前途多難 佐倉市・千成に見る郊外団地の現状と課題
「千成ニュータウン」の街並み
皆さんは「千葉県佐倉市」から何を連想されるだろうか。野球好きの記者はすぐ「長嶋茂雄さんの出身地」と反応するのだが、不動産業界では、昭和40年代の高度成長期から60年代にかけて、大量の建売住宅やマンションなどが分譲された東京のベッドタウンとして知られる。最盛期には7,000万円から8,000万円の建売住宅が飛ぶように売れた。
しかし、開発が早かったための課題・難題がここにきて重くのしかかってきている。建物の老朽化、居住者の高齢化、世帯分離による子世代の転出・人口減少などだ。
これらの問題が集中的に表れている市内の「千成ニュータウン」を見て回った。
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京成佐倉駅からなだらかな坂道を上って十数分。長嶋さんが通った佐倉高校の隣に「千成ニュータウン」はある。新宿に本社を構えていた成田屋工務店が昭和40年代初期に開発した総戸数が1,119戸もある大規模な一戸建ての団地だ。
「千成」の名前は、千葉市と成田市の間にあることから名付けられたと多くの人は思っているようだが、そうではない。記者は豊臣秀吉の馬印「千成瓢箪」にちなんで名づけたと当時の同社関係者から聞いていた。第2、第3の「千成」を同社は計画していた。しかし、その遠大な計画はとん挫する。過大な投資が負担となり、同社は昭和60年代の初期に破たんした。バブル崩壊の予兆でもあった。
千成東小学校の近く
地価公示の4分の1でも売れない高台の土地
全ての住宅地を見て回ったわけではないが、なにしろ都市計画法ができる前だ。道路幅は5メートルくらいあったが、隅切りはなく、新しいガス管に替えたためか、黒いアスファルトの跡が生々しい。
開発当初の平屋建てなどがそのまま残っている住宅の割合は1、2割程度しかない。多くは建て替えられたりリフォームされたりした住宅だ。もちろん地区計画や建築協定などなかった時代だ。外観もまちまちで、古い住宅と新しい住宅が混在している風景は異形の街と言えなくもない。
空き家はどれくらいあるか判然としなかったが、見かけ上は10軒に1軒あるかどうかだった。建て替え工事中の建物もいくつか見た。かつては商店だったものはほとんど閉店していた。街の中心部に蕎麦屋があるくらいだ。街ゆく人はほとんど見かけなかった。
いったい、いくらくらいで住宅や土地が取り引きされているのか。平成27年度の公示地価によると、千成2丁目の住宅地の坪単価は約14万円だ。住宅・土地の売り情報もおおむねその前後となっている。
ところが、地元のトクスイ不動産が扱っている千成1丁目の80坪の土地の売り出し価格は290万円、坪単価にして約3.6万円になっている。公示地価の4分の1の価格だ。
なぜそんなに安いのか。「この土地は敷地延長部分に階段が30段以上あるのがネックとなり、なかなか売れません。地域の活性化や空き家の解消は難しい問題です。私は佐倉が地元で39歳ですが、私が小学生の頃の千成の小学校は1クラス3~4組ありましたが、確か今は1組のはずです」と同社の担当者は話した。階段1段当たりのステップを仮に18センチとすると5メートル以上だ。
千成ニュータウンは山あり谷ありの起伏の激しい住宅地であるのも特徴の一つだ。団地内は比高差にして20メートルくらいはあるのではないか。
「77歳の夫は世田谷まで通っています」
居住者の女性に話を聞いた。
「主人は77歳、私は74歳。成田屋さんから土地を買ったのは昭和54年。50坪で1,250万円(坪単価25万円)。成田屋さんは家も建てさせてくれといったのですが、大手のハウスメーカーに建ててもらったんです。お父さんはサラリーマンですが、元気でまだ働いています。世田谷まで毎日2時間かけて通勤しています。『俺は85歳まで元気で働く』と言っています。
街の将来? そうですね、みんな歳をとってきて、お年寄りが亡くなるとそのまま空き家になってきています。昔はスーパーもあったんですがね…。
私も娘が二人いるんですが、『おいでよ』と言われているので、一人になったら引っ越すか老人ホームに行くか考えています。家は近く1,000万円かけてリフォームします」
Aさんが40歳の時、昭和54年に買った土地は坪25万円。いまの地価公示はその半値だ。土地が値下がりすることなど、Aさんは夢にも思わなかったはずだ。
若い人は信じられないだろうが、昭和40年代から60年代の土地神話が生きていたころは、一般のサラリーマンが土地付きの一戸建てを取得できたのは、千成ニュータウンのような都心から1時間、2時間かかるところしかなかった。
佐倉市役所
千成ニュータウン 高齢者人口比率は推定40%超
市のデータによると、総人口はピーク時の平成23年の約17.8万人から漸減しており、27年12月末現在17.7万人。ほとんど横ばいだが、23年のデータでは外国人をカウントしておらず、27年には外国人(2,407人)を含めているのでこのような結果となっている。平成42年には約15万人に減少すると予測されている。空き家は平成13年の2,380戸から20年に8,230戸へと約3.5倍に増加している。
千成ニュータウンの数値は深刻だ。千成1~3丁目の世帯数は平成13年の1,092世帯から27年12月の1,047世帯へと4.1%、人口は3,155人から2,425人へと23.1%、1世帯当たり人口は13年の約2.9人から約2.3人へとそれぞれ減少。
高齢者人口比率は平成13年の14.0%から22年には31.3%へと大幅に増え、27年は推定だが間違いなく40%を突破しているはずだ。幼年人口比率は13年の11.1%から22年には8.8%と10%を割り込んでいる。
大きな特徴は、平成13年の時点で約250人いた25~29歳の層は22年(35~39歳)には約180人へと3割近く減少していることだ。結婚、転出などによって街を離れる人が多いことを物語っている。
市は、人口減少に歯止めをかけるとともに、住みよい環境を確保して将来にわたって活力ある社会を維持していくため昨年10月、将来ビジョンを描いた「佐倉市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定した。
企業誘致の推進、雇用拡大・就業支援、若者世帯等の親との近居・同居の住み替え支援、中古住宅リフォーム支援事業、空き家等を活用した移住者支援などを打ち出し、3団地を団地再生モデル事業として掲げている。
また、空き家法の施行を受けて、空き家対策計画の策定、協議会設置、情報収集などを進めていくが、空き家の除却などに対する補助は行わない方針だ。団地再生モデルについても具体的な対象団地は決まっていない。
市のホームページによると、市にゆかりのある人物として明治の洋画家・浅井忠や津田塾大学の前身、女子英学塾を開いた津田梅子が紹介されていた。
市役所のエントランスにはモンキー・パンチさんも紹介されていたが、長嶋茂雄さんはなかった。長嶋さんを前面に打ち出せば効果的だろうと記者は思うが、長嶋さんは田園調布の人か。
市役所の市紹介コーナー(背番号3は長嶋さんのユニフォームではなかった。モンキー・パンチさんを紹介するものだった。その上の背番号10はサッカーの本田選手を紹介するものだった。佐倉市にサッカースクールがあるようだ)
分譲マンション初 赤坂御用地に隣接 住友不「ガーデンヒルズ四ツ谷 迎賓の森」
「ガーデンヒルズ四ツ谷 迎賓の森」完成予想図
住友不動産が分譲中の「ガーデンヒルズ四ツ谷 迎賓の森」を見学した。業界初の赤坂御用地隣接マンションだ。
物件は、JR中央線四ツ谷駅から徒歩10分、信濃町駅から徒歩9分、新宿区南元町の第一種住居地域・第二種住居地域に位置する7階・地下2階建て全139戸。専有面積は55.84~154.87㎡。2期(戸数未定)の価格は未定。坪単価はA棟、B棟が600万円以上となり、未供給のC棟はそれを下回りそうだ。竣工予定は平成28年10月中旬。設計・施工は西松建設。
現地は、四ツ谷駅と信濃町駅のほぼ中間。四ツ谷駅からだと、左手に若葉東公園、迎賓館正門を見つつ、右手の学習院初等科-みなみもと町公園を抜けたT字路の角。対面には東宮御所正門警備派出所がある。
建物は、御用地の森に面したA棟、みなみもと町公園に面したB棟、北西向きのC棟の3棟構成で、A棟は前面道路の形状にそうような緩やかなカーブを描く雁行設計。総戸数の半数以上はA棟が占める。
モデルルームはA棟の81㎡。バルコニーの奥行きは約3m。御用地の森が眺められる(東宮御所そのものは見えない配慮もされている)。隣戸との壁はコンクリート壁でほぼ完ぺきにプライバシーが保たれるようになっている。設備仕様は同社の他の〝ガーデンヒルズ〟と同様、最高級仕様。
昨年12月に第1期34戸が分譲され、A棟の3階前後が人気になっているという。最上階の5戸はプレミアム仕様で、スカイルーフテラス付き。
鳥の目線からしたら間違いなくこのように見える
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すごいマンションだ。皇居が見渡せる三菱地所レジデンスの「千鳥ヶ淵」もすごかったが、こちらはほぼ正面に東宮御所の正門があり、こんもりとした御用地の森が眼前に広がる。よくぞ建ったと思った。従前は公立学校の共済組合の建物だったそうだ。
通りの安鎮坂には街路樹のユリノキ、トチノキなどの巨木がそびえる。車も人通りも少なく、信じられないほど静か。
「千鳥ヶ淵」では〝唯一無二〟の見出しを付けたが、赤坂御用地に面した分譲マンションもおそらく初だ。青山通り沿いにはひょっとしたらマンションはあるかもしれないが、御用地は北側だ。御用地を東側に見る外苑東通り、西側に見る外堀通りにはマンションはない。
この立地条件に驚き、記者の相場観は壊れた磁石のように右に左に振れた。普通なら坪500万円だろうが、そんな価格では失礼だとも思った。A棟の81㎡のタイプで約14,000万円(坪600万円)と聞いて納得もした。最上階は坪1,000万円くらいになるのではないか。
現地周辺のマンションの供給事例では、2011年分譲の大京のマンションがある。これもレベルは高かった。
参考までに同社のパンフレットから「ロイヤルグリーンベルト」を紹介する。迎賓館が11ha、赤坂御用地が50ha、神宮外苑が27ha。これに隣接・近接する公園や明治記念館も含めれば、広さが約115haの皇居に匹敵する。
7階相当からの眺望
圧倒的人気呼ぶか 大京「ライオンズ外苑の杜」(2011/7/11)
三井リアルティ 業界初の新たな仲介スタイル「三井のリハウス360°サポート」
三井不動産リアルティは1月19日、既存住宅流通事業「三井のリハウス」の顧客を対象に、新たな仲介スタイル「三井のリハウス360°サポート」の提供をすると発表。
築30年以内の一戸建てやマンションの雨漏り、シロアリ被害、給排水管の故障など瑕疵について調査・報告し、引き渡し後2年間に判明した瑕疵について最大250万円を同社が負担する「建物チェック&サポート サービス」を実施する。
また、住宅設備の不具合について調査し、引渡後に設備の不具合が発生した場合に、修理・交換費用を同社が負担する「設備チェック&サポート サービス」や、売主と買主の担当を分けてほしいという要望には「My エージェント制」なども行う。
他社が取り扱う物件でも、同社を通じて購入する買主には建物、設備の調査の実施と補修サービスの提供を標準業務として行っていく。
これらのサービスを「専属専任媒介」「専任媒介」に限定せず、「一般媒介」にも適用するのは業界初と見られ、同社は「物件収集・販促の手段として限定的に行うのではなく、広く一般仲介にも適用し、サービスを提供することが既存住宅流通マーケットの活性化へ寄与できる」としている。
空き家対策 喫緊の課題ではあるが難問も山積
ある首都圏の郊外団地
空き家対策が喫緊の課題となっている。国土交通省は来年度の重点施策の一つとして、「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空き家法)に基づく地方自治体や民間が取り組む空き家対策を支援する空き家対策総合支援事業費として20億円の予算を計上する。
現在、全国で820万戸(総務省データ)あるといわれる空き家は、野村総研のシナリオによれば、何も対策を講じなければ、2023年には総住宅数約6,640万戸のうち空き家数は約1,397万戸、空き家率は21.0%にまで増加する。そうならないための施策が空き家法だ。
空き家法は、「雑草・悪臭など衛生環境悪化」「景観の悪化」「不法侵入などによる治安の悪化」「生命・身体への被害のおそれ」などを回避するため、緊急避難的に「特定空家」に指定し除却、修繕、立ち木などの伐採を行い、環境の保全を図るとともに、空き家の活用に結び付けようという法律だ。
しかし、国や自治体、あるいは民間がどれだけ躍起になって空き家対策に力を入れようと、人口減少・世帯数減少、世帯の高齢化、地域経済・地域コミュニティの崩壊など現在進行形の厳しい環境を考えると、悲観的な考えにならざるを得ない。
確かに緊急避難策として「特定空家」の指定は、予防策・抑止力として一定の効果を上げるかもしれない。「空き家バンク」制度の拡充も一つの処方箋ではある。
とはいえ、①倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態②著しく衛生上有害となる恐れのある状態③適切な管理が行われていないことにより、著しく景観を損なっている状態④その他周辺の生活環境の保全を図るために、放置することが不適切である状態-をどのように特定するのかの課題は残る。代執行も容易ではないと思う。除却費用の一部を自治体が補助するのも、税の公平性からいって住民の支持を得るのは難しい。
各種の調査でも明らかになっているように、そもそも空き家が多く発生しているのは中心市街地では木密地域の狭小住宅であり、郊外部では通勤・通学に不便な立地や、生活利便施設に乏しい地域だ。狭小住宅では、接道義務違反の再建築不可の物件も相当数あるはずだ。
仮に空き家を除却して更地にしても、固定資産税が最大で6倍になる可能性がある。これは空き家の解消、流通促進の本来の目的とは逆に作用しかねない。
さらに言えば、相続放棄・遺棄の問題だ。空き家のままで放置している住宅のうち除却しなければならないほど深刻な状態になっているのは、所有者や相続人に除却費用や固定資産税などの負担が重荷になっている人が少なくないからだ。
相続を放棄したからといって管理責任はまぬかれないが、管理義務を遺棄したらどうなるのか。空き家法では市町村長の命令に違反した場合は50万円の、立ち入り検査を拒んだ者には20万円のそれぞれ「過料」が科せられるが、「特定空家」のもたらす弊害と天秤にかけた場合、罰則は軽すぎないか。
空き家問題の解決を阻む問題はまだある。空き家に残る家財道具・遺品の整理がつかないという問題だ。家財道具、骨とう品、書籍、車…これらの処理をワンストップで行う仕組み・ビジネスモデルが待たれる。遺品整理ビジネスは、空き家の処分・流通を含めれば100兆円、200兆円規模に上るのではないか。
もう一つ気掛かりというか、これが一番大切だと考えているのだが、空き家法は「特定空家」などを除却することに力点が置かれていて、表層だけを取り繕うとしているようにしか見えない。空き家を生じさせないビジョンが著しく欠けているのではないかということだ。
空き家が発生してもすぐに次の住まい手が現れるような、誰もが移り住みたくなるような街づくりを描くのが先決だ。街の再生・活性化の羅針盤ともいうべきタウンマネジメントの活用は必須要件だ。用途変更によるインセンティブ、あるいは逆に私権の制限も必要かもしれない。
また、危機に瀕している地域コミュニティをどう再生するか、その旗振り役ともいうべき人材の育成が欠かせない。
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「田舎暮らし」をバラ色に描き、喧伝する不動産業者とちょうちん持ちのマスコミがあるが、「都会の憂鬱」があるように「田園の憂鬱」もある。都会でまっとうな生活ができない団塊世代の落伍者が、都会より厳しい自然環境、人間関係が待ち構える田舎で再生できるとは思えない。
田舎に移り住もうと考えている人は、もう一度立ち止まってよく考えてほしい。「田舎暮らし」を推奨する人たちには、田舎に移住して3年持たずにまた都会へ舞い戻る人がどれくらいいるかのデータも示してほしい。
オープンハウス 「代々木」に続き「銀座2丁目」「虎ノ門」「青山1丁目」など予定
「オープンレジデンシア代々木ザ ハウス」完成予想図
オープンハウス・ディベロップメントが分譲中の「オープンレジデンシア代々木ザ ハウス」を見学した。物件名に〝ザ ハウス〟が付いているのは昨年分譲して人気になった「恵比寿」に続き2物件目。昨年11月から分譲を開始して、これまで13戸が契約済み。順調に売れている。
物件は、小田急線参宮橋駅から徒歩5分、渋谷区代々木5丁目の第2種低層住居専用地域に位置する地上4階地下1階建て全30戸。専有面積は44.45~118.33㎡。坪単価は400万円。竣工予定は平成28年9月上旬。設計・監理は長谷建築設計事務所。施工はナカノフドー建設。
現地は、道路、小田急線を挟んで対面には国立オリンピック記念青少年総合センター・代々木公園が近接している立地。建物は地階住戸が8戸あるが、100㎡以上の億ションも含めまんべんなく売れている。
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同社の高額マンションを観るのは今回が2回目だ。最初は一昨年分譲された光井純氏がデザイン監修した「オープンレジデンシア南青山」だった。地型が不整形でどうかと思ったが、瞬く間に売れた。
今回は、単価は割安感があるが、高さ規制が12mのエリアで地階住戸もあるのでどうかと思ったが、よく売れている。
モデルルームは「南青山」と同じモデルルームなので、設備仕様などについては「南青山」の記事を参照していただきたい。二重床・二重天井、シーザーストーンのキッチン天板、グローエの水栓、食洗機、ユーティリティシンク、バックカウンター、ミストサウナ、木製建具などが標準装備で総じてレベルは高い。
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同社のマンションは、低層メゾネットの〝オープンレジデンス〟のときから結構見学しているが、最近は地価高と建築費の上昇などからほとんど供給されていない。
その一方で、同社はDINKS・ファミリー向けの〝オープン レジデンシア〟にシフトしており、これまで供給された約80物件のうち半数くらいは〝レジデンシア〟だ。これからも都心部では「銀座2丁目」「虎ノ門」「青山1丁目」「小石川」などが予定されている。
戸建てもそうだが、マンションの売れ行きも好調なことから業績アップに貢献。オープンハウスの前9月期決算は売上高1,793億円(前年同期比:59.9%増)、営業利益213億円(同55.0%増)、当期純利益126億円(同62.8%増)と3期連続して過去最高を更新した。まだまだ快進撃が続きそうだ。
光井純氏デザイン監修 オープンハウス「南青山」 上々スタート(2014/10/20)
安田不動産「レフィール参宮橋ヒルズ」 立地よく割安の単価415万円(2014/12/11)
三井レジ 埼玉で珍しい都市型戸建て「浦和美園」人気 施工はポラテック
「ファインコート浦和美園」
三井不動産レジデンシャルが2月上旬に抽選分譲する都市型戸建て「ファインコート浦和美園」を見学した。同社が埼玉県で都市型戸建てを分譲するのは珍しいが、設計・施工は埼玉県下では圧倒的な強さを発揮しているポスグループのポラテックというのがみそだ。モデルハウスをオープンしたばかりだが、全戸が抽選になる可能性もあるほど人気を呼んでいる。
物件は、南北線直通、埼玉高速鉄道浦和美園駅から徒歩6分、さいたま市緑区大字大門宮下に位置する建ぺい率60%、容積率200%の地域に位置する全12戸(うち4戸は分譲済み、今回分譲は8戸)。土地面積は138.96~176.67㎡、建物面積は100.01~103.62㎡、予定価格は4,380万~5,750万円。設計・施工はポラテック。構造は軸組工法2階建て。入居予定は平成28年3月中旬。
1月9日からモデルハウスを公開しており、先週の3連休で30件以上の来場があり、今週末も見学予約がすべて入っているという。
物件の特徴は、埼玉県、さいたま市、UR都市機構が進めている大規模な土地区画整理事業地内にあり、駅から6分と近く、隣接して約14,000㎡もの公園が整備中であること、徒歩6分に170店舗が入居する「イオンモール浦和美園」があることなど。
住宅は土地面積が大きく、淡いベージュ地に木目調のサイディング外壁材を張ることでシャープな印象を与える外観が特徴。隣り合う住戸間にはフェンスを設けずオープンにしているのも目を引く。住戸プランは食洗機、ミストサウナ、エネファームが標準装備。200%の容積率を利用して各住戸に2~3畳大の納戸を設置しているのも好評のようだ。
敷地境界にフェンスがないのがよくわかる
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この戸建てを見学しようと思ったのは、昨年末、同社の「三鷹」「つつじヶ丘」「国立」の都市型戸建てを見学した際、同社地域開発事業部営業室兼開発室室長・池田篤彦氏から「浦和美園でもポラテック施工で分譲する」と聞いていたからだ。
同社の〝ファインコート〟シリーズは第1号から21年が経過するが、埼玉県下での供給は「ファインコートららシティ新三郷」くらいしか記者はしらない。
「浦和美園」をきっかけに埼玉県でも供給を増やす意向かどうかはわからないが、ポラテックと組んだのは注目に値する。
パンフレットにも「設立45年・累計売上棟数53,002棟、浦和レッズ公式スポンサーのポラスグループ」の見出し付きでポラテックを紹介している。同社がマンションも含めて施工会社を紹介するのは極めて珍しい。戸建てで三井ホームが施工してもパンフレットにわざわざ書くことなどないかもしれない(もっとも三井ホームを紹介する必要はないか)。
さらに、効果があるのかどうかわからないが、コーナーウォールや門柱などに浦和レッズのチームカラーである「赤」をアクセントに用いている。「リハウスレッド」ではなかった。
余計なことだが、浦和レッズの公式名が「浦和レッドダイヤモンズ」というのはネットで調べて初めて知った。野球の「ジャイアンツ」も「読売巨人軍」が公式名であるのと同じなのか。
シャープなデザイン
浦和美園駅前(タバコが吸える喫茶店は駅からイオンモールまで歩いて、さらに店が広いから都合10分もかけなければならない。これは何とかすべき)
「ファインコートつつじヶ丘シエルガーデン」 記者も惚れ込んだデザイン(2015/11/9)
住宅地、中古マンションとも緩やかな上昇続く 野村アーバン調査
野村不動産アーバンネットは1月14日、2016年1月1日時点の「住宅地価格動向」「中古マンション価格動向」の調査結果を発表。2015年10~12月期の首都圏の「住宅地価格」・「中古マンション価格」ともに平均変動率は2013年7月調査以降、連続してプラスとなった。
「住宅地価格」の価格変動率は首都圏エリア平均で0.5%(前回:0.3%)、エリア別の平均変動率は全エリアでプラスを維持した。
「中古マンション価格」の価格変動率は、首都圏エリア平均で0.5%(前回:0.6%)、全エリアでプラスを維持した。
2015年1月~2015年12月年間ベースでは、首都圏の「住宅地価格」・「中古マンション価格」ともに平均変動率は2014年1月調査以降、連続してプラスとなった。
東急リバブル 「ル ジェンテ碑文谷」はDINKS・ファミリー向け
「ル ジェンテ碑文谷」
昨日の「ル ジェンテ千代田神保町」に続き東急リバブルが近く分譲する「ル ジェンテ碑文谷」を紹介する。
物件は、東急目黒線西小山駅から徒歩15分(JR山手線目黒駅バス12分・バス停徒歩4分)、目黒区碑文谷1丁目に位置する6階建て23戸。専有面積は55.06~72.07㎡、予定価格は4,800万円台~7,200万円台、坪単価は320万円。建物は2015年12月に竣工済み。施工は高松建設。販売開始は2月13日。
最大の特徴は、これまでの「ル ジェンテ」シリーズは駅近のコンパクトマンションがほとんどだったのに対して、今回はDINKS・ファミリー向けであること。最寄り駅の西小山駅や学芸大学駅(徒歩17分)からはやや距離があるが、3~4分間隔で利用できるバスだと目黒駅まで20分もかからない。
建物は全23戸のうち15戸が角住戸で、二重床・二重天井、可変性のある引き戸を多用しているほか、ミストサウナ、換気機能付き玄関ドア、浄水システム「良水工房」、食洗機を標準装備。キッチン天板は御影石。
販売担当者は、「坪320万円という圧倒的安さと、目黒駅まで2.5キロという近さをアピールして早期完売したい」と話している。
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「千代田神保町」は交通便がよく、価格もリーズナブルなので、記者も「売れる」と判断したが、「碑文谷」は「目黒駅圏」のマンションであることをどれだけアピールできるかに成否がかかっていると思った。
単価もぴったりだ。数年前なら坪単価300万円でも厳しいと思っていたが、最近の周辺の駅近物件は坪400万円を突破してきている。目黒区アドレスでこの価格は訴求力がある。
見学後、記者もバスを利用したが、現地近くのバス停で待つこと2~3分でバスは到着し、目黒駅まで10数分、全くと言っていいほど渋滞はなかった。
これまで目黒通りに面したマンションをかなり取材してきたが、最寄り駅の東急線より「目黒駅圏」を前面に出した物件は総じて売れ行きがよかった。
キッチン
ポラス サステナブル建築物等先導事業の構造見学会
建築中の「ポラス建築技術訓練校」実習棟の内部
ポラスグループは1月14日、国交省「平成27年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択された「ポラス建築技術訓練校」の構造見学会を報道陣向けに行った。
「先導事業」は、再生可能な資源である木材を大量に使用する木造建築物の技術向上に資するとともに普及啓発を図ることを目的とした補助事業。
同社の訓練校は一般に流通する安価な集成材を合せ柱・合せ梁・重ね梁として複数本集束させることで強度を高める技術を開発したのが特徴。「実例モデル」として公開することで木造非住宅の受注と同工法の普及促進を図る狙いがある。
建設地は埼玉県越谷市レイクタウン六丁目。建物は木造軸組工法3階建て準耐火構造。延べ床面積約1,396㎡(実習棟約549㎡、事務所棟約846㎡)。竣工予定は平成28年3月。
「合せ柱」の据え付け(1辺315ミリ)
美しい実習棟の天井(完成時にはボードで覆い隠されるのか)
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見学会では同社の担当者数人が建物の概要、構造設計、構造部材、耐火性能、施工状況などについて説明した。例えば、「合せ柱」は105×105の集成材を9本集束したものだが、防耐火性能を満たすためには各集成材ごとに燃えしろを確保しなければならず、構造計算上難しいことから、燃焼実験を経て問題がないことを確認して設計しているという-こんなことを書いても書いている本人が理解できないので、これ以上書かない。
大変な苦労があったということだろうが、それでも実習棟は縦30m×横12m×高さ6mの大空間がすべて木造でできているのはよくわかった。梁などは欧州マツだが、柱は国産のカラマツを使用したという。完成後も木造建築物であることを知ってもらうために、道路沿いの外観はカーテンウォールとし、視覚的に木造であることが分かるように工夫している。
3階建ての事務所棟は最大10m×8mスパン。室内の一部を表しとし、テラス外周部を回廊とし、木製格子パネルを設置して木質感を演出する。
重ね梁の設置
架構状況
事務所棟の内部
三井住友建設 1カ月の指名停止処分 横浜傾斜マンション問題で国交省
国土交通省は1月13日、横浜市都筑区の傾斜マンションの元請けの三井住友建設、第1次下請けの日立ハイテクノロジーズ、第2次下請けの旭化成建材が建設業法に違反する行為を行ったとし、三井住友建設は指名停止1カ月、日立ハイテクと旭化成建材は営業停止15日の処分をそれぞれ行った。
三井住友建設に対しては、三井不動産レジデンシャルから請け負ったマンションのくい施工工事で1次下請の日立ハイテクノ、2次下請の旭化成建材が工事現場に専任の主任技術者を設置せず、日立ハイテクノが施工を旭化成建材に一括して請け負わせていたことを認識しながら、法の規定に違反しないよう指導や是正を怠り、また、許可行政庁等への通報も行っていなかったことは、建設業法第24条の6に違反し、建設業法第28条第1項本文に該当し、平成28年1月13日から平成28年2月12日までの1カ月間、指名停止処分を行うとしている。
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当然の処分だが、元請けの三井住友建設は建築士法による「監理」も怠った可能性が大きく、追加処分されるのではないかと思うし、問題が発覚してからの同社の対応は「CAT」、つまり「Compliance」(法令順守)「Accountability」(説明責任)「Traceability」(追跡可能性)に問題があり、経営陣の責任は免れないと思う。
同社は問題が発覚してから1か月後の11月11日、定例の決算発表会の会場で永本芳生副社長が「『試験的に打つ杭に立ち会い、残りは施工報告書で確認すればよい』とする国交省の標準仕様書に沿った対応だったとして、『日々の管理に落ち度はなかった』」(各紙)と記者団の質問に答えている。
この「日々の管理(監理のはず=記者)に落ち度はなかった」という発言の是非について、もう一度国民に説明する責任を同社は負っているはずだ。「監理に落ち度はなかった」と今でも強弁するのであれば、再発は絶対に防げない。