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「MIMARU SUITES 京都CENTRAL」

 コスモスイニシア、コスモスホテルマネジメントは6月1日、全室ベッドルームを2つ以上備えた「MIMARU SUITES」シリーズ第4弾の「MIMARU SUITES 京都CENTRAL」を同日開業したと発表した。

 ホテルは、京都市市営地下鉄東西線・烏丸線烏丸御池駅から徒歩3分、京都市中京区衣棚通り御池下る長浜町に位置する10階建て延床面積1,944.60㎡の全19室。

 全室85㎡の客室にリビング、キッチン&ダイニング、畳スペース、2つのバスルームを備える。新しいサービスのトライアルとして、「MIMARU SUITES 京都CENTRAL」と「MIMARU SUITES 東京2施設」との間を手ぶらで移動できるサービス、タクシー無料送迎サービス(京都駅 ⇔「MIMARU SUITES 京都CENTRAL」間)、TaxFreeOnline.jp提携サービス」を用意した。

 

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 野村不動産と埼玉大学は5月31日、持続可能な街づくりに向けた取り組みとして、昨年7月から約半年間にわたって共同で進めてきた小学生向け授業プログラムを開発し、プログラムに基づいた授業を行った結果を公表した。

 授業プログラムは、同社の支援と同大学教育学部生活創造講座技術分野・浅田茂裕教授の指導のもと、同大学の教育学部1年生が開発したもので、授業は小学校6年生3クラスで実施された。

 授業の流れは、①街の中で自分だけの「推しの木※」を見つけて写真を撮ってきてもらう②“推しポイント”や名前などをプロフィールシートに書き込んで、みんなに紹介する③「推しの木」をクラスみんなで共有。多様な視点を知る④街の「推しの木図鑑」としてまとめ地域に公開するというもの。

 今後は、同授業が住民の街への向き合い方に与える効果を継続的に検証するほか、授業プログラム内容や対象小学校の拡充を図り、“持続的に成長する街づくり”“支える人づくり”への貢献を果たしていくとしている。同社が開発中のエリアに位置する小学校でも同様の授業を今年6・7月ごろに行うことが決まっている。

※「推し」とは、人に薦めたいと思うほどに好感を持っている対象のことを指す言葉

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 素晴らしい取り組みではないか。「推し」なる言葉は〝イチオシ〟と同義なのだろうが、これまで20年以上にわたり街路樹や都市公園の取材を続けてきた甲斐があるというものだ。

 浅田先生と大学生の皆さんにお願いがある。埼玉県は、東京都と比べ住居系エリアは少なく、緑被率も高くなく、街路樹の強剪定が平気で行われている。小学生だけでなく、市民講座などを開いて緑の価値を可視化できるような取り組みを行っていただきたい。

 もう一つ。「推しの木」のリストを教えていただきたい。埼玉県の県木が「ケヤキ」であることを知っている人はいったいどれくらいあるのかも知りたい。東京都のイチョウも埼玉のケヤキもひどい仕打ちを受けている。茨城県つくば市の五十嵐市長は「街路樹は街の成熟度の象徴」と語った。小生は「街路樹は人間の成熟度の象徴」と受け止めた。

 

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堀内会長(如水会館で)

 プレハブ建築協会は5月31日、定時総会後の記者会見を行い、堀内容介会長(積水ハウス副会長)がこの1年間を振り返るとともに、今年度の活動について説明、記者団の質問に答えた。

 堀内会長はこの1年間について、昨年6月に改正された省エネ法によりカーボンニュートラル実現の道筋が示され、長期優良住宅の普及のための環境整備が進んだ一方で、昨年(2022年)の住宅着工戸数は、前年に引き続き持ち直し傾向がみられるものの、依然として回復途上にあり、厳しい環境が続いているとし、今年度は住宅市場の回復に向けたZEH化などの取り組みを強化すると語った。

 また、今年1月には協会設立60周年を迎え、新たに設けた協会行動憲章に基づくカーボンニュートラル・循環型社会・自然との共生を目指す取り組みを積極的に推進すると話した。

 さらに、今年は関東大震災の発生から100年目を迎え、頻発化・激甚化する自然災害に対応する体制の強化を図ると語った。

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 質疑応答では、記者団から注文住宅(持家)の減少や、その回復策などについて質問が飛んだ。

 これらの質問に対し堀内氏は、注文住宅市場は厳しいが、積水ハウスは分譲や賃貸でカバーしているとし、改正省エネ法が今年6月に交付され、省エネ基準の適合義務を住宅にも拡大し、100万円/戸の補助が受けられるZEH+などの政府の支援策により、協会会員の建売住宅事業への参入・拡大も可能になると語った。(国土交通省のデータでは2021年の注文戸建住宅のZEH普及率は26.7%、建売戸建住宅は2.6%)

 小生は再質問をしようとも思った。堀内氏が属する積水ハウスなど大手のハウスメーカーは、ZEH化コストを価格に転嫁するのは比較的容易で、政府の支援策の恩恵を受けられるだろうが、持家、分譲戸建て市場の圧倒的シェアを占める、第一次取得層をターゲットにする建売住宅専業、地場工務店はZEH化に対応するのは容易ではない。年間4万戸を販売する飯田グループの戸建ての平均価格は土地代を含め3,000万円を切る。大手ハウスメーカーの半分以下ではないか。

 さらにまた、消費者もZEH化することで住宅取得希望価格(3,000万円)の3~6%の100万~200万円も負担が増えるのにためらうのは当然だ。初期費用がゼロになる仕組みもあるが、いま一つ、これら圧倒的多数派の層への具体的なZEH普及策・支援策が見えてこない。

 しかし、質疑応答時間(15分くらいか)は限られており、プレ協としては答えづらいだろうと判断し、質問することを止めた。この種の会見では、参加するメディア全てが質問できるくらいの時間を取るべきだと思うが…。

 この日(31日)発表された令和5年4月の新設新規住宅着工戸数は、総数も持家も分譲住宅も2ケタの減少で、持家は実に17か月連続して減少している。プレ協がいう「回復途上」ではなく、中長期にわたって減少が加速するそのとば口に差し掛かっているような気がしてならない。誰か小生のこの悲観論を一蹴してくれないか。

コロナで減った住宅選好の幅 オーダー志向層を蚕食する〝建売り御三家〟(2023/5/28)

 

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 国土交通省は5月31日、令和5年4月の新設住宅着工動向をまとめ発表。総戸数は67,250戸(前年同月比11.9%減)で3か月連続の減少。利用関係別の内訳は持家が18,597戸(同11.6%減)で17か月連続の減少、貸家が28,685戸(同2.8%減)で26か月ぶりの減少、分譲住宅が19,701戸(同21.8%減)で3か月連続の減少。分譲住宅の内訳はマンションが7,233戸(同43.0%減)で5か月ぶりの減少、一戸建住宅が12,362戸(同0.8%減)で6か月連続の減少となった。

 首都圏マンションは3,759戸(同32.7%減)で、都県別では東京都が2,196戸(同26.6%減)、神奈川県が1,230戸(同24.4%減)、埼玉県が263戸(同60.6%減)、千葉県が70戸(同76.4%減)となった。

 このほか、近畿圏、中部圏、地方のマンションも大幅に減少した。

 大幅減少について国交省住宅局は、関係者へのヒアリングを行った結果、持家は物価高・資材高から消費マインドが低下しており、受注も減少していることの反映とみている。分譲マンションは前年4月は約1.2万戸の着工があり、今年1~3月も多くの着工があったことの反動減であり、絶対数がそれほど大きくないことから大規模マンションの着工によって波が大きくなる傾向にあるとし、分譲戸建ても減少幅は小幅にとどまっており、市場が劇的に変わったとは見ていないようだ。

 小生も同感だ。各社とも前期の業績が好調で、この先の市場を見極めるための小休止ではないかとみている。

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南棟「d_ll(ディール)つくば」完成予想図

 大和ハウス工業は5月30日、つくばエクスプレス「つくば駅」直結の複合施設「(仮称)つくば市吾妻20街区プロジェクト」の地鎮祭を行い、五十嵐立青・つくば市長も出席して施設概要に関する記者会見を行った。

 施設は、つくばエクスプレス「つくば駅」直結、つくば市吾妻2丁目に位置する敷地面積約7,639㎡(2,310坪)で、建物は5階建て鉄骨造延床面積約10,188㎡(3,081㎡)のオフィス・商業からなる南棟「d_ll(ディール)つくば」、4階建て鉄骨造延べ床面積約3,337㎡(1,009坪)の北棟、5階建て鉄骨造延床面積約7,403㎡(2,23坪)の立体駐車場(353台)による3棟構成。設計・施工は村本建設。着工は2023年4月3日~2023年6月1日、竣工は2023年11月30日~2024年9月30日、オープンは2024年10月の予定。

 南棟の「d_llつくば」は、1階と2階は飲食店、クリニック、フィットネスクラブなど16店舗が入居。3~5階はオフィスフロアで、3階にはスタートアップ企業の交流拠点となるようシェアオフィススペースとして提供する予定。「d_ll」は同社の中規模オフィスビルブランドで、「d_ll四日市」に続く2棟目。

 北棟は同社茨城支店とグループ5社(大和リビング、大和ハウスリアルティマネジメント、大和ハウスリフォーム、大和ハウス賃貸リフォーム、大和ランテック)が入居予定で、2024年10月から約240名のグループ従業員が勤務する拠点となる。

 記者会見で五十嵐市長は「駅直結の一等地の中の一等地。長い間、駐車場として活用されてきたが、この一等地が高層マンションになったら駅前としては厳しいものになるので、長期的な街の発展に資するものにしていただきたいと、土地所有者の筑波都市整備さんに要望してきた。今回、それが了承され、大和ハウスさんの計画によって実現した。利益は少し下がってでも長期的な街の発展に資する判断をしてくださったことは大変ありがたい。これからの新しい街づくりの形が示された。大きな意義を持つ駅のリスタートになる。このほかの駅周辺の様々なプロジェクトとあわせ、大きく花開き、つくばの顔として発展していくプロジェクトになることを期待している」と語った。

 大和ハウス工業執行役員東関東支社長・髙吉忠弘氏は、「当社グループは2055年に創業100周年を迎えるにあたって、その羅針盤となる“将来の夢”(パーパス)を作成、公表した。『生きる歓びを分かち合える世界の実現に向けて、再生と循環の社会インフラと生活文化を創造する』という趣旨で、これはその趣旨に副うもの。〝賑わいと緑が溢れだすエキウエ施設が、マチの様々な交流の拠点となる〟をコンセプトに、魅力ある都市拠点となることを目指す」と話した。

 用地は2017年、土地所有者の筑波都市整備からプロポーザル方式により同社が取得している。

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配置イメージ

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北棟

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左から五十嵐氏、高吉氏、八友氏

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 記者会見場で配布された資料をみて驚いた。容積率を単純にはじいたら274%しかなかった。容積不算入もあるはずだから、実質的には200~250%にしかならないはずだ。「駅直結の一等地の中の一等地」(五十嵐市長)ではありえない数値だ。

 どうしてこんなに低いのか質問したら、同社茨城支店長・八友明彦氏は「法定容積率は400%だが、北側敷地に隣接する吾妻小学校への日影に配慮するよう市から求められていた条件に沿ったもの」と語った。

 このような街づくりもあるのか。駅の南側は商業施設など高層建築物だが、北側は公園、中層のオフィス・商業、小学校だ。日テレの番町再開発と真逆だ。「これからの新しい街づくり」(五十嵐市長)のモデルケースになるのか。

 後で知ったのだが、用地はプロポーザル方式によって取得したのでこのような結果になったということだ。

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 今回のプロジェクトとは直接関係ないが、五十嵐市長にどうしても聞きたいことがあったので質問した。街路樹と街づくりについてだ。質問はおおよそ次の通り。

 「わたしは街路樹や都市公園、緑についてかなり取材しています。最近、神宮外苑や日比谷公園などで樹木がどんどん伐採されようとしています。市長さんは街路樹を伐採しないと宣言された。公園利用では、維持・管理に関与することを条件に隣接するマンションとの垣根を取り払い、マンション内のカフェの利用を可能にするなど全国的にみて珍しい決断もされた。街路樹を含め、街づくりはどうあるべきかお聞きしたい」

 五十嵐市長は、「わたしが市長に就任したとき(7年前か)、このあたりの街路樹は伐採されることに決まっていたが中止した。街路樹は街の成熟度の象徴であり、単に緑を提供している以上の価値がある。車椅子利用者に日陰を与えたり、生物多様性にも貢献している。やむを得ず強剪定をしないといけないものもあるが、しつかり維持・管理していくのが基本。今回のプロジェクトでも大和ハウスさんはきちんと緑化も図られている」と語った。

 本当は、市内の県道沿いの街路樹が大量に伐採されていることも聞きたかったのだが、さすがに今回の記者会見にはふさわしくないと思いとどまったのだが、「街路樹は街の成熟度の象徴」は「街路樹は人間の成熟度の象徴」と同義と受け取った。街路樹の見方が変わるかもしれない。

 参考までに。同市の緑被率は63.2%、わが多摩市のみどり率は53.9%だ。圧倒的に緑が多いことはよく似ている。東京駅へ1時間剣で、マンションの坪単価250万円も同じくらいか。(今回の事業地を競争入札に掛けたら坪300万円もあるかもしれないが…)

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現地(左後方は駅南側の同社のホテル)

坪235万円でも7割近い144戸成約100㎡超58戸も人気 日本エスコン「つくば」(2021/4/24)

「街のシンボルになる」来場者 公園との垣根なくしたフージャース「つくば」に感動(2021/4/23)

 

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木住協の懇親パーティー(明治記念館で)

日本木造住宅産業協会(木住協)は525日、令和5年度定時総会を行い、令和4年度の事業報告・収支決算、役員の選任、令和5年度の事業計画などを審議し決議・承認した。

総会後、記者会見した市川晃会長(住友林業会長)は、「令和4年度の住宅市場は、新設住宅着工戸数は860,828戸(対前年比0.6%減)となり、特に持家においては248,132戸(同11.8%減)となり、厳しい環境が続いている。今年度予算で、住宅分野では『子どもエコすまい支援事業』『先進的窓リノベ事業』『給湯省エネ事業』により構成される『住宅省エネ2023キャンペーン』が順調に開始され、これが住宅業界への追い風となるよう期待している」と述べ、「今年度『こども家庭庁』が発足した。家族に見守られて子どもたちが健やかに育つ場が住宅であり、木育の観点も加味すれば、安心安全の質の高い住宅や住環境を木造で実現していくニーズがますます高まる。子どもの目線からも、住宅産業の果たすべき役割を再認識して臨みたいと考えている」と語った。

令和5年度事業では、各支部、地方自治体との連携を強化し、木材利用促進協定・災害協定など地域貢献活動を強化し、脱炭素・循環型社会の実現に向けた環境に優しい木材利用や木造建築の普及を図り、重点事項として①良質な住宅ストックの形成とリフォームの推進②木造住宅・建築物の普及促進③広報活動の推進④人材育成の推進⑤良質な資材の普及と木造化・木質化の推進などを推進する。

記者発表会後には、コロナ禍で中止していた懇親パーティーを開催、参加者は通常の約7割に絞ったが、会場は満席の約400名が参加した。

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市川氏

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 うっかりしてテープを取ることを忘れたので正確ではないが、市川会長は懇親会の冒頭、202313月の第一四半期の実質GDPが前期比年率+0.5%(前期比+0.1%)となり、インバウンドも増加していることなど直近の経済の動きに触れたあと、エンボディード・カーボン(建設時から運搬、維持管理など総体としてのCO2排出量)の取り組みが不十分とし、「昨日は、当社が施工した木造とRCのハイブリッド施設を見学したが、木造の部分は明らかに暖かく、子どもは床を飛び跳ねたり寝転んだりして遊んでいる。このような木の持つ特性と、ライフスタイル面でのCO2削減の取り組みを合わせ技として表すことはできないか」などと話した。

 木造ファンの記者は〝表す〟を〝現し〟に置き換えて理解した。国土交通省は「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会」のとりまとめを踏まえ、消費者が建築物の省エネ性能の知識を持っていなくとも、省エネ性能を★印で表示するガイドラインを近く示す予定だが、市川会長は木材・木造の人への効果も分かりやすく伝えるべきと話したのではないか。

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神宮外苑のいちょう並木

 三井不動産など事業者4者は5月18日、「(仮称)神宮外苑地区市街地再開発事業」の環境影響評価書について日本イコモス国内委員会(ICOMOS/ International Council on Monuments and Sites)」(イコモス)から誤り・虚偽と指摘されていた全58項目に対する回答を、同日開催された令和5年第2回審議会総会で行ったと発表した。

 全58項目のうち「指摘自体に事実と異なる内容が含まれるもの」が約半数、「考え方や解釈の違いに基づく指摘」が約半数であり、評価・予測内容としては正当なものであり、評価書には誤り・虚偽はないとし、今後も審議会総会および各関係機関への報告・協議をしながら、適切に本計画を進めていくとしている。

 一方、イコモスは5月16日、「緊急要請」として、事業者の説明は「自然環境アセスメント技術マニュアル」に記載された科学的方法論を遵守しておられず、数多くの誤りと虚偽の内容を、事業者自らが立証されたものとし、東京都環境影響評価書としては著しくレベルの低いものであり、世界に誇る「環境都市・東京」の実現に向けて、再審を要請すると発表した。

 「(事業者の)粗悪なデータの集積は誤った群落分類を招き、調査対象範囲植生の本質を大きく見誤る可能性をもたらすため十分注意を要する」「生態系のネットワークは、既存樹木の53%、1018本が伐採・移植されるため、破壊される。特に、建国記念文庫の森、及び絵画館前広場の樹林地における樹齢100年を超える多数の樹木の伐採・移植は、取り返しのつかない行為である」と指摘している。

 また、イコモスは同日、中央大学研究開発機構グリーンインフラ研究室・石川幹子氏が作成した2023年調査の明治神宮外苑現存植生図を公表。植生図には、凡例として樹林帯の22項目のほか、例えば軟式野球場にはスダジイ、シラカシ、エノキ、ケヤキ、トチノキ、ヒマラヤスギ、トウカエデ、ウバメガシ、イチョウ、サクラなどの巨樹がどこに植わっているか詳細に記載されている。

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軟式野球場

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野球場のユリノキ

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屋内練習場(手前のグラウンド内野は人工芝)

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ヒマラヤスギ

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建国記念文庫エリア

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 記者は平成の時代に入ってから約30年間、RBA野球大会の取材のため〝草野球の聖地〟神宮外苑軟式野球場に通った。トータルすれば300~400日、試合数にしたら数千試合になるだろうか。

 再開発計画では、野球場は広場とテニス場、駐車場に変更されることになっている。工事はずっと先だろうが、野球場の最期を見届けようと、イチョウ並木なども含めて約2時間かけて見て回った。

 グランドに入ろうとしたら「ご利用者以外立入禁止」のスタンド看板が目に入った。以前にはなかったものだし、グラウンドを見て回るくらい何のお咎めもないだろうと、全6面のグラウンド(日の丸・ヒマラヤ・桜・ケヤキ・大銀杏・コブシ)の外周部の樹木を見て回った。(あとで野球場事務所に確認したら「一般の方が入り込み、キャッチボールなどをするケースが目につくようになったので10年くらい前から看板を設置するようになった」とのことだった)。

 グラウンドの外周に植えられている巨木は、双方の論争などどこ吹く風、小生のように加齢による醜い外貌を晒しながらも、しっかりと根を張り若葉を茂らせ、イコモスが形容したように「威風堂々」と屹立していた。写真で示した通りだ。主だった高木だけでも100本以上あるはずだ。

 4列配置の神宮外苑のシンボルでもあるいちょう並木も確認しようと向かう途中、小生と同年配と思われる杖を突いた男性と、男性を支えるように歩いていた女性に出会い、外苑の緑が伐採されることについてしばし話しあった。

 男性の方は、小生より1歳年上(75)の同じ多摩市民で「わたしは青山高校の出身。外苑の緑がどうなるか心配で見に来た。イチョウはかなり弱っているものもある」と話した。女性の方は奥さんで「ひどいわね。小池さん(都知事)は何を考えているのかしら」と首を傾げた。

 建国記念文庫エリアには工事用の囲いが設けられており、中に入ることはできなかった。計画ではエリア内の3,028本が伐採対象になっており、うち約9割は群生低木で、高木は23本とされている。

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野球場の「ご利用者以外立入禁止」スタンド看板

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御観兵榎(明治天皇がこのエノキの傍に居室を設けたとされる。現在は2代目とか)

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御観兵榎近くのドクダミの群生

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 イコモスの指摘と事業者の回答は膨大な量に及び、かなり専門的な文言もあるので、小生などの素人が読みこなすのは困難だが、以下、気掛かりなことを紹介する。

 事業者の説明資料18ページには、審議会委員の「一部のみ樹木を残した神宮外苑広場北側の保全エリアで『再生・復元』することは不可能です。本数としての残置量ではなく、質としての劣化を予測する必要があります。質を高める措置がない限り、一方向的な劣化であり、『保全エリア』とは言えません。そのための措置はどのように考えており、どの程度の効果を予測されているのでしょうか。」という問いに対して、回答では「改変する神宮外苑広場(建国記念文庫)の樹林地については、ラグビー場棟の建設によって樹林面積が縮小するため質の劣化は免れませんが、現況と同様に階層構造を有する樹林や(この「や」は明らかに誤字)を保全するとともに、改変によって開けた部分には林縁植物を移植し、林内の湿潤環境を保全して生態系を維持する計画としており、影響は限定的と考えます」となっている。(赤字は小生)

 委員は質の劣化を質しているのに対して、回答は「樹林面積が縮小するため質の劣化は免れません」と「質の劣化」を認めている。ここは「量の減少」ではないのか。また、「改変によって開けた部分には林縁植物を移植し、林内の湿潤環境を保全して生態系を維持する計画としており、影響は限定的」としているが、これは説明不足。「量は減少するが、質の劣化は限定的」とどうして言えないのか。

 また、41ページにはイコモスの「事業者がサイトで発表している緑の割合は、現状が約25%、開発後が約30%となっており、開発後、緑が増えるような錯覚をもたらす図面となっている。しかし、航空写真を判読し、精査を行い、草野球のエリアも追加すると、現況は32%、開発後は27%となる」「事業者がサイトで発表しているオープンスペースの割合は、現状が約21%、開発後が約44%となっており、開発後、オープンスペースが増えるような錯覚をもたらす図面となっている。しかし、軟式野球場は、災害時に極めて重要な役割を果たすオープンスペースであり、また、現在の秩父宮ラグビー場前の広場も貴重なオープンスペースである。このことから見直しを行った結果、現況は41%、開発後は43%となり、ほぼ変わらないことが明らかとなった」との指摘について、事業者は次のように回答している。

 「草野球のエリアも追加すると緑の割合が変化するとの指摘について、絵画館前は環境影響評価の範囲対象外ですが、現況の緑地における絵画館前の軟式野球場の緑については2018年の航空写真(google earth)を参照し、野球場の内野エリア等が土系舗装等であることを確認しております。『日本イコモス国内委員会』による算定では、土系舗装等の緑で被覆されていない部分も含んでいるため、現況の緑の割合に違いが生じておりますが、土系舗装等を含まない算定が正しいものと考えます」「オープンスペースの割合に絵画館前の軟式野球場や秩父宮ラグビー場前の広場を計上すべきとの指摘については、絵画館前は環境影響評価の範囲対象外ですが、公開空地とは東京都総合設計許可要綱においては、『計画建築物の敷地内の空地又は開放空間のうち、日常一般に公開される部分』とされており、当該記載を参考といたしております。オープンスペースの割合の算定では、道路を除く部分をその対象としているところですが、絵画館前の軟式野球場は、スポーツ施設として利用がされており、日常的に一般の人が広場等のオープンスペースとして利用する事ができないため、計上しておりません」

 みなさん、いかがか。これは、イコモスと事業者との「考え方や解釈の違い」ということになるのだろう。例えば軟式野球場。イコモスは「緑」「オーブスペース」として算出しており、前出の現存植生図でもグラウンドは土の部分以外は「芝生・草地」とされている(コブシ球場の内野は人工芝)。事業者はグラウンドは公開空地でもオープンスペースでもないとしてカウントしていない。

 これ以上立ち入らないが、地球温暖化防止や鳥や虫の視点からすれば算出手法やエリアを区切ることなどはどうでもいいことだ。緑の量と質が変わることで生態系にどのような影響を及ぼすのか、さらにまた開発後どうなるか注視する必要がありそうだ。

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いちょう並木

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「母」の枕詞のイチョウの「垂乳根」(通りがかりの若い女性グループに「皆さんはまだ若いから大丈夫でしょうし、わたしのかみさんは小さいので垂れていませんが、イチョウは成長するとこのようにおっぱいが垂れてくるんです」と声を掛けた。双方ギャハハハハ。垂乳根は雄株にもできるそうだ)

日比谷公園の樹木1,000本伐採は本当か 「日比谷公園整備計画」勉強会に参加して(2023/5/22)

「神宮外苑街づくりに都民の共感と参画を」都が再要請 事業者「真摯に受け止める」(2023/4/15)

神宮外苑に総力を注いだ「つば九郎ハウ巣」公開 オープンハウス(2022/10/10)

 

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「日比谷公園再生整備計画」(都のホームページから) 

 都議会議員会派「グリーンな東京」(代表:漢人あきこ氏)は5月17日、「日比谷公園再生整備計画」勉強会を開催し、日比谷公園の管理所長を務めた髙橋裕一氏、日本庭園協会会長の高橋康夫氏、街路樹を守る会代表・愛みち子氏、神田警察通りのイチョウの伐採をめぐる住民訴訟で住民側の代理人を務める弁護士の山下幸夫氏がそれぞれの立場から、今秋に開始される公園整備工事で大量の樹木が伐採されることに異議を唱え、広く都民に訴えることを参加者に呼びかけた。勉強会場には定員いっぱいの30名が対面参加したほか、ZOOM参加者も多数いた。

 勉強会で髙橋裕一氏は、「『日比谷公園再生整備計画』によると、少なくとも450本以上~1000本の樹木が伐採される可能性が高い。2021年2~3月には『にれのき広場』のケヤキなど23本が伐採された。都は再生整備計画の実施は手順を踏んだとしているが、多くの一般市民には知らされていない。一般市民からは現在の日比谷公園の景観に不満だという声を聴かない。逆にこのままにしてほしいという声が強い」と訴えた。

 愛みち子氏は「街路樹・公園木・私有地の樹木、全て伐採の危機にある。公園審議会の審議委員は樹木を守れるのか。公開空地の樹木も設置時はチェックが入るが、その後多くはノーチェックで管理が悪く、不健全な樹木が多い」とみる。都市公園法11条では、①都市公園を損傷し、又は汚損すること②竹木を伐採し、または植物を採取することなどを禁止しているのに、「管理者(都)による伐採や破壊は許されるのか」と問題提起した。

 高橋康夫氏は、日比谷公園を設計し、日本庭園協会初代会長である本多静六の「首賭けイチョウ」のエピソードを交えながら、「山手公園、平和記念公園、哲学堂公園などのように日比谷公園を国指定の名勝にすべき。明治神宮外苑、京都府立大学敷地&植物園アリーナ計画など、最近の開発はまるで同時多発テロのようだ、目に余るものがある」と訴えた。

 弁護士の山下幸夫氏は、3つの樹木の保護に関わる裁判に、住民の立場で係わっている。千代田区・神田警察通りの案件では、イチョウの街路樹を伐採するのは、街づくりに参加する住民の権利・利益を損なうものだとし、一般論として認定されている「景観利益」を個別案件で立証するのは困難が伴うものの、行政側と対等の立場で争うことや、問題提起することに意義があると話した。他に、相模原の相原高校にあったクスノキの大木を守る裁判、神宮外苑の多数の樹木を守る裁判に取り組んでいる。現状、樹木を守る法律がなく、環境上の権利を主張しても決して強力ではないが、こうして繰り返し訴えることで変わっていくことを期待すると話した。

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左から髙橋裕一氏、愛氏、山下氏、漢人氏、高橋康夫氏

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日比谷公園(有楽門付近を望む)

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このあたりの樹木は保存されるのか(雲形池周辺)

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このあたりの樹木は保存されるのか(つつじ山周辺)

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 日比谷公園の再生整備計画の経緯について少し振り返ってみよう。

 東京都は2017年10月、学識経験者などで構成する「日比谷公園グランドデザイン検討会(委員長:進士五十八福井県立大学長)を設置し、翌年の2018年12月、「日比谷公園グランドデザイン〜5つの提言〜」をまとめ公表した。

 5つの提言とは①誰もが迎え入れられ、心地よく過ごせる上質な公園②まちと連携し、相乗的に新たな魅力を生み出す公園③歴史的、文化的価値を顕在化させた特別な公園④緑とオープンスペースのネットワーク形成の核となる公園⑤多様な主体と連携し、利用者の視点で運営する公園-というものだ。

 この提言を受け都は令和元年10月8日、東京都公園審議会(会長:髙梨雅明公園財団副理事長、日本公園緑地協会副会長)に諮問。令和3年3月25日の答申を経て、同年7月、都は「都立日比谷公園再生整備計画」を策定し、開園130周年を迎える令和15年(2033年)を目標に公園全体の再生に取り組んでいくとしている。

 整備計画では、日比谷公園の主な課題として①利便性が高い立地条件にあるが、広幅員道路や地下道からの階段等のバリアが存在し、まちと公園のアクセシビリティが良くない②皇居外苑等との回遊性や景観のつながりが弱い。樹木や施設が視線を遮って園内外の視認性が低い③日比谷公会堂から小音楽堂までのビスタ景観などを活かした空間利用(イベント利用等)ができていない④日比谷にまつわる文化・歴史資源の分類や整理がなされてこなかったことなどを上げ、再生整備では「のこす」「かえる」「つくる」3つの取り組みを進めていくとしている。

 計画の策定に当たっては令和2年12月8日~令和3年1月7日にかけて都民から意見を募集。テニスコートの存続を求める声62件など175件(うち1通は181名の署名付き、91件はHIROBAsに関するもの)の意見が寄せられている。主なものを以下に紹介する。

 「再生整備計画の考え方に大きく賛同。特に『時』『人』『空間』をつなぐ新たな公園の将来像は、周辺のまちと公園がオープンな空間の創出と、ワーカブルなネットワークにより、相乗的な魅力や賑わいの創出、Well-beingなどの新たな価値観をも具現化していくことに強く共感する」

 「歴史の風雪に耐えた老木の保護をお願いしたい。明るくして防犯のためにも見通しを良くすることは理解できるが、伐採は急がず、慎重な検討と都民に意見を聞くような進め方を希望する」

 「意欲的な整備計画の方針で、賑わいの創出は必要だが、特別な公園として現在の環境を維持、拡大することこそ第一であり、整備は慎重、最低限、漸進的を基本としてもらいたい」

 樹木の保存について都は「既存の樹木については、樹勢や樹形などの健全度を把握し、計画内容の実現に向けた植栽計画を策定し、整備や維持管理を行います。その際、樹木の現状や計画内容に応じ、移植や剪定、不健全木などの更新や落葉樹の植栽など適切に対応してまいります」としている。

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心字池

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心字池付近から「東京ミッドタウン日比谷」を望む

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第一花壇(ここも広場になるとか)

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日比谷茶廊(左)と旧日比谷公園事所(小生は被害にあっていないが、この辺りは「のぞき魔」の名所だった)

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このマーキングは何を意味するのか(小生は都民に知らせるべきだと思う)

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 「日比谷公園の歴史と文化をこよなく愛する会」の髙橋裕一氏が都の公表資料を基に独自に作成したチラシによると、伐採される樹木は、日比谷通りに面している163本(街路樹含む)、にれのき広場の23本(伐採済み)、芝庭広場(第二花壇)に面している園路の72本、大芝生広場の177本など435本にのぼり、このほか大音楽堂の建て替え、第一花壇の広場化などによりトータルで1,000本近くが伐採される可能性を指摘している。

 小生はこの伐採本数の多さにびっくりした。日比谷公園内には3,000本を超える中高木が植えられていると言われている。明治36年の公園開設当初から植えられているものも少なくないはずだから樹齢は120年超だ。そのうちの3分の1近くが伐採されるとなると一大事だ。都はまずこの部分を都民に公表すべきだ。

 都にも確認した。都は、工期を分けて行うので伐採する本数は分からないとし、今秋に工事を着工する第二花壇については近々伐採する樹木の本数を公表するとしている。

 愛氏の「公園審議会の審議委員は樹木を守れるのか」「管理者(都)による伐採や破壊は許されるのか」との問いかけは正鵠を射ていると小生も思う。

 都市公園法17条の2には「協議会において協議が調つた事項については、協議会の構成員(都)は、その協議の結果を尊重しなければならない」と明記されている。

 「尊重」とは結果として「聞き置く」「聞き流す」こととなっても違法性は問われないのか。そうであるならば、全国にどれほどの協議会が存在するか知らないが(多分数百)、その存在理由が問われるし、審議委員の声はどうなるのだろう。

 令和2年度の公園審議会の議事録を読んだ。「ニューヨークのセントラルパークとかにも劣らない公園にしたいと思います」という声があったが、具体的に樹木をどれほど伐採するかという重要な部分については一言も触れられていない。

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日比谷公会堂近くから第二花壇方面を望む(右は「東京ミッドタウン日比谷」)

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日比谷公会堂もなくなるのか(小生が11歳の1960年(昭和35年)、日比谷公会堂で演説中の当時の社会党委員長・浅沼稲次郎が17歳の少年・山口二矢に刺殺された事件はよく覚えている。60年安保もこの年で、何だか世の中が変わるような気がした)

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松本楼

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「首賭けイチョウ」(首吊りじゃないですよ)

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連絡協が設けられるのはこのあたりか(日比谷通りを挟んだ左側手前は帝国ホテル)

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髙橋氏によるとこの日比谷通り沿いの巨木も伐採されるとか

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 前段で紹介した進士氏は、2012年12月、「第59回NSRI都市・環境フォーラム」で「日比谷公園―110 年の公園生活史とパーク・マネジメント」と題する講演を行っており、次のように述べている。いくつか紹介する。

 「私は時々思うんです。審議会というのは意外と役に立っているのではないか。原案にない公園ができるんです。審議会メンバーはそれを意識しないとダメなんです。私は事務局のシナリオを読むだけということはしませんよ」

 「公園とは何か。『Parks for People』公園は人間のための空間です」

 「私は、歴史も研究を基調にしてきましたので、日比谷公園の歴史性の重さを強調しています。だからといって決してすべてにアンタッチャブルという考えではないんです。現代都市の中で生きている重要な経済空間、都民共有の財産としてそれが適切に生かされなければならないとも思っています。重要なことは、一方的に建築や開発に侵されていくのではなくて、むしろ堂々と日比谷公園の歴史的公園都市開発で強さを総合することで新しい環境を創造すべきだと思っています」

 「先ほど、(日比谷公園は)幕の内弁当だと申しました。さまざまなニーズに応える空間が要る。オープンな空間、クローズな空間。明るい空間、暗い空間。ハードあり、ソフトあり。水のある場所もあれば、歴史のある場所もある。それが揃っているのが日比谷公園です」

 「日比谷公園のオーセンティシティ。日比谷の構造、例えば大園路による地割りや、それぞれの空間の持つ特質、あるいは樹木そのものが110年たって立派に成長している。これは1本でも切らないようにしなければいけません」

 進士氏は以上のように、公園の歴史、樹木の重要性、開発優位の否定、をはっきりと発言している。日比谷公園の現計画との整合性はあるのか。

 進士氏は7月8日10:00~12:00に日比谷公園で行われる東京都公園協会主催の「緑と水のカレッジ講座」で本多静六について講義されるようだ。公園内の樹木が大量に伐採されることについてどのように話されるのだろうか。

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現況図(髙橋氏提供資料より)

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梶本銘木店「世界の優良銘木展示場」

昼過ぎだった。三井不動産の「三井リンクラボ新木場2」の取材の帰りだ。すぐそばに「世界の優良銘木展示場」と大書きされた建物があった。「展示場」なら、通りがかりの者でも見学させてもらえるかもしれないと思い、声を掛けたら快く応じてくれた。創業が昭和10年(1935年)という梶本銘木店だ。主任・伊部貴行氏に約1時間にわたって13階の展示場を見せていただき、説明してもらった。同社と伊部氏に感謝申し上げる。

これまで「銘木」はいくつか見学したことがあるが、これほど大規模なのは初めてだった。その規模に驚き、木の美しさを引き出す人知を超える匠の技に絶句した。展示されているものは無垢材から一枚板テーブル、無垢板、カウンター、犬矢来、名栗、床柱、茶室、端材にいたるまで〝ないものはない〟ほど揃っていた。同社の本業は、料亭、旅館、木材業者、設計事務所など向けの卸し専門だそうだが、一般の人も見学し、購入できるように展示しているとのことだった。

伊部氏がまた凄い。わが国の樹木でもっとも大きく成長するのはクスノキ(小生はスギ、イチョウだと思っていたが)、世界でもっとも硬くて比重が重いのは、水にも沈む南米産のリグナムバイタ、もっとも軽いのは模型などで使われるバルサ。

外国産材のことを「唐木(カラキ)」と呼びますが、これは中国が「唐」と呼ばれていた遣唐使の時代に中国を経由して諸外国から渡ってきたため総称して「唐木」と呼びます。唐木の三大銘木は紫檀、黒檀、鉄刀木(タガヤサン)で世界の三大銘木はマホガニー、チーク、ウォルナットと言われています。花梨はわれわれの知っているのど飴で有名な実の生るカリンはバラ科で、床柱などに用いられるものはマメ科で別の樹種です。「神様の時代の〇〇」というくらいに永い年月(1000年~2000)土中に埋もれていて掘り出された(ダムの工事など偶発的に発見されることがあります)杉やケヤキなどを総称して「神代○○(神代杉・神代欅)」と呼びます。屋久島産の杉で樹齢が1,000年以上の杉のみが屋久杉と呼ばれますが、土中に埋まっていたものと水中に沈んでいたものとでは表情が異なると言われています。欅の中で特に珍しい杢目を有した「玉杢」、さらにその玉杢が全体に出ている「如鱗杢(ジョリンモク)」が現れた農林水産大臣賞を受賞した欅の盤は必見ですetc伊部氏はまた、記者が尋ねる銘木の名前、特徴、価格などを瞬時に答えた。

無垢板・床柱などは値段が1,000万円を超えるものもあったが、人工乾燥ではなく5年、10年かけて自然乾燥させて製品にすると聞いて納得もした。賃料は都心と比べて破格の安さだろうが、都心のマンション単価は1,000万円をはるかに超えることを考えると、銘木1本が数百万、数千万円するのもよく分かる。〝キズモノ〟の人間は忌み嫌われた時代もあったが、木材は削れば新品になる。これも大きな価値だ。瘤も好まれる。白檀は値段が付けられない高価なものもある。

写真をかなり撮ったし、同社の了解を得てホームページに掲載されている画像を紹介する。とにかく見ていただきたい。人が住まない「新木場」にこんな素晴らしい施設があるとは夢にも思わなかった。

梶本銘木店は住所:江東区新木場11772、問い合わせは電話:03-3522-0766、またはメール:このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。へ。

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左からカリン、シタン、シタン、ブビンガ、イチイ、コクタン、カリン、エンジュ…

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リグナムバイタ

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神代杉 

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土中にあったもの(左)と水中にあったものと推定される屋久杉

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「如鱗杢(ジョリンモク)」(右)

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カリン瘤

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「杮(こけら)」(左)と「柿(かき)」(記者は同じ字「柿」に見えた)

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茶室

目の前は海 賃貸ラボ&オフィス最大規模 三井不「リンクラボ新木場2」竣工(2023/5/19

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「にじいろ保育園高野台」

 三井ホームは5月19日、同社が施工し、同社として初めて「ZEB Ready」を取得した木造保育園「にじいろ保育園高野台」が竣工、4月に開園されたと発表した。

 物件は、練馬区高野台三丁目に位置。敷地面積は約529㎡、延床面積は約513㎡。運営事業者はライクキッズ。スケルトン工事(設計・施工)は三井ホーム。内装工事の設計監理は岩本建築デザイン事務所、施工は三井ホーム。構造は2階建て木造枠組壁工法。工期は2022年9月~2023年2月。

 「ZEB(Net Zero Energy Building)」は、消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した非住宅の建物で、「ZEB Ready」は基準一次エネルギー消費量を50%削減することでBELS評価により認証されるもの。

 スギの木(35年生)に換算すると約600本分に相当する炭素約150t-CO2を貯蔵し、約80帖の大空間や外観の丸い窓・カラフルな階段などで保育環境に配慮し、内装にはふんだんにヒノキを使用し、木質感により保育園児やスタッフへのリラックス効果を演出している。

 

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