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「アクアテラス」全景

 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)と三井不動産は11月22日、柏の葉スマートシティの次期開発エリア「柏の葉イノベーションキャンパス」の中核ゾーンとなる「アクアテラス」の一般供用を開始するとともに、米国のグリーンビルディング協会(USGBC)が運営する国際的な環境性能認証制度「LEED(リード)」の街づくり部門「ND(Neighborhood Development:近隣開発)」の計画認証で最高ランクとなる「プラチナ認証」を取得したと発表した。プラチナ認証取得は日本初で、42haに及ぶ規模は世界最大級となる。

 「アクアテラス」の面積は約2.3ha。雨水流出抑制を目的に造られた「2号調整池」を大規模改修し、親水空間化したもの。「調整池」に新たに6 カ所の階段・スロープを設け、利用者は街のさまざまな方向から水辺近くまで降りることができ、各所にベンチやデッキ、「三角広場」、「親水テラス」など賑わいを創出するスペースも随所に設置。地域住民や周辺企業が主催するイベントや各種のアクティビティの開催も行っていく。

 また、「交流空間」としての機能の強化を実現する複合商業施設「柏の葉T-SITE」を2017 年春にオープンする。同施設は、カルチュア・コンビニエンス・クラブが手掛けるライフスタイル提案型施設で、書店・カフェ・各種ショップなどで構成される。

 UDCKが柏市と協定を結び、調整池を維持・管理していく。植栽や安全管理にかかる費用は、調整池に隣接する土地所有者が協議会を設立して負担する。

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「アクアテラス」オープンのテープカット(左からカシワニ、北原氏、田中地域ふるさと協議会・染谷茂会長、秋山市長、武田氏、出口氏)

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 「アクアテラス」のお披露目会に先立って行われた関係者によるプレゼンテーション・トークセションで、出席した秋山浩保・柏市長は、「市の中長期計画で『柏の葉』地区を将来にわたって千葉県全体をけん引するエリアの一つとして位置付けており、規制の強化と緩和を駆使して新たなチャレンジを行っている。今回の『アクアテラス』は難易度でいえば100%難しいのだが、皆さんの熱意に後押しされて実現した。街の大きな付加価値になる」と関係者を称えた。

 北原義一・三井不動産専務は「『柏の葉』は300haに及ぶ規模。『環境共生都市』『新産業創造都市』『健康長寿都市』の3つのテーマを掲げ、日本から世界に発信する他に例を見ない壮大な実証実験プロジェクト。『2号調整池』の用途変更も極めて画期的なこと」と語った。

 出口敦・UDCKセンター長(東大大学院教授)は、「一つの空間に一つの機能を持たせるのが従来の都市計画の手法。今回の計画は新たなモデルケースとなる」と話した。

 「柏の葉T-SITE」を出店するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の武田宣副社長は「コンセプトは『代官山 蔦屋書店』などと同じ。日常をワクワクしていただく、『T-SITE』ができて変わったなという人が一人でも増えてくれたらうれしい」と話した。

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親水テラス(左)と親水ステージ

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張り出しデッキ

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 40年近く郊外の大規模開発を取材してきたが、調整池が〝主役〟の取材は初めてだった。調整池といえば、立派な水辺空間があるのに、コンクリとフェンスで囲まれ「立ち入り禁止」の看板が掲げられているのが普通だ。それを「アクアテラス」が覆した。秋山市長は「行政単独では費用負担も大きくまずできない」と話した。

 「画期的」な親水空間の演出には違いないが、イベントに参加した地元居住者の女性は「子どもが水遊びできるようしてほしい」と話した。水辺にみんなを誘導しながら「水面への立ち入り禁止」は残酷だ。蛍を誘っておいて水を飲ませないのと一緒だ。

 調整池の深さは30~80㎝だそうだ。水は流れており、魚も泳ぐぐらいの水質だ。メタンガスは発生しない。こどもの事故など起きるはずがないではないか。仮に起きても秋山市長の責任を問う住民はまずいない。

 かつて調整池で子どもの事故はあったかと国交省にも聞いたが、国交省は把握していないということだった。

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駅前の「オークビレッジ柏の葉」の農園

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「オークビレッジ柏の葉」で「特別ですよ」といただいた富有柿

「時間をどう豊かに使うか 都市を評価する新しい指標に」 出口敦・UDCKセンター長(2016/11/22)

街の勢いを見せつけられた「オークビレッジ柏の葉」(2012/5/14)

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 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)センター長・出口敦氏

 「ワークライフバランスに象徴されるようにいかに時間を豊かに使うか、これが都市を評価する新しい指標になる。これまで都市は公共性や利便性が重要視されてきたが、これからは人間の時間の使い方、豊かさをどう実現するかが重要」

 東京大学大学院教授で、柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)センター長を務める出口敦氏が11月22日、「UDCK設立10周年記念イベント」で語った言葉だ。

 この言葉を聞いてわが意を得たりと思った。記者はここ数カ月、いやバブル崩壊後ずっと考えてきたことがある。

 それは、「駅近」のマンションが〝過剰〟に評価され、その一方で豊かな自然環境や広い面積が確保されている郊外型が〝過小〟に評価されている市場はどこかいびつではないかという思いである。普通の会社員が23区内でマンションを買えない、住めない世の中は狂っている-この思いがずっと澱のように沈殿してきた。

 出口教授はその解けない謎を解くヒントを与えてくれたような気がした。しかし、果たして時間を豊かに使える会社員がどこにいるのか。記者は出口教授に「先生、仰ることはよくわかる。しかし、今の会社員は時間と仕事に追われ、全てのものを犠牲にして時間を確保するため『駅近』を選択する。豊かな時間など持てない世の中ではないか」と迫った。

 出口教授は「その問題を問を解くカギは可処分所得と可処分時間をどう増やすかだ」と答えた。

 時間や仕事に追われない、時間や仕事を追わない-そんな社会が来ることを記者は夢見ているのだが、「可処分時間」という概念は面白い。誰にも侵されない「可処分時間」は工夫次第で作れるような気がする。「柏の葉」が時間や仕事に追われない、そんな社会の実現のための実証実験プロジェクトであることを信じたい。

 「駅近」の価値については日を改めて書く。

三井不 柏の葉の調整池を親水空間にイノベーション「アクアテラス」一般供用を開始(2016/11/23)

 

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「Meet Up Under the Tree(あの木の下で会いましょう)」イベント参加者

 ポラスグループの中央グリーン開発は11月19日、同社が2004年から2014年にかけて開発・分譲した全1,035棟の野田市の大規模戸建て住宅地「パレットコート七光台」の一角に、住民参加型のワークショップ「光葉町ミライ会議」とともに完成させたコミュニティカフェ「Meet Up Under the Tree(あの木の下で会いましょう)」のオープンイベントを開催。鈴木有・野田市長、菊地晃史・光葉町自治会長、桜井・カフェオーナーら約100名の関係者が完成を祝った。カフェは11月23日オープンする。

 公募で選ばれたカフェオーナーの桜井氏は「お花がいっぱい飾られたオーストラリアのカフェで朝ご飯を食べてカルチャーショックを受けたのがきっかけ。こんな店を日本でもやりたいと思った。コンセプトは〝はじまり、つながり、ひろがり〟。デザインにもこだわった。コミュニティの輪を大きく育てたい」と話した。

 菊地氏は「『七光台』が分譲開始されたとき、いい街になると直感し購入を決めた。その直感は間違っていなかった。これからもいい街にしたい。自治会加入率も引き上げたい」と語った。

 カフェの敷地は、同社の旧千葉支店があったところ。当初は建物を壊し分譲戸建てを5戸建設して分譲、事業完了する予定だったが、自治会などと協議を重ね、事業完了後の地域コミュニティを支援するために今回の住民参加型のカフェに変更した。3年間のテナント料と300万円の支店リノベーション費用を補助した。リノベーションには住民も参加した。

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コミュニティカフェ「Meet Up Under the Tree(あの木の下で会いましょう)」

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左から菊地氏、鈴木市長、桜井氏

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 この街は分譲当初から数回取材している。「奇跡の街」と書いたが、あの貧相な駅舎と蒼茫とした野原がわずか10年で1,000戸を超える住宅街に変貌したのが信じられない。いま、郊外住宅地の販売ペースは年間20~30戸だ。この街はその4~5倍のスピードで完成させた。当時の記事もぜひ読んでいただきたい。

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カフェの一角

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 イベント会場で参加者に話を聞いた。まず、この日のイベントに野菜を提供した千葉県野田市木間ケ瀬(旧関宿)農家「みのりFarm池澤」の30歳代のご夫婦。

 読者の皆さんは野田市木間ケ瀬と聞いても皆目見当がつかないだろうし、記者自身も「旧関宿」と聞いて、「ああそうか。あの千葉県の北西の突端にある利根川と江戸川に挟まれた盲腸のような町」くらいしか思い浮かばないのだが、若い池澤ご夫妻は、その盲腸のような地で年間30種類の野菜をセットで各家庭に直接販売している。今では六本木ヒルズ、恵比寿ガーデンプレイスなどのマルシェにも出店しているというから驚きだ。

 2人は19、20歳で結婚。ご主人はいわゆる〝婿〟。〝嫁ぎ先〟は子どもに同じ仕事をさせないのが家訓だったため、二人で農業の道を選んだのだそうだ。子どもは2人。

 ご主人が「彼女は30キロの荷物を持てる」と紹介したので、早速奥さんに腕相撲を申し込んだ。体重は40キロ前後なのに、記者はものの数秒でねじ伏せられた。

 奥さんは「わたしの専門は美容・ネイル。仕事を通じて美容と農業がつながっていることがわかってきた。土に触らない日はない。ネイルは爪が汚れても目立たないように黒を基本にしている」と笑った。

 「パレットコート七光台」に当初から住んでいる6歳と4歳の子どもがいる30歳代の夫婦はどうか。

 大阪出身のご主人(38歳)は都内・日本橋に勤務する会社員。「会社まで1時間半。専ら読書の時間に充てている」と、通勤をそれれほど苦に思っていないようだ。結婚して仕事を辞めたという〝専業主婦〟の奥さんは「わたしは所沢出身。最初は全然お友だちもいませんでしたが、たくさんできるようになった」と語った。

 気になるのはやはり女性の仕事と子育ての両立だ。18歳から25歳まで4人の子どもかいる40歳代の女性の「いつも母子家庭状態」という声にはドキリとさせられた。

 豊かな自然と広い敷地の郊外住宅に住むことが、女性にとって〝専業主婦〟〝母子家庭〟状態になることを覚悟しなければならないのか。これはみんな考えないといけない。今回のカフェでは、採用した従業員6人中4人が七光台の住民とのことで、雇用創出にも一役買っているようだ。

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「みのりFarm池澤」ご一家

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七光台にお住いのご一家

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イベントでふるまわれた料理

全191戸が5カ月で完売した「パレットコート七光台」(2005/2/4)

奇跡の街 ポラス「パレットコート七光台」 現場監督を務めるのは2人の若い女性(2010/2/4)

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「宮崎台ブラザビル」リビング

 コスモスイニシアは11月18日、子育てを終えた50~60歳代の夫婦ふたり世帯をターゲットにしたリノベーション済マンションの新シリーズ「INITIA WiZ(イニシア ウィズ)」を立ち上げ、3物件のリノベーション工事が完了したのに伴い分譲を開始したと発表した。同日、完成済みの住戸をメディア向けに公開した。

 「INITIA WiZ」は、利便性と環境に恵まれた沿線・駅の徒歩5分以内を目安に物件を選定。"寛ぎ"を実現できる陽当たりを確保した物件を厳選。間取りはふたり暮らしにちょうどいい距離感を実現する間取りとし、リビング・ダイニングには床暖房を設置し、天然木のフローリングを使用する。また、趣味を愉しむための空間や、飾る・見せるを愉しむ収納、なかなか手放せないものをしまえる大型収納を確保する。

 今回、分譲を開始したのは東急田園都市線の「宮前平ガーデンハウス」(駅徒歩2分、全73戸、1995年竣工、専有面積65.50㎡、価格5.380万円)、「宮崎台プラザビル」(駅徒歩1分、全136戸、1981年竣工、専有面積68.33㎡、価格4,980万円)、「梶ヶ谷プラザビル」(駅徒歩3分、全147戸、1982年竣工、専有面積70.04㎡、価格4,480万円)の3物件。

 今後、他の沿線でも展開し、分譲棟内の居住者のリフォーム・リノベーション要望にも応える体制を整える。同社は9月にリノベーションに特化した「&Renovation渋谷青山営業所」を設置しており、リノベーション事業の一層の拡大を図る。

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「宮崎台ブラザビル」

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 この「INITIA WiZ」シリーズのコンセプトがいい。人気沿線の後背地には分譲価格にして数千万円以上の戸建てに住んでいる高齢者がたくさんいる。ローンも終え、世帯分離で独立する子世帯も多いはずだ。そのような層をターゲットにするのは大正解。同社と大和ハウスが共同で分譲した「高尾」のマンションでも、周辺の戸建て居住者の買い替え・買い増しがたくさんあったことでも証明されている。

 見学したのは「宮前平」と「宮崎台」の2物件。「宮前平」は住友不動産が売主で、築年月からしてバブル崩壊直後の分譲だ。当時のデータは手元にないが分譲単価は坪400万円くらいしたのではないか。二重床にすることで段差の解消を図り、オーク材の挽き板フローリングがよく、ソフトクローズ機能付きの引き戸を多用しているのが特徴。

 ちょっと価格が高い(坪単価271万円)気がするが、解体費用を含めて約800万円の改修費をかけているというからこんなものか。新築なら坪単価は300万円をはるかに突破する立地だ。

 「宮崎台」は竣工からして旧耐震マンションだ。デザインもいかにも昭和50年代に流行した外壁で、レンガ調のタイル、アーチが多用されている。耐震診断は受けていないようだが、当時の売主は東急電鉄で、「宮崎台」だから地盤はしっかりしていそうだ。

 リノベ住戸は、遮熱性に劣り高さも低いサッシ、旧式の玄関ドアそのままだが、内装のデザインは最近の新築物件とそん色ない。壁一面のカウンターラック、ホールの上部収納付きカウンターの提案がいい。リノベ後の坪単価240万円は安いのではないか。

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「宮前平ガーデンハウス」

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「梶ヶ谷ブラザビル」
 


 

 

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主力商品「檜の家」

 ナイスは11月18日、ヒノキ造りの伝統的な木造軸組工法による一戸建住宅や社寺建築などを手掛ける菊池建設を11月17日付でナイスの100%出資子会社にしたと発表した。菊池建設の民事再生計画の認可決定が確定したことを受け、7月15日付で締結したスポンサー契約に基づき決定した。

 菊池建設は1955年に創業。木造注文住宅メーカーで、ヒノキを使用した日本伝統の数寄屋造りをはじめとする純和風の木造注文住宅を得意としており、神奈川県、東京都、千葉県、埼玉県、静岡県を中心に供給している。社寺建築もこれまでに100件以上を手掛けている。

 今後、グループが有する建築資材の調達、プレカット加工、物流といった機能を活用し、経営の合理化や事業の拡大を図っていく。新社長には木暮博雄氏が就任。 資本金は1億円。社員数は104人。

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 ナイスは最近、一戸建住宅部門に力を入れており、前期売上計上戸数は733 戸(前期比60.0%増)、売上高は257億円(同52.7%増)に伸ばしている。今期は1,00戸目標を掲げる。デベロッパー系の分譲戸建てでは野村不動産を抜き三井不動産レジデンシャルに迫る勢いにある。菊池建設の子会社化により注文住宅部門(前期は293戸)を伸ばそうという戦略だ。

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寺社建築 地持院(静岡県静岡市)

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「プレイズ三郷中央」完成予想図

 三交不動産が12月に分譲する「プレイズ三郷中央」を見学した。郊外の激戦地ではあるが、駅から徒歩2分、良好な景観を担保するため定められた市の「三郷中央地区センターゾーン」に位置する全104戸。坪単価180万円台も割安感がある。

 物件は、つくばエクスプレス三郷中央駅から徒歩2分、埼玉県三郷市中央1丁目に位置する14階建て全104戸。専有面積は62.75〜83.66㎡、予定価格は3,300万円台〜4,900万円台(最多価格帯3,900万円台)、坪単価は180万円台。竣工予定は平成30年2月下旬。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は大京。

 現地は商業地域立地だが、駅からほとんど車が通らない舗道を利用できるのが特徴。敷地南側にはこのマンションと同レベルの賃貸マンションが建っているので、日影の影響は受けるが、市の条例により約4~6mセットバックして建物が建てられている。

 建物はほとんどが東向きで、幅員10mの道路とセットバック部分を含め、全面建物とは約15m離れている。1階部分は、これも市の条例により住戸はなく、約100㎡のエントランスホールラウンジ、ライブラリー風集会室、駐車場、自転車置き場などとなる。

 住戸プランは、一部の住戸を除き天井高は2500ミリで最大2600ミリ。相鉄ピュアウォーター製の1棟丸ごとの「良水工房」、食洗機が標準装備。

 販売を担当する大京販売受託室プロジェクトリーダー・大友武彦氏は「センターゾーン内のマンションは7棟目。市の景観条例により無電柱化が図られ、建物は道路から4mセットバックしなければならないとか、住戸は2階以上などの規制があるため良好な住環境が担保されているエリア。価格もお客さんが買える価格に抑えられている。三交さんとは名古屋で共同事業を行った実績があり、また当社が三郷中央駅前で430戸のマンションを早期完売した実績などが評価され、コンペで販売代理に選んでいただいた」と話した。

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エントランス

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 三交不動産をご存じない方も多いかもしれないが、わが故郷・三重を代表する、いや唯一の総合デベロッパーだ。首都圏や関西圏の電鉄系デベロッパーには事業規模では負けるが、質の高い住宅供給では引けを取らないと記者は思う。今回のシンメトリーの外観はとても美しい。

 今回のマンションの特徴は、施工が長谷工コーポレーションでありながら販売代理は長谷工アーベストではない点だ。

 大京がコンペで選ばれたのは前述の通りだ。大京の販売受託室は2011年に新設された部署で、戸建て事業も兼ねるという。

 その大京がオリックス不動産とともに三郷中央で分譲した「ザ・ライオンズ三郷中央」は記憶に残るマンションだ。「申し込み殺到か」と書いたが、その通りになった。そのときの記事を添付したのでぜひ読んでいただきたい。

 あれから6年。大京のマンションは中古でも坪160~180万円で取引されているようだ。「プレイズ三郷中央」とは時代が異なるので単純な比較はできないが、このマンションが完売まで時間がかかるようだと、周辺の物件への影響は少なくない。かつて販売力では右に出る会社がなかった大京の販売力が試される。

 ついでながら、三交不動産の親会社について。三重交通を「サンジュウ交通」と読まないでいただきたい。「ミエ交通」ですから。念のため。山梨県には「山交」があるが、こちらは「サンコウ」ではなく「ヤマコウ」です。

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ライブラリーラウンジ

申込殺到も 大京「ザ・ライオンズ三郷中央」(2010/11/18)

 

 

 三井不動産リアルティは11月17日、「三井のリハウス」WEBサイト上で、マンション成約価格を即時に推定・表示するシステム「Smart Analyzer for Owners」を開発し、同日から提供すると発表した。

 同システムは、WEB上で売却を検討しているマンション情報を入力すると、専用ページ上で、実際に取引された成約事例をもとに自動で推定成約価格を提示するとともに、購入検討者数を即時に表示するシステム。

 算出される推定成約価格は、〝売り希望価格〟ではなく、同社で取引された延べ80万件超の豊富な成約データに紐づく住戸情報をビッグデータ化し、マンション棟別に住戸の特徴、実際に取引に携わった担当者の目を通じて数値化して算出しているのが特徴。

 同社は「エリアの最新情報と不動産マーケットに精通した店舗の担当者が最終的に確認することで、統計解析では捉えることができない事象を補い、よりリアルな推定成約価格の算出、提供を実現させた」という。

 当面は注目度が高い東京ベイエリアの86棟のマンションが対象で、将来的には対象エリアを拡大し、対象物件を増やしていく予定。

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 不動産流通のことはよくわからないが、同社のようなデベロッパー系不動産流通会社では初の試みのようだ。異業種から参入した会社もやはりビッグデータを活用したサービスの提供を行っているが、基本的には〝売り希望価格〟のようだ。レインズのビッグデータは各会社の〝販促〟には利用できない規定があるという。

 

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スチームチキンライス(左)とローストチキンライス 1,300円(ランチタイム1,100円)

 威南記海南鶏飯(Wee Nam Kee Hainanese Chicken Rice/ウィーナムキー ハイナンチキンライス)は11月17日、日本3号店目となる中野セントラルパーク店をオープンする。オープンを前にした16日、メディア向け試食会が開かれた。

 中野セントラルパーク店は、「ガーデン・シティ」と呼ばれる中野四季の森公園に面しており。開放的で自然光が入り込む全席ガーデンビューの店内(38席)とシンガポールリゾートを満喫できるテラス(34 席)の全72席。東洋と西洋のスタイルを取り入れたインテリアデザインが特徴で、ウィーナムキーの現地の味・製法にこだわったシンガポールチキンライスが楽しめる。

 威南記海南鶏飯はシンガポールの人気店の一つで、4店舗を経営するほか、フィリピン、インドネシア、韓国でも店舗を展開しており、わが国には昨年7月、田町に第一号店を初出店。その後、9月に銀座店を出店しており、今回が3号店目。今後、主要都市で展開し当面20店舗を目指す。

 シンガポールチキンライス(海南鶏飯)は、元々中国南方の海南州からの移民によって伝えられた料理で、シンガポールでは日常食のひとつ。スチームまたはローストしたチキンとチキンスープで炊いたライスに好みのダークソイソース、チリソース、ジンジャーソースを合わせて食べるのが一般的。

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店内(テラス)

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 記者だって少しは料理の味がわかる。中華だって本場中国で素晴らしくおいしい料理を食べた。羊の内臓料理が最高に素晴らしかった。昔のパレスホテルのナシゴレンは絶品だった。

 しかし、シンガポールチキンライスは初めて食べる味で、香味野菜の香りがした。中国料理というより、やはり南アジアの料理のような気がした。蒸した鶏肉は柔らかく、量がたくさんあるので若い人にお勧めだ。パクチーが最高においしかった。

 シンガポールに旅行で行ったことがあるという弊社の若い女性に聞いたら、「この店行ったことあるかも。とてもおいしかった」と話した。

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 メディア向けの試食会といえども酒の一杯くらいは出るだろうと思っていたが、待てど暮らせどその気配は全くないのでしびれを切らし、また、先日亡くなられた元東京建物会長・社長の南敬介氏(享年80歳)の供養にもなるだろうと考え、「すいません、お金を払いますのでこれくれませんか」と、5年物の紹興酒(650円)を頼んだ。値段はいつも飲むビール、日本酒、焼酎と同じくらいだった。

 南氏が当時会長だった2007年、東京建物はこの土地(警察大学校跡地約3.5ha)を1,437億円で落札した。あれから約9年。中野四季の森公園のクスノキの大木は見事だった。

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店内からテラス・公園を望む

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「デュオヒルズ旧軽井沢 ザ・ヴィラ」完成予想図

 フージャースコーポレーションの軽井沢での2棟目のリゾートマンション「デュオヒルズ旧軽井沢 ザ・ヴィラ」が好調なスタートを切った。正式な契約はこれからだが、全19戸のうち10戸に申し込みが入っている。

 物件は、JR北陸新幹線・しなの鉄道線軽井沢駅から徒歩27分(車約4分)、長野県北佐久郡軽井沢町大字軽井沢字西屋敷裏向に位置する2階建て全19戸。価格は5,000万円台から7,000万円台が中心。坪単価は280万円。竣工予定は平成29年12月上旬。施工は北野建設。

 今年8月に竣工し、全19戸のうち18戸を完売した「デュオヒルズ旧軽井沢ザ・フォレスト」の隣接地。残りの1戸は同社が保養所として所有し、今回の「ザ・ヴィラ」のモデルルームとして使用している。「ザ・フォレスト」の坪単価は260万円だった。

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 この情報はもちろん同社の広報にも確認したのだが、ついさっき、同社企画開発部企画開発一課課長代理・市川譲氏と企画開発部企画開発二課・北村和樹氏から仕入れたものだ。

 種明かしをする。2人には記者が勤務する南青山のビルの喫煙室で1時間近く前にばったり出くわした。2人は商談に行く途中で、記者はいつものように記事の一段落がついたので一服するために地階まで降りていったのだ。市川氏と喫煙室で会うのは2回目だった。

 「それでは」とタバコを1本吸って別れ、また記事を書き、一段落したのでまた喫煙室に行ったらまたまた2人に出くわした。「わたしのタバコは記事を書くために必要。あなたたちは仕事しているのか」と問いただしたら、「軽井沢のマンションを売ってきた」というのだ。「坪単価300万円? 」と聞いたら280万円という次第だ。

 記者は1時間に1本の記事を書き、市川氏らは坪単価280万円のマンション1戸を売ってきた。(記事にそんな価値はないが)

 これでも嫌煙家たちはタバコを嫌悪するか。タバコは音楽でいえばブレス、息継ぎだ。息が継げなければ歌は歌えない。記事も書けない。

 軽井沢にはバブルの頃、リゾートマンションの取材で頻繁に訪れている。最盛期には坪単価は500万円くらいしたのではないか。「坪単価300万円? 」と聞いたのはあてずっぽうだが、相場観としてそんなに外れていないはずだ。再びブームが来るとは思えないが、箱根などとともに一定の需要は確実にあると思う。

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鈴木氏(埼玉県住まいづくり協議会セミナー会場で)

 埼玉県住まいづくり協議会が先月14日に行ったセミナー会場で、同協議会の副会長を務めるリブランの取締役会長・鈴木靜雄氏に久々に会った。

 鈴木氏は、「会社には年に1回、正月に幹部らと話をするくらいで、経営には関わっていない」としながらも、現在の中堅デベロッパーに次のような手厳しい注文・檄を発した。

 「われわれが30代、40代の頃は大手と戦ってきた。ヒューマンランド、タケツー、興和物産などもそうだった。いまの中堅デベロッパーは戦っていない。今こそ住居とは、コミュニティ、子育て、健康とは何か、これら数値ができない、業界が関わろうとしないところに価値がある。ここに焦点を当て深く掘り下げれば、数値化できない、見えない価値が見えてくる。マーケットは無限だ。決断するかどうかだ。われわれが提唱している倫理経営、居住福祉産業へチェンジすればマーケットは無限に広がる」と。

 激しい口調に〝昔と全然変わっていない〟と思いながら、お歳を伺ったら74歳とのことだった。鈴木氏が60歳を迎えたとき、業界関係者らと還暦祝いの飲み会を行い、赤いちゃんちゃんこを羽織って「引退」をほのめかされたのを思い出した。あれから14年が経過したことになる。

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 鈴木氏は第一線を退くまでは同社の社長として、「環境共生」を前面に掲げたマンション・戸建てブランド〝エコヴィレッジ〟を幅広く展開し、中堅デベロッパーをリードしたばかりでなく、業界全体にも大きな影響を与えた。大手と互角に戦った〝中堅の星〟的な存在だった。

 今では常識となっている「パッシブデザイン」を真っ先に導入したのもリブランだったし、〝リビングイン〟を提唱したのも同社だった。ビオトープを備えた戸建て「川越ハートフルタウン霞の郷」は現時点でも最高傑作のひとつといえる物件だ。防音機能を備えたミュージシャン向けの賃貸マンションなども手掛けて話題を呼んだ。

 また、コミュニティ支援にも力を入れ、地域のバレーボール大会を後援するなどCSRでも業界の先駆的役割を果たした。

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 鈴木氏が第一線を退かれた以後は同社への取材も足が遠くなり、また全国住宅産業協会(前日本住宅建設産業協会)とも訳あって〝絶縁〟したこともあり、中堅デベロッパーの動静には疎くなっているのだが、鈴木氏が現在の住宅・不動産業界に〝シフトチェンジ〟を求める主張は説得力がある。

 記者が見る限り、全住協会員会社が分譲するマンションは完全に大手との競争力を失っていると思う。リーマン・ショック後、金融機関の貸出態度が厳格化したために〝戦えなくなった〟事情は考慮しなければならないが、〝戦っていない〟という鈴木氏の指摘は的を射ている。「倫理経営」「居住福祉」の原点に立ち戻れば、前途に光明を見いだすことも可能かもしれない。

 鈴木氏が実業家の滝口長太郎氏と出会い、「倫理経営」に傾倒し、神戸大学名誉教授・早川和男氏らが提唱する「居住福祉」を盛んに口にしたころと、同社の業態が劇的に変わり、業績も上昇の一途をたどった昭和60年代の前半と一致するからだ。鈴木氏は「倫理経営」「居住福祉」を間違いなく実践した。

 鈴木氏が「(私たち不動産・住宅業界は)住宅と人間、社会との関係性に本質的思想が欠如されたまま突き進み続けました。その結果、住宅産業は景気産業に変容してしまい、様々な社会問題が勃発して、日本社会は現在、末期的様相を呈しています」(2011年11月8日号「住宅新報」)という認識は的を外してはいない。日々生起する問題が住居と深くかかわりあっていることは自明のことだ。

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 この日、鈴木氏に同行していたリブランのミュージション事業部部長代理・田代聡夫氏が「会長は社内のだれよりも精力的に活動している」と話したが、鈴木氏は今年6月に韓国で行われた「第11回平和と繁栄のための済州フォーラム」に日本セッションの実行委員長として参加、「倫理資本主義で世界を救おう」と呼び掛けた。日本居住福祉学会でもデベロッパーとしては唯一理事として活動されている。

 〝引退〟とは、「人間と居住の本質から見れば『廃拠』に等しい」従来型の不動産業からの決別であり、「居住福祉産業」へ突き進む第一歩だったのだろう。

 

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