内装木質化は熟睡長く、知的労働も向上 慶大・伊香賀教授が実証


講演する伊香賀教授(スウェーデン大使館で)
スウェーデン&スウェーデンハウスのイベントで報告
スウェーデン大使館は3月7日~20日、森林をテーマとするイベント「Treasures of the Forest ~森のタカラ、未来のチカラ~」を開催したが、その一環として16日に行われた、わが国で唯一「スウェーデン」を企業名に用いているスウェーデンハウスの協賛イベンドを取材した。
当日は、スウェーデン大使館駐日大使 マグヌス・ローバック閣下がご来席。開会の祝辞として「木の家に住むことで健康になる元気になることは明らか。重要なのは森林を大切にし、木の家を都会に普及させること。その点で、わが国の森の恩恵を一番受けているのはスウェーデンハウスにお住まいの方ではないか。セミナーの成功を願っている」と話された。
スウェーデンハウス社長・岡田正人氏は、「スウェーデンから名前をいただいている日本で唯一の会社としてイベントに参加させていただき、このような施設(Alfred Nobel Auditorium)を使わせていただいてとても感謝している。大使閣下からはお褒めの言葉をいただいたが、住みよい心地よいスウェーデンの住宅を供給するのがわが社の使命。これからも頂いた宿題に応えていく」と挨拶した。

Alfred Nobel Auditorium

スウェーデン大使館駐日大使 マグヌス・ローバック閣下
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イベントは2部構成で、1部では同社取締役営業本部長・三宅英仁氏、開発部副部長・織田茂氏、開発部グループリーダー・内藤佳之氏が同社の事業概況、ZEHの取り組みなどを紹介し、2部では慶大教授・伊香賀俊治氏が「データで読み解く健康な住まい」と題して講演を行った。
1部の内容については省略する。同社が建てた千葉・大多喜のサ高住は素晴らしい。「2016オリコン日本顧客満足度ランキング」で2年連続してトップになったのもよくわかる。
百聞は一見に如かず。同社の住宅・建築物がどれだけ快適であるかを肌で感じさせることができるかが成長のカギを握っている。
その後押しをしたのが伊香賀氏だ。伊香賀氏は1時間30分の間に、長年にわたって研究されてきた貴重なデータを示した。10はくだらなかったと思う。これを一つひとつ紹介したら記事を書くのに半日どころか1日でも足りない。
エッセンスだけ紹介する。もっとも新しい調査・研究の成果は、伊香賀氏とナイス、横浜市の共同プロジェクト「スマートウェルネス体感パビリオン」での実験テータだ。伊香賀研究室は内装を木質化することで熟睡時間が木質化ゼロの室内より13~17分(木質化ゼロを100とした場合12~16%増)長くなり、知的生産性も7.0~8.2ポイント(同16~18%増)もアップすることを実証した。
このほか、高断熱住宅が健康寿命を4歳延伸すること、断熱と暖房使用で身体活動が1日当たり約1400歩促進された新居浜市の実証実験結果、断熱工事に100万円投資すれば、光電熱費だけでなく健康維持の便益を考慮すれば16年で投資は回収できることなどを報告した。

スウェーデン大使館中庭(外壁には木材が用いられている)
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伊香賀氏が示した「日本でも温暖な県ほど冬の死亡増加」というタイトルのデータには異論を唱えざるを得ない。
伊香賀氏は冬の寒さに備える高気密住宅の普及力を示しながら説明したもので、冬季の死亡率が47都道府県でもっとも低い北海道や2位・青森、4位・新潟、5位・秋田などの普及率が高く、温暖エリアの広島(7位)は県の医師会の寒冷に対する注意喚起の取り組みも大きいとした。沖縄が3位というのは、そもそも冬季でも寒くないからだろう。岩手県が中位くらいなのも、青森などと比較して高気密住宅の普及は進んでいないのだそうだ。
一方で、冬季に中央山脈の影響を受ける栃木県(ワースト1)や茨城県(同2位)、山梨(同3位)というのもよくわかる。栃木の冬の寒さは身に染みている。掻巻(かいまき)を着ないと冬は眠れない。朝起きるとトイレ、水道の水が氷る。それだけ冬の寒さに対する対応がされていない住宅が多いということだ。栃木、茨城、山梨は火災が多い県でもある。寒さ対策、火災予防をあまり考えない県民性のようなものがあるのかもしれない。
ではわが故郷・三重県がワースト5位にランクされているのはなぜか。静岡県もワースト7位だ。これは合点がいかない。「伊勢乞食」と言われるように気質が穏やかなのは間違いないが、冬の寒さに耐えられないほど体力がないとも思えない。ならば「近江泥棒」の滋賀県もどうしてワースト8位なのか。「泥棒」も「乞食」も寒さには弱いということでは一緒なのか。
さらに不思議なのは、居住水準がもっとも高い北陸3県では、石川県が8位で、富山県は24位、福井県は35位だ。この差もわからない。沖縄とは環境が異なるのだろうが、鹿児島がワースト6位というのも解せない。
そんなこんなの疑問から、「先生、わたしは室内温度もあるかもしれないが、それより食生活、労働などからくるストレスなどの複合的要因が大きいのではないか」と質問した。
伊香賀氏は「おっしゃる通り、塩分の取りすぎなども影響があることが分かっている。今後、医学的な知見も踏まえ研究を続けていく」と話した。栃木県の冬がものすごく寒いことでは意見の一致を見た。

伊香賀氏が示したデータ

左から町田ひろ子氏、マグヌス・ローバック閣下、岡田社長
ナイス、環境・健康が学べるパビリオン 「木造のよさ医学的に証明する」(2015/10/29)
コミュニティ崩壊につながるマンション議決権に「価値割合」の導入
国土交通省が「マンション標準管理規約」を改正したことは既報の通りだが、先日(3月17日)行われたマンション管理業協会の記者懇親会で「議決権割合」について質問が飛んだ。「価値が低い人に(議決権を)合わせるのはかえって不公平。タワーマンションをたくさん分譲している三井さんはどうですか」という質問もあった。
これに対して、岩田龍郎副理事(三井不動産レジデンシャルサービス会長、三井不動産レジデンシャルサービス会長)は「お客さまがどう考えられるか。もう少し検討しないといけない」と導入に否定的な考えを示した。
規約改正では、第46条の③に新築物件における選択肢として、総会の議決権(及び譲渡契約時の敷地の持ち分割合)について、住戸の価値割合に連動した設定も考えられる旨の解説を追加した。その解説として「この価値割合とは、専有部分の大きさ及び立地(階数・方角等)等を考慮した効用の違いに基づく議決権割合を設定するものであり、住戸内の内装や備付けの設備等住戸内の豪華さ等も加味したものではないことに留意する。また、この価値は、必ずしも各戸の実際の販売価格に比例するものではなく、全戸の販売価格が決まっていなくても、各戸の階数・方角(眺望、日照等)などにより、別途基準となる価値を設定し、その価値を基にした議決権割合を新築当初に設定することが想定される。ただし、前方に建物が建築されたことによる眺望の変化等の各住戸の価値に影響を及ぼすような事後的な変化があったとしても、それによる議決権割合の見直しは原則として行わないものとする」としている。
この問題については、昨年も記事にしたが、「価値割合」に応じて議決権を設定することは選択肢としてはあるかもしれないが、価値基準もあいまいで、仮に導入すればコミュニティの崩壊にもつながりかねないもはらむ。推進派の危険な思想が見え隠れする。もう一度、警鐘を鳴らす意味で書く。
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前回でも価値割合による議決権について具体例をあげて書いたが、もう一度、具体例をあげて説明する。
昨年、三井不動産レジデンシャルが分譲して圧倒的な人気で完売した「パークコート赤坂檜町ザ タワー」の価格は1億4,920万~15億円で、専有面積は57.61~203.96㎡だった。最低価格と最高価格を価格差にすると1:10で、専有面積比率だと1:3.5となる。
さて、ここで何を基準に価値割合を導けばいいか。国交省は単なる専有面積割合ではく、設備機器のグレードは含まないというから、価値割合は1:10でも1:3.5倍でもない。
もうこの先は分からないのだが、階数による価値の差について考えてみよう。一般的なタワーマンションは階数が高いほど価格は高いが、これが普遍の原理かといえばそうではない。都心部などでは超高層マンションなどお互いが〝お見合い〟するケースが少なくなく、階数が高いほうが将来にわたって眺望・日照などが確保される可能性が高い。
しかし、用途地域、地区計画(これも未来永劫ではないが)などによって、敷地前面に高い建物が建たないと想定される場合や、価格を高くすると売れないという市場のニーズを考慮して低層階も高層階も価格差をあまり設けないケースもある。眺望・日照の価値は個別性が高く測るのが極めて難しいということだ。
海が好きな人は海が見えることに価値を見いだすし、山が好きな人は北向きでも山側を選ぶかもしれない。西陽が嫌いな人は東向きを選ぶかもしれない。需要者ニーズは千差万別だ。だからデベロッパーも値付けに苦労するのだ。
設備仕様は、価値判断に加えないというのは分からないではないが、マンションの価値はまさにこれにある。ケミカル製品の壁や床材と比べ無垢の建具・壁・床がいいのはいうまでもない。デベロッパーはここに付加価値を付ける。商品企画・販売担当者の腕の見せどころだ。この価値を無視してマンションの価値は果たして測れるのか。
眺望などの事後変化を考慮しないというのもわからない。事後変化によって眺望・日照阻害がないことがマンションの資産性を高める。事後変化を考慮しなければ、マンションの価格など決められないし、ユーザーはこの事後変化を物件選考の際に重きを置くべきだ。
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これまで書いたように、価値割合の導入は極めて難しいことが分かったはずだか、仮に1:7くらいで採用するとしよう。管理費もその価値割合に応じて差を設けたとしよう。
そうなった場合、ゲストルームの申し込みはどうなるのか。高額住戸居住者は「管理費を多く払っているのだから、共用部分の使用・利用も差をつけるべきで、ゲストルームを優先的に使わせろ」というかもしれない。
そんな事態にはならないだろうが、先の「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」(座長:福井秀夫・政策研究大学院大学教授)で価値割合を主張された方はそのようなことが理に適っていると考えている人だ。このような「経済価値」を重視する動きをネオリベラリズムと呼ぶ。組合は四分五裂、コミュニティは崩壊し、低層階に住む人は高層階に住む人を妬み、高層階の住人は下層階の居住者を蔑む風潮がマンションを支配する。合意形成は絵に描いた餅-というより「価値」の高い住戸に住む人に権力を集中させようという考えだ。
問題はらむ議決権割合に価値割合の導入 マンション管理検討会(2015/4/7)
三井不リアルティ さいたま市と環境配慮・非常時対応型駐車場整備で協定
協定書を交す三井不動産リアルティ執行役員・片岡純市氏と清水勇人さいたま市長
三井不動産リアルティは3月18日、さいたま市が進めている環境配慮・非常時対応型駐車場の整備・拡大、利活用の取り組み「E-KIZUNA Project(イー・キズナ・プロジェクト)」を共同で推進していくことで合意し、協定を締結した。
協定の締結に伴い、災害時にも電力供給が可能で、商用電力の電源供給ができない場合でも運営を持続可能な「レジリエンス対応型駐車場」を武蔵浦和駅前に開設した。
通常の「三井のリパーク」事業地より高性能かつ大規模なソーラーシステムを使用することで、事業地内の全ての機器(自動販売機を除く)への電力供給を可能とし、災害時に商用電力が途絶えた場合でも蓄電池内の電気を使うことで駐車場運営を継続することができる。
さらに、場内に設置されている電気自動車充電器を用い、災害時にも電気自動車への充電および電気自動車による電気の持ち運びが可能になる。また、事業地の前面道路が災害時等に「緊急輸送道路」となるため、緊急車両通行時などには、ゲートを開放することで路上車両の一時移動先として利用できるようにする。
「日本一の街」になるかは保留 「美園スマートホーム・コミュニティモデル街区」
清水市長を中心に左から3人目が風間氏、4人目が品川氏、右から3人目が宮沢氏(さいたま市役所で)
さいたま市は3月18日、市のコンペに採択された埼玉県住まいづくり協議会の「美園スマートホーム・コミュニティモデル街区発表会」を行なった。
「モデル街区」は、「低炭素・レジリエンス・コミュニティ」を核とした「美しく、安全・安心で、快適・便利な街づくり」を「公民+学」が連携して進めていく「美園」エリアのキックオフプロジェクトとして位置づけられており、市のコンペに当選した同協議会の会員である中央住宅が21戸、アキュラホームと高砂建設がそれぞれ6戸を建設する。
発表会にはさいたま市長・清水勇人氏、埼玉県住まいづくり協議会会長・風間健氏(高砂建設社長)、中央住宅社長・品川典久氏、アキュラホーム社長・宮沢俊哉氏が出席。
清水市長は、「『美園』をきっかけにスマートシティさいたまモデルを全市内に広げ、近い将来には国内外で展開していきたい」と話した。
品川社長は「これまで美園エリアで400棟の分譲実績があり、地域を熟知している。スマートホーム、コミュニティ支援にも力を入れており、入居後もしっかりサポートしていく」と自信をみせた。
宮沢社長は「創業以来37年間、埼玉県で事業を行なっており、ここで育てられた。わたしの自宅もさいたま市。わたしどもはものづくりの観点から連携していいものをつっていく」と、「さいたま」をアピールした。
風間社長は「地元でコツコツやってきてチャンスを与えていただき感謝している。誰よりも地元に愛着がある。いろいろ教えてもらいながら街づくりに貢献したい」と抱負を述べた。
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以下は怒りに任せた文章なので、不愉快に思われる方もいらっしゃると思いますので、ご興味のある方だけお読みください。
発表会は冒頭の清水市長による事業説明から、事業パートナー3社社長の挨拶まで約20分(動画除く)。この間「日本初の電線地中化」「全市内にとどまらず、近い将来、国内外にさいたまモデルを展開していく」「日本一の街づくり」「先導的取り組み」「世界に誇れる」などの威勢のいい言葉が飛び交った。数えたわけではないが全体で10回くらいはあった。
「スマートシティさいたまモデル」「美園タウンマネジメント」「アーバンデザインセンターみその」「HEAT20さいたま版グレードⅡ」「レジリエンス」などの固有名詞、専門用語もたくさん登場したが、資料配布もなく、具体的中身が示されなかった。
美園のキャラクターらしい子どものクロネコをナビゲーターにした動画もいまひとつだった。子ども視線で街を紹介するのはいいが、どうして子ネコが「コモンスペース」「縁側」「フットパス」「雨水利用」「低炭素」「レジリエンス」などの言葉を使い、「時間がゆったり流れている」などとしゃべるのか。日本初の電線地中化については、「詳しいことは近くの大人に聞いてよ」と突き放した。親ネコとの対話の形にすればまだよかった。
これだけではない。発表会のあと三井不動産リアルティ執行役員・片岡純市氏と清水市長の「E-KIZUNA Project協定」締結式が予定されていたが、発表会が終ってすぐ報道陣は別室に誘導された。記者は随分失礼なことをするなと思ったが、誘導に従った。そのあと再び会見場に戻るよう促されたのだが、戻った記者は最初のときの半分以下だった。
これには堪忍袋の緒が切れた。国会議員じゃあるまいし、こんな失礼なことがあるか。怒りはそのあとの質疑応答の場で爆発した。
「日本初だとか日本一だとか、国内外で展開するなどの言葉の裏づけ、根拠を示して欲しい。そうでなければ記事は書けない。不動産広告に根拠を示さず『日本初』『日本一』とやったら完全にアウト」と迫った。
記者は、質疑応答でいつも心がけているのは①どのような答えが返ってくるか分からない質問はしない②出席者が話したい、聞いて欲しいことを引き出す③同業の記者にも知ってほしいしいことを聞く-この3点だが、質問に対して返ってきた答えは「時間がなかった」だった。(開発が始まってから十数年が経過する。コンペに手を挙げたのはこの3社だけというのが全てを物語っていると思う)
唯一「日本初」の根拠が示されたのは、公有地、公道ではなくコモンスペースを利用した民地の地下に電線を敷設することが「日本初」なのだそうだ。
そんなこんなで、「美園地区スマートホーム・コミュニティ整備事業」が「日本一」になるか、「国内外に展開できる」事業かどうかは保留する。今秋にはモデルハウスなどを分譲するというから、しっかり見学してレポートしたい。
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私憤をぶちまける内容になったが、記者だって暇じゃない。昼食も食べていなかった。夜、新宿で食事をしたが、医者から「日本酒は飲むな」と言われているので、「南部美人」を1合だけ注文した。女性店員は「1号? 2号? 」と気に障る言葉を吐いた。食事はかみさんが「梅」を2人分注文した。店員は「梅でよろしいんですか」と2度押しした。周囲の人に聞こえる大きな声だった。(慇懃無礼者!)「中古住宅」もそうだが、「松竹梅」の呼称を改めるべきだ。
開発スピードを上げる起爆剤へ ポラス「ボゥ ヴィラージュ浦和美園」1期は即完(2016/2/29)
「マンション適正化指針改正は大きな前進」 管理協・山根理事長

中央が山根理事長(マンション管理協で)
国土交通省が3月14日公表した「マンションの管理の適正化に関する指針」(告示)及び「マンション標準管理規約」(局長通知)のマンションコミュニティ条項に対してマンション管理業協会・山根弘美理事長は3月18日、「指針に区分所有法第30条に則りという文言が盛り込まれたのは大きな前進。コミュニティ活動についても、われわれは管理組合に寄り添い粛々と行っていく」と述べた。
また、大島宏志専務理事も「管理組合が主体的に判断してコミュニティ活動を推進していくということでは標準管理規約との齟齬もない」と語った。
同法第30条では、「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる」としており、「指針」では「マンションにおけるコミュニティ形成は、日常的なトラブルの防止や防災減災、防犯などの観点から重要なものであり、管理組合においても、建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)に則り、良好なコミュニティの形成に積極的に取り組むことが望ましい」という文章が盛り込まれた。
いま問題になっている「民泊」について、山根理事長は「民泊に反対しているわけではないが、管理規約で『専ら居住』となっている組合は、少なくとも規約を改正するなどの適正な手続きを経るべき」と話した。
大山鳴動…コミュニティ条項は玉虫色決着 国交省が大岡裁き(2014/3/15)
国土交通省 「マンション適正化指針」と「標準管理規約」改正を公表(2014/3/14)
「中古住宅」呼称変更を 和田勇・スムストック会長が提案 国交省も動き出す
「中古住宅」の呼称変更に動き出す-優良ストック住宅協議会会長・和田勇氏(積水ハウス積水ハウス会長兼CEO)が「中古住宅という呼び名はイメージが悪い。もっと素敵な名前に変えようではないか」と3月15日に行われた同協議会主催のシンポジウムで提案したが、国土交通省も呼称変更に本気に乗り出す姿勢を見せている。
和田氏の発言は、「スムストック レポート2016 ~既存住宅流通に新しい流れをつくれたのか~」のシンポジウムの開会あいさつや、その後の懇親会で出たもので、来賓としてあいさつした国交相も経験している金子一義衆院議員は、「確かに中古住宅という呼び名は汚い古いというイメージがある。プレミアム住宅はどうか」と応えた。和田氏は「プレミアムも悪くはないが、やはり日本語の冠がいい」とつぶやいた。
また、由木文彦・国交省住宅局長も「省内では27年度から中古住宅を既存住宅にするようにしたが、もっといいネーミングは民間で考えていただきたい」発言した。
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冗談だろうと聞いていたが、スムストックの旗振り役で積水ハウスの会長がみんなを笑わすためだけに発言したとは思えない。
そこで国土交通省住宅局に聞いてみたが、呼称変更はあり得ない話ではなさそうだ。
由木氏も話したように、26年度まで用いていた「中古住宅市場活性化…」などの「中古住宅」という文言をを27年度では「既存住宅・リフォーム市場の活性化」など「既存住宅」に変更している。同省は、「今後呼称や愛称などを含め論議していただいて流通市場の活性化につなげていきたい」としている。
民間の不動産流通経営協会(FRK)でも、平成17年度までは報告書などで「中古住宅」としていたものを18年度から「既存住宅」に変更している。
ただ、不動産流通大手の各社のホームページでは「中古マンション」「中古一戸建て」などとなっており、「既存マンション」「既存一戸建て」にはなっていない。
記者は「新築」も「中古」も一緒だと思う。「中古」がいやなら賃貸など借りられないだろうし、ホテルにも泊まれないではないか。使い古すほどに味が出るのは人間も住宅も一緒だ。意識をどう変えるかだ。
昭和24年に施行された盗品を防ぐのが主目的の「古物営業法」の対象には「住宅」は含まれない。「住宅」は盗むのが難しいと判断されたのだろう。昭和27年施行の「宅建業法」にも「新築」「中古」の文言はない。「新築」「中古」の区別などあまりなかったのではないか。
東建「BrilliaTower上野池之端」 不忍池・上野公園に隣接、旧岩崎邸も近接

「BrilliaTower上野池之端」完成予想図
東京建物は3月19日、東天紅本店跡地のタワーマンション「BrilliaTower上野池之端」のモデルルームをオープンする。資料請求はこれまでに4,000件を突破しており、来場予約も900件を超えている。眼下に不忍池、上野公園が広がる立地にユーザーがどのような反応を見せるか。価格は未定だが、坪450万円くらいと見られ、かなり抑制気味だ。
物件は、東京メトロ千代田線湯島駅から徒歩4分、JR山手線上野駅から徒歩10分、台東区池之端一丁目に位置する総戸数361戸(うち35戸は非分譲)。専有面積は41.21~127.96㎡、価格は未定だが、不忍池・上野公園が見下ろせる東側住戸は70㎡前後で約1億円。坪単価は450万円程度だと思われる。竣工予定は平成31年3月末。設計・施工・監理は三井住友建設。分譲開始は6月上旬。
現地は、敷地東側の不忍通りを挟んで不忍池、上野公園とつながっている東天紅本店跡地。旧岩崎邸、東大本郷キャンパスもすぐ近く。東天紅は敷地南側にあったゴルフ練習場に新館を建築、昨年オープン済み。
建物は、都の総合設計制度の適用を受け、指定容積率600%から865%へ容積緩和を受けている。制振構造を採用。
住戸は3階以上で、標準階は1フロア11戸。上層2層は6戸。リビング天井高2800ミリの142㎡のプレミア住戸の価格は2億円台の後半になる模様。
ファサードデザインは日建ハウジングシステム、共用部分デザインは乃村工藝社。コンセプトは周囲に点在する歴史・文化施設との調和。格子、障子などの伝統的なデザインを多用している。
15日に行われた記者見学会で、同社プロジェクト開発部長・田代雅実氏は、「旧東天紅本館の建て替え事業の一環で、歴史・文化・伝統が肌で感じられる地に制振構造を採用。2層吹き抜けのラウンジ、東天紅のケータリング、デリバリーのほか、居住者は会員価格で利用できるサービスも付加する。品格を備えたランドマークにする」と語った。

スカイラウンジ
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目が飛び出る、白黒するくらいの価格を「「BrilliaTower目黒」で付けた後だけに、今度は湯島・上野の一等地でどのような価格を設定するのか注目したが、「単価は未定」と関係者は口を閉ざした。
何とか堅い口をこじ開けようとあの手この手のからめ手で攻め、東向きは坪470万円くらいになることを聞き出した。北側や西側の低層階のコンパクトタイプは300万円台の後半もありそうだ。全体的にはかなり抑制した単価設定になるのではないかと思われる。やはり「目黒」と「湯島」とはブランド力が違うということか。記者は不忍池が大好きだ。木陰で蓮の花を眺めていると飽きない。
モデルルームは、次の取材も入っており、同社もセットした時間が20分くらいしかなかったのが残念。3タイプあり、61㎡は辻昌克氏、83㎡は鈴木ふじゑ氏、127㎡は宮里貴司氏がデザイン。127㎡ではグレイッシュ・ダークブラウンの突板パネルや小上がりのタタミコーナー、玄関ホールの坪庭が目を引いた。

オーナーズスイート

ガーデンスクエア
モリモト「文京本郷台」 デザインは「本郷弓町」と同じ今井氏&鬼倉氏(2015/12/1)
不忍池に隣接した三井不RD「パークタワー上野池之端」(2009/10/30)
槇、藤本、宮脇、内井…「金沢シーサイドタウン」に感動 横浜市立大が見学会

「金沢シーサイドタウン」藤本昌也氏が担当した住宅
横浜市立大学が3月12日行った「わが国の『すまい』と『まち』の関係を問い直す~横浜市金沢シーサイドタウン見学会&討論会~」を取材した。わが国を代表する建築家の槇文彦氏、藤本昌也氏、故・宮脇檀氏、故・内井昭蔵氏、故・神谷宏治氏などの斬新で意欲的な建築物に接し感動した。ランドスケープデザインも素晴らしく、こうした優れた街を次世代に継承する必要性を強く感じた。
見学会&討論会では、同大学国際総合科学部国際都市学系まちづくりコース准教授・中西正彦氏がナビゲーターとなり、金沢シーサイドタウンの街づくりに関わった芝浦工大教授・中野恒明氏のほか、蓑原計画事務所・蓑原敬氏、東京大学准教授・中島直人氏が街の説明を行い、討論会でそれぞれ話し合った。

左から中西氏、蓑原氏、中島氏、中野氏

故・宮脇檀氏が担当した住宅

故・内井昭蔵氏が担当した住宅

岡本太郎の壁面アートがある「並木幼稚園」
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「金沢シーサイドタウン」は横浜市金沢地先の埋め立て地約660haの一角約82haに神奈川県、横浜市、住宅公団などによって昭和50年代の前半に整備された約10,000戸の大規模ニュータウンで、建設後40年近く経過し居住者の高齢化・人口減少などか顕在化。需要ニーズの変化もあり、空き家の発生なども懸念されている。
同大学は3年前に文科省の補助を受けてまちづくり拠点「並木ラボ」を設置。都市デザインの取り組みを振り返るとともに、地域のコミュニティ支援活動を行っている。

タウンハウス内の歩道空間

中野氏が担当した「4面開口のタウンハウス」
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まず、写真を見ていただきたい。槇文彦氏が設計した「並木第一小学校」、岡本太郎の壁面アートがある「並木幼稚園」、中野氏が槇総合計画事務所時代に実施設計を担当した「4面開口のタウンハウス」、団地中央の塩水と淡水が交じりあうふなだまり、2戸1エレベータの高層住宅、建築家4氏の競演による低中層住宅など、いまよりはるかに優れたランドスケープデザイン、住宅ばかりだ。

槇文彦氏が設計した「並木第一小学校」
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これほど優れている団地(街)なのに、どうして人口が減り、高齢化が進み、街の活力が失われつつあるのか。「シーサイドラインは交通の便がよくないと思われており、実際に東京の都心に通うには少し遠い。また、そもそもこの街が地区外の方々に知られていない」(中西氏)のはなぜか。地先のある工場勤務者の「職住近接」団地になっていないのはなぜか。利用者減・人口減少を理由にバス路線が縮小されるのはなぜか。商売だからしようがないのだが、大型スーパーが撤退するのはなぜか。これほど景観が美しく、優れた住宅ばかりなのに人気が上がらないのか。仲介会社はちゃんと団地の価値を評価しているのか。記者にとっては謎だらけだ。
中層にはエレベータがなく、コンビニなど商店が少ないのはマイナスだが、それらのマイナスを埋め、余りある特長があるこの団地は正当に評価されていい。見学会の途中、90㎡で2,380万円のオープンハウスの立て看板があった。金沢八景の新築マンションの3分の1くらいの評価だった。
討論会では、中野氏が「環境価値をもっと評価すべき。こうした郊外住宅が若い人にどう評価されるのか、期待もしたい」と語り、蓑原氏が「中層にエレベータをつけよという話があるが、公的住宅ならいざ知らず、民間のマンションでは合意形成ができない。(わが国の絶対的な排他的な土地所有制度など)住宅・社会政策を変える時期ではないか」と話したのが心に残った。

まちづくり拠点「並木ラボ」で団地について説明する中西氏

ふなどまりと〝2戸1〟エレベータ(両面パルコニー)の高層マンション

ふなだまりに集まっていた小鳥

ランドスケープデザインもいい勤住協のマンション
大山鳴動…コミュニティ条項は玉虫色決着 国交省が大岡裁き
玉虫色とはこのことを指すのだろう。国土交通省が示した「マンションの管理の適正化に関する指針」と「マンション標準管理規約」に関する「コミュニティ条項」がそれだ。右でも左でも、白でも黒でも、勝者でも敗者でもない、見方によってどちらとも解釈できるという意味だ。
「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」(座長:福井秀夫政策研究大学院大学教授)がまとめた報告書では「マンションコミュニティ条項」は財産管理が目的の管理組合には相容れないとして排除することを求めていたのに対し、全国の管理組合や業界団体が「コミュニティ活動は車の両輪」として真っ向から反発。結局、国交省は双方の主張を取り込み、大岡裁きともいえそうな玉虫色の裁定を下した。
ただ、マンション管理組合や管理会社の現場では解釈に迷いそうで、コミュニティ活動が委縮する可能性も否定できない。
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検討会は平成24年1月に立ち上げられたが、その冒頭、委員がマンション管理会社をコピー機の納入業者に例え、安く納入してトナーの交換などで儲けるなどと揶揄して反発を買い、さらにはその後の会合で、委員の質問に答えられなかったオブザーバーを「落第生」呼ばわりするなど険悪な状態となる場面もあった。検討会は意見がまとまらず空中分解するかと思われたが、2年半の中断の末再開され、最終報告が昨年3月にまとめられた。
パブリックコメントに対する質問が760件にも上ったことからも、問題の大きさ、関心の高さをうかがわせた。
総務省の調査によると、平成20年度の行政手続法に基づく意見公募手続に対する1案件当たりの提出意見数は約24件で、内訳は「なし」が47.8%、「1~10」が36.5%、「11~20」が6.2%、「21~50」が4.7%、「51~100」が1.6%、「101~500」が1.7%、「501以上」が6件(0.6%)となっている。
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「マンションの管理の適正化に関する指針」の告示では、コミュニティについて次の通り明快な指針を示した。
「マンションにおけるコミュニティ形成は、日常的なトラブルの防止や防災減災、防犯などの観点から重要なものであり、管理組合においても、建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)に則り、良好なコミュニティの形成に積極的に取り組むことが望ましい」という文言が盛り込まれた。
これを担保する法律として、「管理規約は、マンション管理の最高自治規範であることから、その作成にあたっては、管理組合は、建物の区分所有等に関する法律に則り、『マンション標準管理規約』を参考として、当該マンションの実態及びマンションの区分所有者等の意向を踏まえ、適切なものを作成し、必要に応じ、その改正を行うことが重要である」としている。
さらに、「マンションにおけるコミュニティ形成については、自治会及び町内会等(以下「自治会」という。)は、管理組合と異なり、各居住者が各自の判断で加入するものであることに留意するとともに、特に管理費の使途については、マンションの管理と自治会活動の範囲・相互関係を整理し、管理費と自治会費の徴収、支出を分けて適切に運用することが必要である。なお、このように適切な峻別や、代行徴収に係る負担の整理が行われるのであれば、自治会費の徴収を代行することや、防災や美化などのマンションの管理業務を自治会が行う活動と連携して行うことも差し支えない」としている。
この「指針」だけを読めば、コミュニティ形成は極めて重要であり、法律に違反しない限り、「最高自治規範」として「自治会費の徴収を代行することや、防災や美化などのマンションの管理業務を自治会が行う活動と連携して行うことも差し支えない」としており、これまでよりさらに踏み込んでいると解釈もできる。
しかし、「マンション標準管理規約」の改正では、〝行過ぎた〟コミュニティに釘を刺し、具体的に次のように改正ポイントを示した。
「『地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成』との表現には、定義のあいまいさから拡大解釈の懸念があり、とりわけ、管理組合と自治会、町内会等とを混同することにより、自治会費を管理費として一体で徴収し自治会費を払っている事例や、自治会的な活動への管理費の支出をめぐる意見対立やトラブル等が生じている実態もあった」とし、「自治会又は町内会等への加入を強制するものとならないようにすること」「自治会又は町内会等への加入を希望しない者から自治会費又は町内会費等の徴収を行わないこと」「自治会費又は町内会費等を管理費とは区分経理すること」「管理組合による自治会費又は町内会費等の代行徴収に係る負担について整理すること」などを求めている。
このように、「指針」と「標準管理規約」はそれぞれが疑問を差し挟む余地がなくほぼ完ぺきである。しかし、組合活動と自治会活動を峻別するということは極めて難しく、どこで線引きしていいのかわからない。組合活動を経験すればだれでもわかることだ。
その一方で、標準管理規約で行き過ぎにブレーキをかけている。これでは管理組合(居住者)が言葉は悪いがまた裂き状態に置かれる。正直に言えば罪作りな「指針」と「標準管理規約」だと思う。現場は混乱するのではという懸念が残る。
国土交通省 「マンション適正化指針」と「標準管理規約」改正を公表
国土交通省は3月14日、「マンションの管理の適正化に関する指針」(告示)及び「マンション標準管理規約」(局長通知)を改正し、公表した。「指針」「規約改正」に対するパブリックコメント(意見募集)は125の個人・団体から760件の意見があった。
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午前中に記事を書いたように、マンション管理協が先週の金曜日に石井国交相に要望書をだしたので何かあると踏んだのだが、タイミングがいいのか悪いのか、この日(14日)、国土交通省から「マンションの管理の適正化に関する指針」に関する告示と、「マンション標準管理規約」の改正が公表された。現時点で内容は全く読んでいないが、コミュニティ条項(第27条、第32条等)に関する部分のみをコピー&ペーストする。
【意見】
・適正化指針に、初めて、管理組合がコミュニティ形成に積極的に取り組むことの重要性が明記されたことを評価する。
・標準管理規約において管理組合の業務からコミュニティ活動を削除しながら、適正化指針で良好なコミュニティ形成を積極的に展開すべきとするのは、一貫性を欠いている。
・適正化指針で良好なコミュニティ形成を積極的に展開すべきとしながら、標準管理規約において管理組合の業務からコミュニティ活動を削除するのは、一貫性を欠いている。
【国土交通省の考え】
・「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」報告書では、自治会費や飲食等への管理費の支出をめぐる訴訟などのリスクに鑑み、コミュニティ活動に係る条項を削除すべきと提言されています。
・国土交通省としては、同報告書に基づき、コミュニティ条項は削除する一方、防災・防犯や、美化・清掃、緑化・景観形成、生活ルールの調整など、居住環境の維持及び向上に資するコミュニティ活動には、支出可能であると考えています。
・管理費は強制徴収されるものであり、自治会費、主として親睦目的の飲み会、一部の者のみに対象が限定されるサークル活動に対して支出するのは、適切でないと考えています。
・他方で、マンション及び周辺の居住環境の維持及び向上に資する活動には、支出可能であると考えており、その範囲内におけるイベント等への支出の是非については、各管理組合での合意形成によるべきものと考えています。
・適正化指針と標準管理規約の記載に一貫性がないとの指摘を多くいただいたため、適正化指針の記載について、管理組合が行うコミュニティ形成は、区分所有法に則るものであることを明らかにし、その他重複記述の整理、住生活基本法等にあわせた表現ぶりの修正を行いました。(なお、「建物の区分所有等に関する法律に則り」と記載した点については、区分所有法第3条、第30条等の区分所有法の規定を全て指し示しているものです。
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規約改正は、区分所有法第30条(規約事項)「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる」ことを追認したものとも理解できる。

