三菱地所が「メセナ大賞」 アーバネットコーポとポラスが優秀賞 企業メセナ協議会
「メセナ アワード2017」記者発表会(ユニゾ八重洲ビル:フクラシア八重洲で)
左から中村氏、山本氏、江本氏
企業メセナ協議会(理事長:尾﨑元規氏)は11月2日、「メセナアワード2017」の受賞活動7件を発表。「メセナ大賞」に三菱地所の「Shall Weコンサート(出張コンサート)」、優秀賞にアーバネットコーポレーションの「アート・ミーツ・アーキテクチャー・コンペティション(AAC)」が「アートの玄関賞」、ポラスの「南越谷阿波踊り」が「街が踊る賞」に選ばれた。
「メセナアワード」は、企業による芸術・文化を通じた社会創造の観点で特に優れた活動を顕彰するもので、今回が27回目。選考対象は136件。住宅・不動産業界から一度に3社も受賞したのは初めて。三菱地所は3度目(過去2回は優秀賞)の受賞。
大賞の三菱地所は、障がいのある子どもたちの音楽鑑賞・体験機会を創出する活動として、都内特別支援学校を対象としたきめ細やかな取り組みが評価された。同社は2004年に活動を開始し、これまで76校、1万人以上の児童・生徒が参加している。
「AAC」は、彫刻分野で学生を対象にした前例のない活動であり、新たな才能を見出していることと、経営資源をいかした継続的な支援により、若手の育成に貢献していることが評価された。AACは今年で17回目、応募作品は117作品(94名)に上っている。
「南越谷阿波踊り」は、一企業による地元・公共への貢献として、長年をかけてふるさとづくりに寄与し、地域祭礼へと成長し、祭りを通じて世代間や地域間をつなぎ、地域社会に活気を与えていることが評価された。1985年に第1回を開催して以来2016年で32回目を迎え、8月の3日間で約70万人の観客が訪れる。日本三大阿波踊りの一つになっている。
受賞発表会で三菱地所環境・CSR推進部CSRユニット・中村可奈子氏は「文化・芸術・障がい者支援活動を継続して行っており、受賞は大変うれしい」と、アーバネットコーポレーション管理本部広報・IRグループ・山本文美氏は「継続は力なり。大変光栄」と、ポラス経営企画室室長・江本昌央氏は「始めたときは11連3万人だったのが、いまでは70万人が参加するようになった。今後も地域の文化、交流を発展させていく」とそれぞれ喜びを語った。
三菱地所「Shall Weコンサート(出張コンサート)」
アーパネットコーポAAC 2016年最優秀賞「GEMME」(古川千夏氏)
ポラス 第32回南越谷阿波踊り フィナーレ
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毎週の主催者から取材の案内状は届いていた。記者ももう30年くらい前集中的に取材したことがあるが、いまさら「メセナ」でもないだろうと見送りを考えた。ただ、案内メールには「本メールは建築・不動産・住宅関連メディア様を中心にお送りしております」との一文が添えられてあったので、ひょっとしたらデベロッパーやハウスメーカーが受賞するかもしれないと思い、また、事務所から会場までは歩いて10分もかからないので直線に申し込み、空振り覚悟で出かけた。
会場についてすぐ、ポラスの広報担当者とぱったり出会った。すぐ受賞が読めたのでうれしかったのだが、何と大賞に三菱地所が、優秀賞にポラス、アーバネットコーポが名を連ねているではないか。
受賞したのは、ほかに沖縄タイムズ、ジェイティービー(JTB)、東日本鉄道文化財団、富士ゼロックス(文化庁長官賞)などそうそうたるメンバーがそろっていた。
こんなうれしいことはない。三菱地所のメセナ・CSR活動は結構取材しており、ポラスの南越谷阿波踊りはこの10数年間ずっと鑑賞(半分は酔っぱらって寝ているが)し続けている。アーバネットのこの活動も、始めるとき服部信治社長から話を聞いており、いいアイデアだと思っていた。
今年も南越谷阿波踊りを満喫 ハウスメーカーの住宅広報連絡会(2017/8/22)
三菱地所 企業メセナ活動で文化庁長官賞受賞(2013/11/21)
三菱地所 障がい者のアート作品展10月30日から全国6会場で開催(2015/10/29)
「第11回キラキラっとアートコンクール」表彰式(2013/2/22)
玉石混交業界へ一石 消費者の安全・安心第一に ステキ信頼リフォーム推進協会設立
ステキ信頼リフォーム推進協会 役員
坂本会長
一般社団法人・ステキ信頼リフォーム推進協会(会長:坂本雄三・東京大学名誉教授)は10月31日、住宅リフォーム事業者や業界の健全な発展と消費者の安全・安心、快適な暮らしを実現することを目的とした同協会を平成29年7月28日に設立し、事業を開始したと発表した。スタート時点の会員は、リフォーム事業者、工務店からなる「たくみ会員」80社など155社。「住宅リフォーム事業者団体」に登録申請する来年11月には300社を目指すという。
同協会は、既存住宅の耐震化の推進や耐震改修技術者の普及を目指し活動しているNPO住まいの構造改革推進協会(最高顧問:平田恒一郎・すてきナイスグループ会長兼CEO)の事業を継承するとともに、既存住宅の性能診断(インスペクション)・流通、国産材の利活用などの幅広い事業を展開する目的で設立された。
設立会見に臨んだ坂本会長は、「リフォーム=悪徳が浮かぶようじゃダメ。良質なリフォームが望まれる世の中にしないといけない。当協会は耐震だけではなく外壁、水回り、設備などを含めた建設、建材、流通などの幅広い分野を結集して構造改革を進め、消費者ファーストを目標に掲げ、社会の発展に貢献したい」などと話した。
「たくみ会員」への入会資格は、建設業の許可を受けていること、常勤の建築士または建築施工管理技士が在籍していること、同協会の正会員2者からの推薦状を取得することなど。会費は3万円/1口以上。
同協会は11月28日(火)、「健全なリフォームの実現と住宅ストックへの展望」と題するシンポジウムをKPP八重洲ビル7階で13:00~15:00まで行う。パネリストは坂本会長、平田氏のほか、五十田博・京都大学教授、長尾年恭氏、モデレーターは戸田俊彦・木と住まい研究協会理事。参加費無料。
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坂本会長など関係者から「悪徳」のフレーズが2度3度飛びだしたように、リフォーム=悪徳というイメージが人口に膾炙している。だからこそ協会の名称にわざわざ「ステキ」(すてきナイスグループ)と「信頼」の2文字を入れたのだろう。とにかく玉石混交の業界だ。
そこで、「どうしたら〝素敵〟も〝信頼〟もとれる業界になるのか」と質問した。坂本会長は「地道な活動を継続していくほかない」と答えた。また、事務局は「住宅リフォーム事業者団体登録業者であることを示すロゴマークも現状では普及していない」と話した。
この、住宅リフォーム事業者団体登録制度は消費者が安心して事業者を選べる環境を整えるために国土交通省が平成26年からスタートさせた。これまで登録された団体は9団体で、事業者の数は「1万あるかないか」(住宅リフォーム推進協議会)のようだ。リフォーム業者は数万社あるともいわれているが、実態についてはどこも把握していない。
この玉石混交の世界に同協会が一石を投じるわけだ。記者も「継続して頑張ってください」としか言いようがない。
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写真は、本数は同じでも筋交いのバランスがいいのと悪いのとでは震災時にどれくらいの揺れの差が出るかを体験できる装置だ。左は住宅の南側の開口部を確保するために筋交いをなくし、北側に集中的に配した模型で、右はバランスよく配したものだ。
関係者によると、新耐震基準になってからも平成12年度までは、筋交いの本数の基準はあったが位置の指定はなかったという。新耐震基準でも耐震性に問題はないとは言えない-初めてこんな恐ろしいことを聞いた。
筋交い1本でこんなに揺れ方に差が出る
平成27年度のリフォームの契約金額は平均626万円 リ推協が調査(2016/3/25)
一押しは隈研吾氏設計の「くろぎ」 上野御徒町「シタマチ、フロント」11/4 街開き
「上野フロンティアタワー」完成予想図
J.フロント リテイリング、大丸松坂屋百貨店、パルコ、TOHOシネマズの4社は11月4日(土)、大丸松坂屋が所有する周辺店舗などの総称として「シタマチ、フロント」を採用し、上野御徒町エリアの新たなランドマークとなる複合商業施設「上野フロンティアタワー」と「松坂屋上野店本館」リニューアルエリアをオープンする。10月31日、開業に先立ってプレス内覧会を行った。
「上野フロンティアタワー」は、松坂屋上野本店に隣接する23階建て延べ床面積約41,000㎡。設計は三菱地所設計、施工は竹中工務店。事業主は大丸松坂屋百貨店。地下1階が松坂屋、1階から6階がパルコ「PARCO_ya(パルコヤ)」、7階から10階がTOHOシネマズ上野12階から22階がオフィス。
「松坂屋上野店本館」も大幅にリニューアルして新たな文化やライフスタイルを創造し、活力を呼び込むという。
大丸と松坂屋ホールディングスの共同持株会社J.フロント リテイリングの担当者は、①隣接の駐車場の容積を活用するなど資産の有効活用②〝脱百貨店〟ともいえる不動産賃貸事業③異分子結合-3点が開発のポイントなどと話した。
お客さんを店先まで案内するロボット「Siriusubot(シリウスボット)」
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商業施設のことはよくわからないので早々に引き上げたが、一押しは建築家の隈研吾氏が設計したPARCO_ya」1階の「厨otona くろぎ」だ。東京でも予約を取るのが困難と言われる日本料理店「くろぎ」の新業態で、和スイート&Barの店だ。
暗い照明のなか、微小なしぶきのようなものがちりばめられた黒い壁が全面に張られ、黒いオーロラのようなすだれが間仕切りとして採用されていた。
店のスタッフに問い合わせたら、壁は特注品の「落水和紙」で、しぶきは波紋を現しているそうだ。すだれはフェイクでなく本物の竹を採用しているとのことだった。酒は安くもなく高くもない。焼酎は「百年の孤独」「獺祭」が1,000円。圧倒的な人気を呼ぶのではないか。
店の人と話していたら、「くろぎ」は東大本郷キャンパス内のダイワユビキタス学術研究館にもあるとのことだった。それで思い出した。2014年、「ダイワユビキタス学術研究館」の完成を祝うイベントを取材した際、この「くろぎ」で850円も払ってコーヒーを飲んだことを。もちろんそれだけの価値があると思ったが。
記者を含め報道陣がたくさん見入ったのは、パルコと日本ユニシスが共同で開発した客を案内するロボット「Siriusubot(シリウスボット)」。6階の飲食フロアに配置されており、日本語、英語の呼びかけに応え、店舗まで誘導する。記者が「一番おいしい店はどこですか」と聞いたが、そのような質問には答えないそうだ。
以上、「厨otona くろぎ」
応募作2万点超 木住協 第20回「木の家・こんな家に住みたい」作文コンクール表彰式
第20回「木の家・こんな家に住みたい!!」作文コンクール表彰式(すまい・るホールで)
日本木造住宅産業協議会(木住協)は10月28日、小学生を対象にした第20回「木の家・こんな家に住みたい!!」作文コンクール表彰式を行った。各省大臣賞など18作品や木住協各ブロック賞の合計30作品が入賞。それぞれ賞状と副賞が手渡された。
コンクールは、国土交通省・文部科学省・農林水産省・環境省・住宅金融支援機構・朝日小学生新聞社の後援を得て行われているもので、今回は過去最多となる海外6か国7校を含め国内外から1,733校の応募があり、応募総数も6年連続の2万点を超える22,778点に上った。
冒頭にあいさつした木住協会長・市川晃氏(住友林業社長)は、「審査員の方々は素晴らしい作品ばかりで選ぶのが大変だったと仰った。私も読ませていただいたが、情景が目に浮かんだり、やさしい気持ちがよく表現されていたり、わくわくさせられたりして、とてもうれしい気持ちになりました。私たちは美しい自然や環境を未来に残す責任があります。来年のコンクールはもっと成長させる。楽しみにしてください」などと話した。
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それにしても2万点超の数字がすごい。1点を400字原稿用紙2枚として4万枚超。小説に例えると、世界最長とされる900万文字のマルセル・プルースト「失われた時を求めて」、わが国最長の原稿用紙13,000枚の中里介山「大菩薩峠」をはるかに超える。積み上げると高さは2mくらいに達するはずだ。それを一つひとつ読まれた関係者には頭が下がるばかりだ。
世の中にはこの木住協の応募数を超える作文コンクールがいくつもあるというから驚きだ。それなのにわが国のノーベル文学賞受賞者は川端康成と大江健三郎氏しかいない。ハルキストは歯ぎしりしているが、日本生まれのイギリス人、カズオ・イシグロ氏に先を越されてしまった。
そこで木住協にお願いしたい。過去20年間を振り返って子どもの作文力は高まったのか退行したのか、木造住宅は進化したのか後退したのか、各分野の専門家を集めてぜひ検証していただきたい。
市川氏
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耳が遠くなったせいもあり、壇上で読まれた8人の子どもの入賞作文は聞き取れなかったものもあったが(以前はプロジェクターで紹介されたこともあった)、気が付いたことをいくつか。
一つは、祖父母の木造住宅をテーマにしているものが多かったということだ。募集条件が「夏休み期間中の自由課題」なのでこれはこれで納得するのだが、逆に考えればいまの子どもたちが住む住宅は美しくないのか、木の香りがしないのか。木住協を含めたメーカー、工務店は考えないといけない。経済性優先のケミカル製品だらけの住宅を造っていないか。
このことと関連するのだが、もう一つは、子どもたちが〝このように書けばほめられる、入賞できる〟と先生や主催者の意図を忖度してテクニックに走りすぎてはいないかということだ。朗読された作品は、会話文を巧みに挿入し、メタファー(暗喩)の技法をうまく取り入れているが、あまりにも美しすぎてその背後に〝大人の企み〟〝大人の匂い〟が見え隠れする。コンクールは美文・名文を顕彰する以外にも子どもの鋭い感受性、想像力を引き出すことにあるのではないか。
記者は、小学1年生の圓山義久くんの「ぼくのつくる木のいえはかみ」がもっとも印象に残った。圓山くん、日本には本気で紙の家を普及させようとしている坂茂さんという建築家もいるよ。
もう一つ。紹介された18作品のうち7作品が千葉県市川市の国府台女子学園の生徒さんだったことだ。先にも書いた〝大人の意図〟が感じられないでもないが、みんなしっかりした文章を書いていた。子どもの教育の基本は国語だ。この学校は国語教育に力を入れているのだろうと思った。受賞者の一人に尋ねたところ、書く機会は多いが、学校や親のからの特別の〝指導〟などはないそうだ。
木住協 第19回「木の家・こんな家に住みたい」作文コンクールに応募2万件超(2016/10/31)
プレハブ建築協会 国産材利用拡大へ向け検討会設立
プレハブ建築協会は10月27日、国産材利用に向けた検討会を立ち上げ、今後の取り組みについてまとめ発表した。
立ち上げたのは旭化成ホームズ、積水化学工業、積水ハウス、大成建設ハウジング、大和ハウス工業、トヨタホーム、パナホーム、ミサワホーム、ヤマダ・エスバイエルホームの会員有志による9社で、今年6月と8月の2回の会合を経て今後の取り組みを取りまとめた。
今後の取り組みは、①国産材の価格・質・量を見ながら2×4材、集成材などを中心に国産材利用の拡大を目指す②イニシャルコストの低減に向けて林野庁補助事業の活用を検討③協会内にワーキンググループを立ち上げ、国産材業界との情報交換、連携を行い、利用推進の方策の検討を行う④大学、公的機関、関連団体などと利用技術に関する共同研究を検討する-など。
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国が「10年後の木材自給率50%以上を目指す」と決めたのは2009年12月だった。当時の自給率は26.0%で、10年間に50%まで引き上げるのは絶望的だと思っていたが、昨年、計画を見直し、全体の供給量を当初計画の3,900万㎥から3,200万㎥に引き下げるとともに達成年度を2025年までと5年先送りした。
現状認識、見通しが甘いと言ってしまえばそれまでだが、森林・林業の再生・活性化は喫緊の課題だ。杜甫は「国破れて山河在り」と詠ったが、その逆はない。美しい日本の自然・文化が荒廃し、破壊され、国が栄えるはずはない。そうならないよう、木材自給率50%以上を目指し頑張っていただきたい。
持続可能な街づくり推進 積水ハウスなど 「江古田の杜プロジェクト」説明会
左から篠崎氏、渡邊氏、田中区長、田中氏(総合東京病院 STR東京ホールで)
積水ハウス、医療法人財団健貢会 総合東京病院、都市再生機構の三者からなる江古田三丁目地区まちづくり協議会は10月25日、「江古田の杜プロジェクト」に関するプレス向け説明会を行った。中野区の田中大輔区長も登壇し、プロジェクトに対する期待について話したほか、関係者が持続可能な街づくりの実現に向けたこれまでの取り組みや今後の展開について説明した。
冒頭に登壇した田中区長は、「区は人口密度が練馬区に次いで高く、住居系用途が8割。4m未満の狭あいな道路が多い。区の北東部に位置するエリアは約6㏊の江古田の森公園があり、広域避難場所にも指定されている。また、保健・福祉・医療施設が集積しており、マスタープランでも緑を生かした街づくりを行うようにしている。プロジェクトに対しては、安全・居住都市づくりの観点から、ファミリー向けの良質住宅の供給、防災機能の整備、小児初期緊急診療などの小児医療、高齢者、子育てコミュニティの支援に期待している」などと述べた。
積水ハウス東京特建支店支店長・篠崎浩士氏は、〝コドモイドコロ〟をテーマにコミュニティを育み、ユニバーサルデザインの取り組みに力を入れ、多世代が交流して循環する街づくりとしての日本版CCRC(Continuing Care Retirement Community)のモデルにしたいなどと話した。
篠崎氏はまた、現在分譲中のプロジェクトの中核をなすマンション「グランドメゾン江古田の森」(全531戸)の進捗について「これまで270戸を供給して250戸が成約済み。順調に進んでいる」ことも明らかにした。
総合東京病院院長・渡邉貞義氏は、平成22年4月に病院の経営を引き継ぐ形で開院したことなどを紹介し、救急医療に力を入れ、病床を451床に増やし、最新の医療機器を導入するなど、地域の中核病院として使命を果たすと語った。
都市再生機構東日本都市再生本部本部長・田中伸和氏は、平成18年7月に都市再生プロジェクトとして決定されて以降、国有地である公務員宿舎とUR都市機構が所有する東雲地区の土地交換によってプロジェクトをスタートさせ、東京ドームとほぼ同じ広さの約4.4㏊の開発を進めてきたことなど経緯を説明した。
野村不 ホテル新ブランド「NOHGA HOTEL(ノーガホテル)」上野に第一号 来秋開業
「NOHGA HOTEL(ノーガホテル)」完成予想図
野村不動産は10月24日、同社グループが商品開発しサービスを提供するホテル新ブランド「NOHGA HOTEL(ノーガホテル)」を立ち上げ、第1号を2018年秋に上野で開業すると発表した。
ホテルが立地する地域に応じたデザインとするほか、地域の職人やデザイナーと連携したオリジナルの家具・備品・アートなどを配置。日本初の黒の江戸切子を開発した「木本硝子」、家紋をコンセプトにデザインする「京源」、インテリア雑貨店「SyuRo」などのデザイン・備品をホテル内に取り入れる。また、宿泊者と地域が深くつながることを目指すため、ホテルスタッフが宿泊ゲストに地域の魅力を積極的に発信する。
総合的なキュレーターとして黒崎輝男氏を、インテリアデザインには南部昌亮氏、大橋規子氏をそれぞれ起用。
物件は、JR上野駅広小路口から徒歩5分、東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅3番出口から徒歩3分、台東区東上野2丁目に位置する敷地面積966.57㎡、10階建て延べ床面積4,896.40㎡。客室は130室(ダブル・ツイン・スイート他)。建築主はNREG東芝不動産。運営は野村不動産ホテルズ。
「SyuRo」
「京源」
「木本硝子」
エコ・ファースト推進協 第8回「エコとわざ」コンクール 環境大臣賞など30作品
エコ・ファースト推進協議会(議長:和田勇・積水ハウス会長)は10月23日、第8回「エコとわざ」コンクール審査結果発表した。
同コンクールは、環境省の後援、全国小中学校環境教育研究会の協力を得て、7月1日から9月9日まで全国の小中学生から募集し、最優秀作品には「環境大臣賞」(1点)、その他「エコ・ファースト推進協議会」優秀賞、 日本ことわざ文化学会賞(各1点)、各加盟企業賞(27点)の合計30作品が選ばれた。
■最優秀作品賞 環境大臣賞
「ちきゅうのえ あおとみどりで かきたいな」(大阪市立東小路小学校1年 中田理仁さん)
■エコ・ファースト推進協議会優秀賞
「電気消し 名月愛でる エコな夜」(浦安市立日の出中学校2年 竹田真亜さん)
■日本ことわざ文化学会賞
「物心つく前の エコ心」(神戸海星女子学院小学校4年 藤田あまねさん)
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全30作品を読んだ。身びいきかもしれないが、記者が一番好きなのはわが業界の積水ハウス賞に選ばれた東近江市立蒲生西小学校1年 和田昂志郎さんの「じいちゃんの むかしのあそびに エコまなぶ」だ。
東急不動産 渋谷駅西口の再開発 外装デザイン決定
「道玄坂一丁目駅前地区第一種市街地再開発事業」
東急不動産は10月18日、道玄坂一丁目駅前地区市街地再開発組合と共に事業を推進している「道玄坂一丁目駅前地区第一種市街地再開発事業」の外装デザインを決定、商業施設のリーシングを開始すると発表した。
同プロジェクトは、旧東急プラザ渋谷と隣接する街区を一体開発するもので、店舗、事務所、駐車場などからなる地下4階地上18階建て延べ床面積58,970㎡。設計は手塚建築研究所(デザインアーキテクト)、 日建設計(マスターアーキテクト)。設計・施工・監理は清水建設。竣工は2019年秋の予定。
多様な文化が混在する渋谷を表す「小さな物語の集積」をコンセプトに、渋谷駅西口の新たな玄関口を目指す。外装デザインは、街のエネルギーが凝縮された結晶体のような建築を軸として表現している。
三井不&青木茂建築工房 築52年の市場性ない共同住宅をリファイニングで再生
「林マンション リファイニング工事」before-and-after(afterはパース)
三井不動産と青木茂建築工房は10月16日、青木茂建築工房のリファイニング建築手法を活用した、旧耐震の老朽化不動産の再生コンサルティングサービスの第二号案件「林マンション リファイニング工事」の解体現場見学会を行った。関係者など約200名が参加した。
林マンションは昭和41年に建てられた築52年の共同住宅。内外装を一新するとともに、耐震補強をするため耐震改修促進法の認定制度を活用し、確認申請、検査済証を再度取得するリファイニング工事を実施。
見学会で三井不動産レッツ資産活用部・宮田敏雄氏は、「オーナーの方が3年前、当社のセミナーに参加されたのがきっかけ。耐震性に問題があり空き家率は約7割。建て替えると既存建物の半分くらいしか建てられないので、青木氏と連携して今回の手法を採用することになった。工事により戸数は、今のニーズに合わせて40戸から30戸に減らし、賃料については新築の90%に設定。30年の融資も受けられるようにした。ワンストップのソリューションが実現できたのか大きい」と話した。
リファイニング建築は、①躯体以外は全て改修し、内外観ともに新築同等の仕上がり。改修箇所も全て履歴を残す②新築の60~70%の予算③構造上、計画上不要な壁などを撤去し建物を軽くすることで、ブレースを使用しない耐震補強④遵法性の確保。確認申請の再提出、検査済み証の再取得を実施⑤提携金融機関で一定の条件をクリアすれば法定対応年数を超えても融資が可能-などが特徴。
既存建物は、東急大井町線、東急池上線旗の台駅から徒歩10分、都営浅草線馬込駅から徒歩10分、大田区北馬込1丁目に位置する環七通りに面した6階建て延べ床面積約1,049㎡(確認申請当初)。昭和41年竣工の共同住宅兼店舗。既存不適格事項は建築基準法第20条:構造耐力、日影規制、高度地区、容積率。施工は三井不動産リフォームで、2018年3月末に竣工する予定(工期は約8カ月)。竣工後は三井不動産レジデンシャルリースがサブリースを担当する。
見学会では、建築工事として初の中性化対策として実施する亜硫酸リチウム圧入工法も公開された。
亜硫酸リチウム圧入工法
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青木茂氏がただ者でないことを知ったのは2013年の「千駄ヶ谷緑苑ハウス」の解体工事見学会だった。約300名もの見学者が詰めかけ驚嘆した。以来、見学会、講演などで10回くらいはお会いしているだろうか。その都度記事にしているので、「青木茂」と「RBA」で検索していただければ記事は10数本ヒットするはずだ。
建築のことはさっぱりわからないが、リファイニングはリフォームやリノベーションとはまったく次元が異なる、信じられない建築物の再生手法だ。はなはだ失礼だが、青木氏に「建築の魔術師」というあだ名をつけた。
今回の見学会では、1フロアに326本の亜硫酸リチウムを圧入する工事を見てあっけにとられた。工事関係者によると「コンクリートの強度を高めるのではなく、鉄筋の腐食を防ぐ効果がある」工法とのことだ。人間でいえば老化を防ぐ点滴か(内外装、間取りなども一新するから、全体として老いさらばえたおばあちゃんを20歳はともかく30歳くらいに若返りさせるのがリファイニングだ)。
仕事が殺到しているようで、青木氏は「スタッフが足りないのでぜひ応募してください」と茶目っ気も見せた。
青木氏
三井不動産&青木茂建築工房 練馬区のリファイニング見学会に200名(2017/2/27)