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2022/12/26(月) 11:43

今年のマンション №1は「THE YOKOHAMA FRONT TOWER」1年を振り返る

投稿者:  牧田司

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THE YOKOHAMA FRONT TOWER

今年も残りわずか。例年なら30年以上続けている記者が選ぶ「首都圏マンションベスト3」「話題のマンション」を発表するころだが、今年1年間に見学・取材したマンションは地方を含めて58物件しかない。例年の半分だ。新型コロナは取材機会を奪った。「ベスト3」「話題のマンション」に代えて印象に残った物件を紹介する。

もっとも印象に残ったのは、相鉄不動産・東急「THE YOKOHAMA FRONT TOWER」(459戸)だ。マンションのほか商業施設、ホテル、サービスアパートメントなどで構成される横浜駅直結の再開発複合物件だ。坪単価は717万円(記者発表会時点)で、都内以外では昨年分譲の東京建物「堂島」の650万円を上回ったが、第1期129戸がほとんど売れたのにも納得した。設備仕様レベルも極めて高い。

この両社の物件では、相鉄不動産「グレーシア湘南平塚海岸」(100戸)と、東急の期間70年の定期借地権付き免震タワーマンション「ドレッセタワー南町田グランベリーパーク」(375戸)が印象に残っている。

前者は海まで徒歩3分で、坪単価は175万円。施工は長谷工コーポレーション。床暖房も浴室タオル掛けもなし。徹底した経済設計に驚いたが、これもありかと思った。海好きにはたまらないマンションだ。

後者は2019年にリニューアルオープンした「町田グランベリーパーク」に隣接。第1期の坪単価は300万円。太陽光追尾採光システムを採用していた。

電鉄(系)会社の不動産事業は、これまで他のデベロッパーの事業にぶら下がったりゼネコンに〝丸投げ〟したりしていたが、主力の鉄道事業の成長は期待できないことから最近は多角化を進めている。本気を出したら怖い存在だ。沿線の顧客とは〝ゆりかごから墓場まで〟関わりあっているからだ。

全国区のJRをはじめ首都圏の小田急、京王、京急、東武、西武、京成、地方の近鉄、阪急阪神、京阪電鉄、名鉄、西鉄…デベロッパーの命運を左右するのは電鉄(系)会社ではないか。

相鉄不・東急 横浜駅直結タワマン 第1129戸完売 坪717万円(2022/1/26

床暖房もタオル掛けもなし 経済設計の極み それでも海好き惹きつける 相鉄不「平塚」(2022/4/13

11121戸 登録即完に納得 期間70年の定借免震タワー 東急「南町田」(2022/7/22

いつもなら「ベスト3」はすぐ頭に浮かぶのだが、今年は「THE YOKOHAMA FRONT TOWER」に続く物件がない。(記者の取材不足のせい)

それより、地方に目が移る。レベルの高さではタカラレーベンの会社設立50周年記念の免震フラッグシップ「レーベン福岡天神 ONE TOWER」(153戸)だ。「天神」アドレスは38年ぶりの供給とかで、坪単価(書かないという約束)もエリア最高峰だった。オプションだったが、2,0003,000万円を掛けたというモデルルームに記者は驚愕した。壁面に大理石を張るマンションなど首都圏にもないはずだ。

この九州圏最高峰の「福岡天神」を瞬く間に抜き去ったのが、坪単価520万円の大和ハウス工業「プレミスト大濠二丁目」(35戸)だ。残りは6戸だ。

しかし、これより凄い地方物件が分譲された。隈研吾氏が設計を担当した坪単価700万円超のプロポライフグループの「プロスタイル札幌 宮の森」だ。市内の高級住宅街・宮の森の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率60%)に位置する地下2階地上3階建て全20戸。

 これらの物件に象徴されるように、今年は大和ハウス、タカラレーベン、日本エスコン、フージャースコーポレーション、野村不動産、住友不動産、大京穴吹工務店などの地方物件の供給増が目立った。着工増も続いており、戸数は関西圏や中部圏より多い。地方の動向から目が離せない。

福岡の最高峰 第1100戸 圧倒的な人気 タカラレーベン50周年「福岡天神」(2022/3/15

坪単価520万円でも人気 最終分譲へ 大和ハウス「プレミスト大濠2丁目」(2022/11/1

隈研吾氏が設計 坪700万円超でも好調スタート プロポライフ「札幌 宮の森」(2022/9/23

首都圏に目を戻すと、高額物件では三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス グラン 三番町26」(102戸)が販売開始された。坪単価は1,000万円前後。第1期として販売対象の78戸のうち半数以上の40戸が供給された模様だ。

この物件の隣接地では、三井不動産レジデンシャル「パークコート ザ・三番町ハウス」(193戸)が来春に分譲される。「パークコート」に「ザ」が付くのは初めてではないか。〝三菱地所には負けないぞ〟という意思がこの「ザ」に込められていると思う。単価は1,000万円をはるかに超えるか。

8物件目〝グラン〟「三番町26」 高値更新の坪1000万円前後 三菱地所レジ(2022/9/14

1300万円でどうか 旧逓信省庁舎跡地の三井&三菱「三田ガーデンヒルズ」(2022/4/30

 三菱地所レジデンスの物件では、大栄不動産とのJV「ザ・パークハウス 川越タワー」(173戸)が印象深い。駅前免震タワーマンションで、坪単価320万円の高額ながら第11次~398戸が登録完売して話題になった。設備仕様レベルも水準以上。

三菱地所 駅徒歩1分、免震の「川越タワー」第11次~398戸に登録申し込み(2022/3/28

 三井不動産レジデンシャルでは、「パークホームズ文京本駒込」(88戸)を見学した。立地特性を踏まえ、入居者の読み終えた本を貸し出す「循環ライブラリ」のほか、ワークスペース、ピアノ・楽器の練習ができる防音室を設けたのが評価され、第144戸が完売した。坪単価は560万円。

立地にふさわしい防音室、循環ライブラリ 三井不レジ「文京本駒込」人気(2022/12/6

 三井と三菱でいえば、来春には三井不動産レジデンシャル・三菱地所レジデンス「三田ガーデンヒルズ」(1002戸)の分譲も始まる。記者は坪単価1,300万円と予想しているのだが、果たして当たるかどうか。両社はあるときは手を組み、またあるときは角突き合わせて激烈な競争をし、結果として他社の追随を許さないという戦略なのだろう。

この両社に割って入るのはどこか。その筆頭格の野村不動産や住友不動産は意外と都心の一等地での供給は少ない。坪単価2,000万円でも驚かない「西麻布三丁目北東地区」の再開発マンションの供給はもっと先だろう。住友不動産は好立地物件は分譲しないで賃貸として保有する戦略だ。

それでも、野村不動産「KAMEIDO CLOCK(カメイドクロック)」「プラウドタワー亀戸クロス」(934戸)と、複合免震タワーマンション「プラウドタワー目黒MARC」(301戸)は〝プラウド〟の存在感を示した。

「亀戸」は、全館空調「床快Full」(ワンルームタイプ162戸除く)とLowE樹脂サッシを採用した。「目黒」では、同社とJVを組んだJR東日本都市開発、施工・竹中工務店の矜持を見た。リビング天井高2700ミリを確保し、デザイン、ワイドスパンのプラン、設備仕様レベルも高い。

同社の常設モデルルーム「プラウドギャラリー武蔵小杉」はなかなかいい。

街のポテンシャル 劇的に変えた 野村不の商業施設「KAMEIDO CLOCK428日開業(2022/4/26

天井高2700ミリ 全戸ワイドスパンに高い評価 野村不・JR東日本都市開発「目黒」(2022/7/24

5社ブランドとの連携がいい 野村不の常設「プラウドギャラリー武蔵小杉」(2022/6/25

メジャー7の物件では、東急不動産(日鉄興和不動産とのJV)「ザ・タワー十条」(578戸)と、東京建物「ブリリア自由が丘」(61戸)を見学できなかったのは残念だ。「十条」の坪単価は470万円と聞いている。これが売れれば、準都心部のマンション市場を劇的に変えるはずだ。

「自由が丘」は、いつも〝住みたい街〟ランキングのトップ争いをしている自由が丘駅から徒歩2分。住みたい人にとっては垂涎ものだ。お金があったらという条件はつくが、小生がもっとも住みたいのは東京駅で、自由が丘クラスなら青山、麻布、六本木、表参道、神楽坂、神田神保町、二子玉川、下北沢なども引けを取らないと思うが…。

 垂涎ものといえば、リストグループのリストデベロップメント「リストレジデンス武蔵野御殿山」(45戸)もそうだ。「御殿山」アドレスでは9年ぶりの第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)という希少物件だ。残り1戸とのことだが当然か。敷地南側は道路を挟んで玉川上水。ひよっとしたら太宰治も歩いていたかもしれない。歴史と文化を感じさせる物件だ。坪単価は491万円。敷地形状からして設計にも苦労し、強気な値付けをできなかったのが惜しまれる。何といっても同社は〝サザビーズ〟だ。富裕層を狂喜させるマンションを分譲してほしい。

敷地南側は玉川上水 第1期は約30戸成約見込み1低層のリスト「武蔵野御殿山」(2022/10/2)

 

このほか、伊藤忠都市開発、大和地所レジデンス、タカラレーベンなどの商品企画が光った。

伊藤忠都市開発は以前からもそうだが、物件ごとにその土地の魅力を最大限に引き出している稀有なデベロッパーだ。今年は「三軒茶屋」「新御徒町」「西馬込」を見学したが、なかでも「三軒茶屋」が出色の出来だった。

退行する商品企画に一石 天井高2700ミリ&ワイドスパン 伊藤忠都市「新御徒町」(2022/6/18

ディスポーザー、玄関手洗い収納標準、選べる洗面、伊藤忠都市開発「西馬込」(2022/6/19

料理・風呂好きにはたまらない 設備仕様レベル突出 伊藤忠都市開発「三軒茶屋」(2022/11/23

大和地所レジデンスは、容積率に算入されない奥行き4m×幅4mの「オープンエアリビング」を開発してヒットしたデベロッパーだが、今年見学した「横濱山手」(JR西日本プロパティーズとのJV)「茅ヶ崎東海岸」「門前仲町」などが早期完売したのも当然だ。

風致地区の高台立地 設備仕様レベルも高い JR西日本プロ・大和地所レジ「横濱山手」(2022/8/11

希少の海に近い1低層 水準以上の基本性能・設備仕様 大和地所レジ「茅ヶ崎東海岸」(2022/4/12

最高7倍、平均1.5 75戸のうち64戸に申し込み 大和地所レジ「門前仲町」(2022/7/11

天井高3m超、20畳大の床下収納など 大和地所レジ「赤羽北フロント」竣工見学会

タカラレーベンは、先に紹介した「福岡天神」もそうだが、「東川口」「小田原」は〝駅近〟の特性を最大限に生かした好物件だ。

タカラレーベン 小田原駅徒歩1分「レーベン小田原THE TOWER」完売(2022/8/18

県初のPPP事業 4か月で全143戸完売 タカラレーベン・埼玉建興「東川口」(2022/7/14

 このところリビング天井高はどんどん低くなっているが、その低さを感じさせない工夫を凝らしていたのが日本エスコン「レ・ジェイド クロス 千代田神保町」(50戸)と、明和地所「クリオ川越大手町」(49戸)だった。

 「千代田神保町」は2400ミリだが、リビングに隣接する居室を主寝室とし、調光機能付きダウンライトをLD、キッチン、全居室に30か所以上設置することで難点の解消していた。

「川越大手町」は、地区計画により建築物の絶対高さが16m以下に定められていることからリビング天井高は23502400ミリしか確保できていないが、モデルルームは和モダンをテーマに、リビングは床に座って寛げる座卓タイプとし、目線を下げることで空間の広がりを演出していたのが見事だった。

歴史・文化を次代に繋ぐ 企画意図伝わる 日本エスコンの定借「千代田神保町」(2022/10/8

和モダン見事に表現 出色の出来アクタス・モデルルーム 明和地所「川越大手町」(2022/10/15

大和ハウス工業・京浜急行電鉄・長谷工不動産「プレミスト王子神谷」(227戸)は、日本製紙の工場跡地で、用途地域は工業地域だが、周辺はマンション化が進んでおり、嫌悪施設はない。物件はマンション群の南側最前線に位置しており、北側は公園。設備仕様レベルも高い。

大和ハウス 販売好調の「プレミスト王子神谷」 2期分譲開始(2022/2/19

 他の都県の主要都市の坪単価は300万円を突破しているのに、千葉県下では東京寄りの船橋や本八幡などほんの一部でしかなく、県都の千葉駅圏も価格下げ圧力が強い。中心市街地の千葉パルコ跡地の新日本建設など5JV「エクセレント ザ タワー」(397戸)の第11100戸が即日完売したが、坪単価は270万円だった。全国に20ある政令指定都市の中では最安値圏レベルのはずだ。

 同駅圏では、三越千葉店跡地で東京建物、野村不動産、中央住宅、ファーストコーポレーションの4JVのタワーマンション(491戸)が計画されている。坪300万円を突破するのは間違いない。

270万円 第11100戸 即完スタート 新日本建設など5JV「ザ タワー」(2022/4/1

 京王線はこのところの34年間、供給ラッシュが続いており、現在でも調布駅~聖蹟桜ヶ丘駅では十数物件2,000戸超が分譲されている激戦区だ。

そんな中で販売が好調に推移しているのが、飯田グループのパラダイスリゾート「調布ワンダーランドプロジェクト」(220戸)だ。調布駅から1駅先の西調布駅圏であることから、坪単価は260万円と抑えられているが、設備仕様レベルは高い。

大激戦地で販売好調 デベロッパーの良心を見た パラダイスリゾート「調布」(2022/5/25

 分譲開始は昨年の6月だが、今年5月の竣工までに完売したポラスグループ中央住宅「ルピアコート津田沼」(53戸)は、コロナ禍の真っ最中であったことから〝さわらない・もちこまない〟ノンタッチをテーマにしたマンション。坪単価215万円。「変身ラウンジ」「まもるんスペース」に記者は目を丸くした。

目からうろこ キッズスペースに一変「変身ラウンジ」 ポラス「津田沼」竣工完売(2022/6/16

 2019年に開業した相鉄・JR直通線羽沢横浜国大駅前の日鉄興和不動産「リビオタワー羽沢横浜国大」が好調なスタートを切った。記者は初めて降り立つ駅で、隣駅の武蔵小杉から1駅なのでものの数分で着くと思っていたら、何と15分もかかった。一駅でこれほど時間がかかる区間は首都圏では他にまずないはずだ。

 駅周辺は倉庫だった跡地で、駅前はドラッグストアなどがあるのみで、駅名にもある「横浜国大」は徒歩十数分というのに驚いた。さらに、坪単価360万円にも第1期に100戸以上の申し込みが入ったのにも、申込者の半分以上が県外というのにもまた驚いた。設備仕様は高い。 

1分の利便性・資産性受けたか 県外が5割 日鉄興和「羽沢横浜国大」好調スタート(2022/6/25

 

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