横浜岡野一丁目(神奈川県横浜市)」「(仮称)白金長者丸プロジェクト」の一部住戸に設置すると発表した。
「キャンドライフ」は、これまでマンションへの設置が難しいとされてきた「ガス衣類乾燥機」を設置し、高温乾燥による洗濯家事の所要時間と手間を削減するとともに、家事動線をより効率化した新たな住空間を提案する。
「ガス衣類乾燥機」はリンナイの「乾太くん」で、5㎏の洗濯物を約52分、8㎏の洗濯物を約80分で乾燥する(電気式の約1/3の時間)。
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以前は洗濯乾燥機付きマンションは賃貸を中心によく供給されていたが、最近は見かけなくなった。記者は昨年、リンナイのヒット商品「乾太くん」を採用したポラスの戸建て「ブルックスクエア小竹向原」とマンション「ルピアコート越谷」、積水ハウス「グランドメゾン白金高輪パークフロント」で見学している。「白金高輪」は有償だった。
駅4分・魚籃坂・公園隣接 港区初のZEH 積水ハウス「白金高輪」人気必至(2021/9/13)
全戸に「乾太くん」、ファミリーは冷凍庫付き ポラス中央住宅「越谷」企画ヒット(2021/9/9)
ポラス ブルックリンスタイルの3階建て「小竹向原」 デザイン性、仕様レベル高い(2021/2/27)
マンションの適正な管理を確保するための政策要望 マンション管理業協会
マンション管理業協会(理事長:高松茂・三井不動産レジデンシャルサービス会長)は8月29日、「マンションの適正な管理を確保するための方策に関する要望」を国土交通省に提出したと発表した。高経年マンションの増加と居住者の高年齢化に伴う修繕費・維持管理負担増を軽減するのが目的。要望は次の通り。
【I】マンションの適正な管理を実現するための方策
1.適正な管理に取り組むマンションに係る優遇措置
(1)税制優遇措置
【要望内容】
・管理計画認定マンションや当協会で行うマンション管理適正評価制度において一定以上の評価を得たマンションなどの、適正な管理に取り組むマンションに対するインセンティブとして、対象区分所有者の固定資産税の減税、及び対象中古物件購入時において、所得税の控除、固定資産税・贈与税の減税を適用する制度の創設を検討いただきたい。
(2)住宅金融支援機構によるマンション共用部分リォーム融資(高齢者向け返済特例)及び部分的バリアフリー工事やヒートショック対策工事を行う際のリフォーム融資(高齢者向け返済特例)における優遇措置
【要望内容】
・認定制度の認定、及び当協会で行う評価制度において管理状況について一定基準をクリアし、適正な管理を実施するマンションへの優遇措置として、住宅金融支援機構によるマンション共用部分リフォーム融資(高齢者向け返済特例)の金利について、マンションすまい・る債積立管理組合に適用される金利と同程度に優遇し、マンションすまい・る債積立管理組合は、更なる金利の優遇を検討いただきたい。
なお、同融資の保証料については、減免もしくは免除、または(公財)マンション管理センター指定の「特定管理組合」への適用による保証料の割引を検討いただきたい。
・また、住宅金融支援機構によるマンションの専有部分において部分的バリアフリー工事やヒートショック対策工事を行う際のリフォーム融資(高齢者向け返済特例)の金利優遇や保証料の減免もしくは免除を検討いただきたい。
・上記2つの融資について、併用して融資を利用できる仕組みをご検討いただきたい。
【II】適正な管理組合運営を担保するための法関連の見直しに関する要望
1.マンション標準管理委託契約書の改訂について
【要望内容】
・マンション標準管理委託契約書の改訂を検討いただきたい。
マンション管理適正評価「★5つ」目指す BELCA賞受賞の東急不「我孫子ビレジ」
「我孫子ビレジ」
東急不動産は8月26日、同社が1977年に開発し、東急コミュニティーが約45年にわたり管理・運営を受託している中高層マンション「我孫子ビレジ」の記者見学会を行った。今年のロングライフビル推進協会「第31回BELCA(Building and Equipment Long-life Cycle Association)賞 ロングライフ部門」を受賞したのを受け、長寿命化の取り組みなどを紹介するため。
物件は、JR我孫子駅から徒歩15分、我孫子市つくし野3丁目に位置する敷地面積約42ha、中高層マンションと戸建てがそれぞれ約1,000戸のほか小・中学校、市役所出張所、銀行、ショッピングセンターなどからなる複合開発のマンション棟。居住棟はSRC/PC部材造の11階建て・14階建て2棟と、PC造5階建て17棟の合計20棟994戸。間取りは3LDK(78㎡)~4LDK(104㎡)。竣工は19777年(昭和52年)。設計監理は東急不動産。実施設計は東急設計コンサルタント。施工は東急プレハブ。管理は東急コュニティー。
見学会の冒頭、管理組合法人専務理事・田中裕実氏は概要、維持管理、長寿命化の取り組みなどについて次のように説明した。
計画にあたっては、公団型住宅から一線を画し、最先端の技術・発想で良好な住環境を作りたいという同社若手設計者の意気込みに会社が応え、ヨーロッパの建築物視察成果を取り入れ、工事を担当する東急プレハブを設立し、SRCとPCの混構造としたのが特徴。土地が持っている「環境色彩」をデザインに導入したわが国初の事例でもある。
専有面積は1戸78㎡とし、スラブ厚は約15cm、ふところ厚15cmの二重床。スラブと床の空間に給水管、給湯管、暖房管、ガス管、生活排水管を設置。各室に暖房用パネルヒータが設置されている。
建物の耐震性については、旧耐震ではあるが、アスベストは含まれていないことを確認済み。また、団地在住の構造設計一級建築士が2006年に構造計算書と評定報告を精査した結果、震度6強の地震に対し、崩壊や倒壊に至るには十分な余裕があることを確認。中層棟は現行耐震基準を満たす。
省エネ改修では、2011年に住棟セントラル式給湯設備をボイラー技士24時間常駐から無人化とし、様々な手法を用いて電力消費を76%、燃料消費を38%削減。
2012年には居住棟の全サッシ窓を省エネ改修(Low-E複層ガラス化)するとともに、受水槽・加圧給水設備の改修を行い、消費電力を58%削減。2013年には玄関扉も一新。照明器具のLED化も実施済み。このほか、ライフラインの改修・増強も行っている。
外構の維持管理では、「緑環境は団地の誇り」という居住者の共通認識のもと、提供公園の管理受託、小公園の整備などを行っている。
長期修繕計画では、建て替えずに100年マンションを目指すため長期修繕36か年計画を策定。現行修繕積立金の変更・借入金なしに、36年間黒字を維持することを決議。マンション管理適正化法認定基準を満たす。建物の維持保全には専門知識・経験が必要であることから、専任理事制度を設け、永続的な維持保全を図るため「営繕タスクフォース」を設置している。
専有部の改修では、細則の改定を行い、居住者の希望に対応。現在、リフォーム申請件数は10~20件/年。大半はフローリングだが、間仕切り壁撤去、キッチン位置変更、WIC設置も多い。高層棟はラーメン構造なのでスケルトン改装が可能(壁式構造の中層棟は制約あり)。
居住者の人口構成は現在70~90代が半数近くで、平均年齢は58歳。入居率は95%。管理費などの滞納率は0.4%。
これら長寿命化の取り組みをアピールするため「第31回BELCA・ロングライフ部門」(選考委員長・三井所清典氏)に応募し、①時代の先端を行く高品位な設計・ 建設②基本構造を維持・保全③省エネ改修を実施④今後の長期維持保全計画-が高く評価され受賞した。同社の物件が同賞ロングライフ部門に受賞するのは、1999年(平成3年)の第1回の「東急ドエル桜台コートビレジ」に次いで2回目。第1回の同部門の受賞作はこのほか「世界平和記念聖堂」「服部時計店」(和光ビル)「パレスサイド・ビルディング」(毎日ビルディングに名称変更)「丸ノ内ビルヂング」(2002年に「丸の内ビルディング」に建て替え)だった。
過去、BELCA賞を受賞した集合住宅は6件で、同社の2物件のほかは「コープオリンピア」「大倉山ハイム3号棟~8号棟住宅」「ヒルサイドテラス1期~5期」「たまむすびテラス」。
受水槽ポンプ室(停電時でも7時間給水が可能)
中層棟
田中氏
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我孫子を取材するのは、5年前の東レ建設・総合地所「The FORESIS(ザ・フォレシス)」以来5年ぶりだ。この物件の記事でも書いたが、昭和50~60年代の前半にかけて、JR我孫子駅を中心に常磐線、成田線では大量のマンション・戸建てが供給され、活況を呈した。多いときは年間1,000戸超が販売された。
バブル崩壊後も、駅北口徒歩圏では2000年竣工の「エールの丘」(482戸)を皮切りに「シティア」(851戸)「グラン・レジデンス」(731戸)「アクア・レジデンス」(424戸)の4棟約2,500戸のほか、この20年間くらいの間に約2,760戸が分譲されている。総じてレベルは高い。
「我孫子ビレジ」は、同社が昭和56に大規模開発「東急ビレジ」の集大成として「柏ビレジ」を分譲開始した際、当時常務の故・安芸哲郎氏(元東急不動産社長-会長)が熱っぽく語ったのを聞いている。その後、他のマンションや戸建てを見学したときにタクシーの中から眺めたことはあるが、敷地内に入ったのは今回が初めてだった。
取材して、こんなに素晴らしい団地が、しかも昭和52年に建設されていたのに驚嘆した。昭和50年代のマンションといえば、3LDKは18坪(60㎡)が主流で、20坪(66㎡)もあれば〝広めの3LDK〟という宣伝文句が通用した時代だ。そんな頃に、前段で紹介した高性能の中高層住宅にチャレンジした同社の進取の精神は刮目に値する。
そのDNAは居住者に引き継がれている。ただ〝100年マンション〟を目指すための課題も見えてきた。緑環境は申し分ないどころか成長段階だ。敷地内にはシンボルツリーになりそうなメタセコイアの高木は30本くらい植わっていた。シラカシなどの常緑樹も多い。井戸水を利用した遊水路もある。
国土交通省「マンション管理計画認定」を取得し、マンション管理業協会の「マンション管理適正化評価制度」への登録を検討中で、田中氏は満点の「★5つ」を獲得できるのではないかと話した。これらは、中古市場で適正な評価を得るに違いない。大きな武器になる。
問題はソフトだ。中古市場での取引額は坪38万円くらいだと業界紙記者から聞いた。これは〝不当〟に安いと思う。緑環境や居住性能の価値の見える化は必須要件で、先にも書いた同駅北側にある徒歩10分圏内の約2,760戸に負けない戦略を構築する必要があるのではないか。田中氏は若者家族向けにWEBなどで情報を発信していくと話したが、管理組合の活動だけでは限界がある。行政や東急リバブル、東急コミュニティーなどの支援が欠かせない。
そして、同社にはかつて全国の街づくりの見本になった〝街づくりの東急〟から〝団地再生の東急〟としてベンチマークとなるよう力を注いでほしい。
明治大学・園田眞理子教授は、同社も参加した一昨年の「郊外住宅地フォーラム」で「(劣勢の郊外住宅地は)逆転満塁ホームランを打つ可能性がある」と語った。その機は熟していると記者も思う。「東急ビレジ」にはその土壌がある。人材の宝庫ではないか。
このコロナ禍でライフスタイルもワークスタイルも劇的に変化している。「人」「地域」「コミュニティー」「多様性」「SDGs」などのキーワードは「団地再生」と極めて親和性が高い。
高層棟はスキップフロア・両面バルコニーを採用
樹形が美しいネタセコイア
遊歩道(右には井戸水による遊水路)
提供公園(維持管理は市から管理組合が受託)
45分も時間超過Zoomオンライン「郊外住宅地フォーラム」に参加者400人(2020/6/6)
もはや価格の問題ではない 東レ建設・総合地所 我孫子で9年ぶりマンション供給(2017/11/16)
「安芸哲郎お別れの会」に1700名が参会(2007/3/14)
金町駅前に40階建て約900戸のタワマン 三菱地所・地所レジ・三井不レジ 再開発認可
「東金町一丁目西地区第一種市街地再開発事業」
三菱地所、三菱地所レジデンス、三井不動産レジデンシャルの3社は8月24日、事業参画しているJR常磐線金町駅前の再開発事業「東金町一丁目西地区第一種市街地再開発事業」の権利変換計画が東京都の認可を受けたと発表した。
プロジェクトは、JR金町駅北口に位置する約3.0haのエリアで、40階建て超高層マンション(約900戸)を整備するほか、低層部に商業施設、区民事務所、バンケットホールなどの公益施設を計画。低層部の屋上には自動車教習所を再整備する予定。今年10月に第1期工事に着手し、全体竣工は2030年度の予定。
完成予想図
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金町駅周辺では、2009年竣工のコスモスイニシア「ヴィナシス金町タワーレジデンス」(476戸)を皮切りに大成有楽不動産「オーベル金町レジデンス」(119戸)、野村不動産「プラウドシティ金町ガーデン」(421戸)、住友不動産「シティテラス金町」(620戸)、同「シティタワー金町」(840戸)、野村不動産「プラウドタワー金町」(190戸)などがこれまで分譲されている。十年余でざっと6物件2,700戸だ。一つの駅圏でこれほど大量供給されたところは武蔵小杉、所沢、新浦安、品川、豊洲、みなとみらい、多摩センター…などあるが、「金町」もその一つか。
価格もうなぎ上りだ。当初は坪単価は200万円くらいだったのが、今では坪350万円だ。今回の再開発タワーマンションは〝もうはまだなり〟-もっと高くなるのか。街並みは理科大キャンパスが完成したころから一変している。
竹中施工で公園・大学に隣接 住友不動産「シティタワー金町」(2014/9/1)
大成有楽不動産 「金町」エリアで2物件224戸 単価は割安感あり(2014/6/24)
入居者の声を商品企画に生かした 野村不動産「プラウドシティ金町」(2008/11/25)
「1人10色使える」ミレニアル世代のニーズに対応 三井不レジの賃貸「門前仲町」
「パークアクシス門前仲町テラス」
三井不動産レジデンシャルは8月23日、入居者のライフスタイルやワークスタイルなど目的に合わせて利用できる「Mixed PLACE」をコンセプトにした賃貸マンション「パークアクシス門前仲町テラス」のメディア向け竣工見学会を行った。門前仲町駅から徒歩10分の全189戸で、1階に約200㎡の共用施設を、屋上には約55㎡の屋上テラスをそれぞれ設置しているのが特徴。
物件は、東京メトロ東西線門前仲町駅から徒歩10分、江東区古石場二丁目に位置する7階建て全189戸。専用面積は25.00~40.75㎡、(1R~2DK)、月額賃料は11.4万円(坪賃料1.5万円)~20.9万円(同1.7万円。設計・施工は川口土木建築工業。竣工は2022年7月29日。入居開始は8月25日。募集状況は好調という。
「Mixed PLACE」は、IT技術の進化やデジタル化、新型コロナ禍による〝家ナカ時間〟が増加したことで、ライフスタイル、ワークスタイルが多様化する一方、プライベート(自宅)と仕事(職場)の垣根が低くなり、オン・オフの切り替えや運動不足などの課題が浮き彫りになってきていることに対応するもので、「住まう場としての 1st PLACE」、「働く場としての 2nd PLACE」、「くつろいだり、リフレッシュしたりす場としての 3rd PLACE」の機能を融合させたのが特徴。屋上には約55㎡の屋上テラスを設置し、低中木や芝生など緑を配している。
1階の約200㎡には、共用施設として①リラックスゾーン②コンセントレーションゾーン③アクティブゾーン④リフレッシュゾーン-の4つのゾーンを設け、用途や気分に応じて機能や空間を利用できる環境を整えている。
見学会で同社賃貸住宅事業部 事業グループ室長・神谷正樹氏は、「『Mixed PLACE』は、主な賃貸入居者層である20~30代のミレニアル世代の多様なライフスタイル、ワークスタイルに応えられる商品企画としてコロナ前から検討してきた。1st PLASE、2nd PLASE、3rd PLASEすべてを揃えた。十人十色どころか1人10色使えるものにした」などと語った。
同社はまた、同様のコンセプトの門前仲町駅北口から徒歩6分、江東区役所に近い12階建て「パークアクシス東陽町レジデンス」(250戸)も8月31日に竣工させる。専用面積は25.19~50.33㎡。設計・施工は植木組。
共用部分
共用部分
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賃貸マンションはよく分からないのだが、分譲マンションと同様、大規模物件は共用部分を充実させることがテーマになっているようだ。この前見学した同社の「パークアクシス錦糸町スタイルズ」もそうだったが、書棚には約130冊の書籍が備えられていた。今後も毎月10~15冊増やしていくのだそうだ。月に10冊読むとして、過不足ない冊数だ。
芝生や低中木が植えられているスペースには出られず、飲酒・喫煙が不可なのは残念だが、屋上テラスもなかなかいい。
月額賃料は高いような気がしたが、駅から現地までの途中にある大和地所レジデンス「ヴェレーナグラン門前仲町」(75戸)は期間72年の定期借地権付きで坪単価は410万円。それでもよく売れているのだから、駅から徒歩10分の賃貸で坪賃料1.5万円というのは相場なのか。
もう一つの「パークアクシス東陽町レジデンス」は駅に近く、中心市街地なので分譲にしたらよく売れるのではないかと神谷氏に聞いたら、「敷地形状がやや不整形で分譲には不向き」とのことだった。
募集状況は、何をもって「好調」なのかよく分からないが、知らないことは聞かないことだ。文字通り受け取ることにした。
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屋上テラス
広尾駅近の定借「南麻布」/聖心女子大が目の前の「広尾」販売へ 三菱地所レジ
「ザ・パークハウス南麻布」
三菱地所レジデンスは8月22日、期間50年の定期借地権付きマンション「ザ・パークハウス南麻布」のメディア向けプロジェクト発表会を開催した。日比谷線広尾駅から徒歩2分の10階建て全26戸で、2階住戸の階高を標準階の約1.5倍の4.5mにした「Class1.5プラン」を採用しているのが特徴。
物件は、東京メトロ日比谷線広尾駅(3番出口)から徒歩2分、港区南麻布5丁目の第一種住居地域(建ぺい率70%、容積率400%)、絶対高さ35m高度地区に位置する敷地面積約414 ㎡の10階建て全26戸。期間50年の一般定期借地権付きで、専有面積は43.84~93.00㎡、価格は未定。完成予定は2023年12月上旬。施工は森本組。販売開始予定は10月下旬。これまでに1,400件の反響を集めている。
現地は外苑西通りに接道。敷地は宗教法人の所有地。対面は広尾学園。7階以上からは有栖川宮公園が望める立地。主な基本性能・設備仕様は二重床・二重天井、標準階高約3m、ディスポーザー、食洗機、御影石・クオーツストーンキッチンカウンター(選択制)、グローエ水栓など。
最終的なプランは確定していないようだが、2階の約60㎡の住戸の階高を約4.5m確保した「Class1.5プラン」が特徴の一つ。この階高を利用した吹き抜け空間のLDKを外苑西通り側に設置し、居室の下段は収納スペースとし、建築基準法92条の規定により専有面積に含まれない天井高1.4m以下のロフトを玄関・土間スペースの上部に設けている。
発表会で同社執行役員パートナー事業部長・林祐輔氏は「2階住戸の階高を約4.5mのスキップフロアとし、LDKは吹き抜け空間、居室の下には収納、ロフト付きとするなど多様なライフスタイルに応える新しい住まい心地を提案した」とあいさつ。
また、同社建築マネジメント部主任・上原那奈氏は「最近の地価・建築費の上昇などでマンションの専有面積圧縮が進み、1970年代に流行した田の字型プランが主流になっているが、デベロッパーの役割として(商品企画などを)進化させる必要があると考え、ワーキンググループを立ち上げ、今回のプランを提案した。三菱地所ホームとも連携して専有面積に算入されないロフトを採用した」と話した。
発表会が行われたのはリニューアル工事が完了した大手町ビル1階の「大手町ギャラリー」で、今回のマンションのほか「ザ・パークハウス広尾」「ザ・パークハウス自由が丘フロント」など都心物件の販売を行っていく。
「Class1.5プラン」イメージ図(手前がLDK。左端の階段がロフトに続く。その左隣のドアの奥が土間・玄関。右上が居室(広さは4畳大か)、右下が収納。イメージ図ではよく分からないが、右端のキッチンの奥に居室に上がる階段がある)
「Class1.5プラン」
「Class1.5プラン」洋室
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まず、価格について。同社は「価格は未定」としているが、記者は立地条件、敷地形状などから総合的に判断して坪600万円~650万円が妥当と判断した。(2007年に分譲された同社と三井不動産の期間50年の定借マンション「広尾ガーデンフォレスト」670戸は坪533万円だったが、物が違う)
外れたらごめんなさいという他ないのだが、今回の発表会で嬉しかったのは、上段で紹介したように、上原氏が最近のマンションの質の退行に言及したことだ。記者も同感だ。最近の間取りプランは40年も50年も昔に逆戻りしている。今回の「Class1.5プラン」は絶対高さ規制35mと関係がありそうだが、ユーザーに支持されるはずだ。コンセプトルームもよくできていると思う。
ただ、この種のプラン提案は皆無ではない。最近では今年3月に竣工した大和地所レジデンス「ヴェレーナグラン赤羽北フロント」があるし、ヒューマンランドもかつて分譲したことがある。一時期は「クロス・メゾネット」も流行った。
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記者は、「南麻布」よりもむしろ「ザ・パークハウス広尾」に注目している。広尾散歩通りから一歩入った6階建て22戸という小さな規模だが、道路を挟んだ対面が聖心女子大のキャンパスという立地が最高にいい。キャンパス内の森を眺められるのは上層階に限られるかもしれないが、住むなら「南麻布」よりこちらだ。坪単価800万円でどうだろう。東大赤門を睥睨する野村不動産「プラウドタワー本郷東大前」の記事も添付したので比較していただきたい。
最後に同業他社とメディアに一言。この日、発表会に参加した報道関係者は約20人とか。先日のあるデベロッパーの極めて優れたマンション見学会の参加者は小生を含めて4人だった。コロナ禍でもきちんと情報を発信する三菱地所はさすがだが、同業他社もアピールできる案件はたくさんあるはずだ。メディアもメディアだ。声が掛からなければ取材しない、しかも大手だけ。流れに身を任す病葉と一緒だ。これでは刻々と変わる市場動向や消費動向を把握することなどできない。事大主義も甚だしいといったら失礼か。
現地
以上3点は取材の帰りに立ち寄った最高に素晴らしい「Marunouchi Street Park 2022 Summer」
広尾駅前のマンション建て替え サンウッド「広尾」販売順調(2019/4/2)
究極の億ション 三井&三菱 「広尾ガーデンフォレスト」(2007/2/23)
天井高3m超、20畳大の床下収納など 大和地所レジ「赤羽北フロント」竣工見学会(2022/3/24)
天晴れ!大和地所レジ 仕入れの妙 商品企画にも生かす「赤羽北フロント」(2020/9/9)
外構・植栽が素晴らしい積水ハウス・相鉄不 低層の 「グランドメゾン武蔵野」(2009/1/16)
東大を睥睨する野村不動産「プラウドタワー本郷東大前」(2010/6/10)
丸の内仲通り ウォーカブルな街づくり「Marunouchi Street Park 2022 Summer」(25022/8/3)
際立つ設備仕様の高さ 激戦地で早期完売 大和地所レジ「ヴェレーナグラン湘南藤沢」
「ヴェレーナグラン湘南藤沢」(右側が稲荷大神の林)
大和地所レジデンスは8月18日、「ヴェレーナグラン湘南藤沢」(33戸)が竣工したのに伴うメディア向け見学会を行った。分譲開始は昨年10月からで、今年7月の竣工を待たず5月に完売。昨年8月に分譲開始した「ヴェレーナシティ藤沢」(全102戸)も竣工9か月前に完売しており、このところ供給が増えている湘南エリアで早期完売したのは価値がある。
「ヴェレーナグラン湘南藤沢」は、JR・小田急江ノ島線藤沢駅から徒歩12分、藤沢市川名の第一種住居地域、準工業地域に位置する7階建て全33戸。坪単価は242万円。竣工は2022年7月下旬。施工は大洋建設。販売開始は昨年10月からで、2022年5月に全戸完売した。来場者は200組弱。
現地は、藤沢駅中心市街地から少し離れた閑静な住宅街の一角で、敷地西側と北側に接道。西側道路を挟んだ隣接地は自然林のような稲荷大神で、敷地南側の隣接地は大規模住宅団地。
建物はワンフロア5戸構成で、角住戸は13戸。中住戸2列は東向きワイドスパン(7.5・9.0m)。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、逆梁ハイサッシ2200ミリ、御影石とQストーンが無料で選べるキッチン・洗面カウンター、食洗機、ミストサウナ、2段タオル掛け、バルコニースロップシンク、メーターモジュール廊下(一部除く)、全戸にオープンエアスペース(1Fはオープンエアリビング)など。
南側から写す(手前は隣接マンションの借景)
左側が稲荷大神の林
植栽帯
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〝グラン〟にふさわしい設備仕様レベルだ。坪単価240~250万円クラスで、上段で紹介した基本性能・設備仕様を備えている首都圏マンションは10件に1件どころか、100件に数えるほどしかないのではないか。「ヴェレーナシティ藤沢」もそうであるように、激戦地の湘南エリアで竣工までに完売した物件はそうないはずだ。徹底した差別化がマンション購入検討者の心を捉えたということだろう。
もう一つ強調したいのは外構・植栽計画だ。物件を案内した女性担当者によると、同社の植栽担当部長の湘南にふさわしいものにしようという〝こだわり〟だそうで、建物は敷地から約2mセットバックさせ、その間に植栽帯を設置し、オーストラリアの植生を総称する「オージープランツ」を施している。ココスヤシ、オリーブ、ドラセナ、バンクシア、グレビレア、ブラシノキ、シルバープリペット、ティーツリーなど20~30種だ。記者が見知っているのはヤシ、オリーブ、ブラシノキだけだった。
これは惜しい。全ての植物に名札を付けたら、居住者も通りかかる人も喜ぶはずだ。名前を知っているのと知らないとでは接し方が全然異なる。名札をつけるよう管理組合に働きかけてほしい。
敷地西側に隣接する道路面から高さにして4~5層はありそうなお椀状の稲荷大神について。
樹木は生い茂り、ツタなどが覆い隠していた。そして、命旦夕に迫るとはこのことを指すのだろうか、死に急ぐ雄のアブラゼミが誰はばかることなくがなりたてていた。セミに呼応するのか無視するのか、この地に生息するウグイスはケタケタと笑い、カラスがバカー、バカーと応えていた。登ってみようと思ったが、やぶ蚊に襲われるのは必至なのでやめた。
これも惜しい。市は神社の管理に関わっていないからだろうが、市と住民らが連携すれば、素晴らしい公園のような環境に生まれ変わるのではないか。市のホームページで調べたのだが、街路樹などに関する情報はほとんど公開されていない。どうしてだろう。今回のマンションまでの藤沢鎌倉線の中心市街地には美しいメタセコイアの街路樹が植えられており、境川を過ぎたあたりからは百日紅が満開になっていた。
1階住戸のオープンエアスペースと専用庭
1階住戸の西側居室窓からは内部廊下の窓から植栽帯が額縁のように眺められる工夫も行っている
小山のような稲荷大神の林