東急リバブル 営業職5年以上と遜色ない物件選定 AIマッチングシステム開発・稼働
東急リバブルは3月31日、AI技術を活用して投資用マンションと顧客を繋ぐ「投資用区分マンションAIマッチングシステム」を開発したと発表した。東京23区及び武蔵野市・三鷹市のマンションへの投資を考えている顧客を対象に4月1日から本格稼働する。
日本電気の精度の高い最先端AI技術群「NEC the WISE」の1つである「異種混合学習」を採用。東急リバブルが保有する約6年間分の過去取引に関するデータ(物件特性・希望条件・資金計画など)や営業担当者の経験値などに基づき、AI技術を用いて投資用マンションのおすすめ度を顧客ごとに分析し、スコア化する予測モデルを搭載している。
同社の事前検証により、営業経験5年以上の担当者が行う物件選定と遜色ないレベルを実現したという。
投資用マンションの顧客のニーズは、老後資金の確保だけでなく20・30代のミレニアル世代による新たな収入源確保や資産形成を目的とするなど多様化しており、そうしたニーズに応えるもの。
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ファミリーマンションの顧客ニーズは複雑で、沈殿・潜在しているものを引き出すのはAIでも難しいが、投資用は確かにデータ化を可能にするはずだ。リバブルの営業経験5年以上のベテランと遜色ないというから、これはいい。
しかし、この種のAIソフトがどんどん開発されたら、営業職の仕事が脅かされないか心配だ。AIシステムは宅建士の資格は必要ないのか。ミスをしたら営業マンが責任を問われるはずだ。これは不公平だ。
Sは10.5% 管理不全の恐れありDは0.5% マンション管理協 6.4万棟を仮評価
マンション管理業協会は3月30日、会員各社が受託するマンションを対象にした管理状態の仮評価調査結果をまとめ発表。建設年代が古いほうが管理に問題があることを調査結果は示している。
調査は、令和2年4月~12月にかけてアンケート形式で実施されたもので、回答会員社数は142社(会員社数358社)、回答総数は70,107棟(受託棟数118,386棟)。集計対象数は63,969棟(三大都市圏50,765棟、その他地域13,204 棟)。
仮評価ランクはS:特に秀でた管理状態、A:適切な管理状態である、B:管理状態の一部に問題あり、C:管理状態に問題あり、D:管理不全の恐れがある-の5段階で、調査の結果、全体評価ではS:10.5%(6,714棟)、A:54.6%(34,921棟)、B:27.3%(17,482棟)、C:7.1%(4,549棟)、 D:0.5%(303棟)となった。三大都市圏とその他の地域との差異はそれほど見られなかったという。
Sランクの年代別分布は、1979年以前:2.2%、1980年~1990年:10.9%、1991年~2000年:24.5%、2001年~2010年:31.8%、2011年以降:30.7%。Dランクの年代別分布は、1979年以前:30.4%、1980年~1990年:57.8%、1991年~2000年:7.9%、2001年~2010年:3.6%、2011年以降:0.3%。
1979年以前の6,790棟のS~Dの分布では、S:2.2%、A:39.4%、B:39.3%、C:17.3%、D:1.4%。
仮評価結果は、今後のマンションの管理の適切性が市場で評価される仕組みづくりのための基礎的データとなる。
坪単価496万円でも販売好調 伊藤忠都市開発「新宿若松町」/「渋谷富ヶ谷」も順調
「クレヴィア新宿若松町」
昨年12月から販売を開始した伊藤忠都市開発の「クレヴィア新宿若松町」が好調な売れ行きを見せている。都営大江戸線若松河田駅から徒歩3分の149戸(販売対象住戸71戸、事業協力者住戸78戸)で、坪単価496万円ながらすでに半分以上の40戸を成約している。
物件は、都営大江戸線若松河田駅から徒歩3分、新宿区若松町の商業地域、第1種住居地域に位置する13階建て全149戸(販売対象住戸71戸、事業協力者住戸78戸)。専有面積は25.50~80.85㎡。先着順で分譲中の住戸(5戸)の価格は4,098万〜7,398万円(専有面積25.50~54.01㎡)。坪単価は496万円。竣工予定は2022年2月下旬。販売代理は伊藤忠ハウジング。デザイン監修はレーモンド設計事務所。設計・監理・施工はアイサワ工業。
現地は、阪急阪神不動産が分譲した「ジオ若松河田」の隣接地。敷地北側は都市計画道路予定地。
建物は内廊下方式で、住戸プランは南向きの50~80㎡台の2LDKタイプと、25~53㎡台のワンルーム~2LDKのコンパクトタイプの混在型。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ(Bタイプ1戸は3000ミリ)、ディスポーザー、食洗器、シーサーストーン天板など。
販売代理の伊藤忠ハウジング・大倉嘉隆氏は、「絶好調。昨年12月から販売を開始し、すでに折り返し点を過ぎた」と話している。
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単価を聞いて驚いた。2016年に日本エスコンの「Grand Le JADE若松町レジデンス」31戸を見学している。レベルの高いマンションだったが、坪単価は400万円台の前半だった。それより100万円近く高くても売れるとは…。
ただ、設備仕様レベルは高い。販売対象住戸はどちらかといえば、ファミリータイプよりコンパクト住戸のほうが多い。このまま順調に売れるのだろうか。
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取材の主目的は、同社の常設「ギャラリークレヴィア新宿」にある「クレヴィア渋谷富ヶ谷」のモデルルームを見学することだった。
この物件については、同社のプレス・リリースをコピペして記事にしているので参照していただきたい。「富ヶ谷」アドレスで、坪単価600万円にふさわしいレベルにあると思う。
細部にもデザインにこだわっているのが特徴だ。例えば、バルコニーの手すり壁の裏側もタイル張りにしており、住戸の玄関にはオリジナルのガラスアートを配している。オプションのテレワーク用の個室もよくできていた。
販売も順調で、伊藤忠ハウジングのプロジェクトマネージャー・尾林拓氏は「販売対象22戸のうち11戸を供給し、現在4戸を先着順に分譲中。2LDK、3LDK中心に予定通り進捗している。モデルルームはRBA野球チームの大倉が担当している『新宿若松町』と共通で、『新宿若松町』も好調」と話した。
尾林氏が「大倉」の名前を出さなかったら、そのまま取材を終え、「渋谷富ヶ谷」の記事だけに済ます予定だったが、予定を急遽変更して「新宿若松町」をメインにすることに決めた。
大倉氏は、RBA野球屈指の強打者でチームの主砲だ。記録は取っていないが、これまで5年くらいの通算打率は5割に達するのではないか。昨年、チームにはすごい投手も加入したというから、期待通りに活躍すれば優勝できる戦力があるとみた。いま伊藤忠都市開発(伊藤忠ハウジング)はマンション事業でもっとも〝元気〟がある会社の一つだ。
「クレヴィア渋谷富ヶ谷」
「クレヴィア渋谷富ヶ谷」(左上が玄関のガラスアート)
伊藤忠都市開発 建て替えマンション「渋谷区富ヶ谷」分譲開始(2021/2/24)
代々木上原の1低層 デザイン性高く借景見事 小田急不・大和ハ・地所レジ「上原」
「リーフィアレジデンス上原」
小田急不動産(事業比率40%)・大和ハウス工業(同30%)・三菱地所レジデンス(同30%)の3社は3月11日、分譲中のマンション「リーフィアレジデンス上原」の記者見学会を行った。代々木上原駅から徒歩9分の第一種低層住居専用地域の高台立地の4階建て全65戸。雁行設計と吹き抜けを多用することで居住性を高めているのが特徴。販売も順調に進んでいる。
物件は、東京メトロ千代田線・小田急小田原線代々木上原駅から徒歩9分(小田急小田原線東北沢駅から徒歩3分)、渋谷区上原三丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150%)に位置する4階建て65戸。専有面積は62.03~125.10㎡、現在先着順で分譲中の住戸(3戸)の価格は10,990万~21,700万円(63.19~121.03㎡)。坪単価は非開示だが635万円くらいか。建物は2021年2月に竣工。設計・施工は第一建設工業。デザイン監修は西山建築デザイン事務所。
現地は、南側と東側(私道)に接道。高さ規制が10mの第一種低層住居専用地域だが、敷地四方に空地を設けたことから12mに緩和されており、建物は内廊下、逆梁ハイサッシ(2400ミリ)を採用、南側を雁行設計とし、中庭、吹き抜けを多用することで、全戸多面採光としているのが特徴。
住戸の主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、メーターモジュールの廊下、シーザーストーン天板、バックカウンター・収納(一部)、食洗器、ディスポーザーなど。
平均専有面積は88㎡、約4割が100㎡以上。昨年6月から販売を開始しており、これまでに7割が契約済み。購入者の8割が都内居住者で、うち4割が渋谷区居住者。
エントランス
「リーフィアレジデンス上原
中庭
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小田急不動産の都心部マンションの見学は久々だったが、デザイン性が高いのは昔のマンションと同じだった。レベルの高いマンションだと思う。皆さんはご存じないかもしれないが、記事に「モンドリアンの絵画のよう」と見出しを付けた、デザイナーズマンションの走りの一つといえる2003年竣工の「コアロード六本木フロンテ」30戸を思い出した。
デザイン監修の山建築デザイン事務所はどこかで聞いたことがあるような気がしたので、「RBA」で検索したら記者がほれ込んだモリモトの「ディアナコート浜田山」がそうだった。
今回は、水の流れ、ゆらぎを表現したエントランスの御影石トレンチ加工、1階のエレベータホール、ラウンジに面した中庭のデザイン・植栽、車寄せなどが秀逸だ。
もう一つ、大きな特徴は借景だ。南側の道路を挟んだ対面はエネオスの〝迎賓館〟で、まるで公園のようなクスの巨木などが植わっている。
単価は記者の予想だが、そんなに的を外していないはずだ。建築費は上昇しているが、同じ駅圏の最高レベルの三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス代々木上原」の647万円を上回ることはないと読んだからだ。
同社にこれから都心部のマンションの供給を増やすのかどうかは聞き忘れた。
1階エレベーターホール
1階ラウンジ
価格上昇・専有圧縮 質の低下…マンション市場データは消費者目線欠落していないか
先日、長谷工総合研究所の不動産総合情報誌「CRI(Comprehensive Real-estate Information)」最新号3月号(No.511)が届いた。昨年の首都圏と近畿圏の分譲マンション市場の総括が特集だ。
記者は、1994年に長谷工総研が設立されてから大変お世話になってきた。同社の研究員と一緒に民間の有料老人ホームなどを取材したこともある。「CRI」は、ページ数は25ページくらいだが上質紙を使用しており、不動産経済研究所のデータをリソースとしながらも独自の視点でマンション市況などをレポートしている。巻末の首都圏と近畿圏のDATAFILEは8ページにも及び、住宅着工動向についても毎月報告している。見城美枝子氏のコラムもいい。マンションを取材するメディア関係者にとって欠かせない情報誌の一つだと思う。
一方で、3月2日発売の住宅新報3月2日発売号(電子版)の1面は「首都圏新築分譲マンション市場の行方」と題する記事だ。
こちらは、トータルブレイン・杉原禎之取締役副社長、工業市場研究所・美濃部康之専務取締役、長谷工アーベスト販売企画部門市場調査部・林祐美子部長らのコメントを中心にまとめたものだ。
トータルブレインは設立時から小生もお世話になっており、杉原氏とは1か月くらい前にお会いし、いろいろ情報交換をした。一昨年暮れに急逝された久光龍彦社長の業務を引き継ぎ、43社を毎日3社のペースで訪ねていると聞き、とてもうれしくなった。美濃部氏とはしばらくお会いしていないが、リーマンショック前までは同社が主催する勉強会「さんもく会」などに出席していたし、長谷工アーベストはマンション販売現場のほかRBA野球大会でも楽しい取材をさせていただいている。
双方のレポート・記事についてはコメントを差し控えるが、この際だ。情報機関や記者の取材のあり方について以下に書くことにする。調査、取材は何のためか、誰のためかを考え直してほしいからだ。
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まず、第一に各調査機関のデータについて。マンション市場については、不動産経済研究所、CRI、東京カンテイ、工業市場研究所(コーケン)などが調査し、毎月レポートを発信している。
調査対象がそれぞれ異なるのでデータが一致しないのはやむを得なが、最近は住宅着工戸数との乖離が目立つような気がしてならない。
ここ3年間の住宅着工戸数と不動産経済通信(CRI)、東京カンテイ、コーケンの分譲戸数を比較してみた。
2018年から2020年までの首都圏マンション着工戸数は168,514戸だ。一方で分譲戸数は不動産経済通信(CRI)が95,598戸、東京カンテイが129,153戸、工業市場研究所が103,495戸だ。不動研の数値が少ないのは、同社は専有面積30㎡以下や投資向け1棟売り、定借物件は調査対象外としているのでこのような乖離が生じるのは納得できる。東京カンテイとコーケンはワンルームマンションなども調査対象としていると思われる。
それにしても住宅着工戸数との差は3年間で東京カンテイは約4万戸、不動研は7.3万戸の開きがある。住宅着工を100とすれば、捕捉率はそれぞれ76.6%、56.7%だ。着工戸数の半数しか供給されないのに、どうして「堅調」(新報)などと言えるのか。
〝疑ってかかる〟のは記者の基本だ。いったい捉えきれない残りの戸数はどうしたのか考えるべきだ。記者は、建て替え・再開発物件などの地権者用や事業協力者住戸も年間で数千戸あり、同業・リート・個人投資家向けへの1棟売りも数千戸に上るのではないかと推測しているのだが…これだと限りなく住宅着工の数値に近くなるはずだ。
いずれにしろ、需要は多様化している。デベロッパーも多様化するニーズに応えるよう開発を行っているはずだ。「分譲マンション」として一括りにするのは正確な市場を把握したことにならないと思う。調査機関はこうした動きに対応できているのか。
需給の多様化の一例を紹介する。三井不動産の2021年3月期第3四半期決算の分譲セグメントで、オフィス・物流・海外分譲の売上高2,769億円が国内の分譲マンションと分譲戸建ての売上高2,495億円を上回った。住友不動産も前期あたりから〝全国供給量ナンバーワン〟を目指さなくなった。この意味するところを考える必要がある。
もう一つ、こちらのほうが大事だと思う問題提起。調査機関はマンションの供給戸数、面積、価格、売れ行き、在庫などについては詳報しているが、その質や設備仕様についてはほとんど公表しない。量とともに質も大事にしないといけないのはマンションも同様のはずだ。
記者は、マンションの質とは基本的には面積だと思っており、ファミリータイプの専有面積が価格を抑制するために縮小されるのは時代が退行するようで残念でならないのだが、単身・DINKSなどの小規模家族向けの需要が増大していることを考慮すると、一概に面積圧縮=質の低下といえない側面もある。それを無視して平均値で示すマクロデータの欠点はここにある。
各調査機関のデータに欠落しているものはこのほかにもたくさんある。列挙するとレンタブル比率はどうか、リビング天井高はどう推移したか、免震は増えたのか減ったのか、直床の増加をどう見るのか、ワイドスパンはどうか、キッチンのグレードはどうか、フラット・ハイサッシの設置はどうか、バルコニーのスロップシンク、ディスポーザー、食洗器、ミストサウナ、ZEH、UD…書き出したらキリがない。
これらは分譲価格と不可分のものだが、マクロデータはこれらを拾いきれない。聖路加国際大学大学院看護学研究科教授・中山和弘氏の「か・ち・も・な・い」(書いた人は誰か、違う情報と比べたか、元ネタは何か、何のために書くか、いつの情報か)はマンション市場記事についても当てはまる。消費者目線が欠落したデータはそれこそ「価値もない」と言ったら失礼か。
樹脂サッシ採用 洗濯機・乾燥機・洗剤使用はただ コスモスイニシア「大森町」完成
「イニシア大森町N’sスクエア」
建物が竣工したコスモスイニシア「イニシア大森町N’sスクエア」を見学した。1階部分約60㎡の集会室にランドリーコーナーやワーキングスペースを設けているのが特徴だが、建物は背後に京急線の線路、前面に第一京浜が走っていることから居室の窓は全て二重サッシとし、しかも「樹脂サッシ+複層ガラス」としているのも大きな特徴の一つだ。
物件は、京浜急行線大森町駅から徒歩4分、大田区大森西五丁目の商業地域に位置する15階建て全112戸。専有面積は34.05~58.29㎡、価格は3,298万~5,528万円、全体坪単価は320万円。建物は2021年1月に竣工済み。施工は木内建設。2月28日現在、104戸が契約・申し込み済み。
現地は、敷地北西側に京浜急行線の高架線路、南東側に国道15号線(都市計画道路計画線)が走っており、住戸の全窓に二重サッシ(居室側は樹脂サッシ)を採用。建物断熱性能等級は最高の「4」を取得。
このほか基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、食洗器、ミストサウナ、カウンター一体型キッチン(一部)、ロールスクリーン付き洗濯機置き場など。
住戸プランは60㎡台の3LDKが3スパン、50㎡台の2LDKが2スパン、34㎡台の1LDKが3スパンの単身・小規模家族向けなのが特徴。
販売責任者の同社分譲事業部分譲二部二課・福井大智氏は、「残り8戸。目標の6月までに完売するめどがつきました。お客さまも価格の妥当性を理解されています。集会室にランドリーコーナーを設置するのは単身者やDINKS向けの物件には有効であることは分かっていました。ほとんどの方が利用される。とくに靴洗い機を『浦安』に採用したときは大人気になりました」と話した。
カウンター一体型キッチン
集会室
洗濯機(3機)と乾燥機(3機)、その奥は靴洗い機
モデルルーム
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このマンションについては、販売開始時にモデルルームを見学し、記事にもしているのでそちらも参照していただきたい。
全112戸の規模で60㎡の集会室・ランドリーコーナー・ワークスペースを確保しているマンションはそれほどないはずだ。その分だけ管理費が割高にもなっていないというからよく考えたものだ。
ランドリーコーナーの洗濯機、乾燥機(各3機)、洗剤の使用料金などは管理費に含まれており、24時間利用が可能。仕事もでき、飲料自動販売機もあるが、酒、たばこは禁止なのが難点(原始規約に盛り込まれている)。
今回、実物を見学して新たに発見したものもあった。モデルルームを見学しているとき、カーテン越しに内側のサッシ枠が目に入った。アルミサッシではなく樹脂サッシではないかと思い、福井氏に「これは樹脂サッシではないですか」と質問した。
福井氏は、当たり前ではないかのような顔をして「そうです」と答えた。そこで畳みかけた。「福井さんは通常のアルミサッシと樹脂サッシの違いが分かりますか」と。福井氏は「わからない」と答えた。
福井氏だけでなく、マンションデベロッパーの販売担当者はアルミサッシと樹脂サッシの区別をできる人はおそらく1割にも満たないはずだ。戸建てでは当たり前になりつつあるのに、マンションで樹脂サッシを採用しているものは数%しかないからだ。自らの会社が採用したことがない樹脂サッシのよさなどわかるはずがない。
これはデベロッパーはもちろんだが、物件情報サイトも調査機関もわれわれメディアの責任でもある。かつてないほどエネルギー問題が論じられているのにこの程度だ。「ボーっと生きてんじゃねーよ!」とチコちゃんに叱られそうだ。マンションの基本性能・設備仕様にもっと敏感にならないといけない。
伊藤忠都市開発 建て替えマンション「渋谷区富ヶ谷」分譲開始
「クレヴィア渋谷富ヶ谷」
伊藤忠都市開発は2月24日、「マンション建替え等の円滑化に関する法律(建替え円滑化法)」による個人施行方式により、同社が個人施行者として建設している建て替え事業マンション「クレヴィア渋谷富ヶ谷」の販売を2月20日(土)から販売開始したと発表した。
物件は、東京メトロ千代田線代々木公園駅から徒歩10分、渋谷区富ヶ谷2 丁 目に位置する敷地面積757㎡の10階建て35戸(事業協力者住戸13戸含む)。専有面積は50.35~80.23㎡、第1期1次・2次(8戸)の価格は8,970万~15,030 万円。これまでの総来場者は約100組。竣工予定は2021年9月下旬。
従前の「富ヶ谷スカイマンション」は、RC造・地上3階建て15戸(専有面積約63~約73㎡)の規模で、1978年竣工。同社からの提案をきっかけに2016~2017 年にかけて建替えを含む再生の検討が開始され、2018年3月に事業協力者として選定され、2018年12月に建替え円滑化法個人施行による建替えの全員同意がなされ、2019年9月に施行認可、2020年6月に着工。従前の容積率は約150%で、建て替えマンションは約310%。
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現地もモデルルームを見ていないので何とも言えないが、建物は高台で公園に面しているようだ。坪単価は価格からして坪600万円強か。近年見学した同社の建て替えマンションの記事を添付した。
近接エリアでは森トラスト「フォレセーヌ渋谷富ヶ谷」70戸が分譲中だ。全て億ション。ターゲット・コンセプトが異なる。坪単価は800万円を超えるのではないか。見学を申し込んだが、返事はない。
日鉄興和 横浜初の〝リビオ〟「関内」 販売は橋本、多摩センター早期完売のリスト
「リビオレゾン横濱関内」
リストグループのリストインターナショナルリアルティが先日(2月10日)、販売代理を受託したと発表した日鉄興和不動産「リビオレゾン横濱関内」のギャラリー・モデルルームを見学した。VR内覧システムを利用した体感型VRモデルルームを設けているのが特徴で、ギャラリー内の大型ビジョンに壁面、床面に部屋やインテリアなどのイメージ映像を投影することで、実際のモデルルーム以外にも様々なタイプの部屋をリアルに体験することができる。
物件は、JR京浜東北線・根岸線関内駅から徒歩5分(市営地下鉄ブルーライン伊勢佐木長者町駅から徒歩5分)、横浜市中区翁町二丁目に位置する11階建て全39戸。専有面積は32.21~61.46㎡、予定価格は3,500万円台〜6,500万円、坪単価は356万円。竣工予定は2021年11月中旬。施工は風越建設。販売代理は同社のほか野村不動産アーバンネット。
これまで約500件の反響があり、モデルルーム来場者は約60組。販売開始は3月中旬。
現地は、横浜中華街・山下ふ頭とともに地域指定が拡大された「特定都市再生緊急整備地域」内に位置し、「横浜市役所路地再開発計画」、「関内駅前港町地区第一種市街地再開発事業」、さらには横浜文化体育館の再開発施設「横浜ユナイテッドアリーナ・メインアリーナ」、すでに完成した横浜総合高校跡地を活用した「横浜武道館」などに近接し、飛躍的な発展が期待されるエリアの一角。
建物は、南東側、南西側それぞれ幅員約6mの市道に接道する角地。住戸プランは1フロア4戸構成で、32㎡台の1LDKが19戸、45㎡台の2LDKが9戸、54㎡台の1LDK+Sが1戸、61㎡台の3LDKが10戸。
主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2400ミリ、リビング床暖房(1LDK除く)、各階各住戸専用宅配ボックス、非接触ボタン搭載エレベーター、無人コンビニなど。
販売を担当する同社販売営業部主任・山中勇樹氏は、「日鉄興和さんの横浜初の〝リビオレゾン〟シリーズ。来場者の中心は地元だが、反響はかなり広域からある。再開発計画が目白押しのエリアの一角。割安感のある価格設定なので早期に完売したい」などと語った。
モデルルーム
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山中氏は、RBA野球大会を通じてもう何年か前からの友だちのような人だ。同社の野球チームを率いてきた元ロッテ-西武の倉持明前監督から褒められた場面などほとんど見たことはないが、同社チームの不動とまでは言えないまでも主砲の一人だ。
そして昨年、倉持氏から監督の座を禅譲され、いざ戦いに臨もうとした矢先、コロナの影響で野球大会は中止になり、一昨年入社した元西武の斉藤彰吾氏からも〝軟式なんて〟などと入部を〝拒否〟され、一度も実践で采配を振るったことがない情けない山中氏ではあるが、本業のマンション販売では、昨年責任者として担当した「ミオカステーロ橋本」(42戸)と「ミオカステーロ多摩センター」(26戸)を竣工前の昨年10月までに完売した実績の持ち主だ。
しかも、今回の「関内」は本社所在地でもあり、ギャラリー・モデルルームも本社内にある。知悉している街だ。さらにまた販売力のある野村不動産アーバンネット(4月1日付で野村不動産ソリューションズに社名変更予定)とタッグを組めば早期完売はありえないことではないとみた。坪単価は間違いなく安い。
この「関内」が日鉄興和不動産〝リビオレゾン〟シリーズで横浜初とは知らなかったが、同社はもっともコンパクトマンションの実績が多いデベロッパーだ。
各階各住戸専用宅配ボックス
ワイドスパン、多面採光がいい リストが販売復代理の山田建設「橋本」(2020/2/20)
初めてオンラインプロジェクト発表会を視聴 大京のZEH「綾瀬」
「ライオンズ綾瀬セントマークス」
大京が2月13日に実施した「ライオンズ綾瀬セントマークス」の「オンラインプロジェクト発表会」を視聴した。約100人が視聴した模様。
ウェブ会議システムのウェビナーモードを使用したもので、同社担当者が物件の概要、周辺環境、希少性、建物コンセプト、間取り・予定価格帯、スケジュールなどを約30分間にわたり説明した。「発表会」は2月14日(日)にも行われる。
同社はまた、「発表会」のあとでファイナンシャルプランナー・北野琴奈氏の「コロナ禍における不動産市況について」と題する動画によるミニセミナーを配信したようだが、こちらは視聴しなかった。
物件は、東京メトロ千代田線綾瀬駅から徒歩9分、足立区綾瀬5丁目の近隣商業、第一種住居地域に位置する9階建て全33戸。専有面積は54.97~72.88㎡、予定価格は4,500万円台~6,700万円台(最多価格帯4,900万円台・5,700万円台)。設計は共同エンジニアリング。施工は大京穴吹建設。販売予定は2021年3月中旬。
同社プレス・リリースから
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同社の了解を得て、この種の「発表会」を初めて視聴した。以下、記者の率直な感想。
まず、30分という時間。物件の特性をあまねく伝えるためにはやや短いような気もしたが、聴く側だって忙しい。技術的なことは分からないが、好きな時間に何度でも、そしてまた途中を飛ばして視聴できるようにしたらもっとよくなるはずだ。
質疑応答はあってもいいのではないかと思ったが、質問によっては収拾がつかなくなる事態も想定されるのでやむを得ないのだろう。
問題の物件特性を的確に伝えられたかという点では疑問も残った。今回の物件の最大の特徴は「ZEH」と「パッシブデザイン」だ。もちろん担当者はこれらについても説明はしたが、記者なら〝当社は全国で供給されたZEHマンションの〇割、首都圏では〇割に達します〟などと先進性をアピールする。(記者は首都圏でのZEHマンション10物件を取材している。全体では14件くらいで、同社は4物件)
そして〝パッシブデザインと組み合わせることで年間約〇万円の光熱費が削減でき、快適に暮らすことができる価値をお金に換算すれば年間〇万円になるのではないでしょうか〟などと説明する。(これをやると公取から睨まれるか)
価格の妥当性については、当事者としてはなかなかうまく伝えられないだろうと思うが、「北千住」のタワーは坪単価380万円で、同駅圏は坪300万円をはるかに突破していることくらい伝えてもいい。
もう一つ。これは同社だけでなく同業他社も同じだろう。物件の質と設備仕様レベルはどんな精緻な動画でも正確には伝えられない。これの〝見える化〟〝見せる化〟が課題だ。ヒントは今回の「説明会」にある。ZEHと一般的なマンションの冬季の室内温度を比較したが、これは視聴者にもわかりやすい。〝今お宅の風呂場の温度は何度でしょう。15度? ここは18度(もっと高いか)あります〟などと話せるではないか。
明和地所 さいたま営業所開設へ/駅2分の「センター北」順調なスタート
明和地所は2月12日、さいたま市浦和区に「さいたま営業所開設準備室」を2月15日付で設置すると発表した。
埼玉エリアでの用地取得を強化するためで、支店のある札幌・福岡・名古屋に次ぐ開発拠点となる。
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「クリオ港北センター北」
同社が先月1月28日から分譲開始した「クリオ港北センター北」が順調なスタートを切った。
横浜市営地下鉄ブルーラインセンター北駅から徒歩2分の駅前ロータリーに面する10階建てワンフロア3戸の全27戸。第1期は10戸で、価格は4,580万(54.00㎡)~8,247万円(84.17㎡)。残りは1戸。坪単価は非公表。竣工予定は2022年5月下旬。
現地(左)と目の前の「モザイクモール港北」と駅前広場