三井不レジ コンパクト「白金高輪」「渋谷西原」 投資需要も取り込み絶好調
「パークリュクス渋谷西原」完成予想図
三井不動産レジデンシャルが分譲中のコンパクトマンション「パークリュクス白金高輪」と「パークリュクス渋谷西原」のモデルルームを見学した。ともに売れ行き好調。実需がメインの分譲仕様で、投資家需要も吸収しているのが人気の秘密だ。
「白金高輪」は、〝パークリュクス〟シリーズ最大規模。東京メトロ南北線・都営三田線白金高輪駅から徒歩5分、港区三田5丁目に位置する19階建て全160戸(事業協力者住戸8戸含む)の規模。専有面積は23.56~56.53㎡、現在分譲中の住戸2戸の価格は4,068万円(25.50㎡)と8,388万円(56.53㎡)。全体の坪単価は450万円。竣工予定は平成29年3月下旬。施工は五洋建設。
ゴールデンウィークに契約を開始し、現在残りは3戸。23㎡、25㎡、26㎡の1Kタイプが100戸超で全体の約7割を占める。1Kの購入者は約6割が投資需要で、全体としては実需と投資が半々。
「渋谷西原」は、京王新線幡ヶ谷駅から徒歩1分、渋谷区西原1丁目に位置する7階建て全69戸。専有面積は28.41~67.86㎡、現在分譲中の3戸の価格は3,598万円(28.41㎡)・5,698万円(43.30㎡)・7,098万円(55.63㎡)。全体の坪単価は400万円。竣工予定は平成29年6月下旬。施工は京王建設。事業主は同社のほか大栄不動産。
今秋から分譲開始されており、約8割が契約済み。45戸が28~32㎡の1DKタイプで、こちらは投資需要も呼び込んでいるという。
「パークリュクス白金高輪」完成予想図
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「渋谷西原」の立地は駅には近いが、一等地ではない。噂では〝売れている〟と聞いていたが、単価が単価だから完売まではかなり時間がかかるのではないかと見ていた。好調な売れ行きにびっくりした。
なぜ、こんなに売れるのか。まずプランがいい。添付したGタイプ(36㎡)を見ていただきたい。この住戸は2階と3階のみで、開口部は南東と南西の2カ所。前建もあるので日照は分からないが採光・通風には問題ない。廊下スペースはないが、トイレは別で浴室は1216。リビングダイニングは床暖房付で11畳大確保されており、洋室は5畳大。
もう一つ、モデルルームタイプ(28㎡)は、北向きだがここも洋室は4.3畳大確保されており、ダイニングとつなぐドアは採光が取れるようにガラリ付き。5畳大のダイニングの壁は大型のフレキシブルクローゼットが標準装備。洗濯機置き場にはカウンターが付いている。洗面ボウルはおしゃれなスクエア陶器製で、水栓はグローエ。
このほか、2DKタイプ以上は食洗機、床暖房が標準装備。キッチン天板はラフィネストーンとあるので、フィオレストーンと同じような製品か。
「パークリュクス渋谷西原」の36㎡のGタイプ(この住戸は未分譲)
「白金高輪」は、上層階では坪単価は600万円近いというが、全体では450万円という単価の安さにまたびっくり。設備仕様は「渋谷西原」とほぼ同様。35㎡以上は床暖房付。
同社都市開発三部事業室目黒サロン副所長・田中勇祐氏によると、「コンパクトはここ3~4年、供給が少なかったが、『銀座』をきっかけに用地取得も順調に進んでおり、これから供給を増やす。単価が上昇してくると、投資家向けは利回りが低くなるのでどうなるか。そうなると、利回りが確保できるレベルの高い中古に向かうかもしれない」と話していた。
全体的には同社の〝パークホームズ〟仕様だと思う。これまでの〝パークリュクス〟シリーズはほとんどが二重床だ。
「銀座」については昨年取材し記事にもしているので、そちらを参照していただきたい。隣接地で予定されていたマンションは1棟で投資家に売却したという。
コンパクトマンション市場は、三菱地所レジデンスが参入するなど大手中小が入り乱れて販売合戦が激化している。都心の3区では坪単価はほとんど400万円を突破しつつある。
各社は実需向けには設備仕様レベルを落とし、専有面積を圧縮してグロスを抑えようとしている。他方、そうすることで利回り重視の投資需要も取り込もうと必死だ。しかし、過度の専有圧縮、ダウングレードはエンドユーザーの支持が得られなくなる。〝お客さん〟とは投資家かエンドユーザーか、悩ましい選択が迫られている。
「パークリュクス白金高輪」モデルルーム
バブルだ!中古が新築を上回る 三井レジ「パークリュクス銀座mono」(2015/2/23)
三井不動産レジデンシャル「パークリュクス本郷」納得の価格・商品企画(2008/6/20)
住友林業 東松島市で同社初・宮城県初の木造小学校完成
東松島市立宮野森小学校
住友林業が施工した東松島市立宮野森小学校が12月20日に竣工する。同社が手がけた初の木造小学校校舎で、施工を担当した中大規模木造建築物の中でも最大規模の施設。構造材にはヒノキ、スギの無垢材を使用。地元東北材を活用し、全面的に木の現しとすることで木質感あふれる空間にした。
校舎は、東日本大震災により移転地として高台に造成された新しい街区の里山と寄り添う敷地に立地、木造平屋建て(一部2階建て)、延床面積は約4,000㎡。施工費は約18 億円(電気・設備工事含む)。 約5,000本の無垢材を使用。校舎・屋内運動場がともに木造の小学校は宮城県初。
教室
屋内運動場
フージャース コンバージョン シェアオフィス 渋谷に完成/コンパクト「飯田橋」好調
「Good Morning Building(グッド・モーニング・ビルディング)」
フージャースコーポレーションは12月19日、東京都渋谷区のコンバージョンシェアオフィス「Good Morning Building(グッド・モーニング・ビルディング)」をオープン、報道陣向けに公開した。「創業期のスタートアップの朝を応援する」をコンセプトに、築44年のビルをシェアオフィスとしてコンバージョンしたもの。
1階にコーヒースタンド「ampere」、共用施設としてラウンジ・ミーティングルームを設置し、入居者同士の交流が生まれやすい設計とした。2階~5階がオフィスフロアで、全12区画のうち11区画がスタートアップ企業などで契約済み。今後も、最寄り駅から徒歩7分以内、築20年以上などを条件に5億円から30億円(首都圏)などの投資事業を強化していく。
物件は、渋谷駅から徒歩10分、渋谷区渋谷2丁目に位置する6階建て。延べ床面積632㎡。事業企画は数多くのシェアオフィスの企画・運営実績を持つツクルバが担当した。
エントランス(左がコーヒーショップ、右が共用ラウンジ)
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同社はまた、先に分譲を開始した、JR飯田橋駅から徒歩8分のコンパクトマンション「デュオヴェール飯田橋」(28戸)の約8割が契約済みであることを明らかにした。坪単価は335万円で、期間50年の定期借地権付き。
UDの取り組み強化を 共同宣言(案)は変 「ユニバーサルデザイン2020連絡会議」
「ユニバーサルデザイン2020関係府省等連絡会議 街づくり分科会(第5回)」(海運ビルで)
「ユニバーサルデザイン2020関係府省等連絡会議 街づくり分科会(第5回)」が12月19日、開催された。同会議は、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、ユニバーサルデザイン化・心のバリアフリーを推進し、大会以降のレガシーとして残していくための施策を実行するために設置されたもの。今年2月から「街づくり分科会」と「心のバリアフリー分科会」に分かれて論議されてきた。「街づくり分科会」は今回が最終会合となり、近く行われる「心のバリアフリー分科会」の最終会合ののち、最終とりまとめとして発表される予定。
この日、参加したのは座長を務める秋山哲男・中央大学研究開発機構教授をはじめとする有識者、障がい者団体、関係事業者、関係府省、オブザーバーなど56名(他に欠席者7名)にのぼった。関係府省は平田竹男・内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局長のほか、内閣府、警察庁、総務省、スポーツ庁、経済産業省、文部科学省、国土交通省などに及んでいる。
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会議は、「街づくり分科会」と「心のバリアフリー分科会」に分かれているように、「文化・言語・国籍の違い、老若男女といった差異、障害・能力の如何を問わずに利用することができる施設・製品・情報の設計(デザイン)をいう」(ウィキペディア)本来の意味のユニバーサルデザイン(UD)とは若干趣旨が異なる。
これは、平田氏が説明したように「広い範囲で論議するより、今回はピンポイントを『障がい者』に絞り、クリアカットで方向性を示そうという官房長官の意向」が働いているようだ。
これに異論はない。記者はユニバーサルデザイン(UD)という言葉が一般に知られる前から取材を行ってきており、「オリンピック・パラリンピック」が動機・契機というのは情けないと思うが、あらゆる府省、関係団体が一堂に会してUDを普及させようという取り組みは大歓迎だ。画期的なことではないか。配布された資料は、工程表も含めA4で75ページにも上る。確実な実行を望みたい。
一つだけ気になる、というか承服しかねるのが「街づくり分科会」と「心のバリアフリー分科会」の両者で予定されている「共生社会の実現に向けた行動に関する共同宣言(案)」の「差別」についての現状認識だ。
宣言(案)の書き出しは次のようにある。
「過去において、障害のある人が受けてきた差別、虐待、隔離、暴力、特別視などは、わたしたちの社会において、決して受け入れられない。そして、今もそれらが存在するとすれば、断じて許されない」
みなさんは、この文章を読んでどう思われるか。記者はわざわざ「過去において」と断っているのが理解できない。障がい者に対する差別などは過去も今も行われているのは歴然とした事実だ。「わたしたちの社会は」というのも何だか変だ。これは「他の社会」では差別が行われているというほのめかしの意味で用いられているのだろうか。さらにまた、「(差別などが)存在するとすれば」という仮定形の意味も不明だ。
全体として、野蛮な国はともかくとして、日本には障がい者に対する「差別」など存在しないと言っているようにも聞こえる。
差別を行ってきたのが歴然であるからこそ、障害者権利条約にわが国は批准(2007年)したのではないか。そして、今も差別が行われているからこそ、なくそうとしているのではないか。
宣言(案)の文中に出てくる「人の命の重さに思いを馳せ」「障害者権利条約の理念を思い出し」というのも何だか変だ。人の命の重さは思い馳せるものではなく、自覚・認識するものだと考えるがどうだろう。
この宣言そのものについては、全国重症心身障害児(者)を守る会副会長・髙木正三氏が「どこかから引用して作り上げたような文章。しっかりしたものにしていただきたい」と発言した。「理念を思い出し」については、髙橋儀平・東洋大教授が「理念を踏まえか、理念を基本にか、というように改めるべき」と発言して、了承が得られた。
考えてみれば、「心のバリアフリー」も何だかわかるようで分からない言葉だ。障がい者に対する差別意識は、歴史的社会的、後天的に植え付けられたのではないか。人間は生来、そのような差別意識を持っているのだろうか。
UR賃貸 新TV-CMに女優の吉岡里帆さん 部屋探しキャンペーン
UR賃貸の新TV-CM
都市再生機構(UR都市機構)は12月16日、UR賃貸住宅の「春のお部屋探しキャンペー ン」と「4つのメリット」を紹介する新TV-CMを全国で放映開始した。
CMは女優の吉岡里帆さんを起用。15秒という短い秒数の中で「UR」をいかに印象的に伝えるかを考え、「URであーる。」という韻を踏んだキャッチフレーズで展開する。
UR賃貸住宅は12月16日(金)から平成29年3月31日(金)までの期間、「春のお部屋探しキャンペーン」を実施する。期間中に対象物件を申し込むと、最大2カ月分の家賃が無料になるフリーレントや、最大5年間家賃が割引となるキャンペーン家賃を適用する。
詳細はURの窓口、もしくはWEBサイトhttp://www.ur-net.go.jp/sumai/campaign/ へ。
ナイスホーム「パワーホーム」 「BELS」の最高評価「5つ星」100件突破
「5つ星」を獲得した事例「ナイスパワーホーム菊名」(完成予想図)
すてきナイスグループの木造一戸建住宅「パワーホーム」を供給するナイスホームは12月16日、今年4月から始まった建築物省エネルギー性能表示制度「BELS」の最高ランクとなる「5つ星」を取得した件数が100件を突破、115件にのぼったと発表した。
所在地別では神奈川県横浜市が36件、静岡県浜松市が30件、川崎市が28件の順。このほか、4つ星を取得した住宅が10件あり、BELSの評価取得件数は合計で125件に及んでいる。
「パワーホーム」は、外皮平均熱貫流率(UA値)0.6W/㎡K以下、一次エネルギー消費量削減率20%以上を基本方針としており、この性能がBELSの5 つ星に相当する。
「BELS」は、国土交通省による「非住宅建築物に係る省エネルギー性能の表示のための評価ガイドライン」に基づく制度で、今年4月から住宅版がスタート。評価・表示される性能は、外皮性能及び一次エネルギー消費量で、外皮性能については現行の省エネ基準への適合の可否が、一次エネルギー消費量については性能の高さから5ランクに分類され星の数で表示されている。
住宅性能評価・表示協会のホームページによると、今年10月末現在、「BELS」の住宅の累計評価件数は5,641件で、都県別では1位愛知県908件、2位静岡県379件、3位埼玉県297件、4位兵庫県251件、5位神奈川県249件の順。
申請者順ではナイスホームが68件で、2位の山下不動産建設の23件を大きく引き離しトップ。
この冬一番の寒さの中 世界水準のUA値0.46を体感 「浦和美園 E-フォレスト」
「浦和美園 E-フォレスト」(中央住宅)
ポラスグループの中央住宅(21区画)、高砂建設(6区画)、アキュラホーム(6区画)からなる全33区画の「浦和美園 E-FOREST(フォレスト)」を12月16日に見学した。来年3月の街びらきを目指し建築中だが、間違いなく素晴らしい街になる。売れ行きも総じて好調だ。
物件は、埼玉高速鉄道浦和美園駅から徒歩6分、さいたま市緑区下野田弦巻に位置する全33区画。土地面積は約150~194㎡、建物面積は100㎡前後、価格は5,000万円前後が中心。入居予定は来年3月。
10月から分譲が始まっており、中央住宅は全21区画のうち18区画が、アキュラホームは第1期3区画のうち2区画が、高砂建設は6区画のうち2区画がそれぞれ販売済み。工法はいずれも在来工法。
「E-FOREST」の「E」は「ecologe(エコロジー)」「enjoy(エンジョイ)「energy(エネルギー)」「echo(響きあう」の頭文字からなり、「FOREST」には3社の住宅を集合体としての「FOREST(森)」として次世代に継承する意味が込められている。
UA値が0.46以下の世界基準の超高断熱設計、創エネ&省エネ、電線・通信地中化、コモンスペース、フード&グリーンワークショップ、後述するUDCMiとの連携などが特徴で、首都圏では「柏の葉」「浦安」「神奈川(横浜)」とともに国が先駆的な取り組みを支援する「地域活性化総合特区」に指定されている。
各社の住宅は、最低敷地規模、壁面後退距離、隣棟間隔などを定めた地区計画のもと、基本断熱性能、樹脂サッシ、給湯設備などを共通標準装備としたほかは、独自の商品企画となっている。
中央住宅の住宅は、コモンスペース「つなぐ庭」を中心に配し、「木肌のリビング」「森のダイニング」の木の素材系と「スタジオキッチン」「アトリエリビング」の空間系の4パターンのプランで構成。「つなぐ庭」は2016年のグッドデザイン賞を受賞した。
高砂建設の住宅は、地元埼玉県の西川材を用いた外断熱二重通気工法が特徴。家全体を温度差のない環境に保つ健康住宅。
アキュラホームの住宅は、ママ家事ラクを考慮した玄関-ダイニングキッチン-洗面室-浴室の回遊動線のほか、欄間窓を通じた空気の対流、収納率の高さなどが特徴。
「浦和美園 E-フォレスト」(高砂建設)
中央住宅の「つなぐ道」(ピンコロ舗装と天然石を配した植栽枡のコミュニティ道路は全世帯で共有)
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この日、外気温は9度。記者は「年内はコートを着ない」とやせ我慢をずっと張っており、震え上がった。
アキュラホームの戸建てを訪ねたのが15時前。玄関に入った途端、温かい空気が全身を包んだ。リビングはもちろん、キッチンも風呂もトイレも2階の居室も約109㎡の住宅内の体感温度は一緒だった。
同社営業推進部・横手宏光氏によると、「エアコンは1台のみ。ここに昼頃ついて設定した温度が24~25度。欄間の窓などを通じて空気を対流させているので住宅全体を一定温度に保つことができる。窓にはカーテンをまだ付けていないので、付ければさらに効果は高まる」と話した。
これこそが「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会(HEAT20G2)」によるさいたま市版のスマートホームだ。冬季に暖房が切れても室温は15度を保ち、13度を下回らない超高断熱の設計になっているという。世界基準のUA値は札幌とほぼ同じ0.46というのが「E-FOREST」だ。
やせ我慢を張ったおかげで、スウェーデンや北米の世界水準のスマートハウスのありがたさ体感することができた。
「浦和美園 E-フォレスト」(アキュラホーム)
欄間付きドア(奥)
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「スマートシティさいたまモデル」を国内外に発信・展開するために昨年発足したのが「美園タウンマネジメント協会」で、駅前にある「アーバンデザインセンターみその(UDCMi)」だ。
構成メンバーはさいたま市のほか、慶大、工学院大、芝浦工大、東京電機大などの大学とイオンリテール、セコム、日本IBM、積水ハウス、大和ハウスなどの民間、さらには中央住宅、アキュラホーム、高砂建設などが加入する埼玉県住まいづくり協議会など30を超える。
この種の官・学・民連携のタウンマネジメント組織は、千葉県柏市の「柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)」が先行して精力的な活動を行っている。「UDCMi」も負けないよう頑張ってほしい。「美園エリア」の街づくりの成否のカギを握っているのは「UDCMi」だと思う。
今年3月に行われたこのプロジェクト発表会の記事もぜひ読んでいただきたい。そのときは具体的なことはほとんど発表されなかったので「『日本一の街』になるかは保留…」と書いたが、この日(12月16日)は寒さに震えあがりながらも素晴らしい街になると確信した。
モデルハウス(高砂建設)
モデルハウス(中央住宅)
モデルハウス(アキュラホーム)
「日本一の街」になるかは保留 「美園スマートホーム・コミュニティモデル街区」(2016/3/19)
「中古市場は未成熟」と言われて悔しくないか 中古市場関係者は反撃を
業界紙「週刊住宅」12月12日号に「中古住宅市場は未成熟? 」という見出しのコラム記事が掲載されていた。不動産コンサルタント・畑中学氏の連載記事で、見出しには「?」マークがついているように、畑中氏はそうではないと仰っている。それでも正面切って「?」を突きつけられると、改めて考えざるを得ない。それだけこの記事はインパクトがあった。
以下は、中古住宅市場に疎い、門外漢の記者の的外れの指摘かもしれないが、だからこそ見えてくる市場の問題点・課題について率直に書いた。
いったい誰が「中古住宅市場は未成熟」と言っているのか。すぐわかった。
「日本の中古住宅流通やリフォーム市場は欧米に比べて未成熟であり、住宅流通に占める中古の割合は13.5%、住宅投資に占めるリフォームの割合は27.2%に過ぎない」(住宅の長寿命化に向けた研究の取り組み)のように、あらゆる中古住宅市場データにこのような文言が見つかる。流通量が少ない=未成熟という意味で使われている。
「未成熟」は「未熟」「稚拙」を連想させる。記者の取材フィールドは新築市場だが、仮に「新築市場は未成熟」などとレッテルを張られたら黙っていられない。〝玉石混交〟くらいは許せるし、記者もそう思っているが、そんなことを言われたら徹底抗戦する。
なのに、畑中氏は別として、この「未成熟」に異論を唱える中古市場関係者は意外と少ないようだ。全国10万会員を擁する全宅連は「未成熟」と言われてなんとも思わないのか。
流通量が少ない=未成熟という短絡的な決めつけは、一方では、建築後20年で建物の価値がほぼゼロになる「新築」の粗製乱造市場を「成熟市場」とみなすことにつながらないか。中古の未成熟だけを問題視し、新築の問題に目をつぶるのは山を見て森を見ないのと一緒だ。
では、本当に中古住宅市場は未成熟なのか。記者は全くその逆だと思う。
少なくとも「不動産業」が業として成立したのは100年以上も前だ。「周旋屋」時代を含めれば江戸時代にさかのぼるはずだ。当初は新築販売、中古仲介、貸家・貸間あっせんなどに区分する認識はなく、不動産に関するすべてを業として扱うのが不動産屋だったはずだ。
記者は座学者でないからわからないが、この不動産屋が扱う商品によってデベロッパー、仲介業者、賃貸管理業者などに分化されたのは、消費者側からの要請というより商品供給サイドの都合によるものではないか。
その流れを作ったのは間違いなく高度成長期の大量供給・大量消費だ。絶対的な住宅不足を解消するため、日本住宅公社は郊外に大量の賃貸マンションを建設し、大小のデベロッパーが入り乱れてマンションや建売住宅を供給した。
悲劇的だったのは、海外から〝ウサギ小屋〟と揶揄されたように質が二の次にされたことだ。土地神話が「新築」偏重を加速させた。
質に耐えないものは取り壊され、また装いを新たにして「新築」が供給されてきた。住宅市場の歴史はその繰り返しではないか。この構図を確固たるものにしたのはデベロッパーそのものだ。その過程で「中古」は「新築」より劣るとイメージづけされてきたのではないか。
この構図を補強したのが、「新築のほうが気持ちいい」「中古は問題が多そう」「中古は心理的に抵抗感がある」などのアンケート調査だ。
記者は、そもそもこの種の二者択一的な設問の仕方に賛成しかねる。高額で人生を左右しかねない商品選択の問題なのに、「好き」とか「嫌い」とかで選択を迫るのはあまりにも乱暴だ。どのような階層の人がどのような立場で答えるかが問題で、足してその数で割って数値化したところで問題をえぐり出したことにはならない。
不思議なのは、「気持ちがいい」とか「心理的に抵抗感がある」という答えをどうして深く掘り下げないのかということだ。「新築のほうが気持ちいい」という言葉は、果たして「中古は気持ちが悪い」につながるのか。入退去が頻繁に繰り返される「賃貸」はどうなるのか。「気持ちが悪くなる」ものを造り続けているのではないか。
いま、国土交通省と一部の業界ではイメージが悪い「中古住宅」の呼称を変更しようとする動きがある。この問題について、あれほど宅建取引主任者の呼称変更に多くのエネルギーを注いだのに、メディアは冷ややかで等閑視している。
記者はとことん論議すべきだと思う。なぜ中古はイメージが悪いのか、消費者の深層心理に深く踏み込んで解明し、打開策を探るべきだと思っている。
卑近な例で申し訳ないが、「新築」「中古」の対比は、男社会からみた「処女」「非処女」の考えと通底すると見ている。いずれも強い立場の側が勝手につくり出した構図ではないか。先にも書いたように、新築住宅を売るために、何の根拠もないのに「中古」=「非処女」と同じようにデベロッパーがシナリオ、幻想を描いたのではないか。その幻想を消費者はずっと刷り込まれてきた。
この呼称問題について、三井不動産リアルティ会長・竹井英久氏らが「新築があるから中古になる。新築の呼称をやめ、中古住宅の中古を取ればいい」と語った。これは正鵠を射る。そうなれば、新築も中古も分譲も賃貸も同じような選択肢になる-これこそが望ましい社会ではないか。
「新築重視の住宅政策からストック重視の住宅政策への転換」は、これまでのわが国の住宅政策をきちんと総括しないと、「新築」のツケを消費者と仲介業者に払わせることにならないかと危惧する。
いまこそ、中古(または既存=キゾン)住宅市場関係者は総反撃を開始すべきだ。
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以上、取り留めなく書き連ねてきた。記者のこの考えを補強したのか、逆に誤っていることを指摘したのかよくわからないが、不動産流通業界通の記者が「まともな仕事をしている仲介営業マンは、新築営業マンよりもレベルははるかに上です。なぜなら、新築営業マンは『そのマンションを売る』のが仕事ですが、仲介営業マンは一人ひとりのお客さんの事情に合わせ、市場にある数多の物件から、ふさわしいものを選び出す。しかも、それらは一物一価で程度もまちまち、売主もまちまちです。そこを調整し、瑕疵を調べ上げ、説明し、納得して買っていただくわけですから。中古市場が国の思惑通りに拡大してこないのは、何も中古流通市場の仕組みが前近代的なわけではなく、日本人の行き過ぎた『新築至上主義』にある」と語った。
なるほど。しかし、この「新築至上主義」こそ曲者で、前述したようにこれは日本人の文化でもない。極めて意図的に仕組まれた社会的所産だと思う。鶴田浩二さんの「古い奴ほど新しいものを欲しがるもんでございます」の「もの」は、決して建物や女性など具体的な「物」「者」を指しているのではない。考え方、道理を指すのだ。
三菱地所レジデンス 資産形成用コンパクトマンション「ザ・パークワンズ」分譲へ
「ザ・パークワンズ千代田佐久間町」(左)と「ザ・パークワンズ品川戸越」完成予想図
三菱地所レジデンスは12月15日、資産形成用コンパクトマンション事業のブランド名を「ザ・パークワンズ」に決定し、本格展開を開始すると発表。千代田区丸の内に開設した常設販売ギャラリー「ザ・パークワンズ丸の内サロン」を報道陣に公開した。
同事業は、東京都への人口流入、単身世帯の増加、低金利の社会情勢を背景とした多様なニーズに応えるため、マンションへの投資・運用によるストック資金の有益活用や自己居住・セカンドハウス需要を取り込むのが狙い。
分譲マンション「ザ・パークハウス」や、賃貸マンション「パーク・ハビオ」シリーズで培ってきた入居者視線のノウハウを注ぎ込む。〝エリア№1の品質の賃貸レジデンス〟を目指す。
事業参入に伴い、物件情報の提供や優先販売を行う会員組織「ザ・パークワンズクラブ」を立ち上げ、今年6月に会員募集を開始しており、これまで約1,300名の会員登録がある。
第一弾の「ザ・パークワンズ千代田佐久間町」「ザ・パークワンズ品川戸越」の一般集客を2017年1月より開始する。エントランス部分に自然石を配するほか、内廊下方式を採用。全室にエアコン、複層ガラス、ピクチャーレールなどを標準装備し、一般的な賃貸仕様よりワンランク高い仕様とする。
今後は渋谷、港区などで供給するほか、都内近郊で年間200~300戸程度の供給を予定している。
「千代田佐久間町」は、東京メトロ日比谷線秋葉原駅から徒歩5分、千代田区神田佐久間町四丁目に位置する11階建て全27戸(事業協力者住戸7戸含む)。専有面積は25.10~50.22㎡。価格は未定だが、中心は25㎡より広いタイプで3,000万円台の半ばになる模様。施工は三菱地所ホーム。竣工予定は2017年12月中旬。
「品川戸越」は、都営地下鉄浅草線戸越駅から徒歩6分、東京急行電鉄池上線戸越銀座駅から徒歩6分、品川区平塚二丁目に位置する13階建て全84戸(事業協力者住戸17戸含む)。専有面積は25.01~40.77㎡、予定価格は25㎡で2,700万円台から。施工は木内建設。竣工予定は2017年9月上旬。
「ザ・パークワンズ」 丸の内サロン」エントランス(左)と商談ルーム
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ニュースリリースのトップに「資産形成コンパクトマンション」とあるように、どちらかといえば自己居住・セカンドハウス向けというよりは、賃貸投資向けに軸足を置いた事業だ。約1,300名の会員のうち約7割の人が投資向けを考えていることでもそのことがうかがえる。このため専有面積は25㎡台が中心で、設備仕様レベルも分譲よりは劣る。
ずっと単身者やDINKS向けのコンパクトマンションを取材してきた記者にとってやはり物足りないプランだった。単身者やDINKSの〝自ら居住〟のニーズに応えるのは「ザ・パークハウス」かもしれないが、「ザ・パークワンズ」も立地、環境などによっては分譲仕様としてもいいのではないか。自ら手を縛ることはないはずだ。
第一弾の価格はリーズナブルなものだと思う。「千代田佐久間町」も「品川戸越」も坪単価は400万円を超えないと見た。分譲仕様でも坪400万円を突破してくるようだと厳しいエリアだ。
参考までに。報道陣から「御社初のコンパクトか」という質問が飛んだが、添付したように旧藤和不動産は2008年に京浜急行本線戸部駅から徒歩3分で全199戸のコンパクトマンション「BELISTA横浜」を分譲している。これは自ら居住が主なターゲットだった。
モデルルーム キッチン
「自宅は癒しの場でない」 共働き夫婦の女性18.9%(男性13.1%) アットホーム調査
不動産情報サービスのアットホームがまたまた興味深い、男性にとっては恐ろしいアンケート結果をまとめ発表した。
今回は、子どもがいる共働き夫婦の〝家の居心地〟に関するもので、男女各312名、計624名が対象。自宅が「癒しの場」であるかどうかを中心に聞いている。
この結果、家にいて癒されると思う時は、男性は1位「家族でご飯」、2位「家族で会話」、3位「家族とテレビ」となり、女性は1位「家族で会話」、2位「一人でお風呂」、3位「一人でボーッとする/家族でご飯」となった。
仕事が終わっても「家に帰りたくない」と思うことがあるのは全体で約3割に達し、帰りたくない理由として女性は1位に「家事などやることがたくさんあるから」と答えた。
共働き女性にとって「家事が大変」は74.0%で、家事分担比率の最多回答は「夫:妻=1:9」だった。
たまに一人暮らしがしたいと思う問いに対しては、男女とも半数以上がそう思うと答え、仕事とウソをついて寄り道をする男性は約4割に上った。
夫婦の仲良し度を100点満点として自己採点で聞いたところ、全体では63.4となり、自宅が「癒しの場ではない」人は38.2点にとどまった。
夫婦の1日の会話時間は平均68分、自宅が「癒しの場」でない人は36分だった。
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この種のアンケートはこれまでもたくさん行われているが、自宅が「癒しの場」であるかどうかを問うアンケートは少ないのではないか。
ここで一つひとつコメントするのは差しさわりがあるので書かないが、自宅が「癒しの場」でない人の割合が男性で13.1%、女性で18.9%あるのに驚いた。夫婦仲が全ての源泉だと思う。昔からよく言われるが、空気のような存在だ。傍にいてくれるだけで癒されるのが夫婦仲だ。同床異夢の夫婦がこれだけいるのはどう理解したらいいのか。
また、女性は家にいて癒されるのは、一人(夫とではない)で風呂に入っているときとか、一人でボーとしているとき、一人でテレビを観ているとき、ペット(ベッドではない)と遊んでいるとき(夫とではない)などが結構ある-これは全く理解不能-女は理解しえない存在なのか。
先日、東京都市大学特別教授・涌井史郎氏が、わが国の美しい自然とその災害が同居していることに例え、「うちのかみさんと一緒。美しいが扱いを間違えると大変なことになる」と絶妙の洒落を発し会場から爆笑を誘ったが、そのうちにゆでガエルと一緒、取り返しのつかない事態に男性は追い込まれるかもしれない。
「あなた、いくら口で愛していると言っても、やってることはまるで逆」-みなさんはそんなかみさんの反撃を食らったことはないか。