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 長谷工コーポレーションが学生を対象とした第9回「長谷工 住まいのデザインコンペティション」を実施する。

 今年のテーマは、東京都心で緩やかな勾配のある敷地に30戸の集合住宅を想定した「100歳の集合住宅」。自由にテーマを解釈し、単なる高齢者の住宅とは違った新しい集合住宅、歳を重ねた時に豊かな暮らしを実現できる集合住宅の提案が期待されている。

 賞金は、最優秀賞1点100万円/優秀賞3点各50万円/佳作10点各10万円(全て税込、総額350万円)。昨年は201点の応募があった。

 応募資格は2015年12月31日時点で学生であること(大学院、大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、専修学校など)。登録・作品提出締切は2015年11月17日(火)必着(送付のみ受付、バイク便不可)。審査講評・表彰式は2015年12月19日(土)、ホテルニューオータニ。審査委員長は隈研吾氏。

 応募登録はデザインコンペティションホームページから。

http://www.japan-architect.co.jp/haseko/2015/

 

 国土交通省は7月6日、第6回「新たな時代の都市マネジメントに対応した都市公園等のあり方検討会」を行った。

 今回のテーマは、まちの活力と個性を支える多様な都市公園の運営のあり方を検討することで、これまでのステージだった量的ストックの拡大から、これからは人口減少、少子高齢化、地域経済の衰退などの社会的要請に応えるため、ストックの効果を高め、地域の特性を生かした賑わいのある街づくりや美しい景観、コミュニティ形成などに寄与する公園とは何かを論じることとしている。制度の柔軟な運用ができる人材の確保も重要課題とされている。

◇       ◆     ◇

 これまで数回、この検討会を傍聴してきた。記者は都市公園や造園については全くの素人だ。しかし、座長の進士五十八氏(東京農大名誉教授・元学長)をはじめとする造園や園芸、環境学が専門の先生方の話はとても面白いし、素人だからこそ考えさせられることも多い。以下、今回の検討会で論議されたことを紹介するとともに、素人の目線で課題も提起したい。

 まず、「公園等」の「等」について。進士座長は「この等が極めて重要だが、今回は都市公園にフォーカスを絞るということだから、都市公園そのものについて論議していただきたい」と話した。

 進士氏は、都市公園のほかにも豊かで美しい緑などの空間、環境をどうするかが大事だと仰っているのだと理解した。その通りだと思う。

 われわれは公園の緑も道路の附属物のようにしか扱われない緑も区別して考えているわけではない。都市公園法など読んだことがない人のほうが多いはずだ。公園のことをよく理解していないからこそ、行政に対して発言力がないし、一部のNPOとしか行政もパイプをつなげることができないのではないか。われわれも公園とは何かを考えないといけない。

 次に、進士氏のほか多くの委員か指摘した公園とは何かという哲学、専門的な知見を持つ人材確保・育成について。

 岸井隆幸委員(日大理工学部教授)は、「検討課題はそれぞれその通りかもしれないが、それ以前に街づくり全体の中で都市公園をどのように位置づけるかが重要なのに、それが欠けている」と問題提起した。

 これを受けて進士氏は、「街づくりの中心になるべき人材がいない。これでは全体をリードするものがいない」と指摘した。

 涌井史郎委員(東京都市大環境学部教授)も、「人材がいない。ランドスケープが崩壊しているのに、行政も事務的な手続きに走っている。予算も不足している。専門的にコーディネートする人材を育成するのは喫緊の課題」と話した。

 池邊このみ委員(千葉大大学院園芸学研究科教授)は、この点について「パークマネジメントとは何か考えるべき。何かやると収益、成果が求められるが、定量的にしか評価されない。美しくする、愛される街、景観として評価されるよう自治体-NPO-指定管理者が一緒になってやっていくべき。みんな内向き志向になっている」と評価制度などについても言及した。

 これらと関連することだが、地方が抱えている問題も明らかになった。

 小野敏正委員(東京都都市整備局都市づくり政策部緑地景観課課長)は、「都はいろいろなことをやっている。規制緩和がいいのか悪いのか、指定管理がいいのか悪いのか、自主管理がいいのか悪いのか、パークマネジメントは努力している」と話し、橋本健委員(横浜市環境創造局公園緑地部部長)は、「福祉や防災、共助の視点からいろいろプログラムをつくって裾野を広げる努力を行っている。人材については、いつでもだれでも判断できる基準をつくっている」などと自信を見せたが、石田尚昭委員(岡山市都市整備局審議監)は、地方都市の課題を次のように語った。

 「NPOに力がない。指定管理など無理。民間がやるとなっても、それをきちんとコントロールする人材がいない。運用することまで手が回らない」

 その一方で、国土交通省大臣官房審議官・舟引敏明氏は、「基本的には目的外に使う以外のことは管理者(首長)の判断で何でもできる。柔軟で自由度の高い成功事例を増やしていこうというのがわれわれの考え」と、自治体の創意工夫を求めた。

 また、梶木典子委員(神戸女子大家政学部教授)は、「公園は街づくりの中心にある。(以前はコミュニティ形成の核として機能していた)学校は閉鎖的になっている。いろいろなところと連携していつでも公園は自由に使えるという情報を発信していくことが必要」と、本来持つ公園の機能を引き出す力があるプロの育成を訴えた。

 自治体にプロがいないというのは記者も同感だ。これまで街路樹などについて取材してきたが、どのような樹種がどれくらい植わっているか知らない担当者がいたし、緑の質など全然考えていないような印象も受けた。自治体はランドスケープデザイン専攻の学生の採用などしていないのではないか。

なぜ農学、環境、家政学者の会合はおおらかなのか 国交省検討会(2015/3/17)

公園に保育所、マンション 岩盤規制を打ち破れるか 国交省 公園のあり方検討会(2015/2/2)

 

 創建は7月6日、会員システムによる住宅管理・運営を行なう同社グループの日本戸建管理と共に開発した「家ドック」システムが国土交通省の「インスペクションによる住宅情報の蓄積・活用推進事業」に採択されたと発表した。

 同システムは、一戸建ての管理サービスを行なう「家ドック会」が、国交省が策定した「既存住宅インスペクション・ガイドライン」に準拠した約200項目にわたるインスペクションを毎年行い、戸建て所有者が住宅の維持管理を行なうための家歴書を作成、適切なアドバイスを行なうもの。家歴書を保存・蓄積することで中古住宅の活性化や品質向上を促進するのが目的。空き家問題についても対応できるよう検討していく。

 「家ドック会」の会費は月額1,000円。1年継続するごとにリフォーム工事などに使用できる10,000円の割引サービス券を発行することで、会員は将来の修繕費用として積み立てることができる。

 現在、入会者は約70名。同社はモニター会員300名を今年度に募集し、今年度以降1,000名以上の入会者を目標にしている。

 積水ハウスは7月3日、キッズデザイン協議会主催の「第9回キッズデザイン賞」の4部門で合計7点のキッズデザイン賞を受賞したと発表した。受賞は同賞のそうせつ以来、9年連続となった。

 キッズデザイン賞は「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」「子どもたちを産み育てやすいデザイン」というキッズデザインの理念を実現し、普及するための顕彰制度。受賞作品には「キッズデザインマーク」の使用が認められる。

 同社が受賞した作品は次の通り。

<子ども視点の安全安心デザイン>

一般部門

☆高速検知住宅用火災警報器「i-FAS(アイファス)」

☆「防災未来工場」キッズ防災リーダー育成プロジェクト~自分・家族・地域を守るために~

学び・理解力部門

☆キャプテンアースの「いえコロジー」セミナー

<子どもの産み育て支援デザイン>

地域・社会部門

☆江東湾岸スマートナーサリースクール本園テニスの森キャンパス

☆共助を取り入れた子育てしやすいまちづくり~子育て共助のまち普及モデル事業~

☆従業員と会社の共同寄付制度「積水ハウスマッチングプログラム」

<復興支援デザイン>

復興支援デザイン部門

☆震災復興と環境保全を通じ、子どもたちの生きる力を育む「巣箱作り体験教室」

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「SKY TIARA (スカイティアラ)Residence in Forest」 

 住友不動産は7月3日、建設を進めていた板橋区小豆沢の大規模マンション「SKY TIARA (スカイティアラ)Residence in Forest」(全621戸)が竣工したのに伴い、報道陣向けに公開した。一般への棟内モデルルームの公開は7月11日から。ランドプランが素晴らしいマンションだ。

 物件は、都営三田線志村坂上駅から徒歩8~10分、同本蓮沼駅から徒歩9~11分、板橋区小豆沢一丁目に位置する19階建てウエスト棟456戸と13階建てイースト棟165戸の合計621戸。専有面積は57.20~88.40㎡。価格はウエスト棟が南向き74㎡で4,900万円台~5,700万円台、西向き72㎡で4,600万円台~5,000万円台、イースト棟が南向き70㎡で4,800万円台~5,800万円台。坪単価230万円。施工は大林組。

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 同社は、販売開始前に記者発表会を行っており、そのとき書いた記事を参照していただきたい。

 昨年3月にモデルルームをオープンして以来、問合せは5,000件を、来場者は2,000件をそれぞれ突破。これまでに全住戸の4割弱220~230戸が販売済み。竣工を前後して来場、成約者も当初の倍のペースに増えており、問合せ・来場者の居住地も地元中心からかなり広域に広がっているのが特徴のようだ。

 1年少しでこれくらい売れているのは売れ行きとしてはまずまずではないかと思う。当初は価格がやや高いという印象をユーザーの方も持たれたかもしれないが、今となってはかなり割安感もでてきた。広域から集客できているのも、ユーザー自身が価格の上昇を肌身に感じているからだろう。販売ペースはこれから上がっていくのではないか。

 完成したマンションについては、やはり総合設計制度の許可を受けている物件だけに、ランドスケープデザインが素晴らしい。総敷地面積約16,000㎡のうち約4,800㎡が公開空地として整備されており、シラカシ、アラカシ、ケヤキ、スダジイ、サカキなどの中高木が約1,000本植えられている。

 参考ながら、東京都は平成22年に総合設計制度の改正を大幅に行っており、緑や住宅の質、防災面での取り組みを重視するように改めた。それ以降、業界側からは厳しくなったという声が聞かれるが、それは認可件数の数字にも表れている。

 東京都全体で平成20年は37件だったものが、21年は13件、22年は14件で、改正後の23年は5件と3分の1程度に減少。24年も5件しかない。25年以降の数字はまとまっていないようだが、住友不動産のこの物件は25年に認可された案件の一つだ。

 物件全体ではレベルの高いマンションだと思う。ランドスケープデザインだけでなく、二重床・二重天井、グローエの水栓、ミストサウナ、S-マルチコア、フレキシブルプランの採用など水準以上だ。ガラス付きバルコニータイプの住戸も15戸ある。

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公開空地

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エントランス

「ティアラ」にふさわしい外観デザイン 住友不動産「スカイティアラ」(2014/2/27)

 三井不動産リアルティは7月3日、東京都サッカー協会が主催し、東京都少年サッカー連盟が主管する「東京都U-12 サッカーリーグ」に本年度後期リーグから協賛すると発表した。

 生活圏に根付いた「東京都U-12 サッカーリーグ」の活動は、地域コミュニティを大切にし、子育て世代に向けて事業展開する同社の既存住宅流通事業「三井のリハウス」の活動と通ずるものであり、より一層の地域活性化に貢献したいという思いから協賛を決定したという。

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 記者はサッカーには興味がないが、結構なことだ。興味のある方はRBA野球大会で活躍している三井不動産リアルティ、三井不動産などの野球記事を読んでいただきたい。

RBA野球大会

 

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「アールブラン東京サウス仲六郷」完成予想図

 モリモトが7月下旬から8月に分譲する予定の「アールブラン東京サウス仲六郷」を見学した。価格を抑えるためにこれまでは標準装備していた設備をオプションに変更しているが、坪単価261万円はいかにも安い。人気を呼びそうだ。

 物件は、京浜急行本線雑色駅から徒歩6分、大田区仲六郷3丁目に位置する8階建て全57戸。専有面積は55.04~86.05㎡、予定価格は2LDKが4,200万円台~、3LDKが4,600万円台~、坪単価は261万円の予定。竣工予定は平成28年3月中旬。施工はイチケン。設計・監理はIAO竹田設計。デザイン監修は南條設計室、カン・デザイニングオフィス(鈴木ふじゑ氏)。

 現地は東京電力の社宅跡地。用途地域は準工業地域で、敷地東側に変電所があり、その先に京急の線路が走っているが、その他の嫌悪施設はほとんどない。敷地北側にはスーパーが隣接。

 京急線は連続立体交差事業が行われており、雑色駅舎は改装中で駅前広場などが整備される。

 建物は、南向きと東向きのL字形で、北側からのビューが引き立つようにマリオンと縦格子の手すりなどで陰影のあるフォルムとしており、ライムストーン、2層のガラスウォールなどを配している。駐車場が100%ついており、すべて無料。賃貸も可能。

 モデルルームのデザインは鈴木ふじゑ氏が担当。カラーリングはベージュを基調に、オプションだが塗り壁、御影石のキッチン天板などを採用している。

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エントランス

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 最近の23区内のマンションは軒並み坪単価300万円を突破してきているが、記者は立地条件などからそこまではしないと読んだ。しかし、建築費も上昇してきていることから270~280万円くらいtが妥当だろうと考えた一方で、モリモトの企業姿勢からしてあるいはもっと安くなるかもしれないと期待もし、担当者には「250万円くらいでできたらいいよね」と声を掛けるつもりだった。

 結果は261万円。設備仕様は確かに落としているが、これは間違いなく安い。デザイン監修は南條洋雄氏だし、専有部のデザインは鈴木ふじゑ氏だ。(女性と一緒。後姿が美しいマンションが美しい)

 近くのグリコの工場跡地約2.3haは野村不動産がマンションを分譲する。京急蒲田駅前が坪単価320万円だったから、300万円はしないとは思うが、モリモトのマンションよりはるかに高くなるのは間違いない。

 ついでながら、話題をひとつ。今回のモリモトのマンションの近くには、同社が13年前に分譲して人気になった「クレッセント東京サウス」(113戸)がある。画家・俳優として活躍していた片岡鶴太郎氏とコラボしたのが話題になったマンションだ。当時は需要を喚起するためにタレントを起用することが流行っていた。

 片岡氏がコーディネートしたモデルルームも提案されたが、記者はモリモトの標準プランのほうがはるかに優れていると思った。 

 モリモトはその後、川崎・八丁畷でも古田敦也ご夫妻を起用したが、マイナーな立地であるにもかかわらず、千葉や埼玉からも反響を呼んだ。これも早期完売した。

 いまのモリモトはタレントを起用しなければ集客できないということは全然ない。逆にモリモトファンが積み重なっていく一方だろう。マンションデベロッパーは見習うべきだ。

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モデルルーム

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ポラス代表取締役・中内晃次郎氏

 ポラスグループの平成27年3月期連結業績は、消費増税の反動減の影響を受けたものの、分譲住宅が後半に盛り返し、プレカット事業も生産量が拡大したことなどから、売上高はほぼ前期並みを確保し、純利益は過去最高を達成した。

 売上高は1,734億円(前期比99.9%)、営業利益は104億円(同94.7%)、経常利益は111億円(同97.7%)、純利益は29億円(同117.4%)。契約戸数は分譲住宅が2,074戸(同94.1%)、注文住宅が725戸(同85.1%)。

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 同社の分譲住宅について考えてみる。契約戸数が3年連続で2,000戸を超えた。これはすごい数字だ。しかし、何を持って分譲とするのか、どこと比べるのかによって意味は異なってくるし、この2,000戸がどのような数字かも理解しがたい。

 例えば圧倒的な戸数を誇る飯田グループはどうか。同社の平成27年3月期の売上戸数は45,656戸だ。内訳は一建設が11,686戸、アーネストワンが10,183戸、飯田産業が5,858戸、東栄住宅が4,159戸、アイディホームが3,929戸、タクトホームが3,673戸だ。

 大手のハウスメーカーとはどうか。これはデータがないので分からないが、積水ハウスの分譲住宅の売上高は約1,200億円だから、1戸4,000万円として戸数は約3,000戸だ。もちろんハウスメーカーは分譲が主力ではない。

 デベロッパーとの比較はどうか。トップの三井不動産レジデンシャルの戸建て分譲戸数は899戸で、2位の野村不動産は859戸だ。今期の三井の予定戸数は800戸で、野村は850戸。予定通りであれば、野村が初めて三井を抜くことになる。3位以下は比べ物にならないほど少なく、デベロッパーの分譲戸建ては三井と野村の2強の争いになっている。

 ではいったい、ポラスはこれらと同じ土俵で論じるべきかどうか。「建てて売る」ことを分譲住宅と定義づけるなら、みんな同じだから、飯田グループが圧倒的に多く、積水ハウスなどのハウスメーカー、そしてポラスグループ、三井、野村などと続くことになる。

 しかし、記者はこれらを一括りして比較すべきでないと考えている。飯田グループの分譲住宅はここ数年全く見ていないので何とも言えないが、顧客層が重なる部分はあってもコンセプトも価格帯も商品も異なる。よって、この飯田グループは比較対象としない。ポラスグループが飯田グループと競い合う意味は全くない。

 となると、他のハウスメーカーや大手デベロッパーと競い合うべきだと思う。弱点はある。やはりブランド力は全国展開している大手ハウスメーカーやデベロッパーにはかなわない。ポラスの商圏は埼玉、千葉、それと都内の東武東上線、西武線、城東エリアなどに限られている。

 この主戦場でどう他社との競合に打ち勝つか。記者は十分勝算はあるとみている。商品企画がいいからだ。

 戸数が少ない現場でも街づくりに力をいれているのがその一つだ。住宅のトラブルに際して迅速に対応できないエリアでは事業を行わないという企業姿勢も同社の大きな強みだ。

 住宅そのものの商品企画でも他社より優れているものが少なくない。例えば天井高。同社は1階の天井高2700ミリを標準としている。これは圧倒的な強みだ。無垢材を建具や作り付けの家具に積極的に採用しているのも差別化につながるし、収納などにも工夫を凝らしている。また、以前から入居者同士のコミュニティづくりにも力を入れている。

 ここ1、2年、同社は都内でも数カ所分譲しているが、どこも売れ行きは好調だ。ユーザーに支持されている証だ。記者も大手と互角に戦える商品企画だと思う。

 こうした強みをどうアピールしていくかだが、ここに同社の課題があるように思う。阿波踊りに加え、サッカーの浦和レッズのスポンサーになったことで知名度はかなり浸透しているだろうが、〝ポラスの住宅〟とは何かをわかりやすく伝える工夫が必要ではないか。ブランディング強化に期待したい。

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決算説明会で紹介されたポラスグループ社員で女子サッカー「レッズレディース」の選手。左がDF(ディフェンダー)の千葉望愛さん(経営企画部 経営企画室 広報チーム所属)。右がGK(ゴールキーパー)の池田咲紀子さん(総務部 サービス課所属)

 

 都心も郊外もすさまじい売れ行き-6月29、30日の両日、三菱地所レジデンス、東急不動産、東京建物、フージャースコーポレーションの4社はそれぞれマンションの即日完売のリリースを発信した。都心も郊外も極めて好調な売れ行きを見せている市況がより鮮明になってきた。

 三菱地所レジデンスが即日完売したと伝えたのは「ザ・レジデンス津田沼奏の杜」(全869戸)の最終分譲12戸で、競争倍率は最高8倍、平均3.5倍だった。津田沼駅から徒歩7分の全869(事業協力者住戸187戸含む)で、価格は3,718万~4,488万円(専有面積約60~70㎡)。事業主は同社のほか野村不動産、三井不動産レジデンシャル。

 今回の即完によって、津田沼駅南側で進められている土地区画整理事業地「奏の杜」地区では、2011年12月に分譲開始された第一弾の「ザ・パークハウス津田沼奏の杜」(全721戸)をはじめ「ザ・パークハウス津田沼奏の杜テラス」(全62戸)、「パークホームズ津田沼奏の杜」(全48戸)、そして今回の物件と合わせ1,700戸が3年半の間に完売したことになる。年間に500戸近いペースだ。

 区画整理事業によって街並みが整えられ、都心へもアクセスがいい割に坪単価が200万円前後に抑えられているのが人気を呼んだ。

 同社の杉山博孝社長は7月1日、平成27年の路線価が発表されたことを受けて、「住宅事業においては、好調な株式市場、景気の回復等を背景に、分譲マンションの取得需要は引き続き旺盛で堅調に推移している。『本当に良いものにはお金を払う』顧客が増えてきているとの実感がある」とコメントしている。

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 東急不動産が即完したと発表したのは「ブランズタワーみなとみらい」(全228戸)の第1期150戸で、最高19倍、平均2.4倍だった。専有面積は43~120㎡、価格は4,570万~2億2,870万円(最多価格帯6,500万円台)、坪単価440万円。

 この物件については人気になるのは予想されていたことだが、坪単価が400万円をはるかに越えていることには驚かされた。億ションなどの単価が高い住戸が全体の単価を引き上げている要因だろうと思われるが、昨年当たりは坪380万円くらいではないかと業界内では噂されていただけに、すごい上方修正だ。

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 東京建物の即完マンションは「Brillia日本橋三越前」の全44戸。専有面積は51~72㎡、価格は5,400万~1億90万円(最多価格帯8,800万円台)。最高倍率は13倍。登録者は50歳代~60歳代が約47%で、海外からも5%あった。

 この物件も人気にはなるだろうと予想していた。すぐ側で、野村不動産が分譲した「プラウド日本橋三越前」(88戸)が驚異的な人気を集めていたからだ。年齢の高い方が多数申し込んだというのは、やはり「三越」に歩いていけるという利便性だろう。女性の目線で商品開発する「Bloomoi(ブルーモア)」の企画もヒットしたのだろう。

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 フージャースコーポレーションが即完したのは「デュオヒルズつくばエンブレム」(全352戸)の第1期・第1期2次の110戸。

 つくば駅から徒歩4分で、駅までペディストリアンデッキで結ばれている一等地の立地で、20階建て免震マンション。デザイン監修は光井純氏。リリースには価格が公表されていないが、坪単価は170万円台の半ばにとどまっているはずだ。記者は極めて割安感があると見ている。つくば市では大量の官舎が廃止されることになっており、その受け皿としても注目されているはずだ。

予約殺到 三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス津田沼奏の杜」(2011/10/6)

プラン・設備がいい 坪400万円は納得 東急不動産「みなとみらい」(2015/5/13)

“プラウド”に挑戦状 ほぼ同じ単価で「Brillia日本橋三越前」(2015/4/25)

驚!問い合わせ4500件突破 野村不動産「プラウド日本橋三越前」(2015/2/27)

フージャースコーポつくばセンター地区最後の一等地で「エンブレム」(2015/5/1)

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最優秀賞を受賞した山本氏(左)と村松氏

 ポラスグループのポラスは6月29日、「第2回POLUS-ポラス‐学生・建築デザインコンペティション」の公開審査会を6月25日に開催し、最優秀賞(1点)、優秀賞(1点)、入選(3点)、佳作(6点)が決定したと発表した。

 最優秀賞は、村松佑樹氏(東京理科大学大学院)・山本大地氏(同)の「衣替えする住宅」、優秀賞は山﨑基弘氏(大分大学大学院)・村上大昴氏(同)・大堂麻里香氏(同)の「つもる蔵詩」。

 最優秀賞を受賞した村松氏は「僕たちが表現したかったことが実際の建築としてより良いものになるよう、今後も2人でブラッシュアップしていければと思っています」と、山本氏は「ここで満足するのではなく、これからも良いものを設計していきたいと思っています」とそれぞれ喜びを語った。

 審査員長・青木淳氏(青木淳建築計画事務所)は、「街の問題、住宅の問題、人が集まって住むということに対して木造建築で応えていくということを本コンペでは問うています。昨年の第1回と比べると、今回の第2回はより具体的な課題になりました。447の応募作品があった中、本日の5作品はどれも素晴らしいものでした」と講評した。

 ポラスグループ代表・中内晃次郎氏は、「このコンペが少しずつ学生の皆さんに浸透してきているように感じ、嬉しく思っています。入賞された5作品はテーマに沿ってたくさんのアイデアが盛り込まれており、非常に素晴らしいものでした。今回のコンペも『木造』にこだわらせていただきました。木造にこだわり続けていくことで、木材産業、住宅産業に対する社会や学生の皆さんの理解を深めていただき、今後の日本の建築文化・住文化・住生活をより良くできればと思っています。『作品の実物件化』も進めております」と挨拶した。

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入賞者と審査員のみなさん

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 今回の公開審査会は都合で取材できなかったので、ニュースリリースをコピー&ペーストするしかないのだが、やはり審査会の模様を生き生きと伝えることはできない。リリースに添付されている受賞者の作品を読み込もうとしたが、ぼやけて中身を理解することはできなかった。

 同社は昨年の第1回の全応募作品(458作品)の中から1作品を「三郷中央」で実物件化することを進めており、11月に分譲することになっているので、必ず取材してレポートしたい。

ポラスが学生・建築デザインコンペ 458作品が応募、5作品が入選(2014/8/6)

 

 

 

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