マラソン3回分122kmの家事労働短縮 動線や洗面室の工夫で実現 アキュラホーム調査
洗面室の一例
フルマラソン3回分の約122km、時間にして約1日分の家事労働時間の短縮-アキュラホーム住生活研究所(所長:伊藤圭子氏)は8月16日、アキュラホームが2015年に全国で手掛けた100棟の住宅について調べたところ、家事動線の短縮や洗面室の面積拡大と収納充実を図った結果、年間にして約122㎞、時間にして約25時間(80mを1分として計算)の短縮が実現したという調査結果をまとめ発表した。
調査によると、「キッチン⇔洗面室」の距離は、2015年は平均で3.63mとなり、2009年の5.72mから約36.5%短くなった。その要因として、2カ所から洗面室に出入りできる間取りプランの採用率が2009年には21%だったのが、2015年には38%に増えたことを指摘している。
洗面室については、平均面積は、2009年には4.44㎡(1.34坪)だったのが、2015年には5.22㎡(1.58坪)に拡大している。
また、キッチンに関する調査では、「対面キッチン」が9割前後を維持しており、主流の流れには大きな変化はないとしながらも、油の飛び、汚れなどの影響を受けやすい完全な「オープンキッチン」はやや減少傾向にあり、機能性を重視した「壁立ち上げ型」が好まれる傾向にあるとしている。
調査結果について同研究所は、「2014年4月に発売した『住みごこちのいい家』による提案が寄与したものと考えられ、主婦の家事ラクに大きく貢献した」としている。
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とても面白い調査結果だ。122kmの根拠について同研究所は、30代の日本女性が1日に歩く歩数6,919歩、歩幅70cm、家事時間(平均4時間33分)の割合が1日の約19.0%などからはじき出したとしている。
やや乱暴な計算のような気もしないではないが、主婦労働がいかに過酷であるかを同研究所は明らかにした。洗面所を広くして収納を増やしたことが家事ラクにつながったという結果も興味深い。
注文を付けるとすれば、家事労働時間の短縮は肥満・メタボの改善につながったか、親子、夫婦関係にどのような影響を与えたかなどについても追跡して調査し、報告してほしい。
東急不動産 順天堂などと産学連携 都市型戸建て「ブランズガーデン瀬田」
東急不動産は8月16日、順天堂と東急不動産次世代技術センターとの産学連携による「スマートウェルネス住宅」を目指した都市型戸建て「ブランズガーデン瀬田」のモデルハウスを10月にオープンすると発表した。
物件は、東急田園都市線二子玉川駅から徒歩12分、または用賀駅から徒歩10分、世田谷区瀬田二丁目に位置する全9戸。敷地面積は81.30~104.24㎡、延べ床面積は100.09~121.34㎡。構造は2×4工法2階建て・3階建て。施工はイトーピアホーム。外構造園設計施工は石勝エクステリア。
「スマートウェルネス住宅」では、高断熱性能やエネファーム、外付け日除けを備えた「省エネ性能」、医学的見地を採り入れ突板フローリングや24時間換気を備えた「健康性能」、万が一の際の備えも考えた「安心・安全性能」の3つの視点から各分野の専門家の知見を取り入れて開発を進めている。
「共働き中心のマンション市場に激変」 トータルブレイン久光社長
久光氏
毎日2~3社、月間にして40数社のデベロッパートップとの情報交換を欠かさない業界のご意見番・トータルブレインの久光龍彦社長(76)が最近のマンション市場について「郊外が売れないのは、社会が共働き時代に入っているにも関わらず郊外の子育て環境などが整っていないから。城西、城南は価格が上がり過ぎ。これからは東京などにダイレクトで通勤できる、価格が手に届く城北、城東エリアに注目すべき」などと語った。
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不動産経済研究所の調査によると、2016年上半期(1~6月)の首都圏マンション市場動向は、①供給量が前年同期比19.8%減の14,454戸となり、微増となった埼玉県以外の都県は二ケタ以上の大幅減②初月契約率は平均68.4%で、前年同期の76.1%より7.7ポイントダウン。上半期としては7年ぶりの70%割れ③1戸当たり価格は5,686万円で、430万円(8.2%)の上昇④3.3㎡(1坪)当たり単価は270万円で、前年同期より22.8万円(9.25)上昇⑤完成在庫は6,130戸で、前年同期より1,194戸増加――となり、下半期は供給減少に歯止めがかかるものの、年間供給は3万7,000戸前後になり、2009年以来の3万戸台に減少すると予測している。
久光氏の以下の見解は、このような最近のマンション市場を念頭に置いて読んでいただきたい。
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わたしが一番言いたいのは、郊外が全く売れなくなってきた原因は値段ではないということです。最近つくづく感じるんですが、社会構造の変化なんですね。アベノミクスの核心は、共働きを強烈に推進すること、女性の社会進出を促すこと、退職年齢を引き上げて年寄りにも働いてもらうという政策で生産労働人口を増やすことに尽きます。
ところが、郊外は共働きのための仕事がないし、都心に通勤するには時間がかかるし、子どもを預ける保育所が不足しています。
さらに、郊外は移動に車が欠かせません。市役所に行くのも買い物をするにも子どもの習いごとの送迎もみんな車が必要です。ところが、車を所有するコストは年間で100万円くらいかかります。
この100万円を住宅ローンに換算すると、0.45の変動制だと3,200万円から3,300万円の住宅ローンが借りることができる、マンションの坪単価に置き換えると坪160万円アップしても買える計算になります。
となると、車をやめて、都心の職場に近いマンションを買う動きに拍車がかかってくることになります。郊外なら、通勤の便利さを考えて急行停車駅という選択肢になってきます。このように大きく最近のマンション市場が変わってきました。
2つ目ですが、このような社会構造の変化によって需要層も変わってきたということです。我々の世代は70~75%は専業主婦のいる世帯でしたが、いまは逆です。共働き世代や単身、DINKSが75%です。50歳代、60歳代の買い替え・買い増しも増加しています。
3つ目はシングル層の増加です。わが国の50歳までの未婚率は男性が35%、女性が27%です。一方で離婚率も3組に1組くらいに増加しています。東京圏もあと3年くらいで人口が減少するといわれていますが、独身だけは増える。銀行も3年前くらいから単身向けのローンに力を入れるようになってきました。
このようにマンション市場は働く人が中心になり、働く人は職住近接を最重要視するように激変しました。
では、職住近接の「職」をどこに求めるかということですが、以前は新宿、渋谷、池袋などのターミナルから電車で30分、最寄駅から徒歩で5~8分くらいが主流でしたが、今は東京、大手町、新橋、銀座、日本橋などへダイレクトに通勤できるように志向が西から東へ変わってきています。
新宿も渋谷も池袋も通過点になってしまっています。しかもこのターミナルは混むし、乗り換えに時間がかかる。京王線も小田急新宿線も田園都市線がいい例です。私鉄は沿線開発ばかり考えているから輸送力のキャパシティを超えています。その点、JRも東京メトロも輸送力だけ考えればいい。
それでは、東京などへダイレクトにつながっているのはどこかといえば、実は、城東、城北なんですね。いま、このエリアのマンション、とくに1LDKや2LDKがものすごく売れています。
なぜ人気なのか。それは価格が安いうえに、便利だということです。価格的には、これらのエリアの現在の相場は坪単価220~250万円。仕入れ値が安いから、伸びしろがあるんです。大手もこのエリアへシフトしつつあります。
利便性では、地下鉄が縦横無尽に走っています。東京メトロと都営線を合わせると13本あるんですが、城東、城北を走っていないのは2~3本。意外と近くて便利ということが見直されています。
他方で、城南、城西は価格が上がりすぎです。軒並み坪300万円を突破してきましたし、地位の高い世田谷、杉並などは意外と利便性が悪いんです。
ただ、都心の千代田、港、中央、渋谷の4区は別格です。アッパーミドル・富裕層の実需に加え、約1,7000兆円ある個人資産の運用も期待できます。このエリアは値段があってないようなものです。都心部は堅調に売れるだろうと読んでいます。
物件の特性についていえば、共働き世代は親の援助も受けていますから、親の意向も反映されるのが今の市場です。駅から遠いのと坂道は敬遠したいのは、わたしの下の娘も共働きで、孫が病気になると、わたしの妻が駆けつけざるを得ませんので、親の立場はよくわかります。
わたし自身も真夏の朝、駅まで5分くらいだと汗をかかない、7分くらいだと汗をかくんです。10分を超えると下着を変えたくなるほど汗だくになります。坂道もダメですね。赤坂見附から事務所まで数分ですが、(なだらかな)この坂でも息が切れます。(これは冗談。76歳でも月に40数社を回り、昨年末には趣味のスキューバダイビングで1,000本を達成した久光氏の体力は相当なもの)
共働き世代をサポートする政策が必要だとつくづく感じています。
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久光氏から京王、小田急、西武新宿、田園都市線などの沿線が売れなくなってきたと指摘されると、京王線に長く住み、ライオンズファンでもある記者は反論の一つや二つしたくなるのだが、何しろ久光氏は業界の水戸黄門か大久保彦左衛門のような存在だし、いろいろお世話にもなったので、ここは〝長いものには巻かれろ〟だ。
城東の台東、墨田、江東、江戸川、葛飾、城北の練馬、板橋、北、足立、荒川の10区のマンションに注目するのもいいのかもしれない。
東急不HDグループ 「世田谷中町プロジェクト」で東京都市大と産学連携
「世田谷中町プロジェクト」
東急不動産、東急イーライフデザイン、東急不動産次世代技術センターの東急不動産ホールディングスグループは8月9日、東京都市大学と産学連携により、世田谷区中町5丁目の「世田谷中町プロジェクト」でコミュニティサロンの空間設計・プログラム企画を行っていると発表した。
併設される3階建ての大規模共用施設「コミュニティプラザ」内に「コミュニティサロン」を設置。多世代の交流を促す様々な仕掛けを用意し、「世代循環型」の街づくりを目指す。
「世田谷中町プロジェクト」は、東急田園都市線桜新町駅・用賀駅から徒歩15分、世田谷区中町五丁目に位置する分譲マンション「ブランズシティ世田谷中町」(252戸)とシニア住宅「グランクレール世田谷中町」(251戸)のほか、共用棟「コミュニティプラザ」が併設される大規模複合開発。東京都の「一般住宅を併設したサービス付き高齢者向け住宅整備事業」第一号案件でもある。
全部で1000戸 大激戦の三郷中央 大成有楽不が女性誌とコラボで需要喚起
「オーベルグランディオ三郷中央」完成予想図
大成有楽不動産が8月末に分譲する「オーベルグランディオ三郷中央」のモデルルームを見学した。小学館の人気女性誌3誌「AneCan」「Oggi」「美的」が商品企画段階からプロデュースに参画した物件で、マンションギャラリーはよくできていた。
物件は、つくばエクスプレス三郷中央駅から徒歩10分、三郷市中央5丁目に位置する11階建て全252戸。専有面積は66.84~86.72㎡、予定価格は2,700万円台〜5,500万円台(最多価格帯3,500万円台)。竣工予定は平成30年2月上旬。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。
「きれいにくらす」がメインコンセプトで、小学館人気女性誌3誌「AneCan」「Oggi」「美的」が商品企画段階からプロデュースに参画し、女性消費者目線に立ったきめ細やかな提案を盛り込んでいるのが特徴だ。
同社のオリジナル商品「オレンジ収納」「オレンジキッチン」「オレンジドレッサー」も標準装備されている。
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人気女性誌のことはさっぱりわからないので、そのコラボが成功するのかどうかもよくわからないが、モデルルームの出来はいい。
「オレンジ収納」「オレンジキッチン」「オレンジドレッサー」はユーザーの支持を得るはずだし、引き戸の多用、こもれるスペースを提案した子ども部屋、リビング・ダイニングのサイドに設置した「ビューティラボ」はいかにも女性が提案しそうなものだ。パウダールームもよくできている。
マンションギャラリーのカフェライブラリー、イベントスペース、フリードリンクコーナーなどゆったりレイアウトされており、好感が持てた。
ただ、課題も多い。記者は、三郷・サンケイグラウンドで行われるRBA野球大会の取材をずっと行っており、最寄駅の三郷中央駅は年間にして10回くらい降りる。分譲された主なマンションは全て取材も行っている。
いい街ではあるが、難点は駅周辺の商業施設の集積が進んでいないことだ。同じ沿線では「柏の葉キャンパス」「流山おおたかの森」に大きく後れを取っている。
マンションの分譲価格にもそれは反映されている。「柏の葉」や「おおたかの森」は駅近で坪200万円をはるかに突破しているのに、より都心に近い「三郷中央」は近く分譲されるマンションも含めて200万円以下だ。
だから、それだけ買いやすいマンションが多いということにもなり、デベロッパーもここに狙いを定めている。
同社のマンション以外にも、いま分譲中の名鉄不動産「メイツガーデン三郷中央」(169戸)、京阪電鉄不動産「ファインプラス三郷中央」(75戸)があり、これから分譲される物件も三交不動産「プレイス三郷中央」(104戸)、住友不動産「シティハウス三郷中央」(72戸)、さらに名鉄不動産が予定しているもう2棟327戸を合わせると全部で999戸にもなる。
これだけ一挙に分譲されて果たして大丈夫かという不安もあるが、デベロッパーは創意工夫して売るしかない。巷間に流れている〝郊外が売れない〟を覆してほしい。
「AneCan」がプロデュースしたオープンブックラウンジ(左)とキッズルーム
「Oggi」がプロデュースしたゲストルーム
住友林業 木造耐火構造の4階建て 吾妻橋にモデルハウス
「街角一番展示場」モデルハウス
住友林業は8月8日、木造、墨田区・吾妻橋エリアで木造BF-耐火構造の4 階建て「街角一番展示場」モデルハウス見学会を行った。同エリアは東京都と墨田区が推進する「木密地域不燃化10年プロジェクト」の整備対象エリアに該当しており、展示場は狭小敷地でも木造の防耐火構造の4階建てが可能であることをアピールしていく。
モデルハウスは建蔽率80%、容積率200%の防火・近隣商業地域に立地。建築面積は32.29㎡、延べ床面積117.31㎡。建築費は80万円/坪から。
同社オリジナルの「きづれパネル」を用いることでモルタル施工の合理化・コストを削減し、室内床材も同社オリジナルの「挽き板」を使用することで、木のぬくもりを提案している。
また、断熱・遮音性能の高い「ダブルLow-Eトリプルガラス」または「ダブルLow-E真空トリプルガラス」のサッシを採用している。
モデルハウス
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同社に限ったことではないが、木造建築物の取材でいつも大きな壁にぶち当たるのが防火・耐火基準だ。住林と言えば森林・林業・木の会社だ。素晴らしい木造の住宅が見られるのではないかと期待していたのだが、やはりだめだった。
建築基準法では防火地域にあっては階数が3以上で、又は延べ面積が100㎡を超える建築物は耐火建築物としなければならないとあり、柱、壁、床、梁、屋根、階段などが一定時間内(30分から2時間)に変形、溶融、破壊されないことが求められている。
このため、ほとんどの大規模木造建築物の外観は、主要構造材の壁、柱などは石膏ボードやモルタル、サイディングによって覆われている。見た目には木造であることはほとんどわからない。今回のモデルハウスも同じだ。
現行の規制は地球環境、低炭素社会実現の視点が欠落している。性質が異なる木を鉄やコンクリと同じ土俵の上で競わせる法律が理解できない。「防火・耐火基準」は、わが国の伝統的な木の文化を否定するものといえば言い過ぎか。
防火地域の規制についてはもう一つ言いたい。防火地域の耐火建築物は建蔽率の緩和を受けられるが、それより公開空地を確保し、緑被率を高めた建築物は容積率を緩和するほうが望ましい。
同社オリジナルの「挽き板」はなかなかいい。木材を薄くスライスして合板に張り付けた突板ではなく、鋸(のこ)刃で切り出した厚みのある板であるため、無垢材のような質感がある。欲を言えば、ドアや建具にもこれを採用してほしかった。
手前から外壁の鉄網+軽量モルタル、防水シート、きづれパネル、石膏ボード
角住戸多くデザインが美しい 明和地所「クリオ杉並高井戸」
「クリオ杉並高井戸」完成予想図
明和地所が分譲を開始した「クリオ杉並高井戸」を見学した。全26戸の小規模マンションだが、同社のデザインに進化のあとがうかがえ、なかなかの好物件だ。
物件は、京王井の頭線高井戸駅から徒歩8分、杉並区高井戸東3丁目に位置する7階建て全26戸。第1期(6戸)の専有面積は47.21~~74.45㎡、価格は4,449.8万~6,706.4万円、坪単価は305万円。竣工予定は平成29年9月下旬。設計はアーキプラン。施工は南海辰村建設。
現地は近隣商業立地で2面接道。建物はモノトーンを基調にアースカラーのタイル、乳白色のガラス手すりを採用したお洒落な外観が特徴。エントランスホールにはアーティスト吉津信一氏による波紋をモチーフにしたアートが設置される。
住戸は1フロア2~5戸。内廊下方式を採用した南東、南西向き。26戸のうち18戸が角住戸で、2重床・2重天井、食洗機、ミストサウナが標準装備。キッチン天板はフィオレストーンかステンレスで、スクエアシンクを採用。好みに合わせて設備仕様が選べる同社の新しいセレクトシステム「conomi(コノミ)」も採用されている。
エントランスホール
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同社に限ったことではないが、大手デベロッパーの市場寡占率がどんどん高まっている現在、駅に近い大規模用地などの取得合戦で中堅デベロッパーはまず勝てない。大手と互角に戦うためにはトータルな商品企画で差別化する以外に道はない。一言でいえば、いかに〝素敵〟をたくさん盛り込むかだ。
マンション分譲単価は準都心部でも坪300万円を軒並み突破してきた。ユーザーは当然、価格に見合う質の高いものを期待する。地価や建築費をそのまま価格にオンして売れる市場ではない。
その点、このマンションのデザイン、その他の商品企画は水準以上だと思う。モノトーンを基調にした外観デザインが美しい。
モデルルームのデザインもいい。ステンレスの天板もすっきりしていて美しいのだが、リビングに面したカウンタートップ下と側板にはオプションだが天然石調のタイルが使用されていた。
窓ガラスには旭硝子の防音効果と高遮熱効果を併せ持つ複層ガラス「マイミュート」が採用されているようだ。これはガラスに額縁のようなデザインが施されており美しい。
販売担当者によると、モデルルームは女性の評価が高いそうだが、それは〝素敵〟をたくさん盛り込んだためではないかと思う。
リビングダイニング
商・公・住の複合再開発 野村不動産「プラウドタワー立川」が竣工
「プラウドタワー立川」
野村不動産は8月4日、JR中央線立川駅前の複合再開発プロジェクト「プラウドタワー立川」が竣工したのに伴い記者見学会を行った。
同プロジェクトは、平成7年の地権者有志による勉強会立ち上げから約21年の歳月を経て完成したもの。住宅、公共施設、商業施設のほか、立川駅西側新自由通路と立川駅北改札口(新設)直結の広場も整備される施行面積約6,800㎡、延べ床面積約58,000㎡の複合再開発事業。
施設は駅とペデストリアンデッキで直結され、3階から7階までは「ヤマダ電機」出店するほか、様々な店舗が出店される。
住宅は9階から32階で総戸数319戸。設計は松田平田設計・清水建設、施工は清水建設。平成26年に分譲され、坪単価が342万円という当時としては相当の高値であることから話題を呼んだが、圧倒的な人気で早期完売した。
公共・公益施設は1階に行政窓口が設置される。
24時間利用可能の2層のラウンジ・ライブラリー
4日行われたタウンネーミング「立川タクロス」の街びらきイベント
野村不動産「プラウドタワー立川」は坪単価342万円 早期完売必至(2004/7/10)
旭化成ホームズ 「共働き夫婦二人」向け賃貸「ヘーベルメゾンfufu(フフ)」発売
旭化成ホームズは8月6日、同社の賃貸住宅「ヘーベルメゾン」の入居者に多い「共働き夫婦二人」の賃貸ニーズを反映した新商品「ヘーベルメゾンfufu(フフ)」を全国で発売する。
今回強化するのは、「ヘーベルメゾン」の約7割を占める1LDK・2LDKの住空間。同社の「共働き家族研究所」による調査結果を踏まえ、「同じ空間にいながらも夫婦それぞれの居場所をつくるデスクとソファの位置関係」や、妻だけではなくそれぞれが衣類を個別管理できる「夫婦別々のクローゼット」などを提案している。
同社の「へーベルメゾン」は6年連続して10%超の伸びを見せており、2015年度は売上高1,024億円で、竣工戸数は9,000戸を突破した。2005年は1R~1DKの比率が80%を占めていたのが、2016年は30%を割り込み、その逆に10%強だった1LDK~2DKは50%近くに伸びている。
「fufu」の投入により、賃貸市場での差別化を図る。年間販売目標は100棟。
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同社が示したプロトタイプは約46㎡(14.1坪)。大きなソファが置けるリビングにし、デスクコーナー、夫婦それぞれのウォークインクローゼットの設置、キッチンファニチャー、室内物干し、シューズクロークなどを提案しており、限られたスペースを有効に使えるようにしているのがいい。
納得はしたのだが、記者は関係者の説明を聞きながらまったく別のことも考えていた。貧しい賃貸マーケットに暗澹たる気持ちになると同時に、健気に生きる賃貸居住者に声援を送りたくなったのだ。
夫婦二人が居住する面積として46㎡が適当かどうかの判断基準は持ち合わせていないが、決して十分でないはずだ。
それというのも、同社が2日前に行った別の記者発表会で示された「二世帯」タイプは181.39㎡(54.8坪)、「近居」タイプは119.99㎡(36.2坪)、「遠居」タイプは121.24㎡(36.6坪)だった。
戸建てと賃貸住宅、子どもがいるかいないか、コンセプトもターゲットも違いがあるとはいえ、「共働き夫婦」というのは同じだ。なのにどうしてこんなにも居住面積に差があるのか。「賃貸」は仮の住まいで、いずれは分譲マンションや一戸建ての取得が可能になるのならそれはそれでいい。
しかし、このところの地価やマンションの価格上昇で、一般的な第一次取得層の取得環境は極めて厳しい。都心部や準都心部では絶望的になっている。
同社が発表会で例示した「fufu」第一弾の賃貸マンションと、最近同駅圏で分譲されたマンションを比較してみよう。
「fufu」第一弾は、根岸線石川町駅から徒歩12分家賃は10.7万円だ。一方、あるデベロッパーが同駅から徒歩7分の元町の一等地で分譲し、ほぼ即日完売したマンションの坪単価は330万円だ。46㎡だと価格は4,600万円だ。
同じように都内23区などでは軒並み分譲マンションの坪単価は300万円を超えてきており、これを利回り5%で賃料設定すれば46㎡で家賃は約17万円にもなる。世帯年収が500万円くらいではとても住めない。
例えは適当でないかもしれないが、仮設住宅並みの30㎡でも家賃は10万円になる。暗澹たる気持ちになったのはこのためだ。
少子化が加速化するいま、そろそろ利回り最優先の賃貸経営の考えを改めるべきだろうし、〝持ち家偏重政策〟も根本的に問い直す時期に来ているように思う。
このように賃貸マーケットは極めて貧しいが、同社が行った調査結果は、実に健気な夫婦像を浮き彫りにした。
同社が1都3県、大阪市、名古屋市の賃貸住宅に暮らす20~49歳の男女1,293名を対象にインターネット調査したところ、二人の休日が合わないのは、実に54%に上った。二人の平日の朝食時間が別々であるのは52%にも達している。就寝時間は「同じくらい」が52%だ(専業主婦は32%だが、これは惰眠をむさぼるのではなく子どもと一緒に寝るということだと理解したい)。
しかし、それでも夫の帰りを待って一緒に食事をする妻は64%(専業主婦は37%)もあり、二人の意識は「夫婦だけで過ごす時間を大切にしている」のは91%、「配偶者は自分にとって心の支えと思っている」のは91%、「友達のような対等な夫婦がいいと思っている」のは87%に達している。実に健気な夫婦像が浮かび上がってくる(とはいえ、「お互い収入(財布)は各自で管理している」というのが54%もあるのは全く解せない。普通の家庭は妻が財布を握っているのではないか)。
ともあれ、前回と今回の発表会は、ワークライフバランスや親子、夫婦関係を考える機会を与えてくれた。「共働き家族研究所」と「二世帯住宅研究所」にはこれからも居住者、生活者の視点で情報を発信することを期待したい。
旭化成ホームズ 二世帯ノウハウ生かし新たな「近居」「遠居」プラン提案(2016/8/2)
相互住宅 玉川上水旧水路緑道に面したレベル高い「ザ・グランツ代々木参宮橋」
「ザ・グランツ代々木参宮橋」完成予想図
相互住宅が分譲中の「ザ・グランツ代々木参宮橋」を見学した。渋谷区の玉川上水旧水路緑道に面した希少立地にふさわしい、グレードの高いマンションだ。
物件は、京王新線初台駅から徒歩5分、または小田急小田原線参宮橋駅から徒歩9分、渋谷区代々木4丁目に位置する地上5階地下1階建て全26戸。現在分譲中の住戸の専有面積は46.49~82.36㎡、価格は5,590万~10,590万円。竣工予定は平成29年2月下旬。設計・施工は新日本建設。販売代理は野村不動産アーバンネット。デザイン監修は建築家・吉井信幸氏。インテリアコーディネイトは三井デザインテック・黒須理枝氏。
現地は、京王新線の初台-幡ヶ谷-笹塚間の表通りから一歩入った住宅街に沿って、ケヤキやサクラの大木のほか四季折々の草花などが植えられている渋谷区立玉川上水旧水路緑道に隣接。
建物はL字型で、南東向きが3LDK、緑道に面した北西向きがコンパクトタイプ。敷地南東側にサルスベリ、坪庭に孟宗竹を配し、建物の基壇部には御影石の門構え、エントランスには漆和紙を挟み込んだ光壁を採用。
住戸は内廊下方式を採用。廊下側には窓を設けず、住戸間の隔壁はパネルでなくコンクリート壁にするなど独立性の高い仕様になっており、専有部は御影石、大理石、突板を多用しているのが特徴。
モデルルーム
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相互住宅と言えば「広尾ガーデンヒルズ」の売主の1社で、戸建てではレベルの高い「八王子・城山手」などを供給している第一生命住宅㈱として設立されたデベロッパーだ。
このマンションは、規模は小さいがきらりと光るいかにも同社の物件らしいハイグレードマンションだ。デザイン監修に吉井氏、インテリアコーディネイトに黒須氏を起用していることにそれは表れている。
玉川上水旧水路緑道の総延長は約2600m。端から端までゆっくり歩いて約1時間。絶好の散歩コースだ。
エントランスホール