桜並木が眼前 コスモスイニシア「桜レジデンス」が竣工・完売
「イニシア板橋 桜レジデンス」
コスモスイニシアとあなぶきホームライフは5月20日、「イニシア板橋 桜レジデンス」が3月に竣工し、全戸引き渡しを完了したと発表した。
物件は、都営三田線板橋区役所前駅から徒歩9分、板橋区本町に位置する15階建て全152戸(うち一般分譲対象外住戸36戸含む)。専有面積は43.65~146.59㎡。施工は大豊建設。
前面道路を挟んだ正面に石神井川が流れており、その景観に調和する外構・植栽計画とし、敷地内にお花見テラスを設けているのが特徴。河川管理通路を管理する板橋区と協議・承認を経て、桜並木の一部にソメイヨシノを植樹した。
入居者の約40%が板橋区居住で、板橋区以外の東京都が約50%。世帯主の年齢は30~39歳が約50%。入居予定人数は1人が約25%、2人が約50%)、3人が約20%、4人以上が約5%。
エントランス脇の館銘板
新たに植えたサクラ
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記者は昨年2月、このマンションを取材している。売主のあなぶきホームライフの社名はセコムホームライフのときだ。
50㎡超の住戸に採用された新開発「つむぐユニット」もよかった。上下2段のベッド上の間仕切りを設置することで居室を立体的に分割でき、1室を子ども2人でシェアすることが可能なものだ。
「つむぐユニット」
来場者殺到 眼前に桜並木が美しい石神井川 コスモスイニシア「板橋 桜レジデンス」(2020/2/4)
三菱地所・地所レジ・三井不レジ 金町駅前で再開発複合 マンション860戸
「東金町一丁目西地区第一種市街地再開発事業」
三菱地所、三菱地所レジデンス、三井不動産レジデンシャルは5月17日、「東金町一丁目西地区第一種市街地再開発事業」の東京都の認可を受け、5月14日の総会を経て再開発組合を設立したと発表した。
プロジェクトは、JR常磐線金町駅に近い約3.0haの大規模再開発。地上40階建の超高層マンションのほか、商業施設、業務施設(自動車教習所)、公益施設などを整備。事業エリアに面している理科大学通りを賑わいの中心軸として敷地の外周に歩道状空地を整備する。
工事を2期に分け、2022年度に第Ⅰ期(商業棟)を工事着工、2025年度竣工、2026年度に第Ⅱ期(商業棟・住宅棟)を工事着工、2030年度に竣工をそれぞれ予定している。マンションは約860戸の予定。
三菱地所レジデンス、三井不動産レジデンシャルは2016年から事業協力者として事業推進に協力しており、三菱地所は2017年から商業計画検討パートナーとして事業協力を行ってきた。
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金町駅圏では、これまで約10年間の間にコスモスイニシア他「ヴィナシス金町タワーレジデンス」476戸、住友不動産の「シティタワー金町」700戸と「シティテラス金町」610戸、野村不動産の「プラウドシティ金町」421戸と「プラウドタワー金町」190戸が分譲された。5物件で約2,400戸。街並みは一変した。
今回のプロジェクトの竣工は10年近く先なのでどうなるかわからないが、坪単価は300万円台の後半になる可能性もあるか。
アルヒ 社内審査強化 「不当に高い」中古マンション価格にアラート機能
アルヒは5月11日、住宅ローンの不正利用検知システム「ARUHI ホークアイ1.0」に、不適切な物件価格を検知する機能を追加した「ARUHI ホークアイ2.0」を本格稼働すると発表した。
「ARUHI ホークアイ2.0」の検知機能により、住宅ローンの申込物件価格が市場価格と比較し不当に高い場合、アラートが表示されるもので、検知対象地域は東京23 区の中古マンションから開始し、今年度以降に対象地域を拡大する予定としている。
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「ホーク」とは「鷹」であって、「アイ」とは「愛」ではなく「目」、つまり「ホークアイ」とは鵜の目鷹の目でもって厳しく不正を監視する意味と受け止めた。しかし、「物件価格が市場価格と比較して不当に高い場合」とはどのような場合なのかわからなかった。
また、不当かどうかはともかく、〝なんと定価の5割引き。しかも今なら送料無料〟などとキンキン響く声がテレビのネット通販であふれかえっている。適正価格が分からない時代だ。
マンションでも、設備仕様レベルなどの質を考慮すると、投資用ワンルームはファミリー向けより価格は5割高いのは常識だ。
なので、同社に問い合わせた。同社広報によると、「ホークアイ」は社内の審査基準であって一般に公開する予定はないとのことだった。「不当」かどうかは中古マンションの取引事例などから判断するという。過去にどれくらいの頻度でこの種のケースがあったかも聞けなかった。投資用マンションは審査の対象外とのことだった。
住宅ローンの不正利用が表面化した。悪徳業者を排除するために鵜の目鷹の目で監視をしてほしい。記者などは視力が衰え、みんな美しく見える。
大激戦の「調布」 割安単価で他社を圧倒 三井不レジ 名士の屋敷跡地は坪340万円
「パークホームズ調布 ザ レジデンス」
三井不動産レジデンシャルが分譲中の「パークホームズ調布 ザ レジデンス」を見学した。駅から徒歩6分の邸宅跡地。昨年10月の販売開始からこれまでに全162戸のうち約半数を供給。競合物件がひしめく中、割安単価で早期完売を狙う戦略と見た。
物件は、京王線調布駅から徒歩6分、調布市小島町1丁目の近隣商業地域・第1種中高層住居専用地域(建ぺい率80.94%、容積率245.28%)に位置する敷地面積約4,587㎡、8階建て全162戸。専有面積は57.03~74.86㎡、先着順で分譲中の住戸(4戸)の価格は5,990万~7,190万円(67.30~70.75㎡)。坪単価は340万円。竣工予定は2022年2月下旬。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。
昨年10月から販売を開始しており、4月末までに第1期の約半数を供給。ゴールデンウィークから第2期の販売が始まっている。
現地は、みずほ銀行の前身「調布銀行」や、創設期の京王電鉄の取締役を務めた地元の名士・井上家の屋敷跡地。
建物は3棟構成で、標準階の住戸は南向きが5~6戸、東向きが12戸、西向きが9戸。
主な基本性能・設備仕様は、直床・二重天井、リビング天井高は1~3階は2550ミリ、4階以上は2500ミリ、人造大理石キッチンカウンター、食洗機、エコガラス(複層ガラスにLow-E膜をコーティング)など。
エントランス
旧井上家(ホームページより)
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調布駅圏では、京王線の地下化工事が完了した2013年ころから駅前の相鉄不動産「グレーシア調布」120戸、住友不動産「セントラルレジデンス調布ステーションコート」190戸、旭化成不動産レジデンス「アトラス調布」331戸が相次いで供給された。その後は目立った物件は分譲されていなかったが、ここにきて供給が増加。その数は8物件815戸にのぼる。大激戦の様相を呈している。同社物件を除く7物件は次の通り。(順不同)
①住友不動産「シティハウス調布」65戸(徒歩4分)
②阪急阪神不動産「ジオ調布」73戸(徒歩10分)
③日鉄興和不・三菱地所レジ「調布ザ・ハウス」64戸(徒歩9分)
④東急不動産他「プランズシティ調布」305戸(徒歩7分)
⑤ブリス「ブリシア調布」31戸(徒歩12分)
⑥日鉄興和不・リビタ「リビオレゾンTHURSDAY」50戸(徒歩6分)
⑦大和ハウス工業「プレミスト調布クロス」65戸(徒歩8分)
これらはそれぞれ立地条件が異なるが、坪単価は320万~370万円の範囲に収まっており、競合は免れない。このほか同沿線では単価水準が近いつつじヶ丘駅前の日鉄興和不動産「リビオつつじヶ丘 タワーレジデンス」105戸が分譲中で、府中駅圏では三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウス府中」182戸が近く分譲開始となる。
今回の取材は、競合他社から「三井さんが単価を引き上げてくれれば、うちも売りやすくなるのだが…」という声を聞いていたので、それを確認するためでもあった。
坪単価340万円と聞いて、〝わが道を行く〟隣接の住友不動産「シティハウス調布」65戸を除いてみんな割を食うと思った。設備仕様レベルは普通の〝パークホームズ〟だろうが、立地もさることながら外観デザインはいい。同業他社の動向を睨みながら割安単価に設定することで〝いち抜け〟を企図したのではないか。〝仲良しこよし〟で足並みをそろえないのはいかにも同社らしい。
京王線の〝割り負け〟については、この前書いた東京カンテイ「2020年 マンションPER」の記事を参照していただきたい。新宿から15分の調布は、小田急線だと成城学園前、東急線だと二子玉川、田園調布、JR中央線だと三鷹とほぼ同じだ。池袋からだと東上線の朝霞、西武線のひばりが丘、東京駅の総武快速だと亀戸あたりか。
このうち調布が単価水準で勝てるのは朝霞、ひばりが丘で、亀戸とは互角か。成城学園、二子玉川、田園調布とは同格とは言わないが、単価は200万円くらい引き離されている。街のポテンシャルはそんな負けていないはずなのに。
現地(手前が住友不動産のマンション)
建設現場
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京王線の同社のマンションでは、近く初台駅から徒歩2分の建て替え「パークホームズ初台 ザ レジデンス」115戸(一般販売対象住戸65戸)が分譲される。敷地北側に高速・甲州街道が走っており、京王線の鉄道の騒音も気になるが、南側は緑道に面しており、借景・住環境は申し分ない。坪単価450万円以下はありえないと見たが、500万円に届くかどうか。
「パークホームズ初台 ザ レジデンス」の建設現場
「志茂」「多摩センター」は〝割安〟か 東京カンテイ「2020年 マンションPER」(2021/5/8)
〝北千住に負けるな〟割り負け京王線の希少免震 日鉄興和不「つつじケ丘」(2020/1/9)
「道」を景観に取り込んだプラン秀逸 旭化成不動産レジ「アトラス調布」完成(2015/5/20)
調布駅前の一等地 住友不「セントラルレジデンス調布ステーションコート」(2014/3/21)
相鉄不動産 調布駅前の一等地で再開発マンション(2013/10/3)
価格と駅距離の壁跳ね返す 大和地所レジ「西新井」5カ月で半数成約
「ヴェレーナシティ西新井」
大和地所レジデンスが分譲中の「ヴェレーナシティ西新井」を見学した。グロス指向が極めて強い足立区で、駅から徒歩14分の駅距離ながら、販売開始5か月で全118戸のうち60戸弱を成約するなど好調な売れ行きを見せている。オープンエアリビング・ルーフバルコニー付きなど多彩なプランを用意した商品企画が光る。中広域からも集客できているのがそれを証明している。
物件は、東武スカイツリーライン西新井駅から徒歩14分、足立区六月二丁目の第一種住居・第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率249.60%)に位置する10階建て全118戸。先着順の住戸(11戸)の専有面積は65.78~75.68㎡、価格は4,108万〜5,598万円(最多価格帯4,100万円台)、坪単価は210万円。竣工予定は2022年5月中旬。設計・監理は建築計画。施工は長谷工コーポレーション。
昨年12月18日から販売を開始し、これまでに高額住戸を中心に半数近い60戸弱を成約。購入者は地元中心だが、高額住戸購入者は中広域から集客した顧客が目立つという。
現地は、戸建てや低中層の公営住宅などが建ち並ぶ住宅街の一角。建物はTの字型で、標準階1フロア南向きが7戸、西向きが9戸。
主な基本性能・設備仕様は、直床・二重天井、リビング天井高は2450~2600ミリ、御影石キッチンカウンター(人造大理石などとセレクト制)、食洗機、ミストサウナ、芯心1m廊下など。共用施設では、コワーキングラウンジ・スペース、キッズ&パーテールーム、ペアレンツサロン、デッキテラス、オーナーズパークなど。
販売担当の同社営業第4部次長・山下文博氏は、「購入者の半分は地元の方ですが、中広域からも集客できており、オーブンエアリビング付きやルーフバルコニー付きの5,000万円を超えるタイプもよく売れています。『ここに住めばいい住宅に住める。駅距離は許容できる』という声もお客さんから聞かれます。来春の竣工までの完売が目標」などと語った。
モデルルーム
モデルルーム
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取材の約束の時間まで1時間余りあったので、現地の道路を隔てて対面にある小公園のベンチに座り、缶コーヒーを飲みタバコを吸いながら(足立区の公園は禁煙になっていないようだ)、いつものようにマンションの坪単価と売れ行きを予測した。小生は事前に価格などをチェックしない。自分の目利き力を養うためだ。
駅からは14分の表示だ。現地周辺は戸建てや低中層の公営住宅ばかりで、商業施設は少ない。土地代がただでも坪単価170万円以下はありえないとは考えたが、売れる価格としてはじき出したのはグロスで4,000万円、坪180万円だ。それでも年間40戸を売るのがやっとで、完売まで3年近くかかると予想した。
これはあてずっぽうではない。確信がある。東武伊勢崎線は極めてグロス指向の強い沿線だ。今でも昭和57年分譲の日本ランディック「パークハイツ越谷」339戸を思い出す。質が高かったにもかかわらず、それが災いしさっぱり売れず、1戸当たり500万円も値引きせざるを得なかった。当時は2,500万円の厚い壁があった。東武鉄道から苦情をもらうのを覚悟して〝魔の伊勢崎線〟と書いた。
いまもそれは変わらない。10年以上前になるが、駅近の東武鉄道「リライズガーデン」(738戸)は坪196万円と安かったが、完売まで数年かかったはずだ。最近の事例では、極めてレベルが高かった駅から徒歩9分の坪単価210万円のコスモスイニシア「イニシア西新井」(81戸)も竣工までに完売できなかった。
大和地所レジデンスは2020年3月期の870戸に続き、2021年3月期の完成戸数898戸を3月の時点で完売したと発表した。「西新井」は来期物件だが、この期末完売記録は途絶えるのが必至だと結論づけた。
しかし、記者の予想は見事に覆された。坪210万円(建築費を考えるとありえない単価ではないが)で、しかも、わずか5か月で半数近く売れるなどというのは信じられない。残り60戸を売るのは容易でないと思うが、山下氏は自信たっぷりだった。
一つだけ言い訳。グロス4,000万円予想は当たらずとも遠からず。全118戸の平均専有面積は69.82㎡(21.2坪)。単純計算すれば坪210万円×21.2坪=4,452万円だが、これは同社の〝十八番〟オープンエアリビングタイプ13戸をはじめ、ルーフバルコニー付き10戸、角住戸タイプ17戸などの高額住戸が単価を引き上げており、それ以外は4,000万円台の前半に価格を抑えている。
建設現地
対面の喫煙可能の公園(利用者は1時間の間、記者のほかに老女2人と老犬1匹のみ。砂場は犬猫のフン害を防ぐためのネット)
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「ここに住めばいい部屋(住宅)に住める。駅距離は許容できる」とお客さん自身が語ったそうだが、この言葉にすべてが言い尽くされている。難点をカバーして余りある商品企画がユーザーの心をとらえたといえる。
専有面積71㎡のモデルルームがそれを象徴している。10.53㎡のオープンエアリビング、6.12㎡のテラス、30.58㎡の専用庭を合わせ100㎡超の居住空間を演出している。玄関ホール・廊下幅はオプションだが1.4mあった。また、ルーフバルコニー付きや角住戸は5,000万円を超えるが、これを見せられたら背伸びしてでも購入しようと考えるはずだ。
設備仕様レベルも単価からすれば水準以上だ。この姿勢は立派だ。前段で2021年3月期完成戸数898戸を完売したことを紹介した。年間1,000戸近くを供給し、毎年のように完成在庫を出さないのは、そうした姿勢が消費者に評価されているのだろう。
天晴れ!大和地所レジ 仕入れの妙 商品企画にも生かす「赤羽北フロント」(2020/9/9)
「志茂」「多摩センター」は〝割安〟か 東京カンテイ「2020年 マンションPER」
東京カンテイが5月6日発表した「2020年 マンションPER」(首都圏版)について記者なりの感想を紹介する。
「PER」とは、株の世界ではよく用いられる、株価が1株当たり利益の何倍まで買われているかを示す株価収益率(Price Earnings Ratio)のことで、それを新築マンションに当てはめ、マンション価格が同じ駅圏のマンション賃料の何年分に該当するかを求めた数値だ。
レポートによると、2020年に分譲されたマンションの平均価格は7,743万円(70㎡換算=坪単価365万円)で、分譲マンションの平均賃料256,601円(同=坪賃料12,097円)の24.69(対象駅圏155駅)と高い水準を示した。首都圏平均よりマンションPERが高い駅圏は83駅に達しており、逆にPERが低い比較的割安であることを示す駅圏は周辺3県に点在する程度としている。
もっともPERが高かったのは「学芸大学」の36.00。マンション価格は12,402万円(坪単価585万円)、マンション賃料は287,113円(坪賃料13,535円)だった。以下、「成城学園前」「飯田橋」「自由が丘」「荻窪」「外苑前」「参宮橋」「代々木上原」「神谷町」「東池袋」の順で「割高な駅」としている。
一方で、もっともPERの低かったのは「志茂」の16.96で、マンション価格は5,181万円(坪単価244万円)、マンション賃料は254,616円(坪賃料12,003円)。以下、「八王子」「三郷中央」「稲毛海岸」「有明テニスの森」「国分寺」「相模大野」「戸塚」「千葉」「八千代緑が丘」の順で「割安な駅」となっている。
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東京カンテイの調査能力には脱帽するほかない。分譲マンションの賃料も把握しているので、このようなレポートが出せる。「割高な駅」「割安な駅」は思い当たる物件もあり、なるほどと思う。
実は記者も、もうずいぶん昔だが、分譲マンションの坪単価を駅圏ごとに定点観測したことがある。供給物件の多寡、駅からの距離、ターゲットなどによって変動するのは難点だが、おおよその相場を把握することができ、空白区などは〝穴場〟と考えていたものだ。
ただ、マンションは基本的には投資商品ではないので、賃料と比較してPERをはじき出すようなことは考えも及ばなかったし、分譲マンションを賃貸に回した場合いくらの賃料になるかなど調べようもなかった。
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「割高な駅」については、23区では軒並み坪単価は300万円以上となっているので高い数値を示すのは当然だ。ただ、同一駅圏の物件を比較し、「割高」「割安」とするのは比較的容易だが、駅圏そのものを「割高な駅」「割安な駅」とするのはいかがなものか。アルヒの「住みやすい街大賞」に「川口」が選ばれているのと同様だ。何を重視するかで街の評価は一変するはずで、「割高」「割安」を評価するのは投資家であり、ユーザーだ。価格は、物件数が多ければ平準化されるが、少ない場合はその物件特性がそのまま反映されることになり、賃料は面積が広くなるほど坪賃料は低くなるので、単純比較もできないのではないか。
例えば、レポートでもっとも「割安な駅」とされている南北線「志茂」。駅周辺の1丁目や、赤羽駅に近い2丁目などはまずまずの住宅街を形成しているが、全体として道路は狭く、木密地域が多いエリアだ。4丁目、5丁目は工業系エリアで生活利便施設も乏しい。
レポートの対象になっているのは、工場跡地の三菱地所他「オイコス赤羽志茂」や道路沿いの物件だろう。坪単価は230~270万円くらいか。安いといえば安いが、周辺の住環境はいいとは言えず、北本通りは交通量が多く騒音も相当だ。小生は評価を保留する。
2018年~2019年の2年間もっともPERが低かった、わが京王相模原線「京王多摩センター」についても触れざるを得ない。
PERは15.96だったので「志茂」より低い。「徒歩15分の大規模マンショの影響から価格の割安感が実態よりも過剰に示されている状況が依然として続いている」とレポートにはある。
「徒歩15分の大規模マンション」はタカラレーベン「レーベン多摩センターBeaut」(240戸)だ。坪単価は170万円くらいだった。2018年に完成し、2020年春ころまでに完売している。
物件を観ていない(取材を申し込んだが断られた)ので何とも言えないが、住環境は申し分ない。この物件の南側に、今から15年前に分譲された駅徒歩10分の扶桑レクセル「レクセル多摩センターマークレジデンス」(159戸)が建っている。記者は当時「驚きの〝旧価格〟」という見出し記事を書いた。
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読者の皆さんは、この京王多摩センター駅圏のPERをどう思われるか。やはり株式相場でよく用いられている、同じ業種の銘柄と比較して割安を示す〝割り負け〟を借りれば、信じられないほど割り負けしていると記者は思う。タカラレーベンの物件は、多摩市ではなく八王子市が所在地で、駅から遠く坂が相当きついのでこのような単価になっているのだが、そうした特殊要因を考慮しても安すぎる。これまでも何度も書いたが、デベロッパーは多摩センターの魅力をきちんと伝えきれていないと八つ当たりしたくなる。
多摩センターの魅力は、何といっても街並みが美しいことだ。駅から徒歩20分圏は完全歩者分離になっており、子どもが交通事故に遭う確率はほとんどゼロだ。緑のネットワークは隣駅の永山駅までつながっている。こんな街は全国どこを探しても見当たらないはずだ。
街のポテンシャルを計る重要な指標と考える「ホテル・百貨店(大型商業施設)・文化の香り」も揃っている。
駅を降りてから「パルテノン多摩」(現在は改装中)までの約400mの舗道はレンガタイル敷で、幅員は50mもある。舗道の両サイドにはクスノキの巨木が数十本植えられており、アダプト制度による恵泉女学園大学などの花壇が目を楽しませてくれる。その先には多摩中央公園、多摩市立グリーンライブセンターがあり、その緑量の多さに圧倒されるはずだ。特定外来種のオオキンケイギクが大繁殖しているのは気掛かりだが、絶滅危惧種のキンラン、ギンランも季節になると可憐な花を咲かせる。駅前の京王プラザホテルの和食「あしび」は安くておいしく、多摩市限定販売の日本酒「原峰のいずみ」も飲める。
名誉か不名誉なのかわからないが、こんなわが多摩センターは2020年の「マンションPER」から消えた。昨年は駅から徒歩4分の山田建設「ミオカステーロ多摩センター」(26戸)が分譲されている。坪単価は260万円くらいのはずだ。そこで、東京カンテイに試算してもらった。
同社市場調査部主任研究員・高橋雅之氏は「ミオカステーロ多摩センター」について、「まだ登録されていないため、精緻な数値は算出できませんが、当該駅の同じ駅勢圏での賃料相場は概ね18.5万円/70㎡ですので、マンションPERはだいたい23.85くらいとなります。今の価格高騰局面が始まる以前の2013年当時のマンションPERは20~22程度で、それに比べればだいぶ割高感が増してきてはいますが、2020年の首都圏での平均値(24.69)を下回っていますし、東京都下でも22以上や24以上を示す駅は珍しくなくなってきていますので、今の市況の下では賃料見合いで妥当な価格かと思われます」と答えてくれた。
なるほど。しかし、多摩センター駅圏にはもうマンションの開発余地などほとんどない。「割安な駅」「割高な駅」にはランクされないはずだ。
ついでに京王線の割り負けについてもう一つ。多摩ニュータウンと街づくりがよく似ている港北ニュータウンの積水ハウスのZEHマンション「センター北」(45戸)は坪単価334万円で人気になっている。一方で、免震でZEHの東京建物他「ブリリアタワー聖蹟桜ヶ丘 ブルーミングレジデンス」(520戸)は人気にはなっているが、坪単価は270万円だ。新宿から15分の調布でさえ坪単価は300万円台の半ばが壁になっている。
皆さんはポテンシャルの違いと一笑に付すかもしれないが、どうしてこれほどの差がつくのか、記者はさっぱりわからない。これから書く、西新井駅から徒歩14分で、坪単価210万円の大和地所レジデンス「ヴェレーナシティ西新井」(118戸)は、分譲開始5か月で約半分が売れている。
爛漫の春 多摩川のそばZEH&免震 東京建物他「聖蹟桜ヶ丘」第1期は170戸(2021/4/4)
驚天動地 首都圏着工を上回る新規戸建て分譲 成約戸数!スタイルアクト調査(2021/2/19)
天井高3.8m ロフト付き「七夕カップルの愛のある家庭内週末婚」公開 伊藤忠都市
「クレヴィアリグゼ門前仲町」
伊藤忠都市開発は4月27日、結婚情報サービス「ゼクシィ」編集部と共同で考案し、新築賃貸マンション「クレヴィアリグゼ門前仲町」(2020年2月竣工)の1室で実物件化した「理想の新婚部屋 七夕カップルの愛ある家庭内週末婚」をメディアに公開した。
「理想の新婚部屋」は、イマドキ新婚夫婦の理想や願望を叶える新発想の間取りをプロジェクトメンバーが考案したもので、「七夕カップル」と「猫っぽカップルの気まま暮らし」「恋人夫婦のルームロマンス」「カジュアル夫婦のお家フェス」の4タイプを開発した。
「七夕」は、生活リズムが異なる新婚夫婦が、普段は相手に気兼ねなく過ごし、貴重な2人一緒の休日は仲良くまったりできる「週末婚」スタイルをイメージした間取りプラン。玄関からの導線を分け、左右均等に寝室、ロフト、収納などを平等に振り分けているのが特徴。新しい住まい方の提案が評価され、2020年グッドデザイン賞を受賞した。専用面積約50㎡、月額家賃は28.8万円。
物件は、東京メトロ東西線・都営地下鉄大江戸線門前仲町駅から徒歩8分、江東区佐賀一丁目に位置する12階建て全79室。専用面積は25.23~58.91㎡。月額賃料は11.7万円から、平均13.1万円。満室稼働だったが、法人の解約があったため現在の稼働率は93.7%。
七夕部屋リビング
夫のロフト
妻の寝室
イメージ図
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この賃貸マンションは、プレス・リリースが昨年4月2日に発表されたとき、見学を申し込んだのだが、そのあとすぐ新型コロナ緊急事態宣言が出されて実現しなかった。その後、グッドデザイン賞を受賞し、夫婦それぞれ専用洗面化粧台やテレワークとして使えるロフトがあることから、withコロナ時代に対応したプランとして注目され、3月9日のテレピ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」でも紹介されたという。
テレビは見ていないが、この日見学した「七夕カップルの愛ある家庭内週末婚」はやはり理解できなかった。
〝通い婚〟〝週末婚〟は理解できないわけではない。小生も独身のとき夢見たことがある。それぞれが自立した生活をしており、会いたければ会うというのが一番いいのではないかと。結婚は新たな人生の出発点ではあるが、それは同時に自らの生活を未来にわたって縛るという意味で終末点でもあると考えたからだ。
実際、結婚を前提にそれに近いことを実践したことがある。ところが、相手は小生に〝もう一人の女性〟の影をかぎつけたのか、しばらく会わないうちに、見事に捨てられた。「花を愛せる人になって」というのが三行半の言葉だった。「週末婚」は「終末婚」になるのを思い知った。その時ほど〝遠くの美男より近くの醜男〟などと悔やんだことはない。青春の蹉跌というにはあまりにも痛すぎた経験だ。
「七夕」を考案した方々はどのような考えの持ち主かわからないが(多分女性)、ふつうはいざ好きな女性(男性はわからない)ができたらメロメロになり、寝ても覚めても状態になるのではないか。4タイプのうち部屋の中央にビッグベッドを配置したプラン「恋人夫婦」がもっとも自然だ。
どうして専用面積が50㎡あり、天井高が3.8mもあるのに、鍵付きの夫婦別室とし、かがまないと入れず、立ち上がれば頭を打つロフトに一人寝なければならないのか、なぜ専用の洗面台や収納が必要なのか、さっぱりわからなかった。家賃28.8万円は折半するのだろうか。
まあ、しかし、記者のような団塊世代といまの方たちの結婚観は全く異なるということだろうと無理やり納得させた。
他のタイプは見学できなかったが、一番人気の「猫っぽカップル」や「恋人夫婦」「カジュアル夫婦」はとてもいい。分譲でも十分採用できそうとも考えたが、ライフステージにより間取りの趣向は変化するので難しい面もある。
今回に限ったことではないが、同社の伝統だろう。分譲も賃貸も面白い商品企画を考案する。
「街のシンボルになる」来場者 公園との垣根なくしたフージャース「つくば」に感動
「デュオヒルズつくばセンチュリー」フォレストデッキ
フージャースコーポレーションが分譲中の「デュオヒルズつくばセンチュリー」を見学した。この前インタビューした同社・小川栄一社長と同社事業推進部部長・友野珠江氏の話を確認するのが目的だった。疑ったわけではないが、裏を取るのは記者の基本でもあるからだ。
現地をみて絶句するほかなかった。感動すら覚えた。〝公園はかくあるべき〟という見本だった。そして、記者の胸を打ったのは、ほかの誰でもない、「ここは市のシンボルになる」と語ったマンション来場者の言葉だった。
物件は、つくばエクスプレスつくば駅から徒歩11分、茨城県つくば市竹園一丁目に位置する敷地面積約9,588㎡、14階建て全229戸。現在分譲中の住戸(9戸)の専有面積は75.21~75.32㎡、価格は3,598万~4,198万円、坪単価は175万円。建物は2020年10月竣工済。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。デザイン監修は野生司環境設計・野生司氏。ランドスケープデザイン監修は関東学院大学准教授・中津秀之氏。分譲開始は2019年3月。
単価が低く、第一次取得層向けではあるが、1階に2層吹き抜けのベーカリーカフェ「「パン工房クーロンヌ」が入居しているほか、共用施設にワークスタジオ、ブックステーション、キッズスクエア&キンタ―プレイス、ゲストルームなどを整備し、専有部は75㎡中心で食洗器、ディスポーザー、リビング天井高2500~2600ミリ、スロップシンク、浴室ドアタオル掛け2か所など…基本性能・設備仕様レベルは水準以上だ。
販売を担当する同社営業本部営業七部営業一課サブチーフ・入谷哲也氏は、「残りは未分譲の9戸を含め20戸。来場されたお客様に公園との垣根を取り払った取り組みなど物件の特徴を説明していたら、そのお客さまから『街のシンボルになるわね』と言われたのがとてもうれしかった」と話した。
コモンラウンジ
キンターラウンジ
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マンション来場者が「市のシンボルになる」と話した-これが全てを物語っている。記者の拙文など全く必要ない。写真を見ていただきたい。
この前、同社の小川栄一社長が話したようにマンションと公園はデッキでつながっており、どこまでがマンション敷地なのか公園なのか全く区別がつかない。必死で「官民」「民民」の境界標(栓)を探したが見つからなかった。
「パン工房クーロンヌ」でパンと飲み物を買って、公園側のデッキ席で、今回の取材をセットしていただいた友野氏と歓談した。
友野氏も完成した公園を見るのは初めてだったようで、市内で一番不人気だった、誰も利用しない〝砂利公園〟が、子どもたちが遊び、お母さんたちが談笑したり飲食したりしている公園に様変わりしたのに驚いていた。
公園には「パン工房クーロンヌ」が用意した無料で利用できる茣蓙が置かれていた。店内には公園内の芝の手入れを行う「育芝チーム」についても紹介されていた。
皆さんはこれをどう思われるか。先進的な取り組み事例としては、「立体都市公園制度」を活用したPPP(パブリックプライベートパートナーシップ)施設の一つ「MIYASHITA PARK」を見学して驚いたし、フージャースグループのPFI法を活用した「原山公園再整備運営事業」もオープンしたが、これらは「公設民営」だ。今回のような官民連携というより、民が主導した公園再生の例など記者は寡聞にして知らない。画期的なことだ。
デッキでつながっている公園(手前)と「パン工房クーロンヌ」
マンション(左)と公園
公園で遊ぶ子どもたち(滑り台では許可されなかったため傾斜としているのがみそ)
無料のござ貸出
つくば市の境界標
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これまで街路樹や公園の記事をたくさん書いてきた。いつも突き当たるのは法律の分厚い壁だ。
都市公園法には、「国の設置に係る都市公園における行為の禁止等」を定めた第十一条、第十二条には次のようにある。
第十一条 国の設置に係る都市公園においては、何人も、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
一 都市公園を損傷し、又は汚損すること。
二 竹木を伐採し、又は植物を採取すること。
三 土石、竹木等の物件を堆積すること。
四 前三号に掲げるもののほか、公衆の都市公園の利用に著しい支障を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるもの。
第十二条 国の設置に係る都市公園において次の各号に掲げる行為をしようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、公園管理者の許可を受けなければならない。
一 物品を販売し、又は頒布すること。
二 競技会、集会、展示会その他これらに類する催しのために都市公園の全部又は一部を独占して利用すること。
三 前二号に掲げるもののほか、都市公園の管理上支障を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるもの。
法文の冒頭に「みだり」(「淫ら」と同義語か)とおどろおどろしい言葉が躍るように、むやみやたらに大声を発したり、キャッチボールをしたりタバコを吸ったりすることは「公衆の都市公園の利用に著しい支障を及ぼすおそれのある行為」として禁止される-その行為とは何かを決めるのは利用者のわれわれ市民ではない。管理者としての行政だ。
新型コロナ緊急事態宣言が発令されたことを受け、東京都は都立公園の利用について「運動施設、遊具広場、及び駐車場などの使用を休止しております。また、散歩、ジョギングをしている皆様は、ご利用を1時間以内にしていただきますようお願いいたします」とし、有料の公園を休園した。
他の自治体も同様だ。「利用中は、大声(発声・声援等)を出さないようにして下さい」(新宿区)「多くの利用者が『密集』『密接』することにより感染のリスクが高くなることが懸念されることから、当面の間、投球場と全ての遊具やベンチの使用を一時的に中止しております」(港区)「飲食の自粛」(渋谷区)「飲食を伴うご利用や長時間のご利用は可能な限り控え、密集・密接に注意しながらの公園利用を徹底していただきますようお願いいたします」(多摩市)などと規制を強化している。
しかし、これはいかがなものか。記者は、これまで何度も書いた。コロナ禍でもっとも安全なのは公園だ。取材などで外出したときは、コンビニなどでおにぎりと缶ビールを買って公園など野外で飲食することにしている。公園にはほとんど利用者はいないし、隣の人との間隔を確保しようと思えばいくらでも開けられる。もう1年以上継続している。
公園管理は、悪しき慣例主義・事なかれ主義の典型だ。公園が利用されようとされまいが、どうでもいいと考えているとしか思えない。
いくつか例示する。写真は渋谷区の「幡ヶ谷第四児童遊園」を昨年9月に写したものだ。出入り口には工事中でもないのにバリケードが設置されていた。誰も利用しないのか、敷地全体が雑草で覆われていた。日常不断に利用されていたら砂場に雑草が生えることなどありえない。
「幡ヶ谷第四児童遊園」
砂場といえば、杉並区の公園では、ネットがかけられていた。猫のトイレ利用を防ぐためだという。立川市の柴崎中央公園は、飲酒や喧嘩を防ぐために公園全体が金網ネットで囲われ、鍵もついていた。利用は平日9時~16時のみで、土・日曜は閉鎖するとあった。その中で遊んでいる子どもをみて、檻の中に閉じ込められているような錯覚を記者は覚えた。(5年前の記事参照)
目黒区の公園実態調査報告書には、2割近い公園・児童遊園の利用者は一人もいないと報告されている。
わが多摩市は「愛でるみどりから関わるみどりへ」を掲げ、様々な取り組みを行っているが、民間や住民参加を取り込む具体的な策(柵ではない)が欠落しているような気がする。つくばに負けるな。
公園、山、川…地域の資源と接続 全面展開へ フージャースコーポ 小川栄一社長(2021/4/22)
フージャースHD PFIによる大阪府堺市の「原山公園再整備運営事業」オープン(2020/9/1)
若い人で溢れかえる 「立体都市公園制度」を活用した三井不「MIYASHITA PARK」(2020/9/6)
日本財団 渋谷区公園トイレ整備に17億円 「西原一丁目」完成/真逆の児童遊園(2020/8/31)
激減する利用者 激増する1人当たり占有面積 公園のあり方考える(2020/8/3)
「記事にはしない」メディアの自殺行為 三菱地所レジ「自由が丘」オンライン内覧会
「ザ・パークハウス 自由が丘ディアナガーデン」145㎡のモデルルーム
三菱地所レジデンスは4月22日、モリモトとのJVマンション「ザ・パークハウス 自由が丘ディアナガーデン」のオンラインモデルルーム内覧会を行った。
物件は、東急東横線・大井町線自由が丘駅から徒歩9分、目黒区自由が丘3丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率70%、容積率100%)に位置する地下1階地上3階建て全44戸(募集対象外住戸12戸含む)。専有面積は74.72~175.46㎡。竣工予定は2022年6月下旬。施工は東急建設。
主寝室
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記者は、とても楽しみにしていたのだが、同社から事前に送られてきたオンライン視聴用URLが届いていないと勘違いしたために視聴できなかった。仮に視聴できていたら、一番知りたかったのは価格(坪単価)と設備仕様レベルだった。
内覧会では報道陣から坪単価についての質問もあったようだが、「記事にはしない」という約束で同社はおおよその単価を伝えたという。
そもそもメディアは、もっとも読者の関心が高い、知りたい単価について「記事にはしない」という約束などしてはならなかった。メディアの自殺行為だ。小生はほとんどそんな約束などしたことがない。(「ほとんど」というのは皆無ではないという意味。武士の情けもあるし、記者は弱い立場にもある)
それどころか、小生は事業者が「未定」としか発表しなかった「HARUMI FLAG」では「坪単価は250万円が妥当」と書いた。今でも間違っていないと思う。この記事には5,000件を超えるアクセスがあり、最初に「HARUMI FLAG」の用地取得額について書いた記事には1万件以上のアクセスが殺到した。
とはいえ、取材先との約束は絶対守るのがジャーナリズムの基本だ。なので、その端くれに席を置く小生は単価について触れない。それにしても、三菱地所ともあろうものが、どうしてそのような圧力をメディアにかけるのか。
もう一つの設備仕様は、内覧会を視聴しておらず、同社から事後に送られてきたVRモデルルームも記事にしないという約束だ(小生はオンラインでは住宅の質は伝えられないと思っているが)。頂いたモデルルームの画像データはとても美しく見える。質は誰も分からないはずだ。
ただ、デザイン監修を担当しているSKM設計計画事務所のマンションは結構見学している。物件ホームページには、同事務所の桐本将和氏が担当しグッドデザイン賞を受賞した「アールブラン横浜仲町台 」(2019年度)「ザ・パークハウス桜坂サンリヤン」(/ 2019年度)「蘆花公園ザ・レジデンス」(2018年度)「ザ・パークハウス追浜」(2015年度)「ザ・パークハウス戸塚」(2014年度)「パークハウス瀬田一丁目」(2010年度)が紹介されている。このうち小生も見学した記事を添付する。「仲町台」は最高に素晴らしかった。
リビング(白が基調で、自由が丘にピッタリではないか)
スウェーデンハウス 世界初3DキャラクターによるVR内覧サービス モデル来場2.2倍(2021/4/21)
三菱地所レジ・モリモト 自由が丘の1低層マンション 大規模緑化と既存樹木など保存(2021/4/9)
「HARUMI FLAG」土地代の安さ 価格に反映を 坪250万円が妥当と考えるが… (2019/4/21))
樹影を映し込む外観 まるで絵画のよう モリモト「アールブラン横浜仲町台」(2017/10/24)
今後の市況を測る試金石 三菱地所レシジ・野村・セコム「蘆花公園 ザ・レジデンス」(2016/11/24)
坪235万円でも7割近い144戸成約 100㎡超58戸も人気 日本エスコン「つくば」
「レ・ジェイドつくば Station Front」
中部電力グループ・日本エスコンが分譲中の「レ・ジェイドつくば Station Front」を見学した。駅直結の総開発面積約15,614㎡の商・職・住複合再開発「エスコンシティつくば」の一角に位置する免震構造で、坪単価は市内最高峰の235万円。3月末から販売開始し、全218戸のうち第1期144戸が完売。58戸ある億ションを含む100㎡以上は残り4戸。同社のフラッグシップマンションにふさわしい圧倒的な人気を呼んでいる。
物件は、つくばエクスプレスつくば駅から徒歩3分、茨城県つくば市吾妻1丁目の商業地域に位置する18階建て218戸(他に3階建て店舗棟)。専有面積は67.01~142.41㎡。坪単価は235万円。竣工予定は2022年10月。施工は多田建設。設計・監理はスタイレックス。販売代理はタカラレーベンリアルネット。デザイン監修はああす設計室。照明デザインはライティングM。ランドスケープはグランスケープ。
現地は、「つくばセンター地区」なかでももっとも利便性の高い駅直結のエリアに位置。同エリアでは西武百貨店筑波店が2017年2月に、イオンつくば駅前店が2018年1月にそれぞれ閉店。
同社は2018年12月に「つくばQ’t」(敷地面積約9,929㎡)と「つくばMOG」(同約1,119㎡)を、2019年3月に隣接する旧西武棟と旧イオン棟からなる「つくばクレオ」(同約15,613㎡)を取得。旧西武棟はリニューアルし、近く開業する「tonarie CREO」に改称し、開発を進めている「(仮称)tonarie Q’t」「(仮称)tonarie MOG」の3棟を含め「トナリエつくばスクエア」と総称して開発を進めている。
建物は、旧イオン跡地で建設しているもので、市内で2棟目の免震構造を採用。低層階には、当社グループ会社運営のカフェダイニングを開設するほか、地域コミュティスペース「リトリートハウス」を設ける。駅直結のペデストリアンデッキで繋なげる。
住戸プランは、もっとも狭いタイプでも67㎡台1スパンを確保し、他は70~96㎡台がそれぞれ1スパン、角住戸と最上階住戸の58戸が100㎡以上と、広いタイプをたくさん設けているのが特徴。
主な基本性能・設備仕様は、免震構造、二重床・二重天井、リビング天井高2400~2800ミリ、食洗器、ディスポーザー、ランドリールーム、自走式駐車場219台など。
同社開発事業本部東京開発事業部東京企画販売部マネージャー・塚田圭司氏は、「現地に看板を掲げただけで1,000件の問い合わせがあり、今では2,000件を突破している。1月17日に行った事前プロジェクト発表会には500名が参加し、3月末には第1期128戸が完売。これまで144戸が成約済み。坪単価235万円は市内最高峰で、100㎡以上58戸も残り4戸。坪400万円の高額住戸から売れている。当社のマンションの歴史でもここが一番人気」と語った。
125㎡のモデルルーム(廊下幅は1.3m)
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凄い人気だが、記者は納得する。街づくりは、大きな街区で構成されており、車がないと生活できないのは難点だが、緑は豊富だし街並みも美しい。そして何よりもの強みは、研究学園都市として自立的な都市づくりを進めてきた成果が表れているということだろう。県全体では人口減少に向かっているが、つくば市は漸増傾向にある。
二つあるうちの125㎡のモデルルームもよくできている。天井高は約2.8m、廊下幅は約1.3m、17帖ある主寝室(ドレッシングルーム含む)のドアは親子ドア、リビング・ダイニングは21帖、L字型のテラスは8.5×17mもある-駅直結の徒歩3分で商業施設が整った坪単価400万円の都内の物件だったら、果たしてどこなら買えるか。八王子でも無理かもしれない。
もう一つの86㎡のモデルルームには、リモート用途をイメージした約5帖のスペースがあるが、専有面積が広いから提案できる-こんな提案をするデベロッパーは少ない。
わが多摩市にはそんな額のマンションを買えるユーザーはいないかもしれない。圧倒的な人気を呼んでいる免震でZEHの東京建物他「ブリリアタワー聖蹟桜ヶ丘ブルーミングレジデンス」(520戸)は坪単価270万円だし、億ションはそんなに多くないはずだ。
86㎡のモデルルーム(奥に5帖のリモート用スペースがある)
高層ZEH-M プラン秀逸 日本エスコン「レ・ジェイド大倉山」(2020/2/1)