異なるのは「現場探訪!」と「ひと」の違いだけ 中身一緒 住宅新報と週刊住宅
他人のことは笑えないのだが、わが業界も8月は端境期なのか、最近の業界紙の記事はどうもさえない。普通なら埋め草(ベタ記事)にしかならないような記事が大見出しのトップ記事になったりしている。1面からそうだと、中身も読む気がしなくなってしまう。
今週の「住宅新報」と「週刊住宅」は〝手抜き〟といっては怒られるかもしれないが、いかにも独自取材したかのようで、実は一緒に同時取材したことが分かる、パブリシティではないかと疑いたくなる記事が掲載されていた。同じ人が住宅新報では「現場探訪!」と感嘆符付きで、一方の週刊住宅では「ひと」のコーナーで紹介されていた。内容も似たり寄ったりだから、それぞれの記者が同時に取材したのに違いない。(別の日でも同じことだ)
なのに、新報はさも現場に飛んで書いたように、週刊住宅は〝時の人〟ように取り上げる。これはいかがなものか。人から話を聞くのも「現場」のうちか。住設メーカーのことは分からないが、売上が2億円ともなると〝時の人〟になるのか。
自らが情報の発信者にならないと、そのうち見捨てられる。
ダウンサイジング流行りにぴったり 三菱地所〝部屋の中の小屋〟「箱の間」発売
「箱の間」
三菱地所、三菱地所レジデンス、三菱地所ホームは8月27日、居室内に設置することで〝部屋の中の小屋〟をつくることができる「箱の間」を9月1日から発売すると発表した。
「箱の間」は都市と農山村を繋げる三菱地所グループの取り組み「空と土プロジェクト」(https://soratsuchi.com/)から誕生したもので、三菱地所と三菱地所レジデンスが企画し、三菱地所ホームが販売する。
寸法はW1.777mm×D0.755mm×1.620mm。販売価格はPLAN‐αが670,000円(税抜)、PLAN‐βが620,000円(税抜)。申込み後、約2か月で納品する。販売エリアは三菱地所ホームの施工エリア(首都圏、関西圏)。
リノベーション
◇ ◆ ◇
この商品は2016年に発表したときから注目していた。その後3年が経過したが、この間、リノベーションマンションやオフィス、地域の交流拠点などに設置し、様々なニーズを確認。材の厚みなどを見直したという。
同じように、リビングに小屋のような空間を提案しているモデルルームをいくつか見ている。阿部公房の「箱男」のように、押し入れや段ボールに入りたがるのを利用したものだと思う。
マンションの専有面積がどんどん圧縮され、生活や思考もダウンサイジング流行りの今だからこそ受け入れられるのかもしれない。
本社オフィス
久米の仙人になれる阿波踊り最高 南越谷阿波踊り 通い続けて20年
南越谷阿波踊り ポラスの連で踊る神田さん
主要ハウスメーカー広報担当者の集まり「住宅広報連絡会」が主催する「8月度臨時会」が8月24日(土)行われ、メディア関係者を含めた約40名の参加者は南越谷阿波踊りを鑑賞・体験した。
臨時会は、地域に密着したポラスの社会貢献活動を直に学ぼうと住宅関連のメディアにも呼び掛けて20年くらい前にスタート。毎年、懇親会を開き、本場の有名連による阿波踊りの舞台踊りを鑑賞し、「にわか連」として踊りを体験している。
南越谷阿波踊りは昭和60年(1985年)、徳島県出身で越谷市に本社を構えるポラスグループの創業者・中内俊三氏の提唱によりスタート。当初の約3万人だった観客は年を追うごとに増え、今年は約78万人(前年は75万人)。本場徳島と東京高円寺とともに日本三大阿波踊りと言われるまでに発展している。
中内代表
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記者は、第1回目からほとんど欠かさず参加している。高円寺にも15年間くらいずっと参加しており、参加回数だけはだれにも負けない。
阿波踊りのどこがいいか。阿呆馬鹿を演じる男踊りも悪くはないが、とにかく妖艶な女踊りがいい。中でも、フラミンゴのように片足立ちする女性のピンクの浴衣裏地から覗く白い脛(はぎ)にたまらない魅力を感じる。あの久米の仙人が神通力をなくしたのと同じだ。
もう一つ、ほれ込んだのは「小股」だ。相撲の決まり手に「小股掬い」があるように、「小股の切れ上がった」いい女というと、脚の付け根を連想するスケベ男が多いかもしれないが、記者は「小股」とは、髪を結いあげたときの「うなじ」だという説に一票を投じる。うなじから立ち上る露草のようにきらきらと光るにこげを江戸時代の粋人はそう形容したのだろう。
さて、この日の南越谷阿波踊りでも、ポラスの華ともいうべき美しい女性をカメラに収めることができた。この4月まで同社の広報を務めていた神田妙子さんだ。神田さんは同社の戸建てリビング天井高2.7mにふさわしく、身長が1.7mくらいある長身で、あの深編笠をかぶるとひときわ目立つ。
もう一人、思いがけず演舞場の舗道でばったり出くわした人がいる。同社の中内晃次郎代表だ。満面に笑みをたたえていた。舞台踊りを観に行ってもどうせ眠るだけだと街に出たのが正解だった。
二次会では、業界紙の方から「百年の孤独」の差し入れがあった。感謝申し上げるのだが、どんな味だったかさっぱり思い出せない。帰るはずだった新宿ではなく、恵比寿でラーメンを食べたのを思い出した。
ポラスの連
世界最強のラグビー・ニュージーランドチームの宿舎は「三井ガーデンホテル柏の葉」
ラグビーニュージーランド代表「オールブラックス」
柏市と柏市ラグビーキャンプ地誘致委員会のメンバーである三井不動産は8月22日、世界最強を争うラグビーニュージーランド代表「オールブラックス」の来日に向けた様々なプログラムの開催を決定したと発表した。
宿泊施設やミーティング施設として「三井ガーデンホテル柏の葉」と「柏の葉カンファレンスセンター」を提供するほか、9月10日から始まる事前キャンプに向けて「サポート」、「ドリーム」、「レガシー」をプロモーション計画の3本柱とし、シティドレッシングやオールブラックスの出場する試合のパブリックビューイング、オフィシャルグッズショップの展開やTVCM、都内交通広告(電車・タクシーなど)を行う。9月14日(土)にはオールブラックス5選手が登場する応援イベントも実施する。
同社は昨年5月に事前キャンプサポート決定から、選手が出演する柏の葉PRCMの作成や、パブリックビューイング、ビジネスセミナーなど様々な取り組みを実施してきた。「オールブラックス」は世界ランキング2位。ウェールズ、アイルランドなどとトツプ争いをしている最強チーム。
アキュラ、旭化成、一条、中央住宅、積水ハなど受賞 第13回キッズデザイン賞
キッズデザイン協議会は8月23日、子どもの安全・安心と健やかな成長発達に役立つ優れた製品・空間・サービス・研究活動などを顕彰する「第13回キッズデザイン賞」受賞作品264点を発表した。
住宅・不動産業界からは、アキュラホーム・国産間伐材の木のストローAQURAS、旭化成ホームズ・家族の成長に、変化できる賃貸住宅「free㎡(フリームス)」、一条工務店・花粉ジェット(他に2作品)、積水ハウス他・江古田の杜(他に5作品)、中央住宅・車の出し入れ まもるんスペース、パナソニック ホームズ他・まなび、あそび、そだつ家「こどもっと」、ミサワホーム・IoTライフサービス「LinkGates(リンクゲイツ)」、森ビル・ARK HILLS KIDS COMMUNITY GREEN WORKSHOP(他に1作品)など。
各大臣賞などの優秀作品は9月25日に発表される。
韓国からの訪日客7.6%減少 日本から韓国への出国者は前年同月比19%増 今年7月
日本政府観光局(JNTO) は8月21日、2019年7月の訪日外客数は前年同月比5.6%増の約299万人で、前年同月比5.6%増加し、単月として過去最高を記録し、1~7月でも約1,962万人で、前年同期比4.8%増加したと発表した。
一方で、韓国からの訪日客は前年同月比7.6%減の約56万人で、1~7月の合計でも約442万人で、前年同期比4.3%減少している。
その理由をJNTOは「韓中関係の改善による中国への渡航需要の回復や旅行先としてベトナムが人気になるなど海外渡航先が多様化していること、韓国経済の低迷に加えて、最近の日韓情勢もあり、訪日旅行を控える動きが発生し、訪日者数は前年同月を下回った」としている。
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7.6%減が多いのか少ないのかよく分からないが、政治に振り回されないで仲良くすべきと考えている記者にとっては気になる結果だ。
ただ、救われるのは、韓国観光公社の調査によると、日本から韓国への今年7月の入国者数は274,830人で、昨年同月の230,512人より19.2%増加していることだ。
7月のわが国からの出国者数の伸び率は6.5%増だから、これと比べても日韓関係の悪化はそれほど影響していないのかもしれない。メディアも大本営発表記事ばかり書かないで、逆のあるいは裏側からの視点でものを観ることが必要ではないか。
〝三井ガーデンホテル〟初めて体験宿泊 組子、円窓、シャンプー…「京都駅前」開業
「三井ガーデンホテル京都駅前」
三井不動産と三井不動産ホテルマネジメントは8月21日、京都市内の〝三井ガーデンホテル〟シリーズ4施設目となる「三井ガーデンホテル京都駅前」のプレス内覧会・特別試泊会を行った。ホテルは8月29日に開業する。
施設は、JR京都駅(中央口)から徒歩3分、京都市下京区東塩小路町に位置する地下1階・地上10階建て全136室。客室はダブル37室(約21㎡)・ツイン90室(約21㎡)・トリプル9室(約27㎡)。宿泊料金は2人利用で約4.2万円~。
京都駅に近い立地を生かし、京都市内の既存ホテル「京都新町 別館」「京都三条」「京都四条」と連携し、ホテル間で荷物を運ぶ新サービス「バゲージサービス」の拠点にする。料金は一個の荷物につき300円。既存ホテル利用者は地下1階のラウンジ・レストランも利用できる。
「茶の心と京の美を五感でご堪能いただけるホテル」をコンセプトに、共用部や客室の随所に茶の世界観やわが国の伝統技術が体感できるオブジェ、アートを配置。トリプルルームはグループやファミリーでの利用が可能。1年間限定で、京友禅とデニムが融合した「京都デニムの間」と、2020年に創業300年を迎える生地「丹後ちりめん」を用いた「丹後ちりめんの間」をそれぞれ1室用意している。
総支配人・景山敬之氏は「京都の玄関口の立地を生かし、初めてバゲージサービスを導入し、ホテルコンセプトにふさわしいアイテム、アートを盛り込んで差別化を図り、付加価値の高い施設に仕上げた」と話した。ADR(平均客室単価)は2万円弱を想定している。
フロント・ロビー
フロントカウンター
「丹後ちりめんの間」
「京都デニムの間」
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試泊は予定していなかったが、取材の翌日(22日)に住友不動産が大阪の大規模マンションの記者発表を行うので、事情を話したら、快く試泊させてもらうことになった。お礼の代わりにこのホテルのいいところを紹介する。
何がいいかといえば、組子デザインのフロントカウンターだ。帝つなぎと呼ばれる胡麻、サクラ、麻の3つの文様を繋ぎ合わせたもので、木片も色を変えているので、見る角度によって濃淡がつくように工夫されている。記者はしばし見とれた。
客室では、「丹後ちりめんの間」が素敵だ。担当者は「女性向き」と説明したが、これは若いカップルや熟年夫婦にもお勧めだ。〝非日常〟を満喫できることを保障する。かつてはこの緋色ちりめんは日常にあった。
「京都デニムの間」は、「侘び寂び」を堪能したい人にはいいかもしれない。昭和レトロな雰囲気がある障子の前に女性が立てば竹久夢二の世界に引きずり込まれるのではないか。
記者が泊めてもらった客室は約21㎡のダブル。放映されていた野球中継で西武が快勝したのを見届けて、飲み直しに出かけた駅前のチェーン店が最悪。〝おもてなし〟のかけらもなかった。齢70の記者が悪態をつきながら独り寂しく輾転反側する図を想像していただきたい。
だが、しかし、電気をつけたまま寝たおかげで、障子に映し出された幽玄な世界を何度も体験することができた。客室は茶室をイメージしたもので、窓はきれいな借景が望めないので閉め切られており、さらにブラインドによって光を遮断し、天井に埋め込んだライトで円相をあしらった円窓を照らすとぽっかりと円い月が浮かび上がるという仕掛けだ。これは外からの視線や日射が気になるマンションにも応用できる。難点を利点に転化できるスグレモノだ。
シャンプーがまたいい。泡立ちがよく、アロマの香りが心地よい。ラベルには「花王レアーナ」とあった。業務用のようだ。帰宅してかみさんに話したらせせら笑った。「何よ、あなたのシャンプーは1,000円くらいだけど、わたしのは数千円」…処女の香りがする「牛乳石鹸」が懐かしい。
プレス内覧会・特別試泊会に詰めかけた方は圧倒的に女性が多かった。その方々がどう感じたかは皆目見当がつかない。
円相をあしらった円窓
宿泊・飲食サービス業向け建築物激増 あおり受けマンションは過去10年で最少 京都府(2019/8/20)
三井不 「ホテル ザ セレスティン京都祇園」開業 〝日本一の朝食〟メニュー(2017/8/29)
宿泊・飲食サービス業向け建築物激増 あおり受けマンションは過去10年で最少 京都府
平成30年の観光消費額1兆3,082億円、外国人宿泊客数450万人、宿泊客数1,582万人とも過去最高を記録した京都人気を反映して、府内の宿泊業・飲食サービス業向け建築物の着工が激増し、ホテルなどに用地を奪われたためか分譲マンションの着工が激減している。
国土交通省の建築着工統計によると、平成30年度の京都府での宿泊業・飲食サービス業向け建築物の着工件数は322件で、前年の310件を上回り、平成27年度の実に4.2倍となった。全体の延べ床面積約36.5万㎡、工事予定額約1,092億円とも前年を上回り、平成27年のそれぞれ9.8倍、11.5倍となった。
延床面積、工事予定額は東京都のそれぞれ約59.1万㎡、約2,694億円には及ばないが、大阪府のそれぞれ33.5万㎡、約1,035億円を上回っている。
そのあおりを受けた格好が分譲マンションだ。京都府の平成30年の着工戸数は1,055戸となり、前年の1,328戸より20.5%減少し、過去10年で最多だった平成27年の3,329戸のほぼ3分の1に激減。過去10年間で最少となった。
激減した要因は、適地がホテルなどに奪われていることは明らかだ。昨年、京都の取材でタクシーに乗ったとき、運転手さんが「マンション? もうあきまへんわ。ホテルに勝てない」と話したくらいだから、マンションデベロッパーは全然歯が立たないのだろう。
デベロッパーは京都で土地を仕入れられないためか、大阪にシフトしているようで、大阪府の平成30年のマンション着工戸数は19,732戸となり、平成27年より34.0%増加している。
記者は、京都駅近でマンションを分譲したら坪1,000万円でも売れると思うがどうだろう。
日本初の木鋼ハイブリッド筋かい 製造段階でCO2排出量 最大65%削減 大和ハウス
「木鋼ハイブリッドブレース」
大和ハウス工業は8月8日、大規模商業施設や事務所などに適用可能な日本初の耐震部材「木鋼ハイブリッドブレース」を開発し、日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得したと発表した。
「木鋼ハイブリッドブレース」は、平鋼の芯材を集成材の拘束材で補強することにより、地震時に圧縮力がかかっても座屈せず、優れた耐震性能を発揮できるブレース(筋かい)。
拘束材にヒノキやカラマツなどの木質材料を用いることで、従来の鉄骨構造による座屈拘束ブレースと比較して、座屈拘束ブレースの製造時に生じる二酸化炭素排出量を最大65%低減でき、集成材を現しにすることができる。
同社は今後、コストの削減を進め、柱や梁などへの採用可能性についても研究開発を進めていくとしている。
わが国では、林野庁が2010年10月に施行した「公共建築物における木材の利用の促進に関する法律」により建築物の木造化・木質化の促進が図られており、国土交通省の「建築着工統計調査」でも、非住宅系木造建築物の着工床面積は、2010年の420万㎡から2018年には477万㎡まで増加している。
外国人に人気のホテルTOP20に コスモスイニシア「MIMARU」3施設
「MIMARU京都 烏丸御池NORTH」
コスモスイニシアは8月7日、世界最大旅行プラットフォーム「TripAdvisor®」の日本法人・トリップアドバイザーが発表した「インバウンドレポート2019 外国人に人気の日本のホテル2019」ランキングTOP20に同社の「APARTMENT HOTEL MIMARU」から16位に「MIMARU東京 上野稲荷町」、18位に「MIMARU東京 赤坂」、19位に「MIMARU東京 日本橋水天宮前」の3施設が選出されたと発表した。
「MIMARU」は、2018年2月に開業した第一弾の「MIMARU東京 上野NORTH」をはじめ、8月1日にオープンした「MIMARU京都 烏丸御池NORTH」まで運営数は東京・京都あわせて11施設511室となっている。
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これには驚いた。人気ランキングトップの「クラブメッド北海道トマム」、第2位の「クラブメッド北海道サホロ」は知らないが、マンションの究極はホテルだと思っているので、第3位「ザ・リッツ・カールトン東京」や5位「パーク・ハイアット東京」、8位「ザ・リッツ・カールトン京都」、10位「マンダリンオリエンタル東京」、12位「パレスホテル東京」、14位「コンラッド東京」などは記者も宿泊・取材もしている。
これら名だたるラグジュアリーホテルに次いで、コンセプトもターゲットも全く異なる「MIMARU」が3施設も選ばれるのはいま一つよく分からないのだが、欧米では当たり前の施設がわが国にはなかったのが評価されたのであろうと考えると、なるほどと納得もできる。同社は「フレンドリーな接客を高く評価いただいている」としているが、記者も「MIMARU京都 新町三条」に体験宿泊しているので、ホスピタリティの高さを実感した。ファサードデザインもよかった。
個人的に好きなホテルは「京王プラザホテル東京」と「ロイヤルパークホテル」、「京都ブライトンホテル」「旧ホテル海洋」「ウェスティンホテル東京」など。