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シニア住宅増築分(完成予想図)

 東急イーライフデザインは7月11日、34年の歴史を誇るシニア向け住宅の先駆け介護付有料老人ホーム「光が丘パークヴィラ」を運営する光ガ丘ヘルスケアの全株式をしたと発表した。

 現在の居室専用面積は約40㎡、49㎡で、余剰容積を利用して50〜60㎡台のシニア向け住宅18室を増築し、デイルームや介護浴室を増設し、軽度な介護度の入 居者の日常生活をサポートする機能も高める。改築工事の完了は2020年9月の予定で、延床面積は約2,381㎡となる。

 

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 三井不動産は7月11日、全社共通の業務の決済・押印手続き・会計処理などの標準化・効率化を図る新システムを今年4月から導入し、年間約58,000時間の業務量と約840,000枚分の紙資料が削減できる見通しと発表した。

 「働き方改革」の一環として2016年9月にITイノベーション部を中心に経理部、総務部、各事業部の事務担当者を含む総勢80名の部門横断型のプロジェクトチームを発足し、個別最適化されていた業務プロセスの標準化と、独立していた決済システムと会計システムの統合化に取り組み実現したもの。

 新システムの導入により、年間約58,000時間の業務量が削減でき、契約書類、経費精算書、帳簿書類の入力・出力・押印などを電子化することで年間約840,000枚分の紙資料が不要となる見通しで、さらには印刷・郵送・保管コストなどの削減が可能になるとしている。

 決裁・会計業務を支える基幹系システムをNTTデータ イントラマート社の「intra-mart®」とSAP社の統合基幹業務システム(ERP)パッケージである「SAP S/4HANA®」を用いて構築し、経費精算機能としてコンカー社の経費精算・経費管理クラウド「Concur® Expense」とクラビス社のクラウド記帳サービス「STREAMED」を採用。また、システム基盤として日本マイクロソフト社のクラウド プラットフォーム「Microsoft Azure」とSAP社のマネージド型クラウド基盤「SAP HANA® Enterprise Cloud」を活用している。

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 年間約58,000時間の業務量と約840,000枚分の紙資料が削減されるとあるのに驚いたのだが、これだけではイソップの「牛と蛙」だ。

 そこで12日(金)、同社広報に問い合わせたら、この日は「創立記念日で特別休養日とさせていただきます」のテープしか流れなかった。

 やむを得ないので、1,526名の従業員一人当たりの労働時間に換算したら年間38時間になった。月に約3.1日だから、さらに業務の効率化を図れば週休3日制が実現できるのではと考えた…この計算は間違っているか。

 紙資料の削減は見当がつかない。参考になるのは三菱地所のデータだ。同社は本社移転後の1年間の働き方及びワークプレイス改革により複合機出力数が45%、文具購入量が46%それぞれ削減できたと発表した。

 これでもよく分からない。厚さを考えた。一般的な上質紙は100枚で1cmというから約84mの高さ、つまりマンションなら28階建ての紙が不要になる計算だ。従業員一人当たりだと約5.5cm、550枚分だ。

 業務量と紙資源の削減をお金に換算したらいくらになるのか。興味のある人は計算していただきたい。数十億円にはなるはずだ。

 ついでに、同社と各社にお願いだ。発表会・見学会などの返事も全てメールで可にしていただきたい。全部で月に10回、年間100枚は削減できる。

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 本日(16日)、年間約58,000時間の業務量と約840,000枚分の紙資料が削減される見通しについて同社から回答があった。

 業務量削減については、「個人や部門によって当該業務への従事度合いが異なるため、一人当たりの削減時間は出せませんが、全体で年間約30人分の業務が削減されて他業務に従事可能となる計算」で、紙資料については「約7%相当の削減」ということのようだ。

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小嶋氏

(下線は小嶋氏が加筆訂正したものです。小嶋氏の想いを伝えるため、ほとんど手を加えておりません)

 元ヒューザー社長・小嶋進氏が7月8日、「REB-1000」(清水修司理事長)主催のセミナー&情報交換会の特別講演として「今だから話せる耐震強度偽装問題の真相とその後」について約2時間10分にわたり熱弁をふるった。国家権力の「偽装」に対する非力さ、自らの馬鹿さ加減について、時に声を詰まらせ、震わせる小嶋氏の話に、通常よりはるかに多い約300名の参加者は聞き入った。生々しい部下とのやり取りを記録した録音テープも公開された。

 小嶋氏は、「わたしの馬鹿さ加減がこのような事態を招いた」と切り出し、「東京拘置所に収監されていた329日間は誰とも話せなかった。なんの悪いことをしたのか分からず、世の中は不条理で成り立っていることをつくづく感じさせられた」と語り、耐震偽装マンション購入者に対し「申し開きできない。まことに申し訳ない」と謝罪。

 「グランドステージ藤沢」の施工を担当したために破産に追い込まれた元木村建設社長・木村盛好氏にも謝罪し、「国交省公表後2営業日後にはメイン銀行の預金凍結により強制不渡り破産となった、がその後、破産管財人が和解金17億円をメイン銀行から回収した事実により木村建設はすぐにでも倒産する会社ではなかった」と国や銀行などを批判。

 「木村建設不渡りの5日後には藤沢マンションの元請設計の森田一級建築士が稲村ケ崎で溺死体となって発見された。その遺書と同じ書体で11月14日に藤沢市役所担当者と『どこが間違っているのか指摘してほしい』との打合せ記録の報告書がある。小嶋詐欺罪証拠の一つ『10月27日イーホームズ指摘によって危険性を知ったうえで翌28日の藤沢引渡しを中断しなかった』との検察主張に対して、イーホームズは藤沢などの竣工検査済物件に対しての指摘がなかったことを証言する元請け設計士が亡くなった。

 そして北海道㈱晃研深川氏が耐震構造改修図面8棟のうち4棟を作成提出後にレンタカーで海釣りに行き、堤防に駐車しようとバックしてそのまま海中に転落して溺死してしまった」

 「329日間投獄後の2006年4月に保釈されたときには、ヒューザーもジャスティも個人も破産、瑕疵担保責任の連帯保証人である木村建設も消滅、元請けの森田一級建築士も耐震構造改修図作成の深川一級建築士もすべて消えていた」

 「こうして小嶋は丸裸となり耐震強度補強による瑕疵担保責任が果たせなくなった。結果、詐欺(2項詐欺)罪が確定した。これらは偶然の出来事なのだろうか」などと語った。

 一方で、イーホームズ・藤田東吾社長に対して「これまで66年生きてきて最悪な日本人」と怒りをあらわにした。「新聞記事などにより都議に献金400万円をしながら2700万円の虚偽増資によって資本金を5000万円とし、2002年3000万の売上を2004年には11億円に伸ばしたが、月間1300件から1700件の申請案件に対して構造担当の検査資格者はわずか2名のみで無審査だった。イー社存続のためにヒューザーを『耐震偽装は心の犯罪。一番儲かるのはデベロッパーであり、身の危険を顧みずヒューザーに乗り込んだ。民間確認検査機関だからできたことであり、悪を糺して公表した第一発見者であることを評価してほしい』と国会の場で目の前で語っていたので『何言ってるんだよ、この野郎』とどなってしまった」

 小嶋氏は破産管財人が作成した資料を投射しながら「収支計算書」における収入がヒューザーは50億3600万、ジャスティホームは3億9700万、小嶋個人(申告資産)7500万円の合計が55億に対して、「配当表」における総額約55億9000万円とは計算が合わない(収入金額を配当額が越えることはあり得ない)ことや、管財人が業務報酬としてヒューザーから3億4570万を受領しながらほぼその同額3億5000万円をジャスティホームの破産債券としてダブル記載したことを報告した。

 一方ジャスティ破産配当ではヒューザーへの破産配当1億950万を除いた配当金2億9780万円からグランドステージ藤沢の配当金1億8830万円を差引いた1億950万円を管財人「配当」としたことによって、破産管財人の収入総額は6億円相当(2社業務報酬4億4750万円+配当1億950万円+小嶋個人推定額)となることを明らかにした。

 管財人に破産関係書類の開示を求めたが「期限が過ぎたので破棄した」として協力してもらえなかったことを付け加えた。

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「REB-1000 セミナー&情報交換会」代々木・SYDホールで)

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 実は、事件が発覚する直前、小嶋氏をRBAタイムズで取り上げることが決まっていた。取材の数日前だったか、小嶋氏から「牧田さん、歯が痛くて喋れない。キャンセルしてくれないか」との連絡が入った。

 そのまま大事件となり、小嶋氏が逮捕されて取材する機会を失った。取材が実現し、新聞を発行していたら弊紙も記者も袋叩きにあっていたかもしれない。

 当時、小嶋氏はもっとも好きなデベロッパーの社長だった。記者が理想とする〝普通のサラリーマンが無理なく買える100㎡(30坪)マンション〟をたくさん供給していたからだ。商品企画を褒める記事を書いてエールを送った。

 また、小さいころの夢は小嶋氏が総理大臣で、記者が農林大臣だったことなど、お互いが田舎育ちの世間知らずで、その馬鹿さ加減を自慢しあったこともあった。100㎡マンションは序の口に過ぎず、150、160㎡に挑戦するとも聞いていたので、それを楽しみにしていた。

 少しは小嶋氏の性格を知っていたので、事件が発覚したときも「小嶋氏は絶対知らなかったはずだ」という確信はあった。

 ただ、小嶋氏が国家賠償請求訴訟を起こそうという気になったのは分からないではないが、法律の無謬性に反旗を翻すのは無謀というものだ。大変失礼だが、小嶋氏も甘い。しかし、如何なる大地震災害に対しても被災した個人住宅に国庫支出しなかった国が、この耐震偽装事件では緊急対策費用として直ちに80億円の補正予算を可決した。そして微々たるものとはいえ7棟の建替マンションに対して取壊費用や共用部の一部建築資金を助成し、或いは住民の仮住まい家賃や引っ越し費用の補助金として20億程度を拠出した。他にも銀行ローンの金利減免措置を講じたことなどは、国が確認制度の欠陥や検査機関の非の一部を認めたことに他ならなない。

 ヒューザー・小嶋氏に提訴された中田横浜市長がコペルニクス的馬鹿者と発言したが、建替えや耐震改修工事は姑息な助成や補助ではなく、小嶋氏が全戸無償で瑕疵担保責任を果たそうと139億円の国家賠償請求を提訴したことは動かしようのない事実。地動説を唱えた聖人を引合に出した横浜市長の意図は不明だが、耐震偽装事件の本質(制度の欠陥)と事件の対応(個人犯罪に矮小化)が地動説から500年後の現代において法治国家の体を成していないことの証左というべきである。

 マスコミの責任について。検察の「姉歯+建築会社+ヒューザーによる組織犯罪」というシナリオ通りにマスコミが動いたのは紛れもない事実だ。

 記者は事件が発覚してから取材を試みようとしたが、ある人から「(取材を)やめたほうがいい」という忠告を受けて書くのをやめた。取材を断念するのは忸怩たるものもあったが、所詮一業界紙の記者が徒手空拳で取材したところで大マスコミにはかなわないという諦念もあった。

 この日(8日)、元気な姿で登壇し、いつもの〝小嶋節〟をぶち上げたのに安堵したのだが、生々しい録音テープなどの事実を突きつけられて、国家権力に対する無力感、敗北感を記者も味わわせられた。当初は証拠資料にされなかった録音テープを聞けば、「組織犯罪」でないことは誰でもわかる。

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 小嶋氏は、自らの著作「擬装 『耐震偽装事件』ともうひとつの『国家権力による偽装』」(発行:金曜日)でもこの日の講演でも、杜撰な建築確認審査制度を厳しく批判している。その通りだと思う。記者も2度ほど取材しあきれ返ったことがある。

 一つは昭和50年代の後半だった。当時、敷地面積が100㎡以下のいわゆる「ミニ開発」が盛んにおこなわれ、自治体は対応に苦慮していた。確認申請業務を担当していたある区役所の担当者は、記者に対して「ミニ開発戸建てのほとんどは何らかの形で建築基準法に違反している」と言い切った。書類さえ整っていれば、そのまま建築確認は許可されるということを知った。

 もう一つは、市街化調整区域内で開発が許可される建基法第34条第1号(1号店舗)が埼玉県で大量に建設され、分譲されている実態を取材したときだ。昭和60年代の前半だった。1号店舗とは主に調整区域内に居住する居住者向けに衣類、食料品、家庭用雑貨、文具、書籍、新聞・雑誌、花・種苗などを販売する小売店のことで、他の都道府県では年間数えるほどしか建設されていなかったのに、同県では100戸単位で開発が許可されていた。これも書類が整っていれば許可されるという不思議な世界があった。

横浜傾斜マンション問題 どこも〝安全宣言〟を出せないのはなぜか(2015/11/13)

戸建てを越えたヒューザーのマンション(2004/8/30)

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 不動産流通研究所は7月8日、「住宅・不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識」を発刊した。

 住宅・不動産販売事業者や仲介事業者、賃貸住宅オーナーや管理会社が「ハザードマップ」を使い、取り扱う物件の購入者や入居者、地域住民を自然災害から守れるよう、ハザードマップの見方、説明の仕方などをイラストや画像などを多用し分かりやすく解説しているほか、ハザードマップを災害種別に分類・整理し、入手方法、情報の読み取り方などについて解説している。

 また、実務の現場で「ハザードマップ」をどのように活用していけばいいのか、そのポイントや注意点も盛り込んでいる。

 B5判、4色刷、68ページ。価格:定価900円(税別)。監修:東京大学大学院 工学系研究科 社会基盤学専攻教授・池内幸司氏、不動産鑑定士 ときそう代表取締役・吉野荘平氏。発行:不動産流通研究所。一部書店、ネット書店で販売。同社への購入申し込みは(電話03-3580-0791)、もしくはホームページ(https://shop.re-port.net)へ。

 

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 隠花植物か顕花植物か分からないが、都心部でどんどん増殖しているという「狭小住宅」について取材することにした。しかし、そもそも「狭小住宅」とは何かと考えたとたん行き詰まってしまった。定義などないからだ。ないものについて書くのは難しい。

 「住宅」そのものの定義だって怪しい。「人が住むための家」「すみか」(広辞苑など)くらいしか説明されていない。日本国憲法は「居住の自由」(第22条)「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(第25条)「住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利」(第35条)を謳ってはいるが、「住宅」そのものについての言及はない。

 建築基準法もしかり。居室の採光・開口部、天井の高さ(最低2.1m)などの規定はあるが、「住宅」とは何ぞやについて触れていない。都市計画法にも「住宅」の文言はしばしば登場するが、「住宅」の定義はない。

 頼みの国土交通省「住宅着工動向調査」には様々な調査項目があるにも関わらず、住宅の敷地の広さについてのデータはない。

 あるのは総務省の「住宅・土地統計調査」くらいだ。そこには「住宅」とは、「一戸建の住宅やアパートのように完全に区画された建物の一部で、一つの世帯が独立して家庭生活を営むことができるように建築又は改造されたもの」と定義づけ、「完全に区画された」とはコンクリート壁や板壁などの固定的な仕切りで、同じ建物の他の部分と完全に遮断されている状態をいい、「一つの世帯が独立して家庭生活を営むことができる」とは、①一つ以上の居住室②専用・共用の炊事用流し(台所)③専用・共用のトイレ④専用・共用の出入口を有しているものとしている。

 従って、ここでは「住宅」とは総務省の定義に基づいて記述することにするが、だからといって「住宅」とは何かという本質については全く迫れていない。わが国で「住宅」なる言葉がいつから用いられていたかも不明だ。白川静「字通」には、「住まい」は字鏡集で用いられていたとあるので、平安か室町時代ではそのような概念が漠としてあったと思われる。

 しかし、奈良時代には「墾田永年私財法」があったが、江戸時代までは農民・商人などは土地の所有権はなかったはずで、「居宅」「母屋」「小屋」「家督」「妾宅」「庵」「屋敷」「長屋」「借家」などの言葉からすると、「住宅」なる言葉が市民権を得たのはずっと最近のことかもしれない。

 岸田國士は昭和18年に発表した「力としての文化――若き人々へ」(河出書房)で次のように述べている。

 「元来、住宅などといふものは、最もその国の風土習慣を重んじなければならぬものであり、その建築は、いづれの点からみても、国民生活の特色を発揮し、時代の変遷に応じたその国の文化を如実に現すべき筈のものであります。従つて、厳密に云へば、文化住宅などといふ言葉は意味をなさないのでありますが、一歩譲つて、『文化』の最尖端を行く住宅建築のことを指すなら、それは第一に、民族興隆の意気と理想とを象徴するものでなければならないのであります。
 ところが、事実は、『文化住宅』といへば、概してもの欲しさうな和洋折衷の簡便主義、赤瓦青ペンキといふ風な植民地的享楽気分が土台になつてゐるのが普通であります。
 なるほど、『文化住宅』の設計者は、これこそ経済的条件のゆるす限り、合理的かつ趣味的要求を満たしたものと云ふかも知れません。時代の風潮といふものは恐ろしいもので、合理的とは簡便第一であり、趣味的とは伝統を忘れて感覚の刺戟を追ふことだつたのであります」(青空文庫より)

 そしてまた、先の敗戦までは「国民」は「朕(天皇)の臣民」であったわけだから、「住宅」が絶対的排他的所有権として定着したのは高々この80年くらいのことかもしれない。

 …などと書いてくると、全然前へ進めない。この前の藤原正彦先生の話と同じだ。言葉でもって言葉の定義づけをするとなると堂々巡りになり、迷路にはまり込むばかりだ。

 なので、もう「住宅」の定義はよして、本題の「狭小住宅」に移ることにするが、この「狭小」なる言葉もまた難物で、とらえどころがない。「小さくて小さい」と言われても、イソップの「蛙と牛」だ。時代によって人によってその大きさ・小ささの認識はまちまちだ。数値で計れないところがある。

 参考になるのは、各自治体が条例や指導要綱で定めている最低敷地面積だ。平成14年(2002年)の都市計画法改正によって、自治体は全ての用途地域域で敷地面積の最低限度の基準を面的に定めることが可能となり、これによって最低敷地面積を定める自治体が増えている。

 例えば、中野区は「建ぺい率40%の第一種低層住居専用地域の最低敷地面積は60m」とし、平成16年6月24日施行後、敷地分割により最低敷地面積の数値を下回る建築敷地は、建築確認申請が出来なくなった。

 足立区は、「足立区環境整備基準」で事業区域の面積が150㎡以上の場合、建ぺい率によって最低敷地面積を定めており、建ぺい率が60%で駅から500mの交通利便地域では66㎡、それ以外は70㎡以上とするよう定めている。

 他の区も同様に、葛飾区の「葛飾区宅地開発指導要綱」は、6区画以上の分譲住宅の場合で建ぺい率60%の地域では66㎡以上とすることを求め、墨田区の「墨田区良好な建築物と市街地の形成に関する指導要綱」は、宅地開発を行う事業者は原則として宅地の最低敷地面積を60㎡以上と定めている。

 断っておくが、記者はだからといって敷地が60㎡、あるいは66㎡未満の住宅を「狭小住宅」と呼ぶわけではない。この前も書いたが、一概に狭小住宅を「悪」と言えない市場(住宅は「幸せ」を売る商売であり、消費者が支持するものを「悪」と決めつけるのは難しい)が形成されているのも事実だ。

 だが、しかし、これらの住宅が面的に広がったらその住宅地の資産価値はどうなるのか、再利用の際にネックにならないかなどの問題は残る。

 この誰からも制約を受けない「居住の自由」と、社会的な富ともいうべき「居住環境」の両面からこの問題にアプローチすることにする。いったい、どこに行きつくのか記者もまったくわからない。まずは実態から調べることにした。

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タウングループ 創業40周年記念「御取引先様 感謝の会」(新高輪プリンスホテルで)

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新田代表

タウングループは74日、創業40周年記念の「御取引先様 感謝の会」を開催した。会には関係者約750名が参加、数学者で「国家の品格」など著作も多い藤原正彦氏の「教養のちから」をテーマにした講演に聞き入り、エンタテイメント・荒牧陽子さんのショーなどを楽しんだ。

新田泉・タウングループ代表は、同社事業について首都圏での年間賃貸仲介戸数は49,500件に達し、全国ランキングでも6位に入り、全国展開の足掛かりとして新たに福岡県に拠点を設けたこと、店舗展開は現在89店舗を2020年までに100店舗に拡大すること、賃貸管理戸数約40,000戸で稼働率は98%であること、40周年事業として今年1月、八潮市にタウンインドアテニスアカデミーを開講したことなどを報告し、「中原中也の詩にあるように『思えば遠くに来たもんだ』の感慨深いものがあります。今後も時代を超えて存続する企業としてお取引先の方々の役に立つ覚悟を新たにしました」と締めくくった。

また、タウンハウジング執行役員広報室室長・江上琢氏は、同社のブランド・ミッション「ひとを、まちを、もっと豊かに。」を改めて発表した。

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記者は他の取材があったので講演途中で退出したのだが、藤原先生は次のように切り出した。

「新高輪プリンスホテルでの講演に招かれるのは三度目ですが、いつも迷う。品川駅から歩いてくるのだが、道順をいつも間違える。困ったものです。

『教養』などと言われると、よほどの馬鹿を除き、みんな嫌な気分になる。世界中の誰一人として教養があるなどと思っていない。ものごとを知れば知るほど分からなくなる。私などは小学一年生より一万倍以上分からない。困ったもので、教養などまったくない。恥ずかしい限りです。

学者だって哲学者だって同じです。くだらないどうでもいいことを言葉で定義づけようとするが、その言葉そのものが分からない。死とは何か、世界とは何か、だれも何一つ定義づけることができない」

この軽妙な話に記者はすぐ引き込まれた。藤原氏ほどの人が品川駅からまっすぐ歩いて数分の新高輪プリンスホテルまでの道順を間違えるというのが面白いではないか。そして、よほどの馬鹿でない限り、みんな自分を無教養人とみなしていると話したのに合点がいった。

小生がこれまで40年も業界紙の記者として生きてこられたのも馬鹿を自覚し、馬鹿の限界を自分なりに理解してきたからだと思う。記事の量は、1カ月に原稿用紙にして200枚、300枚書いてきたのでそれなりの量になるはずだが、〝これが完璧〟と言える記事は一本も書いたことがない。だからこそ、読者の心を震わす完璧な記事を書こうと奮い立たせてきた。

藤原先生はこのあと、「改革に次ぐ改革を日本は行ってきたが、世の中はまったくよくなっていない」と話し、バブル崩壊後のわが国の社会経済について真相を看破した。

記者は、藤原先生の国語教育に力を入れるべきという主張に大賛成で、「祖国とは国語」(新潮文庫)など一連の著作を読んだ。藤原先生を講師に呼ぶタウングループも味なことをするものだ。

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「三井不動産インダストリアルパーク羽田(MFIP 羽田)」

 三井不動産は7月5日、物流機能を含む免震複合用途施設「三井不動産インダストリアルパーク羽田(MFIP 羽田)」が竣工したのに伴うプレス説明会・内覧会を行った。

 「MFIP羽田」は、首都高速1号羽田線「羽田」ICから約0.6km、京浜急行空港線穴守稲荷駅から徒歩7分、大田区羽田旭町に位置する敷地面積約36,000㎡、延べ床面積約81,000㎡の鉄骨造5階建て。

 物流施設のほかオフィス、研修所などさまざまな用途が可能で、大田区が運営する産業支援施設の入居も決まっている。72時間対応の非常用発電機や免震装置などBCP機能の充実を図っている。

 テナントは、梓設計が3階に本社機能を集約するほか、近鉄ロジスティクス・システムズ、デル、フジテックなどで満床稼働する。

 現地は、同社とANA ホールディングスが連携し、羽田エリアの産業活性化に寄与する街づくり型開発プロジェクト「HANEDAインダストリアルパーク」として開発を進めてきた一角。2019年3月にはANA ホールディングスの新トレーニングセンター(ANA Blue Base)が竣工している。

 同社常務執行役員ロジステックス本部長・三木孝行氏は、「これまでの施設の名称〝ロジスティクス パーク(LP)〟を〝インダストリアルパーク(IP)〟にする初めての物件。2万坪の敷地を相対で取得できた。これほど恵まれた土地はもう世の中に出てこない特別な価値ある物件でもあるので、当社固定資産として永遠に持ち続ける。施設には大田区羽田という立地、2万坪の敷地、街づくり型として思いを込めた。デザインもこれまでの物流とは全く違う。梓設計さんが本社ビルとして1フロアを賃借するというのはわが国ではおそらく初めてのケース。今期はこの施設を含め8物件が竣工する。今後も年間4物件のペースで取得していく」などと語った。

 同社のロジスティクス事業施設は、稼働施設が20棟、開発中施設が13棟、計33棟となる。

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外観ファサード

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エントランス

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三木氏

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 記者は物流のことはよく分からないが、三木氏の話は魅惑的なフレーズがどんどん飛び出し、とても面白い。代表者の挨拶はこうでないといけない。

 確かにデザインはおよそ物流(倉庫)らしくないし、梓設計が入居する3階部分はハイサッシ(Low-Eではなかったが)を採用し、天井高は5m以上あった。こんなゆったりした空間で仕事ができたら最高だろう。マンションの天井高がどんどん低くなっているので羨ましい。

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梓設計が入居する3階部分

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植栽

画期的、大成功、渦を巻く〝三木&御酒〟雄たけび 三井不・プロロジス「川越」竣工(2018/11/6)

「最早、後発でない」「嫌悪施設でもない」 三井不 ロジスティクス本部長・三木氏(2018/5/21)

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「コモンステージ ミラまち」

 積水ハウスは7月2日、豊橋市の大規模複合開発「ミラまち」内で分譲中の「コモンステージ ミラまち」で、電力スマートメーターの通信技術を活用した電気・ガス・水道共同での自動検針を2019年10月から全国で初めて実用導入すると発表した。

 豊橋市、第一環境、中部電力及び中部ガスが、電力スマートメーターの通信技術を利用した水道・電気・都市ガス共同自動検針の実施に合意したもの。

 「ミラまち」は総開発面積約27万㎡の開発エリアに約400区画の戸建住宅と、商業施設・業務施設を設けるまちづくりプロジェクト。

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 記者は以前から電気・ガス・水道代の検針を一度にできないかずっと思っていた。他の地域は分からないが、多摩市では電気代とガス代は月に1度、水道代は2カ月に一度、使用量と料金が書かれた紙が郵便ポストあるいは新聞受けに入れられている。

 その検針に係る費用は馬鹿にならないと思ったので調べてみた。東京都水道局はホームページで「水道メータの検針から料金の請求、お支払い関係などに必要となる経費は、23区で年間約156億円必要となっております。(平成15年度)この金額は水道事業全体の約8%となっており、内訳は次のとおり」とし、検針や料金算定、料金に対する問い合わせに係る費用は39%としている。つまり、156×39%=60.8億円が人的検針などにかかる費用とみられる。

 そのままの経費が減るのか、水道局に問い合わせたら、担当者は「自動検針にする場合のシステム変更・維持管理にも費用が掛かるので、自動検針に切り替えたら人的検針の費用がそのまま減るわけではない。逆に費用増ということもありうる」という回答だった。

 同じ質問を東京ガスにもしたら、「自動検針については実験・準備を行っている段階で、いつ実施すかなどは未定」(広報)としている。

 さて、どうなるのか。そのうちに新聞やNHKの受信料の集金人はなくなるかもしれない。ヤクルトや牛乳はどうなっているのか。

 

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 毎号面白い特集記事を組んでいる「週刊ダイヤモンド」の6月22日号の「最新版 倒産」記事には仰天した。「(倒産の)危険水域 ランキング完全版423社」のうちワースト250社に不動産会社が実に43社も入っているではないか。不動産業で上場している企業は145社(ネットによる)だから、約3分の1は危ないというのだ。

 発表されたランキングの中には、確かにどうして存続しているのか不思議なくらいの〝死に体〟企業はあるが、何と東京建物のワースト22位を筆頭に東急不動産ホールディングスが52位、住友不動産が77位、野村不動産ホールディングスが81位、三井不動産が163位、三菱地所が174位、つまり上場不動産会社の売上高ベスト6社が〝堂々〟と200社までに入っている。この6社が〝危ない〟のであれば、他の不動産会社で〝安全〟なのはどこか知りたいくらいだ(逆に〝安全〟ランキングを発表すれば、雑誌は爆発的に売れ、株価も暴騰するのではないか)。

 なぜ驚天動地のこのようなランキングが発表されたか。同誌は冒頭で①金融機関の融資の厳格化②人手不足③後継者不在④米中貿易戦争-などを背景に挙げ、6年ぶりに倒産危険度ランキング特集を復活させたとその理由を明らかにしている。

 記者もこれには同意する。説得力があると思う。スルガ銀行の不適切融資は今後不動産業界全体に波及するのではないかと恐れている。

 だが、しかし、わが不動産会社のベスト6全てが〝危ない〟と書かれたら反論しないわけにはいかない。

 同誌によると、調査は①運転資金の増加分=資金繰り②内部留保③税引前営業利益④時価総額と有利子負債の額⑤総資産回転率-の5つの倒産危険度(Zスコア)を機械的に数値化して行われたもので、1.81未満は「倒産の懸念を否定できない」としている。

 さすがに、大手デベロッパーのほかほとんどの電力会社や鉄道会社もランクインしていることに気が引けたのか、「不動産会社や鉄道会社のように、業種の特性上、他業種に比べ有利子負債が大きくなりやすく、総資産が膨らむ傾向にある業種の場合は、スコアは低めに出やすい」と言い訳をしているのだが、この機械的な処理に全て問題がある。

 不動産業は有利子負債が多い業態であることは言うまでもない。バブル崩壊で売上高を上回る負債を抱えていた多くの企業が破綻したのはそのためだ。

 しかし、超低金利の現在、有利子負債の多寡が即企業の存続につながるかどうかは分からない。負債を抱える力があるかどうかを見るべきだ。

 そして、記者がもっとも不適切だと思うのは総資産回転率の計算だ。不動産業はプロジェクトが多額で長期化するケースが多く、マンションでも土地の仕入れから分譲-引き渡しまで最低2年はかかる。再開発の案件などでは数年どころか四半世紀に及ぶものも少なくない。

 その間の景気の動向、地価変動リスクが伴う。これを危険といえば危険だが、そうした様々なリスクに耐えられる体力として資産は極めて重要なファクターになってくる。保有資産が大きいからこそ、回転率は低くてもビッグプロジェクトに取り組めるのが大手デベロッパーだ。回転寿司屋と不動産業を同じまな板に載せるからこんな結果になる。

 同誌は、ストレートに数値をはじき出すのではなく、業種に応じて補正すればまったく異なった結果が出るはずだ。まあ、しかし、今回の特集は倒産危機の警鐘を鳴らした意味のある企画だと思う。

 

カテゴリ: 2019年度

 長谷工アーベストは6月27日、首都圏居住のモニターを対象に実施したWEBアンケート形式による「住みたい街(駅)ランキング」の調査結果をまとめ発表した。有効回答数は3,166件。

 首都圏総合ランキングは、「吉祥寺」が調査を開始して以来15回連続の第1位、第2位は「横浜」第3位は「大宮」。「大宮」は前回13位からの浮上。

 このほか「中野」が15位から6位に、前回18位の「立川」が7位に、前回11位の「赤羽」が8位に入り、初のトップ10入り。

 ポイント制を加えた都県別ランキングでは、東京23区は「新宿」、東京市部は「吉祥寺」、神奈川は「横浜」、埼玉は「大宮」、千葉は「船橋」がそれぞれ1位。

◇      ◆     ◇

 この種のランキングが発表されるたびに記者はうんざりする。アンケート回答者の居住地、年代、家族数などは全てトータルしてパーセンテージでしか公表されない。知りたいのはそれぞれどのような層のひとが「住みたい街(駅)」にどんな魅力を感じているのか、さらにまた、記者は最も大事だと思っているのだが、その「住みたい街(駅)」に住める可能性についての調査が欠落しているのが決定的に問題だと思う。そもそも「住む」とはどういうことなのかあいまいだ。

 ベスト3の「吉祥寺」「横浜」「大宮」は、マンションなら坪単価は場所によっては500万円以上で、もっとも安くても徒歩圏なら250万円はくだらない。アンケート回答者のうち購入できる人は果たして何人いるか。「吉祥寺」も「大宮」も雑多な街だし、「横浜」だっていいのは、山手、桜木町の一角だ。

 「新宿」と「渋谷」がそれぞれ4位、5位に入っているのも解せない。記者は、「渋谷」の高級住宅街を除けば住むところではないと思っている。「新宿」はキャッチバーにつかまって有り金全てを吐き出させられたところだし、「渋谷」は永遠の愛を誓った場所ではあったが、見事に捨てられた場所でもある。今でもトラウマになっている。

 それならどうして「東京」はベスト20にも入らないのか。小生はお金があったら、「東京」に住みたい。皇居を見降ろすのは畏れ多いが、坪単価にしたら最低でも坪3,000万円の価値があると思う。

 「赤羽」が8位なのは結構なことだと思う。いま長谷工コーポレーションが施工したマンションが分譲中だし、北区も〝住めば北区〟のキャンベーンを展開しているのが奏功したのかもしれない。

 だがしかし、もっとも理解できないのが、どうしてわが「多摩センター」は東京市部のベスト10にも入らないことだ。ベスト10には「吉祥寺」「調布」「府中」「八王子」「高尾」の5つの京王線沿線の街(駅)が入っているのは嬉しいが、「多摩センター」が無視され「高尾」が入るなんて信じられない。

 同社のニュース・リリースには、1位の「吉祥寺」について「住みたい街ランキングの常連の街であり、自然と都会的な部分のバランス感覚が優れていると感じるから。道を一本入ると庶民的な雰囲気が今なお漂っていて、飲食店数が多いので住みやすそうだと感じます」(20代・単身)とのコメントが付いているが、これはこのままそっくり「多摩センター」にも当てはまることだ。

 一つひとつ書かないが、多摩センターほど広範囲に歩車分離の街が形成されているところはわが国にない。少なくとも街を歩いていて、車が突っ込んでくるリスクは皆無だし、子どもも大人も交通事故にあう可能性は極めて少ない。

 デパートはなくなったが、ホテルがあり宴会もできる。コンサートホールだってある。飲食はみんなチェーン店になってはまったが、絶滅危惧種の草花をめでることもできる。風俗系の店もラブホテルだってあるし(なくなったか)、京王閣、府中競馬場にも近い。長谷工の立派な研究所だってあるではないか。

 同社も含めこれから調査する機関は、アンケートを実施する際に、街(駅)の特徴や土地やマンションの相場なども伝えるべきだと思う。だれもが実現できない街(駅)を「住みたい街(駅)」ランキングとして調査する意味なんてどこにあるのか。みんな〝住めば都〟ではないのか。

  記者がアンケートするなら、「住みたい街(駅)」ランキングではなく、「住める街(駅)」ランキングだ。こちらのほうが消費者の役に立つ。そのうち自分でやろうかしら。

 

カテゴリ: 2019年度
 

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