大和ライフネクスト第三者管理者方式183件 月1000円/戸 検討に値する額ではないか

大和ライフネクスト柏氏(左)と中氏
主に大和ハウス工業が分譲するマンションの管理を担当している大和ライフネクストは10月14日、記者の取材に応じ、2022年にスタートさせた外部管理者方式「TAKSTYLE(タクスタイル)」の2025年9月末の導入件数は183件に上っており、2025年度中には200件規模になるとの見通しで、現状その通りに推移していることを明らかにした。1件当たりの戸数は50戸未満が中心で、同社が管理するマンションの約5%に該当する。
他の大手デベロッパー系管理会社が主に新築マンションを対象に第三者管理者方式の採用に力を入れているのに対し、同社は居住者の高齢化と共働き世帯の増加による担い手不足と、専門的な知見・知識がなく、空き家、所有者不明、管理費滞納、修繕積立金不足、建て替え論議…などの課題が山積する一般的な50戸未満の既存マンションを中心に、1戸当たり月額約1,000円というリーズナブルな価格設定を行っているのが特徴。
同社マンション事業本部新領域創造部外部管理者サービス課課長・中雄佑氏は「組合運営に困っている既存マンションを中心に提案しており、1戸当たり約1,000円の月額管理業者委託費は新築マンションでも既存マンションでも変わらない」と話し、また同課統括管理者業務執行者・柏勇次氏は「管理の主体は管理組合員であるということを、事前に十分説明している。導入に関しては、お客さま(区分所有者)が判断されることであり、管理の運営方式の選択肢一つとして検討していただくことを提案している」と語った。
この問題について国土交通省は昨年6月、マンション管理業者による外部管理者方式(管理業者管理者方式)の適正な運営を担保することなどを目的に「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」を策定し、2027年4月1日に施行される改正区分所有法との整合性を図っている。
その一方で、弁護士ら専門家は、管理業者管理者方式は利益相反(トレード・オフ)の関係にあるとして懸念を示しており、重責を担う監理体制をどう整備するかの課題も残っている。
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旗幟を鮮明にしておく。以下は、管理業者管理者方式に積極的に取り組んでいる同社に取材し、管理組合の管理者(区分所有者の代表)の担い手不足、専門的な知見・知識がなくて困っている全国の管理組合と区分所有者(居住者)向けに発信する、費用対効果を考えれば、管理業者管理者方式の採用を検討すべきという趣旨の記事であるということだ。
少し長くなるが、管理業者管理者方式について整理する(添付記事参照)。この方式の実態が明らかになったのは、2023年9月と12月に国土交通省が行ったマンション管理業協会会員会社351社を対象にしたアンケート調査だった。9月調査では、管理業務と管理者業務の担当部署が同一で、責任者も同じというのが42%、業務分担も不明確なのが26%だった。12月の調査では、第三者管理者方式を採用しているのは48社(約3割)で、管理組合数は1,991件(うち投資用マンションが1,055件)で、全国の管理組合数の3.7%、新築マンションで第三者管理者方式の採用を検討しているのは48%、管理者業務の報酬を設定していないのは40%、監事の報酬がないのは53%などが明らかになった。
この結果について、弁護士など専門家は、管理業者=管理者=利益相反(トレード・オフ)として批判した。記者もどんぶり勘定、管理業者への丸投げが多いのにびっくりした。マンション管理業協会の記者懇親会で質問したこともある。大手系のファミリーマンションを中心に管理受託している管理会社は、管理業務と管理者業務の担当者や部署を別にしており、契約書などで明確に区別しているとの回答を得てほっとした。
そんな折の2024年5月、大和ハウス工業と大和ライフネクストが「マンション管理業(分譲マンションの第三者管理者方式)篇」をテーマにしたメディア向け勉強会を実施し、2022年度から取り組み始めた管理業者管理者方式「TAKSTYLE(タクスタイル)」の導入組合は76組合にのぼると報告。2025年度中に200組合に拡大する見込みであることを明らかにした。
そして2025年9月、同社は導入組合は2025年8月末で138組合にしたと発表。今回の取材で件数は1か月間で45件増加したことが分かった。
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さて、マンション居住者の皆さん、上段の大和ライフネクストの月額管理業者委託費1,000円/戸、50戸で5万円は妥当かどうかを考えていただきたい(他の大手系管理会社の新築マンション管理業者委託費は月額2,000円/戸とも言われている)。
その前に、前提となる第三者管理者方式を採用する余力があるかどうかを検討する必要がある。一般的なマンションの駐車場使用料等を含む管理費の平均は月額759円/坪で、20坪だと約1.5万円、50戸だと75.9万円。年間だと戸当たり18万円、全体で約910万円だ。このうちの大半は管理業者委託費や共用部光熱費、保険代など経常的費用に消える。組合活動費(管理者)から外部管理者に報酬を支払える余力のある組合は極めて少ないはずだ。
しかし、理事になることの負担や円滑な組合活動などを行うことと相殺したら、間違いなく管理業者管理者方式を採用したほうが利益は大きく、月額1,000円/戸なら何とか捻出できのではないかというのが記者の考えだ。
さて、では理事活動を金額に換算したらいくらになるか。規約に定めのある場合を除き、理事はほとんどが輪番制で50戸に5人くらいだから10年に1度は回ってくる。理事会の開催件数は規模などにより異なるだろうが、月に1~2回、各種のイベントや総会議案書の作成なども含めると年間20回くらいではないか。1回当たりの拘束時間を3時間として、皆さんの時給からその理事活動費を金額に換算していただきたい。年間数十万円になるはずだ。
ただ単に時間が拘束されるだけではない。理事会は組合員全員の財産を預かっている。自分の財産ならどのように費消しようが勝手だが、他人の財産はそういうわけにはいかない。一銭たりとも説明のつかない収入・支出があってはいけない。これは神経を使う。
この重労働から解放しようというのが管理業者管理者方式だ。弁護士、マンション管理士、税理士、公認会計士などの専門家からは管理業者=管理者=利益相反(トレード・オフ)の関係にあると指摘されているが、大手デベロッパー系の管理会社が利益相反となるような行為(悪意を防ぐのは容易ではない)を行うはずがない。やったら、その損失額は利益の数倍に達するはずだ。
では、管理会社以外の専門家が外部管理者になるかどうか。記者は知人のマンション管理士に聞いたことがある。「あなたを外部管理者に選任するとしたら、月額報酬5万円でどうか」と。管理士は「絶対受けない。カスハラが怖い。リスクのほうが大きい」と言下に否定した。他の専門家も同様だろう。年収にして1,000万円、多い人は1億円を超える個人弁護士がそのような安価な報酬で管理者を受けるはずがない。
少しわき道にそれる。日弁連アンケートによると、1時間5,000~10,000万円の法律相談のみで完結(問題解決)した事例はたくさん紹介されているが、そのトータルの数は公表されていない。ここが味噌だ。法律相談だけで諸々の問題が解決したら弁護士稼業は成り立たない。AIが解決する。訴訟などに持ち込めるから法律相談の数倍から数十倍の報酬が得られる。辣腕弁護士は1日15時間働くともいわれている。弁護士には残業という概念がない。
いくら懇願されても、このような高額所得者が煩わしい管理者を受けるはずはない。まだある。管理会社を通じて、居住者からは毎日のよう新聞配達のバイクの音、風鈴の音、子どもの泣き声、夫婦げんかの声、ハイヒールやキャスターの音がうるさいとか、換気扇からタバコやニンニクの匂いが流れてくる、ハトの糞が布団につく、ハチの巣をなんとかしろ、樹木の日影で日が当たらない、猫がいなくなった…などが管理会社を通じて報告される。ほとんどは〝受忍限度〟に収まるものだが、対応を誤ると刃傷沙汰にまで発展することもある。このストレスは理事を経験しないと分からない。
監事も同様だ。個人専門家が利益相反をどうしてチェックするのか。〝安物買いの銭失い〟〝損して得取れ〟という言葉もあるではないか。個人専門家がタッグを組めば別だが、総合力では管理会社=管理者が上回る。リスク管理、チェック機能を働かせば管理者と管理会社がWin-Winの関係を構築することは可能だと思う。
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10月31日(金)インテックス大阪で開催される「マンション総合EXPO2025」の「令和8年4月1日改正マンション管理法令施行!合計300組合の管理業者管理者2社の取組み公開セミナー」に中氏はモデレーターとして、柏氏は長谷工コミュニティsmooth-e運営部課長・前田崇行氏とともにパネラーとして出席する。参加費は無料。
管理業者管理者方式大和ライフネクスト137件三井不レジサービス100件超(2025/9/11)
マンション再生メニュー 2つ⇒7つへ旭化成ホームズ区分所有法改正セミナー(2025/7/19)
改正マンション関連法に関する説明会に約480人国土交通省&法務省(2025/7/8)
2つの老いへの対応管理業者管理方式など具体策示す国交省(2025/2/8) .
管理会社管理方式、自治体の体制強化など論議国交省・マンション政策小委員会(2024/12/20)
マンション管理会社3割が投資用中心に第三者管理者方式(2023/12/26)
大和ライフネクスト第三者管理者方式既存中心に76組合受託 2026年に200組合へ(2024/5/22)
マンション管理適正評価制度 9月末の登録件数は9,702件 マンション管理協
マンション管理業協会は10月10日、2025年度第2四半期終了時点のマンション管理適正評価制度の登録状況と評価結果集計をまとめ発表した。
2025年9月末現在、登録件数は9,702件。最も多い登録(星別)は★つが4,080件(全体の約42.1%)、★5つは3,133件、★3つは2,114件。最多登録都道府県は東京都の2,968件(全体の30.6%)。戸数別登録マンションの割合の最多戸数帯は50戸未満(全体の51%)。最多竣工年帯は1991年~2000年竣工(全体の29.4%)。評価×戸数別登録数では、2021年以降竣工における★5の割合は58.2%、400戸以上における★5の割合は80.7%。
同協会は、今後の加点ポイントとして、①規約の規定、規約改正②長期修繕計画の作成③国の基準額を上回る修繕積立金の設定、改善などを挙げている。
7月の首都圏中古マンション・戸建て 成約件数はともに大幅増 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は10月10日、令和7年9月の首都圏不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は4,475件(前年同月比46.9%増)となり11か月連続で増加、成約坪単価は281.1万円(同12.3%増)と20 年5月から65か月連続で上昇、成約価格は5,352万円(同10.1%増)と11か月連続で上昇、専有面積は62.83㎡(同2.0%減)と2か月ぶりに縮小。在庫件数は43,850 件(同3.4%減)と2か月連続で減少した。
中古戸建ての成約件数は1,986件(同55.0%増)と11か月連続で増加、成約価格は3,906万円(同3.8%減)と3か月ぶりに下落、土地面積は142.85㎡(同2.3%増)と2 か月ぶりに増加、建物面積は102.62㎡(同1.1%減)と2か月連続で縮小、在庫件数は23,538件(同5.3%増)と22年9月から37か月連続で増加した。
初の「ルネタワー」に続き初の最高峰 総合地所「ルネグラン上石神井」第1期が即完

「ルネグラン上石神井」
総合地所は10月2日、首都圏初の最高峰ブランド「ルネグラン」の「ルネグラン上石神井」のメディア向けプロジェクト見学会を行った。駅から徒歩5分の1低層の大型で、高さ規制の緩和を受けた4階建て全106戸の大規模物件で、ZEH・M Oriented、低炭素建築物認定、ABING認定、柱・梁型が少ない厚肉床壁構造など、全体的にレベルの高いマンションだ。第1期25戸が即日完売した。
物件は、西武新宿線上石神井駅から徒歩5分、練馬区上石神井四丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する敷地面積約7.688㎡の4階建て106戸(販売対象戸数105戸)。専有面積は58.28~91.37㎡、第2期(戸数未定)の専有面積は67.55~75.66㎡、予定価格は8,000慢円台~12,000万円台、坪単価は470万円。竣工予定は2026年8月。販売代理は長谷工アーベスト。設計・施工は長谷工コーポレーション。
エントリー開始は昨年10月からで、これまでの反響数は約1,300件、7月から開始したモデルルーム来場者は約220件。9月28日に第一期25戸の販売を行い、即日完売した。反響・契約者の約3割は練馬区居住者で、他は23区広域にわたっており、30代から40代の年収1,000万円台~1,500万円台が中心。
現地の従前はテニスコート。用地は長谷工コーポレーションが土地所有者から相対で取得。駅徒歩5分の1低層の敷地5,000㎡以上の物件は過去20年間で23区では3物件(0.1%)しかない希少物件。
建物は都市計画法55条2項の適用を受け、高さ規制は10mから12mに緩和されている。形状はコの字型で、敷地南側は都の都市計画道路予定地で、その先は西武線の線路。同線は令和22年度完成予定で高架化(4層レベル)が決定されている。敷地東側は道路を挟んで小学校の校庭、北側は住宅地を挟んで中学校の敷地。西側は低層住宅地。敷地中央に約1,000㎡の中庭「五感の庭」が設けられる。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH・M Oriented、低炭素建築物認定、ABING認定、柱・梁型が少ない厚肉床壁構造、環境配慮型コンクリート「H-BA」、二重床・二重サッシ、リビング天井高2450ミリ、2.3mハイサッシ、ディスポーザー、食洗機、フィオレストーンキッチン・洗面天板、分譲マンション初のTOTOの便スキャン付きトイレ「ネオレストAS-W」、可動式収納「ウゴクロ」(75戸)、洗濯物干し(4階のみ)、全熱交換型換気システム(パナソニック製)、管理会社管理者方式「smooth-e」(スム―シー)、T-2サッシなど。住戸のバルコニーにプランターが設置されるのも特徴の一つだ。
見学会で同社分譲事業部マンション開発部開発1課・岩月祥子氏は「駅から徒歩5分の1低層の小・中学校に近い希少立地、1,000㎡の中庭、柱・梁型が住戸内に出ない工法、2.3mのハイサッシなどが高い評価を得ている」などと話した。「ルネグラン」の首都圏第2弾はいまのところ予定はないそうだ。

中庭「五感の森」

外観
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同社の最高峰ブランドマンション「ルネグラン」(関西圏は3物件の供給事例あり)を初めて見学した。先の「ルネタワー八王子」もそうだったが、今回の物件の基本性能・設備仕様レベルは高い。坪単価470万円も安いと思う。都心へのアクセスはともかく、西武池袋線石神井公園駅圏のマンションの坪単価は600万円超だ。
販売事務所・モデルルームの観葉植物が全て本物だったのにも記者は感動を覚えた。「ルネグラン」への自負がうかがえる。〝フェイクをやめよ〟としつこく書いてきたことが理解されてきていると思うととてもうれしい。
以下は余談。前回の「八王子」もそうだったが、今回もメディア見学者は10人もいなかった。一昨日の三井不動産レジデンシャル「笹塚」の見学者はその倍以上の20~30人だったはずだ。
なぜ、こんな差が出るのか。既存メディアの〝大手志向〟〝事大主義〟が理由の全てだ。各メディアの取材体制は40~50年昔の紙媒体が中心で、大手デベロッパー、ハウスメーカー、行政担当、中小不動産会社などに細分化されている(もはやそんな垣根はない)。マンション取材もまたこの旧態依然の体制が基本なので、一部の大手マンションデベロッパー以外の見学会は極端に人数が減る(記者はそんな差別的な扱いをしたことがない。「ルネ」は数少ない老舗ブランドだ)。つまり、この日の見学者のほとんどは「笹塚」を見ていないはずで、双方を見学したのは記者だけかもしれない。
しかし、消費者の立場で見れば、物件の質・価値がもっとも重要で、大手も中小も関係ない。専門誌・紙の記者は双方を見ないと、その良し悪しは分からないはずだ。良し悪しが判断できなければ、見学するのは時間の無駄。見ないほうがいい。ただ、モノを見なければ、そのうち「記者」の職業は、AIにとって代わられるのは必至だ。「考える力」が備わっているのが人間だ。

バルコニープランター

キッチンカウンター(オプション)緑は全て本物

模型の周りの床(チップも観葉植物も全て本物)

現地(手前から西武線線路、都市計画道路予定地、マンション)
〝ルネ〟最高峰で初の〝ルネタワー〟総合地所・JR東日本都市開発「八王子」(2025/8/28)
渋谷区最大級 京王線最高値 定借で坪単価700万円 三井不「笹塚」人気

「パークタワー渋谷笹塚」
三井不動産レジデンシャルは9月30日、「パークタワー渋谷笹塚」のプレス内覧会を実施。第2期(約100戸の予定)の販売を10月11日に開始すると発表した。これまでのエントリー数は約15,000件、サロン来場者は約1,500件に上っており、平均坪単価は第1期と同様700万円になる模様。第1期230戸は販売済み。
物件は、京王線笹塚駅から徒歩4分、渋谷区笹塚1丁目の商業地域に位置する、敷地面積約8,100㎡、期間70年の定期借地権付き28階建て全659戸(一般販売対象住戸643戸)。10月11日に登録を開始する第2期(戸数は100戸程度)の専有面積は43.94~108.56㎡、価格は7,000万円台~32,000万円台(前払い地代!含む)、最多価格帯は11,000万円台。坪単価は約700万円になる模様。竣工予定は2027年12月下旬。期間70年の定期借地権付き施工は大林組。
昨春にエントリーを受け付け、これまでの反響数は約15,000件、サロン来場者は約1,500件。今夏に分譲した第1期(230戸)は最高12倍、平均1.8倍で登録完売している。購入者は30~40代のプレファミリー、ファミリーが中心。
現地は、新宿・中村屋の本社・工場跡地。用途地域は商業地域で、従来の高さ規制は50mだったが、「笹塚駅南口地区まちづくり構想」により100mに緩和された。敷地北側には京王線の線路が走っているが、南側は20m以下(一部30m)の住居系エリアが広がっており、中・高層住居の日照・眺望が担保されている。駅からは高架下を通れるので、ほとんど雨に濡れない。
敷地内に650本の樹木を植栽、じゃぶじゃぶ池、広場などを設け、建物は制震構造で、外観デザインは、フィン、水平ルーバー、グラテーションガラス、石柱など玉川上水の自然を取り込み、形状はロの字型。1~3階は商業施設、共用施設などで、住居は4階以上。北側住戸は16階までは二重サッシ(住戸側は樹脂サッシ)。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M、Oriented認定、二重床・二重天井、26階までのリビング天井高2550ミリ(27・28階のプレミアムフロアは2650ミリ)、ディスポーザー、食洗機、フィオレストーンキッチン天板、バックカウンター・食器棚、クォーツストーン洗面カウンター/陶器製ボウル、ローシルエットトイレ、Low-Eガラス、指はさみ防止玄関ドア/建具など。共用施設はラウンジ、ゲストルーム(5室)、ライブラリー、パーティルーム、プレイ&ライブラリー、スカイテラス、ランドリーなど。アートディレクター北川フラム氏が率いるアートフロントギャラリーが監修し、アーティスト7組のアート・オブジェなどか設えられるほか、パラアートも展示される。

外観 広場

じゃぶじゃぶ池

スカイデッキ
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まず、単価、昨年末の三井不動産グループ記者懇親会で、記者は嘉村徹社長に「坪単価は700万円でどうですか」と聞いたところ、「いい線だ」という回答があった。まさかその通りになるとは思っていなかったが、どんぴしゃり(価格は市場が決めるもの。記者はコメントしないが、京王線の最高値=所有権に換算して)。
問い合わせが15,000件に達しているのは正直驚いた。内覧会資料には、渋谷区内のこれまでの「広尾ガーデンフォレスト」「代官山アドレス」「パークコート渋谷」「パークコート神宮北参道」「青山パークタワー」「シティタワー恵比寿」「センチュリーフォレスト」などの人気物件が紹介されていたが、「笹塚」の規模はこれらを上回る区内最大級という。これが反響の多さにつながったのか。(同社はこれまで最寄り駅が京王線幡ヶ谷駅の「パークコート渋谷大山町」や「パークホームズ代々木西原」を分譲しているが、物件名にわざわざ「渋谷」「代々木」を付け、「幡ヶ谷」を付けなかった。今回も「渋谷」を付けている。「代々木西原」は「代々木上原駅」から徒歩9分、「幡ヶ谷駅」から徒歩5分、坪単価は780万円で早期完売した。すぐ隣の世田谷区、杉並区、京王電鉄は考えたほうがいい)
74㎡のモデルルームのスパンは9.8mのワイドスパンで、北向き住戸の45㎡でも6.17m。人気になっているのはよくわかる。この種(写真)の指はさみ防止ドア・建具は初めて見た。
もう一つ強調したいのはパラアートだ。この種のアートは同社をはじめ、三菱地所、野村不動産、東京建物もマンション、その他の施設に積極的に採用している。素晴らしい作品ばかりだ。記者はこれまで絵画などを鑑賞する際、作者の出自、経歴などを一応調べたりはするが、規制・固定概念は捨て、美しいか美しくないかの私自身のモノサシで測る。〝パラアート〟なる言葉が死滅することを願っている。
また、配布資料の最終頁(25ページ)に〝つけたし〟のように紹介されていた「東京都マンション環境性能表示」に記者は注目した。この制度は断熱性、省エネ性、省エネ設備・電気、維持管理、みどりの5項目を★セロから★3つで評価する「東京都マンション環境性能表示」で、「省エネ設備・電気」が★2つだったため、満点の★15個に一つ欠けてはいるが14個を獲得している。(自治体の〝お墨付き〟をどう評価するかだが、記者はこの制度はとてもいいと思う)
ひとつだけ残念だったのは、サロン内の観葉植物だ。ほとんど全てがフェイク・グリーンだ。野村不動産の「BLUE FRONT SHIBAURA」や新宿のマンション総合ギャラリー、日鉄興和のギャラリーなどを同社関係者は見ているはずだが…。(余談だが、記者はこのように思ったことを書く。是々非々だ。ある大手デベロッパーは、記者が批判的な記事を書いたためか、一切取材の呼びかけがなくなった。三井不動産はそのような愚行をこれまで一度もしたことがない。念のため)

指つめ防止ドア建具

パラアート

パラアート

サロン(グリーンはほとんどフェイク)
三井レジ他「パークコート渋谷大山町」低層住宅街の大規模単価は470万円(2014/12/3)
三井不レジ賃貸「東京日本橋」アジア初のヒルトン最上級ラグジュアリーブランド
三井不動産レジデンシャルとヒルトンは9月25日、三井不動産が参加組合員として参画・推進している「日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業」の三井不動産レジデンシャルが事業推進する賃貸レジデンスの名称を「ウォルドーフ・アストリア・レジデンス東京日本橋」と決定し、ヒルトンの最上級ラグジュアリーブランド「ウォルドーフ・アストリア・ホテルズ&リゾーツ」の名を冠したアジア太平洋地域初のレジデンスとなると発表した。入居開始は2027年秋の予定。
レジデンスは、プロジェクトのメインタワー(高さ約284m)の48~51階に誕生し、39~47階に開業予定のホテル「ウォルドーフ・アストリア東京日本橋」と連携し、「ウォルドーフ・アストリア・ホテルズ&リゾーツ」ブランドの象徴であるお客様一人ひとりに合わせたきめ細やかなサービスを居住者に提供する。
ヒルトンは、ウォルドーフ・アストリア・レジデンスをニューヨーク、ラスベガス、シカゴ、ドバイなど現在9軒展開しており、アジア太平洋地域では同ブランドのレジデンスは初となる。居住者専用の共用施設として50階にキッチン付きパーティーラウンジ、マルチルームを備えたテラス付きロビーラウンジを用意。50階ラウンジ一面に広がる屋外テラスは地上約250m。住居には、ホテルスタッフによるポーターサービス、ヴァレーサービスのほか、ランドリー・クリーニング、ハウスキーピング、ルームサービス、出張シェフ・ケータリングサービスなどを提供する。また、ホテルのレストラン、プール、スパ、フィットネスなどの共用施設の利用に際しては、レジデンス各フロアから居住者専用エレベーターでホテルフロアにアクセスできる。
日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業は、東京メトロ日本橋駅直結の総敷地面積約18,990㎡で、A街区は業務・商業施設からなる4階建て延床面積約約 5,100㎡、B街区は住宅・商業施設からなる7階建て延床面積約約 6,500㎡、C街区はフィス、商業施設、ホテル、居住施設、MICE施設、ビジネス支援施などからなる52階建て延床面積約約368,700㎡。都市計画・事業コンサルタント・基本設計・実施設計・監理は日建設計。外観デザインは日建設計、Pelli Clarke & Partners Inc。施工は日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業建設共同企業体。全体竣工は2026年9月末。
「ウォルドーフ・アストリア・レジデンス東京日本橋」は、C街区の48~51階に設けられ、延床面積は約14,800㎡。専用面積は約60~約430㎡。総戸数は71戸。入居開始は2027年秋の予定。
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専用面積が最大で約430㎡なのに驚いた。三井不動産レジデンシャルは2016年に分譲した「パークマンション檜町公園」では約580㎡、価格にして55億円(坪単価3,129万円)の供給実績があるが(麻布台ヒルズはもっと広くて高いのか)、賃貸レジデンスはどうなのか。
墓地に隣接〝田の字地区 最後の低単価物件〟タカラレーベン他「京都河原町五条」

「レーベン京都河原町五条ONE SUITE」
タカラレーベン(事業比率40%)・パナソニックホームズ(同35%)・積水化学工業(同25%)の3社JVマンション「レーベン京都河原町五条ONE SUITE」のモデルルームを見学した。京都市の中心地「田の字地区」の玄関口に位置する11階建て(高さ規制31m)の大規模物件で、敷地南側に寺院がある関係で、南側住戸の日照が担保され、共用施設が充実しているのが特徴。販売担当者は「田の字エリアでこの価格で分譲できる最後の物件」と強調した。
物件は、京都市営地下鉄烏丸線五条駅から徒歩4分、京都市下京区の商業地域、近隣商業地域(建ぺい率80%、容積率574.07%)に位置する11階建て全186戸。第2期(戸数未定)の専有面積は50.68~85.03㎡、予定価格は5,300万円台~10,500万円台(最多価格帯7,300万円台)。竣工予定は2026年9月上旬。デザイン監修はウイ・アンド・エフヴィジョン。施工は日本国土開発。
第1期(72戸)の契約会を9月6日に実施し40戸が契約済み。申込者の7割が京都市内居住者で、その他は東京都を中心に広域に広がっておいる。これまでのエントリー数は約1,000件。
現地は、市内中心地の「田の字地区」の玄関口にあたる五条駅が最寄り駅で、敷地形状は凸型に近く、底の部分に当たる北側が高さ規制31mの五条通に面しており、突き出た部分は駐車場に当てられている。駐車場の左右(建物の南側)は長さ数十メートルにわたって墓地が広がっている。
標準階の住戸は内廊下を挟んで南向きが10戸、北向きが8戸。プランは南西角の85㎡台が10戸、南東角の81㎡台が10戸、北東角の74㎡台が10戸。このほかは50~60㎡台。
主な基本性能・設備仕様は直床、リビング天井高2400ミリ、ガス洗濯機・乾燥機「乾太くん」など。共用施設はフィットネスルーム、ゴルフシミュレーションルーム、ゲストルーム、マルチルーム、屋上テラス、ラウンジなど。
同社マンション事業本部西日本支社営業推進部第2営業部1課・上田遼氏(26)は、「おそらく、田の字地区を中心とするエリアでこの価格で買える最後のマンションになるはず」と語った。


ラウンジ
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価格については詳しくは触れない。現地を見ていないし(見る余裕がなかった)、価格は市場(消費者)が決めるものだ。ただ、上田氏が語ったように、単価は割安感があると思う。今後は、調整区域だろうが土地代がただだろうが、坪単価250万円以下はありえず、建築費・人件費の上昇を考えると、早晩300万円になるのは間違いない。
ましてや、この物件は京都駅から歩こうと思えば約20分の至近距離だ。関係者によると田の字エリア内は坪400万円を軒並み突破しており、とくに人気の高いエリアの物件は坪800万円しているそうだ。
そして何よりこの物件の特徴は、隣接する墓地はほとんど永代所有権が設定されているので、他の用途に転用される可能性がない、つまり、マンションの南側に面した住戸の日照が担保されているということだ。商業地域立地で、敷地の南側数十メートルにわたって高い建物が建たないマンションなど100に一つあるかないかだろう。第1期に申し込んだ人は圧倒的に地元居住者が多いのは、この日照権が担保されている実利を選択したからだろう。同社もまたそこにターゲットを絞り込んだと思われる。
逆もまた真〝京都らしくないが、京都を知る人の評価高い〟大和ハウス「三条堀川」(2025/9/13)
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50階建てツイン1,455戸の入居開始 「HARUMI FLAG」全5,632戸完成

「HARUMI FLAG」
三井不動産レジデンシャルを代表とする三菱地所レジデンス・野村不動産・住友不動産・住友商事・東急不動産・東京建物・NTT都市開発・日鉄興和不動産・大和ハウス工業の特定事業者10社は9月19日、「HARUMI FLAG」内の最後の50階建て1,455戸のツインタワー棟「HARUMI FLAG SKY DUO」が竣工し、同日から引渡しを開始したと発表した。
「HARUMI FLAG」は、東京都が施行する晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業において、特定建築者が約13haの土地に5,632戸の分譲住宅・賃貸住宅と商業施設を合計で24棟建築するほか、保育施設、介護住宅などを整備するもの。
「HARUMI FLAG SKY DUO」は、開発の進む湾岸エリアの突端部、東京湾を挟んでレインボーブリッジに正対する立地に位置する、ランドマーク性やシンボリックな存在としての特性を備えている。
2つのタワーの48階にはそれぞれ「SKY LOUNGE URBAN」「SKY LOUNGE OCEAN」ラウンジを設置している。
街づくりの特徴は、免制震ハイブリッド工法と長期優良住宅認定、低炭素建築物認定、スケルトン・インフィルの採用など。専有部の平均面積は約74㎡、リビング・ダイニングの天井高は約2,600mm、廊下の有効幅は約1,000mm、サッシュ高は約2,100mmなど。


SUN VILLAGE48階BOOK CORNER

PARK VILLAGE48階SKY LOUNGE OCEAN

全国のマンション 富裕層やシニア層のセカンド・投資・移住ニーズ継続 大和ハウス

記者レクチャー会〈2025年基準地価〉
大和ハウス工業は9月12日、記者レクチャー会〈2025年基準地価〉を開催。9月16日に発表される「令和7年 都道県地価調査」の記事化に資する情報を提供するもので、マンション事業について同社ハウジング・ソリューション本部事業統括部副統括部長・角田卓也氏が、分譲戸建てについて同本部事業統括部事業推進部分譲住宅推進グループ担当次長・中岡敬典氏が、物流施設事業について同本部事業統括部不動産流動化推進室担当次長・廣渡政和氏がそれぞれ市場動向などについて説明した。
首都圏マンション市況 立地条件などにより成否が顕著
投資・インバウンド需要背景 近畿圏の用地買収激烈化

角田氏
マンション事業環境について角田氏は次のように語った。
首都圏の市況は、都心3区は、継続して順調に推移し、23区も利便性の高い、住環境の良い物件は順調に進捗している。一方、条件が悪い物件や郊外物件などは取得能力と価格上昇の乖離などから販売は鈍化傾向にある。
関西圏は、大阪駅前再開発が市場を牽引し、北摂や阪神エリアの資産性と利便性が高い駅前再開発案件などの人気が継続している。京都は供給過多ではあるが、京都風情を求める首都圏の富裕層やインバウンドのセカンドニーズが強い京都市中心地(田の字エリア)内など好立地物件は堅調に推移している。
地方圏(北海道・沖縄)は、本州からの富裕層やシニア層のセカンド・投資・移住ニーズの需要が継続して見られる。
エリア別の用地取得環境は、首都圏は一部都心エリアの用地価格の上昇が継続している一方で、山手線の外側エリアにおいては、販売が鈍化している案件もあるため、用地取得エリアの選別が進んでいる。郊外エリアでは建築費の高騰を吸収するために土地価格が下落しているエリアも確認されている。
近畿圏は、販売が好調な大阪市中心部、京都市中心部を中心にデベロッパーの買い意欲が集中し、土地価格の上昇は継続している。また、インバウンド需要を受けた民泊対応マンション向けや一般投資家向け収益案件開発が活発で、買収環境は激烈になっている。
地方圏は、札幌、沖縄は引き続き上昇基調であるが、大都市においては、建築費高騰を吸収することが難しく、価格は上限に近づいている。
投資需要は、金利の上昇、過熱化している不動産価格をふまえて機関投資家はやや慎重な姿勢を見せているものの、一般投資家(個人を含む)の都心分譲マンションのキャピタルゲインを狙う意欲は強い。賃貸マンション分野では、新築マンションの供給減・価格上昇に起因する賃料のアップが顕在化している。
インバウンド需要は、万博需要・IR需要が期待できる大阪エリアは土地価格上昇が顕著で、ラグジュアリーホテルなどの開発が加速化。土地価格は高騰している。
分譲戸建て 着工は2022年度以降大きくの減少
同社は販売、金額とも増加 木造化比率は24%へ

中岡氏
分譲戸建てについて中岡氏は、新設着工戸数は2022年度から大きく減少している一方で、同社は販売戸数、契約金額を伸ばしており、2024年度の販売戸数は2,257戸(前年度比28.2%増)、契約金額は前年度比29%増となったと報告。販売用土地の保有は約5,100区画で、販売戸数は約1,500棟。
分譲住宅の今期の木造化比率は24.3%(前期は16.3%)を目標にしており、全体の木造比率15.3%(同11.0%)を上回っている。ZEH率はほぼ100%を達成している。
物流市場 極端な供給過剰は終息 空室率は高止まり

廣渡氏
物流施設などについて廣渡氏は、2025年上期テナント入居地域傾向(契約締結べース)は成約件数、成約面積とも3大都市圏が65~67%を占め、トピックスとして大手アパレルの期間限定のニーズによる成約や、冷凍冷蔵倉庫の1,000坪以下区画が複数成約したと語った。
物流施設の市場動向としては、極端な供給過剰は終息し、ある程度バランスが取れた需給になると予想。空室率は中期的には低下の予測も、現状では高止まりの状況にあり、新規供給は、未着工案件については不透明要素(特に施工ゼネコンの確保)が増加しているとした。EC市場は着実に成長を継続中と語った。
同社の建築事業部門の実績、トピックスとして、全国で分譲中の工業団地は408棟、総開発延床面積は約1,495.1haで、中国地方では従前の地価調査水準約30万円/坪だったのが、2022年には約40万/坪になり、現在は約80万/坪になっている事例を紹介した。
◇ ◆ ◇
首都圏マンションでは、来年2月に分譲される同社の「プレミスト船橋」(677戸)が最大の注目物件だ。今後の千葉県のマンション市場ばかりでなく、主要駅圏の相場を劇的に変える試金石になるはずだ。
このマンションについては、9月3日に行われた同社の「マンション事業計画説明会」で同社上席執行役員ハウジング・ソリューション本部マンション事業本部長の富樫紀夫氏(62)が「当初の販売価格は320~330万円を予定していたが、建築費は倍くらいになったので、販売価格は倍とまではいかないが、かなりそれに近い金額になりそう」と語ったので、角田氏にもう少し詳しく聞こうと質問したが、やんわりと交わされた。ただ、反響件数は富樫氏は4,500件超と話したのに、今回の角田氏は5,000件と話した。10日間で500件増だ。このままのペースだと1万件を突破することになりそうだ。
価格がどうなるかは分からないが、富樫氏が話した通りなら坪600万円近くになる可能性が高い。バブル時の相場は記憶にないが、バブル崩壊後では最高値の東京建物他「Brillia Tower 千葉」(491戸)をはるかに上回るのが確実だ。
基本性能・設備仕様もどうなるか不明だが、同じ長谷工コーポレーション施工の総合地所・JR東日本都市開発「ルネタワー八王子」が参考になる。レベルが突出していた。「船橋」も同レベル以上になるのは間違いない。
用地買収環境が激烈化している京都市の田の字エリアのマンションを取材したので、記事を参照していただきたい。
逆もまた真〝京都らしくないが、京都を知る人の評価高い〟大和ハウス「三条堀川」(2025/9/13)
京都好きには堪らない 自然素材ふんだんに採用 コスモスイニシア50周年「御所南」(2025/9/13)
大和ハウス他「プレミストタワー船橋」(677戸)反響4500件超 単価は500万円超(2025/9/3)
最高の立地で世界初のリニア式ロボット「CUEBUS」 「DPL江東深川」のビームス(2025/9/10)
〝ルネ〟最高峰で初の〝ルネタワー〟総合地所・JR東日本都市開発「八王子」(2025/8/28)
第1期90戸は坪421万円 高額住戸中心に人気 東京建物他「Brillia Tower 千葉」(2024/4/17)
逆もまた真〝京都らしくないが、京都を知る人の評価高い〟大和ハウス「三条堀川」

「プレミスト京都 三条堀川」現地
京都市中心部の田の字地区に位置するコスモスイニシア「イニシア御所南寺町」の次は、同社株の38.21%を所有する大和ハウス工業「プレミスト京都 三条堀川」だ。グループ会社の「イシニア」だけでなく、田の字型地区の他の物件とも異なる〝京都らしくない〟のが売りの一つでもあり、同社本店マンション事業部営業部第二課課長・小池裕樹氏(47)は「京都をよく知っている方の評価は極めて高い」と、市内での分譲実績では他のデベロッパーに負けない経験からか、売れ行きには自ら太鼓判を押した。
物件は、京都市営地下鉄東西線二条城前駅から徒歩5分・烏丸線烏丸御池駅から徒歩10分、京都市中京区堀川通姉小路下る姉東堀川町の商業地域に位置する11階建て全85戸(一般分譲対象外4戸含む)。9月19日から登録受付し23日に抽選する第1期(35戸)の専有面積は43.05~107.72㎡、価格は4,290万~18,500万円。坪単価は400万円台の半ばになる模様。施工は共立建設。竣工予定は令和8年8月。
現地は、堀川通に敷地西側が接道しているほか、南側と東側に幅員約4mの道路にそれぞれ接道。建物は東西軸が長い長方形。全85戸のうち専有面積が107㎡の南東角・北西角住戸が17戸あるのが特徴。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented&低炭素住宅認定、直床、リビング天井高2400ミリ、食洗機、フィオレストーンキッチン天板、ガス洗濯機・乾燥機「乾太くん」、ウルトラファインバブル給湯器、浴室タオル掛け2か所、トイレドア壁面セットバックなど。
小池氏は、「6月から受付を開始した問い合わせ件数は約1,000件。モデルルームは京都らしくないのも特徴の一つで、京都をよく知る方の評価が極めて高い。11階建てなので竣工も早いが、急がず淡々と売っていく」と話した。市内での供給実績では「2013年から今回の物件が17棟目。大手デベロッパーの中では当社が1番か2番のはず」と、豊富な経験が商品企画に生かされ、販売につながっていることをほのめかした。
◇ ◆ ◇
販売事務所のエントランス正面には、料亭のカウンター・テーブルによく用いられている数十万円はしそうな無垢材が床から天井まで縦に張られ、壁はマンションのエントランスホールと同じ仕上げとなる格子デザインになっていたので、〝ここも京都らしさの演出か〟と思ったのだが、107㎡のモデルルームは全くそうではなかった。京都由来といえば、小物として置かれていた茶道セットくらいだったのに驚いた。
しかし、その企画意図はすぐ理解できた。逆もまた真なり。いかにも京都らしい設えを歓迎する人は多いだろうが、中にはそのような演出に辟易している層も少なからずいるはずで、「京都をよく知る人の評価が極めて高い」というのはその証左だ。
モデルルームの玄関・エントランスの幅が約1.5mと広いのがとてもいいし、梁下を逆手に取ったデザイン処理も見事だ。写真を撮ろうと思ったら、小池氏は「写真はOKだが、モデルルームはオープンにしていないので、記事には載せないで頂きたい」と断られた。他社に真似られたくないのだろう。
京都市の建築規制についても話しあった。緑被率を高めるとか公開空地を設けるとか、天井高を高くして居住性を高めた建築物には絶対高さ規制を緩和すべきという記者の持論について、小池氏は「それはマンション屋の考えること。歴史的、文化的価値を重視するのが京都。独特の価値観がある」とやんわりと否定、高さ規制にも理解を示した。
このほか、いろいろ話しあううちに、小池氏は営業担当にありがちな〝売らんかな〟の単眼思考でなく、消費者目線から不動産の価値を測れる複眼の目を持っている方だと確信した。経歴が気になったので聞いた。「出身は新潟。入社してから東京をスタートに沖縄-福岡-熊本-大阪を経て京都は2年。(富樫氏の出身地の)北海道? ○○だが未経験」と笑った。「プレミスト船橋塚田」が素晴らしい物件だったことでは意見の一致を見た。「イニシア御所南」については「いい物件」と小池氏は評価した。

現地(堀川通北側から)

販売事務所エントランス
◇ ◆ ◇
田の字地区は、「京都市の四条烏丸の交差点を中心として北端を御池通、東端を河原町通、南端を五条通、西端を堀川通に囲まれ、烏丸・河原町といった商業地区や観光地を擁するおよそ2平方キロメートルの地区を示す俗称」(ウィキペディア)だ。
面積的には東京でいえば皇居や「大丸有」の2倍弱に該当する。京都市のホームぺ時から図表を紹介するが、町家特有の街並みと基幹道路を除いた地域の建築物の絶対高さが15mに定められていることなどから、1物件当たりのマンション規模は20~30戸台が多いが、年間10件くらいが供給されているというから大激戦区だ。
坪単価は400万円超となっており、高瀬川のあるエリアは坪800万円くらい、エリアの外ではあるか鴨川沿いは坪1,000万円超となっているようだ。

市のホームページから

市のホームページから
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実質10か月で300戸超の驚異的売れ行き大和ハウス「プレミスト船橋塚田」(2020/10/20)

