マンション管理協 管理員の待遇改善を重要課題に 呼称も変えてほしい
先月、別掲の「掃除は科学 床は朝日、窓は読売〟 マンション管理員のスゴ技を1日体験」という見出しの記事を書いた。
マンション管理の仕事がどのようなものか全く知らないのに〝マンションは管理を買え〟などと記事を書くのは管理員や購入検討者に失礼だと思い、取材させてもらったのだが、取材してデベロッパーや管理会社は管理員の待遇改善に一層力を注ぐべきだと強く感じた。
そこで、先日3月16日に行われたマンション管理業協会(管理協)恒例の記者懇親会でこの問題について質問した。
山根弘美・理事長は所用で欠席だったが、栗原清・副理事長(大京アステージ会長)は「ご指摘の通り。フロント、管理員の待遇改善は来期の重要課題の一つ。業務委託契約にサービスの内容を明確にし、報酬に反映させたい」と語った。
また、岡本潮・副理事長(東急コミュニティー会長)も「契約内容がクリアでないのは伝統的になっている。仕事(仕様)の範囲などを明確にし、対価についてもクリアにするよう研究会を開いて取り組んでいる。一歩踏み出した」と答えた。大島宏志・専務理事も「業務委託契約書の見直しについては国交省にも要望している。業界をあげて取り組んでいく」と話した。
◇ ◆ ◇
管理員の待遇の悪さに管理協の役員も心を痛めていることがよくわかった。全力で取り組んでいただくようお願いしたい。
個人的には「管理員」「管理人」という呼称も変更したほうがいいと思う。この業界には宅地建物取引士(宅建士)、不動産鑑定士、マンション管理士、建築士、測量士などの「士」がたくさんあり、管理業務主任者という国家資格もある。
一方の「管理員」はどうか。掃除を科学の域にまで高め、マンションの資産価値の維持・向上のために粉骨砕身している技能者であるにも関わらず、「士」とは大きな差がある。職業に貴賎なし-とはよく言われるが、名は体を現すという言葉もある。待遇改善と同時に呼称を格上げすれば、人材不足は一挙に解消されるはずだ。
「看護婦」は「看護師」に、「保母」は「保育士」に、「宅建主任者」は「宅建士」にそれぞれ格上げされた。「農夫」「炭鉱夫」「工夫」「八百屋」「芸人」「外人」など「-人」「-夫」なども軒並み放送禁止用語として自主規制しているではないか。法律用語ですら「日雇い」は「自由労働者」(これは本当だろうか)に、「按摩(あんま)」は「あんま師」と言い換えているではないか。そのうちに「家政婦」「美人」「主婦」も消えるかもしれない。(NHKに聞いたら「ケースバイケースで「特に決めているわけではない」とのことだ)
ここまで自粛すると益々日本語が貧しくなり、却って格差社会を覆い隠すイチジクの葉っぱにならないか不安も感じるのだが、ここまでくれば一蓮托生だ。「管理人」もせめて「宅建士」クラスに格上げしてしかるべきだ。
ついでだが「特別養護老人ホーム」「有料老人ホーム」はやめていただきたい。これこそ差別用語だ。こんな差別用語を使っているから「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)なる意味不明の言葉も生まれる。特別に擁護されなければならない老人とは何か、「有料」があるのなら「無料」はあるのか、高齢者はサービスがない(このサービスもものすごく曖昧)施設を利用する選択肢もあるということか。
創建 ECCと提携 語学教室が無料のシェアハウス 大阪・吹田市に開設

「シェアハウス千里古江台」
創建は4月1日、ECCと提携し、暮らしながら英語が習得できる「シェアハウス千里古江台」を大阪・吹田市のパナホーム社宅跡地でオープンする。
同社の賃貸リノベーション事業の一貫として行うもので、ECCと提携し平日17:00から21:00までシェアハウス内で入居者を対象とした語学教室が無料で開かれる。近くにある大型銭湯「健康温泉 万博おゆば」と提携し500円で入湯も可能。
物件は、大阪モノレール山田駅から徒歩11分、大阪府吹田市古江台5丁目に位置する4階建て全72室。収容人数は144名。居室面積は17㎡。賃料は個室が5万円/月、シェアハウスが3万円/月。共用施設はキッチン、トイレ、洗面室、シャワールーム、コインランドリー、多目的室、談話室、喫煙室など。
三井不 柏の葉スマートシティ 世界的権威の「Futura Mega Project」最優秀賞受賞

「柏の葉スマートシティ」
三井不動産は3月23日、同社のスマートシティ戦略のフラッグシッププロジェクト 「柏の葉スマートシティ」(千葉県柏市)の街づくりが、MIPIM(不動産プロフェッショナル国際マーケット会議)が表彰する「The MIPIM Awards 2017」の「Futura Mega Project」(将来的な大規模開発プロジェクト)部門で最優秀賞を受賞したと発表した。
MIPIMアワードは、世界の不動産業界におけるもっとも権威のある賞の一つで、毎年さまざまなカテゴリーの中から革新性や偉業を成し遂げた優れたプロジェクトが表彰される。
「柏の葉スマートシティ」は、2005年から千葉県柏市のつくばエクスプレス「柏の葉キャンパス」駅周辺で公・民・学が連携して「環境共生」「健康長寿」「新産業創造」の実現を目指し、開発が進められている課題解決型の街づくり事業。
今回の「MIPIM Awards 2017」の「Futura Mega Project」部門では、将来的な街づくりの可能性と環境配慮型の都市の実現、地域に根付くコミュニティの形成に寄与するプロジェク トとして表彰された。
東急リバブル 仲介店舗「ときわ台」「新浦安」「札幌北」開設 全国176店舗に
東急リバブルは3月23日、売買仲介店舗「ときわ台センター」(東京都板橋区)、「新浦安センター」(千葉県浦安市)、「札幌北センター」(北海道札幌市)の3店舗を4月1日(土)に開設すると発表した。
今回の出店により、売買仲介と賃貸仲介をあわせた全国のリバブルネットワークは176カ所となる。
同社の過去5年間の4月1日現在の店舗数は次の通り。
2017年 176店舗
2016年 167店舗
2015年 162店舗
2014年 148店舗
2013年 137店舗
この5年間で39店舗、28.5%増やしていることになる。
事実の報道とは何か 絶対的、客観的事実はあるのか
住宅ジャーナリスト・櫻井幸雄氏が3月20日付「週刊住宅」のコラム「先端を読む」で、「住友不動産が週刊誌の記事に対して抗議を行い…事実に反する記事内容を正し、デジタル版にも掲載されていた記事を削除させた」と書かれている。
独断と偏見に満ちた際どい記事を書いている記者はドキリとし、早速、件のマンションについての同社の告知を読んだ。同社はそのマンションが値下げされたかのように書かれた記事を「何の裏付けもないにも関わらず読者の耳目を集めようとした悪質な記事」として、「誤報」した週刊誌に抗議し、該当部分の記事を削除させたとしている。
同じような週刊誌の「誤報」は過去にもあったような気がする。週刊誌の記者が値下げの有無を確認していればよかったのに、それを怠ったために「誤報」となった。初歩的なミスを週刊誌記者は犯したということだ。「悪質」と言われても仕方ない書き方だ。
この問題はそれで一件落着なのだが、ジャーナリズムのはしくれとして毎日記事を書いている記者としても見逃せない問題を孕んでいるので私見を述べたい。
櫻井氏は「マスコミは本来、間違った情報を流さないよう努力しなければならない。その努力が弱まったのであれば、(住友不動産のように)強い姿勢も必要ということだろう」と結論づけている。
確かにそうだ。問題は「事実」とは何かということだ。多くの方も指摘されているように、あらゆる事象は事実にもなるし誤報にもなりうる。右から見ればアカで、左から眺めれば暗黒社会になった時代もあるように、記事には書く本人の考え方、思想が色濃く反映される。みんな色眼鏡でものを見ている。自分のモノサシでしかものを測れない。無色透明などあり得ない。その意味では、われわれは間違った記事を書き続けているともいえる。
つまり、絶対的な客観的な事実は結局ないということだ。記事は脚色せず事実だけを書かなければならないとすれば、官報のようなものばかりになる(官報も正確に事実を伝えているかどうか疑問だが)。ニュースリリースはコピー&ペーストで済む。しかし、そんなものが果たして読まれるか。書いた本人の視点、フィルターを通して書くから記事は読まれる。それを否定するのはファッショだ。
ただしかし、先にも書いたように記者の色眼鏡によって「事実」がゆがめられることもある。ジャーナリズムに身を置く者は耐えず自らの立ち位置を検証し、日々生起する事象をしっかり分析して伝えないといけない。ペンは凶器にもなる。
分かりやすい事例を示そう。かつて一般新聞(全てではないが)は銀座のクラブのママさんが殺害されると決まって「銀座の美人クラブママ」と美人という代名詞をつけて書いた。絶対的美人がいないように美人であるか否かはひとそれぞれによって異なり絶対的美人などいないのに、異論を唱える人はいなかった。事実とか常識などというものはそのような危うさもあるということだ。
かく言うわたしも同じような記事を書いた。ついこの前、三井不動産レジデンシャル「パークコート一番町」のモデルルームの美しさにほれ込んだのだが、ボキャブラリーの乏しい記者は困り果て、異論・反論があるのを承知で「女優に例えるなら吉永小百合さんか八千草薫さんクラスだ」と書いた。今のところ三井さんからも吉永さん、八千草さんからも、モデルルームをコーディネートした芦原弘子さんからもクレームがない(もちろん吉永さん、八千草さんには了解は得ていないが、芦原さんの事務所には「ぜひ読んでください」と伝言を頼んだ)。これは事実ではないが、これくらいの脚色は許されると思う。
これはわたしも含め同業の記者が考えなければならないのだが、われわれは正確に「事実」を伝えているかという問題だ。正直に言えば、これははなはだ怪しい。
例えば各社が行う見学会のルポ記事。その際、心掛けなければならないのは記者の目から読者に何を伝えるかだ。主催者の発信する情報(事実)だけを伝えるだけでは、読者が知りたい情報(事実)を伝えることにはならない。無色透明の何のポリシーも持たず書く記事は読者の共感を呼ぶことはできない。記者は〝記事はラブレター〟をモットーとしているが、いつも意識している読者とは恋人のような存在だ。
マンションの記事であれば、読者が一番知りたいのは価格だ。ところが、価格を未定として公表しないデベロッパーは多い。その主催者の語るあれやこれやの特徴をそのまま伝えたところで、「価格は未定」の記事はただのプロパガンダに過ぎないと思う。
読者が知りたいということではネガティブ情報もそうだろう。これは難問だ。いかに優れたマンションであれ難点はある。これを伝えないのは客観報道にならないとも考えられる。われわれ業界紙の記者はその点で〝落第〟かもしれない。この問題については機会があればまた書きたい。
「値下げ」についても一言。かつて不動産は「値下げ」について厳しい規制が設けられていたが、現在は旧価格に×印をつけて新価格を表示するいわゆる二重価格表示が一定の要件付きで認められている。
いまだに「値下げ」記事が売れると考えているマスコミがいることにあきれるのだが、そんな記事に飛びつく読者も読者だ。自分の人生を左右しかねない一生に一度の大きな買い物になるかもしれないのに、素人記者のいい加減な記事など参考にすべきではない。売れなければ値を下げるのは当たり前ではないか。価格は市場が決める。
デベロッパーにも注文したい。櫻井氏も指摘しているのだが、以前は良くも悪くも各社の広報担当とマスコミは持ちつ持たれつ親密な関係にあったように思う。かの浜渦氏が強調したように「水面下の交渉」が良好な人間関係を生み、ことを穏便に済ませてきた。
その是非は差し置くとして、記者を育てる意味でデベロッパーはどんどんマンション見学会・懇親会などを行うべきだ。記者もまた現場に足を運ぶべきだ。現場を見ると見えないものが見えてくる。
東急不動産他 日比谷公園近接ビル「日比谷パークフロント」に名称決定

「日比谷パークフロント」
東急不動産は3月22日、ケネディクス、日本政策投資銀行と共同で立ち上げたグリーンアセットインベストメント特定目的会社を通じて建設中のビルの名称を「日比谷パークフロント」に決定したと発表した。5月に竣工する。
ビルは日比谷公園に近接する霞ヶ関エリアに位置し、地下では隣接ビルを通じて霞ヶ関駅と内幸町駅に直結。「公園の中のオフィス」をコンセプトに、日比谷公園の眺望だけでなく、建物の中まで公園のような快適さに包まれた働きやすさを提供する新しいオフィスビルとする。
物件は、東京メトロ霞ヶ関駅から徒歩3分、都営三田線内幸町駅から徒歩5分、千代田区内幸町二丁目に位置する敷地面積6,089.61㎡、地下4階地上21階建て延べ床面積67,000㎡。施工は鹿島建設。竣工予定は2017年5月31日。

ガーデンプロムナード
三井不動産レジデンシャル 学生寮事業に参入 「平和台」全179室 入居前95%申し込み

「カレッジコート平和台」
三井不動産レジデンシャルは3月21日、学⽣寮事業に参⼊し、第⼀弾の「カレッジコート平和台」が2017年3⽉に竣⼯したと発表した。竣⼯後は全国に学⽣寮を展開する毎⽇コムネットが⼀括賃借・運営する。⼊居は4⽉1⽇開始予定で、すでに95%以上の⼊居申し込みを受けている。
物件は、東京メトロ有楽町線・副都⼼線平和台駅から徒歩6分、練⾺区平和台4丁目に位置する7階建て全179室。専用面積は15.76〜16.88㎡。24時間セキュリティ。専有部はバス・トイレ別、独⽴洗⾯台、エアコン、家具家電付き、2ドア冷凍冷蔵庫、ベッド、デスク、チェアなど。設備はオートロック、ランドリールーム、防犯カメラ、⾷堂など。
ニャンともうらやましい 大和ハウス「猫と暮らすまちなかジーヴォ」オープン

「猫と暮らすまちなかジーヴォ」

モデル猫
大和ハウス工業は3月23日、著名なエッセイストである石黒由紀子氏をアドバイザーに迎え、ベネッセコーポレーションが発行する生活総合誌「ねこのきもち」と、同社の地域密着型のオープンハウス「まちなかジーヴォ」のコラボレーションによる「猫と暮らすまちなかジーヴォ」を、3月23日から千葉県流山市でオープンする。オープンに先立つ22日、メディアに公開された。
「猫と暮らすまちなかジーヴォ」は、猫と室内で暮らすことを想定し、安全でありながら運動不足や肥満の防止、ストレスが解消できるよう室内スペースを工夫。1階リビングの壁面に「キャットステップ」を、吹き抜け空間には「キャットウォーク」を設置。
壁紙や家具での爪とぎを防ぐため、リビングに麻縄を巻き付けた「爪とぎ柱」を設置したほか、ダイニングからキッチンや洗面室に入れないよう、可動式間仕切り「ライトスルースクリーン」を採用。また、就寝時、猫が寝室に入れないようロック機能が付いた「キャットドア」を採用したほか、猫が新鮮な水を飲めるよう「水飲みスペース」をリビングに設けている。
さらに、清潔を好む猫のために専用のシャンプー台とトイレスペースを設け、床部分には防水・撥水処理を施し、トイレスペースはタイル貼りとしている。
造作その他の費用は約70万円。
物件は、つくばエクスプレス流山おおたかの森駅から徒歩14分、千葉県流山市市野谷に位置する軽量鉄骨造2階建て。敷地面積176.66㎡、延床面積117.95㎡、価格5,750万円(税込み)。



猫専用の「水飲みスペース」
◇ ◆ ◇
どちらかと聞かれれば、断然犬より猫が好きだ。わがまま勝手は記者と同じ。人に決して媚びず、自立しているのがいい。そんな猫の中の猫が近所に棲んでいる。朝な夕な、「ニャオ」と声を掛けると律儀に「ニャオ」と答え、尻尾を振って地べたに座り大股を広げて毛づくろいを始める。雌猫かと思いきや、決してズボンを履いた女性には近寄らず、スカート姿の女性にのみ尻尾をおっ立ててすり寄るところを見ると、去勢されてもなお本能を掻き立てようとする雄の野良猫であるのは間違いない。
「猫と暮らすまちなかジーヴォ」のノルウェージャンフォレストキャットというモデル雄猫はわが野良猫とは大違い。雲泥の差だ。1歳にしてすでに体重は約5キロ。堂々たる体格は十二分にメタボの仲間入りをしていそうなそのモデル猫は、記者が呼び掛けてもニャンともワンともいわない。蔑みのまなざしで睨め返すばかりだ。
報酬を聞いたら「事務所に聞かないとわからない。自分の食事代くらいは稼ぐのではないか」とつれない返事が関係者から返ってきただけだ。
それでもそんな猫に気を取られ、WBCのわが侍ジャパンのことが気掛かりで、ほとんど取材にならなかった。
アドバイザーのエッセイスト・石黒由紀子氏と同社住宅事業推進部主任・佐藤文氏が猫の気持ちやら自由やら、外に出た時の事故やらについて話したが全くの上の空だった。
試合は2つの失策が命取りとなって日本が敗れた。同社とモデル猫には申し訳ないが、ニャンとも悔しい1日になり、記事を書く気力もない。

トイレ

キャットウォーク

佐藤氏(左)と石黒氏

爪とぎ柱

伊藤忠都市 学生マンション第1弾「武蔵小杉」 好調スタート 〝至れり尽くせり〟

「クレヴィアウィル武蔵小杉」
伊藤忠都市開発の学生専用住宅第1号「クレヴィアウィル武蔵小杉」が完成し3月18日から入居が始まった。入居申し込み受付から8カ月でテンプル大学(2階)、青山学院大(3~4階)のフロア単位の申し込みがあるなど全390室に対して約8割の申し込みがあるなど極めて好調なスタートを切った。入居開始の前日(17日)、報道陣に公開された。
物件は、JR武蔵小杉駅から徒歩12分、川崎市中原区市ノ坪に位置する7階建て全390室。専用面積は11.51~12.0㎡。月額賃料は6.5万~7.5万円。
1階に約385㎡の「カフェテリア」「ラウンジ」「テラス」や80収容可能な「マルチルーム」、トレーニングマシンを備えた「ジムスペース」を設置したほか、各フロアに約77㎡の「キッチン付きリビングスペース」を配置。国際交流を促す共用施設を整備。
安心・安全の設備・サービスとしては、フロア別セキュリティ、24時間有人管理、入退館管理システム、食事付きサービスなど。
また、館内キャッシュレス・キーシステム」を導入することで食券購入ができ、家具(ベッド・机・椅子)が備えられているほか、アイロン、掃除機、布団乾燥機などがレンタル可能。
ソフトサービスでは、全国約20万か所以上の施設やサービスが受けられる「CREVIAWILLクラブオフ」に入会できるほか、「東急でんき」を一括受電することから「TOKYU ポイント」が2倍貯まる特典付き。伊藤忠人事総務サービスによる就職活動支援サービス、各種交流イベントなども用意している。
同社総合開発本部の賃貸事業第一課長補佐・片岡賢治氏は、「用地は分譲用として取得したが、分譲事業に偏重している当社の売り上げ構成を変える狙いもあり学生寮とした。竣工時に8割の入居が決まったのは想定外だが、残りも3月末までに決めたい。地方の親御さんの関心が極めて高い。同業のデベロッパーや外資の参入もあるが、当社は40年前から日吉で920戸の慶大生を対象とした学生寮を運営してきた実績・ノウハウがあるのが強み。年間2~3棟くらい供給するのが目標。伊藤忠アーバンコミュニティが運営し、当社は一定期間所有したのちグループのリートに売却するというスキーム」などと語った。

食堂
◇ ◆ ◇
同じような施設では、イヌイ倉庫の社会人向けマンション「月島荘」を見学したことがあるが、学生向けは初めてだ。
レンタブル比率が約65%であることからも分かるように共用施設が充実しており、親の側からすれば至れり尽くせりだと思った。子どもの入退館が捕捉され、〝お友だち〟が侵入することはほとんど不可であることも記者は確認した。セキュリティが万全で、男装しようが女装しようが、入居者以外の人が居室に入ることはまず無理だ。部屋ではタバコも禁止。
しかし、学生の側からすれば〝大きなお世話〟ではないかと思った。われわれの世代はアパートで夜を徹して友だちと語り合ったりするのが普通だった。酒だろうがタバコだろうが禁止などされなかった。友だちなどを泊めることは契約上禁止されていたアパートが多かったと思うが、守る者などいなかったはずだ。行動が全て捕捉されてまっとうな人間に育つのか、腑抜けの人間ばかりにならないか心配にもなった。片岡氏の「入居期間は1~2年が多い」という言葉に救われた。
ただ、日本人にとっても外国人にとっても国際交流ができるのは最大のメリットだと思う。記者は英語が全く話せず、中国に取材に行ったとき、北京大付属小学校4年生から「Can you speak English」と聞かれ、「I don't speak English」と答えるしかなかった。英語や中国語が話せないとこれからは生きていけない。
◇ ◆ ◇
外資のGSA(ジーエスエー)が「白山」に全175室の学生寮を建設中で、東急不動産も学生寮事業に参入すると先に発表した。三井不動産も参入する模様で、大学の国際化の流れに乗ろうというのが各社の戦略のようだ。約100万人の学生がいる首都圏は世界的にも巨大マーケットのようだ。
沈滞ムードを吹き飛ばすか フージャースコーポ「柏たなか」

「トレジャーランドプロジェクト(デュオヒルズ・ザ・グラン)」完成予想図
フージャースコーポレーションが近く分譲する「トレジャーランドプロジェクト(デュオヒルズ・ザ・グラン)」を見学した。
物件は、つくばエクスプレス柏たなか駅から徒歩3分、柏市小青田に位置する12階建て全253戸。第1期(30戸)の専有面積は68.06~101.40㎡、価格は2,500万円台~5,100万円台(最多価格帯2900万円台)、坪単価は150万円。竣工予定は平成30年10月下旬。施工は長谷工コーポレーション。
「毎日が宝物になる暮らしを」をコンセプトに親子で楽しめる多機能型のキッズルーム兼スタジオや非日常体験のできる仕掛けを施したパーティールーム兼ゲストルームを設置。同社としては初の取り組みとなる間取りに可変性を持たせた「フリーデザインシステム」を採用する。
◇ ◆ ◇
見学する前は正気かとさえ思った。現在つくばエクスプレス沿線は大激戦、価格下げ競争が激化しており、土地代がただでも建たないような価格水準に来ているからだ。
そのことを正直に同社の広報担当者に伝えた。「〇〇さん、マイナーな『柏たなか』で253戸を売るのは容易ではないと思いますよ。ぼくの予想ではよくて年間50戸、完売まで5年かかるんじゃないですか」と。
坪単価は150万円と予想したが、その通りだった。これ以下ではまず建たない。
販売事務所には見学者は10人くらいいただろうか。同社のシニア向けマンション「デュオセーヌ柏の葉キャンパス」竣工見学会に招待された銀行関係者らしい方を相手に女性が元気な声で説明していた。
女性はどこかで見たことがあるような気がしたが、思い出せない(昔は女性の名前と顔は絶対忘れなかったが、今は聞いた傍から忘れる。昨日食べた夕飯が分からない。こんなことを言うと馬鹿にするだろうが、年を取ってごらんなさい)。
「失礼ですけど、どなたですか」と聞いたら、「いやだぁ、もう3回くらい会っていますよ」と言われた。同社の営業企画部部長・友野珠江氏だった。
最高価格は100㎡の5,500万円だという。「えっ、大丈夫? 売れますか」「大丈夫、絶対売れます」
半信半疑でシアターを見て、プロジェククションマッピングとVRを体験し、その100㎡のモデルルームを見学した。確かにコンセプトが明確で、若い夫婦と小さな子どもがターゲットであることが一瞬にして理解できた。
そして、友野氏から話を聞き終えたときは〝ひょっとしたら年間80戸、3年間くらいで売れるかも〟に変わった。それだけ友野氏の説明は説得力があった。
「ありきたりの商品企画では売れないと考え、このような仕掛けを施した。ここを目玉にし、とにかく沈滞ムードの業界を元気にしたい。現場は面白いですよ」と語った友野氏の顔は自信にあふれていた。
◇ ◆ ◇
面白い仕掛けについて。シアターが始まる直前、部屋が真っ暗になった。これだと思った。皆さんはダイアログ・イン・ザ・ダークをご存じか。暗闇の中で感覚を研ぎ澄ますと、見えないものが見えてくるということを。同社はそれをシアターでやって見せた。シアターがマンガだったのは全く理解できなかったが、これも当たり前だ。記者などのお年寄りに見せるものではない。
プロジェクションマッピングは半端なものではない。見学者にも映像が映りこんだときは驚いた。
卓上のクリスマスケーキに「息をかけて」と言われたとき、年甲斐もなく記者もフッと息をかけた。何とローソクが消えるではないか。
「柏たなか」の郊外に暮らすことがどのようなことであるかみんなよく理解できたはずだ。

プロジェクションマッピング

◇ ◆ ◇
帰りのEXの車内吊り広告で沿線の5~6つのマンションが〝価格の安さ〟を競っていた。〝3LDK2980万円〟〝3LDK2400万円~〟〝頭金0円 月々4万円~〟などだ。〝(都心へ)近・(駅へ)近・(公園学校に)近・(スーパーに)近〟と大書きした、何だか吉永小百合さんの「奈良の春日野」の〝フン フン フーン〟ように韻を踏んだものまであった。
これを見て逆効果だと思った。ユーザーは購買力がないわけではない。どこも似たり寄ったりで、価格の安さだけが取り柄のような物件に嫌気がさしているのだ。

グランピングゲストルーム

