三菱地所レジデンス「ザ・パークハウスグラン千鳥ケ淵」が即日完売
坪単価800万円でも最多27,000万円台でも平均5倍
、「ザ・パークハウスグラン千鳥ケ淵」(完成予想図)
三菱地所レジデンスは9月17日、「ザ・パークハウスグラン千鳥ケ淵」(全73戸、分譲戸数22戸)が9月16日に抽選分譲した結果、最高13倍、平均5.1倍で即日完売したと発表した。
価格は16,000万~54,200万円(最多価格帯27,000万円台)、専有面積は72.26~179.17㎡、坪単価は800万円。最高13倍をつけたのは16,900万円の1LDKの住戸で、54,200万円の住戸も10倍の競争倍率となった。
登録者の年齢は30代(6.6%)、40代(16%)、50代(32%)、60代以上(43%)。居住地は千代田区16.5%、港区12.9%、渋谷区4.9%。
同社によると、お客様から評価された理由として、「千代田区三番町に位置し、全住戸から千鳥ケ淵と皇居の森を望む、全戸南東向きの配棟計画」を第一にあげている。
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平均5倍の競争倍率と最高価格住戸に10倍の倍率がついたのには驚いたが、即日完売はある意味では当然だ。
今だから書くが、この物件の記者発表会があった日、記者は30分の余裕をもって発表会場に向かった。近接する三井不動産レジデンシャルの「千鳥ケ淵」をみて、そして同社の物件の現地を観察して、坪単価を予想するためだった。そこで出した結論は、「絶対に三井の778万円を抜く」というもので坪800万円だった。「唯一無二」の立地にふさわしい価格設定が出来ないようであれば、三菱は永遠に三井を抜けないだろうと思った。
道に迷ったため、会場には30分くらい遅れた。すでに単価が発表されていると思い、近くにいたスタッフに「坪単価は800万円? 」とメモして渡した。その通りだった。今回の即日完売で、高額マンション市場に三菱は大きな楔を打ち込んだ。
それにしても、最高価格の住戸に申し込んだ10人はどのような人だろうか。同じような「唯一無二」のマンションはこれからどこがどこで分譲するのだろうか。
スター・マイカ マンション管理組合での議決権行使ガイドライン
リノベーション中古マンションの販売を手掛けるスター・マイカは9月13日、「マンション管理組合における議決権行使ガイドライン」を公表した。
同社は東京都、神奈川県を中心に年間400 室程度の中古マンションをリノベーションし、販売しており、将来の商品となる賃貸中の物件を含めると現在約1200 室の中古マンションを保有している。同社が同一マンション内に複数戸を所有するケースでは、管理組合総会での議案の賛否に大きな影響を及ぼすこともあることから、「ガイドライン」を公表した。
「ガイドライン」では、同社が保有・管理する不動産の価値の増大を目的とし、「他の組合員の良好な関係を維持し、マンション住民の総意を優先すべく、理事会を尊重した『全体の視点』から判断」し、原則として総会、理事会提案に賛成するとしている。原則として、同社が管理組合総会に出席して意見・質問を述べることなどは行なわないとしている。
日土地 〝業界最高水準〟の共用部を備えたシェアハウス第2弾「船橋」
本格的な音楽スタジオ3室を併設
「(仮称)西船橋シェアハウス計画」外観(完成予想図)
日本土地建物は9月13日、同社のシェアハウス第二弾「(仮称)西船橋シェアハウス計画」を着工したと発表。シェアハウス業界では最高水準の共用部をもつ建物で、ホテルライクな広々とした共用部、さらに完全防音仕様の「音楽スタジオ」を併設。個人練習からバンド演奏まで幅広く対応可能な本格的な音楽スタジオを3 室を設置した。完成予定は2014 年2 月中旬。募集は2014年1月から。第1弾は2012年竣工の「シェアリーフ千歳烏山」(87戸)。
物件は、東京メトロ東西線西船橋駅から徒歩12分、船橋市本郷町に位置する敷地面積約2,000㎡、建物は5階建て全85室。企業の研修所だった延床面積約1,100坪の建物をリノベーションするもの。
個室は最低9.6畳大で、最大は15.8畳大。ベッド、冷蔵庫、デスク、椅子、クローゼット、空調、照明が完備。リビング・ダイニングは74畳大、キッチンは49畳大、多目的室は53畳大ある。
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シェアハウスについては、流行のはしりだった十数年前、何件か見学取材をしている。ひと言で言えば玉石混交。ひどいものは、民家を改造したもので、一人の居住スペースは2畳あるかどうか、まるで〝たこ部屋〟(実際にたこ部屋なるものを見たことはないが、おそらくそのようなものだっただろうと想像したのだが)だった。〝火事でも起きたらどうなるのだろう〟とぞっとした。当時は「貧困ビジネス」という概念はなかったが、そのはしりでもあったのだろう。
これが〝石〟なら〝玉〟は企業の独身寮をリノベーションしたもので、建物も共用施設も充実していた。
まだ業界などがなかった頃だが、自主規制基準を設置しないと早晩、社会問題になるだろうと思ったものだ。
あれから十数年。同社のニュースリリースによると、2000年には80棟だったシェアハウスは2011年には836棟に達しているという。国交省などが調査、指導に乗り出しているのは当然だ。劣悪なものは、改造に携わった建築士はもちろん、ガス・水道の供給を止めるぐらいの措置も必要だと思う。
その一方で、同社のような大手が立派なものにリノベーションするのはよく理解できる。シェアハウスに居住する40歳代の女性は、「居住スペースは6畳大しかないが、リビングなど共用部分がとても充実している。隣の人にはもちろん気は使いますが、共同生活をするのですから当たり前のこと。逆に風邪を引いたときなどは、お互い助け合える」と話している。
「音楽スタジオ」完成予想図
〝宮脇檀さんにまた会えた〟 積水ハウス「コモアしおつ」
「コモアしおつ」 「トリコパルク」街区
平均70~80坪の広さと植栽計画が特徴
「四方津」を「しおつ」と読める人はそれほどいないはずだが、記者はパブロフの犬のように「しおつ」に条件反射して積水ハウス「コモアしおつ」を見学した。十数年ぶり、造成中を含めると5度目の見学だったが、別荘風の「トリコパルク」を含め約80haの団地を電動アシスト付き自転車で隈なく回った。
物件は、八王子駅から約30分、JR四方津駅を降りて、全長約209メートル、比高差約89メートルを上り下りする斜行エレベータに乗って約5分の山梨県上野原市コモアしおつに位置する開発面積約80ha、予定区画数1,413区画。平成3年から建売住宅や停止条件付き宅地分譲が行なわれている。これまでに1,347区画が分譲済み。
故・宮脇檀氏が基本設計を担当した団地として知られており、ループ状の道路、ボンエルフなど人に優しい街づくり、1区画平均70~80坪のゆったりした区画割が特徴の団地だ。管理組合を設け、共用施設の維持・管理を行なうのも戸建て団地としては先進的な取り組みだった。
「時計のこうえん}(左)と街並み
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団地見学会はプレハブ建築協会が9月13日に実施したものだ。記者は忙しくて参加申し込みしなかった。ところが、前日、積水ハウス「グランドメゾン狛江」を取材したとき、同社の広報担当者から「しおつ」の名が出たとき、条件反射を起こした。過去4度も取材しているように「しおつ」が好きなのだ。それでも1度は断ったのだが、当日に飛び入り参加することを決めた。バス乗り場の新宿西口に着いたのは出発予定の20分前だったが、乗り場が分からず、結局電車で向かった。
現地に着いた11時ころにはすでに見学会は終了していた。ここで、同社から思いがけないプレゼントがあった。電動アシスト付き自転車を貸してくれたのだ。自転車などもう10年近く乗っていない。こぐのが大変だからだ。恐る恐る乗ってみたら、これが速い。団地内の公道は制限速度30キロの表示があったが、車でも追い越せると思った。
この電動アシスト付き自転車のお陰で、徒歩なら数時間かかるはずの取材を1時間30分ぐらいで済ますことが出来た。1丁目から4丁目まで隈なく回った。その成果が写真だ。取材目的の一つだった「宮脇さんに会う」こともできた。つたない記事より写真のほうがよく分かっていただけると思う。
外周道路と街並み
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街路計画では、外周約2.5キロの道路はループ状にし、舗道にはボンエルフ、ハンプ、ピンコロ、インターロッキングを多用。路地空間も設置し、角住戸のコーナーにはカエデなどの色彩鮮やかな草木を配するなどデザインにも工夫を凝らしている。
街路樹・公園樹にはカエデ、ユリノキ、アメリカフウ、マロニエ、モミジ、カツラ、メタセコイア、コブシなどの中高木が植わっている。
車の運転手には注意を促し、歩行者には絵画的な手法で魅せる、宮脇氏の遊び心を見るような団地だ。宮脇氏が手がけた代表的な団地としては東急不動産の〝アイビーとレンガ〟の「柏ビレジ」があるが、「コモアしおつ」こそ宮脇氏の集大成の団地だ。このほか、宮脇氏が手がけた出色の団地としては「ホーメストタウン八王子」「季美の森」「高幡鹿島台」「緑園都市」などがある。
「トリコパルク」は仏語の「トリコット(編み物)」と「パルク(公園)」をあわせた造語だ。完全なオープン外構で、開放的な街並みを実現しているのが特徴。同じコンセプトの街並みは同社の他の団地でもいくつか見学している。
「トリコパルク」の街並み
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平成3年の分譲開始からずっと担当している同社東京分譲事業部しおつプロジェクト課長・岡本正生氏に話を聞いた。
岡本氏は都心の青山に住んでいる。わざわざ1時間半以上もかけて四方津まで通っている。「自分で担当を志願した」。その理由を「1区画80坪という圧倒的な広さと環境に惚れ込みました。他では味わえない楽しさがあった」と岡本氏は話した。
不動産のプロの岡本氏を心酔させるしおつの魅力は記者も理解できる。1区画80坪の団地は地方には沢山あるだろうが、首都圏では昭和50~60年代にはほとんど姿を消した。平成の時代には都市型戸建てが主流になったからせいぜい30~40坪だ。
立地を考えれば、販売スピードは驚異的ですらある。冒頭に書いたように、現在までに1,347区画成約済みだ。年間に換算すると約60戸を成約している計算になる。バブル崩壊後の首都圏の郊外団地では年間20~30戸を販売するのがやっとだったことからも、この団地の健闘がうかがえる。
なぜ売れるのか。時代の変化に対応し、取得しやすい価格帯になってきたのが最大の理由だろう。分譲当初は確か5,000~7,000万円台だったはずだ。それが最近では3,000万円でも取得できる住戸があるという。「ここ数年は20歳代、30歳代の若い世代の購入が増えているのが特徴。大月や上野原に住む親世帯が『資金援助するからしおつに住め』と勧めるケースが多い。団地内で親子が近居するケースもある」と岡本氏は話す。
岡本氏
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4年前に府中から移り住んだ元システムエンジニアの65歳の居住者が、街の魅力を代弁した。
「60年間、府中に住んでいたが、たまたまネットでみここの中古情報をみて現地見学したら、積水ハウスの営業マンに『土地も新築もある』といわれ、土地を購入しようと考えたが、面倒になり建売住宅を買った。値段も4,000万円を切っていた。府中の家もまあ広かったが、夏の西日で室内は50度になった。ここは西側に山があるので西日も入らない。快適だよ。ここは塀がないのもいい。不便? 新宿まで70分、住めばどういうことはない」と。
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今後、この街がどうなるのかも大きな関心事だ。街づくりは最終段階に入った。街の管理は積水ハウスが支援し、管理組合や自治会が中心になって進めていくのだろうが、果たして持続可能な街として機能するかどうか。
岡本氏や住民、市役所などに聞くと、この街は人口も増加しており、隣の大月市民にも人気だという。しかし、高尾あたりの昭和の時代に建設された大規模団地は居住者の高齢化が進み、空き家の発生やコミュニティの崩壊も懸念されている。「しおつ」も成り行きに任せれば、この問題に突き当たるのは必至だ。
積水ハウスは「まちづくり基本方針」として「環境マネジメント」「経済マネジメント」「生活マネジメント」「タウンマネジメント」の4つを掲げる。「経年美化」の看板が評価されるのはこれからだ。
「斜行エレベータ」(同社ホームページから)
野村不動産 「南阿佐ヶ谷住宅」建て替えで合意
完成予想図
野村不動産は9月12日、安藤ハザマと共同で事業参画している「阿佐ヶ谷住宅建替え計画」で全員合意が得られ、等価交換方式で建て替えを行なうと発表した。平成26年秋に工事着工し、平成28年内の建物竣工を目指す。
「阿佐ヶ谷住宅」は東京メトロ丸の内線南阿佐ヶ谷駅から徒歩5分、南側には善福寺川緑地が広がる、閑静で緑豊かな環境に恵まれた低層住宅街に位置。敷地面積約5ha、2階建て連棟式のテラス(タウン)ハウス45棟と3~4階建て階段室型の中層団地7棟で構成された総戸数350戸の団地。竣工は昭和33年。
平成7年に再開発委員会が発足し建て替えの検討が進められ、平成21年に「成田東4丁目地区」地区計画の都市計画が決定された。土地の権利形態が明確に整理されておらず、複雑に入り組んでいたため「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」の適用が難しく、権利者全員の合意による等価交換方式を採用した。地権者は約150名。同社は平成15年から事業参画していた。
建て替え後は2~6階建て約580戸(うち分譲住戸約380戸)になる。設計・コンサルタントはINA新建築研究所。
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数年前に現地を歩いたことがある。駅から現地までのアプローチはそれほどよくないが、現地そのものは善福寺川緑地に隣接。極めて良好な住環境にある。価格は同社の「桜上水」よりはるかに高くなりそうだ。
里山を見るような見事な植栽 積水ハウス「グランドメゾン狛江」竣工
「グランドメゾン狛江」中庭(左は樹高20mはありそうなヒマラヤスギ)
積水ハウスの「グランドメゾン狛江」が竣工したので見学した。昨年の6月にモデルルームを見学したとき、竣工したら必ずもう一度見学しようと決めていたマンションで、そのとき書いた記事が間違いでないことを確認するのが目的だった。間違いでないどころか、想像以上の出来栄えだった。
物件は、小田原線狛江駅から徒歩6分、狛江市和泉本町1丁目に位置する9階建て・14階建て全524戸の規模。建物は7月12日に竣工済み。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。
現在分譲中13戸の価格は4,400万~5,790万円(最多価格帯4,400万円台)。平均坪単価は210万円。約85%が契約済み。
「里山遊歩道」(日照りが続いたが、枯れている草花はほとんどなかった)
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昨年6月に書いた記事を紹介する。記事は「ダブル創エネ」についてはリリースを参照していただきたい」としたうえで、次のように書いた。
「敷地は、開発面積約20,000㎡を超える東京航空計器の跡地だ。敷地内にあった高さ20mを超えるヒマラヤスギやケヤキ、イチョウなどの既存樹約100本を残したほか、約18,000本を植樹するとのこと。生態系の再生を目指した〝3本は鳥のために、2本は蝶のために〟という同社の「5本の樹」計画に基づくもので、外周を里山遊歩道で囲い、多摩川の情景を再現した多摩川ガーデンや2カ所の提供公園などを配している。
建物は、板状にせず分節し、公道に面した敷地南側や西側は中層とし、さらに雁行させることによって日照・通風に配慮するとともに圧迫感を軽減している。
子供から大人まで楽しめる『絵本ライブラリー』を共用部分に設置するほか、子どもの五感を刺激する『こどもOSランゲージ』を住まいに具現化した「五感スイッチ」も敷地内に盛り込む。更に、共用棟の屋上は緑化を施し、テラスや菜園、コミュニティ施設が計画されている。
住戸プランでは、通風性に配慮し玄関横に通風用小窓が設置してある他、リビングダイニングルームには、屋外とつながる大型のサッシを採用。最大約3.3メートルのバルコニー付きや、『インナーバルコニー』と名づけた奥行き約4メートルのバルコニーに面したリビング・ダイニングはバルコニーとリビングが一体として利用できるようにしている。
このほか建具・面材の仕様も高く、床は突き板を採用。デザイン性に優れた洗面室や〝洗面室3点セット〟の提案もいい。都の『マンション環境性能表示制度』では、満点の☆15個に1つだけ欠ける14個を獲得している」
次のようにも書いた。
「マンションの植栽計画では同社の右に出るデベロッパーはいない。これまで分譲した『東京テラス』(1,036戸)『グランドメゾン杉並シーズン』(684戸)『玉川上水グランドメゾン』(318戸)『グランドメゾン東戸塚』(743戸)などにも感嘆したが、今回は建築中の段階でも、完成後の素晴らしい景観が見えてくるようだった」
里山の谷川を連想させる中庭(このように自然に近い状態の中庭をつくるのは同社だけだろう)
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完成済みのマンションを見て、基本的に変更する部分はない。「完成後の素晴らしい景観が見えてくるようだった」ということについて、写真をたくさん撮ったので紹介しよう。
まず、敷地の外周部に配された公開空地と「里山遊歩道」。計ったわけではないが、「里山遊歩道」は総延長約300メートル。幅は5~10メートル。「東京テラス」は植栽帯が道路面より数十センチ高いところに設けられていたが、こちらは足元に四季折々の草花を眺められるようになっている。
提供公園には高さ20mを越えるヒマラヤスギが植わっていた。建物の雁行部分には既存のイチョウの大木が移植されていた。
中庭がまたすごい。どこの山に登っても見られるような堆積岩(都賀石)が谷川を連想させるようにアトランダムに配置されていた。まさにわが故郷の里山がそこにあった。
エントランス(左)とラウンジ(床は無垢材)
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同業ですら積水ハウスのマンションを見たことがない人は多いだろうから、ましてや一般の方は、同社のマンションを見たことがない人が圧倒的に多いかもしれない。買う買わないはともかく、見せてはくれるだろうから、一度見学を勧める。
このマンションによく似たマンションがこれから分譲される。同じ長谷工コーポ施工の東急電鉄「ドレッセ二子新地」だ。こちらは田園都市線二子玉川駅から一駅先のやはり工場跡地。若干、敷地規模は「狛江」より小さいがそれほど差はない。単価は240万円。二子玉川の相場は350万円を越える。
「狛江」も成城学園前駅から2つ目の各駅停車駅。成城の分譲事例は最近はないが、やはり坪400万円近い。多摩川も徒歩圏だ。
完成後の建物を案内してもらった同社東京マンション事業部販売部部長・伊藤啓一氏は「当初は小田急沿線の方の来場・成約が中心だったが、渋谷駅も下北沢で乗り換えれば新宿までの18分より近い14分ということから、田園都市線の居住者の来場も増えているいる」とのことだ。伊藤氏は、「このマンションは『東京テラス』『杉並シーズン』『東戸塚』などの集大成として位置づけている。他のマンションのような10年後の植栽が竣工時でも確認していただけるはず」と物件の特性について話した。
「二子新地」か「狛江」か。悩ましい選択だ。
中庭に面した住棟の外観
住棟の直ぐ側にヒマラヤスギの巨木
遊歩道に咲いていたアオイ
狛江市役所前のヒマラヤスギ(街路樹はかくあるべし)
ランドプラン評価され「高度許可」を取得 東急電鉄「ドレッセ二子新地」(8/30)
植栽計画が見事な積水ハウス「グランドメゾン狛江」(2012/6/6)
オリンピック招致決定 都民報告会に6000人
都民報告会に集まった参加者
「オールジャパンの勝利」猪瀬都知事
2020年オリンピック・パラリンピック開催都市決定 都民報告会に6000人-東京都スポーツ振興局とオリンピック招致委員会は9月10日夜、都庁都民広場で開催決定の都民報告会を開き、都民ら約6000人とともに招致決定を祝った。
冒頭、挨拶に立った猪瀬直樹都知事は、「ただいま。ブエノスアイレスから戻りました。皆さんの声援は届きました。みなさん、都民と国民、アスリート、政財界、その他のすべての団体の声援のお陰で2020年のオリンピック・パラリンピックの東京開催が決まりました。オールジャパンのチームが勝ったのです。9月8日は歴史に刻まれます。伝統のあるこの国が新しい歴史をつるのです。希望をつくって、元気を出して頑張りましょう」と呼びかけた。6000人の参加者は万来の拍手と歓声で応えた。
報告会には水野正人・招致委員会副理事長兼専務理事、太田雄貴・オリンピアン、佐藤真海・パラリンピアなども出席した。
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参加者にオリンピックに期待する声を聞いた。
・25歳の女性会社員 日本全体が明るくなって欲しい
・40代・50代・60代の女性三人組 元気になって欲しい。後世、子ども世代に希望をつなげたい
・お父さんと一緒の12歳の少年 みんなで観戦し、国際交流もしたい。英語? うん、勉強する
・73歳の飲食店経営者 上から末端まで経済効果が波及することを願っている。私は、ここ(新宿)で育った。ここ(都庁)は浄水場だった。最初のオリンピックのときは、板前の修業で全然見ることができなかった。今日は私の誕生日。あと7年、間に合うかどうか
クス玉割り
三井不動産レジデンシャル「パークホームズ清澄白河」第1期1次49戸が即日完売
「パークホームズ清澄白河」完成予想図
三井不動産レジデンシャルは9月10日、「パークホームズ清澄白河」第1期1次49戸を8月3日に抽選分譲した結果、即日完売したと発表した。
東京メトロ半蔵門線水天宮駅から徒歩9分、江東区佐賀2丁目に位置する15階建て全159戸(うち販売戸数95戸)。専有面積は53.42~92.29㎡、価格は3,908万~8,778万円(最多価格4,800万円台)。坪単価は254万円。施工は三井住友建設。来場者は約310組。
申込者の平均年齢は41歳。家族数は平均2.6人。職業は会社員が63%。
桜上水団地の建て替え 野村不動産・三井不動産レジデンシャル「桜上水ガーデンズ」
「桜上水ガーデンズ」鳥瞰図
分譲坪単価は「月島」や「富久町」と同じ330万円 調布より高い?
野村不動産と三井不動産レジデンシャルは9月10日、旧住宅公団「桜上水団地」の建て替えマンション「桜上水ガーデンズ」の記者発表会を行なった。1964年の東京オリンピックの翌年に竣工した17棟404戸を9棟878戸に建て替えるもので、全棟免震構造を採用、約4.7haの広大な敷地を生かした住棟配置が特徴。
物件は、京王線桜上水駅から徒歩3分、世田谷区桜上水四丁目に位置する6~14階建て全878戸(非分譲364戸含む)。専有面積は58.48 ~ 111.84㎡、価格は未定だが、坪単価は330万円前後になる模様。入居予定は平成27年8月下旬。設計・監理は日建ハウジングシステム。施工は大林組・清水建設。
敷地が位置する地域の建ぺい率は60%、容積率は200%で、地区計画によって高さ制限が45mに定められていることもあって、建物の建ぺい率は約41%、容積率は約161%に抑えられている。広大な敷地を生かして既存樹約180本を残し、新たに約360本の高木を配し、緑を再生した。全住戸の54%に相当する476台の駐車場は全て建物内と敷地内の地下に配し、人工地盤上の緑化も図っている。
住戸プランは3戸から5戸に1基の割合でエレベータを設置し、両面バルコニータイプを多く取り込んだ。天井高は約2.6m。2.2mのハイサッシも採用している。
モデルルームは今週末からオープンし、11月に第1期(マックスで278戸)を分譲する。資料請求は約5,000件で、京王線沿線だけでなく山手線内の居住者の問い合わせも多いという。
従前団地は、平成元年に建て替えを目指す「考える会」が発足。バブル崩壊を経て同18年に建て替え決議を行なったが、全体の5分の4の同意は取りつけたものの、棟別の3分の2以上の同意が得られず成立しなかった。結局、同21年の3度目の集会でようやく建て替え決議が成立した。両社は同14年から事業協力者として参画していた。
発表会に臨んだ野村不動産 執行役員 開発企画部住宅事業本部 プロジェクト開発グループ担当の松崎雅嗣氏は「これまで大変な苦労があった。法を整備して建て替えの迅速化を図るべき」と語り、同部マンション建替推進部長の森重克人氏も「全員合意を前提とする一団地認定の廃止に4年も要した。13人17件を裁判に持ち込まざるをえなかった」と、建て替えを迅速に進める法の整備を訴えた。
エントランスゲート
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もっとも注目したのが坪単価だった。関係者から単価は300万円をはるかに越えるということは聞いていたが、京王沿線に三十数年住む記者にとっては「これは高い」というう印象を受けた。同沿線でもっとも街のポテンシャルが高いのは調布、府中、聖蹟桜ヶ丘で、街の機能が揃っているのは多摩センターだ。住むにはいい街では千歳烏山、仙川、若葉台あたりか。明大前は便利だが、富裕層・アッパーミドルが住む街ではない。
桜上水もいい街ではあるが、商業施設など生活利便施設が乏しいのが最大の難点だ。坪330万円というのは「富久町」や「月島」と同じ単価だ。「武蔵小杉」よりも「晴海」よりもはるかに高い。同じ京王線では三井不動産レジデンシャルの「浜田山」が坪単価400万円だったが、こちらはいかにも富裕層向けのマンションだ。近く調布駅前で分譲される再開発マンションはひょっとすると300万円を切るかもしれない。
この単価設定について「高くないか」と質問した。同社広報部長の北井大介氏は「マンションの価値は単価だけではない。二度と出ない立地で、免震や緑化も図った。最上級のマンションで、価格は妥当と考える。お客さまにも評価されるはず」と答えた。確かに。北井氏が話したように、高いか安いかはお客さんが評価することだ。
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話題を提供しよう。このマンションの設備仕様は野村不動産の「プラウド」でも三井不動産レジデンシャルの「パークホームズ」でもない。事業比率は公表されていないが50:50のはずだ。まさか「アトラス ブランズタワー三河島」のよう「プラウド桜上水パークホームズ」などの名称は付けられないだろうが、双方のブランド名がないのも「おやっ」と思った。これは組合の意向だろう。
さらにもう一つ。この前の「富久町」では「第九」がBGMに使用されていたが、今回はバッハの有名な「G線上のアリア」のバイオリン独奏音楽が流れた。
記者は来年、野村不動産が仙川で分譲する駅7分の275戸のマンションに注目している。単価にして「桜上水」より50万円は安いはずだ。こちらは何とか京王線のサラリーマンにも手が届くか。「桜上水」と「仙川」は競合するのかしないのか。
中庭
東京建物「Brillia Tower池袋」はなぜ売れたか
「アベノミクス・豊島区ナンバー一」に反応した富裕層・アッパーミドル
当欄でも紹介したが、東京建物・首都圏不燃建築公社「Brillia Tower池袋」全322戸がわずか7週間で完売した。7,000万円超の住戸が80%以上で、2億円台の住戸2戸も8倍と6倍の競争倍率をつけ、現金での購入も4割あったというから驚きだ。平均の競争倍率が2.7倍というのは、倍率優遇があったバブル期なら10数倍になる。
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実はこのマンションについては、人気になりそうな7月あたりから「なぜ、なぜ、なぜ」という疑問が澱・トゲのように心にわだかまっていた。記者発表時のときに予想した「坪単価330万円」をはるかに上回る「340~350万円になりそうで、それでも売れる」という情報を関係者から聞いたからだ。最多価格帯にすれば500万円の差だ。単価予想には絶対的な自信があっただけに、それが覆されることにショックを受けた。
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この疑問が、6日に行われた「契約者来場イベント」の取材でいくらか解けた。単価予想を外した理由、どうして人気になったかの要因が分かったからだ。
まず単価から。記者は「区庁舎との一体開発」「隈研吾氏のデザイン監修」「駅直結」「堅固な建物」などは評価しつつも、「池袋駅圏」をマイナス評価した。アッパーミドル・富裕層が住む街ではないと判断したからだ。
ところが、購入者の判断は異なっていた。確かに池袋駅圏のマンションではあるが、繁華街の池袋ではなく、文京区に近い豊島区のナンバー一のマンションであるとユーザーは判断したようだ。確かに、これまで池袋駅周辺を含め豊島区ではアッパーミドル・富裕層の心を動かすマンションはあまり供給されてこなかった。地元から離れたくない方が港区や渋谷区、湾岸の高額マンションに興味を示さないというのもよく分かる。
その典型的な例の方から話を聞くことができた。石神井公園の一戸建てに住む購入者の一人、元会社経営者のAさん(84)だ。
Aさんは「自宅の手入れは2人では手に負えなくなってきた。もう終活の一つですよ。息子と一緒に二つ買ったから2億円。ローン? 私にはローンを借りる資格はない。自宅の売却?将来的にはあるかもしれないが、今回の購入には関係ないし、消費増税も関係ない。分相応の税金を払うのは当然の義務」と話した。
また、他のマンションのとの比較については、「利便性が一番。それに眺望。近くには眺望のいいマンションはない。隈研吾さん? もちろん世界的な建築家というのは知っていますよ。それも選択枝の一つ」と語った。
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Aさんが語ったように、富裕層にとっては坪単価の20万円の差はたいしたことがないということだ。しかし、このところの都心・準都心部のマンション単価は続々記者の予想を超えてきている。記者はアッパーミドルの購入限界能力は坪単価にして250万円、グロスにして6,000万円と見ていたが、アベノミクス効果は50~100万円ぐらい引き上げたとみる。最近人気のマンションは軒並みこの単価に属する。
月島の「キャピタルゲート」も新宿御苑の「富久町」も330万円だし、桜上水の建て替えも330万円ぐらいになる模様だ。新豊洲の「スカイズ」の260万円というのも、納得はするが記者の相場観からすればやや高い。
アベノミクスにもっとも敏感に反応したのは富裕層・アッパーミドルで、いまのマンションブームを支えているのもこの層だ。「池袋」は「豊島区ナンバー一」との相乗効果が驚異的な売れ行きとなった理由だ。さっき書いた「晴海」も間違いなく坪300万円が相場になる。
【お断り】「Brillia Tower池袋」の単価については、当初は坪330万円と書き、先日の記事でも「340万円でないか」と書いたが、実際は350万円でした。訂正します。
東京建物「Brillia Tower池袋」わずか7週間で全322戸が完売