野村不動産グループ記者懇親会〝記事化不可〟の縛りなし 酒の提供はなし

野村不動産グループ 2025年度記者懇親会(フェアモント東京43階会場から晴海方面を望む)
野村不動産グループは11月26日、2025年度記者懇親会を「フェアモント東京」で開催。第一部では、野村不動産ホールディングス代表取締役社長兼社長執行役員グループCEO・新井聡氏と、同社代表取締役副社長兼副社長執行役員グループCOO・松尾大作氏がグループの事業について説明し、第二部では、12人の役員が出席し、メディアとの懇親談会を行った。

、2025年度記者懇親会(フェアモント東京)
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新井氏と松尾氏の事業説明は割愛する。ほとんどすべての事業が順調に推移している。記者が注目したのは、国内デベロップメント事業の開発用地取得状況は住宅部門は分譲住宅25,400億円(19,000戸)など27,700億円、都市開発部門で10,300億円確保していることだ。新井氏も松尾氏も懸念材料はないことを強調した。
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配布された式次第のタイムスケジュールによると、第2部の懇談会は15:00~15:40まで。40分しかない。出席する役員は12人。参加したメディア関係者はざっと目測して50~60人。均等に割り当てたら役員1人にメディア5人。一人当たり歓談・質問時間を3分とすれば、全役員から話を聞くには待ち時間を計算すると90分はかかると記者は考え、全員から話を聞くことはあきらめた。
聞くのは新井氏と、記者の守備範囲である分譲住宅・再開発など数人に絞った。某社のように〝懇親会で見聞した話を記事にはしない〟という縛りもないことを事前に確認していたので、ばっちり取材することができた。唯一の計算外だったのは、酒類の提供がなかったことだ。この種のイベントで酒類の提供がないのは多分業界初。仕方がないので、冷たいお茶2杯とコーヒー1杯しか飲まず、用意された軽食は一切手を出さなかった。
以下が単刀直入に聞いた質問と答え。役員の方と記者の方が歓談中に割り込んだこともあったかもしれないが、謝るほかない。
新井氏に聞きたいことは一つ。社長に就任したとき、関係者から東大の剣道部出身と聞いた。それが事実かどうかを直接確認することだけ。なぜか。東大剣道部出身といえば、記者が好きな作家の一人・帚木蓬生氏がそうだからで、もう一つ、これまた大好きな同社グループダイバーシティ&インクルージョン推進担当、兼コーポレートコミュニケーション部、サステナビリティ推進部担当の宇佐美直子氏のご主人が剣道部出身だと聞いていたので、ひょっとしたら帚木氏や宇佐美氏のご主人との交流や対決の話が聞けるかもしれないと思ったからだ。
結果は空振り。新井氏は東大剣道部出身で3段を取得したと話したが、帚木氏が剣道部出身であることを知らなかった。OB会などには出席していないからのようだ。剣道は大学を卒業してからやっていないようで、専らゴルフとか。

新井氏
松尾氏に聞くことも一つだけ。「西麻布三丁目北東地区第一種市街地再開発事業」(六本木ヒルズ隣接)の分譲単価がいくらになるかだ。松尾氏が答えないのは百も承知のうえで、「社長、坪単価3,000万円でどうですか」と質問した。一瞬、頷いたような気もしたが、そうではなかった。単に目線を下にしただけで「何も決まっていない。これから」としか答えなかった。(分譲は来年か再来年だろうが、記者は単価予想に自信がある。最上階は坪単価5,000万円でも売れると思う。100坪で50億円だ。申し込みが殺到するはずだ)

松尾氏
再開発担当の同社執行役員開発企画担当の山本成幸氏には、先日発表した「若松二丁目住宅マンション建替え事業」について質問した。着工したばかりで、詳細は決まっていないが、事業は二本柱で、一つは建て替え事業、もう一つは敷地売却による再開発。もちろん、価格がどうなるかなどについて言及はなかったが、記者は「坪単価430万円でどうですか」と挑発した。答えるはずはない。大和ハウス「プレミストタワー船橋」には興味を示された(皆さん、船橋・南船橋ではこれから3物件で3,000戸の供給が始まる)。

山本氏
同じマンション・戸建て・賃貸・シニア事業などが担当の執行役員住宅部門長・中村治彦氏には、坪単価270万円の「西千葉レジデンス アベニュー」(512戸)と分譲戸建て「笹塚駅・下北沢プロジェクト」の取材を申し込んだ。「西千葉」はホームページを確認したら第1期150戸に申し込みが入ったようだ。信じられない価格の安さだ。

中村氏
マンション管理業協会の記者懇親会でいつもお会いしている同社執行役員運営管理部門長・問田和弘氏には、管理会社管理方式の導入状況について聞いた。今期末で新築マンションを中心に13件に導入することが決まっており、既存マンションも1件あるとか。1戸当たり約1,500円のようだ。今後5年間で64件に伸ばす予定とか。(大和ハウスは10月末で180件超の導入実績がある)

問田氏
このほかの事業についても質問したかったのだが、時間切れとなった。中締めの挨拶で、同社代表取締役副社長兼副社長執行役員コーポレート統括・芳賀真氏は、同社グループ8社が「BLUE FRONT SHIBAURA」に本社機能を移したことについて触れ、「このような事例は稀有なこと。定量的なデータは(現時点で)提供できないが、当社グループの強み。シナジー効果を発揮する。来年以降の記者懇親会もここで実施する」と締めくくった(来年は、その定量的効果を発表することに期待したい)。
船橋・南船橋で再開発3物件マンション3,000戸相乗効果か共倒れか(2025/11/21)
エリアマネジメント4団体が「芝東京ベイ協議会」設立水辺と豊かな地域資源アピール(2025/10/31)
「唯一無二」新たな街づくりの嚆矢へ野村不他「BLUE FRONT SHIBAURA」開業(2025/9/1)
定番だけどうまい「BLUE FRONT SHIBAURA」商業エリア圧倒的な緑も特徴(2025/8/31)
大和ライフネクスト第三者管理者方式183件月1000円/戸検討に値する額ではないか(2025/10/15)
住宅用地が工業用地として売却できる米国 大和ハウス2026年3月期2Q説明会

芳井さん(山﨑さんかそう呼んだので「さん」付けする)
大和ハウス工業は11月17日、「2026年3月期第2四半期決算 マスコミ向けスモールミーティング」を開催。同社代表取締役会長/CEO・芳井敬一氏、同社代表取締役社長/COO・大友浩嗣氏らが出席して、記者団の質問に答えた。
同社の2026年3月期第2四半期決算は、売上高26,309億円(前年同期比0.8%減)、営業利益2,213億円(同5.6%減)、経常利益2,053億円(同7.1%減)、純利益1,377億円(同11.9%減)となり、開発物件売却の減少などにより減収減益。
セグメント別では、戸建住宅事業は売上高5,412億円(前年同期比7.9%増)、営業利益234億円(同6.4%増)。賃貸事業は売上高7,031億円(同6.4%増)、営業利益750億円(同14.0%増)。マンション事業は売上高1,342億円(同1.0%増)、営業利益75億円(同44.2%減)。商業施設事業は売上高6,371億円(同3.8%増)、営業利益850億円(同8.1%増)。事業施設事業は売上高5,918億円(同17.5%減)、営業利益617億円(同26.2%減)。環境エネルギー事業は売上高652億円(同3.6%増)、営業利益78億円(同9.8%増)。
2026年3月期の業績予想(退職給付数理差異等償却額を除く)は、売上高56,000億円(前期比3.0%増)、営業利益5,100億円(同14.6%増)、経常利益4,610億円(同11.2%増)、純利益2,900億円(同13.4%増)に上方修正。1株当たり年間配当も前回予想の期末95円を100円に増配し、年間175円(2025年3月期は150円)とする予定。
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会場で受付をしたら、同社広報担当の方から「牧田さん、これをどうぞ」と、ワイヤレス受信機を渡された。耳が遠くなり、この種の発表会で芳井会長が何を話されたかさっぱり分からなかったことを同社の広報の方に話したことがあり、そのことを覚えてくださったのだろう。ワイヤレス受信機を利用したのは多分小生一人だったはずだ。そのお陰で、発表会の一部始終を聞くことができた。まずは同社広報に感謝申し上げる。
さて、何から書くべきか。決算発表があったのは先週の13日(金)だ。前段ではその数値をほとんどコピペしたのだが、そんな数値を繰り返しても「か・ち・も・な・い」。多分、誰も書かないことを以下に紹介する。
驚いたのは、米国の戸建住宅事業が好調に推移していることについて質問した記者に対し、芳井会長は「住宅用地として取得した土地が、データセンターになるかどうかは分かりませんが、たまたま工業用用地として売却できたからということ。勘違いしないで頂きたい。住宅用地がデータセンターになるということ、(米国の)ゾーニングがそうなっているという国であるということです」と答えたことだ。芳井氏は、米国での住宅用地は向こう10年分の72,000区画を取得済みとも語った。
なるほどと思った。米国の都市計画・建築基準法がどうなっているのか小生は分からないが、わが国では住宅用地として購入した土地が工業用地として売却されることはまずありえない(工業専用地域が、何でも可の準工業地域に用途変更された事例はあるが、ごくまれだ)。
小生はこれまで「嫌悪施設」について何度も記事を書いてきた。物流施設や墓地などが法律用語でも何でもない「嫌悪施設」として扱われ、重要事項説明書に明記し、説明しなければならないことになっている。データセンターも「倉庫」扱いになっており、「嫌悪施設」として扱われ、住宅系用途地域では建築することは小規模を除き不可だ。小生は「嫌悪施設」とは何か、もう一度原点に戻って考え直すべきだと思う。
記者団からは、決算短信の定性的情報には一言も触れられていない、リブネス事業についての質問も飛んだ。とてもいい質問だと思った。待ってましたとばかり、大友社長は「住宅系『Livness(リブネス)』とビジネス系の『BIZLivness(ビス リブネス)』の2本柱で展開しているが、目標としていた売上高4,000億円を昨年度に達成し、今年度は4,500億円に上方修正した。2030年代には1兆円に伸ばす道筋をつけていく。『BIZLivness(ビス リブネス)』は宝の山」と話した。小生も大きな柱の一つになると思っている。
同社には一言いいたい。社長は記者団の質問に対して「(当社は)プレハブのオピニオンリーダー」と話した。その通りだろうが、ハウスメーカーとかデベロッパーとかの垣根・バリアなどないと思っている小生は、同社は住宅・不動産業界の断トツのリーダーだし、そうあるべきだと思っている。
にもかかわらず、マンション事業の業績はいま一つだ。年度によって上下する売上高1,342億円はともかく、売上総利益率15.5%、営業利益率5.6%は低すぎるし、地方物件比率が高いことを考慮しても完成在庫が504戸(2025年3月期の売上戸数1,504戸)もあるのは信じられない。
劣悪なマンションを分譲しているわけではない。近年では「船橋塚田」「昭島」「大倉山」など素晴らしい物件を供給した。大和ライフネクストが2022年9月から開始している外部管理者サービス「TAKSTYLE(タクスタイル)」の導入実績は2025年9月末で174件に達している。業界のビジネスモデルになると思っている。

大友さん(芳井氏がそう呼んだから「さん」付けする)
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前段の冒頭に戻る。芳井会長はミーティングの冒頭、「いつもと違う。司会の山﨑さんは長年、私の秘書役を務めてきた。失敗しないかひやひやしている。『芳井さん』と呼ばれるのも久しぶり。自分が自分でないような気がする。山﨑さん、頑張って」と切り出した。
ものすごくクリアに聞こえた。ワイヤレス受信機を装着していなかったら、絶対聞き取れなかった言葉だ。小生は何のことかさっぱり分からなかったのだが、山﨑さんは「最初はとても緊張しました。大役を果たせられたかどうか…」と語った。
山﨑さんの肩書は「広報企画部東京広報グループ上席主任」とあり、これまで7年間、芳井氏の秘書を務め、今年4月に着任した。スモールミーティングの司会を務めるのは初めてのことだった。
皆さん、いかがか。口さがない同業の女性記者は「孫娘、初舞台」と称した。また、別の男性記者は「年齢からしたら、孫娘はありえない。親子の関係」と横やりを入れた。
小生はどちらの意見にも与しない。芳井会長は67歳。山﨑さんの年齢は不明だが、孫娘か実子かどっちでもいい。〝自分が自分でないような気がする〟-芳井氏の言葉は何となくよくわかる。
それにしても、デベロッパーの三井不動産、三菱地所、住友不動産の3社が束になってもかなわない、売上げが5兆円超の社長・会長の秘書の仕事とはどのようなものだろうか、コロナ禍では〝おじいちゃん(お父さん)に感染させちゃいけない〟というプレッシャーは相当なものだったはずだ。その任務・重責から解放されて、山﨑さんはほっとしているのか、それとも別離を悲しく思っているのか…小生だったら前者を取る。
ワイヤレス受信機(パナガイド)の値段を調べた。4万円もする。高い。買えない。各社にお願いだ。この種の発表会に希望者に配布してほしい。

山﨑さん(芳井氏がそう呼んだから「さん」付けする)

会場で手渡されたワイヤレス受信機
「MFLP船橋プレミアムフェスタ2025」来場者4000人超(2025/11/10)
墓地に隣接〝田の字地区最後の低単価物件〟タカラレーベン他「京都河原町五条」(2025/9/23)
物流デベと既存の倉庫業は手を組むことはないのか大和ハウス事業施設説明会(2025/9/10)
〝東京の軽井沢〟2年間で1・2弾758戸を早期完売大和ハウス他「昭島」(2025/10/25)
大和ライフネクスト第三者管理者方式183件月1000円/戸検討に値する額ではないか(2025/10/15)
オープンハウス2025年9月期決算 過去最高の売上高、利益 戸建事業の利益率上昇
オープンハウスは11月14日、2025年9月期決算を発表売上高13,364億円(前期比3.1%増)、営業利益1,459億円(同22.5%増)、経常利益1,394億円(同16.0%増)、純利益1,006億円(同8.3%増)となり、過去最高の売上高、利益を更新、純利益が1,000億円の大台を達成した。戸建関連事業のほか収益不動産事業、アメリカ不動産名などの営業利益率が大幅に増加した。
セグメント別では、戸建関連事業の売上高は6,763億円(前期比102.7%)、営業利益695億円(同136.9%)。営業総利益率は17.1%(同3.1ポイント増)。契約件数は3,878件(前期は3,356件)、首都圏戸当たり単価は4,870万円(前期は4,860万円)。
マンション事業は、売上高732億円(同82.0%)、営業利益80億円(同75.5%)、営業利益率は11.0%(同1.0ポイント減)、引き渡し戸数は1,450戸(同323戸減)。
収益不動産事業は、売上高2,186億円(同93.9%)、営業利益2,319億円(同131.4%)、営業利益率10.6%(同3.0ポイント増)。11月にはリノベによる初のホテル「「KÚON 箱根強羅」を開業した。
その他(アメリカ不動産等)は、売上高1,512億円(同124.5%)、営業利益157億円(同141.0%)。中古戸建てが堅調に推移した。
プレザンスコーポションは、売上高2,273億円(同113.4%)、営業利益287億円(同101.3%)、引き渡し戸数は5,869戸(同426戸増)、うちワンルームは4,244戸(同510戸増)。
2026年9期期予想は売上高14,850億円(前期比11.1%増)、営業利益1,700億円(同16.5%増)、経常利益1,600億円(同14.7%増)、純利益1,120億円(同11.3%増)。1株当たり年間配当は188円(前期は178円)に増配し、自己株式取得約250億円を予定している。
三井不2026年3月期2Q 売上、利益とも過去最高更新 国内分譲住宅の営業利益率30%
三井不動産は11月7日、2026年3月期第2四半期決算を発表。売上高13,534億円(前年同期比16.4%増)、営業利益2,187億円(同29.1%増)、経常利益1,835億円(同33.7%増)、純利益1,521億円(同72.3%増)となり、売上高・営業利益・事業利益・経常利益・純利益はいずれも第2四半期(累計)の過去最高を更新した。国内分譲事業が好業績を牽引した。
セグメント別では、賃貸事業は売上高4,562億円(同365億円増)、事業利益885億円(同290億円増)。首都圏の単体オフィス空室率は0.9%(2025年3月末は1.3%)。
国内分譲事業は売上高2,906億円(同866億円増)、営業利益875億円(同426億円増)で、営業利益率は30.1%(同8.1ポイント増)となった。内訳はマンションは売上高2,738億円(同865億円増)、計上戸数1,526戸(同471戸減)、1戸当たり単価17,947万円(同856万円増)で、戸建ては売上高167億円(同0.8億円増)、計上戸数179戸(同21戸減)、1戸当たり単価9,354万円(同1,024万円増)。完成在庫はマンションが43戸(2025年3月期末32戸)、戸建てが26戸(同22戸)。マンションの今期計上予定戸数2,800戸に対する契約進捗率は96%。
このほか、リパーク(貸し駐車場)、仲介・アセットマネジメント事業、ホテル・リゾート、東京ドームなども増収増益となった。海外事業は増収減益。海外事業利益比率は8.1%(同3.8ポイント減)。
好調な業績を受け、2026年3月期業績予想を上方修正。売上高27,000億円(2025年5月予想比増減なし)、営業利益3,850億円(同1.3%増)、経常利益2,950億円(同3.5%増)、純利益2,650億円(同1.9%増)を見込む。売上高・営業利益・事業利益・経常利益・純利益はいずれも過去最高の更新を見込む。
また、通期業績の見通しを踏まえ、中間配当金と期末配当金予想を上方修正。年間配当金は34円(期初の年間配当金予想は33円)を予定している。
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国内分譲事業が大幅増収増益を牽引した。営業利益率は30.1%となったが、2Qという瞬間ではあるが営業利益率が30%を超えるのは、同社はもちろん業界初ではないか(通期の営業利益率予想は25%)。その代表格は「三田ガーデンヒルズ」(1,002戸)だ。三菱地所とのJV物件で、事業比率は公表されていないが、三井不動産レジデンシャルが50%以上を占めるのは間違いない。坪単価1,300万円、1戸当たり4億円という価格が売上高、利益に貢献した。
今期は50階建てツイン「HARUMI FLAG」(1,455戸)が計上される(10社JVで、同社の事業比率は25%ではないかと記者は予想している)。
. 50階建てツイン1,455戸の入居開始「HARUMI FLAG」全5,632戸完成(2025/9/21)
単価予想1,300万円的中!三井レジ&地所レジ「三田ガーデンヒルズ」700戸供給済み(2023/9/20)
「木造の建築物を建てれば最後は森になる」三井ホーム野島秀敏社長 記者懇親会

野島氏(新木場センタービル9階)
三井ホームグループは11月4日、記者懇親会を開催し、同社代表取締役社長・野島秀敏氏は今年4月に社長に就任して以降の所感について次のように語り、「木はCO2を固定化する。木造の建築物を建てれば、最後は森になる」と締めくくった。
現在の注文住宅市場は、徐々に縮小し、建築費の上昇を背景に一棟当たり単価は高くなっている。このような市場の中で、今後どのようにして成長していくかが大きな課題となっており、当社グループは「注文住宅の会社から住宅事業+木造施設建築の会社へ」を掲げ、様々な取り組みを開始した。
一つは、木造建築の可能性を拡げるための挑戦である「MOCXION(モクシオン)」。当社初の木造マンション「MOCXION INAGI」をはじめ教育施設、ロードサイド施設、建築物の一部木造化や建材事業など幅広い建物を木造化していく。
もう一つは、「MOCXION」で培った技術を最適化した「MOCX WALL工法」。これにより下がり壁をなくしたフラット天井、またぎを解消したバルコニー、柱の制約を受けない独立支持柱、壁面を少なくした大空間を実現した。
三つめは「MOCXCOM(モスクコム)」。創業50周年を機に本社機能を今年5月、「木の街」でもある新木場に集約した。「COM」には新たなオープンイノベーションの創出を目指すコンパス、羅針盤となる意味を込めた。コミュニティを醸成するコンセプトが評価され「第38回日経ニューオフィス推進賞」を受賞した。
住宅事業については、当社はオリジナルデザインを含めて長年お客さまに高い評価を頂いてきた。このブランド価値を生かし、富裕層向けを再強化する。もう一つは、分譲マンションや分譲戸建てに流れている顧客をターゲットに「三井のセレクト」というブランドで、今まで注文住宅に見向きもしなかった若年層のニーズを取り込んでいく。
社長に就任して精力的に取り組んできたのが「全国巡訪」。この半年間で全国の支社など16か所を訪ね、直に社員の声を聴いた。社員一人ひとりと向き合い、意見を吸い上げ経営に生かしていく。

懇親会会場
高額注文住宅と規格住宅を車の両輪へ 野島秀敏・三井ホーム社長(2025/4/17)
大和ハウス 住友電設株1,694億円で公開買い付け 完全子会社化へ
大和ハウス工業は10月30日、住友電気工業と業務締結契約を締結し、住友電気が所有する子会社・住友電設株17,828,151株(所有割合50.66%)を1株9,760 円、総額1,694億円で公開買い付け(TOB)により取得すると発表した。公開買付けは2025年10月31日~12月15日。
〝良いものを価格に表現させる〟時代へ 三井不動産・植田俊社長 記者懇親会

植田社長(帝国ホテルで)
三井不動産は10月20日、恒例の記者懇親会を開催し、約200人のメディア関係者が集まった。冒頭、同社代表取締役・植田俊社長は次のようにあいさつした。
世界では、トランプ政策が与える影響、地政学的なリスクが懸念されており、国内では行政の混迷が続いている。一方、経済に目を向けると、堅調な内需と設備投資をベースに穏やかな回復が続いている。継続する賃上げと物価との好循環が生まれでインフレ成長を成熟させる成長型経済へ向かう大きな転換期を迎えている。
この良好な経済情勢を象徴するかのように、最近のスポーツの世界では、サッカー日本代表がブラジルを逆転で破り、大谷翔平はそれこそ野球の新しい歴史を作る活躍をし、また、ノーベル賞では生理学・医学賞と化学賞の2人の先生が受賞される明るい話題があった。(これらの流れに水を指す)政治の混迷が経済やマインドを引っ張ることのないよう祈りたい。
わが国のこれまでの30年間に及ぶデフレの時代は、付加価値が正当に評価されず、イノベーションが起きづらい時代だった。デフレを脱却し、インフレを定着させるパラダイムシフトが今起きており、これからの時代は付加価値が正当に評価され、イノベーションが起きる必要条件が整ったと認識している。これまでの〝良いものを安く〟という考えを〝良いものを価格に表現させる〟という考えにマインドをリセットする必要がある。
これは、当社にとって大きなチャンスと考えている。付加価値創造企業として圧倒的な力を有している当社グループの存在感が高まっていると確信している。
当社は昨年4月、長期経営計画「&INNOVATION 2030」を策定した。これまでの不動産デベロッパーの枠を超えた産業デベロッパーとして我々の姿を進化させ、社会のイノベーション、価値創出に貢献していく。今年は長期経営方針に基づく2年目の年になり、2030年までの目標達成に向け着実に進捗させていく。

メデイア関係者は約200人
オフィス事業は、よく事務所と訳されますが、もはや事務作業をする場所ではなく、コロナ禍を経てオフィスはリアルのコミュニケーションにより、付加価値を生み出す現場として位置づけられるようになった。働き手が自発的に行きたくなるオフィスの中を着飾るだけでなく、行きたくなる街にあることが必要。日本橋の街づくりやミッドタウンに代表されるミクストユースの街づくりが重要である。今後、当社は複数の大規模再開発を進めており、2026年竣工の「日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業」は、首都高速を地下化する国家プロジェクトの一翼を担い、エリアのミクストユースを進展させるプロジェクト。すでに満床となっている。「八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業」は住宅、インターナショナルスクール、劇場などの機能を備える再開発で、既にホンダをはじめ複数の成約を得ている。その他、足元のオフィス空室率は低水準にあり、リーシングは順調に進んでいる。
商業施設・スポーツ・エンターテイメント事業は、今年は8月に2棟目となる名古屋アリーナを着工するなど複数の国内新規開業・リニューアルがあり、ネットワークを拡大した1年。当社は相乗効果による新しい体験価値の創造に取り組んでいる。買い物とスポーツ・エンターテイメントに共通するものはアドレナリンが出るということ。昨年開業した「アリーナ東京ベイ」から近隣のららぽーと滞留効果が生まれ、東京ドームのコンサートやMITASHITA PARKなどとのシナジーが生まれている。また、商業施設ショッピング会員は1,425万人に、アプリからコンサートチケットなどを購入でき、Z世代の取り込みにも成功している。
ホテル・リゾート事業は、稼働率、客室単価とも高水準。インバウンド需要も取り込み、来年は「HOTEL THE MITSUI HAKONE」の開業を予定しており、ラグジュアリーホテルの展開にも注力していく。
住宅事業は、堅調な需要に支えられ、グループ分譲している都心・大規模・再開発マンションが順調に推移している。「日本橋一丁目中地区」には、ヒルトンの最上級ラグジュアリーブランド賃貸「ウォルドーフ・アストリア・レジデンス東京日本橋」を提供することを公表した。
物流事業は、データセンターや冷蔵冷凍倉庫にも進出しており、近年成長が著しい事業。街づくり型、防災拠点、いこい場を提供し、労働力不足などにも先端技術を駆使し開発を進めていく。
海外事業は、イギリスで英国図書館再整備を含むオフィス、ラボ、商業などの大規模開発に参画することが決定した。アメリカでは当社のフラッグシップ「ハドソン・ヤード」は満床となった。4番目の支店をテキサス州ダラス市に設立し、サンベルトエリアでの高級賃貸住宅も竣工する。この他、世界各地で当社グループの強みを生かしたまちづくり型事業を推進していく。
ソリューション・パートナー本部・産学連携事業は、熊本空港の民営化への事業参画、台湾でのサイエンスパークの開発を進めている。アカデミア、自治体、地元企業と連携し実効性のある新しい地方創生に貢献していく。ライフサイエンス事業のLINK-J会員は1,000社超となり、年間イベント数は年間約1,000件に上る。宇宙ビジネス領域における会員数は3年で300以上となり、さらに半導体共創拠点をオープンした。本気でイノベーションを起こし、圧倒的な価値を生み出し、産業競争力が求められている。産業活性化に寄与しともに成長していく。築地地区でも先進的な街づくりを推進していく。
神宮外苑地区の街づくりは、世界有数のスポーツクラスターとなる。新秩父宮ラグビー場の着工を来年2月に控え順調に進捗している。老朽化した施設の建て替えによる収益をもとに、約72haの都心の奇跡の森、神宮内苑の森を民間主導で守っていく、次の世代に繋ぐ未来志向の社会的意義も大きいなプロジェクトでもある。
私どもは、地球を素材としてビジネスを行う立場。これまでも人一倍環境に配慮した取り組みを行ってきたが、今年4月、環境との共生宣言 「&EARTH for Nature」を策定し、自然と人、地域一体として環境を整え、それぞれの魅力が循環し、時を経るごとに輝きを増す豊かな環境を生み出していく。
その象徴的なプロジェクトである国内最大の木造賃貸オフィス「日本橋本町一丁目3番計画」は来年竣工するが既に満床。当社が北海道で所有する約5,000haの信連の木材などを活用して〝植える・育てる・使う〟の持続可能な森林循環を木造によって貢献していく。新たな2棟目の木造ビルも着工する予定になっている。
「育休を考える日」のPJサイト公開 積水ハ 賛同企業・団体は過去最多174
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9月19日を「育休を考える日」として2019年から記念日に制定し、さまざまな男性育休を考えるプロジェクト「IKUKYU. PJT」を毎年実施している積水ハウスは9月8日、同日から随時、賛同企業・団体と共に、各社の取り組みや男性育休取得推進に関するメッセージをプロジェクトサイトで発信していくと発表した。9月19日(金)には「男性育休白書2025」の発表会を開催する。
プロジェクトは、2022からは男性育休取得推進に賛同する企業・団体とともに展開しており、今年は過去最多となる174の企業・団体((昨年は154の企業・団体が賛同)している。住宅・不動産業界では野村不動産ホールディングス、レオパレス21が賛同している。
プロジェクトサイトでは、「#育休を考える日」を付けたSNS投稿やリリース配信、オウンドメディアでの記事掲載など、さまざまな形で男性育休に関する情報を発信していく。サイトは次の通り。https://www.sekisuihouse.co.jp/ikukyu/

WEB 動画「僕のはじめての育休|#育休を考える日」
積水ハウス「男性育休白書2024」取得率は過去最高27%「とるだけ育休」課題も(2024/9/23)
積水ハウス「男性育休白書」男性の家事・育児力トップ沖縄県/ランク乱高下はなぜ(2024/9/23)
同床異夢夫も妻も相手の家事労働に不満6割深刻な実態浮き彫りリンナイ調査(2024/9/1)
男性の家事・育児力 1位は高知県ワーストは茨城県積水ハウス「男性育休白書」(2023/9/19)
男性の家事・育児力 1位高知 2位沖縄 3位鳥取ワーストは山口積水「男性育休白書(2022/9/14)
三重と福岡同じ育児時間で幸福度は47位と1位積水ハウス「男性育休白書」(2021/10/1)
多様な取り組みのトリガーに/三重県最下位に転落男性育休フォーラム2021(2021/9/17)
積水ハイクメン白書2020全国ランク九州男児が上位独占かかあ天下群馬は最下位(2020/9/19)
女性活躍と木質化推進を 旭化成ホームズ「サステナ説明会」

左から岡前氏、大和久氏、武藤氏、友松氏
旭化成ホームズは9月5日、サステナビリティ説明会を開催し、同社代表取締役社長・大和久裕二氏、常務執行役員兼人事部長・岡前浩二氏、DE&I推進部長・友松登喜子氏、執行役員サステナビリティ推進・DE&I推進・武藤一巳氏がサステナビリティの取り組みについて説明した。配布資料はA4にして22ページにもわたるもので、全ては紹介しきれないが、記者が注目したものを中心に以下に紹介する。
まず、「旭化成ホームズグループVision for 2030」で掲げる「With Customers」「With Environment」「With Employees」の3つのマテリアリティのうち「With Employees」から。同社のこの種の記者発表会は初めてと思われる友松氏は、管理職における女性の人数(2021年度末からの増加率)について2023年度の28.5%から2024年度は45.7%に激増したと報告した。記者はこの数字にびっくりした。ありえない数字だと。
何のことはない、( )書きされた小文字の(2021年度末からの増加率)を記者は見落とし、女性管理職の比率が激増したと読み間違えたのだ。厚労省のデータによると、旭化成ホームズ単体の従業員に占める女性の割合は32.6%(正社員)で、管理職に占める女性の割合は2.8%(-人)だ。
この数値は自慢できるものではない。増加率が激増しているのはそもそも分子が小さいからだ。タレントマネジメントシステム「CaMP(キャンプ)」「キャリアチャレンジ制度」「新規事業創出プログラム 『WAKUWAKU(ワクワク)チャレンジ』」などの成果が上がっているのだから、女性活躍にもっと力を入れてほしい。社長直下かつ独立組織とすることでDE&I推進を加速させるのは正解だと思う。
同社は9月5日付で「旭化成ホームズグループDE&I方針」を発表。「Diversity(多様性)ダイバーシティとは、一人ひとりの違いを可能性と捉えること」「Equity (公平性)エクイティとは、一人ひとりに最適な支援が提供され、公平に機会をつかめること」「Inclusion (包摂性)インクルージョンとは、違いを尊重し・活かし合うこと」としている。
「With Customers」「With Environment」では、ZEHを超える環境性能(GX志向型住宅)「earth-tect」、RE100の達成、ZEH・ZEH-Mの推進、まちもりの推進、ALC廃材を活用した世田谷区との「グリーンインフラ」実証実験などについて報告した。
注文するとすれば、まちもりの推進の2025年度目標50%は低すぎると思う。「5本の樹計画」に追いつき、追い越す取り組みが必要だ。あとは、木造・木質化の取り組みを強化してほしい。
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同社は9月5日、大手ハウスメーカー初の住宅の建設~解体までの生涯CO2収支ゼロを目指す戸建て新商品「earth-tect(アーステクト)」を同日から販売開始したと発表した。
建物の建設~運用~改修~解体(廃棄)までの累積CO2排出量を算出し、HEBEL HAUS由来の環境価値(非化石証書)を用いてエンボディドカーボンに充当する考えを採用している年間販売棟数は200棟。
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「earth-tect(アーステクト)」
「BORIKIえほん箱」は〝無印良本〟出版業界も学ぶべき旭化成不レジのイベント盛況(2025/7/26)
建て替えより改修のほうがライフサイクル脱炭素に有効住友不・東大・武蔵野大(2023/6/20)
髙島屋ハノイ初出店 大規模複合ビル着工/コスモスイニシア ホーチミン市の分譲好調

「Westlake Square Hanoi(ウエストレイクスクエアハノイ)」
髙島屋の連結子会社・東神開発は8月5日、ベトナム・ハノイ市で参画している大規模タウンシップ開発「スターレイクプロジェクト」内の大規模複合ビル「Westlake Square Hanoi(ウエストレイクスクエアハノイ)」の起工式を8月2日(土)に行ったと発表した。
「Westlake Square Hanoi」は敷地面積約17,248㎡。第Ⅰ期の総床面積は約 43,000㎡で、地下1階から6階にハノイ初出店となる髙島屋(百貨店)と専門店からなる商業フロア「Hanoi Takashimaya S.C.(ハノイタカシマヤショッピングセンター)」(35,000㎡)と、7階から10階にはオフィスフロア8,000㎡を備える地下3階・地上10階建ての複合ビル。第Ⅱ期の総床面積は約60,000 ㎡(予定)。

起工式
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「TT AVIO(ティーティーアビオ)」
コスモスイニシアは8月5日、ベトナムの不動産デベロッパーTT Capital Investment Joint Stock Companyと、日本発祥のグローバル不動産会社Koterasu Partners Pte. Ltd.との戦略的パートナーシップのもとで推進中のホーチミン市での分譲住宅開発第1号物件「TT AVIO(ティーティーアビオ)」のORION棟の第1期540戸の予約受付を開始し、7月26日には第1回の予約会を開催したと発表した。
プロジェクトは、現地の中間所得者層をターゲットとした敷地面積約1.6ha、総戸数2,055戸(AVIS棟:1,109戸・30階建て、ORION棟:946戸・37階建て)の2棟構成。昨年から予約受付を開始したAVIS棟は順調に進捗しており、約9か月で、進捗率は約90%に達している。価格は40㎡で750万円(坪62万円)、81㎡で1,500万円(坪61万円)。引き渡し予定はAVIS棟が2027年第4四半期ころ、ORION棟が2028年第4四半期ころ。

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