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「グレイプス立石」

 東京建物の子会社・東京建物シニアライフサポートは2月16日、葛飾区最大規模となる総戸数96戸のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「グレイプス立石」を2月28日から開業すると発表。同日、報道陣に公開した。

 葛飾区内にある588室のサ高住のうち40㎡以上の広さを確保しているものは21戸しかないが、同社は40戸確保して差別化を図っているほか、身体の状態や介護の状況によってサービス内容を選択できる「ケアフロア(2F)」と「レジデンスフロア(3F-6F)」を設置し選択の幅を広げ、食事スペースもケアフロアとレジデンスフロア入居者で分けたのが特徴。日比谷花壇と連携し、身体や精神機能の維持・回復、生活の向上を図る園芸療法を導入する。また、1階には同社初の自社運営のデイサービス「グレイブスデイズ立石」を併設する。

 記者見学会に臨んだ同社・加藤久利社長は、「2009年の第一号以来これまで10物件837戸を供給し、予定物件を含めると1,000戸を突破する。昨年オープンした『辻堂西海岸』(158戸)も120室の申し込みがあるように、稼働物件はいずれも順調に推移している。これまでの経験からワンルームの稼働スピードを上げるとか、認知症入居者の退去・対応をどうするか、入居者の身体機能に応じたサービスをどう提供するかが課題で、『立石』ではその課題解決に向けた取り組みを行なう」と語った。

 物件は、京成押上線京成立石駅から徒歩10分、葛飾区立石二丁目に位置する6階建て全96戸(他に訪問介護事業所・居宅介護支援事業所・通所介護事業所)。専用面積は19.30~51.48㎡、月額賃料は45,730円~256,750円、月額管理費は36,350円(浴室あり)・41,350円(浴室なし)、基本サービス(税込)は38,880円(1人入居)・65,880円(2人入居)、見守りサービス費(税込)は59,400円(1人入居) 、食材費(税込)は朝食:324円・昼食:540円・夕食:540円・3食30日分:42,120円。共用部はフロント・ダイニング・プライベートダイニング・厨房・応接室・相談室・コミュニティラウンジ・屋上テラス・共同浴室・機械浴室・洗濯室・防災備蓄倉庫など。事業主は東京建物、貸主・管理運営は東京建物シニアライフサポート。医療連携は医療法人社団 悠翔会。設計・監理・施工はフジタ。

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エントランスホール

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エントランスホール

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グレイブスホール

◇       ◆     ◇

 居室を自立・軽介護の人向けの「レジデンスフロア」と、介護が必要な人向けの「ケアフロア」に分け、食事場所も分けたのは大正解だ。記者は特養と有料老人ホームに体験宿泊したのでよくわかるのだが、健常者が要介護度の高い方と一緒に食事するのは避けたほうがいいと思う。馴れればいいかもしれないが、まず食事がのどを通らない(要介護の人は自立型の人をどう思っているかわからないが)。

 こんなことを書くと〝差別〟だという人がいるかもしれないが、それぞれが落ち着いた環境と雰囲気で食事くらいしたい。

 設備仕様では、1階のホールには江戸組子や格子のデザインが施され、共用部分、食堂の床は突板仕様だったのが目を引いた。介護浴室はストレッチャーに横たわると浴槽が浮上するタイプで、ケアする人もラクではないかと思った。デイサービスの機械浴槽は按摩器のように腰かけたままで浴槽に入ることができ、四方八方から泡が飛び出すスグレモノだ。そのまま体を洗う機能はついていないのが残念。

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屋上テラス

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デイサービス浴室

◇       ◆     ◇

 これは業界全体の課題だろうが、住宅の質、設備仕様、サービス内容が一目瞭然となるような情報提供システムは開発できないかということだ。

 記者は分譲マンションならデベロッパーの名前や物件概要を見ただけでおおよその検討がつくが、玉石混交のサ高住の中から優れた物件を探すのは容易ではないはずだ。良否は皆目見当がつかないのではないか。居室以外の共用施設の広さ(いわゆるレンタプル比率)を明確にするとか、サービスの質の〝見える化〟を進めてほしい。格付けはどうだろう。

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モデルルーム(レジデンス)

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「Brillia Tower代々木公園CLASSY」完成予想図

 東京建物は2月17日、代々木公園駅と代々木八幡駅からそれぞれ徒歩2分の免震タワーマンション「Brillia Tower代々木公園CLASSY」のモデルルームを2月18日にオープンすると発表。報道陣に事前に公開した。これまでの資料請求件数は約4,500件にのぼっており、来場予定組数も900件を突破するなど高い反響を呼んでいる。この日、気象庁は関東地方で春一番が吹いたと発表しが、ここにきて〝弱気〟一色のマンション業界に〝代々木旋風〟を巻き起こすことができるか。この春一番の注目物件だ。

 物件は、東京メトロ千代田線代々木公園駅から徒歩2分、小田急小田原線代々木八幡駅から徒歩2分、渋谷区富ヶ谷1丁目に位置する19階建て全195戸。専有面積は50.36~142.79㎡、予定価格は6,000万円台~3億円台、坪単価は500万円台の予定。竣工予定は平成31年1月下旬。施工は清水建設。売主は同社のほか住友商事。分譲開始は5月の予定。

 現地は、山手通りと井の頭通りの交差点に立地。代々木公園には徒歩5分、渋谷、原宿も歩こうと思えば20分圏。

 建物は免震構造を採用。東京都の総合設計制度の適用により、エリアの高さ制限は40mから60mへ、容積率は400%から620%へそれぞれ緩和されている。空地率は約50%。東側が代々木公園方面で、西側は遠く富士山が眺望できる。基準階は1フロア11~12戸。最上階の7戸はプレミアム仕様。建物中央部に設備を集約し、屋上に蓋をすることで内廊下方式に近い仕様となる。

 発表会に臨んだ同社執行役員住宅事業部長・菊池隆氏は、「渋谷、原宿も徒歩圏、代々木公園へ徒歩5分の都市と緑が融合した免震タワーマンション。3年前に用地を取得してから企画を練り、都の総合設計制度の適用も受けた。デザインには各専門家を起用した。当社のフラッグシップにする」と話した。

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屋上テラス

◇       ◆     ◇

 いま業界は〝弱音〟一色。そんな中、都心の高額物件でよく売れているのは三井不動産レジデンシャルの「パークコート浜離宮 ザ タワー」と「パークコート一番町」だ。「浜離宮」は浜離宮恩賜庭園がすぐそばで、「一番町」は皇居に近接。単価は前者が約600万円、後者も意外と安そうで600万円台か(来週見学予定)。

 この2物件に対抗できるかどうかがこの物件の見どころだ。皇居に近い「一番町」を超えるのは失礼だが、徳川将軍家の狩場だった「浜離宮」が相手なら、こちらは明治天皇を祀る明治神宮が徒歩圏だ。引けは取らない。

 そればかりか、同社はここ数年「多摩ニュータウン」「池袋」「目黒」「東京八重洲」「上野池之端」などで業界をリードしてきた。とくに「目黒」では一挙にマンション相場を引き上げた。その貢献度は大きい。今回の「代々木公園」は低迷市場に活を入れられるかどうかが注目されている。

 記者はとことん高値追及してほしいと思う。それだけの条件は揃っている。

 ただ、「浜離宮」に勝てるか(単価が600万円という意味だが)となると、自信がない。相手は再開発計画が目白押しの浜松町が徒歩圏で、汐留に隣接している強みがある。

 こちらも渋谷、原宿が徒歩圏で、表参道まで電車で数分という立地は負けないような気がするが、同社はそんな強気ではないような口ぶりだった。報道陣から当然のように単価がいくらかの質問が飛んだが、菊池氏は「何しろモデルルームオープンは明日から。お客さまの声を聞いてみないと…500万円台としかお答えできない」と言葉を濁した。

 500万円台ということは510万円もそうだし590万円もそうだ。これでは記事の書きようがない。なので、以下は記者の独断と偏見であることを承知で読んでいただきたい。

 ズバリ坪単価は550~580万円と読んだ。港区や中央区などでは軒並み坪400万円を突破しており、立地が恵まれているわけでないのに500万円を超えている物件も少なくない。並みの物件とは比べものにならないほどこちらのほうが価値は高い-これがその根拠だ。(「目黒」は大外れだった)

 しかし、「浜離宮」の600万円に届くかどうかは自信が持てない。限りなく600万円に近付けるためには、物件の総合的な価値をきちんと伝えることが求められる。

 その最大の価値、総合設計制度について少し触れたい。総合設計制度は、公開空地を確保し、住宅性能や環境性能が優れた建築物については高さ規制や容積率を緩和する制度だが、平成22年に大幅に改正されて以降の東京都の許可件数は激減している。

 改正前の平成20年は改正を前にした駆け込みもあり30件に上ったが、平成22年には10件に減り、その後は23年8件、24年5件、25年4件、26年10件、27年7件、28年3件で推移。この5年間で許可された29件のうち用途が住宅なのは13件しかない。この13件のうち2件が同社の「上野池之端」と「代々木公園」だ。希少価値は高い。

 もう一つデザイン・設備仕様レベルについて。ランドスケープデザインに塙ランドスケープデザイン、ファサードデザインに日建ハウジングシステム、アクアリウムアートに深田崇敬氏、共用部空間プロデュースに室賢治氏をそれぞれ起用しているように相当力が入っているのはよく理解できる。

 しかし、モデルルームの設備仕様は-これは最近のマンションすべてにいえることではあるが-それほど高いとは言えない。最上階の100㎡超はフルオーダータイプで、天井高が約2.9m、水回り部分が約2.7mあり、ふんだんに自然石、天然木が使用されている億ション仕様はともかく、他の住戸は天井高が約2.5mで柱や梁型が住戸内に出ているものも少なくない。これをユーザーがどう評価するか…。緩和を受けているとはいえ、建築物の絶対高さを抑える地区計画の弊害がここにもある。

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ランドスケープ

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ラウンジ

 三菱地所は2月16日、従来の長時間労働是正にとどまらず、生産性の向上による新たな価値創造を目的として4月1日付で社長直轄の「働き方改革推進委員会」(委員長:執行役社長)を設置すると発表した。また、2017年度下期に大手町ビルヂングから大手町パークビルディングに本社を移転することを決定した。

 働き方改革の主な取り組みとしては、「フリーアドレスの執務スペース」と「多様な空間を備えた共用スペース」により働く場所の選択肢を最大化するほか、「勤務場所制限のないテレワーク制度」の導入、「時間単位有給休暇制度とフレックスタイム制度の併用」、「ペーパーレス化」の推進、「巨大共用スペース」と「内部階段等の社内動線の工夫」、「センサー等IoTを用いた移動データ取得・AI 解析」などを行う。

 社員のベストパフォーマンス発揮を支える健康経営の推進としては、「新たな社員食堂」の復活、「カフェテリアプランによる費用補助制度」の導入などを行う。

 

◇       ◆     ◇

 大手町パークビルディングの竣工見学会のとき、関係者に「このビルは丸ビルを上回る最高レベル」と話して、「そのつもり」という答えを引き出した。なるほど。そういうことだったのか。いったいどこのフロアになるのか。個人的には皇居を眼下にするようなところは避けてほしいのだが…さて。 本社を移転する大手町パークビルディングは保育所も併設されている。

皇居に隣接 三菱地所 最高級Sクラスの「大手町パークビルディング」竣工(2017/2/14)

 

 

 

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吉田淳一氏

 三菱地所は2月16日、取締役兼執行役常務・吉田淳一氏が4月1日付で取締役兼代表執行役執行役社長に就任すると発表した。現取締役兼代表執行役執行役社長・杉山博孝氏は取締役会長に就任する。

 吉田氏は1958年5月26日生まれ。1982年4月、東京大学法学部卒。同年4月、同社入社。人事部長、執行役員ビルアセット業務部長などを経て2014年4月、常務執行役員(人事部、総務部、法務・コンプライアンス部、環境・CSR推進部、環境・防災担当)。2016年6月から現職(人事部、総務部、法務・コンプライアンス部担当)。

◇      ◆     ◇

 同社は同日、吉田氏と杉山氏が同席して記者会見を行ったが、記者は他の取材でその機会を逃した。

 しかし、吉田氏のことはよく存じ上げている。一昨年、同社の「空と土プロジェクト酒米づくりツアー」お田植え編を取材したことがあり、当時常務だった吉田氏も参加されており、しばし歓談した。

 吉田氏は山口県下関出身だが、肥溜めに落ちたことがあることを知っているのは記者くらいではないか。記者も田んぼの肥溜めに落ちて糞尿まみれになったことがあり、二人で大笑いした。その時の記事を添付する。

 “ケロ、ケロ、ケロ”カエルも歓迎 三菱地所・空土プロジェクト田植えツアー(2015/6/3)

 

 

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「ジオ四谷荒木町」(左)と「ジオ四谷三栄町」完成予想図

 電鉄(系)会社の首都圏でのマンション事業拡大が目立っているが、関西の電鉄(系)会社では阪急不動産の攻勢が際立っている。

 同社は首都圏第一号「パークハウス ジオ六番町」(14戸)を2001年に竣工して以来、ここ数年は年間300~400戸を供給してきたが、今後は年間800戸程度まで増やす計画がある。最近の物件では、デザイン監修に隈研吾氏を起用した「ジオグランデ元麻布」をはじめ、設計が日建ハウジングシステムの「港区南青山計画」(25戸)、集合住宅としては初の新宿区総合設計制度を採用した「ジオ四谷荒木町」など意欲的な物件が目立つ。

 「ジオグランデ元麻布」は改めて取材することにして、四谷のツインプロジェクト「ジオ四谷荒木町」と「ジオ四谷三栄町」を紹介する。

 「ジオ四谷荒木町」は、丸ノ内線四谷三丁目駅から徒歩5分、新宿区荒木町に位置する13階建て全131戸(非分譲住戸32戸含む)。現在分譲中の9戸の専有面積は55.68~58.71㎡、価格は7,370万~8,100万円。平均坪単価は443万円。竣工予定は平成30年2月下旬。施工は淺沼組。設計・監理は日建ハウジングシステム。販売代理は野村不動産アーバンネット。昨年8月から販売を開始しており、現在、8割強が分譲済み。

 「ジオ四谷三栄町」は、丸ノ内線四谷三丁目駅から徒歩6分、新宿区三栄町に位置する13階建て全61戸。2月20日に分譲される第1期(11戸)の専有面積は48.91~78.74㎡、価格は6,690万~13,280万円、坪単価は460万円くらいになる模様。竣工予定は平成29年9月中旬。施工は共立建設。設計・監理は協立建築設計事務所(意匠・設備)、共立建設(構造)。販売代理は野村不動産アーバンネット。

 双方ともコンパクト・ファミリー混在型でプランがよく、設備仕様レベルが高い。

 いつも感心するのだが、キッチンと洗面のカウンターは三方立ち上がりにしている。これは同社だけだ。もう一つ、今回は化粧がしやすいスイングミラー三面鏡を採用しているのがいい。

 モデルルームは2タイプ。このうち95㎡のプレミアムタイプは、ナラ材の突板フローリング、大理石廊下、ウォールナット突板建具、シーザーストーンキッチンカウンター、陶器洗面ボウル、ハンズグローエ水栓などが標準。

◇       ◆     ◇

 四谷三丁目はよく知っている。住宅評論家の故・佐藤美紀雄先生とよく飲んだのだが、どこで飲んでも二次会、三次会は決まって四谷三丁目の店だった。すべて佐藤先生のおごりで、記者は一度もお金を出したことがない。いまでも申し訳ないと思っている。

 同社の2物件は、その行きつけの店に近かったので、そのルートから現場に向かった。柳新町通りの路地を入ったときは〝こんなところでよく分譲する。坪単価400万円でも厳しい〟と思ったのだが、津の守坂に面していることが分かり、上方修正した。〝これなら坪500万円は無理だが、400万円台の後半でも売れる〟と。

 価格は読み通りだった。「ジオ四谷荒木町」の現地は淺沼組の東京本店があったところで、新宿区の保存樹に指定されている高さ30m近い見事な大銀杏が植わっている。

 「ジオ四谷三栄町」の隣は住友不動産のマンションが建設中で、津の守坂では三井不動産レジデンシャルの物件もある。阪急の物件はいずれにも負けないと見た。

 

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「プラウド芝公園」完成予想図

 さすが〝プラウド〟というべきか。それほど立地に恵まれているわけでもなく、坪単価は500万円を突破し、ほとんどが億ションであるにも関わらず野村不動産「プラウド芝公園」が4,000件近い反響を集め、第1期23戸が先にほぼ完売した。近く第2期も分譲される。

 物件は、都営三田線芝公園駅から徒歩5分(他に三田、浜松町、田町、大門、赤羽橋が利用可能)、港区芝二丁目に位置する14階建て全51戸。専有面積は69.30~105.16㎡、平均坪単価は500万円を突破する。施工は木内建設。竣工予定は平成29年10月上旬。

 現地は、マンションやビル、商店、住宅などが混在する近隣商業地域。建物は1フロア4戸、2戸1エレベータ。全戸南向き。

 設備仕様は、他のプラウドと同様、天然木の突板仕様のドア、大理石の床、御影石のキッチン・洗面カウンター、コロンボ製のドアノブなど。

 これまでの反響は4,000件近く、来場者は300件を突破している。週刊ダイヤモンド別冊(2017年1月15日号)によると、戸数1戸に対する反響数は過去最高だそうだ。

◇       ◆     ◇

 反響数の多さに驚いた。なぜそんなに多いのか考えた。第一に再開発計画が目白押しの浜松町駅圏であること、供給が少ない芝公園が最寄り駅であること、三井不動産レジデンシャルの「浜離宮」も分譲中であること、「プラウド」であることなどが考えられる。

 これだけ反響があれば戸数は51戸だから売れるのだろうとは思うが、20坪で1億円だ。この売れ行きにもまた驚いた。余計なお世話だが、これは同社だからできる芸当だ。中堅だったらまず成功しない。

 しかし、2戸1エレベータのプランと設備仕様レベルは高い。ついに港区の住宅地は坪500万円以上に突入したか。そういえば、三田綱町のアパのマンションは坪800万円を間違いなく突破するはずだ。

 

 

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「大手町パークビルディング」(その隣が「大手門タワー・JX ビル」)

 三菱地所の最高級Sクラスビル「大手町パークビルディング」の竣工式が2月13日行われ、報道陣に公開された。オフィスワーカーをサポートする至れり尽くせりの機能を備え、大手町初の住機能・サービスアパートメントが併設され、さらに皇居に隣接する立地を考慮して自然・生物との調和を図った「ホトリア広場」の提案が素晴らしい。

 物件は、大手町駅直結の千代田区大手町一丁目に位置する敷地面積約9,300㎡、制振構造の地下5階地上29階建て延べ床面積約151,700㎡(容積率1400%)。用途は事務所・店舗・サービスアパートメント・地域冷暖房施設・保育所・駐車場など。設計監理は三菱地所設計。施工は竹中工務店。竣工は2017年1月31日。建物は「CASBEE」Sランク相当を確保している。

 ビルのことは詳しくないので間違っていたら〝ごめんなさい〟というほかないのだが、関係者も「そのつもり」と話したから、〝特上〟のビルであるのは間違いない。

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エントランスロビー

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サントリー・ミドリエの壁面緑化

◇       ◆     ◇

 何から書いていいか迷うのだが、まず「ホトリア広場」から。物件が皇居のほとりに位置するため名づけられたもので、2015年に竣工済みの「大手門タワー・JX ビル敷地と合わせて約3,000㎡のコミュニティ広場を整備。就業者や来街者の 憩いの場とし、生物多様性にも配慮しているのが特徴だ。また、コミュニティ活動の拠点として利用できるような仕掛けも施されている。

 広場を見て、すぐ「大手町の森」と比べた。約3,500㎡の「大手町の森」(オーテモリ)は素晴らしい「森」を演出しているが、四方八方ビルに囲まれているのに対し、こちらは規模こそ負けるが、緑被率を約45%確保し、皇居の緑と空間を取り込んでいる。総合的に評価すると「ホトリア」に軍配をあげたくなる。

 そればかりか、積水ハウス「新梅田シティ」の約8,000㎡の「里山」ともいい勝負だ。「ホトリア」はコンセプトも違うし規模的には圧倒的に負けるが、皇居の緑と一体としてとらえるとそんなに引けを取らない。

 市民参加型の「生き物モニタリング」で何が起きるか楽しみだ。ホタルブクロを咲かせるというが本当だろうか。

 皇居の緑・水・生き物との調和の取り組みとしては、お濠水(予定浄化量約50万㎥)の濠水浄化施設がすでに稼働しており、その効果がてき面であることも証明さている。アオコの発生はほとんどないそうだ。

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「ホトリア広場」

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 22階~29階に130室を設置したサービスアパートメント「アスコット丸ノ内東京」について。所有・運営はシンガポールが本拠のアスコットが行い、その最高級ブランド「アスコット」が日本初進出する。

 22階ロビーの天井高は約7mで、このフロアにはトレーニングルーム、プール、ラウンジ、ミーティングルーム、レストランなどがある。

 客室は38㎡からのスタジオタイプから163㎡のスイートまで7タイプ。オープニングプレミアムパッケージ料金は39㎡のスタジオタイプが1泊35,000円~(1カ月45万円~)、91㎡の1ベッドプレミアムが1泊55,000円~(1カ月75万円~)。

 写真撮影が許されたのは2部屋のみだったが、眺望、設備仕様、サービス(ワイン、食事など)を計算すると、これは泊まる価値がある。パレスホテルよりかなり安く、宿泊特化型のホテルと比べはるかにレベルが高い。(以前の記者だったら体験宿泊するが、いまは余裕がない)

 ビジネスとしてならホテルよりこのようなサービスアパートメントを好む人が少なくないことは十分理解できる。ホテルはプライバシーが確保されない欠点がある。

 デザインは全体としてすっきりしており、あの無国籍というか多国籍というか中途半端なアジアンテイストでないのがいい。

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「アスコット丸ノ内東京」客室

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◇       ◆     ◇

  オフィスフロアについて。日比谷通りに面した広場には、2020 年東京オリンピック公式エンブレムをデザイン した野老朝雄氏によるパブリックアート作品 “TOWER OF CONNECT”を設置。エントランスロビーは高さ約12m。高さ約12mと約7mの壁面緑化「サントリー・ミドリエ」を設置、アロマの香りを漂わせることによって日比谷通りから皇居に向かって緑のつながりを意識させるデザインになっている。

 1フロアは約1,030坪。皇居に面した側は約50mのワイドスパンを採用。7階にはサービス機能付小規模オフィス「The Premier Floor Otemachi」18室を整備。小規模ながらSランクビルを望む国内外企業のニーズに応える。

 そして何より素晴らしいのが、2階のオフィスサポートフロアだ。皇居の緑が眺められるラウンジのほか、テナント企業向け保育所、フィットネス、シャワールーム、仮眠室などを備える。

 シャワールームがあるのがとくにいい。記者は独身の頃、毎週土曜日、仲間と皇居を1周していた。約5キロを約25分で走ったから早いほうだった。走ってからみんなと飲むビールが格別だった。困ったのはシャワーが浴びられなかったことだ。ホテルを利用しようにも金がなかった。このビルに勤務する人はそんな心配がない。同社のビルでもシャワールーム付きというのはほとんどないようだ。

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オフィス標準階の眺望

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パークラウンジ

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 気になったこともないわけではない。皇居が丸見えだったことだ。このビルだけではないが、これはいかがなものか。

 同社の「千鳥ケ淵」マンションでも書いたが、皇居を眼下に見下ろすのは抵抗がある。中国では絶対あり得ないことだし、アメリカだって国の重要施設のあるところは土地所有・利用に厳しい規制があると聞く。

 単なるデザインだけでなく、少なくとも皇居内が視認できないよう窓はスモークガラスにするなど法律で規制してもいいと思うがどうだろう。

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2階ラウンジ

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“TOWER OF CONNECT”

 

 

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「ピアース中野坂上」完成予想図

 モリモトが3月に分譲する「ピアース中野坂上」を見学した。中野坂上駅から徒歩3分のコンパクトマンションで、都市的デザインがいい。価格もリーズナブルで早期完売するはずだ。

 物件は、東京メトロ丸ノ内線・都営大江戸線中野坂上駅から徒歩3分、中野区中央1丁目に位置する5階建て全47戸。専有面積は25.82~55.21㎡、価格は未定だが、坪単価は385万円くらいになる模様。竣工予定は平成30年2月上旬。設計・監理は庵都市建築設計事務所。デザイン監修はプランテック総合計画事務所(萩原浩氏)、インテリアデザイン担当はカン・デザイニングオフィス(鈴木ふじゑ氏)。施工は風越建設。

 現地は、駅からフラット、2方道路。周辺はレベルの高いマンションも多い。建物は内廊下方式で、住戸は東向き中心に南向き、西向き。住戸プランは20㎡台が6戸、30㎡台が10戸、40㎡台が16戸、50㎡が15戸。

 デザインは、基壇部に木目調のコンクリート打放しを用い、バルコニーにはハコ状のガラス・ルーバーを採用。各住戸のカラーリングは、白を基調にグレーの窓枠・巾木を採用して美しいコントラストを演出しているのが特徴。キッチン天板はシーザーストーン、食洗機、ミストサウナ、グローエ水栓、コロンボ製のドアノブが標準。

 これまで4週間の来場者は約150件。男性単身者の来場が多いという。担当者は早期完売を確信していた。

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エントランスホール

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 萩原氏の外観・共用部デザインもそうだが、鈴木氏のインテリアデザインが上品だ。床は白のタイル、建具・面材も白のピアノ塗装で、巾木・ドア枠に細いグレーを採用することできりりと締めている。

 分譲単価も坪400万円を切る模様で、価格的な競争力がある。

◇       ◆     ◇

 記事とは関係ないが、付き合っていただきたい。わが故郷・三重県の宣伝だ。

 取材を終え、販売事務所の隣にある新宿パークビルでコーヒーでも飲もうと立ち寄った。三重県と奈良県と滋賀県が共演するイベント「T・E・I・B・A・Nジャパンクラシコ」モノづくり展が1階アトリウムで行われていたので覗いてみた。

 皆さんは〝越中富山の反魂丹(はんごんたん)鼻くそ丸めて萬金丹(まんきんたん)それをのむ奴ぁあんぽんたん〟という俗謡をご存じか。記者が小さいころよく聞いた唄だ。

 「萬金丹」は伊勢の薬屋が開発した万能薬で創業は1570年。「ん」を省くと「牧田」になるのは全然関係ない。形状が〝鼻くそ〟に似ているのでそのように呼ばれた。「熊の胆」や富山の薬とともに常備薬としてどこの家庭でも重宝されていた。よく飲まされた記憶もある。少し仁丹の味がするがとても苦い。その萬金丹が出店していたのだ。5粒もらって飲んだら昔がよみがえった。

 萬金丹の建物は今も伊勢神宮外宮の近くに昔のままに残っている。伊勢に行ったら寄っていただきたい。

 もう一つ、伊賀市の馬場建具店が出店していた。馬場幸次代表が、組み立てると絶対に外れないヒノキでできた格子状のコースターをまるで忍者のように目の前で組み立ててみせた。すごい技だ。感心する記者にくれたからまた驚いた。

 ついでに隣の滋賀県のブースも覗き、甲賀市の「すごいえぇのう鮎河」という酒を飲ませてもらった。ご飯の香りがしたので聞いたら、酒米ではなく普通のコシヒカリで造ったのだそうだ。

 残念だったのは、出店スペースは奈良5、滋賀3、三重2とのことで、三重県が圧倒的に負けていたことだ。〝近江泥棒、伊勢乞食〟をここでも見せつけられた。忍者でもモノづくりでも滋賀や奈良に負けるはずがないのにどうしたことか。高校野球もサッカーも最近は分が悪い。

 三交不動産のようなデベロッパーは滋賀にも奈良にもないので、自ら慰めるほかなかった。

 「T・E・I・B・A・Nジャパンクラシコ」は12日まで。入場無料。

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馬場建具店の出店

 国土交通省は2月10日、第30回社会資本整備審議会産業分科会不動産部会(部会長:中田裕康・東京大学大学院法学政治学研究科教授)を開き、増大しつつある空き家等の現状を踏まえ、不動産流通の観点からどのような対応が望まれるかについて審議した。

 総務省の調査によると2013年の全国の空き家は約820万戸に達し、そのうち木造一戸建てや共同住宅などのその他住宅が約318万戸(賃貸は約429万戸)に上り増加率が高まっていること、全住宅ストックに占める空き家の割合は全国平均で5.3%(賃貸を含めると13.5%)で、昭和55年以前の建物は約210万戸あること、また、駅から1㎞以内で、簡易な手入れにより活用可能な住宅は全国で約48万戸あることなどが国交省から報告され、空き家にしておく主な理由としては「物置として必要」(44.9%)「解体費用をかけたくない」(39.9%)などがあげられた。

 空き家対策としては、空家対策特別措置法が平成27年5月全面施行されたことにより、全国107市町村が空家等対策計画を策定済みで、管理不十分で放置することが不適切な空家等(特定空家等)に対する措置として勧告137件、命令7件、代執行22件に上っているとした。

 今後、所有者情報の活用、全国版空き家・空き地バンクの構築、小口資金を活用した不動産特定共同事業制度の創設や、高齢者、低額所得者、子育て世帯向け賃貸住宅に空き家等を活用したり地域関係者の連携による流通・利活用を促進したりしていくことが報告された。

 また、地方自治体の取り組みとして長野県上田市・母袋創一市長が、NPOの取組みとして特定非営利活動法人空家・空地管理センター事務局長・上田福三氏がそれぞれ事例報告した。

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 空き家対策は、国土交通省土地・建設産業局不動産業課長・中田裕人氏が「わたしどもの部署にとどまらず住宅局はもちろん厚労省、消費者庁など横とも連携して霞が関の垣根を越えて取り組んでいく」と話したように、あらゆる行政と民間、大学などが連携しないと解決できない社会的課題だ。

 今回の部会では、宅建業界がどのような役割を果たせるかが主な論点になっている。

 興味深いのは、上田氏が「田舎では(仲介手数料収入だけでは)持ち出しが多く、ただでもやりたくないという業者がいる。宅建業法で定められている手数料収入の上限を『3%+6万円または50万円以下』に改正することも検討していただきたい」と発言したことだ。業界関係者によると、その方向での業法改正の可能性は高いという。(〝それでは消費者は困る。固定資産税くらいの収入があれば貸してもいいという所有者がいるかもしれないし、借りるほうもいるかもしれない〟という声を聞いた。なるほど、賃貸はいいかも)

 さらに上田氏は、良好な宅地を増やす一方で、他方では供給を減らす政策もとるなど都市計画にメリハリをつけるべきと話した。

 母袋・上田市長は、上田市が大河ドラマ「真田丸」の舞台になったことが支援材料になり、平成28年には中心市街地の定点22地点の1日当たり歩行者数が3万人になるなど過去最高を記録し、人口の社会増減は平成23年度からプラスに変わり、28年度は542人増(自然増減はマイナス659人)と大幅に増加したこと、女性の創業や就労を支援する取り組みでも大きな成果をあげているなどと語った。

全国276団体が参加する「住宅団地再生連絡会議」設立 国土交通省(2017/1/31)

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「THE 千代田麹町TOWER」完成予想図

 サンヨーホームズ(事業比率50%)・NTT都市開発(同30%)・大林新星和不動産(同20)が分譲中の「THE 千代田麹町TOWER」を見学した。麹町駅直結の周辺のマンションとしては最高峰となる23階建てだ。

 物件は、東京メトロ有楽町線麹町駅から徒歩1分(直結)、千代田区麹町3丁目に位置する23階建て全83戸。第2期(7戸)の価格は9,570万~1億6,390万円、専有面積は50.90~75.31㎡登録受け付けは2月10日~12日(日)。竣工予定は2018年12月中旬。施工は安藤・間。販売代理は三菱地所レジデンス、東急リバブル。

 昨年9月から分譲が始まっており、これまで約半分が分譲済み。このうちコンパクトの41㎡台(8戸)は全て契約済み。50㎡台も22戸のうち14戸が契約済み。

 販売担当者は「千代田区で駅直結は15年ぶり。総合設計制度の適用を受けており、絶対高さは通常なら19階までだが、23階建てとなった。東京のど真ん中という立地が評価され、地方からの購入も1割強ある」と話している。

 現地は麹町駅に直結。建物は16階までは1フロア4~5戸で、17階以上はプレミアム仕様の1フロア2~3戸。

 モデルルームは112㎡の価格が3億円台の億ション。さすが億だけあって、設備仕様レベルは高い。玄関ドアはナグリ調仕上げで、建具・面材は突板が採用されている。

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エントランス(外観デザイン監修は田原桂一氏)

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リビング

 

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