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 三菱地所レジデンス、相鉄不動産、丸紅の3社JVマンション「ザ・パークハウス西新宿タワー60」(総戸数954戸)の事業協力者住戸を除く販売住戸全777戸が完売した。新宿区内のマンションとしては、昨年、「富久クロス」(全1,222戸)の分譲住戸992戸がわずか6カ月で完売して話題となったが、それに次ぐ早期完売だ。

 モデルルーム事前案内会を開始したのは2014年10月で、販売開始は2015年2月。これまで約3,500件の来場者を集めた。

 契約者の特性は、年齢が40歳代(30%)、50歳代(25%)、30歳代(20%)、居住地は最多が新宿区の15%で、23区内中心に幅広いエリアからの購入が目立っている。

 物件は、都営大江戸線西新宿五丁目駅から徒歩7分他、新宿区西新宿5丁目に位置する60階建て。専有面積は33.90~156.99㎡、価格は3,198万~3億5,000万円(最多価格帯6,100万円台)。施工はフジタ。デザイン監修は三菱地所設計。竣工予定は2017年7月下旬。60階建てはわが国最高階数マンション。

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 東京建物他の「目黒」が早期完売したのにも驚いたが、今回の「西新宿」が1年もたたずに完売するとは夢にも思わなかった。

 坪単価は最終的にどうなったかは分からないが、350万円はしていないはずだ。他の都心エリアと比べ割安感はあるものの、現在の街並みから判断して妥当な単価だろうと思う。最高階数60階建ては訴求力があるとは思っていなかった。

 街の将来性をどうアピールするかがプロジェクトの成否のカギを握っていると考えていた。購入検討者や契約者、地権者を巻き込んだワークショップをこれまで6回開催し、コミュニティ支援の取り組みを行ってきたのも評価されたのだろう。

 それにしても、どうして都心のマンションがこれほど売れるのか。ファミリー層もDINKSも熟年層も住むのなら価格が安く、その分居住面積が確保できて、緑が豊富な準都心・郊外のほうがはるかにいいと思う…かくいう記者もお金があったら都心に住みたいのだが…。

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「MIRAI’s 三郷中央nextstage『絆ぐ街。(ツナグマチ)』」

 ポラスグループの中央住宅は12月3日、「玄関の新しいかたちを考える」をテーマにした分譲戸建て「MIRAI’s 三郷中央nextstage『絆ぐ街。(ツナグマチ)』」のモデルハウス見学会を行った。

 同社が2014年に開催した「学生・建築デザインコンペティション」に応募があった全458作品の中から東京工業大学大学院・児玉理文氏(25)の作品「斜め玄関の家」を選び商品化したもので、従来の分譲戸建てにはない斬新なデザインが特徴だ。

 物件は、つくばエクスプレス三郷中央駅から徒歩9分、三郷市中央4丁目に位置する全10棟。土地面積は133.05~168.02㎡、建物面積は99.78~110.13㎡、価格は3,880万~5,180万円。構造は在来工法2階建て。引き渡し予定は2016年6月。11月13日から分譲を開始しており、これまでに8棟が成約済み。

 見学会に出席した児玉氏は、「提案は平屋建てで、実家で平屋に住んだことがあるのもヒントにした。『玄関』といっても、家の奥行きとか居心地などなかなか言葉では表現しきれないところがあるが、このように実物件化していただき、世の中に発信することができたばかりか、実際に住んでいただけるのがとても嬉しい」と喜びを語った。茨城県出身で独身。

 商品企画・設計担当の中央住宅 戸建分譲設計本部 営業企画設計一課 参事・鈴木往道氏は、「分譲戸建てには土地の制限があり、玄関を広くすれば他にしわ寄せがでるのでそのバランスをどうするかで苦心したが、児玉さんのコンセプトを極力生かした。このような和モダンが商品として評価されるか不安もあったが、売れ行きも好調で、プロジェクトとしては成功した」と話した。

 また、「学生・建築デザインコンペティション」の責任者、ポラス人事部 部長・石田茂氏は、「就職戦線は売り手市場。同業との競合も激しく人材を確保するのが難しくなっている今、学生さんに新しいメッセージを発信する目的でデザインコンペを行った。応募作品の中から実物件化する意図は当初からあった。今後も継続して行っていく」と、継続して実物件化していく意向を示した。

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喜びを語る児玉氏

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 モデルハウスはよくできている。コンセプトの「玄関」「坪庭」の提案が斬新だ。西側のデザイン格子に面した部分に外部吹き抜けの坪庭が配されており、エントランスと坪庭が一体となった空間を演出しているのが特徴だ。「前庭」とも呼べるものだ。

 西から入る光と風を縦繁障子越しにイグサ畳を採用した和室に取り込み、さらにリビングから南側の窓に抜けるように工夫されている。

 1階リビングの床や階段はタモ材、壁は珪藻土の塗り壁「寂び土」、引き戸は高さ2.4m、階段ステップは16段、キッチンカウンターはナラ、メイプル材などが採用されている。

 使用されている家具や照明その他のインテリアも分譲価格に含まれているので10棟の中で一番高い5,180万円だが、その価値は十分あると見た。

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左の格子戸付き玄関・エントランスと一体となった坪庭

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和室から見た坪庭(縦繁障子とその奥の坪庭が見える)

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外観デザイン(格子戸の玄関が印象的)

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 驚いたのは同社のこれまでの三郷中央駅圏での分譲実績だ。2013年の第1次から今回の第11次まで201棟を供給しており、実に193戸を成約しているというのだ。今後も来年10月の第16次までトータルで293戸を供給するという。

 三郷中央駅圏ではこれまで多くのマンションが供給されている。都心へのアクセスが比較的よく、総じて価格が安いことなどから売れ行きも好調だ。

 しかし、商業施設の集積がいま一つで、駅周辺でも空き地が目立つ。戸建て分譲は容易でないと考えていたが、同社がこれほど多くの戸建てを供給し、売れ行きもいいというのは初めて知った。

 なぜ売れるか。答えは簡単だ。埼玉県に限って言えば、劣悪な分譲戸建てが多すぎることにも一因はあるのだろうが、同社の商品企画は群を抜いているからだ。(外観デザインについてはもっと垢抜けたものにしてはと思うが、現に売れているのだから記者がいうべきことでないのかもしれない)

 大和ハウス工業は12月21日(月)、創業60周年記念「Daiwa Sakura Aid コンサート」を東京新国立劇場 中劇場で行う。同社は社会貢献活動の一環として2008年から「吉野山の桜を保全する活動」を行っており、今回もその一つ。収益の一部は桜の保全活動に充てられる。詳細は次の通り。

  〈公演日〉2015年12月21日(月)18:00開場 18:30開演

  〈出 演〉KAN / K / ジュスカ・グランペール(opening act)

  〈ゲスト〉佐藤竹善

  〈会 場〉東京新国立劇場 中劇場

  〈入場料〉前売り5400円(全席指定、未就学児童入場不可)

  〈主 催〉大和ハウス工業株式会社

  〈後 援〉TOKYO FM / 奈良県吉野町

 

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平口環境副大臣(左)から表彰を受ける三菱地所レジデンス興野敦郎副社長

 三菱地所レジデンスと三菱地所グループ会社のメックecoライフの低炭素社会に向けた新築マンションの環境配慮の取り組み「soleco」と「マンション家計簿」が、環境省の「平成27年度 地球温暖化防止活動環境大臣賞」を受賞し、12月2日、表彰を受けた。

 同表彰は、環境省が平成10年度から行っているもので、地球温暖化対策を推進するための一環として、地球温暖化防止に顕著な功績のあった個人や団体の活動を顕彰するもの。

 表彰部門は①技術開発・製品化部門②対策技術先進導入部門③対策活動実績・普及部門④環境教育活動部門⑤国際貢献部門-の5つで、平成27年度は173の応募に対して36件が受賞した。

 表彰式に参加した平口洋・環境副大臣は「わが国は13年度比で温暖化ガス排出量を2030年までに26%削減、2080年までに80%削減する目標を掲げている。長期にわたって大幅に削減する取り組みが必要で、国や地方自治体、民間企業、NPOはもちろん、国民一人ひとりができることを実践しなければならない。低炭素社会の構築のためみなさんは模範的な取り組みをされている」と祝辞を述べた。

 「soleco」は高圧一括受電と太陽光発電を組み合わせたハードの取り組みで、「マンション家計簿」は住戸ごとの冷暖房費、ガス、上下水道、家電の電気代、マンションの管理費やその他の費用を見える化したもので、マンション販売現場で累計60,000部を配布したことなどが評価された。

 授賞式に臨んだ三菱地所レジデンス経営企画部長・唐澤眞二氏は、「地道に取り組んできたことが評価されて大変うれしい」と話した。

 同表彰で三菱地所グループが受賞するのは平成16年度に続き2度目。ハウスメーカーではスウェーデンハウス、旭化成ホームズ(2度)、一条工務店、積水ハウス(2度)、東急ホームズ、大和ハウス工業(2度)などが受賞している。

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全受章者

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 同社が「マンション家計簿」を全マンション購入検討者に配布を開始した2013年だった。

 そのとき、記者は「ガソリンから上下水道、生ごみ、食品、酒・たばこ、耐久消費財、旅行・レジャー、医療、交通移動手段などすべての消費財・サービスも含めてCO2の排出量を提供できるようにし、低炭素社会を構築すべきだ」と書いた。当時の「マンション家計簿」には上下水道代やガソリン代は含まれていなかったはずだ。

 ところが、昨年だったか、マンションの販売現場でもらった「マンション家計簿」には上下水道代、マンション管理費、ガソリン代なども加わっており、その進化ぶりに驚いた。今年の「グッドデザイン賞ベスト100」に選ばれたのもうなずける。

 具体的な取り組みでは複層ガラス、節水型便器、エコジョーズ、食洗機(これは一部オプションかもしれないが)などは標準装備しているのではないか。

 今後の課題はやはり生ごみやその他のゴミ、耐久消費財、医療などのサービスを含めたCO2削減の見える化の取り組みだろうと思う。さらに言えば〝三菱地所のマンションを買ったら家計支出が減った、家事労働が少なくなった、みんな健康になった…〟というデータを公表してほしい。

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メックecoライフ・平野一博常務(左)と唐澤氏

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「ディアナコート文京本郷台」完成予想図

 モリモトが近く分譲開始する「ディアナコート文京本郷台」を見学した。デザイン監修がアーキサイトメビウス、インテリアデザインがリエゾン・鬼倉めぐみ氏でで、昨年分譲して人気になった「ディアナコート本郷弓町」と同じだ。文京区では久々の100戸超で、湯島天神がすぐ近くという立地も人気を呼びそうだ。

 物件は、東京メトロ千代田線湯島駅から徒歩2分、都営大江戸線本郷三丁目駅から徒歩8分、文京区湯島3丁目に位置する16階建て全127戸。専有面積は33.91~105.46㎡、価格は未定だが、坪単価は430万円くらいになる模様。竣工予定は平成29年9月下旬。設計・監理はIAO竹田設計。デザイン監修はアーキサイトメビウス・今井敦氏。施工はフジタ。

 現地は、湯島天満宮のすぐ裏手。なだらかな南下がりの高台立地。建物の外観は、基壇部に天然石を張り巡らし、それより上は白を基調にしたタイル張り、上層の2層はガラス素材を採用。全体的には白と黒のコントラストが美しいマンションだ。

 住戸は南向きと北向きで、33~55㎡以下のコンパクトタイプが30%あるのが特徴。

 モデルルームの仕様レベルが高く、55㎡以上の住戸は床・建具・面材は全て無垢・突板仕上げ。キッチン・洗面、浴室のカウンタートップは天然御影石。サッシは2.3mのハイサッシ、天井高は14階までは2450ミリだが、15階・16階は2650ミリ。

 販売担当者は、「嬉しい悲鳴ですが、この前の土曜、日曜は10:00から、13:30分から、16:30から、19:00からモデルルーム来場者の対応に追われ、1組2時間として8時間くらい話しっぱなし。声が出ない」と話していた。

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 販売事務所は「ディアナコート本郷弓町」と一緒だった。入った途端、あのふかふかのジュータンと天然大理石の壁、カウンターに迎え入れられて、お金持ちになったような気分が再びよみがえった。同社のこれまでの販売事務所設営では間違いなくトップだ。

 モデルルームも抜群の出来だ。きりりとしたデザインが美しく、温かみのあるチェリーの面材が落ち着きを与えてくれる。照明などにたくさん用いられているバカラが全然嫌味ではない。品格がある…と言ってしまえばそれまでなのだが、いったい全体「品格」「品性」とは何かを具体的に表現するのは極めて難しい。実際を見ていただく以外ない。

 坪単価はどうか。担当者にいきなり「坪430万円でどうか」と聞いたら、「まだ正式には決まっていませんが、そんなところに落ち着きそうです」とのことだった。また、別の担当者に聞いたら、「上層階の2層はかなり高くなるので全体では430万円くらいですが、コンパクトタイプは抑え目になるはず」と話した。

 唯一の難点と言えば、道路を挟んだ目の前にラブホテルがあることだ。外観はよくある歓楽街のそれではなく、落ち着いた雰囲気があるのは救いか。

あっぱれ!モリモト 階数を2層分減らし天井高2.7m確保「本郷弓町」(2014/5/23)

 東京建物は12月1日、先に発表した「Brillia Towers 目黒」の全戸完売プレスリリースの「1億円以上住戸は365戸となり、これまで販売されたマンションのうち最多戸数」の文言のデータを裏付ける注釈「1993年以降に販売された一都三県の物件として最多(2015年10月有限会社MRC調べ)」を、「1993年以降に販売された一都三県の物件(定期借地権付分譲マンションを除く)として最多(2015年10月有限会社MRC調べ)」に変更した。

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 記者は11月26日付の記事「億住戸がもっとも多いのは『目黒』ではなく『広尾ガーデンフォレスト』ではないか」で、「事実は事実として正確を期したい。…『分譲マンション』から定期借地権付きを除くかどうかは見解が異なるかもしれないが、記者は定借も『分譲 マンション』だと解釈している」と書いた。

 今回、同社が裏付け注釈に「(定期借地権付分譲マンションを除く)」を加えたのは正確を期すためのようだ。納得がいく変更だ。

億住戸がもっとも多いのは「目黒」ではなく「広尾ガーデンフォレスト」ではないか(2015/11/26)

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聖ルルチア祭をモチーフにしたカーテン「ユールの夜に」(左)と東京藝大での制作風景

 東京藝術大学美術学部工芸科染織研究室(菅野健一教授)は11月28日(土)~12月25日(金)、「スウェーデンハウス豊洲モデルハウス」(江東区豊洲6-1-9 スマートハウジング豊洲まちなみ公園)で「東京藝術大学染織専攻作品‐Jul(ユール)」展覧会を開催する。

 展覧会は授業カリキュラムの一環として取り組むもので、スウェーデン大使館の後援とスウェーデンハウスの協力を得て、スウェーデンのクリスマス「Jul(ユール)」をテーマにした作品を発表する。

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 同大学の開催案内状には「スウェーデンの長い冬は、住まいを美しく飾るスウェーデン文化を生み出したと言えます。美しいものに囲まれる、心地よい空間を作り上げる、そして季節や行事によって空間をしつらえるという考え方は、住空間とアートの関係を考える上で重要です。暮らしを豊にする藝術作品を制作し、実際にモデルルームで展示する事で、新しい藝術文化の可能性を探ります」とある。

 スウェーデンの文化を理解するうえで参考になる小説として、イギリスの作家、トム・ロブ・スミスの近著「偽りの楽園」(新潮文庫、上下)をお勧めする。スミスのお母さんはスウェーデン出身で、そのお母さんがモデルになっているのではと思わせるシーンがたくさん出てくる。読み出したら止まらない。

 数年前大ヒットしたスティーグ・ラーソンの小説「ミレニアム」(ハヤカワ ミステリ文庫)とともに最高に面白い。

 飯田橋駅中央地区再開発準備組合は11月30日、千代田区飯田橋四丁目及び富士見二丁目の一部の再開発計画「飯田橋駅中央地区」に事業協力者として野村不動産を選定し、具体的な計画策定に着手したと発表した。

 「飯田橋駅中央地区」は、開発のすすむ飯田橋駅西口地区とアイガーデンエリアをつなぐ重要な地区で、また、JR 飯田橋駅東口と目白通りが交差する人通りの多い立地であるにも関わらず、広場空間がないことがまちの課題とされてきた。

 再開発計画では、駅前広場など歩行空間の拡充によって地下と地上をつなぎ、みどりと賑わいのネットワークを強化するとともに、目白通りから奥まった住宅棟周辺はやすらぎを大切にした屋外空間を創出する。施行面積は約1.0ha。

 野村不動産は隣接街区の「飯田橋プラーノ」(2009年3月完成)の再開発事業に特定業務代行者・参加組合員として住宅、事務所、店舗を中心とした複合再開発に取り組んだ実績がある。

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久光氏

 1日2~3社、月にして約45社の不動産会社の社長・役員クラスと情報交換している、業界の名物男でマンションコンサルタント会社トータルブレイン・久光龍彦社長に話を聞いた。

 まだ1年を振り返るには早いが、久光氏は「価格競争に走らないで、安価で良質な住宅供給に力を注いではどうか」とデベロッパーに注文し、その一方で、ユーザーには「3P(プレイス、プラン、プライス)のうち今日ほどプレイスが重視される時代はない。立地にこだわらなければもっと快適な暮らしができる」と選択の幅を広げてはとアドバイスした。

 業界で久光氏を知らないというのは〝もぐり〟だろうが、その経歴を少し紹介する。久光氏は現在75歳。17年前に同社を立ち上げたのだが、それまで長谷工コーポレーション専務-長谷工不動産社長-長谷工アーベスト社長-長谷工コミュニティ社長を歴任している。

 いかに業界広しといえども、マンションの川上から川下まで、しかも先頭に立って活躍してきた人というのは久光氏以外にいない。「業界の名物男」と書いたのはそのためだ。

 75歳になって月に45社も回るというのもこれまたすごい。このうち定期的に回るのは15社くらいで、あとは2~3カ月に1回、半年に1回くらいのローテーションで回るのだという。「そりゃ情報の十字路に立っているわけですから神経は使いますし、いい加減な話はしません」という。

 多忙を極める久光氏に業界とユーザーに一言アドバイスを求めた。

 「デベロッパーには、価格競争に明け暮れているのはいい加減にしたらどうかといいたい。金利は安いが、景気はよくないし土地も建築費も高止まり。安価で良質住宅を供給するのが業界の使命のはず」と、もっと商品企画に力を入れるべきと話した。

 ユーザーに対しては、「プレイス、プラン、プライスの3Pが重要なのはわかりますが、50年この仕事に携わってきて、いまほどみんな立地に走っている時代はない。立地にこだわるから価格も上昇する。視点を変えれば快適な住宅が手に入る」と語った。

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 久光氏を知らない業界人は〝もぐり〟と書いたが、久光氏の趣味が〝もぐり〟というのを知っている人はそれほど多くないかもしれない。しかも、潜っていなければとっくに〝鬼籍〟に入っていたかもしれないという〝奇跡〟の人でもある(このような失礼な駄洒落が通用するのも、久光氏がいたって元気だからだ)。

 正確に言えば、〝もぐり〟はスキューバダイビングのことだ。空気を詰めたタンクを使って海の中にもぐるスポーツだ。「とにかく珊瑚も魚が美しい」と魅入られたのだそうだ。

 久光氏が九死に一生、奇跡の生還を遂げたのが2004年12月26日早朝、インドネシア・スマトラ島沖で起きたマグニチュード9.1の大地震だった。死者は約26万人に達した。

 この日、久光氏はタイの観光地プーケット沖で潜っていた。地震が起きたときも全く気が付かず、ホテルに戻って初めて大惨事を目の当たりにした。3階建てのホテルは2階まで壊滅状態で、1階に預けていた財布などもさらわれていた。

 奇跡は本人だけではない。「旅行は女房も一緒で、普段女房は部屋にいるかビーチに出て本でも読んでいるのですが、この日に限って大きなクルーザーだったので一緒に乗ることになった。女房が一緒でなかったらと思うとぞっとする」と当時を振り返る。

 着の身着のまま、ビーチサンダル履きで29日に帰国した際、真っ先に久光氏のインタビュー姿がNHKのテレビに映し出された。

 このニュースで久光氏が奇跡の生還を遂げたことを知った業界人は多いはずだ。「夜の7時のニュースで私のことが伝わると、『奥さんは大丈夫か』という連絡がたくさんありましたが、女房は(カメラクルーから)とっさに逃げましてね、映らなかったんです」

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 この惨事で懲りたのかと思いいきや、そうではない。その後もずっと潜っている。

 「わたしは暖かいところしか潜りません。夏の沖縄とか台湾、パラオ、サイパン、インドネシア、プーケットなどです。この20年間で980本潜りました。1本とはボンベのことですが、ダイバーは潜るごとに記録につけるんです。それが今年で1,000本になるんです。リゾートばかりで1,000本という人はそういないはずです。時間と体力とカネが必要なスポーツですから。この三拍子はなかなか揃わない。

 1,000本記念のTシャツも用意してます。達成したら仲間にサインをもらうんです。寝室には300本達成以降の100本単位のTシャツを飾っているんです」

 「ゴルフはダイビングを始めるのと前後して止めましたね。ダイビングには女房も連れて行くから文句を言われない」

 -「住友不動産の安藤太郎さんは98歳までゴルフをやっていました。久光さんもそれくらい続けてほしい」と水を向けたら、安藤太郎さんの話になった。

 「安藤さんとは(長谷川工務店時代の)水上社長と(専務の)私とよくやりましてね、泉カントリーです。さすが安藤さんですね、平気で自分の都合のいいようにOBラインを変えるんです。しかも、ラウンドの前後一組を開けるんですよ。せっつかれることはまったくない」-こんな話も久光氏はデベロッパーの幹部の人と話しているのだろうかと考えると、楽しくなってくるではないか。

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「日本の木 ニッポンの家具」ブース(東京国際展示場で)

 日本家具産業振興会は11月25日(水)~27日(金)、東京国際展示場で行われた「IFFTインテリア ライフスタイル リビング」で、国産材生産者、メーカー、若手デザイナーを繋ぐ「日本の木 ニッポンの家具」を出展。国産材活用の場を広げようというのが目的で、多くの家具メーカーのほか全国から公募で選ばれた27組41名のデザイナーがそれぞれの地域材を用いて展示した。

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 国産材を家具にも採用しようという機運が高まっているのは結構なことだし、初めて生産者-メーカー-デザイナーが三位一体で国産材活用をアピールするというので取材することにした。

 できれば小野由記子氏(小野意匠計画代表)かトークショーに出席された初日に取材したかったのだが、都合がつかず、最終日の27日に取材した。それでも多くの収穫があった。

 配布された資料によると、わが国の家具メーカー(100社回答)は輸入材を使用する割合が7割以上という回答が67%に上っており、国産広葉樹は量が少ないうえ、家具に適したサイズ(36~50㎝)のものが少なく、安定的に確保することが困難だとしている。

 その一方で、材料が入手しやすく、安定的で価格が安ければ国産材を使う「可能性がある」と答えたのは85%に上っていることも分かった。

 さらに、国産材活用のために何らかの取り組みを行っているのは41社あり、国産材を家具に採用する機運が高まっているという。これまで強度不足から用いられてこなかったスギ材も加工技術を生かして活用しようという動きもあるという。

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 若手デザイナーの作品をいくつか紹介する。まず、世界を舞台に活躍されているわが故郷・三重県鈴鹿市のHiroki Takada(高田浩樹)氏の作品。

 写真は北海道産のシナノキの古木を用いた作品で、箱根・彫刻の森美術館が購入を検討しており、今井敏・林野庁長官も腰かけられたそうだ。

 Takada氏の作品はニューヨークなどの美術館に多く展示されているそうだ。「ミラノサローネに出品したのがきっかけで、海外を中心に活動するようになった。わが国のようにコミュニティが濃密でないから、作品そのものが評価されるのがいい」とTakada氏が語っていたのはやや気になった。名刺も英語表記だった。

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Takada氏の作品と作品に座るTakada氏

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ヒノキ(左)と秋田杉を桶風にデザインした酒井篤志氏の作品

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鳥取の智頭杉を用いた白岡崇氏の作品

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「東京杉」を用いた伊藤洋平氏の作品

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広島・松岡製作所のキッチンと吉野杉をコラボした特注のシステムキッチン(350万円とか)

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静岡・焼津市の神野克昭氏の作品

 

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