「地価公示日本一」六番町にフェルメールを見た 大和ハウスが億ション
「プレミスト六番町」完成予想図
大和ハウス工業が近く分譲開始する「プレミスト六番町」と「プレミスト白金台」を見学した。前者は坪単価800万円以上、後者は700万円(借地権付き)近くになると予想され、同社のマンションでは最高単価1位、2位になるが、価格だけでなく品質の上でも間違いなく新しい歴史を刻む物件になると見た。
まず「プレミスト六番町」から。物件は、中央本線四ツ谷駅から徒歩5分、千代田区六番町に位置する地下1階地上16階建て全46戸(非分譲2戸含む)。専有面積は54.45~144.72㎡。価格は未定だが、坪単価は800万円を突破する模様。竣工予定は平成29年8月下旬。設計・施工・監理は三井住友建設。デザイン監修はミサワアソシエイツ(三沢亮一氏)。販売代理は三井不動産レジデンシャル。
現地は、駅を降りてすぐの外濠公園-雙葉学園を通って徒歩5分。敷地南側は千代田区立番町小学校。敷地北側は幅員約14mの道路と東京中華学校の敷地と外濠公園に続く。南北に眺望が開けている住宅・ビル街の一角。現地から60mの地点に平成27年度の「地価公示日本一」の「六番町」がある。
建物は、千代田区の総合設計制度の適用を受け容積規制の緩和を受けている。周辺の建築物と調和するように西洋建築の美を象徴するシンメトリーの外観と石造りの重厚なデザインが特徴。分譲住戸は3階以上で、1フロア2~4戸。キッチン、洗面扉、フローリングは突板。
販売を担当する同社東京本店マンション事業部営業部第一課 販売事務所長・金城智杓氏は、「今年の地価公示で日本一になった六番町にふさわしいマンションを造ろうと考えた。モデルルームをオープンしたばかりだが、4億4,000万円台から4億8,000万円台の4戸全てを含み、すでに半数以上の要望が入っている」と早期完売に自信を見せている。
リビング(左)とドレッシングルーム
◇ ◆ ◇
同社の高額マンションの最高峰は後にも先にも2005年に分譲した「ディーグランセ南青山ハイヴァリー」しかないと思っていた。建築家・新居千秋氏が設計・監理を担当した。
先日行なわれた同社の記者懇親会で同社常務執行役員 マンション事業推進部統括部長・高井基次氏から「六番町」と「白金台」の見学を勧められたときも半信半疑で聞いていた。〝三井や三菱レベルには程遠いだろう〟と。
ところが、「六番町」の販売サロンに入ってすぐ〝ひょっとすると本気で億ションを考えているのかも〟と感じた。富裕層をもてなす雰囲気が漂っていた。
そして、物件の説明を聞くうちに本気度がひしひしと伝わり、実際にモデルルームを見て、これは本物だと実感した。「地価公示日本一」にふさわしいレベルの高いマンションだ。販売代理として名を連ねる三井不動産レジデンシャルの「パークマンション」クラスに近い。同社のマンション事業に新しい歴史を刻む物件だと思う。
とにかく美しい。それはシンメトリーの北側外観デザインに端的に表現されている。二層を一つにした連窓と縦横のマリオン・格子窓を東西両端の大判石張りの外壁がきりりと引き締めている。エントランスは2層吹き抜け。ラウンジ正面には石とガラスのカスケード(オブジェ)が設置されている。
そして、なにより美しいのが2ボウルのパウダールームだ。入ったとたん、得も言われぬ光彩を放つブルーの収納に記者は射すくめられた。三沢氏が直々に選んだカラーだそうで、まさにあのフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」のブルーだと記者は見た。
設備仕様レベルも高い。玄関ドアはオークの白目止め突板鏡面仕上げ。玄関横の壁はハンマートーン仕上げ。エントランスホールの壁は1㎡当たり8万円もするというイタリア製のタイル、階高は3210~3410ミリ、天井高は下層階で約2650ミリ、上層階は約2800ミリ。
テラス・デザインウォール(左)と共用部分
◇ ◆ ◇
金城氏について紹介したい。記者が初めて金城氏に会ったのは8年前。金城氏が28歳のときだった。デザインが最高に素晴らしかった「プレミスト浜町」を担当されていた。ほとばしる熱気・情熱に「こういう人が大和ハウスのマンション事業を支えるのだろう」と確信した。
その翌年、やはり人気になった「神楽坂」でばったり出会った。金城氏はその後、坪単価550万円の「プレミスト南青山」(84戸)、坪単価552万円の「プレミスト九段」(47戸)を担当。いずれも早期完売に導いた。金城氏はいわば同社のヒットメーカーだ。
金城氏は、「『南青山』『九段』があるからこそ今回の『六番町』がある。利益重視よりお客さま重視」と殊勝なコメントを残した。
樋口会長! どんなに腰が痛くとも、這ってでもこのマンションを見るべきです。売上げ3兆円企業にふさわしい本物の億ションです。
エントランス
後姿が美しい 大和ハウス工業「プレミスト神楽坂」(2011/11/28)
マンション管理協 高経年化マンション支援など石井国交相に要望
マンション管理業協会(マンション管理協、理事長:山根弘美氏)は、3月9日、石井啓一国土交通大臣に対し要望書を提出。高経年化マンションに対する支援措置、外部専門家活用についてのガイドラインの提示、〝民泊〟に対する管理組合の意向尊重などを求めた。
これに対して石井国交相は、「標準管理委託契約書の改訂及び外部専門家活用についてのガイドライン作成について、検討を進めていきたい。また“民泊”については、管理組合等の意向を尊重し十分な配慮をしていきたい」と発言した。
◇ ◆ ◇
今回の要望書提出は、いま問題となっている標準管理規約からコミュニティ条項を削除することに対して行われたのかと早合点したが、まったくそうではなかった。山根理事長以下10人の理事が出席し石井大臣と話したが、管理協・広報によると生臭い話は一切出なかったそうだ。
積水ハウス 平成28年1月期決算 低調の戸建を賃貸、リフォームがカバー
積水ハウスは3月10日、平成28年1月期決算を発表。売上高1兆8,588億円(前期比2.8%減)、営業利益1,496億円(同2.1%増)、経常利益1,605億円(同2.7%増)、当期純利益843億円(同6.6%減)となった。
主力の戸建住宅事業は前期受注が低調だった影響を受け、売上高3,937億円(同7.8%減)、営業利益472億円(同3.4%減)と減収減益になったが、賃貸住宅事業、リフォーム事業、不動産フィー事業などが伸びた。
当期純利益が減益となったのは、中国事業の一部プロジェクトでたな卸資産評価損を計上するなど国際事業で56億円の営業損失を出したほか、特別損失として187億円(前期は103億円)を計上したため。
平成29年1月期の連結業績予想は売上高1兆9,850億円(当期比6.8%増)、営業利益1,700億円(同13.6%増)、経常利益1,770億円(同10.2%増)、当期純利益1,110億円(同比31.7%増)を見込んでいる。
まだ間に合う 今週末が最終分譲 三井不レジ「パークコート三番町」
「パークコート三番町ヒルトップレジデンス」完成予想図
三井不動産レジデンシャルの売れ行き好調マンション「パークコート三番町ヒルトップレジデンス」を見学した。昨年12月に分譲開始された全92戸(分譲は89戸)の規模だが、この週末には残り38戸が一挙に分譲され、完売になる可能性が高い。最近激減している総合設計制度の適用も受けており、坪単価600万円も割安感がある。
物件は、都営新宿線市ヶ谷駅から徒歩4分、東京メトロ有楽町線・南北線市ヶ谷駅から徒歩6分、JR中央線・総武線市ヶ谷駅から徒歩7分、千代田区三番町に位置する18階建て全92戸(事業協力者住戸3戸含む)。最終期(38戸)の専有面積は53.94~86.22㎡、価格は8,090万~17,400万円(最多価格帯9,000万円台)、坪単価は600万円。入居予定は平成29年12月上旬。設計・施工・監理は錢高組。最終期の抽選は3月12日(土)午後3時。
現地は、物件名に〝ヒルトップ〟と名付けられているように南側の土地が低くなっており、そこに九段小学校と、敷地南側には東郷元帥記念公園がある。千代田区の総合設計制度の認定を受け、地区計画の高さ規制50mより10m高い容積緩和を受けている。制度iに適合するように専有面積を50㎡以上とし、4方に公開空地を設け、防災性能を高めているのが大きな特徴。
建物は、足元から最上階まで縦のルーバーを配し、和テイストの格子を多用。外構部には庵治石や本小松石を使用し、エントランスにはオリーブグリーン、バニラ・ホワイトなどの自然石を採用している。
住戸プランはワイドスパンが特徴で、ホール・廊下幅を1m~1.3mくらい確保しているタイプも多い。天井高は基本タイプが2600ミリ。
モデルルームには、「バニラ・ホワイト」(白御影石)「タイブオブ・アジャックス」(ギリシャ産)「オバンコール」(高級家具材)などの天然石・突板がふんだんに用いられている。
◇ ◆ ◇
分譲開始からわずか3カ月少しで完売になる勢いがすべてを物語っている。設備仕様レベルが高いのは言うまでもない。その割には坪単価が安い(というより他が高いのか)。同じ番町エリアや周辺物件の分譲単価はこの物件よりことごとく高い。同業他社にしてみれば、このマンションが早く売れてしまったほうが、売りやすいということだろう。それとも同社は割安感をアピールすることで、他社に傾きかけている流れを一挙に引き戻そうとする戦略か。
明日は、同社が販売代理となっている大和ハウス工業「プレミスト六番町」と「プレミスト白金台」を見学する。大和ハウス常務執行役員 マンション事業推進部統括部長・高井基次氏が自画自賛した物件で、今回の「パークコート三番町ヒルトップレジデンス」の販売担当者も「『六番町』のモデルルームを見ましたが、天然石をたくさん採用しておりものすごい」と話している。
記者が気になっている英国大使館から返還予定の一部敷地(約7,000㎡)はマンションなら坪1,000万円をはるかに突破すると見ていたが、国民公園皇居外苑の一部となることが決まっている。
◇ ◆ ◇
この物件は都の総合設計制度の適用によって緩和措置を受けていることを書いた。ここで総合設計制度について一言。
都は平成22年に総合設計制度を大幅に改正した。「環境先進都市東京」を目指すため、単に公開空地を確保するだけでなく、空地の質、住宅性能や建築物の環境性能をより重視することを求めた。
当時、デベロッパーからは規制が厳しすぎ、容積緩和を受けて建物を上に伸ばすメリットがなくなったという声が多く寄せられた。
この声が的を射ているかどうかわからないが、その後、制度適用建築物は大幅に減少している。改正前の平成20年は改正を前にした駆け込みもあるが、30件に上っていた。改正後の平成22年には10件に激減し、23年8件、24年5件、25年4件、26年10件、27年6件と10件以下で推移している。この4年間で許可された25件のうち住宅は9件しかない。年間に2件くらいだ。
記者は以前にも「権利者が基準法を選択したほうがいいと判断される要綱改正は、良好な街づくり、住宅供給を促進するという制度の趣旨からしていかがなものか。角を矯めて牛を殺すことにならないか」と指摘した。超えられないハードルでは制度そのものの意味がない。基準の強化は、ハードルを潜り抜ける、劣悪とは言わないまでも、環境にも人にも優しくない建築物が増えることを容認することにならないか。
ただ、これには反論もあるかもしれない。制度の対象となる土地(10,000㎡以上)が少なくなってきていることとか、総合設計制度を使うより地区計画制度などを選択したほうが良質なものが建てられるケースもあるという考えだ。これはこれで説得力もある。これ以上は深入りしないことにする。弾力的な運用はできないものか。
ともあれ、このマンションは厳しい条件をクリアしているのだから、それだけ質は高いといえる。
エントランス
随所に需要喚起策 伊藤忠都市開発「クレヴィア相模大野ラ・テラス」
「クレヴィア相模大野ラ・テラス」完成予想図
伊藤忠都市開発が近く分譲開始する「クレヴィア相模大野ラ・テラス」を見学した。分譲戸数38戸の小規模物件ではあるが、第一次取得層の購入を想定した工夫がいくつもなされていた。
物件は、小田急線相模大野駅から徒歩10分、相模原市南区上鶴間本町4丁目に位置する7階建て全43戸(事業協力者住戸5戸含む)。専有面積は70.97~85.55㎡。坪単価は183万円。竣工予定は2016年11月下旬。設計・監理はIAO竹田設計。施工は松尾工務店。販売代理は伊藤忠ハウジング。
商品企画にあたって、事前に地元居住者約200組に「理想の住まい」についてアンケートを実施。家族ごとの趣味嗜好やこだわり、求めるライフスタイルが想定以上に多様だったため、そのニーズに応えるためセレクトシステム「ホームアレンジメント」を導入。1家族に1名の専属コーディネーター(インテリアコーディネーター有資格者)がサポートするのが特徴。
さらに、建具・家具・壁紙などにポイントを付け、トータルで100ポイントまで無償で選べる「100ポイントメニュー制」を採用。購入者は、従来からある間取りやカラー、高さ、形状などの無償セレクトに加え、100ポイント内で下足入れ(3種)、リビングドア(2種)、共用物入れ(5種)や食器棚設置などの工事対象物のほか、家具(ソファ、テーブル、イス等)や家電までメニューから選べる。
同社都市住宅本部プロジェクトマネージャー・大徳弘恵氏は、「当社の物件の先に大手デベロッパーが大規模マンションを予定しているので、なんとか差別化を図ろうと新しい試みも取り込んだ。来場者の方々にも評価していただいている」と、手応えを感じていた。
モデルルーム
◇ ◆ ◇
このところ、同社の物件も含め富裕層やアッパーミドル向けの物件見学が中心だったので、久々に第一次取得層向けのモデルルームを見学した。
分譲単価は予想通りだ。坪単価180万円台というのは郊外部でもこれくらいの単価水準が当たり前になるはずだし、設備仕様レベルもみんな同じ水準になるとみている。いかに価格を抑えて差別化するかがデベロッパーの腕の見せどころだ。
その点でこのマンションはよく工夫されている。「ホームアレンジメント」や「100ポイントメニュー制」もそうだが、記者はプランに注目した。
廊下幅が広いのにまず驚いた。1350ミリだった。モデルルーム住戸だけかと思ったら、ほとんど全ての住戸がそうだった。最近は専有面積を圧縮し、グロス価格を抑えるために廊下スペースを極力なくすのが流行しているが、やはり廊下はあったほうがいいし、広ければ広いほどいい。よくぞ同社は決断したものだ。
間口も最近は6mというのが主流だが、ここは最低でも6100ミリ、6200~6250ミリが中心だ。同社の〝オハコ〟でもある収納の提案もなかなかいい。
マンションギャラリーも面白い。来場者に好みのカラーや建具・家具、クロスを選んでもらえるようギャラリー内や商談ブースにサンプルがたくさん展示されていた。何度訪ねてもいいように、平日限定でマンションギャラリー1階を無料開放するという。
同社のマンションを見学していつも感心するのだか、物件特性に応じて需要を喚起するアイデアがいつも盛り込まれている。マンションのプレス・リリースの数は他社を圧倒しており、アイデアもそのプレス・リリースの数ほどある。デベロッパーと施工会社を聞いただけでプランが想像できる普通のマンションと異なるところだ。
三菱地所グループ 管理会社2社が合併 新社長に清沢光司氏が就任
三菱地所グループの不動産管理会社である三菱地所コミュニティと三菱地所丸紅住宅サービスが三菱地所コミュニティを存続会社として4月1日付で合併する。
合併後の代表取締役 社長執行役員には三菱地所丸紅住宅サービス代表取締役 社長執行役員・清沢光司氏が就任する。
合併によって新会社のマンション管理受託戸数は約30 万戸となり、今後はマンション管理業務に加え、大規模修繕工事領域の強化や居住者向けサービスの充実を図り、ストックビジネス領域の拡大・収益向上を図る。
あれから5年 被災地の人口減に歯止め 39市町村のうち22市町で前年比増
東日本大震災から間もなく5年が経過する。仙台市を中心とする一部の市町を除き、一貫して人口が減り続いていた太平洋岸の被災地人口が初めて増加に転じた。2万人ともいわれる復興事業に従事する人と、その関連の関係者などが数値を引き上げた可能性も大きく、定住人口が増加に転じたと結論づけることはできないが、明るいデータではある。
別表は、東北3県の推計人口調査をもとに太平洋岸の39市町村の人口動態をみたものだ。平成28年2月現在のエリアの総人口は約254.7万人で、昨年同月の約251.5万人より1.3%、3.2万人増加。一昨年の水準にほぼ戻した。
市町村別では、39市町村のうち過半以上の22市町村で増加。昨年の調査では、人口が前年比で増えたのは仙台市とその周辺の多賀城市、名取市など4市にとどまったが、今年の調査では、減少したのは17市町村にとどまり、大きく様変わりしている。
増加率が高いのは8.8%増の相馬市を筆頭に洋野町(7.5%増)、いわき市(7.1%増)、新地町(6.7%増)、大槌町(6.5%)など。減少率が高いのは広野町(14.0%減)、南三陸町(10.5%減)、南相馬市(9.3%減)、女川町(8.0%減)など。
震災前との比較では、増加しているのは利府町(5.6%増)、名取市(5.1%増)、仙台市(3.5%増)、いわき市(2.2%増)など6市町。減少率が高いのは女川町(37.7%減)、南三陸町(30.6%減)、山元町(26.7%減)、広野町(20.8%減)、大槌町(18.9%減)など。13市町が2ケタ減少している。39市町村全体では震災前より1.9%、約4.8万人減少している。
◇ ◆ ◇
推計人口は、国勢調査人口に住民基本台帳に基づく日本人及び外国人の自然増減、社会増減を加減して算出したものだ。表中の今年2月の推計人口は昨年10月に行われた国勢調査のテータがもとになっており、昨年2月の人口は平成22年の国勢調査のデータがもとになっている。もととなるテータが異なるので、正確な比較ではないことを断っておく。
また、住民登録されている住民基本台帳人口(住基人口)とも異なる。学生などは住民票を移動せず、大都市に移り住むケースが多いので、大都市ほど推計人口が多くなる傾向がある。
仙台市を例にとると、同市の今年2月の推計人口は約108.3万人だが、住基人口は約105.6万人となっており、その差は約2.6万人もある。
この約2.6万人がどのような人かはわからないが、震災復興にかかわる仕事で市外からの転入者が多数含まれることは容易に想像がつく。同じように、前年同月比7.1%増の約34.9万人のいわき市の昨年1月の住基人口は約33.3万人だ。約1.6万人の差がある。
逆に郊外部の被災地は推計人口より住基人口のほうが多い傾向を示している。南三陸町の推計人口は約1.2万人だが、住基人口は約1.4万人だし、石巻市も推計人口が約14.7万人なのに対し住基人口は約15.0万人だ。
◇ ◆ ◇
被災3県の沿岸地域の人口減少については、朝日新聞が1カ月くらい前の記事で、10年前の人口から大きく減少していると報じた。その記事を読んで、10年前と今を比較するのが適当かと疑問を覚えた。1年前と比較して増加に転じたことを証明(データをそのまま転記しただけだが)できたことがうれしい。転機には違いない。この動きを加速させることが大事だ。がんばれ被災地!
野村不動産HD CSR、広報IRを廃止、コーポレートコミュニケーション部新設
野村不動産ホールディングスは4月1日付で、CSR推進部及び広報IR部を廃止し、コーポレートコミュニケーション部を新設する。CSR推進部、広報IR部担当の執行役員経営企画部担当・芳賀真氏が新設のコーポレートコミュニケーション部を担当する。同部長には広報IR部長・宇佐美直子氏が就任する。
◇ ◆ ◇
広報部の呼称をコーポレートコミュニケーション部に変更するのは時代の流れのようだ。記者は常々、広報の権限・権能を強化すべきと考えているので、今回の同社の機構改革も単なる呼称変更にとどまらず、コーポレートコミュニケーション部をより経営中枢に近い組織に改編することだと理解したい。
記者の経験からすれば、広報力イコール企業力だ。広報を単なるマスコミ対応、社内広報、あるいはIR、危機管理、広告・宣伝担当、情報収集部門として経営陣の下請け的な位置に据え、コントロールしようとするのは時代遅れだ。
広報には、企業の命運を握る「CAT」、つまり「Compliance」(法令順守)「Accountability」(説明責任)「Traceability」(追跡可能性)に企業理念「Vision」を加えた「CATV」の観点から全体を俯瞰する権能を与えるべきだと思っている。
野村不動産アーバンネット 新社長に前田研一専務、宮島社長は会長へ
前田研一氏
野村不動産アーバンネットは3月4日、取締役社長(代表取締役)兼社長執行役員に取締役兼専務執行役員・前田研一氏が4月1日付で就任すると発表した。現取締役社長(代表取締役)兼社長執行役員・宮島青史氏は取締役会長に就任する。
前田氏は昭和36年生まれ。千葉県出身。昭和60年、中大法卒。同年、野村不動産入社。法人カンパニー企画室長、資産運用カンパニー企画室長などを経て平成16年6月野村不動産アーバンネットに出向。同17年、同社に転籍。同20年4月に執行役員 流通事業本部 本店営業部長兼リノベ事業部長嘱託、同25年4月に常務執行役員、同27年4月に現職。
再開発が進む中野駅圏 三菱地所レジ「ザ・パークハウス 中野タワー」
「ザ・パークハウス 中野タワー」完成予想図
三菱地所レジデンス(事業比率50%)と首都圏不燃建築公社(同)は3月5日、再開発が進むJR中央・総武線中野駅圏の「ザ・パークハウス 中野タワー」のモデルルームをオープンした。「中野ブロードウェイ」に隣接する24階建て全178戸(分譲は149戸)。周辺に競合物件はほとんどなく、ユーザーがどのような反応を見せるか。
物件は、JR中央・総武線・東京メトロ東西線中野駅(北口)から徒歩6分、中野区中野5丁目に位置する24階建て全178戸(事業協力者住戸29戸含む)。専有面積は40.66~132.05㎡、価格は5,000万円台~2億7,000万円台、坪単価は400万円台の後半。竣工予定は2017年7月下旬。施工は西松建設。デザイン監修はブラネック・デザイン。
現地は、平成24年に竣工した「中野セントラルパーク」(16.8ha)のほか「中野囲町東地区再開発事業」(2.0ha)、「中野駅西口地区まちづくり基本方針」(3.7ha)「区役所・サンプラザ地区再整備事業」(4.85ha)、「中野二丁目土地区画整理事業」(2.4ha)など全体で110haにも及ぶ再開発計画「中野駅周辺まちづくりグランドデザイン」が進行・計画中のエリアの一角で、アーケード付きの「中野サンモール商店街」-「中野ブロードウェイ」に隣接。
建物は、制振構造を採用。太さの異なる縦のマリオンと水平ラインをランダムに組み合わせた白が基調の外観が特徴。
共用部のデザイン監修は三菱地所グループのロイヤルパークホテルズ アンド リゾーツが、共用部デザインはメック・デザイン・インターナショナルがそれぞれ担当。メンバーズラウンジにはザハ・ハディド氏がデザインしたソファーも設置される。
キッチン(モデルルーム)
◇ ◆ ◇
現地は勤務先の事務所があったところのほぼ対面にあり、「中野ブロードウェイ」は毎日のように通った。
現地を知りすぎているためか、予定単価を聞いたときは「高い!」という印象を受けたが、東京建物が「中野セントラルパーク」の用地を取得したときも、仮にマンションを分譲すれば400万円台の半ばになるのではないかと考えたくらいだから、妥当な単価かもしれない。「目黒」が600万円なら「中野」の500万円はつり合いが取れている。この街はあと10年、20年で一変するはずだ。街の将来性をユーザーがどう判断するか、売れ行きに注目したい。
値段が高く、オプションも含むのだから当然といえば当然だが、100㎡のモデルルームの設備仕様レベルが高い。システムキッチンは700万円もするもので、ディッシュウォーマーまでついていた。リビングのデザイン壁にはトラバーチンが採用されていた。
◇ ◆ ◇
こんなことは言いたくないのだが、モデルルームオープンの前日4日に行われた記者見学会には10人くらいしか集まっていなかった。今回だけではない。どこも似たり寄ったりだ。マンション見学会になると極端に減る。三菱地所グループ恒例の記者懇親会には100人くらいの記者が集まるし、今回の見学会とほぼ同じ時間帯に行われた野村不動産の「GEMS」発表・見学会にも数十人の報道陣が詰めかけていた。
この差は何だろう。いま都心のマンションは価格が暴騰しており、目が離せない展開を見せている。中古が新築価格を上回る、かつてのバブル期と同じような動きもある。そんな面白い動きをしている現場を見ずして、商品を見ずしてどうして市場や業界全体の動向を把握できるのか。
マスコミ、とくに業界紙各社の取材体制はかなり細分化されており、取材対象(事業分野)が異なるとさっぱりわからないという記者は少なくない(かくいう記者もそうだった)。取材担当が頻繁に変わるところもある。
これではいけない。自分の専門分野を持ち、知識を深めると同時に、他の分野も基本的なことは理解できるようにしておかなければならない。「木を見て森も見る」ことだ。そうしないと、激しく動く業界動向についていけなくなる。分譲事業が各社の枝葉の事業ならまだしもコア事業だ。担当以外であっても時間を見つけてマンションや戸建ての現場に足を運んでほしい。自らが情報発信者にならなければジャーナリストとは言えないと思う。
リビング(モデルルーム)