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「クレヴィア豊洲」完成予想図

 伊藤忠都市開発(事業比率65%)・セコムホームライフ(同30%)・三信住建(同5%)が2月下旬に分譲する「クレヴィア豊洲」を見学した。マンション業界初のオキュラスリフトを活用した体験型マンションギャラリーが話題となっているが、記者はコストパフォーマンスが高いマンションとして評価したい。

 物件は、東京メトロ有楽町線豊洲駅から徒歩11分、江東区東雲1丁目に位置する14階建て133戸。専有面積は56.37~83.44㎡、価格は未定だが坪単価は285万円前後の予定。竣工予定は2017年2月下旬。設計・施工は大末建設。

 現地は、豊洲駅と東雲駅のほぼ中間で、目の前に24時間営業のイオン東雲店があり、その背後に東雲のタワーマンション群がある。

 建物は全戸南向きで、ユーティリティシンク、食洗機、ディスポーザ、バックカウンター・吊戸棚、ミストサウナ、セコム・セキュリティ収納庫などが標準装備。メインの間取りは70㎡の3LDKだが、間口は6300ミリ以上。二重床・二重天井。

 マンションギャラリーでは、世界初の感情認識パーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」が出迎えてくれるほか、オリジナルユニットセレクトシステム「TSUKURIE(作る+家)」によるプランセレクト、最新の3DヘッドマウントディスプレイOculus Rift(オキュラスリフト)を活用した体感型バーチャルモデルルームなどが用意されているのも特徴。

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 体感型マンションギャラリーについてはプレスリリースを参照していただきたい。記者はマンションのプレスリリースをそのまま記事にすることはほとんどない。記者の役割は、商品を提供する企業と消費者をつなぐことで、企業の意図とはまた違った視点、つまり消費者の視点が欠かせないと思っている。

 その観点からいえば、プレスリリースはあくまでプレス向きに発信するもので、直接消費者にアピールするものではない。どれだけ巧みな宣伝をしようが、それをコピー&ペーストして記事にしようが、肝心の商品企画が劣っていれば消費者の心をとらえることはできない。商品の良し悪しは現場に足を運ばないとわからない。

 今回の場合でいえば、285万円前後の坪単価と設備仕様レベルを秤にかけ、極めてコストパフォーマンスが高いことを発見した。商品価値が高いからこそ、世界初の体験型マンションギャラリーが生きてくる。

 記者は個人的には湾岸が好きになれないのだが、今回のマンションは若年層には受けるのではないか。通学区の有明小・中学連携も人気があるそうだ。豊洲駅のマンション相場は坪300万円をはるかに突破しており、これから分譲されるタワーマンションは400万円を超えるのは間違いない。

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世界初の感情認識パーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」

「クレヴィア豊洲」のニュースリリース

 

 

 

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「ツーバイフォー6階建て実大実験棟HRT-Project」(つくば市で)

 日本ツーバイフォー建築協会は2月4日、国立研究開発法人・建築研究所と共同で研究・建設を進めている茨城県つくば市の「ツーバイフォー6階建て実大実験棟HRT-Project」を関係者に公開した。

 再生可能な循環資源である木材の利用促進に寄与するとともに、ツーバイフォー工法の新たな展開にチャレンジするリーディングプロジェクトとして位置付けられているもので、ツーバイフォー工法による木造の6階建てはわが国初。今春に国交大臣認定を受け、様々な実験・検証を経たのち実用化を目指す。

建物は延べ床面積206.09㎡、高さ17.309㎡。施工は西武建設。完成は平成28年3月。アメリカ針葉樹協議会、岡山高次木材加工協同組合、カナダ林産業審議会など多くの団体・企業が協力。国土交通省の補助も受けている。

 6階建て1、2階部分に使用する外壁・間仕切り壁には壁倍率14倍相当が必要なため、新たな間仕切り壁を開発、構造用合板の両面(12ミリ)張り(通常は片面9ミリ張り)、釘打ち本数、釘長の増加を図っている。

 また、6階建て建築物の実現に必要な2時間耐火壁・床(3~6階は1時間耐火壁・床)を適用し、様々な検証を行い、建築基準法に基づく大臣認定を取得、普及につなげていく。床はCLT、ストレストスキンパネル、LVL、I型ジョイント、平行弦トラスを採用。

 同協会会長・市川俊英氏(三井ホーム社長)は、「国交省や海外も含め多くの団体・企業の協力で実現したわが国初のリーディングプロジェクト。高い耐火性、強度を備えており、1~2年後には実用化したい。良質で環境に優しい木の住宅の普及に貢献していく」などと語った。

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1階天井に用いられている岡山県産のスギによるCLT

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1、2階部分の外壁見本

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 木造による中層建築物の実現に一歩近づいた。市川会長も「1~2年後には実用化したい」と意欲を見せ、建築研究所・坂本雄三理事長も「木造住宅は世界的にも注目されている」と、大きな流れであることを強調した。関係者はCLTが普及すればツーバイフォーによるオール国産も可能になると話した。

 現場の隣接地ではCLT協議会のCLT棟も建築中で、3月には完成する。CLTは接合に難点があるとされていたが、解消されたようだ。ツーバイフォー6階建てと同時に4月には公開される。

 一つ残念だったのは、ツーバイ6階建ての外壁はサイディング仕上げだったことだ。耐火・防火基準を満たすためにはやむを得ないことなのだろうが、木の良さ・美しさを覆い隠すことにはどうしても納得できない。

 2時間耐火も厳しすぎる。実験棟の1~2階の壁は表も裏もボードが3枚も張られ、全体で壁の厚さは約30センチもあった。大都市では火災が発生すれば数分で消防車が駆けつけるではないか。一律に規制するのではなく、地域、用途などによって柔軟に対応すべきだろうと思う。木造建築物はわが国の文化だ。厳しい規制は文化の衰退につながる。

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CLT棟

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手前の建物がCLT棟、右後方がツーバイ6階建て

三井ホーム わが国初のツーバイフォー5階建て(1階はRC)特養が上棟(2015/12/9)

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表彰式の様子(アメリカ合衆国ホノルル市、現地時間2015 年12 月15 日)

 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)は2月4日、柏の葉アーバンデザインセンターを拠点に、公・民・学が連携して「環境共生都市」の実現を目指す柏の葉キャンパス地区が、アジア太平洋経済協力(APEC)「2015 ESCI ベスト・プラクティス・アワード」の「ローカーボンモデルタウン」部門にて銀賞を受賞したと発表した。

 「ESCI(エネルギー・スマートコミュニティ・イニシアティブ)」は、APECの加盟国や地域が連携し、効率的な交通、省エネビル、スマートグリッド、ローカーボンモデルタウンなどの分野で、事例やノウハウの共有を進めており、各分野で優れた取り組みを実践する組織について、毎年「ESCI ベスト・プラクティス・アワード」として表彰している。

 柏の葉キャンパス地区は、環境共生都市として進めている低炭素化への総合的な取り組みが評価され受賞となった。

 

 

 

 

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「ザ・パークハウス桜坂サンリヤン」完成予想図

 三菱地所レジデンスと西日本鉄道は2月2日、福岡市中央区桜坂において開発を進めている「ザ・パークハウス桜坂サンリヤン」のモデルルームを2月6日(土)にグランドオープンすると発表した。

 同物件は、両社による九州初の共同プロジェクトで、福岡市地下鉄七隈線桜坂駅から徒歩3分、約28万㎡の森が広がる南公園に隣接する全322戸の大規模マンション。福岡市「南公園」に隣接し、単一物件として中央区最大となる13,000㎡超の敷地にて、大規模物件ならではの建物空間・屋外空間を活用し、多彩な共用施設を配置する。

 また、「都心で森と暮らす」という価値創出のために、南公園の森から連続する自然林を1,600㎡以上保存するのに加え、新たに樹木を植え再生する緑地を含めて敷地の40%以上となる緑地率を確保。生物多様性に関する外部機関認証「いきもの共生事業所認証(ABINC認証)集合住宅版」を九州で初めて取得した。

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 三菱地所レジデンスの公園隣接マンションについては先日、約20haもの日立製作所中央研究所に隣接する「ザ・パークハウス国分寺緑邸」の記事を書いたが、今度は約28haの公園に隣接するという。

 西鉄の戸建てとマンションを10数年前に見学して、そのレベルの高いのに驚いたことがあるが、最近の九州圏のマンション市場は全く分からない。

 関係者によると福岡エリアはこの1年で都心供給が激増しており、今後予定の急激な供給増も見込まれているようだ。今回の322戸という戸数は、東京だと1,000戸くらいを供給する市場インパクトがあるようだ。販売単価は福岡の高額物件としての200~250万円くらいになるという。

 相当力が入っているマンションのようだ。売れ行きがどうなるか。長崎の市街地で坪単価180万円のマンションが売れているという話を同業の記者から最近聞いた。

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南柏の外観

 旭化成リフォームは2月3日、旭化成ホームズが過去に供給した戸建住宅「ヘーベルハウス」を買い取り、構造躯体だけのスケルトン状態にして販売する新しいスタイル「フレーム・ヘーベルハウス」の買取・再販の試行を開始したのに伴い、報道陣にスケルトン住宅を公開した。

 今回の取組みは、耐用年数60年のヘーベルハウスの特性を活かし、概ね築20年以上の中古住宅を30年耐用仕様に更新した上で、内部の内装・設備(インフィル)を全て解体・撤去した構造躯体(スケルトン)状態で販売し、同時にオーダーメイドによるインフィル改装リフォームを請負うもの。購入者にとっては、構造躯体を直接目視して購入できることと、内部はオーダーメイドにより好みの間取りと最新仕様の設備にできることが特徴。

 発表会に臨んだ同社・森田敏晴社長は、「新築より中古という時代の流れの中で、これまでは当社と旭化成ホームズグループの旭化成不動産レジデンスの仲介との連携がうまくできていなかった。へーベルハウスの特性を生かし、ワンストップで買主にサービスを提供できないかと立ち上げた。工期も約2カ月で済む。業界初の試みなのでどこまで受け入れられるか未知数だが、どんどんアピールしていきたい」と話した。 

 今回販売する物件は、常磐線南柏駅から徒歩13分、千葉県流山市西松ヶ丘に位置。敷地面積は33.49坪、建物はヘーベルハウスキュービック(軽量鉄骨陸屋根2階建て)築21年、延べ床面積は32.25坪。販売価格は土地価格が1,427万円、建物価格が1,210万円、リフォーム工事費が1,040万円、外構費用が293万円の合計3,970万円(税込み)。 

 同社は、仮に同じ条件で32坪の新築のヘーベルハウスを建築した場合の諸費用等を含めた総額を3000万円程度と仮定すると、約2~3割リーズナブルな価格で提供できるとしている。

 窓の位置はコストがかかるので移動できないが、サッシのガラスは複層ガラスへの変更は工事費も含めて10万円以内で収まるという。

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スケルトン

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 売主にも買主にもわかりやすい買取・再販だ。一口に不動産の買取・再販といっても、最大手のインテリックスからスターマイカ、ラ・アトレ、先日上場したムゲンエステートなどの上場会社もあれば、マンション1室を買い取って販売する業者まで、つかみどころがない玉石混交の世界だ。しかも、買い取り物件をどこまでリフォームしているかもよくわからない。

 参入障壁もほとんどない。宅建の免許を持っていればどこでもできるので、実態はどこも把握していない。記者は1,000社くらいではないかと予想しているのだが、自信はない。

 とはいえ、業として継続して行っていく上では課題も多いとされる。

 同社が行った住宅購入予定者(サンプル1,000件、うち持家52%、賃貸48%)を対象に行った調査では、中古住宅は「購入価格を安く抑えられそう」59.2%、「同じ予算で広い家に住めそう」39.1%などと評価している一方で、「設備が老朽化していそう」38.8%、「隠れたところに不具合がありそう」35.8%、「購入後に不具合がありそう」31.1%などと回答したようにマイナスイメージも強い。

 このマイナスイメージを払しょくできていない業界側の問題もある。全宅連が昨年会員向けに行ったアンケート調査(有効回答516社)では、買取・再販を行ったのは22.9%で、①瑕疵担保責任が重い②かくれた瑕疵が多く業者が負う責任が大きすぎる③再販時にクレーム多く無駄が多くなった④リフォーム(水まわり)の金額が高いので良い物ができない⑤販売価格での値引対象(リフォーム費用)となっている⑥建物の構造等を充分調査の上、購入するが、インスぺクションをして購入する必要あり-などの声が上がっている。

 そんな世界に同社は一石を投じることになった。

 へーベルハウスは年間600件くらいが中古市場で流通しており、そのうち33%の約200件は旭化成不動産レジデンスが仲介しているという。成約に結びつかない査定も含めると400~600件ということだった。

 この33%という捕捉率が高いのか低いのか判断材料はないが、新しいサービスの提供で高めようということだろう。前述の調査で同社のスケルトン販売について聞いたところ、1,000人のうち76.4%の人が「検討意向」を示したことでも、同社の狙いは的中したといえる。土地と建物の価格査定が明確で、「家を作る」プロセスの楽しさをアピールできれば飛躍的に件数を伸ばせる可能性を秘めている。

 同社は試行段階であるため具体的な数値目標は上げていないが、当面は年間5~10件くらい、近い将来は100件、200件まで伸ばしたい意向だ。

 ターゲットはへーベルハウスの展示場への年間来場者約10万件のうち約7割の土地なしユーザーだ。営業マンによる年間約7,000件のオーナー訪問などによって買取・再販に関する情報を収集していくという。

 

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「ブランズシティ久が原」完成予想図

 東急不動産が2月下旬に分譲する「ブランズシティ久が原」を見学した。久が原駅と鵜の木駅のほぼ中間に位置する大規模マンションで、ランドスケープデザインが優れており、全体として設備仕様レベルが高いのが特徴だ。

 物件は、東急池上線久が原駅から徒歩4分、または東急多摩川線鵜の木駅から徒歩5分、大田区鵜の木一丁目に位置する12階建て全278戸の規模。専有面積は56.40~94.83㎡、価格は未定だが坪単価は320~330万円くらいになる模様。竣工予定は平成29年1月下旬。施工は大豊建設。設計・監理はデザインネットワークス。

 現地は、久が原駅からだと駅前の商店街を抜けた環八通りに面した一角。敷地面積は約8,400㎡。敷地全体を提供公園や「オークプロムナード」など緑で囲い、敷地中央には「ディライトガーデン」を配し、緩やかな傾斜を生かしせせらぎも設ける。既存樹の一部も残している。駐輪場の屋根の緑化も施している。

 建物はコの字型に配棟。外壁の一部にはハンドメイドタイルを貼り、ガラス手すりには和紙の文様が施されている。

 住戸プランの特徴は、全戸にマルチストレージを設置しているほか、キッチン・トイレ・洗面のカウンタートップは御影石。このほかユーティリティシンク、ディスポーザー、食洗機、ハンス・グローエの水栓などが標準装備。

 来場者の声としては、設備仕様についての評価が高いという。

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「ディライトガーデン」

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 現段階では価格が未定なので何とも言えないが、坪単価は320万~330万円くらいに収まると見た。仮にこの単価であれば、城南エリアでも駅近物件はことごとく坪300万円台の後半から400万円を突破してきている現状を考えると、環八に面しているのは割引だが割安感がある。

 ランドスケープデザインがよく、設備仕様レベルも高い。完成すれば素晴らしいものに仕上がるのではないか。パンフレットには日建ハウジングシステムの担当者が登場し、外構などについて語っているが、樹木移植工法に石勝エクステリアの「TPM工法」が採用されているので、日建がプランを担当し、石勝が施工したと思われる。

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「オークプロムナード」

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 このマンションについては、近隣住民の反対運動がマスコミに報道され、大田区が建築物の絶対高さ規制を検討中ということもありいろいろ論議もされているようだ。

 「緑を守れ」という運動は理解できる。しかし、企業も生き延びるためには事業活動を継続して行わなければならず、当然に産廃やCO2排出、環境悪化も伴う。だからこそ各デベロッパーは環境保全、生物多様性、CO2削減に取り組んでいる。個別の事案ではなく、トータルとしてデベロッパーを評価してほしい。

 絶対高さ規制については、区が昨年7月30日に開催した都市計画審議会で論議が紛糾し、継続審議することを決定。当初予定していた「平成27年度決定・告示予定」は延期となり、来年度以降に持ち越された。当初の計画通りだと254棟が既存不適格になることが区から報告されている。

 小西恭一・都市計画審議会会長はその日の会合で、「本日、18名の内11名出席ということで定足数を満たし、開会していただいたわけですが、専門的な見地から、都市計画の見地から本制度についてさまざまなご指摘、ご意見を伺って、専門的な内容を深めていくという審議会の本来の役割を発揮していただくためには、学識経験の皆様が4名ご欠席という状況は、私ども準備する側の立場といたしまして、非常に不十分な状況」と述べている。

 絶対高さ規制には記者は反対で、これまでも何度も触れてきたのであまり書かないが、次の区の規制の目的が理解できない。

 「街並みの急激な変化及び高い建物が建つと、日影、風害、眺望とか、圧迫感などいろいろな住環境への影響が考えられます。そうした中で、紛争を未然に防ぐという観点で、各地域においてあらかじめ絶対高さが示されることにより…制限される建築物の高さをイメージしていくことが容易になります。そういったことから、周辺住民間で共有することで…町並み、景観の保持、住環境の悪化を防ぐ」

 高さ規制を強化すればマンション紛争が少なくなるのか、そんなデータがあるなら示してほしい。高い建築物がダメというのであれば、どうして街のど真ん中のスカイツリーや東京タワー、五重塔がよくて、山上の仏像も許されるのか。

 規制をかけなくても建蔽率・容積率、斜線制限、日影規制などによりおのずと建物の絶対高さは決まってくるし、地区計画でも対応できる。

 絶対高さ規制は間違いなくマンションの居住性を低くし、景観も悪化させると思う。今回の同社のマンションでも総合設計制度を弾力的に運用すれば公開空地も生まれ、環境保全や地域のコミュニティにも貢献できると思うが、総合設計制度はどんどんハードルが高くなっている。

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和のテイストを盛り込んだラウンジ

 三井不動産住宅リースは2月1日、社名を2016年4月1日付で「三井不動産レジデンシャルリース」に変更すると発表した。

 昨年10月1日付で三井不動産の賃貸住宅事業と三井不動産レジデンシャルの分譲住宅事業が統合し、同社が三井不動産レジデンシャルグループの一員となったことに伴う改称。

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「グレイプスシーズン戸塚」

 東京建物と日立アーバンインベストメントは1月31日、両社の共同事業によるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)第2弾「グレイプスシーズン戸塚」開業した。

 同物件に近接する分譲マンション「ネクサスシーズン戸塚」(平成27 年10 月竣工、全74 戸引渡済)との一体開発を行い、親子の近居、マンションからの住み替えを可能にしているのが特徴。また、選択により自立から看取りまで対応可能とし、日立製作所が開発したMEMSを活用した見守りシステムを採用している。

 現時点で分譲マンションの入居者の家族がサ高住に入居する事例は一件だが、分譲マンション購入者からは、「サ高住がマンションの近くにあると将来必要なタイミングでサービスを受けたり、移り住むことも可能だから安心」との声があるという。

 物件は、JR東海道本線・横須賀線・湘南新宿ライン・横浜市営地下鉄ブルー ライン戸塚駅から徒歩14分、横浜市戸塚区戸塚町に位置する6階建て74室。専用面積は19.38~53.86㎡、月額賃料は83,000 円〜254,500 円。貸主は東京建物シニアライフサポート、運営受託はツクイ。施工は大末建設。

施工は鹿島 日立の見守りシステム付き 東建・日立アーバンのサ高住「グレイプスフェリシティ戸塚」(2015/3/3)

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「大多喜ガーデンハウス」

 スウェーデンハウスは1月29日、同社初のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「大多喜ガーデンハウス」が竣工するのに伴い報道陣に公開した。

 断熱性能UA値が0.38W/㎡・k(寒冷地の基準は0.87で、数値が小さいほど断熱性能が高い)で、気密性能C値が0.83c㎡/㎡(寒冷地基準は5.0で、数値が小さいほど気密性能が高い)という高気密・高断熱が特徴で、欧州アカマツが腰壁などにふんだんに採用されている。

 同社取締役営業本部長・鈴木雅徳は、「高気密・高断熱の性能には自信あった。もう少し早くやるべきだった。今回の受注でサ高住のノウハウも蓄積できた。これから非住宅の分野にも力を入れていきたい」などと挨拶した。

 物件は、千葉県夷隅郡大多喜町に位置し、建物は木造2階建て延べ床面積約984㎡。居室数は25室(19.22~19.54㎡)。月額賃料は約20万円(食費込み)。

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建物内(腰壁はすべて欧州アカマツ)

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 セレモニーが始まる前だ。ストラップ付の眼鏡をかけ、「7」と「5」のデザインをあしらった赤と紺のストライプのネクタイを締めた白髪のお年寄りが現れた。報道陣を睥睨するように会場を見渡したあと、いきなり「どーも、どーも」と声を発し、正面に据えられた椅子に座った。それは威風堂々の言葉がぴったりの、全身にオーラをみなぎらせた姿だった。

 いったい何が起きたのかわからずあっけにとられていると、司会者からそのお年寄りがサ高住のオーナーの川崎病院・宮野武理事であることが紹介された。

 宮野氏の独演会はすぐ始まった。

 「どーも、皆さん。レインボーブリッジを通り、アクアラインを渡って、さらに山奥の、私も若いころは全く知らなかった『大多喜』というこんな田舎によくおいでくださった…徳川家康の四天王の一人、本多忠勝が築城したところで…千葉県にはここと佐倉しか城はない…」「わたしはこの土地を愛しています。私どもの病院は祖父が明治40年に始めて108年間、この田舎で、僻地で営々とつないできた」などと街と病院を紹介。

 「5年前、女房の『二人で木の家に住もう』という提案で、スウェーデンハウスの家を建てた。大満足。真冬でもコタツが要らない。:そのころサ高住を作ることを考えた。数か所見て回ったが、どこも魅力的でなかった。お年寄りを収容すればいい、隔離しておけばいいというものではない。要介護度の高い方は私どもの老健に移ってもらって、ここは要介護度が1から2の低い入居者と一緒に酒を飲み、コミュニティを作るのが目的だから、楽しくなるような建物でなくては具合が悪い。そこで、夏涼しく冬暖かいスウェーデンハウスにすることを決めた。場所も街中に建てることを決めた。スーパーも学校もすぐ近く」

 「私は赤ちゃんのプロで、戦後、錦糸町の貧民街で次々生まれる赤んぼうや貧しい子どもたちの医療に携わった。全くカネと縁がない。儲からない仕事には慣れている。町内だけで入居者を埋めるのは難しい。ぜひこのサ高住を宣伝していただきたい」

 「今日は(小雨が降る)寒い中、おいでくださった皆さんも温かいということを実感されたはず。どうです、結露も全くない。とてもいい日によくいらっしゃいました」

 これで終わりではない。何やらパンフレットを取り出し、「私は40年間、朝5時に起きて駅伝に応援に行っている。総監督にも5年前就任した。今年は6位に入賞した。わたしが死ぬまでに優勝させたい」と、順天堂大学のJ友会会長・駅伝強化担当理事であることを自ら紹介。同大の駅伝パンフレットを報道陣に配った。

 宮野氏の独演会に完全に主役の座を奪われた鈴木本部長は苦笑するしかなかった。

 後で聞いたら宮野氏は75歳。ネクタイのデザインの謎が解けた。順天堂大の名誉教授でもある。

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宮野氏

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宮野氏のネクタイ

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 東京駅から高速バスで約80分。千葉県大多喜町は、天然ガスが出るところということは高校の教科書に書かれていたので地名だけは知っていた。福島県の大喜多と間違えないようにしていた。

 しかし、この町は天然ガスだけでないことはすぐわかった。「ゴルフ銀座」(宮野氏)と呼ばれるほどゴルフ場が多いところとして知られているようだ。いたるところにゴルフ場の案内看板があった。町内には5カ所のゴルフ場がある。鉄筋造の大多喜城もあるように城下町として栄えたようだ。

 そんな町にどうして同社のサ高住があるのか、その理由は先に書いた。記者も同社の建物を真冬に見学するのは初めてだったが、ほとんど瞬時にして建物の特徴を理解した。宮野氏が「大満足」と語った通りだ。

 外断熱の戸建て・マンションとほとんど同じだ。心筋梗塞と脳卒中による死亡率は1月と2月を中心とする冬季がもっとも高いが、少なくともこの建物は専用部分と共用部分の温度差はほとんどない。「温度のバリアフリー」が実現されている。

 来年の駅伝は順天堂大を応援しようかしら。

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廊下に掲げられたモネの庭園と思われる写真(宮野氏が直接撮られたもので、全部で50点くらいあった。写真は宮野氏の趣味のようだ)

 

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「ザ・パークハウス 国分寺緑邸」完成予想図

 三菱地所レジデンスが分譲中の「ザ・パークハウス 国分寺緑邸」を見学した。約20.7haの「日立製作所 中央研究所」の森に隣接し、その借景が眺められる希少物件で、生物多様性の保全に配慮したマンションで、第1期販売も好調なスタートを切った。

 物件は、JR中央線国分寺駅北口から徒歩4分、国分寺市本町4丁目に位置する8階建て全82戸。専有面積は56.38~93.49㎡。現在分譲中の住戸(9戸)の価格は6,128万~1憶2,480万円。坪単価は350~360万円。竣工予定は2016年10月中旬。施工は南海辰村建設。デザイン監修は南條設計室(南條洋雄氏)。

 第1期45戸が1月24日までに分譲され、そのうち36戸に申し込みが入った。億ション4戸のうち3戸に申し込みが入ったように、価格の高い住戸の人気が高いという。

 敷地は、約20.7haのうち約45%が緑地を占める日立製作所中央研究所に隣接。日立製作所の役員用社宅跡地。

 研究所の森は「野川」の源流にもなっており、この環境を生かすため、三菱地所レジデンスが2015年2月に始動した生物多様性保全の取り組み「BIO NET INITIATIVE(ビオネットイニシアチブ)」の一環として、ランドスケープデザインに力を入れているのが大きな特徴だ。

 敷地南側の道路沿いの植栽帯「万葉の路」には「万葉集」に歌われた植物を和歌も添えて配置。敷地内の舗道は透水性とし、雨水を一時的に溜め、土に浸透させる「レインガーデン」を設ける。全居住者が隣接する森を享受できるようエントランスからホール-ラウンジ-フォレストテラスがほほ直線で、隣接の森の借景も眺められるようにする。

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 共用施設・設備仕様レベルが高いのも特徴の一つだ。エレベータは3基で、エントランスホールには水琴窟(すいきんくつ)を設置する。各住戸はディスポーザー、食洗機、ミストサウナのほかキッチン御影石カウンター、洗面化粧台御影石カウンター、玄関御影石などが標準装備。オプション仕様だが93㎡のモデルルームタイプの出来が素晴らしい。売れるのも当然だろう。

 水琴窟をご存じない方もいるかもしれないので、少し説明しよう。水琴窟とは、「日本庭園の装飾の一つで、手水鉢の近くの地中に作りだした空洞の中に水滴を落下させ、その際に発せられる音を反響させ、手水鉢の排水を処理する機能をもつ」(ウィキペディア)仕掛けだ。

 仕掛けによって音色は様々だが、「キーン、コーン、カーン」というのが基本。立ち去るのが惜しくなるような美しい澄んだ音を出す。

 昔は、民家の離れのトイレにもよく用いられていた。今では寺や旅館・料亭、ホテルなどでは見かけるが、大手デベロッパーがマンションに設置したのは見たことがない。

 これほど商品企画に力を入れているのは、国分寺駅北口の再開発マンション、住友不動産「シティタワー国分寺 ザ・ツイン」(587戸)や南口の野村不動産「プラウド国分寺」(125戸)を意識しているからだと判断した。住友「国分寺」は坪400万円をはるかに突破し、420~430万円、ひょっとすると450万円くらいになるのではと見ている。野村は三菱地所レジより少し安くなるはずだ。

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ラウンジ

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 先日は、約50haの赤坂御用地の正門前に位置する住友不動産のマンションを見学したが、今回は規模こそ4分の1だが、国分寺崖線の段丘上にある森に隣接するという、これまたすごいマンションだ。森にはオオタカも生息するそうだ。

 森は立ち入り禁止であることは三菱地所レジデンス関係者から聞いていたが、ものは試し、当たって砕けろ、正門にある守衛所で単刀直入に「森を見せていただけないか」と頼んだ。

 やはりダメだった。日立グループの会社でも見学不可という。聞いたところでは、年2回の公開日は天候などにもよるが、多いときは1万人くらいが訪れるそうだ。

 どのような森か、日立製作所のホームページから引用する。

 「中央研究所の創設は、昭和17年にさかのぼります。…ここは、奈良時代に 聖武天皇が全国に建立した国分寺の一つ、武蔵国分寺の旧地に当たります。…

 この由緒ある地に研究所を創設するに際しましては、小平浪平創業社長の『よい立ち木は切らずによけて建てよ』という意志を受け、構内の樹木は極力守られました。その精神は現在も継承され、今日見る武蔵野の面影をとどめた美しい研究環境が保持・整備されてきました。 春夏秋冬、季節の移ろいのみごとさは、研究者達の心をなごませ、またそれは人と自然の一体感を生み、科学する心を育んできました。

…樹齢百年余の欅やヒマラヤ杉の大木。構内には約120種2万7千本の樹木が茂っていますが、中には化石期の植物といわれるメタセコイアなど珍しい植物もあります。南側の大池は、昭和33年に完成したものです。この池は、ハケと呼ばれる湧水を集めて流れる野川の源流の一つにあたり、大池も構内数ヶ所の湧水を利用して湿地に造られました。 池の白鳥、マガモをはじめ、林に群れる野鳥は、カワセミ、ヒヨドリ、カルガモなど40種を越えます」

 さすが日立だ。20haというのは約16haの日比谷公園より広く、これより広い緑がある敷地は明治神宮などの宗教法人か大学のキャンパス以外にないはずだ。何と中央研究所など同社の6事業所が「生物多様性保全につながる企業のみどり100選」に選ばれている。

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モデルルーム

 

 

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