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「デュオアベニュー調布つつじヶ丘」

 フージャースホールディングスグループの戸建て分譲を展開しているフージャースアベニューの「デュオアベニュー調布つつじヶ丘」を見学した。つつじヶ丘駅圏では最近ほとんど供給がないと思われるフラットで、駅に近い希少性から人気になりそうだ。

 物件は、京王線つつじヶ丘駅から徒歩6分、調布市東つつじケ丘二丁目の第一種低層住居専用地域に位置する全12棟。土地面積は118.07~121.02㎡、建物面積は93.13~96.78㎡、予定価格は6,700万円台~8,000万円台。入居予定は平成28年7月中旬、9月中旬。構造は木造・2階建て(2×4工法)。施工はイトーピアホーム。販売は5月下旬。

 現地は、戸建て住宅が建ち並ぶ閑静な住宅街。武者小路実篤記念館まで徒歩5分。敷地は駐車場として使われていた空き地。

 建物は「オーセンティック」「エレガントシック」「ステイトリーシック」の3種。全体として付梁、付桁、窓柱、ボーダータイルなどを多用して重厚感を演出しているのが特徴。

 全グループ社員235名のうち女性社員が約40%という同社らしい「女性ものづくりチーム」が考え出した小物置き付ペーパーホルダーや奥行き13センチのLIXIL製のランドリー収納が標準装備。

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小物置き付ペーパーホルダー

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 同社の平成28年3月期の戸建て・アパートの売上高は7,635百万円で、売上戸数は183戸・2棟。全体の売上高35,943百万円の21.2%を占める。数年前まではほとんどゼロに近かったことからすればものすごい伸びだ。

 戸数183戸も大手デベロッパーの2強、三井不動産レジデンシャル、野村不動産には大きく引き離されているが、おそらく混戦の3位争いの一角にいるはずだ。商品企画は間違いなく三井や野村と互角に戦える。

 廣岡哲也社長も先の経営方針発表会で「戸建ては城南城西エリアでの事業をさらに強化する。価格が6,000万円から8,000万円くらいで大手との競合はあるが、きめの細かい対応を行えば戦える」と自信を見せた。

 今回の取材ではランドリー収納に驚いた。常識的には奥行きが13㎝しかなければタオルケットなどは置けないが、丸めて縦に収納するようになっている。タオルハンガーはバスタオルが確か5枚くらい掛けられるようになっていた。小物置き付ペーパーホルダーは理解できないが、社内の女性スタッフは「あったらいいな」と評価した。

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ランドリー収納

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「パークシティ柏の葉キャンパス ザ・ゲートタワー」完成予想図(左側の住棟は非分譲)

 デベロッパー・ハウスメーカーは別にして、これまでマンションや一戸建ての取材で首都圏の駅に降り立ったのは400をくだらないと思うが、ここ10年間でいえば、つくばエクスプレス柏の葉キャンパスは10回以上訪れており、もっとも多い駅の一つだ。

 回数が多いだけでなく、わが街・多摩センターを除けばもっとも好きな駅圏の一つでもある。なぜそうなのか。第一は「若い」ということだ。

 EXが開業して10年ちょっとだから当然といえば当然だが、どこからこんなに子どもが湧いてくるのだろうと不思議に思うくらい子どもが多い。かつて同じような経験を横浜市都筑区でもしたが、小さい子ども連れの若い女性を見ると、気持ちも湧きたつ。不思議と未来に希望が持てるようになる。最近は少し若返ってきたが、これは多摩センターがかなわないところだ。

 もう一つ、「若い」のは街づくりの先進性だ。三井不動産を中心に柏市、東大・千葉大という公・民・学連携による先進のスマートタウンづくりが進められており、そのビジョンが素晴らしい。企業もそうだが、ビジョンが貧しければそれなりのものにしかならない。その意味で、添付した「「柏の葉」の「環境未来都市」 涙が出るほど嬉しい提案書(2012/2/13)」の記事と、その提案書をぜひ読んでいただきたい。感動するはずだ。

 今回、改めて「柏の葉」を訪ねることにしたのは、先日取材したフージャースコーポレーションのシニア向けマンション「シニア向け「デュオセーヌ柏の葉キャンパス」を取材したのがきっかけだった。

 記事にもしたが、フージャースの物件の坪単価は230万円だった。いま三井不動産レジデンシャルが駅から徒歩3分の36階建て免震タワーマンション「パークシティ柏の葉キャンパス ザ・ゲートタワー」(349戸)は204万円だ。その差は30万円近くもある。。一般の分譲マンションとシニア向けはコンセプトが異なるので単純な比較はできないが、双方ともよく売れているのは「街」がユーザーに支持されているということは共通している。

 「ゲートタワー」については詳細には触れないが、三井不動産レジデンシャルが分譲した平成20年竣工の「パークシティ柏の葉キャンパス一番街」(977戸)、平成23年竣工の「パークシティ柏の葉キャンパス 二番街」(880戸)に次ぐ第3弾だ。昨年夏から分譲が始まっており、これまで210戸が販売済みだ。

 「一番街」も「二番街」も坪単価は165万円くらいだったから若干上昇しているが、まだまだ第一次取得層に手が届く範囲内だ。記者は郊外部のマンションだけは価格を上げてほしくないと思っているのだが、同社はその期待に応えてくれている。10年くらいの間に3物件トータルで2,206戸にもなる。熟成した街ならともかく、何もなかった場所で「街」をつくりこれほどの住宅を供給できる三井不動産グループの力を見せつけている。

 三井不動産レジデンシャル千葉支店営業室主査・河崎竜也氏に話を聞いたのだが、「流山おおたかの森との競合はそれほどなく、それぞれの住み分けができているようだ。むしろ『柏の葉』の既分譲の中古や、当社の『武蔵小杉』『豊洲』『新川崎』、最近では『中央湊』だったり、『街』の比較で物件を検討されている方が目立つ」と語ったのが印象的だった。

 都市間・エリア間競争が激化しているということだ。ここに「多摩ニュータウン」が割り込めないのが残念ではある。

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建築中の現場

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 現地で小さな子どもを連れた「二番街」に住む女性(30)に〝なぜ柏の葉なのか〟を聞いた。「家族は上の子がいるので4人です。ここを選んだのは私の実家・流山に近かったことが第一ですが、おおたかの森より広かったのが決め手。96㎡です。駅の周辺に何でもそろっていて、緑が多いのも魅力です」と話した。

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 一昨年オープンした「KOIL」のカフェレストラン「AGORA」で食事をした。店内で水耕栽培している「野菜を食べたい」と話したら野菜サラダにして出してくれた。スーパーの野菜との違いは判らなかったが、「きれいなものを食べた」という満足感はあった。

 時間が空いたので、「KOILパーク」の「1 day ユース」プランを利用して約1時間本を読んだ。料金は400円(1日利用は1,500円)。喫茶代と思えば高くない。

 水が飲め、インターネット(Wi-Fi)や電源の利用、コピー・出力・スキャンなども利用できる。「KOILパーク」に隣接したオープンスペースでは食事もでき、卓球を楽しんでいる人もいた。喫煙室もある。

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カフェレストラン「AGORA」

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「KOILパーク」

「ららぽーと」に隣接 シニア向け「デュオセーヌ柏の葉キャンパス」(2016/5/2)

三井不動産「柏の葉スマートシティ」 中核施設の「ゲートスクエア」8日オープン(2014/7/7)

「柏の葉」の「環境未来都市」 涙が出るほど嬉しい提案書(2012/2/13)

 

 

 

 

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フージャースホールディングス グループ経営方針発表会・懇親会(グランドプリンス新高輪)

 フージャースホールディングスは5月19日、グループ経営方針発表会・懇親会を開催した。従来のアナリスト・報道陣だけではなく、すべての取引関係者を対象にしたもので、会場となったグランドプリンス新高輪国際館パミールの大宴会場は約550名の参加者で埋め尽くされた。

 冒頭、挨拶に立った廣岡哲也社長は、「ここ数年事業の多角化を進めてきた結果、事業内容が分かりづらくなってきており、報告セグメントを変更し、企業理念を含めた方向性を明確に示すことで、関係者の皆さんの一層の理解と支援をお願いしたい」などと開催の趣旨について述べた。

 向こう5カ年の経営方針として、企業理念として掲げる〝全ての人の「欲しかった暮らし」を叶える〟ため、①エリア拡大②ターゲット拡大③事業範囲拡大-の三つの挑戦を掲げた。平成21年3月期には売上高1,000億円(平成28年3月期は359億円)、経常利益100億円(同28億円)を目指す。

 エリア拡大については、現在、全国33カ所で展開中の分譲マンションや復興・再開発、地方創生、リノベーションとリゾートも視野に入れさらに拡大するとした。5月19日付で九州支店を開設した。

 ターゲット拡大については、これまでほとんど供給のなかったシニア向けを5カ所以上で分譲・計画しており、M&Aによるシニア向けスポーツクラブの運営やCCRCへの展開、富裕層向けリゾートマンション、アパート投資事業も進める。

 事業範囲の拡大については、コンバージョン、不動産投資、都心のコンパクトマンションなどの事業を行う。

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廣岡社長

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 記者は最近まで知らなかったのだが、平成26年3月まで野村不動産ホールディングス代表取締役副社長執行役員だった松本聖二氏が同社の社外取締役に昨年9月に就任した。松本氏はこの日の懇親会で他の経営陣とともに紹介された。

 松本氏は「フージャースさんがリーマンショックの影響で資産を売却せざるを得なくなったときからのお付き合い。廣岡さんの人格にも惚れた。微力ではあるが発展に貢献したい」と話した。

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 Slow and steady wins the race-廣岡社長の人柄なのか、最近の同社の堅実な事業そのものを反映した発表会だった。

 広い会場に用意されていた席は約600席。「どうぞ、前から順番にお座りください」-同社スタッフの誘導が完璧だった。例えは適当でないかもしれないが、参加者は将棋の駒かドミノの牌のように最前列から一つの空席もなくきれいに並べられた。まるで小学校の入学式か葬列のようだった。

 これがよかった。適度な緊張感を生んだ。約1時間20分間、席を立つ人も私語を交す人も居眠りをする人もなく、廣岡社長などの話に聞き入り、それこそしわぶき一つ聞こえなかった。参加者がてんでんばらばらに座ったら収拾がつかなかったはずだ。

 廣岡氏の話そのものはプロジェクターに忠実に添ったもので、笑いを誘ったり洒落を飛ばしたりするような場面はほとんどなかった。

 それでも参加者はみんな集中して廣岡氏の話を聞いた。それはなぜか。第一は分かりやすいということだろうと思う。記者は常々、人が相手に分かりやすく話すのは1分間に200~250字くらいが適当だと思っているが、廣岡社長はそれくらいの範囲だったはずだ。

 もう一つは、この種の会合では言いたいことは3つくらいに絞るべきだと思っているが、廣岡社長も伝えたいことを絞り、それを何度も繰り返した。

 廣岡社長の人柄を示す例を一つ紹介する。廣岡社長は東日本大震災の被害状況を見るために岩手県の湾岸から浦安までレンタカーを借りて駆け巡ったそうだが、「事業を通じて具体的な支援を行ないたい」と強く感じたという。その思いは石巻、塩釜、いわきなどの復興・再開発プロジェクトの実現につながった。

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 記者が勝手に〝この方を知らなければ業界モグリ〟と思っているだけかもしれないが、この方について書く。会場でばったり出くわした。

 かつて昔、億ションの代名詞のような「ドムス」という会社があった。坪単価2,000万円とか3,000万円、グロスにして1戸44億円という決して塗り替えられない記録を打ち立てた会社だ。その販売事務所にこの方はいた。今でいえば派遣だろうが、当時はハウジングアドバイザーと呼ばれていた、そのうちの一人だった。

 例えていうなら、吉永小百合さんと八千草薫さん(記者は美人といえばこの二人しか思い浮かばない)を足して2で割って、しかも2回りくらい若くしたような、こちらが赤面するくらいの美女だった。

 バブルが崩壊してややあって、この方はある会社の広報担当になった。たまたまその会社の役員を同僚の記者がインタビューすることになった。記者はその記者に懇願してカメラマンとして同行した。

 インタビューの部屋には役員の近くにその方が座っていた。記者は役員の写真を撮るふりをしてその方を撮りまくった。役員は怪訝な顔をしたが、なにも言わなかった。20枚くらいは撮っただろうか。

 インタビューを終えて外に出て記者は「やった!」と快哉を叫んだ。早く写真屋で現像してもらおうと、その場でフィルムを巻き戻した。ン? 手ごたえがない。そこで初めてフィルムが装てんされていなかったことに気が付いた。

 あれから30年くらいがたつ。この方の年齢は分からないが、当時すでに成人していたはずだから、22+30=50歳代にはなっているはずだ。

 本人は「いやだ」「ダメ」と断ったが、押し切り30年越しにこの方の写真を撮ることができた。

 何を隠そう、この方こそ知る人ぞ知る、当時の会社を辞められ、20年前にマンションの販売スタッフ会社「ミューズ・ワン」を立ち上げた小林美穂氏だ。

 「書かないで」とも言われたが、記者の五段活用には未然形の「書かない」はなく、「書きます」「書く」「書くとき」「書けば」「書け」しかない。

 どうだろう、八千草薫さんを茶髪にしたらきっとこうなるはずだ。(写真はご本人提供)

 デベロッパー各社の皆さん、マンションの販売スタッフはミューズ・ワンに依頼してください。苦戦物件が得意だから、間違いなく売ってくれるはずです。

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小林氏

 

 東京都は5月13日、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の選手用の宿泊施設として一時使用し、大会後は住宅となる建物などを建築する晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業の特定建築者(民間事業者)の募集概要を発表した。

 総敷地面積は約約13.4ヘクタール、棟数24棟・5,650戸の計画。敷地処分予定価格は12,960百万円。

 応募資格は、建築に必要な資力・信用を有する者(グループでの応募も可。特定目的会社、特別目的会社は不可)で、平成23~27年のいずれかの年でも分譲マンションの供給実績が年間1,500戸以上あることなど。

 受け付けは平成28年5月24日(火)まで。平成28年7月にプレゼンテーションを実施したのち、9月に特定建築者が決定される。

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 今回の募集は、昨年3月に行われた「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会選手村及びレガシー検討に係る事業協力者」選定に次ぐもので、応募資格が厳しく、国家的なプロジェクトであることから、「事業協力者」同様、応募するのは三井不動産レジデンシャルを代表とするコンソーシアムとなるのは間違いない。

 「事業協力者」は同社を筆頭にエヌ・ティ・ティ都市開発、新日鉄興和不動産、住友商事、住友不動産、大和ハウス工業、東急不動産、東京建物、野村不動産、三井物産、三井不動産、三菱地所、三菱地所レジデンスの13社だったが、果たして増えるのか減るのか。

 ワールドワイドなプラン、例えばわが国の一般的な分譲マンションの天井高は2.4(廊下、キッチンなどは2.2m)~2.6メートルくらいしかなく、サッシ高も1800ミリが標準だから、これだと間違いなくけがをする選手が出るので、もっと高くなるのは当然だろうが、和室(押入)はどうするのか、くつ脱ぎ・框はどうするのか、ドアは全て開き戸なのか、風呂は1418で十分なのか、洗い場はどうするのか、収納率はどうするのか、バルコニーの布団干しはどうなるのか、遮音性能は大丈夫か、床暖房はどうするのか、著名な選手が落書きをしたりサインを書き残したりしたらそのままにしてプレミアム住戸にするのか…など、海外は中国とモンゴル以外経験のない記者はとても気になる。

 スケルトンにすればいいような気がするが、これもコストがかかる。全て分譲にせず、賃貸となる棟も提案されるような気がする。定期借地権付きもいい。

 それにしても、あの晴海に5,650戸ものマンションを建てて果たして需要はあるのか。笑われるかもしれないが、記者のいまの相場観からしたら坪単価は250万円がアッパーだ。この値段だったら全国から申し込みが殺到する。しかし、周辺物件は閑古鳥が鳴く。

東京オリンピック選手村 事業協力者は三井不レジなど13社グループ(2015/3/28)

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「クレヴィアコートつつじヶ丘」(仙川駅からのアプローチ)

 伊藤忠都市開発が5月21日から販売を開始する分譲一戸建て「クレヴィアコートつつじヶ丘」を見学した。同社の戸建てを見学するのは久々だが、外構・デザインに力が入っており、早期完売は間違いない好物件だ。

 物件は、京王線つつじヶ丘駅から徒歩8分、または仙川駅から徒歩13分、三鷹市中原1丁目の第一種低層住居専用地域に位置する全12区画。建蔽率は40%、容積率は80%。敷地面積は104.75~120.30㎡、建物面積は83.39~95.49㎡、価格は6,900万円台~8,200万円台。建物は第1期7区画が竣工済み。施工はイトーピアホーム。構造は木造2階建(2×4工法)。販売代理は東急リバブル。

 現地は、つつじヶ丘駅からだと道路との比高差にして6mくらいの高台にあり、仙川駅からだとほぼフラット。敷地は元幼稚園。今回分譲の住戸からは遮るものがないことから富士山も眺望できる。

 コンセプトは「非日常と日常の融合」。「丘上立地ならではの恵まれた眺望、別荘を彷彿させる意匠設計等により、都心近接でありながらも高原リゾートを思わせる都市邸宅」となっている。

 最高価格の住戸がモデルハウスになっており、こちらは特別仕様でスカイバルコニー付き。

 4月16日から予約制事前案内会を開始し、これまで60組を超える来場があり、第1期はほぼ即日完売する見込みだ。

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つつじヶ丘駅からのアプローチ

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仙川駅からのアプローチ

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 イトーピアホームが施工した戸建てはたくさん見学しているが、伊藤忠都市開発が事業主の物件見学は数年ぶりだ。

 つつじヶ丘駅からだと、現地まではほぼフラットの道路だが、現地そのものは道路から比高差約6mの高台にある。これは難点といえば難点だが、一方では遮るものが一切ない利点もある。仙川駅だとほぼフラットだから、通勤・通学・買い物はこちらのほうが便利かもしれない。

 外構・外観がいい。造成にもコストがかかっていると思われるが、外観デザインには相当の力が入っている。他社物件でイトーピアホームが施工した物件と比べても最上級ではないか。大屋根や切妻屋根、装飾壁(バットレス)、壁モール、花台を巧みにあしらい、天然石やボーダータイルによって陰影のある「都市邸宅」を演出している。モデルハウスを見て「8,000万円でどうですか」と聞いたら、ほぼその通り(8,200万円台)だった。

 同社は商社系としては唯一戸建ての街づくりを行ってきたデベロッパーだ。その歴史と矜持を見る思いがした。

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スカイバルコニー

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モデルハウス リビングダイニング

 大和ハウス工業は5月13日、大和ハウスグループ「第5次中期経営計画(2016~2018年度)」を策定した。

 「第4次中期経営計画“3G&3S”for the Next Step(2013~2015年度)」では、コア事業の成長を加速させるとともに、事業の多角化や経営基盤を強化したことにより、当初計画より1年早く2年間で達成。2015年度(平成28年3月期)では売上高3兆1,929億円、営業利益2,431億円、純利益1,035億円となり、売上高、営業利益とも過去最高となった。

 「第5次中期経営計画」では、短・中期的な成長力強化と将来の成長に向けた布石を打つとともに、今後の環境変化に対応できる経営基盤を整備していく。最終年度の目標は売上高3兆7,000億円、営業利益2,800億円、純利益1,800億円。

 「賃貸住宅」「商業施設」「事業施設」を重点にコア事業の拡大を図り、3年間で過去最高となる7,000億円の投資を実施する。海外事業は2,000億円以上を目指し、事業の多角化を狙った「プラス1、プラス2ビジネス」の創出に努める。さらに、将来のコア事業としてアコモデーション事業や中古住宅事業、ヒューマン・ケア事業などの育成にも取り組む。

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「プレイズ船橋 北習志野」完成予想図

 三交不動産が6月下旬に分譲する「プレイズ船橋 北習志野」を見学した。北習志野駅圏で過去20年間に分譲されたマンションは28物件で、このうち徒歩10分圏内は9物件で、「習志野1丁目」アドレスは10年ぶりという〝希少〟物件だ。同社マンション事業本部東京支店本部長・盛田哉氏は、「『オハナ』(野村不動産の全241戸)に負けない」と販売に自信を見せている。

 物件は、東葉高速線北習志野駅から徒歩7分、船橋市習志野台一丁目に位置する7階建て全96戸。専有面積は64.41~93.79㎡、価格は未定だが、坪単価は178万円の予定。施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は平成29年2月下旬。販売代理は長谷工アーベスト。

 現地は、駅からフラットで近くには「西友」がある。隣接する西側と東側の街区は第一種低層住居専用地域。建物はL字型で住戸は南向きと西向き。設備仕様は、食洗機が標準装備。ミネラル分は残し不純物と残留塩素を低減する「良水工房」が標準装備。

 販売担当者は、「〝オハナ〟とは競合しますが、向こうは駅から徒歩13分で、坂がある。この物件はフラットで人気の高い習志野1丁目アドレス」と強調した。

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 確かに駅に近くフラットで単価が高いのは「オハナ北習志野」に勝っている。「オハナ」の単価は坪150万円くらいだ。

 設備仕様でいいと思ったのは「良水工房」だ。相鉄グループの相鉄ピュアウォーターが開発した製品でマンション1棟丸ごと浄水するため、飲料水だけでなく浴室やトイレにも配置されている。記者もろ過した水を頂き、水道水と飲み比べてみたが、飲んですぐ、まろやかでとてもおいしく感じた。。ペットボトルを買わなくて済むのではないか。

 相鉄ピュアウォーターによると、「これまで販売先は相鉄不動産などグループ会社が中心だったが、最近は他社のマンションやホテル向けも伸びている。ランニングコストも1世帯当たり年間14,000円。1日にすると40円。風呂でも使えるので肌荒れ防止になるメリットもある」と話している。

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 三交不の盛田氏が意識しているように、三交不と野村不の激突は避けられないし、隣駅の船橋日大前駅にはサンケイビルの「ルフォンソレイユ船橋美し学園」(186戸、坪単価140万円)がある。

 郊外部でもどんどん坪単価が200万円を突破してきており、3物件ともまだまだ旧価格であるのを〝売り〟にしたいところだろう。3物件とも施工は長谷工コーポレーション。

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モデルルーム キッチン

「オハナ」との競合はプラスに サンケイビル他「ルフォンソレイユ船橋美し学園」(2015/2/23)

 

 

 

 東急リバブルは5月12日、多様な働き方を推進するため、5月から業務上の理由だけでなく自己都合事由でも利用が可能な時差出勤制度の適用範囲を拡大したと発表した。

 同社の時差出勤制度は、1日の労働時間8.5時間(休憩時間1時間を含む)はそのままで、始業時間を午前6時から午後1時30分までの間で、30分単位で繰り上げ・繰り下げ可能とするもの。

 これまでは、業務上の理由がある場合にのみだったのを、保育園や介護施設への送迎、子の学校行事への参加、通院や自宅マンションの定期点検の立会いなど自己都合も利用ができるよう適用範囲を広げた。半休制度との併用もできるため、個々の事情に合わせた柔軟な勤務時間の設定が可能となった。

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 同社のワークライフバランスの取り組みはおそらく業界トップクラスだろう。同社の主な事業の不動産仲介の仕事でフレックスに近い制度を導入することができるのかどうかよくわからないが、とてもいいことだと思う。裁量労働制も検討していいのではないか。

流通業界を変えるか 東急リバブル「女性活躍」で劇的に数値向上 野中氏に聞く(2015/10/28)

 

 

 

 

 

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「ライオンズ宮前平ヒルズ」完成予想図

 大京が分譲中の「ライオンズ宮前平ヒルズ」を見学した。物件の近くには野村不動産の全429戸の大規模マンション「プラウドシティ宮崎台」があり、その陰に隠れて埋没しそうな規模だが、日本初の省エネ・創エネ・畜エネを組み合わせるなど徹底した差別化を図った結果、全45戸のうち38戸が販売済みとなるなど大健闘している。

 物件は、東急田園都市線宮前平駅から徒歩4分、川崎市宮前区宮前平三丁目に位置する7階建て全45戸。専有面積は65.67~86.51㎡、坪単価は270万円台の後半。竣工予定は平成28年12月15日。設計はティー設計工房。施工は佐藤工業。デザイン監修は建築家・船田徹夫氏。

 現地は、宮前平駅から比高差にして20~30mあるヒルトップ。200~300m宮崎台駅よりの先には全429戸の野村不動産「プラウドシティ宮崎台」が分譲中だ。

 敷地は南北に細長い形状で、建物はエントランス周りに壁面緑化を施し、基壇部に配した御影石と縦柱のマリオンが印象的な外観で、住戸は南向きのAタイプと最上階の住戸を除きほとんどが東向き。

 商品企画では、日本初の一括受電-電力の見える化-オール電化-太陽光の全量売電-蓄電池を組み合わせた次世代型マネジメントシステムを搭載しているほか、花粉・PM2.5にも対応した同社独自のパッシブデザインを搭載しているのが特徴。このほか、設備仕様面では二重床・二重天井、御影石キッチン天板、食洗機、ユーティリティシンク、断熱・遮音性能の高いエコガラス(一部)など。

 昨年の夏から分譲を開始しており、これまでに38戸が分譲済み。同社建設管理部担当部長兼商品開発課長・中山雄生氏は、「野村さんと競合するのは必至だったので、商品企画には相当力を入れ差別化を図った。それが結果につながった。これまでは首都圏では見るべきものがなかったかもしれないが、これから供給する物件にはどんどん新しい試みを付加させていく」と話した。

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モデルルーム

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 同社が〝ライオンズ リビング ラボ〟を前面に打ち出した数年前は、年間で6~7物件は見学していたが、ここ1年間は1、2物件と激減していた。

 用地・建築費の高騰で〝都心回避〟を図り、設備仕様も落としているから見るべき物件がないのかとも心配していたが、一世を風靡した〝ライオンズ リビング ラボ〟は健在だった。「宮前平」で初めて採用された次世代型マネジメントシステムなどを〝見える化〟したモニターはなかなかのスグレモノだった。

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換気機能付き玄関ドア

 三井不動産は5月10日、平成28年3月期決算を発表し、決算短信に横浜市都筑区の傾斜マンション問題を盛り込んだ。

 決算短信には「平成28年4月11日に(三井不動産)レジデンシャル社は、施工会社である三井住友建設から、現況調査として杭の一部が支持層に未達である旨の報告書を受領…平成28年4月28日には、本件調査の第三者評価機関である一般社団法人建築研究振興協会より、三井住友建設による現況調査は妥当である旨の評価書を受領いたしました」と記載されている。

 また、「レジデンシャル社は当該事象にかかる費用について本件不具合の調査・原因究明結果に基づき、工事請負契約に基づく瑕疵担保等の責任を負う施工会社等に対して求償いたしますが、本件不具合の調査・原因究明は継続しております」としている。

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 この問題については横浜市が平成27年12月8日付で、建築基準法第12条第5項に基づく構造耐力の適合性について報告するよう事業主の三井不動産レジデンシャルと施工を担当した三井住友建設に求めた。三井住友建設が当初行ったスウェーデン式サウンディング試験では正確な調査結果が出ないとして疑義を呈し、横浜市もまた「斜めボーリング」方式によって調査することを三井住友建設に求めたと思われ、報告期限は平成28年5月31日となっていた。

 これに対して、三井不動産レジデンシャルと三井住友建設は平成28年4月27日、報告期限を平成28年6月30日にするよう市に求め、受理されている。

 現段階では詳細は不明で、市も報告書を受領していない。

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 ここで注目されるのは、三井住友建設の調査方法が適正であれば、これまで旭化成が主張してきた「内調査委員会および外部調査委員会によるヒアリング調査の結果、該当する現場責任者およびオペレーターは、一様に杭は支持層に到達しており、施工は適切に行っていると述べており、杭工事の施工上の瑕疵を隠蔽する目的で施工データの流用を行ったことを示す証言または資料はこれまでの調査では発見されなかった」(社内調査委員会の平成28年2月9日付中間報告書)は覆されることになるのかどうかだ。

 さらにまた、「杭工事の際の掘削時の電流計データの変化状況は、掘削が支持層まで到達したか否かを推定する一要素に過ぎないものとされており…電流計データの変化状況によって推定する方法は、正確な地盤強度を測定する観点からは限界がある」(外部調査委員会による平成28年1月8日付中間報告書)とするならば、結局は支持層に到達しているか未達かはボーリング調査を行わないとわからないということになるのか。

 だとするならば、データ流用そのものはマンションの安全性とは関係ないということにならないのか。三井住友建設の調査は、データ流用がなかった杭についても行われたのかどうかも気になる。

 そしてまた、「旭化成建材は…本件マンションに施工する全ての杭を支持層まで到達させ、支持層に十分差し込む作業を履行する義務、及び②本件マンションに施工する全ての杭について、根固めを築造する義務を、日立ハイテクに対して負っていたものと考えられる」(外部調査委員会の中間報告書)というのであれば、施工監理とはいったいなんぞやという疑問も深まるばかりだ。

 

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