金融排除問題がわが国でも浮上する可能性

長谷川氏
松蔭大・長谷川清准教授が中小企業研究会で指摘
住宅・不動産には直接関係ないが、これからの社会を考える意味で重要と思われるので、先日、「中小企業研究会」(会長:明治大学名誉教授・百瀬恵夫氏)で行なわれた松蔭大学・長谷川清准教授による「英国クレジットユニオンについて」と題する講演を紹介する。
「クレジットユニオン(日本の信用組合に相当)」は、環境決定論者として知られる英国の社会改革者ロバート・オーエン(1771~1858)の思想を具現化したものだ。他の欧米諸国に比べて導入されたのがかなり遅く、1958年(昭和33年)に北アイルランド・ダブリンで中央協同組合が発足したのが第一号という。低所得者層や移民を対象とした個人向け金融機関だ。
貸し倒れ比率が5%以上と高いことや、わが国のような利息制限法がないことなどから貸し出し年利は20%以上がほとんどで、預金高もわが国の信用組合・信用金庫の20~30分の1程度だという。店舗も「公民館」などの公共施設を借りているものが少なくないそうだ。
記者が興味を持ったのは、長谷川准教授が「日本では理解できないだろうが」と前置きして話した「金融排除問題」だった。英国では「当座貯金口座を保有しない」世帯は200万件、「あらゆる形態の信用供与を利用しない」世帯が350万件、「短期・長期のいずれの貯蓄性商品を保有しない」世帯が300万件、「過去5年間に生命保険に加入しない」世帯が450万件あるという。つまり、金融機関から相手にされない・排除されている世帯が「わが国では理解できないほど」多いということだ。
しかし、長谷川准教授は「わが国でも貯蓄をしていない低所得層が増加している。銀行の預貯金も機械化が進み、窓口対応するケースがほとんどなくなってきた。金融排除問題が近い将来浮上する可能性がある」と指摘した。
この問題は、住宅・不動産業界とも無縁ではない。金融庁の統計によると、わが国の貸金業は相次ぐ規制強化で業者数は平成11年の約3万から平成25年には約2,000に激減。貸付残高も平成11年の16兆円から平成25年には約8兆円へと半減している。「総量規制」も大きな問題になっているようだ。一方で、消費者金融の利用者は住宅ローンの審査が下りないケースが多いと指摘されている。低所得者の住宅問題とも密接につながってくる。この先どうなるのか。
もう一つは、社会の希薄化だ。英国では、サッチャー政権による政治改革・規制緩和の結果、所得配分の不平等を測る「ジニ係数」(0~1までの係数で、数値が大きくなるほど不平等が大きい)は70年代は0.2だったのが、80年代以降は0.4に上昇し、現在も高止まりしているという。長谷川准教授は「0.4というのは暴動が起きても不思議でない数値」と話した。
ジニ係数が一触即発の状況にありながら、英国で暴動が起きないのは、クレジットユニオンによる「コモン・ボンド(共通の絆)」や教会を通じての奉仕活動などが抑止力として働いているのもその一因ではないかと思った。
わが国ではどうか。幸いジニ係数は0.25だからまだ低い水準にはあるが、「希薄化」「無縁社会」が問題となっている。かつては機能していた「座」「寄り合い」「無尽」は死語となり、「町内会」も行政の出先機関化しているものも少なくないはずだ。マンション管理組合運営で「コミュニティ形成」が大きなテーマになっているのも、コミュニティが欠如していることが組合運営を難しくしていることを証明している。「金融排除」が進行したとき、「コモン・ボンド」「教会」の働きはどこが担うのだろう。

中小企業研究会
◇ ◆ ◇
中小企業研究会について少し紹介しよう。同研究会は百瀬氏が30年以上も前に立ち上げたもので、原則として月に1回、中央区新川にある「全国中小企業団体中央会(全中)」の会議室を借りて「例会」を行なっている。全中はわが国の企業の99.7%を占める中小企業420万企業の71.4%を組織しているわが国最大の中小企業団体だ。
例会では大学教授、研究者、会社経営者などによる講演と質疑応答が行なわれている。講演料も聴講料も無料というのが特徴だ。記者のような、講演の後で行なわれる懇親会(一般は会費約5000円、学生は1000円)目当ての参加者も少なくない。百瀬氏が沖縄・泡盛を全国区に広めた功労者であることから、沖縄酒造協同組合の泡盛古酒が飲み放題というのも特徴だ。普段はそう飲めない古酒が出されるときもある。
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継続は力なり。聴講者は少ないときはわずか数十名しか集まらなかったとも聞く。しかし、それでも継続して行なってきた。今年5月の例会では過去最高の100名を超える人が集まった。前回の例会のように、40年も前に学んだ「ロバート・オーエン」を記憶の彼方から呼び戻してくれるから素晴らしい。
見聞・知見を広げるためにも住宅・不動産業に勤める若い方にお勧めだ。問い合わせは全国中小企業団体中央会 〒104-0033 東京都中央区新川1-26-19 TEL 03-3523-4903 FAX 03-3523-4910 労働政策部長・小林信氏まで。

懇親会で元住友商事執行役員・松岡嘉幸氏(左)と談笑する百瀬恵夫氏
旭化成ホームズ「しぜんごこちの家」大宮のモデルハウスを公開
「無限の間」にもなる「白の間」「月の間」
旭化成ホームズは9月25日、埼玉県さいたま市大宮に完成した「しぜんごこちの家」のコンセプトを搭載したモデルハウス「街かどへーベルハウス大宮東町」を報道陣向けに公開した。狭小敷地の3階建ての身の丈住宅ではあるが、自然の心地よさを巧みに住戸内に取り込みながら、夫婦の居場所、子ども部屋のあり方、一人で思索する場、地域とのつながりなどを様々な仕掛けで見せる盛り沢山・欲張りな家でもある。
モデルハウスは1階が約36㎡(約11坪)、2階が約53㎡(約16坪)、3階が約41㎡(約12坪)の延べ床面積約132㎡(約39坪)。建築面積は約59㎡(約18坪)。周囲は住宅やマンションなどが建ち並んでいるどこでも見られるような地域の一角。
テーマが面白い。名付けて「五更観月の家」。「五更」とは、夜明け前のぼんやりとした4時ごろのことをいう「戊夜(ぼや)」と同義語で、せめて家にいるときは「ON」と「OFF」を切り替えて「ぼんやり」とした時間を過ごしませんかという意味が込められている。「観月」とは文字通り、周囲に建物が立て込んでいる都会で「夜空」を眺められる空間を提案している。
まず、自然の心地よさの提案。門柱と一部の塀には、割栗石をじゃかご風に仕上げたものが採用されていた。最近あちこちで目にかけるが、門柱に採用しているのは初めて見た。これは石のままでもいいが、土や砂などを入れれば自然に草花が生えてくるものだ。玄関ポーチはメンテ不要で30年の耐久性があるという南米・中米産のリグナムバイタ・パルサイト材を採用。
1階は「夫婦の居場所」。ソファーコーナーと小上がりのタタミコーナーにすることで、7.2畳大の広さにもかかわらず多様な利用の仕方を可能にしているのが特徴。別に寝ることも可能だ。
2階は「みんなの居場所」。それぞれがやりたいことをしながら一緒に過ごす団らん=「家居(いえい)」と、みんなが一堂に集う団らん=「円居(まどい)」の二つの団らんを提案したもの。クス材のキッチンテーブルは、家族だけでなく仲間とのホームパーティが開けるよう調理台や座卓にも早変わりするスグレモノだ。このほか、パソコンが利用できる文机コーナー、床上げ和室もある。
3階は「ひとりの居場所」。二人の子どもを想定したもので、それぞれ4.0畳と3.8畳の個室とは別の勉強することを想定した3.9畳の「あいの間」、親やこどもが一人でぼんやりと過ごすことを想定した4.0畳大の「白の間」、さらには「白の間」とつながる「月の間」を設けている。

「夫婦の居場所」について説明する旭化成ホームズ「くらしノべーション」主幹研究員・村松浩氏。右の写真はテーブルを座卓にして質疑応答の場になった「移ろ居の間」
◇ ◆ ◇
住宅は平屋(フラット)が一番いいのは言うまでもないことだが、都市圏ではそんな贅沢はできない。このモデルハウスは実によく考慮された家だと思う。住居のあり方を考えさせられる住宅でもある。
例えば「子ども部屋」を想定した「ひとりの間」。いったい「子ども部屋」の概念はいつごろからわが国に持ち込まれたものか、子どもに個室を与えることが本当に子どものためなのか、「あいの間」では子どもたちはどのような勉強をするのか考えてしまった。「白の間」もそうだ。「白」とは多様な用途に利用できるという意味が込められているのだろうが、記者は「思索の間」「哲学の間」「和合の間」「和解の間」「再生の間」「愛憎の間」「女人禁制の間」「男子入るべからずの間」などにしたら面白いと思った。「無限の間」でもある。

床上げ和室(左)と「白の間」(手前)「月の間」

割栗石を用いた門柱と外構
みずほ、住友不販、野村アーバン、積水が8強 第4回「Club-D cup」野球大会
ミサワ 同点のスクイズならず
みずほ信不動産販売、積水ハウス、野村不動産アーバンネット、住友不動産販売が準々決勝進出-第4回Club-D cup」野球大会が9月18日、大宮健保グラウンドで4試合が行なわれ、ミサワホーム東京神奈川を延長サドンデスで下したみずほ信不販、長谷工グループを7-4で破った積水、ちばリハウスに2-0で完封勝ちした野村アーバン、積和不動産に5-4で勝利した住友不販がそれぞれ準々決勝戦に進んだ。
準々決勝戦は三井リアル-野村アーバン、ナイス-住友不版、みずほ信-東急リバブル、積水ハウス-オークラヤ住宅。10月2日に同グラウンドで行われる。
野村 茂木 みずほ梁島
◇
みずほ信不販-ミサワ神奈川は、追いつ追われつの展開から4回まで7-7の同点に。延長サドンデスでは、先行のみずほか2点を取り、後攻のミサワも1点を返し、一打逆転の好機をつぶした。
長谷工グループ-積水は、積水の選手が渋滞に巻き込まれ7人しか最初は集まらなかったが、2回に一挙5点を奪い逃げ切り。長谷工は小刻みに加点したが及ばず。
野村アーバン-ちばリハウスは、2回に相手の拙守につけこんだ野村が2点を先制。新人茂木投手がそのまま守りきった。ちぱリの篠原投手の粘投は報われず。
積和-住友不販は、0-0の4回、集中打で一挙5点を奪った住友不販が積和の最終回の反撃を4点に抑え逃げ切った。らなかった。
みずほ信不動産販売 9-8 ミサワホーム東京神奈川
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合 計 | |||
| みずほ信不動産販売 | 0 | 4 | 0 | 3 | 2 | 8 | ||||
| ミサワホーム東京 神奈川 | 2 | 2 | 0 | 3 | 1 | 7 |
(5回延長サドンデス)
長谷工グループ 4-7 積水ハウス
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合 計 | |||
| 長谷工グループ | 0 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 4 | |||
| 積水ハウス | 0 | 5 | 0 | 2 | 0 | X | 7 |
(6回時間切れ)
ちばリハウス 0-2 野村不動産アーバンネット
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合 計 | |||
| ちばリハウス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
| 野村不動産アーバンネット | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | X | 2 |
積和不動産 4-5 住友不動産販売
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合 計 | |||
| 積和不動産 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 4 | |||
| 住友不動産販売 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | X | 5 |
(6回時間切れ)
本物の億ションを見た NTT都市開発「ウェリス代官山猿楽町」
「ウェリス代官山猿楽町」
車寄せにせせらぎ 〝シンプル イズ ベスト〟住戸内は白が基調
NTT都市開発が分譲中のマンション「ウェリス代官山猿楽町」を見学した。〝シンプル イズ ベスト〟-久々に本物の億ションを見た。
物件は、東急東横線代官山駅から徒歩5分、渋谷区猿楽町の第二種低層住居専用地域に位置する地下2階地上3階建て全44戸の規模。専有面積は64.30~229.72㎡、坪単価は585万円。設計・監理はNTTファシリティーズ、設計協力はアーキサイトメビウス。施工は鹿島建設。竣工 は平成25年5月。販売代理は三菱地所レジデンス、三井不動産レジデンシャル。7月末から分譲開始されており、現在までに30数戸が契約済み。地方の購入者も2割。

エントランス
◇ ◆ ◇
久々に本物の億ションを見た。億ションとは果たして何かという概念だが、記者はひと言で言えば、1億円以上のマンションにふさわしい住環境と建物の〝品格〟だと思う。かつて億ションの立地はほとんどが住居系立地だった。たまに商業系も分譲されたが、工業系などは皆無だった。億住戸をたくさん含んだタワーマンションが最近はたくさん分譲されているが、これらは厳密な意味で億ションではない。
その意味で、今回のマンションは間違いなく億ションだ。「代官山ヒルサイドテラス」に近接した住居系用途が億ション立地の第一の条件を満たしている。
建物も品格がある。品格とは一体何ぞやという問題もあるが、記者は「凛とした美しさ」だと思う。外観は南安錆びの自然石を採用。すっきりしたデザインでさりげなく高級感をかもし出している。
地下駐車場(52台収容)の石張りの車寄せには「ららせぎ」を設置。エントランスのドアや住戸内のドアはウォールナットのスプーンカット仕上げを多用。このほか共用部分や住戸内の床は全て白系の大理石がふんだんに用いられている。エントランスの正面には堀木エリ子氏の和紙アートが、その奥には浅見貴子氏の墨の絵画が飾られている。 住戸内のデザインは白が基調。これも美しい。天井高は約2700ミリ。
なぜ「凛とした美しさ」をこのマンションは備えているか。もちろん設計・監理を担当したNTTファシリティーズ、設計協力のアーキサイトメビウスの設計力もあるのだろうが、鹿島の施工力もあると思う。「赤坂」「加賀」「代官山」などに代表されるように、とにかく鹿島のマンションは美しい。

ロビーラウンジ
◇ ◆ ◇
このマンションについては、2年前、野村不動産がもう少し先で分譲した「代官山」を見学したときに現地を見ており、どのようなマンションになるか興味を抱き、必ず見学しようと思っていた。たまたま本日、アパの記者発表会があったので見学した。
正直に話すと、こんな素晴らしい億ションになるとは夢にも思っていなかった。億ションといえば、三井不動産レジデンシャルが図抜けている。他のデベロッパーがどんなに頑張っても抜けないだろうとずっと思ってきた。もし、肩を並べるとすれば既存のデベロッパーではなく積水ハウスとか新日鉄などの異業種ではないかと考えてきた。同社には失礼だが、まさか億ションに挑戦するとは思わなかった。これまで大手とのJVを通じてノウハウを蓄積してきたのだろう。
今回の億ションは、高額マンションとしては「ウェリス有栖川」(57戸、坪単価585万円)、「ウェリスタワー愛宕虎ノ門}(110戸、坪単価450万円)についで3棟目だそうだ。いずれも順調に売れているという。「NTT」のマンションブランドが大手を脅かす時代が来るかもしれない。そんな予感がする今回のマンションだ。車寄せにせせらぎを設けたデベロッパーなど聞いたことがない。
車寄せのせせらぎ(写真ではよく分からないが、水が流れる音やきらめきが見事に演出されている)
アパの「代官山」 新居氏が設計監修 坪単価は650万円?
元谷外志雄氏と元谷芙美子氏
アパの代官山のマンションは新居千秋氏が設計監修を担当し、坪単価は650万円-アパは9月20日、2011年11月に奈良県から取得した代官山の用地(約517坪)でマンション「THE CONOE<代官山>(ザ・コノエ代官山)」の記者発表・起工式を行なった。
発表会でアパグループ代表・元谷外志雄氏は、「代官山にふさわしいものをつくるため、一層気合を入れて、設計監修を新居さんに依頼した。これまで『CONOE』ブランドで展開してきたが、超高級路線にふさわしい最上級の『THE CONOE』にした。現段階で価格は発表しない」と語った。また、アパホテルの元谷芙美子社長は「憧れの地に力の集大成として万感の思いを込めた」と話した。
物件は、東急東横線代官山駅から徒歩1分、渋谷区恵比寿西1丁目に位置する敷地面積約1,700㎡、延床面積約10,516㎡の地下2階地上13階建て。戸数は109~120戸。設計・監理はIAO竹田設計。設計監修は新居千秋都市建築設計。施工は日本国土開発。
現地
◇ ◆ ◇
早朝に行なわれた会見場に集まった記者の数は会場に入りきれないほどの約50人(記者でない人も相当いたはず)。質問は2人に制限された。記者も手を上げたが、質問は打ち切られた。約30分の会見は、ほとんどが元谷氏の〝独演会〟に費やされた。
聞きたいことは、いったいいくらぐらいで分譲されるかだ。同社が用地を取得した段階では坪単価500万円もあると予測したが、最近の市場動向と同社の意気込みからして600万円をはるかに超え650万円ぐらいになるのではと予測した。ある関係者は「いい線」と話した。専有面積は120戸として57㎡が中心になるが、109戸のプランも浮上しており、そうなれば平均で60㎡ぐらいになると予想される。最上階は面積にもよるが、3億円を突破しそうだ。
設計監修に新居氏を起用したのは大正解。新居氏は10年ぐらい前、この代官山でも素晴らしいマンション「Brillia代官山プレステージ」を手掛けている。(坪単価、専有面積はあくまでも記者の予想。元谷社長は「マンションは市況商品。私も分からない」と話した)
新居氏
アパ 代官山の一等地でマンション用地取得(2011/12/15)
アパの逆襲 業界初のソフトクローズ機能付きドア採用(2010/9/27)
代官山〝ヒルサイドに負けない〟マンション(2006/2/25)
フージャースコーポ 女性・子どもに優しい「府中多摩川」

「デュオヒルズ府中多摩川」完成予想図
初の食洗機標準装備 ドアスコープは2カ所に設置
フージャースコーポレーションが分譲中の「デュオヒルズ府中多摩川」を見学した。京王線聖蹟桜ヶ丘駅からのバス便物件だが、単価138万円が圧倒的に安いマンションだ。
物件は、京王線聖蹟桜ヶ丘駅からバス7分・徒歩6分、府中市四谷5丁目に位置する8階建て全187戸の規模。専有面積は65.44~91.18㎡、近く分譲する住戸(9戸)の価格は 2400万円台~3800万円台、坪単価は138万円。竣工予定は平成26年2月下旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。
現地の用途地域は工業地域だが、かなりマンション化が進んでおり、敷地南側は戸建て予定地で、2棟のマンションも近接している。敷地北側は「四谷下堰緑地」。徒歩1分にショッピングセンターがある。
建物は南向きで、ファミリータイプがほとんど。〝贅肉をそぎ落とした〟マンションではあるが、その一方で、①ドアスコープは大人用と子ども用の2カ所に設置②ドアノブはメーカーと共同開発したユニバーサルデザインのもの③トイレも含めたドア把手は壁面まで後退④合理的な収納⑤食洗機を標準装備-など、子育てファミリーに配慮した住戸プランを盛り込んでいるのが特徴。駐車場台数は住戸の約6割。シャトルバス(月額700円負担)が運行される。
7月から分譲開始しており、1期(30戸)が完売。販売を担当する原紘美さんは、「この前の台風にも関わらず3連休で26件の来場があった。担当者3人でてんてこ舞いの忙しさ」と話していた。
◇ ◆ ◇
この現場はよく知っている。夜中にタクシーで家に帰るとき、近くの国立I.C.で降り、現地近くを通って「府中四谷橋」に向かうコースを辿った。工場地域ではあるが、最近はマンション化が進んでいる。10数年前、日本綜合地所が100㎡マンションを分譲したときも取材しており、「30坪のマンションが4,000万円以下で買える」などとあるテレビ局のニュース番組でしゃべったものだ。いまでもこの日本綜合地所のマンションは人気があるそうだ。
さて、今回のマンション。決してアクセスに恵まれているわけではない。しかし、価格が圧倒的に安い。普通のサラリーマンでもそれこそ〝家賃並み〟で取得できる価格帯だ。
嬉しいのは、同社としては初めて食洗機を標準装備したことだ。お金持ちは食洗機がオプションだろうと標準装備だろうとあまり関係ない。しかし、忙しい共働きの主婦(あるいは主夫)にとって食洗機は必需品だ。
もう一つは、ドアスコープが2カ所ついていることだ。来訪者はモニターで確認はできるが、戸別の大人用のドアスコープでは子どもは確認できない。記者を含め男性はドアスコープなどのぞいたことがないだろうが、女性や子どもはほとんどが確認するのだろう。同社は「車椅子を利用されている方などが住む有料老人ホームの販売代理をしたことがヒントになった」(原さん)という。
マンション市場は大手の寡占化が進んでいるが、こうした生活者目線の商品企画こそ中堅に求められていることだ。同社は女性社員の多いことで知られるが、もっともっと登用してほしい。女性役員が1人もいなくなったのはどういうことか。

原さんが撮影した「四谷下堰緑地」に咲いている彼岸花
オープンハウスの初値 公募価格を18%上回る2,100円
荒井・オープンハウス社長(上場セレモニーで)
オープンハウスの初値は公募価格1,780円を18%上回る2,100円-9月20日、東証一部に新規上場されたオープンハウスの株価は寄付きから買い気配で値がつかず、ようやく9時32分、2,100円の初値をつけた。不動産市況が好転し、同社の業績も仲介を核に戸建て分譲とマンション分譲が好調に推移していることが市場でも評価されたもよう。
同社の平成24年9月期決算は売上高623億円、経常利益45億円、純利益25億円。セグメント別の売上高は不動産仲介が22億円(1,248件)、不動産売買が597億円(戸建て891件、請負475件、マンション分譲240件)。25年9月期も前期を大幅に上回ると予想されている。
東証一部不動産ポストの新規上場は4月1日のフージャースホールディングス以来。10月1日には東急不動産ホールディングスの上場が予定されている。
〝東京23 区の壁〟3人に1人-オープンハウス調査
〝東京23 区の壁〟3人に1人-オープンハウスは9月18日、東京23区に居住する住宅取得検討者の「23区内への居住志向」は83.5%と高いものの、「購入する自信がない」という人は3人に1人(33.8%)に上っているという調査結果をまとめ発表した。
調査は、東京23区内に居住していて、住宅購入を検討している30 代~40 代既婚男女200 名を対象に行なったもの。
購入する自信のない3大理由としては、「資金不足」(60.9%)「価格を理解」(43.8%)「借金への気後れ」(35.9%)があることがわかったとしている。
◇ ◆ ◇
調査結果は、このところのマンション価格の上昇を映し出した。23区内のマンション単価は人気エリアでことごとく坪250万円を突破してきており、200万円以下というものも駅近では絶望的だ。グロスにすると20坪で5,000万円以上というのが相場だ。22~23坪のファミリー型だと6,000万円近くなる。普通のサラリーマンが無理なく取得できる価格ではない。
今後も、円安・資材高・職人不足を背景に〝マンション人気〟も加わり価格がさらに上昇するのは間違いない。まだ坪200万円以下のエリアも多い都下、神奈川、埼玉、千葉方面にシフトせざるを得なくなりそうだ。
住友不動産 池袋のタワー「グランドミレーニア」分譲開始
坪単価は東建「池袋」と同じ350万円

「グランドミレーニア」完成予想図
東京建物の「Brillia Tower池袋」が瞬く間に即日完売したと思ったら、間髪を入れず、住友不動産が池袋のタワーマンション「グランドミレーニア」の分譲を開始した。こちらは、池袋駅から徒歩6分、目白駅へも徒歩9分の近さと環境が売りのマンションだ。
物件は、JR山手線池袋駅から徒歩6分、または目白駅から徒歩9分、豊島区南池袋一丁目に位置する31階建て全411戸。第1期1次(45戸)の専有面積は43.08~82.59㎡、価格は4,880万~9,280万円(最多価格帯7,180万円)。坪単価は未定だが、350万円程度になる模様だ。竣工予定は平成27年2月中旬。施工は前田建設工業。
現地は、明治通りに面しており、同社住宅分譲事業本部東京事務所営業一課主任・高松稔氏によると「住環境がいい」免震タワーマンションというのが特徴。さらに、「歴史を変えるタワーマンション 3つのポイント」として「ゲート&ハンズフリー」「全住戸ワイドフロンテージ&アウトフレーム」「ダイナミックパノラマウインドウ」を掲げる。
セキュリティゲートを設けて安全性を重視し、コンパクトタイプでも間口を広く取り、天井高2600ミリを利用して床立ち上がりからバルコニーのない眺望が望めるというものだ。
◇ ◆ ◇
東京建物の物件でも記事にしたが、記者はどうも池袋を好きになれない。繁華ないかがわしい街のイメージでしかない。最近のことだが、取材途中で西武線に乗ろうとしたとき、作業着姿のあちこちにピアスを付けた若者とぶつかった。若者が携帯を落とし「携帯が壊れた。どうしてくれる」とすごまれ5,000円を弁償させられた。
交番に駆け込もうかとも思ったが、取材のほうが大事だし、恐喝の手口を取材しようという気持ちも手伝ってお金を渡してしまった。脅しの手口は誰かに教わったのだろう。脅迫罪や強要罪が成立する言葉を待ったが、微妙に避けた。目に輝きがなく、まだあどけなさも残る青年だった。「大阪から仕事できた」と言った。新手のいわゆる〝カツアゲ〟であることを後で知った。
しかし、今回の物件が立地する「南池袋」は、高松氏が言うように「繁華な街を通らなくて済む」ところであるのも確かだ。現地はかつて西武鉄道・西武不動産の本社機能があったところにも近接しており、よく通ったところだ。近くの交番のおまわりさんにも聞いた。「時々110番はありますが、駅周辺と比べ安全。いかがわしい施設? ありません」とのことだった。
◇ ◆ ◇
坪単価について。東京建物が350万円で即日完売したのなら、こちらも同じ単価なのだろう。グロスは抑制しているが、「区庁舎一体&隈研吾」に堂々と同社は単価で挑む。モデルルームタイプの82㎡は白と黒が基調のデザインで、廊下・ホールの幅は約1.2mあり、リビングドアは幅1.2mの親子ドアを採用。全て購入希望が入っているという。
他の住戸プランは、立地条件を考慮してだろう。2階から12階までは60㎡未満のコンパクトタイプばかりで、13階以上でも70㎡超は19戸しかない。これは正解だろう。販売に関しては高松氏も自信満々だった。それどころか、モデルルームがある池袋の総合マンションギャラリーは「手狭になってきたので近く増床も予定している」と話す。今回の「グランドミレーニアム」だけでなく、同じ池袋駅圏の「ダイレクトタワー池袋要町」(91戸)や、小石川植物園に隣接したマンションのモデルルームもこちらにできるのだそうだ。
同社の注目物件といえば、複合タワーマンション「高田馬場」(361戸)もあるが、こちらは新宿の総合マンションギャラリーにモデルルームをオーブンする。
東京建物「Brillia Tower池袋」はなぜ売れたか(9/9)
三菱地所レジデンス「ザ・パークハウスグラン千鳥ケ淵」が即日完売
坪単価800万円でも最多27,000万円台でも平均5倍
、「ザ・パークハウスグラン千鳥ケ淵」(完成予想図)
三菱地所レジデンスは9月17日、「ザ・パークハウスグラン千鳥ケ淵」(全73戸、分譲戸数22戸)が9月16日に抽選分譲した結果、最高13倍、平均5.1倍で即日完売したと発表した。
価格は16,000万~54,200万円(最多価格帯27,000万円台)、専有面積は72.26~179.17㎡、坪単価は800万円。最高13倍をつけたのは16,900万円の1LDKの住戸で、54,200万円の住戸も10倍の競争倍率となった。
登録者の年齢は30代(6.6%)、40代(16%)、50代(32%)、60代以上(43%)。居住地は千代田区16.5%、港区12.9%、渋谷区4.9%。
同社によると、お客様から評価された理由として、「千代田区三番町に位置し、全住戸から千鳥ケ淵と皇居の森を望む、全戸南東向きの配棟計画」を第一にあげている。
◇ ◆ ◇
平均5倍の競争倍率と最高価格住戸に10倍の倍率がついたのには驚いたが、即日完売はある意味では当然だ。
今だから書くが、この物件の記者発表会があった日、記者は30分の余裕をもって発表会場に向かった。近接する三井不動産レジデンシャルの「千鳥ケ淵」をみて、そして同社の物件の現地を観察して、坪単価を予想するためだった。そこで出した結論は、「絶対に三井の778万円を抜く」というもので坪800万円だった。「唯一無二」の立地にふさわしい価格設定が出来ないようであれば、三菱は永遠に三井を抜けないだろうと思った。
道に迷ったため、会場には30分くらい遅れた。すでに単価が発表されていると思い、近くにいたスタッフに「坪単価は800万円? 」とメモして渡した。その通りだった。今回の即日完売で、高額マンション市場に三菱は大きな楔を打ち込んだ。
それにしても、最高価格の住戸に申し込んだ10人はどのような人だろうか。同じような「唯一無二」のマンションはこれからどこがどこで分譲するのだろうか。

