大和ハウス 地方マンションが好調
上席執行役員・高井基次氏がこの1年を振り返る
「リュークス タワー」完成予想図
野村不動産の副社長から大和ハウス工業のマンション事業を統括する上席執行役員に昨年10月に就任してからほぼ1年。高井基次氏がこの間を振り返って、同社の現状や将来について熱く語った。
高井氏はまず、「首都圏で大手と張り合うにはまだ総合力が足りない」と同社の現状を冷静に分析した。しかし、地方の話になるとが然、多弁になった。
「各地方を回って大和ハウスのブランドはナンバー1であることがよく分かった。地方では再開発物件を中心に展開しているが、土地代はだだ同然で、建築費と利益が販売価格になる。再開発は補助金があるので他社とも互角以上に戦える。最近分譲した物件も極めて好調に推移している」と話した。
「プレミスト金沢駅西口」72戸が駅から徒歩4分と近く、単価も125万円と安かったため地方物件では初めて即日完売も記録したのをはじめ、「D’グラフォート盛岡駅前タワーズ」286戸、「ザ・呉服町タワーズ」279戸(非分譲23戸含む)、「ザ・レジデンス宇都宮」86戸(非分譲6戸含む)が早期完売した。
九州も佐賀県を除く各県の物件が好調だ。沖縄の坪171万円の30階建てツインタワーマンション「リュークス タワー」676戸も、8月に完成した「WEST」338戸が完売し、「EAST」も1億円を越える住戸を含め70戸が売れるなど好調に推移しているという。
好調の要因を高井氏は「いずれの物件もポテンシャルが高い最高の立地である」ことをあげ、「野村時代は首都圏と地方は仙台ぐらいしか経験がないが、ネタは豊富なことが分かった」と、今後も地方での積極展開する姿勢をみせた。函館では中心地の五稜郭でコンペの末、同社が事業参画することが決まり、金沢では旧制第四高校の前でも分譲するという。
今後の展開については、ハウスメーカーならではのものづくりの原点に立ち返って中長期ビジョンをつり上げることに力を注ぐという。「プレミストのブランド名を変えようという声もあるが、当面は『大和ハウスのマンションはいい』というお客さまの評価を得ることだ」とブランド名変更には否定的な考えを示した。
西葛西でマンション大量800戸超供給
大和ハウス他「レジデントプレイス西葛西」が市場を牽引するか
「レジデントプレイス西葛西」完成予想図
大和ハウス工業・スターツデベロップメント・サンケイビル・長谷工コーポレーションの4社JVマンション「レジデントプレイス西葛西」(459戸)のモデルルームを見学した。隣接する三井不動産レジデンシャル・三菱地所レジデンス「ザ・ガーデンズ西葛西」(358戸)と合わせ817戸という同駅圏ではかつてない大量供給となるだけに販売動向が注目される。
物件は、東京メトロ東西線西葛西駅から徒歩7分、 江戸川区西葛西二丁目に位置する15階建て全459戸の規模。専有面積は60.03~91.01㎡、価格は未定。竣工予定は平成27年7月下旬。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。
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最大の注目点は戸数の多さだ。記者は西葛西駅圏の年間の需要量は200~250戸ぐらいと見ている。ところが、今回は2物件で817戸という大量供給だ。常識的に考えれば双方が完売するまで3年以上かかる計算だ。この点は、このところの〝追い風〟で克服する可能性もあるし、競合は必ずしもマイナスにならない過去の例もある。
もう一つの注目点は価格設定だ。まだ決定ではないが、現段階では未公表だが、記者が予想した値段になりそうだ。敷地の北側に隣接している「ザ・ガーデンズ西葛西」はまだモデルルームも公開していないが、交通便の表示では「徒歩8分」になるので、単価は横並びになるか、若干「ザ・ガーデンズ」のほうが安くなるのではないか。
もう一つ、付け加えると販売を担当する長谷工アーベストは同社の執行役員・遊佐康人氏が音頭を取る〝最強部隊〟とも言うべき受託販売第三部門が担当することだ。記者は遊佐氏が長谷工コーポの施工物件をことごとく早期完売した現場をたくさん見ている。このことだけでも力が入っていることがうかがわれる。
いずれにしろ、ユーザーは双方を見比べて決断するのは間違いない。モデルルームの設置場所も同じところだけに〝呉越同舟〟となるか。大和ハウスの上席執行役員・高井基次氏も、「競合より共存共栄。好調な需要は継続しているし、広域から集客して大量800戸超のマーケットを牽引したい」と語っている。
三井不動産レジデンシャル 「パークホームズ目白ザ フォレスト」が即日完売
三井不動産レジデンシャル
「パークホームズ目白 ザ フォレスト」が即日完売
「パークホームズ目白ザ フォレスト」完成予想図
三井不動産レジデンシャルは8月20日、「パークホームズ目白ザ フォレスト」71戸が7月20日に抽選分譲した結果、約650組の来場者を集め、最高8倍で即日完売したと発表した。目白駅から徒歩9分で、目の前が公園の「第一種文教地区」に立地。専有面積は38.49~89.11㎡、価格は2,990万~9,790万円(最多価格帯5,700万円台・6,400万円台・6,600万円台)。購入者の属性は、平均年齢が43歳、家族数が平均2.1人。
また、7月13日に分譲した「パークホームズ志村坂上フォレストヒル」(全86戸、うち事業協力者住戸が9戸)の第1期1次65戸が全戸に申し込みが入った。専有面積は60.02~84.50㎡、価格は3,590万~5,810万円(最多価格帯3,800万円台・3,900万円台)。申込者の属性は、平均年齢が38歳、家族数が平均2.8人。
植栽が見事な積水ハウス「白金」タワーマンション
積水ハウス「グランドメゾン白金の杜 ザ・タワー」
「伊勢山」と肩を並べる記念碑的マンション
「グランドメゾン白金の杜 ザ・タワー」完成予想図
積水ハウスが今秋分譲する「グランドメゾン白金の杜 ザ・タワー」を見学した。タワーマンションではあるが、守衛つきのゲートを設け、敷地面積約6,800㎡の4割以上に約2万本の樹木を植える植栽計画が秀逸だ。免震・制震工法を採用し、長期優良住宅認定も取得している。
物件は、東京メトロ南北線・都営三田線白金台駅から徒歩10分、港区白金6丁目に位置する30階建て全334戸の規模。専有面積は42.21~194.12㎡、価格は未定だが、坪単価は400万円台の半ばになる模様。竣工予定は平成27年6月中旬。設計・施工・監理は大成建設。
物件の最大の特徴は、銀杏並木が美しいプラチナ通りに面していることだ。第二はその植栽計画だ。都心部のタワーマンションの多くは商業地域か準工業地域であるため、どちらかといえば植栽は貧弱な物件が多い。しかし、この物件は建ぺい率60%(70%防火地域耐火建築物)、用途地域が第一種住居地域(一部準工)で容積率が400%であることを生かし、他の物件同様〝5本の樹計画〟を盛り込んだ。約2万本の樹木(低木含む)を起伏に富んだ敷地内に配している。プラチナ通りに面したエントランスには守衛つきのゲートを、ナザレ通りにに面しているところにはナザレゲートをそれぞれ設置している。
建物は大成建設の「ハイブリット免震・制震構造」を採用。長期優良住宅認定も取得している。東京都のマンション環境性能評価では満点に星一つ欠ける14個を獲得。デザインは陰影がくっきり現れる白と黒が基調。
モデルルームは2タイプで、オプションを極力少なくし自然石や無垢材をふんだんに採用。キッチンのバックカウンターも標準で奥行きは調理がしやすい60センチ(通常は45センチ)確保。ドアは全てプッシュプル、引き戸はソフトクローズ機能つきでユニバーサルデザインにも配慮。25~29階は天井高が2.65m。ヒノキ材を用いたサウナ付きプランもある。
モデルルームは6月から予約制で公開しており、順調に集客できているという。
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同社のマンションを見るのはいつも楽しみだ。植栽計画が見事だからだ。今回は予想をはるかに上回るものだった。模型はまるで森の中にマンションがあるようだった。販売事務所の長嶺伸之所長が「タワーマンションだけではインパクトはない。当社らしいこれまでにない森と一体化させたものを提案した。うちらしいマンションだと思う」と胸を張ったが、記者もこれほど植栽が豊富なタワーマンションは見たことがない。
同社はこれまで人気になった「恵比寿」「青山」「三軒茶屋」などでタワーマンションを手掛けているが、やはり規模が大きいので今回の「白金」が一番素晴らしい。
現地の近くには丸紅が10年ぐらい前に分譲して人気になったマンションが建っている。時期が異なるので売れ行きは何とも言えないが、高級マンションとしては、やはり長嶺氏が担当した「グランドメゾン伊勢山」の肩を並べる同社の記念碑的なマンションの一つになるのではないか。
木造耐力壁ジャパンカップ アキュラもポラスも優勝逸す
木造耐力壁ジャパンカップ アキュラもポラスも優勝逸す
優勝した東大×LIXIL×キダテの「ITAMADO2」
優勝は東大×LIXIL×キダテの「ITAMADO2」
木造耐力壁の強さなどを競い合う「第16回木造耐力壁ジャパンカップ」(主催:NPO法人木の建築フォラム)が8月16日~18日、静岡県富士宮市の日本建築専門学校で行なわれ、16チームによるトーナメント戦の末、東大×LIXIL×キダテの「ITAMADO2」がチーム匠(アキュラホーム+東京大学木質材料研究室+篠原商店)の「矢来」を破り優勝した。コストパフォーマンスが最も優れた耐力壁に贈られる「ジャパンカップ優勝杯」は滋賀職業能力開発短期大学校の「初代MOTONARI」が獲得した。
各部門賞の耐震部門は東大×LIXIL×キダテ/ITAMADO2、デザイン部門は四国能開大/格剛V、加工、施工部門は四国能開大/格剛V、環境部門は四国能開大/格剛V、審査員特別賞はアキュラホーム+東京大学木質材料研究室+篠原商店/矢来がそれぞれ受賞した。
過去6度のトーナメント優勝を果たしているポラス暮し科学研究所の「RE・BORN(リ・ボーン)は8強で争う初戦で「ITAMADO2」に敗れ敗退した。
稲山准教授
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記者がこの大会を取材するのは8度目ぐらいだろうか。いまだに耐力壁にかかる加重単位KN(キロニュートン)がどれほどのものかよく分からないし、「込栓」「雇い」「「貫」「めり込み」などの専門語の意味や、ビスなどの「金物」の補強効果がどれだけあるのか理解できないところもあるが、競技そのものは綱きひのようなものだから見ていて面白い。ほんの数分で決着が付く。
しかし、評価そのものは極めて詳細に定められている。耐力壁に使用する材料、寸法はもちろん、加工費、環境負荷費 なども円単位で評価される。例えば国産材が50円/㎏であるのに対し、輸入材は150円/㎏だし、ひのきは110,000円/㎥、すぎは70,000円/㎥で、壁の重量は釘1本、チリまで重さに加えられ、施工工具、施工時間、解体時間、作業人数などもこと細かに評価される。デザイン・意匠にも審査員のチェックが入る。参加チームが必死で取り組んでいるのが伝わってくる。
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今回の耐力壁で注目したのは四国能開大/格剛Vだった。デザインはシンプルな縦横の格子で、材料は四国のヒノキとスギのみで、金物は一切使用されていなかった。地元材しか使用していないというのが記者をひきつけた。チームは優勝した「ITAMADO2」に準々決勝戦で敗れたのだが、加重圧力は30KNを突破していた。
大会委員長で東大木質材料研究室・稲山正弘准教授も「金物を使わず30KN超でも戦えるこの壁は究極の壁」と称えた。
チームを代表して香川県出身の浅野智弘さん(20)は「参加した耐力壁は5体目。3カ月ぐらいかけて完成させた。地元材を用いているのが特徴で、デザインもシンプなものにした。卒業したら現場に出たい」と誇らしげに話した。チームの北尾凌さん(19)も出石麻理さん(19)も「希望は現場」とのことだった。
指導した同大学校職業能力開発准教授・宇都宮直樹氏は、「これまで総合優勝や2位もあったが、今回は全体的にバランスが取れていた。木材は実際の山を見て選んでいる。同じ四国でも地域によって木材の質が異なることを学ぶことが大事で、卒業してから現場経験が生きてくるはず」と語った。
ジャパンカップ杯は獲得できなかったが、デザイン部門など3つの部門賞を受賞したということは記者にも少しは見る目があるということか。
左から四国能開大の浅野、出石、北尾の各氏 「ITAMADO2」に敗れた「格剛Ⅴ」(写真左)
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京都の町屋でよく見かける「矢来」をモチーフにし、壁の名前も「矢来」とし、大会連覇、4度目の優勝を狙った「チーム匠」の担当者は、「50KNには耐えられるはず。アキュラホームを代表する大工が一分の隙もないものに仕上げた」と胸を張ったが、決勝では58KNあたりで相手に土台を破壊された。
優勝6度の最強チーム、ポラス暮し科学研究所の「RE・BORN(リ・ボーン)について同社主席研究員・上廣太氏は、試合前に「今回はシードされたが、16日の加圧の段階でバキッと土台が壊れてしまった。もう無理、満身創痍。8月開催になったのでみんな夏休みを返上して取り組んできたが、準備が足りなかった」語り、早々と白旗をあげていたが、その通り決勝トーナメント初戦であっけなく敗退した。
左から「チーム匠」の冨谷、武原、並木、和田、稲山の各氏 「ITAMADO2」に敗れた「矢来」(写真右)
左からポラスの大浦、立花、原田、上廣、高橋の各氏 「RE・BORM」
6月の建設工事受注高14%増 住宅・不動産が寄与
6月の建設工事受注高6兆3,530億円(前年同月比14.2%増)
公共事業、住宅・不動産が増加に寄与
国土交通省は8月9日、平成25年6月の建設工事受注動態統計をまとめ発表。受注高は6兆3,530億円(前年同月比14.2%増)で、このうち元請受注高は4兆4,382億円(同23.7%増)、下請受注高は1兆9,148億円(同3.1%減)となった。
元請受注高のうち発注者別では公共機関からは1兆4,984億円(同43.1%増)、民間などからは2兆9,397億円(同15.7%増)となっている。
民間などからの受注工事で多いのは「住宅」1,923億円、「店舗」750億円、「医療・福祉施設」619億円。発注者別でもっとも多いのは不動産業の2,166億円(同31.4%増)。公共工事と住宅、不動産が受注増に大きく寄与している。
また、平成25年9月の主要建設資材月別需要予測では、「セメント、生コンクリート」が4,500千t(前年同月比21.4%のプラス)、「木材」は875千?(同12.0%のプラス)、「普通鋼鋼材、形鋼、小形棒鋼」は2,000千t(同 18.3%のプラス)などいずれも大幅プラスを予測している。..
ジャーブネット デザインコンテスト各賞を発表・公開
ジャーブネット デザインコンテスト受賞作を公開
「自転車?ペット?」(左)と「らくがきタイムマシン」
日本最大の工務店ネットワーク「ジャーブネット」(主宰:アキュラホーム・宮沢俊哉社長)は、住宅のデザイン性を競う「第7回デザインコンテスト」と、家族が末永くしあわせに住みこなすためのアイデアを集めた「第6回しあわせデザインコンテスト」の応募結果を発表、8月8日から専用WEBサイト( http://www.aqura.co.jp/contest/ )上で公開した。
今年度のデザインコンテストには265件、しあわせデザインコンテストには625件の応募があり、いずれも過去最多。
「第7回デザインコンテスト」のグランプリ賞は「自然の恵み~陽の家~」(有限会社福工房 福田豊氏)と「閉じて開く家」(アキュラホーム 髙橋大輔氏)の2作品が、「第6回しあわせデザインコンテスト」のしあわせデザイン賞には「自転車?ペット?」(アキュラホーム 河嶋京氏)、「ゆらゆら」(オカザキホーム 宮本京子氏)、「らくがきタイムマシン」(オカザキホーム 伊藤佳弘氏)など10作品が選ばれた。
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記者がいいと思ったのは「自転車?ペット?」と「らくがきタイムマシン」だ。最近の戸建ては敷地条件が厳しいためか、自転車置き場はほとんど考慮されていない。しかし、自転車は1家に2台も3台もあるはずで、計画段階からきちんと設置すべきだと思う。
「らくがきタイムマシン」は、工事中にプラスターボード(石膏ボード)へ家族全員に落書きをしてもらい、その上に壁紙を貼って引き渡すものだ。「柱の傷」はもう死語になっているのだろうか。
大京・大和ハ「ザ・スカイクルーズタワー」7割売れる
大京・大和ハウス「ザ・スカイクルーズタワー」
駅前再開発タワー すでに7割が売れる
「ザ・スカイクルーズタワー」完成予想図
大京(事業比率51%)と大和ハウス工業(同49%)が共同で分譲中の「ザ・スカイクルーズタワー」を見学した。風俗街に近接はしているが、駅前の再開発で買いやすい価格帯が人気になっているようだ。
物件は、京急本線日ノ出町駅から徒歩1分の横浜市中区日ノ出町1丁目に位置する22階建て全187戸(非分譲住戸49戸含む)の規模。竣工予定は平成27年1月31日。施工は五洋建設・馬淵建設。設計は松田平田設計。近く分譲する3期(戸数未定)の専有面積は 40.05~76.11㎡、予定価格は2,500万円台~5,000万円台(最多価格帯3,700万円台・4,900万円台)、坪単価は200~220万 円。
6月から分譲開始されており、現在まで約7割が販売済み。プレミアム住戸の21・22階の18戸は完売している。
現地は、日ノ出駅を降りてすぐで、敷地東南側に大岡川が流れ、親水護岸・親水広場も整備される。建物は容積・高さ規制の緩和を受けており、制震構造、逆梁ハイサッシ、SIを採用。基壇部に煉瓦風タイルを配し、5~7階は壁面緑化を施し、屋上には菜園も設置する。1階から3階までが店舗、4階から8階が有料老人ホームが入居し、住居は9階以上。住戸プランは単身者・DINKSからファミリーまで多彩で、天井高は約2,500ミリ。
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単価を聞いてかなり安いと思った。坪単価250万円は高くて230万円ぐらいではないかと思ったが、平均すると220万円もしないという。2カ月ぐらいで7割も売れているというのは、再開発の駅前タワーで買いやすい価格帯であるのが全てのような気がする。競合物件もあまりないという。
単価が安いのと関連があるのだろうが、いま一つよく分からないのが立地条件に対する評価だ。物件は市営地下鉄桜木町駅まで徒歩8分なので、桜木町駅圏のマンションとして考えるならかなり割安であるのは間違いない。しかし、住環境としてはやはり考えざるを得ない。
記者は、この日ノ出町から黄金町にかけてマンション取材のついでに街を歩いたことがある。風俗店が軒を連ねている一角があり、その光景は異様だった。成人向けの店舗であることを明示する極彩色の「18禁マーク」は、「放射線マーク」と同じかそれ以上のデンジャラスゾーンを連想させる。馬券売り場は嫌悪施設だとはあまり思わない。
最近は横浜市、警察、地元などが一体となって街の浄化作戦を展開しており、昔と比べてずいぶん良くなっているようだ。購入者は街の現状は百も承知で、将来を先読みしているということだろう。
物産本社ビル建替え 2haを三井不と共同で再開発
三井物産 本社ビル建替え 三井不と一体2haを再開発
三井物産と三井不動産は8月8日、大手町一丁目2番街区の一体開発事業を共同で行うことで基本合意書を締結し、事業の一環として三井物産は同街区内にある同社本社社屋の建替えを行なうと発表した。
事業は、大手町一丁目2番街区にある三井物産所有の「三井物産ビル」、三井不動産所有の「大手町一丁目三井ビルディング」、両社共同 所有の「大手町パルビル」を一体で開発する計画で、敷地面積は2万㎡を越える。三井物産は来年度中に仮事務所へ移転し、2015年に解体工事に着手、 2019年の新社屋完成を予定。
今後見込まれる本事業への投資額は三井物産が約1,200億円、三井不動産が約500億円を想定している。
東急不 会員制リゾート「熱海伊豆山&VIALA」開業
東急不動産 会員権リゾートホテル
「東急ハーヴェストクラブ熱海伊豆山&VIALA」 開業
眺望テラス
東急不動産は8月6日、同社の会員権リゾートホテル「東急ハーヴェストクラブ熱海伊豆山& VIALA」の完成披露内覧会を報道陣向けに行い、8月11日に開業すると発表した。
物件は、JR熱海駅から車で約5分、熱海市伊豆山字奥鳴沢に位置する敷地面積約28,507㎡。建物は地上4階地下4階建て客室総数 182室(「熱海伊豆山」133室、「VIALA」49室)。客室面積は「熱海伊豆山」が37~63㎡、「VIALA」が50~120㎡。会員権は共有制で、募集口数は「熱海伊豆山」が1,500口、「VIALA」が564口の合計2,064口(1室当たり約12口)、募集価格は「熱海伊豆山」が620万 円/口、「VIALA」が909.5万円/口。販売代理は東急リゾート。
会員には年間30枚の宿泊利用券が発行され、「熱海伊豆山」は1泊1名3,780円、「VIALA」はルームチャージ制で12,600~27,300円。無記名式のため、会員が署名捺印した利用券であればメンバー料金で利用できる。
外観
エントランスのクスの巨木
現地は、多くの文人が逗留したという老舗旅館「桃李境」の跡地。樹齢120年を越えるクスの大木がエントランスの中央に植わっているほか、既存樹を極力残した外構計画が特徴。海抜75mの現地からは相模湾、初島・熱海市街地が一望できる。
客室は洋室、和室、和洋室のほかペット対応などもあり、「VIALA」は全客室に温泉露天風呂が付き、専用プール付きや 120 ㎡のスイートルームもある。
レストランは和食とカジュアルダイニング、フレンチの3種。和食の営業時間は24時まで(ラストオーダーは23:30分)。共用施設は温泉大浴場、屋外・屋内・スパプール、エステサロン、ゲームコーナー、キッズルームなど。
内覧会に臨んだ同社リゾート事業本部ハーヴェスト事業部 事業企画グループ グループリーダー課長・中村賢氏は「1室12口の少数オーナー制にすることで予約が取りやすいようにしているほか、無記名式なので30枚の利用券も使いやすく、他の施設も利用できるのが特徴。今後も来年開業予定の『東急ハーヴェストクラブ京都鷹峯& VIALA 』を含めネットワークを全国に広げていく」と語った。
「ハーヴェストクラブ」は1988年、「蓼科」を第一号店として開業。今年で25周年を迎え、今回の施設開業により全国25カ所、客室数 2,740室、最大募集口数 27,132口となった。会員数は約2.2万人。2013年度の売上高は105 億円(前年度104億円)、稼働率は58.5%(同58.1%)を目指す。今回の施設の販売状況も好調で、募集率は「熱海伊豆山」が61%、 「VIALA」が86%。
「VIALA客室」 屋外プール(夜景)
眺望テラス
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同社の会員制リゾートホテルを見学するのは初めてだが、随所に天然石や無垢材が採用されており、設備仕様は都心の高級ホテル並だと思った。
熱海・伊豆は取材でも個人でもよく訪ねており、回数にすれば20回は下らないはずだが、坪単価400万円、500万円のリゾートマンションを含めこれほど眺望・施設が優れた施設は初めてだ。
関係者も「熱海は低料金の施設と隠れ家的な高級旅館とに二極化が進んでいるが、当社と戦う相手はいない」と話した。
レストラン 和食
石張りの廊下・壁
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熱海駅から徒歩2分の一等地に建設が中断したままのリゾートマンションがある。ジョイント・コーポレーションの30階建て「アデニウム熱海グランドタワー」(513戸)だ。同社が2009年6月に会社更生手続開始に伴い工事は中断したままになっている。分譲前のモデルルームを見学しているが、坪単価は250~260万円と見られていた。施工は五洋建設だった。
現在、土地の所有権はジョイント以外に移っているが、熱海市は「リゾートマンションより宿泊施設を希望している。その後、ポツポツ開発の話が入ってきているが、開発許可はジョイントさんのまま。登記簿がどうなっているのかは確認していない」と話している。
記者も、市の活性化にはリゾートマンションより、コンベンション機能を備えたワールドワイドなホテルのほうがいいと思う。リッツもハイアットリージェンシーも乗り気になるのではないか。駅前の既存ビルと一体開発すれば一大リゾート拠点になる。
中古リゾートマンションの売買は昨年より活発で、1,000万円クラスが動いていると話を聞いた。
熱海駅前(バブル前とはすっかり様相が変わってしまった)