阪急阪神不動産 新築マンションの管理業者管理方式を積極導入
阪急阪神不動産、阪急阪神ハウジングサポートは1月29日、マンションの管理組合の管理業務を管理会社が代わって行う「外部管理者方式(管理会社管理方式)」を今後分譲するマンションなどで積極的に導入すると発表した。
近年、マンションの高経年化及び入居者の高齢化による「管理組合の役員のなり手不足」や「管理不全マンションの増加」などが社会的な課題となっているのに対応するもの。
阪急阪神ハウジングサポートでは昨年10月、同方式に対応する専門の組織「外部管理者方式推進部」を新設。同部をマンション管理の実務を行う部門とは明確に切り分け、各管理組合に設置される監事については外部専門家(マンション管理士、弁護士など)を選任する体制にした。これにより、利益相反取引となり得るものについては、原則として組合員に情報を開示し、総会などで承認を得ることとしている。
導入するのは「ジオ練馬富士見台」をはじめ、「ジオ板橋浮間舟渡」、「ジオ市谷仲之町」、「ジオ横浜大通り公園」、「ジオ阪急川西The Front」など。
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新築マンションへの管理会社管理方式は各社が導入しているが、マンションの共用部分の維持・管理などの受託業務と、管理組合の総会などの業務との契約関係が不明確なケースが相当数あり、しっかり契約を定め、利益相反を生じない体制づくりが欠かせない。
記者は、新築だけでなく中古マンションへも管理業者管理方式を導入すべきだと思っている。
「今年に託す言葉」管理協賀詞交歓会&住宅広報連絡会新年会参加者に聞く(2025/1/20)
見事な模型紹介コーナー 物件に込めた意気込みひしひし 日鉄興和不「文京小石川」
「リビオシティ文京小石川」
日鉄興和不動産(事業比率60%)、東京建物(同15%)、中央日本土地建物(同15%)、住友商事(同10%)が分譲中の「リビオシティ文京小石川」モデルルームを見学した。定期借地権付きであることによる価格の安さ、小石川植物園に近接した文京区最大敷地面積の立地などからして人気になるのは分かるのだが、本物の石や地衣類・観葉植物を採用した50~60坪の模型展示コーナーの充実ぶりに物件に込めた意気込みがひしひしと伝わってきた。
物件は、東京メトロ丸ノ内線・南北線後楽園駅徒歩12分・茗荷谷駅徒歩13分、都営三田線・大江戸線春日駅徒歩11分、都営三田線白山駅から徒歩10分、文京区小石川四丁目の準工業地域に位置する敷地面積約12,487㎡、10階建て全522戸。期間75年の定期借地権付き。専有面積は35.89~95.57㎡。竣工予定は2026年11月下旬。デザイン監修はIAO竹田設計。設計・施工は長谷工コーポレーション。
2024年2月22日~2024年12月下旬までのエントリー数は12,000件、昨年10月から分譲開始し、これまで供給した155戸のうち130戸を成約。販売価格は9,090万円~21,990万円。坪単価は未公表だが、坪500万円台の半ばから後半と思われる。
現地は、茗荷谷駅からだと桜並木が美しい播磨坂を下ったところで共同印刷本社に隣接。敷地北側は千川通りに接道。敷地所有者は共同印刷。小石川植物園までは徒歩2分。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、低炭素住宅、ABINC、SEGES認定、二重床・二重天井、リビング天井高2460ミリ、ディスポーザー、深型食洗機、フィオレストーンキッチン天板、食器棚、多目的スペース「モアトリエ」、奥行2m超のバルコニー、浴室タオル掛け2か所など。主な共用施設は、屋上テラス、フィットネスラウンジ、ワーク&スタディルーム、ライブラリーラウンジ、ゲストルームなど。店舗面積1,700㎡超の都市型スーパーマーケットを併設する。
北側外観
屋上テラス
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これまでの区内の敷地面積がもっとも広いマンションは、2014年分譲の第一種低層住居専用地域に位置する住友不動産「インペリアルガーデン」(167戸)だった。用途地域が異なるので単純比較はどうかと思うが、それを上回る約1.2haの規模は希少だ。
物件特性などは上段で紹介した通りだが、記者が驚いたのは50~60坪はありそうな模型紹介コーナーだった(販売事務所の1フロアの面積は約80坪)。
模型そのものの大きさは50分の1だからそれほど大きいわけではないが、至るところに本物の観葉植物・地衣類を配し、屋上テラスに採用する静岡県真鶴町産の本小松石が敷き詰められていた。3m×8mのスクリーンは2つ。
これほど見事な模型コーナーは過去どれくらい見たか考えた。最近の物件では東京建物「堂島」、積水ハウス他「グラン・グリーン大阪」をすぐ思い出したのだが、東建では「番町」、積水ハウスでは「品川シーサイド」も見事だった。鹿島建設「勝どきザ・タワー」も凄かった。ほかにもあるのだろうが、ベスト10を選べば今回の「文京小石川」は間違いなく入る。
売主には同じみずほグループの東建と中央日土地が入っており(住友商事とはこれまでも共同事業が多いとか)、〝負けられない〟という強い意志が込められていると理解した。「品川」も見学を申し込んでいるので、実現したらレポートしたい。〝リビオ〟に注目だ。
販売事務所
模型展示コーナー
模型展示コーナー
「リビオ」の歴史紹介コーナー(日鉄ライフ・新日鉄都市開発・興和不動産の歴史を紹介してもよかった)
第一種低層の外観が美しい住友不動産「インペリアルガーデン」竣工(2015/3/19)
用地取得から10年 小石川植物園に隣接した住友不動産「インペリアルガーデン」(2014/1/14)
呉越同舟効果「5本の樹計画」の本領発揮積水「品川シーサイド」1期207戸!(2017/3/24)
首都圏初「実質CO2ゼロ」タワーマンション 設計・施工は竹中 関電不開発「南麻布」
「シエリアタワー南麻布」
関電不動産開発が分譲中の「シエリアタワー南麻布」を見学した。同社の首都圏初&南麻布アドレス初、さらに首都圏初の「実質CO2ゼロ」のタワーマンションで、設計・施工が竹中工務店というのも特筆できる正統派億ションだ。
物件は、東京メトロ南北線・都営三田線白金高輪駅から徒歩9分、港区南麻布三丁目の商業地域・第2種中高層住居専用地域に位置する敷地面積約2,467㎡、27階建て全121戸。専有面積は42.94~174.24㎡。供給開始は昨年12月で、第1期1次(36戸)の専有面積は約71~115㎡、価格は2.6億~9億円(最多価格帯4.3億円台)。竣工予定は令和8年10月中旬。設計・施工・監理は竹中工務店。販売代理は住商レジデンシャル、長谷工アーベスト。
従前敷地はオフィスビル。敷地南側が明治通り-高速道路に接道。主な基本性能・設備仕様は、制震構造、ZEH-M Oriented認定、リビング天井高2500~2950ミリ、ディスポーザー、中層以上は深型食洗機、東京都マンション環境性能表示★13個(再エネ設備・電気のみ★1個、他は満点の★3個)など。住戸は1フロア3~5戸。
特徴の第一は、関西電力の再生可能エネルギー由来の実質CO2フリーのゼロカーボン電気を一括受電し、さらにオール電化方式を採用することで、物件全体におけるCO2排出量を実質ゼロにした首都圏初のマンションであること。
第二は、港区の「建築物等の整備に関する基準」で建物の絶対高さが40m以下に定められているエリアだが、①歩道状空地の確保②敷地内通路の整備③広場状空地の確保④地域防災倉庫の設置などにより、高さ制限が94.7mまで緩和されていることで、これにより南麻布アドレスで初のタワーマンションが実現した。
さらにまた、工期が2024年7月から2026年10月まで27か月と短いことがあげられる。これは既存建物の地下躯体を活用する竹中の技術によるものとの事である。建物の階数からいって通常なら30数か月かかると思われる。
同社は、現在工事中の「虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業(業務棟)」のような大規模開発や中・小規模ビル開発、さらに今回のようなマンションやホテル、商業施設、賃貸住宅などを首都圏で積極的に展開していく。マンションは「シエリアシティ横浜東戸塚」(482戸)「シエリア杉並高井戸」(110戸)などが予定されている。
ガーデン
ラウンジ
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久々に本格的な正統派億ションを見た。同社のプレス・リリースによると、「ゼロカーボン電気」×「オール電化」×「タワーマンション」を組み合わせた首都圏初の「実質CO2ゼロ」タワーマンションが〝売り〟のようだが、記者はこれに〝竹中工務店の設計・施工〟を付け加える。
模型、モデルルームをみですぐその良さが分かった。明治通りに面していることをどう評価するかだが、外観フォルム(とくに北側)が美しく、仕上げは一部の隙もない。
外観デザインは、やはり設計・施工を竹中工務店が担当した「元麻布ヒルズ」と似ており、キノコのように上層階が突き出ている〝異形〟のフォルムと言えなくもないが、北側はほとんどシンメトリーだ。敷地北側には「元麻布ヒルズ」や「六本木ヒルズ」など一部しか高層建築物はないので、麻布エリアを展望することができる。そしてまた、麻布方面からはこの美しい建物を見上げることになる。
モデルルームは115㎡と87㎡の2タイプで、とくに115㎡が素晴らしい。玄関ドアを含めて突板ナグリ仕上げがドア、壁、収納扉などに多用されており、壁面には、ベり材のえも言われぬ文様が浮き出ている。ドアハンドルはカチッと閉まるコロンボ。浴槽はジャクソン。その他、巾木に至るまで奇を衒った仕上げは一つもない。
竹中施工のマンションはバブル期には結構見られたが、最近は少ないはずだ。直近では2023年竣工の「MEGURO NARK(目黒マーク)」くらいしか。東京本社のデベロッパーは、関西でのマンション事業を積極化させているが、それに対抗するように関西のデベロッパーも〝負けたらあかん東京に〟とばかり首都圏での事業を強化に乗り出した。面白い展開になってきた。
現地
緑被率43%(分譲棟)ランドスケープが最高 JR東日本・野村不「MEGURO MARC」(2023/12/9)
中古マンション価格 12年間で2倍以上 成約件数も増加 2024年 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は1月22日、首都圏の2024年の不動産流通市場の動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は37,222件(前年比3.4%増)で、2年連続で前年を上回った。都県・地域別では、神奈川県他地域(横浜川崎以外)を除く都県・地域で前年を上回った。成約物件の1㎡当たり単価は首都圏平均で76.88万円(同6.9%上昇、坪単価253.7万円)で、12年連続の上昇。この12年で101.3%と2倍を超える上昇となった。成約価格は4,890万円(同6.9%上昇)で、12年連続で上昇。成約物件の平均専有面積は63.60㎡(同0.05%縮小)とほぼ横ばい。平均築年数は24.53年(前年23.83年)で、経年化が進んでいる。
中古戸建住宅の成約件数は14,182件(同10.2%増)と3年ぶりに前年を上回った。成約価格は首都圏平均で3,948万円(同2.6%上昇)と4年連続で前年を上回った。成約物件の平均土地面積は142.25㎡(同1.1%縮小)、建物面積は103.91㎡(同0.05%縮小)。平均築年数は22.22年(前年21.82年)で、経年化が進んでいる。
業績好調なのに供給減 売れ行き悪化 在庫率30%の不思議 2024年首都圏マンション
カバー率=供給戸数÷着工戸数
不動産経済研究所は1月23日、2024年の首都圏新築分譲マンション市場動向をまとめ発表した。
発売戸数は2万3,003戸(前年比14.4%減)で、1973年以降で最少となった。エリア別は東京23区8,275戸(シェア36.0%)、東京都下2,041戸(同8.9%)、神奈川県4,917戸(同21.4%)、埼玉県3,313戸(同14.4%)、千葉県4,457戸(同19.4%)。
初月契約率は66.9%で前年の70.3%から3.4ポイントダウン。戸当り平均価格は7,820万円(前年比3.5%下落)、1㎡当り単価は117.7万円(同4.0%下落)。販売在庫数は6,814戸(前年12月末比531戸の増加)。
2024年の特徴として①発売戸数は東京都の着工減などが響き調査開始以来の最少に②価格は戸当たり、単価ともに高値継続。東京23区は2年連続で1億1,000万円台乗せ③初月契約率は2020年(66.0%)以来の60%台に下落④この他に定期借地権付き物件が547戸⑤1都3県以外では茨城県南部で222戸を発売-などとしている。
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上段は同研究所が発表したリリースをそのままコピペした。記者もずいぶん昔、首都圏のマンションと分譲戸建ての販売動向調査を行ったことがあるので、その大変さはよくわかるのでコメントなどしたくないが、添付した記事の通り、2024年の着工戸数は前年を上回るのは確実だが、半面、カバー率(発売戸数÷着工戸数)は50%を割るのがほぼ確実となった。中でも神奈川県のカバー率は3割台にとどまりそうだ。
初月契約率が70%を割ったのと、完成在庫が約6,800戸もあるのはよくわからない。供給上位のデベロッパーの業績は押しなべて好調で、計上予定に対する契約進捗率は2Q段階で90%を超えている。業績はいいのに売れ行きは悪い。これをどう説明するのか。
完成在庫の多さも不可思議だ。約23,000戸の供給に対して在庫が約6,800戸だから在庫率は29.6%だ。これだけ残ったらまず利益は出ない。大赤字だ。売れないマンションだけが供給されていることでもないはずだ。
ただ、着工≒供給であれば、2024年の着工戸数は5万戸超となる見込みなので、だとすれば着工戸数に対する在庫率は10数%になる。やや多いようだが、危険ラインではないような気がする。
いずれにしろ、同研究所もメディアもシンクタンクも着工戸数と供給戸数との乖離について調査、取材して公表してほしい。やろうと思えばすぐできる。
マンション供給量は着工戸数の半分以下の不思議整合性図るべき(2025/1/8)
マンション供給減=市場縮小ではない戸建ても底入れ・回復へ今年の分譲住宅市場(2025/1/6)
坪単価180万円台半ば 第1期43戸完売 大和地所レジ「ヴェレーナシティ木更津」
「ヴェレーナシティ木更津マリーナベイ」 (物件ホームページから)
大和地所レジデンスは1月21日、「ヴェレーナシティ木更津マリーナベイ」 のメディア向け見学会を行った。木更津駅から徒歩12分の全147戸で、昨年12月に第1期43戸の分譲を開始し、すべて契約・申し込み済み。木更津湾と公園に近い立地特性を生かし、富士山が眺望できる南西角住戸(13戸)はアウトドアデッキ付き90㎡としたほか、80㎡以上のプランも3スパン(41戸)設けるなど企画がヒットした。坪単価は土地代がただに近いと思える180万円台の半ばだが、設備仕様レベルは高い。
物件は、JR内房線、久留里線木更津駅から徒歩12分、木更津市富士見三丁目の商業地域(建ぺい率80%、容積率400%)に位置する敷地面積約3,348㎡、14階建て全147戸(うち一般分譲対象外住戸7戸含む)。専有面積は70.72~90.52㎡、坪単価は180万円台の半ば。竣工予定は2026年11月。設計監理はT設計工房。施工は新日本建設。
従前の敷地は富士屋ホテル(旅館)。コロナ禍で経営が行き詰まり、仲介不動産会社を経て同社が取得した。敷地南側は矢那川の河口。川を隔てた南側は卸売市場、西側は鳥居崎海浜公園、その先は木更津港。港までは徒歩3分。
建物は全戸南向きで、富士山が眺望できる南西角住戸は90㎡台の13戸。このほか85㎡台が1スパン14戸、80㎡台が3スパン41戸、70㎡台が2スパン26戸、75㎡台が3スパン40戸、75㎡台が1スパン14戸。平均専有面積は78㎡超。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450~2550ミリ、食洗機、床暖房、メーターモジュール廊下、浴室タオル掛け2か所、手洗いカウンター付きロータンクトイレ、バルコニースロップシンク、奥行3mのオープンエアデッキ付き(33戸)、オープンエアリビング(4戸)など。
昨年11月からエントリー受付を開始し、これまでの資料請求は500件、モデルルーム来場者は210件。12月から分譲開始した第1期43戸はすべて契約・申し込み済み。花火が楽しめ、富士山が眺望できる7,000万円弱の住戸は最高6倍の人気なった。
契約者・申込者の属性は、50代以上の地元居住者が約半数。自宅の戸建てをそのまま残し、定年後に定住を考えている人が多く、中住戸は実需が中心で、大企業に勤める転勤が多い会社員や地元に縁のあるエリア居住者など。市内の戸建ては2,000万円台で取得できることから、そのような層はほとんどいないという。
オーシャンビューテラス
オープンエアリビング(左)とオープンエアデッキ
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全分譲戸数の30%に該当する43戸を供給して早期完売したことに、なるほどと思った半面、信じられない思いも募った。
なるほどと思ったのは、契約者・申込者の属性でも分かるように、海に近く、花火大会を楽しめる立地特性を最大限生かした商品企画だったことだ。これまでたくさんマンションを見学してきたが、海に近く、花火が楽しめるマンションの売れ行きは確かにみんなよかった。海に近い最近の事例では「ウエリス三浦海岸」だ。取材したとき間違いなく売れると感じた。花火については、どこのマンションでも〝花火大会がみられる〟ことを売りの一つにしているように、想像以上に花火は訴求力があるようだ(多摩エリアに住んでいるお金持ちが、隅田川の花火大会を眺めるために台東区のマンションを買った物件も取材したことがある)。
そうした〝お金持ち〟にターゲットを絞り、90㎡超のプランを提案した同社の目利き緑と商品企画力に脱帽するほかない。上段で書いたように、単価は土地代がただでも立たないような安さだが、設備仕様レベルは高い。施工を担当した新日本建設は千葉県での分譲・施工事例が多いことがヒントになる。
信じられない思いとは、平均専有面積が75㎡超であるように、中住戸もまた70㎡以上としたプランだ。坪単価180万円半ばというのは、面積を広くしたからでもあるが(面積を広くするほど単価は下がる)、各社が行っているように、専有面積を圧縮して売りやすい価格にしなかったことが解せない18坪だったら、3,000万円台の半ばで供給できるではないか(同駅圏では3~4年ぶりの新規供給で、それまでは坪単価140万円くらいで、広いプランはなかったとのことだ)。差別化なのだろうが、面積を広めにしても〝売れる〟と同社は確信していたのだろうか。
〝信じられない〟というのは他にもある。木更津市といえば、「そごう」が2000年に閉店されてから地盤沈下が進む一方で、2024年度地価公示でも、人口13.6万人の同市は、人口10万人以上の市の地価下落率は鹿児島県鹿屋市の73.2%についでワースト2位の68.5%だ。
この日、取材を終えてから1時間半くらいかけて街中を歩いた。人通りは少なく、街のポテンシャルを図る〝御三家〟の「日高屋」「DOOTOL」「マクドナルド」はなかった。そればかりか、飲食店の営業時間はみんな夕方以降で、明らかに店じまいしていそうな店舗もたくさんあった。街に潤いを与える街路樹は極端に少なく、植わっている樹木は貧弱なものばかりだった。
中心市街地の疲弊はどこの市町村も抱えている問題で、同市は木更津湾エリアの再開発に力を入れるため、駅から続く舗道の整備工事を行っている。同社のマンションが富裕層の心をとらえたように、「海」「市場」「花火」などの観光資源はある。官民が連携すれば再生は可能のような気もした。(公園内のコース料理は12,000円で、誰が利用するかわからないが50分で15,000円のエグゼクティブ向けクラブもエリア内にはあった)
模型
浴室タオル掛け2か所(左)とトイレ(写真を撮り忘れたが90㎡のモデルルームタイプは約2.5㎡の玄関ホールが設けられている)
敷地北側から(左)と公園側からの現地(クレーンが立っている)
マンション管理適正評価 登録率は遠鉄アシスト、登録件数は大京アステージ1位
マンション管理業協会は1月16日、マンション管理適正評価制度における2024年9月末の管理受託組合に対する登録率が10%以上の会員会社を公表した。
登録率が10%以上は14社で、もっとも登録率が高いのは、遠州鉄道グループの塩鉄アシスト。受託組合数44組合のうち14組合を同制度に登録しており、登録率は31.8%となっている。次いで多いのは大京グループの穴吹コミュニティで、受託2,062組合のうち登録件数は444件(登録率21.5%)、3位は三井不動産レジデンシャルサービスで、受託2,505組合のうち登録は485件(同19.4%)。
登録件数がもっとも多いのは大京アステージで1,130件(同15.1%)。受託組合数が多いのは日本ハウズィングの8,997組合で、東急コミュニティー8,061組合、大京アステージ7,498組合の順。
同協会会員348社の令和6年(2024年)4月1日時点での同協会会員が受託しているマンションは1055,105組合・124,245棟・6,551,427戸となっており、全国のマンションストック戸数(推計値)に占めるシェア率は92.7%となっている。同制度は2023年度にスタート。星の数(ゼロを含めて★1つから★5つまで6段階で評価する同制度は2023年度にスタート。2024年12月末現在でもっとも多いのは★4つで2,833件(全体の42.2%)、次いで★5つ1,969件、★3つ1,548件。★ゼロも1件ある。
同協会の新年賀詞交歓会で表彰された左から穴吹コミュニティ、高松理事長、遠鉄アシスト
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同制度の2024年12月末の登録件数は6,708件で、同協会が目指している2024年度で〝たった1割、ちょうど1割〟(小佐野・副理事長の言葉)の10,000件達成は微妙だが、達成率10%以上の会員会社を公表したのは、10,000件達成の〝追い風〟になるのではないか。
記者は、登録件数だけでなく各社ことの6段階の星の数(★ゼロを含む)も公表すべきだと思っている。消費者にとっては中古マンションだけでなく、新築マンションを選ぶ際の重要なポイントになる。
管理業者管理方式も同じだ。新築マンションを分譲するデベロッパーも含めて、どこがマンション分譲-管理に一生懸命に取り組んでいるかがよく分かる。
「オーベルアーバン秋葉原」第1期1次・2次35戸が完売 大成有楽不動産
「オーベルアーバンツ秋葉原」
⼤成有楽不動産は1月16日、2024年11月30日から販売を開始した分譲マンション「オーベルアーバンツ秋葉原」(85戸)の第1期1次・2次35戸の契約が完了したと発表した。住棟でZEH-M Oriented、各住⼾でZEH Oriented を取得。同社初の低炭素建築物認定も取得している。
物件は、秋葉原駅から徒歩6分、台東区浅草橋4丁⽬に位置する14階建て全85戸(販売対象71戸)。専有面積は34.64〜73.04㎡、1月17日に抽選分譲する第1期3次の専有面積は34.64〜61.35㎡、価格は6,350万〜11,390万円。竣⼯予定は2026年4⽉中旬。設計・監理は安宅設計。施⼯は東鉄⼯業。
首都圏中古マンション 坪単価は56か月連続で前年同月比上回る 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は1月14日、首都圏の2024年12月の不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンション成約件数は3,158件(前年同月比7.4%増)、坪単価は257.6万円(同4.3%増)、価格は4,935万円(同3.2%増)、専有面積は63.23㎡(同1.1%減)となった。成約件数は2か月連続して前年同月を上回り、坪単価は20年5月から56か月連続で前年同月を上回った。
中古戸建の成約件数は1,169件(同8.0%増)、価格は4,099万円(同4.4%増)、土地面積は142.31㎡(同2.6%減)、建物面積は105.49㎡(同0.5%減)となった。
中古マンション 2020年から44%価格上昇今後の住宅市場動向図るモノサシに(2025/1/13)
中古マンション 2020年から44%価格上昇 今後の住宅市場動向図るモノサシに
指数=2020年を100とした指数
記者は、今年の首都圏新築マンション市場も中古マンション市場も堅調に推移すると見ているのだが、着工戸数、建築費を含めて過去5年間を振り返ってみた。
別表・グラフがそれで、新築マンション着工戸数は2020年の53,913戸から漸減しているが、2024年は11月末現在で47,903戸になっており、通年では前年を上回るのが確実だ。
一方で、不動産経済研究所によると2024年の新築マンション供給戸数は前年比14.4%減の2万3000戸となる見通しで、既報の通り着工戸数に対するカバー率は50%を割るのは間違いない。坪単価は11月末現在398万円で、前年の405万円とほぼ同水準に落ち着く模様だ(単価水準が高い都心部や神奈川県のカバー率が低いので、実質的には前年を上回るのではないか)。
2020年を100とした2024年11月末の指数は130.4となっており、建築費の133.3とほぼ同じ。利益を確保したうえで、建築費上昇を価格に転嫁できていることをうかがわせる。
東日本レインズデータによると、中古マンションの成約件数は2024年11月末現在で34,065戸となっており、前年の35,987戸を上回るのが確実視される。
それ以上に注目されるのが成約単価上昇だ。2024年11月の成約坪単価は262.1万円で、20年5月から55か月連続で前年同月を上回った。
さらにまた、注視すべきなのは新規登録件数と在庫件数かもしれない。これらの動向が住宅市場を探るうえで重要なモノサシになるのではないか。
2020年を100とした中古マンション価格指数は143.9で、新築マンションの130.4を13.5ポイントも上回る。この4年間で44%も価格が上昇した計算になる。かつてバブル期には中古マンション価格が新築マンション価格をリードしたが、一部都心部などでそのような現象がみられる。今後の動きに注視したい。
建築費の上昇も続いている。建築物価調査会のデータによると2020年を100とした場合の2024年末の価格指標は133.3で、前年より5.9ポイント上昇した。押し下げる要因が見当たらないだけに、今後も上昇基調が続くものとみられる。
建築物価調査会のデータ
マンション供給量は着工戸数の半分以下の不思議整合性図るべき(2025/1/8)
マンション供給減=市場縮小ではない戸建ても底入れ・回復へ今年の分譲住宅市場(2025/1/6)